JP2024074502A - 回収システム - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収塔内において吸収液によって、より効率的に気体から二酸化炭素を吸収すること。【解決手段】気体と吸収液のミストとを接触させ、該気体に含まれる二酸化炭素を該吸収液に吸収させる吸収塔と、前記吸収塔において二酸化炭素を吸収した前記吸収液が供給され、該吸収液から二酸化炭素を放出させる放出塔と、を備えた二酸化炭素の回収システムであって、前記吸収塔から排出され、前記放出塔に供給される前の前記吸収液である第一の吸収液を前記吸収塔内に噴霧する第一の噴霧部と、前記放出塔において二酸化炭素が放出された前記吸収液である第二の吸収液を、前記吸収塔内において前記第一の噴霧部とは異なる位置で噴霧する第二の噴霧部と、を備える。【選択図】 図5

Description

本発明は、二酸化炭素の回収技術に関する。
空気等の気体から二酸化炭素を回収する技術が注目されている。回収システムとして、アミン化合物の溶液等の吸収液と気体を接触させる吸収塔と、吸収液に吸収された二酸化炭素を放出させる放出塔(再生塔)とを備えたシステムが提案されている(特許文献1)。吸収液は、システムを循環して二酸化炭素の吸収と放出とを繰り返す。
特開2010-241649号公報
吸収塔内では、吸収液によって気体から二酸化炭素をより効率的に吸収することで二酸化炭素の回収効率を向上することができる。従来技術はこの点で改善の余地がある。
本発明の目的は、吸収塔内において吸収液によって、より効率的に気体から二酸化炭素を吸収することにある。
本発明によれば、
気体と吸収液のミストとを接触させ、該気体に含まれる二酸化炭素を該吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記吸収塔において二酸化炭素を吸収した前記吸収液が供給され、該吸収液から二酸化炭素を放出させる放出塔と、
を備えた二酸化炭素の回収システムであって、
前記吸収塔から排出され、前記放出塔に供給される前の前記吸収液である第一の吸収液を前記吸収塔内に噴霧する第一の噴霧部と、
前記放出塔において二酸化炭素が放出された前記吸収液である第二の吸収液を、前記吸収塔内において前記第一の噴霧部とは異なる位置で噴霧する第二の噴霧部と、を備える、
ことを特徴とする回収システムが提供される。
本発明によれば、吸収塔内において吸収液によって、より効率的に気体から二酸化炭素を吸収することができる。
本発明の一実施形態に係る回収システムの構成例を示す図。 図1の回収システムの制御ブロック図。 吸収単独運転モードを説明する図。 放出単独運転モードを説明する図。 吸収・放出同時運転モードを説明する図。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<システムの概要>
図1は実施形態に係る二酸化炭素の回収システム1の構成例を示す図である。回収システム1は、吸収処理装置である吸収塔10、放出処理装置である放出塔20、及び、制御装置40を有する。また、補器類として、複数の配管、複数のポンプP(P1,P1a,P2,P2a,及びP3)、排気ファンF、弁V、複数の電磁弁SV(SV1a,SV1b,SV1c,SV2a,SV2b,SV3,SV4,SV4a,SV5,SV6,SV7,SV8b,SV9,SV10,SV11)、及び、複数の比例制御弁MV(MV1,MV2,MV3,MV8a,MV8c,MV8d)、複数の流量計FM(FM1,FM2,FM3)、冷却装置31、液体供給装置32、熱交換器33、加熱装置25及びキャリアガス供給装置26を含む。なお、図1において、配管は経路の途中で省略して図示されており、CN(CN1,CN2,CN3,CN4)は、省略した配管の接続点を示す。
