JP2024077472A - 車両側部構造 - Google Patents

Abstract

【課題】スライドドアのロアヒンジが、正面視でバッテリケースの車幅方向外側に配置されていても、車両の側面衝突時に、そのロアヒンジがバッテリケースの内部に収容されている電池スタックに干渉するのを抑制できる車両側部構造を得る。【解決手段】車両１２のフロアパネルの車両下方側に配置され、内部に電池スタック８０を収容するとともに車幅方向に延在する仕切部材７８を有するバッテリケース７０と、車両１２の側部を開閉するスライドドア２０の下部に設けられ、スライドドア２０を車両前後方向にスライド可能に支持するとともに、スライドドア２０の閉状態で、少なくとも車幅方向内側端部４０Ａが、正面視でバッテリケース７０の車幅方向外側に配置されるロアヒンジ３０と、を備えた車両側部構造１０であって、スライドドア２０の閉状態で、ロアヒンジ３０の車幅方向内側端部４０Ａを仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａと車両前後方向において同位置に配置する。【選択図】図４

Description

本発明は、車両側部構造に関する。

フロアパネルの車両下方側に複数の電池セルからなる電池スタックを収容したバッテリケースが配置され、左右の両側部を開閉するスライドドアが設けられた車両は、従来から知られている（例えば、特許文献１参照）。この車両では、スライドドアの下部に取り付けられて、スライドドアを車両前後方向にスライド可能に支持するロアヒンジが、バッテリケースよりも車両上方側に配置されている。

特開２０１９－２１４３１４号公報

しかしながら、車内の空間を広げるために、閉状態のスライドドアのロアヒンジが、正面視でバッテリケースの車幅方向外側に配置される場合があり、この場合には、ロアヒンジの少なくとも車幅方向内側端部が、バッテリケースの周壁における側部と対向する。そのため、車両が側面衝突してロアヒンジが車幅方向内側へ変位すると、ロアヒンジの少なくとも車幅方向内側端部が、バッテリケースを介して、内部に収容されている電池スタック（電池セル）に干渉し（当たり）、その電池スタック（電池セル）を破損させてしまうおそれがある。

そこで、本発明は、スライドドアのロアヒンジが、正面視でバッテリケースの車幅方向外側に配置されていても、車両の側面衝突時に、そのロアヒンジがバッテリケースの内部に収容されている電池スタックに干渉するのを抑制できる車両側部構造を得ることを目的とする。

上記の目的を達成するために、本発明に係る第１の態様の車両側部構造は、車両のフロアパネルの車両下方側に配置され、内部に電池スタックを収容するとともに車幅方向に延在する仕切部材を有するバッテリケースと、前記車両の側部を開閉するスライドドアの下部に設けられ、前記スライドドアを車両前後方向にスライド可能に支持するとともに、前記スライドドアの閉状態で、少なくとも車幅方向内側端部が、正面視で前記バッテリケースの車幅方向外側に配置されるロアヒンジと、を備え、前記スライドドアの閉状態で、前記ロアヒンジの前記車幅方向内側端部が、平面視で前記仕切部材の車幅方向外側端部と車両前後方向において同位置に配置されている。

第１の態様の発明によれば、スライドドアの閉状態で、スライドドアのロアヒンジの少なくとも車幅方向内側端部が、正面視でバッテリケースの車幅方向外側に配置され、そのロアヒンジの少なくとも車幅方向内側端部が、平面視でバッテリケースの内部において車幅方向に延在する仕切部材の車幅方向外側端部と車両前後方向において同位置に配置されている。したがって、車両が側面衝突して、スライドドアのロアヒンジが車幅方向内側へ変位しても、そのロアヒンジの車幅方向内側端部は、仕切部材の車幅方向外側端部に干渉する（当たる）。つまり、スライドドアのロアヒンジ（車幅方向内側端部）は、電池スタックには干渉し難くなる（当たり難くなる）。