吸収塔10には外気、排気ガス等、二酸化炭素を含有した処理対象の気体が導入される。処理対象の気体は、吸収塔10内で吸収液(例えば、アミン化合物の溶液)のミストと接触して、吸収液に二酸化炭素が吸収される。二酸化炭素を吸収した吸収液は、放出塔20に供給される。放出塔20では吸収液から二酸化炭素が放出され、二酸化炭素が回収される。吸収液は、吸収塔10と放出塔20とによって、二酸化炭素の吸収動作と放出動作とを繰り返す。
<吸収塔>
吸収塔10は、上下方向に延びる中空体であり、その内部に吸収槽10aを形成する。吸収槽10aの下部には、吸収液を貯留する貯液部18が設けられている。貯液部18の液位は、液面検出センサLS1により検出される。制御装置40は、液面検出センサLS1により液位が所定値より下にあることが検出されると、液体供給装置32から制御弁SV1aを介して貯液部18に液体(例えば水道水や、洗浄液等)を補給する。液体供給装置32は、液体を補給するタンクとポンプとを備えた装置であってもよい。
貯液部18の液位は、ボールタップ17(浮き)により機械的に管理されている。ボールタップ17は機械的な連結機構により弁Vと連結されている。連結機構は、ボールタップ17の位置の変化に応じて弁Vの開度も変化する。貯液部18の液位の低下により、ボールタップ17の位置が下がると弁Vは開き、貯液部18の液位の上昇により、ボールタップ17の位置が上がると、弁Vは閉じるように構成されている。弁Vと液体供給装置32とは機械的に連結されており、液体供給装置32は、弁Vの開度に応じて液体供給を行う。貯液部18の液位を、電気的及び機械的により管理することで、液位管理の信頼性を向上させることができる。
吸収塔10には、導入部13と排出部10bとが設けられている。排出部10bには配管RT_OUT1が接続され、配管上には電動のファンFが設けられている。ファンFの作動により、吸収槽10a内が負圧になり、処理対象の気体は、図1で太線の矢印で示すように導入部13を介して吸収槽10a内に導入される。ファンFの出力を制御することで導入部13から吸収槽10a内に導入される気体の量を調整することができる。導入部13にはフィルタ13aが設けられており、導入される気体から塵埃が除去される。吸収槽10a内で吸収液に二酸化炭素が吸収されて二酸化炭素の含有率が減った気体は、太線の矢印で示すように吸収槽10a内を上昇して排出部10bから排出される。
噴霧部11及び12は、下方へ吸収液を噴霧する。吸収液が噴霧されることで、吸収槽10a内は吸収液のミストが充満する。吸収液のミストと気体とが接触することで、気体中の二酸化炭素が吸収液に吸収される。ミストは貯液部18に滴下し、貯液部18には二酸化炭素濃度が比較的高い吸収液(リッチ液ともいう)が貯留される。
噴霧部11は、複数のノズル11aと、複数のノズル11aに吸収液を分配する共通の配管とを含む。複数のノズル11aは高さ方向と交差する平面内に配列されている。噴霧部12も、複数のノズル12aと、複数のノズル12aに吸収液を分配する共通の配管とを含む。複数のノズル12aは高さ方向と交差する平面内に配列されている。噴霧部11と噴霧部12との組み合わせによって、上下二段のノズル列が構成されており、噴霧部11は噴霧部12よりも高い位置に配置されている。高さ方向の位置で、噴霧部12は導入部13と重なる位置に配置され、噴霧部11は導入部13よりも高い位置に配置されている。
噴霧部12は、吸収液(リッチ液)の他、吸収液とは別の液体も噴霧可能である。噴霧部12からリッチ液を噴霧する場合、電磁弁SV1cが閉弁され、電磁弁SV3,SV4が開弁される。貯液部18に貯留されたリッチ液は、槽内スクリーン15、ストレーナ16、電磁弁SV4、ポンプP1、冷却装置31、電磁弁SV3を経由して、噴霧部12から噴霧される。また、噴霧部12から吸収液とは別の液体を噴霧する場合、電磁弁SV1cが開弁され、液体供給装置32から供給される液体が噴霧部12から噴霧される。液体の噴霧により貯液部18における吸収液の粘度調整や、噴霧部12の清掃を行える。
噴霧部11は、吸収液としてリッチ液とリーン液との二種類を噴霧可能である。リーン液とは放出塔20において二酸化炭素が放出され、二酸化炭素濃度が比較的低い吸収液のことである。噴霧部11からリッチ液を噴霧する場合、電磁弁SV2a,SV3,SV4が開弁される。貯液部18に貯留されたリッチ液は、槽内スクリーン15、ストレーナ16、電磁弁SV4、ポンプP1、冷却装置31、電磁弁SV3,SV2aを経由して、噴霧部11から噴霧される。また、噴霧部11からリーン液を噴霧する場合、電磁弁SV2aが開弁され、接続点CN2に供給されるリーン液が噴霧部12から噴霧される。接続点CN2には、放出塔20からポンプP2a、流量計FM2、比例制御弁MV2、電磁弁SV6、熱交換器33、制御弁SV2bを経由してリーン液が供給される。
噴霧部11は、吸収液とは別の液体も噴霧可能である。噴霧部11から別の液体を噴霧する場合、電磁弁SV1c,SV2aが開弁され、電磁弁SV3が閉弁され、液体供給装置32から供給される液体が噴霧部11から噴霧される。液体の噴霧により貯液部18における吸収液の粘度調整や、噴霧部11の清掃を行える。
濃度センサDS1は、導入部13を通過する気体に含まれる二酸化炭素の濃度を検出するセンサであり、濃度センサDS1の検出結果は制御装置40に入力される。濃度センサDS2は、吸収塔10から排出される気体に含まれる二酸化炭素の濃度を検出するセンサである。濃度センサDS2の検出結果は制御装置40に入力される。配管RT_OUT1を以下、排気経路ともいう。
濃度センサDS1と濃度センサDS2の検出結果の差分は、吸収槽10aの内部で二酸化炭素が吸収液に吸収された吸収量を示す指標(パラメータ)となる。この指標に基づきファンFの動作を制御して吸収槽10aに取り込む気体の量を調整してもよい。
貯液部18の排液口には槽内スクリーン15が設けられている。槽内スクリーン15は、例えば、網目状、またはスリット状に構成され、貯液部18の吸収液に含まれる粒状固形物を除去するフィルタである。槽内スクリーン15を通って貯液部18から吸収塔10外へ排出されたリッチ液はストレーナ16で濾過される。ストレーナ16は、吸収槽10aの外部に設けられ、槽内スクリーン15を通過した固形物を濾過する。固形物除去機構として、槽内スクリーン15及びストレーナ16を設けることにより、配管(経路)内に固形物が混入することを防止することができる。
デミスタ19aは、吸収槽10a内において噴霧部11及び噴霧部12の上方に設けられており、吸収槽10a内を上昇する気体に含まれる吸収液のミストを捕集する。デミスタ19aは、例えば、金網、多孔板等の網状または多孔質の部材である。
デミスタ19bは、デミスタ19aと同様に、例えば、金網、多孔板等の網状または多孔質の部材である。デミスタ19bは吸収槽10aの外部において、配管RT_OUT1(排気経路)上に設けられており、気体の流れ方向でファンFの上流側に配置されている。吸収槽10a内に導入された気体は、デミスタ19aとデミスタ19bとにより吸収液のミストが十分に除去された状態で回収システム1外へ排気される。
デミスタ清浄部14は、吸収槽10a内においてデミスタ19aの上方に設けられている。デミスタ清浄部14は、デミスタ19aに水を噴霧してデミスタ19aを洗浄し、デミスタ19aの目詰まり等を防止して、デミスタ19aの性能を維持する。デミスタ清浄部14は複数のノズル14aと、複数のノズル14aに水を分配する共通の配管とを含む。複数のノズル14aは高さ方向と交差する平面内に配列されており、下方へ水を噴霧する。デミスタ清浄部14から噴霧される水は、デミスタ19aを洗浄して貯液部18に滴下する。
デミスタ清浄部14には、液体供給装置32から、接続点CN1及び電磁弁SV1bを介して液体が供給される。電磁弁SV1bを開弁するとデミスタ清浄部14から液体が噴霧される。デミスタ清浄部14は定期的に又はデミスタ19aの性能低下が確認された場合に液体を噴霧する。