このように、本発明によれば、スライドドアのロアヒンジ（車幅方向内側端部）が、正面視でバッテリケースの車幅方向外側に配置されていても、車両の側面衝突時に、そのロアヒンジ（車幅方向内側端部）がバッテリケースの内部に収容されている電池スタックに干渉するのが抑制される。なお、本発明における「同位置」には、正確な同位置から車両前後方向に僅かにずれた略同位置も含まれる。

また、本発明に係る第２の態様の車両側部構造は、第１の態様の車両側部構造であって、前記スライドドアの閉状態で、前記ロアヒンジの前記車幅方向内側端部と前記バッテリケースとの間にスペーサーが配置されている。

第２の態様の発明によれば、スライドドアの閉状態で、ロアヒンジの車幅方向内側端部とバッテリケースとの間にスペーサーが配置されている。したがって、車両が側面衝突して、スライドドアのロアヒンジが車幅方向内側へ変位した際、そのロアヒンジの車幅方向内側端部からスペーサーを介して仕切部材の車幅方向外側端部へ衝突荷重が伝達される。つまり、電池スタックには、ロアヒンジの車幅方向内側端部から衝突荷重が伝達され難くなる。

また、本発明に係る第３の態様の車両側部構造は、第２の態様の車両側部構造であって、前記スペーサーは、前記ロアヒンジの前記車幅方向内側端部に対向する外側面の車両前後方向に沿った長さが、前記バッテリケースに対向する内側面の車両前後方向に沿った長さよりも長くされている。

第３の態様の発明によれば、スペーサーの外側面の車両前後方向に沿った長さが、スペーサーの内側面の車両前後方向に沿った長さよりも長くされている。したがって、仕切部材の車幅方向外側端部に対するロアヒンジの車幅方向内側端部の位置が車両前後方向に僅かにずれていても、ロアヒンジの車幅方向内側端部からスペーサーを介して仕切部材の車幅方向外側端部へ衝突荷重が伝達される。つまり、電池スタックには、ロアヒンジの車幅方向内側端部から衝突荷重が伝達され難くなる。

以上のように、本発明によれば、スライドドアのロアヒンジが、正面視でバッテリケースの車幅方向外側に配置されていても、車両の側面衝突時に、そのロアヒンジがバッテリケースの内部に収容されている電池スタックに干渉するのを抑制することができる。

本実施形態に係る車両側部構造を備えた車両の側部を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る車両側部構造を一部断面で拡大して示す概略正面図である。 本実施形態に係る車両側部構造を示す概略平面図である。 本実施形態に係る車両側部構造を一部拡大して示す概略平面図である。 本実施形態に係る車両側部構造の変形例を一部拡大して示す概略正面図である。 本実施形態に係る車両側部構造の変形例を一部拡大して示す概略平面図である。

以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印ＵＰを車両上方向、矢印ＦＲを車両前方向、矢印ＬＨを車両左方向、矢印ＲＨを車両右方向とする。また、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車両における上下、前後、左右を示すものとする。また、左右方向は、車幅方向と同義である。

図１に示されるように、本実施形態に係る車両側部構造１０を備えた車両１２は、車両１２の側部を開閉するスライドドア２０を有している。スライドドア２０は、車両１２の左右両側部にスライド可能に設けられており、車両１２の後席に対して乗降する乗員の乗降口（車室）を開閉可能に構成されている。

車両１２にはアッパガイド部１４、センタガイド部１６及びロアガイド部５６が設けられている。アッパガイド部１４は、車両１２の上部に設けられており、前後方向に延在されている。また、センタガイド部１６は、車両１２の上下方向略中央部に設けられており、前後方向に延在されている。さらに、ロアガイド部５６は、詳細には後述するが、車両１２の下部に設けられており、前後方向に延在されている。

スライドドア２０の上部にはアッパヒンジ２２が取り付けられており、このアッパヒンジ２２に設けられたガイドローラ２４がアッパガイド部１４に係合している。また、スライドドア２０の上下方向略中央部にはセンタヒンジ２６が取り付けられており、このセンタヒンジ２６に設けられたガイドローラ２８がセンタガイド部１６に係合している。さらに、スライドドア２０の下部にはロアヒンジ３０が取り付けられており、このロアヒンジ３０に設けられたガイドローラ４４がロアガイド部５６に係合している。