冷却装置31は、ポンプP1から送出された吸収液を所定の温度になるように冷却して出力する。吸収液は、水分の蒸発により気化熱で冷却される一方、二酸化炭素の吸収熱で加熱される。冷却装置31は、吸収液の液温を検出し、検出した液温が所定の温度を超える場合には、所定の温度より低くなるように吸収液を冷却する。一方、吸収液の液温が所定の温度を超えない場合には、冷却装置31は、冷却を行わずにポンプP1から送られた吸収液を出力する。
<放出塔>
放出塔20は、上下方向に延びる中空体であり、その内部に放出槽20aを形成する。放出槽20aの下部は吸収液(リーン液)を貯留する貯液部23であり、上部は貯液部23に貯留された吸収液から放出された二酸化炭素等の回収気体が存在する回収空間である。貯液部23の液位は、液面検出センサLS2により電気的に検出され、検出結果は制御装置40に入力される。
ポンプP3は、放出槽20aの内部を減圧するガスポンプであり、放出塔20の排出部21a、放出配管RT_OUT2を介して回収空間から回収気体を放出塔20の外部に排出する。ポンプP3によって放出槽20a内を減圧することで、二酸化炭素の気化を促進すると共に、放出塔20外へ排出できる。
ポンプP3の下流側には、濃度センサDS3が設けられている。濃度センサDS3は、放出配管RT_OUT2を流れる回収気体に含まれる二酸化炭素の濃度を検出し、その検出結果は制御装置40に入力される。流量計FM3は、放出配管RT_OUT2を流れる回収気体の流量を計測し、計測結果は制御装置40に入力される。流量計FM3の下流側には、比例制御弁MV3が設けられており、供給先に対する二酸化炭素の供給流量を調節可能となっている。回収量センサFSは、空気放出配管RT_OUT2を流れる回収気体に含まれる二酸化炭素量を検出し、検出結果は制御装置40に入力される。
配管RT4は、ポンプP3の下流側において放出配管RT_OUT2から分岐し、放出塔20の導入部21bに接続されており、配管RT4上の比例制御弁MV4を開弁すると回収気体を放出槽20aに戻すことが可能である。
噴霧部22は、貯液部23に貯留された吸収液の液面に向けて、貯液部23から取り出した吸収液を噴霧する。噴霧部22は、放出槽20aの内部において貯液部23の上方に設けられ、吸収液を噴霧する複数のノズル22を有する。噴霧部22には、ポンプP2、加熱装置25、電磁弁SV7、比例制御弁MV8aを介して貯液部23の吸収液が供給される。
ポンプP2は、放出槽20a(貯液部23の取出し口21c)から取り出される吸収液、または、接続点CN3から入力される吸収液を所定のポンプ圧で送出する。ポンプP2が吸収液を送出する配管は、貯液部23から取り出した吸収液を放出槽20aに供給する(戻す)ための配管を含む。配管は、配管RT1、配管RT2、配管RT3を有する。配管RT1の途中にポンプP2及び加熱装置25が配置されているため、ポンプP2により圧送(送出)され、かつ、加熱装置25により加熱された吸収液を配管RT2により放出槽20aに供給することができる。
配管RT3は、配管RT1から分岐し、電磁弁SV8bを介して貯液部23に接続されている。配管RT2及び配管RT3からの吸収液の供給により、加熱装置25により加熱された吸収液が貯液部23に貯液される。加熱装置25は、ポンプP2から送出された吸収液を所定の温度になるように加熱して出力する。なお、放出槽20においても、吸収槽10と同様に、放出槽20の下部に槽内スクリーンを設ける構成としてもよい。また、放出槽20とポンプP2との間にストレーナを設ける構成としてもよい。
キャリアガス供給装置26は、二酸化炭素とは異なるガス(以下、キャリアガスともいう)を貯液部23に供給する。キャリアガスは、所定の温度に加熱された吸収液中において、吸収液に含まれる二酸化炭素の放出を促進するガスであり、例えば、窒素ガスや空気でもよい。