これにより、スライドドア２０が車両１２に対して前後方向に移動可能に支持されている。なお、図１では、説明の便宜上、それぞれのガイド部とガイドローラとを離して描いているが、実際には各ガイド部に各ガイドローラが入り込んでいる。また、スライドドア２０は、車幅方向外側のドアアウタパネル２０Ａと車幅方向内側のドアインナパネル２０Ｂとを含んで構成されており、ドアアウタパネル２０Ａ及びドアインナパネル２０Ｂの周縁部がヘミング加工によって接合されて構成されている（図２参照）。

図２に示されるように、スライドドア２０の下部には、ロアヒンジ３０が取り付けられている。ロアヒンジ３０は、前後方向から見た正面視（以下、単に「正面視」という）で略「Ｌ」字状に形成されたヒンジ本体３２を有している。ヒンジ本体３２は、ドアインナパネル２０Ｂに沿って上下方向に延在する固定部３４と、固定部３４の下端部から車幅方向内側へ一体に延在するベース支持部３６と、を含んで構成されている。

固定部３４は、車幅方向外側が開放した断面略ハット型形状に形成されており、ボルト６８及びナット６９によってドアインナパネル２０Ｂの車幅方向内側を向く側面に締結されて固定されている。ベース支持部３６は、下方側が開放した断面略ハット型形状に形成されており、後述するステップ５４の車幅方向外側端部における下方側まで延在されている。

そして、このベース支持部３６の車幅方向内側端部には、ボルト６８及びナット６９によって連結部材３８の一端部が固定されている。連結部材３８は、上下方向を板厚方向として車幅方向に延在された略平板状部材であり、この連結部材３８の他端部には、ベース部４０が、ピン３９により上下方向を軸方向として揺動可能に取り付けられている。

ベース部４０は、連結部材３８から車幅方向内側へ延在されており、このベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａの上面には、上下方向を軸方向とする一対の軸部４２が設けられている。そして、各軸部４２の上端部には、それぞれガイドローラ４４が回転自在に取り付けられており、各ガイドローラ４４が、ロアガイド部５６を構成する一対のガイド片５６Ａの間に入り込んでいる。

また、ベース部４０には、左右方向を軸方向とする軸部４６が設けられており、この軸部４６の車幅方向内側端部には、ロードローラ４８が回転自在に取り付けられている。ロードローラ４８は、後述するステップアンダーパネル５２に接触しており、このロードローラ４８を介して、ロアヒンジ３０がステップアンダーパネル５２に支持される構成になっている。

一方、車両１２は、車室の床面を構成するフロアパネル５０を備えている。フロアパネル５０は、上下方向を板厚方向として車幅方向及び前後方向に延在されており、このフロアパネル５０の上面にはフロアカーペット５１が敷かれている。そして、フロアパネル５０と後述するロッカ６０との間にはステップアンダーパネル５２が設けられている。

つまり、フロアパネル５０とロッカ６０とがステップアンダーパネル５２によって連結されている。ステップアンダーパネル５２は、上端部がフロアパネル５０の下面に沿って屈曲された上フランジ部５２Ａとされており、この上フランジ部５２Ａがフロアパネル５０の下面に重ね合わされて溶接等によって接合されている。

また、ステップアンダーパネル５２は、正面視で上フランジ部５２Ａから下方側へ一体に延在する第１縦壁部５２Ｂと、第１縦壁部５２Ｂの下端部から一体に車幅方向外側へ屈曲されて延在する第１横壁部５２Ｃと、第１横壁部５２Ｃの車幅方向外側端部から下方側へ一体に延在する第２縦壁部５２Ｄと、第２縦壁部５２Ｄの下端部から一体に車幅方向外側へ屈曲されて延在する第２横壁部５２Ｅと、を有している。そして、第２横壁部５２Ｅが、後述するロッカインナパネル６４に上方側から重ね合わされて溶接等によって接合されている。