キャリアガス供給装置26は、大別すると2つの経路によりキャリアガスを貯液部23に供給することができる。すなわち、配管RT5、比例制御弁MV8c、配管RT7及び分散器24を経由してキャリアガスを貯液部23に供給できる。また、比例制御弁MV8d、配管RT6、配管RT2、比例制御弁MV8aを経由して、循環する吸収液にキャリアガスを混入して噴霧部22から貯液部23に供給できる。或いは、比例制御弁MV8d、配管RT6、配管RT3、電磁弁SV8bを経由して、循環する吸収液にキャリアガスを混入して貯液部23に供給することもできる。
分散器24は、キャリアガス供給装置26から供給されたガスを、貯液部23の吸収液中に分散させる。キャリアガスを、所定の温度に加熱された吸収液中に分散させることにより、キャリアガスと吸収液との接触面積を増やすことができる。吸収液中の二酸化炭素の放出が促進される。
熱交換器33は、吸収槽10aからの吸収液と放出槽20aからの吸収液との間で熱交換を行う。放出槽20a側から送出される吸収液が加熱媒体になって、吸収槽10a側から送出される吸収液を加熱することができる。また、吸収槽10a側から送出される吸収液が冷却媒体となって、放出槽20a側から送出される吸収液を冷却する。吸収槽10aと放出槽20aとで、吸収液を好ましい液温に維持できる。
<制御装置>
図2は制御装置40のブロック図である。制御装置40は回収システム1の全体を制御する。制御装置40は、処理部41、記憶部42、インタフェース部(I/F部)43を含む。処理部41は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部42に記憶されたプログラムを実行する。記憶部42は、RAM、ROM、ハードディスクなどの記憶デバイスである。I/F部43は、センサ45の検知結果や入力装置46の入力内容等が入力される入力インタフェースと、アクチュエータ44に対する制御指示や表示装置47に対する表示情報等を出力する出力インタフェースとを含む。センサ45には、濃度センサDS1,DS2、DS3、回収量センサFS、液面検出センサLS1,LS2、流量計FM1,FM2,FM3が含まれる。アクチュエータ44には、弁V,SV,MV、ファンF、液体供給装置32、冷却装置31、ポンプP、加熱装置25及びキャリアガス供給装置26が含まれる。入力装置46は、回収システム1を操作するユーザからの入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル形式のデバイスであってもよい。表示装置47は、回収システム1の動作状態等の情報をユーザに提示する装置である。
<制御例>
制御装置40の制御例について説明する。本実施形態では、回収システム1を複数種類の運転モードの中から選択される一の運転モードで運転することができる。複数種類の運転モードは、吸収単独運転モード、放出単独運転モード、吸収・放出同時運転モードを含む。
(吸収単独運転モード)
吸収単独運転モードは、放出塔20を作動せず、吸収塔10を作動して吸収液に対する気体中の二酸化炭素を吸収する動作のみを行う運転状態である。図3は吸収単独運転モードの説明図であり、吸収液と気体の流れが太線で示されている。
吸収単独運転モードにおいて、制御装置40は、電磁弁SV4,SV3,SV2aを開弁し、ポンプP1及びファンFを動作させる。ファンFの作動によって、導入部13から処理槽10aに処理対象の気体が導入され、処理槽10a内を上昇して排出部10bから排出される。
貯液部18の吸収液は、槽内スクリーン15、ストレーナ16、ポンプP1、冷却装置31、噴霧部11及び噴霧部12を循環する。噴霧部11及び12から吸収液が噴霧されることで、そのミストが処理槽10a内を上昇する気体と接触し、気体中の二酸化炭素がミストに吸収される。このように吸収液が循環されることにより、比較的短時間で貯留部10の吸収液を二酸化炭素がリッチな液とすることができる。
濃度センサDS1と濃度センサDS2の検出結果の差分に基づきファンFの動作を制御して吸収槽10aに取り込む気体の量を調整することができる。
(放出単独運転モード)