また、ステップアンダーパネル５２の第１横壁部５２Ｃには、乗員の乗降用となる樹脂製のステップ５４が取り付けられている。ステップ５４は、正面視で略「Ｌ」字状に形成されており、ステップ５４の下端部が第１横壁部５２Ｃに沿って屈曲された固定部５４Ａとされている。そして、この固定部５４Ａがボルト６８及びナット６９によって第１横壁部５２Ｃに締結されて固定されている。

ステップ５４は、固定部５４Ａから上方側へ延出され、さらに車幅方向外側へ延出されている。そして、この車幅方向に延出されたステップ本体５４Ｂには、前後方向に沿って延在する補強用のリブ５４Ｃが設けられている。リブ５４Ｃは複数（図示のものは５つ）設けられており、それぞれステップ本体５４Ｂから上方側へ一体に突出している。

また、ステップ本体５４Ｂの下面側には、ロアガイド部５６が形成されている。ロアガイド部５６は、ステップ本体５４Ｂから下方側へ一体に突出された左右一対のガイド片５６Ａを含んで構成されている。一対のガイド片５６Ａは、ステップ本体５４Ｂに沿って前後方向に延在されており、一対のガイド片５６Ａの間には、ロアヒンジ３０のガイドローラ４４が入り込むようになっている。つまり、ロアガイド部５６は、ロアヒンジ３０を前後方向に移動可能にガイドするようになっている。

また、ステップ５４の上方側には樹脂製のスカッフプレート５８が設けられている。スカッフプレート５８は、フロアパネル５０の車幅方向外側端部からステップ本体５４Ｂの車幅方向外側端部まで延在されており、図示しないクリップ等によってステップ５４に取り付けられている。また、ステップ５４には、スライドドア２０の開閉装置１８が取り付けられている。開閉装置１８は、第１横壁部５２Ｃの上面に配置されており、スライドドア２０の自動開閉に必要なモータやプーリなどの部品を含んでいる。

また、後述するバッテリケース７０の車幅方向外側で、かつロアヒンジ３０の下方側には、閉断面構造とされて前後方向に延在するロッカ６０が設けられている。ロッカ６０は、車幅方向外側に位置するロッカアウタパネル６２と、車幅方向内側に位置するロッカインナパネル６４と、を含んで構成されている。

ロッカアウタパネル６２は、正面視で略クランク状に形成されている。具体的には、ロッカアウタパネル６２は、上端部の上フランジ部６２Ａから下方側へ延在されており、下部が車幅方向内側へ屈曲されている。そして、その車幅方向内側端部から下方側へ下フランジ部６２Ｂが延在されている。

ロッカインナパネル６４は、正面視で車幅方向外側に開放された断面略ハット型形状に形成されている。具体的には、ロッカインナパネル６４の上端部には、上フランジ部６４Ａが形成されており、この上フランジ部６４Ａがロッカアウタパネル６２の上フランジ部６２Ａと重ね合わされて溶接等によって接合されている。そして、ロッカインナパネル６４の下端部には、下フランジ部６４Ｂが形成されており、この下フランジ部６４Ｂがロッカアウタパネル６２の下フランジ部６２Ｂと重ね合わされて溶接等によって接合されている。これにより、ロッカ６０が閉断面構造とされている。

なお、互いに接合された上フランジ部６２Ａ及び上フランジ部６４Ａにはウェザーストリップ６６が取り付けられており、このウェザーストリップ６６によってスライドドア２０との間がシールされる構成になっている。また、ロッカアウタパネル６２の車幅方向外側には、図示しないクリップ等によってロッカモール６３が取り付けられている。ロッカモール６３は、樹脂製であり、ロッカアウタパネル６２の下部を車幅方向外側から覆うようになっている。

ロッカ６０及びロアヒンジ３０におけるベース部４０の車幅方向内側で、かつフロアパネル５０の下方側には、平面視でフロアパネル５０のほぼ全域に亘る金属製のバッテリケース７０が配置されている。なお、バッテリケース７０は、図示しないサイドメンバやクロスメンバ等に支持されている。

バッテリケース７０は、底壁７２、周壁７４及び蓋壁７６を含んで構成されており、その内部には、複数の電池セルからなる電池スタック８０（図３参照）、ワイヤハーネス及び冷却装置（共に図示省略）などが収容されている。そして、その電池スタック８０から図示しない駆動モータへ電力を供給できるように構成されている。

バッテリケース７０の底壁７２は、上下方向を板厚方向として平面視で略矩形状に形成されており、底壁７２の外周縁部には周壁７４が一体に立設されている。すなわち、周壁７４は、底壁７２の外周縁部に沿って略矩形枠状に形成されている。蓋壁７６は、上下方向を板厚方向として底壁７２及び周壁７４の外形と対応するように略矩形状に形成されており、蓋壁７６の外周縁部が、ボルト６８によって周壁７４の上面に締結されている。

なお、周壁７４において、車幅方向外側に位置する左右の側部７４Ｓは、正面視で閉断面構造に形成されており、上下方向略中央部に一体に設けられた平板状の仕切壁７４Ａによって上下２つの閉断面に仕切られている。また、このバッテリケース７０の下方側にはアンダーカバー６７が設けられており、そのアンダーカバー６７の車幅方向両端部が、ステップ５４と共にボルト６８及びナット６９によってステップアンダーパネル５２に締結されている。

また、図２に示されるように、スライドドア２０の閉状態で、ロアヒンジ３０のベース支持部３６及びベース部４０（車幅方向内側端部４０Ａ）が、正面視でバッテリケース７０の車幅方向外側に配置されている。換言すれば、スライドドア２０の閉状態で、ロアヒンジ３０のベース支持部３６及びベース部４０（車幅方向内側端部４０Ａ）が、車幅方向から見た側面視（以下、単に「側面視」という）でバッテリケース７０の車幅方向外側を向く側部７４Ｓとオーバーラップする位置に配置されている。

また、図３に示されるように、バッテリケース７０の内部には、車幅方向に延在して左右の側部７４Ｓを連結するとともに、バッテリケース７０の内部を前後方向に並ぶ複数の区画に仕切る複数枚（図示のものは４枚）の仕切部材７８が設けられている。仕切部材７８は、閉断面形状（側面視で上下方向を長手方向とする扁平な四角筒状）に形成されており、車幅方向から入力される荷重に対して、ある程度の強度が確保されている。

そして、スライドドア２０の閉状態で、正面視でバッテリケース７０の車幅方向外側に配置されているロアヒンジ３０の少なくともベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａが、図３、図４に示されるように、平面視で１つの仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａと前後方向において略同位置に配置されている。換言すれば、ロアヒンジ３０の少なくともベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａが、１つの仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａと車幅方向で対向するようになっている。

以上のような構成とされた本実施形態に係る車両側部構造１０において、次にその作用について説明する。

上記したように、本実施形態に係る車両１２では、スライドドア２０の閉状態で、ロアヒンジ３０のベース支持部３６及びベース部４０（車幅方向内側端部４０Ａ）が、正面視でバッテリケース７０の車幅方向外側に配置されている（側面視でバッテリケース７０の側部７４Ｓとオーバーラップする位置に配置されている）。したがって、車両１２が側面衝突すると、ロアヒンジ３０のベース支持部３６及びベース部４０（車幅方向内側端部４０Ａ）が車幅方向内側へ向かって変位する。

ここで、スライドドア２０の閉状態で、ロアヒンジ３０の少なくともベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａが、バッテリケース７０の内部において車幅方向に延在する１つの仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａと前後方向において略同位置に配置されている（１つの仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａと車幅方向で対向している）。そのため、車幅方向内側へ向かって変位してきたベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａは、仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａに干渉する（当たる）。