放出単独運転モードは、吸収塔10を作動せず、放出塔20を作動して吸収液から二酸化炭素を放出して回収する動作のみを行う運転状態である。放出単独運転モードは、吸収単独運転モードの後に、二酸化炭素がリッチな吸収液を貯液部23に貯液した状態で開始される。貯液部18から貯液部23へのリッチ液の移送は、例えば、貯液部18→槽内スクリーン15→ストレーナ16→電磁弁SV4→ポンプP1→冷却装置31→電磁弁SV11→接続点CN3→ポンプP2→電磁弁SV7→配管RT3→電磁弁SV8b→貯液部23の経路で行うことができる。
図4は、放出単独運転モードの説明図であり、吸収液と気体の流れが太線で示されている。放出単独運転モードにおいて、制御装置40は、電磁弁SV7を開弁し、ポンプP2,P3を動作させる。ポンプP3の作動によって、排出部21aから回収槽20a内の回収気体が放出塔20から排出される。
放出単独運転モード中、濃度センサDS3、及び回収量センサFSの検出結果の比較に基づいて、比例制御弁MV8a,MV3,MV4、及び、電磁弁SV8bの開閉を制御することで、回収気体中の二酸化炭素濃度や、回収気体の回収量を調整することができる。
また、放出単独運転モード中、濃度センサDS3、及び回収量センサFSの検出結果に基づいてキャリアガスの供給の有無を制御することができる。比例制御弁MV8cの開度を制御することにより、分散器24に向けたキャリアガスの供給(供給量)を制御することができる。比例制御弁MV8cを閉じる(全閉)ことにより、分散器24に対するキャリアガスの供給を停止することができる。また、比例制御弁MV8dの開度を制御することにより、配管RT1に向けたキャリアガスの供給(供給量)を制御することができる。比例制御弁MV8dを閉じる(全閉)ことにより、配管RT1に対するキャリアガスの供給を停止することができる。
なお、放出単独運転モードの後に吸収単独運転モードを行う場合、貯液部23から貯液部18へリーン液を移送する。移送は、例えば、貯液部23→ポンプP2→加熱装置25→電磁弁SV9→電磁弁SV10→接続点CN4→ポンプP1→冷却装置31→電磁弁SV3→噴霧部12→貯液部18の経路、及び電磁弁SV3の後に分岐して電磁弁SV2a→噴霧部11→貯液部18の経路、で行うことができる。
(吸収・放出同時運転モード)
吸収・放出同時運転モードは、吸収塔10及び放出塔20を同時に作動して、吸収液に対する気体中の二酸化炭素の吸収する動作と、吸収液から二酸化炭素を放出して回収する動作とを並行して行う運転状態である。図5は、吸収・放出同時運転モードの説明図であり、吸収液と気体の流れが太線で示されている。吸収・放出同時運転モードでは、ファンF、ポンプP1,P1a,P2,P2a,P3が全て作動される。
ファンFの作動によって、導入部13から処理槽10aに処理対象の気体が導入され、処理槽10a内を上昇して排出部10bから排出される。電磁弁SV4,SV4a,SV3が開弁され、電磁弁SV2aは閉弁される。貯液部18のリッチ液は、槽内スクリーン15、ストレーナ16、ポンプP1、冷却装置31、噴霧部12を循環し、噴霧部12から吸収液が噴霧される。噴霧部12から吸収液が噴霧されることで、そのミストが処理槽10a内を上昇する気体と接触し、気体中の二酸化炭素がミストに吸収される。一方、電磁弁SV2aが閉弁されているため、噴霧部11からリッチ液は噴霧されず、接続点CN2から供給されるリーン液が噴霧される。濃度センサDS1と濃度センサDS2の検出結果の差分に基づきファンFの動作を制御して吸収槽10aに取り込む気体の量を調整することができる。
ポンプP1aの作動により、貯液部18から貯液部23へのリッチ液の移送が並行して行われる。貯液部18のリッチ液は、槽内スクリーン15→ストレーナ16→電磁弁SV4,SV4a→ポンプP1a→熱交換器33→電磁弁SV5→比例制御弁MV1→流量計FM1→接続点CN3→ポンプP2の経路でポンプP2に供給される。電磁弁SV7が開弁され、ポンプP2からリッチ液が配管RT1に圧送される。更にリッチ液は、配管RT3→電磁弁SV8b→貯液部23、又は、配管RT2→比例制御弁MV8a→噴霧部22→貯液部23の経路で貯液部23に供給される。
放出単独運転モードと同様、濃度センサDS3、及び回収量センサFSの検出結果の比較に基づいて、比例制御弁MV8a,MV3,MV4、及び、電磁弁SV8bの開閉を制御することで、回収気体中の二酸化炭素濃度や、回収気体の回収量を調整することができ、また、濃度センサDS3、及び回収量センサFSの検出結果に基づいてキャリアガスの供給の有無を制御することができる。
ポンプP2aの作動により、貯液部23から貯液部18へのリーン液の移送も並行して行われる。貯液部23のリーン液は、ポンプP2a→流量計FM2→比例制御弁MV2→電磁弁SV6→熱交換器33→電磁弁SV2b→接続点CN2→噴霧部11→貯液部18の経路で貯液部18に供給される。流量計FM1,FM2の検出結果に基づいて、比例制御弁MV1,MV2の開弁量の制御を行い、熱交換器33を通るリッチ液とリーン液のバランスを取ることもできる。
以上により気体中の二酸化炭素を吸収液に吸収する動作と、吸収液から二酸化炭素を放出して回収する動作とを並行して行うことができる。
(噴霧する吸収液の選択)
本実施形態では、吸収・放出同時運転モードでは、噴霧部12は吸収塔10から排出され、放出塔20に供給される前の吸収液であるリッチ液を噴霧し、噴霧部11は放出塔20において二酸化炭素が放出された吸収液であるリーン液を噴霧する。吸収液の噴霧位置が異なる噴霧部11と噴霧部12とで、二酸化炭素の含有量が異なる吸収液を噴霧することで、より効率的に気体から吸収液に二酸化炭素を吸収することができる。
詳しく述べると、本実施形態では、導入部13に導入された気体は、吸収槽10a内を上昇し、その過程で吸収液のミストと接触して二酸化炭素が吸収液に吸収される。したがって、気体は吸収槽10a内の相対的に低い位置で二酸化炭素の含有量が高く、相対的に高い位置で二酸化炭素の含有量が低い。言い換えると吸収槽10a内の相対的に高い位置では気体から二酸化炭素を吸収液に吸収する効率が低下する傾向にある。一方、二酸化炭素の吸収能力はリッチ液よりもリーン液の方が高い。
そこで、噴霧位置が相対的に高い噴霧部11からリーン液を噴霧することで、リッチ液を噴霧する場合よりも、気体からより多くの二酸化炭素を吸収液に吸収することができる。また、噴霧位置が相対的に低い噴霧部12では、リーン液ではなくリッチ液を噴霧することで、吸収塔10における吸収液の循環効率を向上でき、貯液部18の吸収液の二酸化炭素濃度を高めることができる。そして、二酸化炭素濃度が高い吸収液を放出塔20へ移送することで、二酸化炭素の回収効率を高められる。
また、吸収槽10aに対してリーン液の供給が困難な吸収単独運転モードでは、噴霧部11からリッチ液を噴霧している。噴霧部11の活用を停止せずに、噴霧部11と噴霧部12からリッチ液を噴霧することで、吸収槽10aにおける吸収液の循環効率を向上でき、比較的短時間で貯留部10の吸収液を二酸化炭素がリッチな液とすることができる。
噴霧部11から噴霧される吸収液はリーン液のみとする構成も採用可能である。しかし、本実施形態のように電磁弁SV2aの開閉によって、リーン液とリッチ液とを選択的に噴霧部11から噴霧できることで、気体からより多くの二酸化炭素を吸収液に吸収したり、吸収液の循環効率を高めたりすることができる。また、リーン液とリッチ液との選択は、放出塔20の運転状態に基づいて切り替えられるので、運転モードに適した選択が可能となる。
なお、本実施形態では、噴霧部11と噴霧部12との噴霧位置を、高さ方向に異ならせることとしたが、高さ方向と交差する平面内の位置を異ならせた構成であってもよい。例えば、導入部13から相対的に遠い位置に噴霧部11を設け、近い位置に噴霧部12を設けてもよい。気体は導入部13から近い位置では、吸収液のミストとの接触時間短く又は接触量が小さく、相対的に二酸化炭素の含有量が多く、遠い位置では相対的に二酸化炭素の含有量が少ないと考えられるためである。また、噴霧部11と噴霧部12との噴霧位置は、高さ方向の位置及び高さ方向と交差する平面内の位置の双方に異なっていてもよい。