つまり、車幅方向内側へ向かって変位してきたベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａは、電池スタック８０（電池セル）には干渉し難い（当たり難い）。このように、本実施形態によれば、ロアヒンジ３０のベース支持部３６及びベース部４０（車幅方向内側端部４０Ａ）が、正面視でバッテリケース７０の車幅方向外側に配置されていても、そのロアヒンジ３０のベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａが、バッテリケース７０の内部に収容されている電池スタック８０（電池セル）に干渉するのを抑制することができる。

（変形例）
なお、図５、図６に示されるように、スライドドア２０の閉状態で、ロアヒンジ３０の少なくともベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａとバッテリケース７０の側部７４Ｓとの間にスペーサー８２を配置するようにしてもよい。その際、第１縦壁部５２Ｂの所定の部位に貫通孔を形成して、スペーサー８２を配置するようにしてもよい。

スペーサー８２は、例えばポリアミド（ＰＡ）、ポリカーボネート（ＰＣ）等の樹脂製（エンジニアリングプラスチック製）とされており、ある程度の剛性を有している。そして、このスペーサー８２は、平面視で略台形状に形成されている。すなわち、このスペーサー８２は、ベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａに対向する外側面８２Ａの前後方向に沿った長さが、バッテリケース７０の側部７４Ｓに対向する内側面８２Ｂの前後方向に沿った長さよりも長くされている。

このような形状のスペーサー８２を設けると、平面視で仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａに対するベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａの位置が前後方向に僅かにずれていても、そのスペーサー８２を介して、ベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａから仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａへ衝突荷重を伝達することができる。

つまり、平面視で仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａに対するベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａの位置が前後方向に僅かにずれていても、電池スタック８０（電池セル）には、ベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａから衝突荷重が伝達され難くすることができる。これにより、ロアヒンジ３０のベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａが、バッテリケース７０の内部に収容されている電池スタック８０（電池セル）に干渉するのを抑制することができる。

以上、本実施形態に係る車両側部構造１０について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る車両側部構造１０は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、スペーサー８２は、金属製とされていてもよい。

また、スペーサー８２と同等の機能を有するように、バッテリケース７０の側部７４Ｓに平面視で車幅方向外側へ突出する凸部（図示省略）を一体的に形成してもよい。また、スペーサー８２は、ベース部４０の車幅方向内側端部４０Ａから仕切部材７８の車幅方向外側端部７８Ａへ衝突荷重を効率よく伝達することができるようになっていればよく、図示の台形状に限定されるものではない。

１０ 車両側部構造
１２ 車両
２０ スライドドア
３０ ロアヒンジ
４０Ａ 車幅方向内側端部
５０ フロアパネル
７０ バッテリケース
７８ 仕切部材
７８Ａ 車幅方向外側端部
８０ 電池スタック
８２ スペーサー
８２Ａ 外側面
８２Ｂ 内側面

Claims (3)

1. 車両のフロアパネルの車両下方側に配置され、内部に電池スタックを収容するとともに車幅方向に延在する仕切部材を有するバッテリケースと、
   前記車両の側部を開閉するスライドドアの下部に設けられ、前記スライドドアを車両前後方向にスライド可能に支持するとともに、前記スライドドアの閉状態で、少なくとも車幅方向内側端部が、正面視で前記バッテリケースの車幅方向外側に配置されるロアヒンジと、
   を備え、
   前記スライドドアの閉状態で、前記ロアヒンジの前記車幅方向内側端部が、平面視で前記仕切部材の車幅方向外側端部と車両前後方向において同位置に配置されている車両側部構造。
2. 前記スライドドアの閉状態で、前記ロアヒンジの前記車幅方向内側端部と前記バッテリケースとの間にスペーサーが配置されている請求項１に記載の車両側部構造。
3. 前記スペーサーは、前記ロアヒンジの前記車幅方向内側端部に対向する外側面の車両前後方向に沿った長さが、前記バッテリケースに対向する内側面の車両前後方向に沿った長さよりも長くされている請求項２に記載の車両側部構造。