また、本実施形態では、2つの噴霧部11及び12を設けたが、3つ以上の噴霧部を設けてもよい。3つ以上の噴霧部のうちの一つが、噴霧部11に相当し、3つ以上の噴霧部のうちの別の一つが、噴霧部12に相当する構成であってもよい。3つ以上の噴霧部のうちの二つが、噴霧部11に相当し、3つ以上の噴霧部のうちの別の一つが、噴霧部12に相当する構成であってもよい。また、3つ以上の噴霧部のうちの一つが、噴霧部11に相当し、3つ以上の噴霧部のうちの別の二つが、噴霧部12に相当する構成であってもよい。
本発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
1:回収システム、10:吸収塔、20:放出塔、11:噴霧部、12:噴霧部

Claims (9)

  1. 気体と吸収液のミストとを接触させ、該気体に含まれる二酸化炭素を該吸収液に吸収させる吸収塔と、
    前記吸収塔において二酸化炭素を吸収した前記吸収液が供給され、該吸収液から二酸化炭素を放出させる放出塔と、
    を備えた二酸化炭素の回収システムであって、
    前記吸収塔から排出され、前記放出塔に供給される前の前記吸収液である第一の吸収液を前記吸収塔内に噴霧する第一の噴霧部と、
    前記放出塔において二酸化炭素が放出された前記吸収液である第二の吸収液を、前記吸収塔内において前記第一の噴霧部とは異なる位置で噴霧する第二の噴霧部と、を備える、
    ことを特徴とする回収システム。
  2. 請求項1に記載の回収システムであって、
    前記吸収塔は、
    前記気体が導入される導入部と、
    前記気体が外部に排出される排出部と、を備え、
    前記排出部は、前記導入部よりも高い位置に配置され、
    前記第一の噴霧部と前記第二の噴霧部は、高さ方向で前記導入部と前記排出部との間の範囲に配置され、
    前記第二の噴霧部は、前記第一の噴霧部よりも高い位置に配置されている、
    ことを特徴とする回収システム。
  3. 請求項2に記載の回収システムであって、
    前記第一の噴霧部及び前記第二の噴霧部は、それぞれ、高さ方向と交差する平面内に配列された複数のノズルを備える、
    ことを特徴とする回収システム。
  4. 請求項1に記載の回収システムであって、
    前記第二の噴霧部は、前記第一の吸収液と前記第二の吸収液とを選択的に噴霧可能である、
    ことを特徴とする回収システム。
  5. 請求項1に記載の回収システムであって、
    前記放出塔の運転状態に基づいて、前記第二の噴霧部は、前記第一の吸収液と前記第二の吸収液とを選択的に噴霧する、
    ことを特徴とする回収システム。
  6. 請求項5に記載の回収システムであって、
    前記放出塔の運転を停止している場合、前記第二の噴霧部は、前記第一の吸収液を噴霧する、
    ことを特徴とする回収システム。
  7. 請求項5に記載の回収システムであって、
    前記放出塔を運転している場合、前記第二の噴霧部は、前記第二の吸収液を噴霧する、
    ことを特徴とする回収システム。
  8. 請求項1に記載の回収システムであって、
    前記第一の吸収液を冷却する冷却装置と、
    前記吸収塔において二酸化炭素を吸収し前記放出塔に供給される前記吸収液と、前記第二の吸収液との間で熱交換を行う熱交換器と、を備える、
    ことを特徴とする回収システム。
  9. 請求項1に記載の回収システムであって、
    前記第一の噴霧部及び前記第二の噴霧部に、液体を供給する供給装置を備える、
    ことを特徴とする回収システム。
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