JP2024073169A - プレキャストコンクリート床版 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化を実現させることができると共にコストの増大を抑制できるプレキャストコンクリート床版を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るプレキャストコンクリート床版は、橋軸方向D1、橋軸方向D1に直交する橋軸直角方向D2、及び、橋軸方向D1と橋軸直角方向D2の双方に直交する高さ方向に延びるプレキャストコンクリート床版1である。プレキャストコンクリート床版1は、橋軸方向D1、橋軸直角方向D2、及び、高さ方向に延在するコンクリートブロック20と、橋軸方向D1にコンクリートブロック20を貫通すると共に橋軸直角方向D2に沿って並ぶように配置された複数のシース管21と、コンクリートブロック20の内部における複数のシース管21の間において橋軸方向D1に沿って延在するボイド22と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】一実施形態に係るプレキャストコンクリート床版は、橋軸方向D1、橋軸方向D1に直交する橋軸直角方向D2、及び、橋軸方向D1と橋軸直角方向D2の双方に直交する高さ方向に延びるプレキャストコンクリート床版1である。プレキャストコンクリート床版1は、橋軸方向D1、橋軸直角方向D2、及び、高さ方向に延在するコンクリートブロック20と、橋軸方向D1にコンクリートブロック20を貫通すると共に橋軸直角方向D2に沿って並ぶように配置された複数のシース管21と、コンクリートブロック20の内部における複数のシース管21の間において橋軸方向D1に沿って延在するボイド22と、を備える。
【選択図】図2
Description
本開示には、橋軸方向、橋軸直角方向、及び高さ方向に延びるコンクリートブロックを備えるプレキャストコンクリート床版に関する。
特許文献1には、道路橋のプレキャストコンクリート床版が記載されている。道路橋は、橋軸方向に延びる複数の鋼縦桁と、複数の鋼縦桁の上に載せられる複数のプレキャストコンクリート床版とを備える。プレキャストコンクリート床版は、複数のポストテンション用の橋軸方向PC鋼線用シースを有する。
複数の橋軸方向PC鋼線用シースは、橋軸直角方向に沿って並んでいる。各橋軸方向PC鋼線用シースにはPC鋼線が挿通され、複数のプレキャストコンクリート床版には当該PC鋼線によってポストテンション方式によるプレストレスが与えられる。このプレストレスにより、複数のプレキャストコンクリート床版が一体化される。
ところで、橋梁の構築では、プレキャストコンクリート床版の重量の点で改善の余地がある。プレキャストコンクリート床版が重いことによって、プレキャストコンクリート床版の搬送及び構築に大きなコストがかかるという現状がある。よって、プレキャストコンクリート床版の軽量化が求められる。特に長大橋においては、床版支間が長く、床版重量が全体重量に占める割合が大きいため、プレキャストコンクリート床版の更なる軽量化が求められる。
本開示は、軽量化を実現させることができると共にコストの増大を抑制できるプレキャストコンクリート床版を提供することを目的とする。
本開示に係るプレキャストコンクリート床版は、(1)橋軸方向、橋軸方向に直交する橋軸直角方向、及び、橋軸方向と橋軸直角方向の双方に直交する高さ方向に延びるプレキャストコンクリート床版である。プレキャストコンクリート床版は、橋軸方向、橋軸直角方向、及び、高さ方向に延在するコンクリートブロックと、橋軸方向にコンクリートブロックを貫通すると共に橋軸直角方向に沿って並ぶように配置された複数のシース管と、コンクリートブロックの内部における複数のシース管の間において橋軸方向に沿って延在するボイドと、を備える。
このプレキャストコンクリート床版では、コンクリートブロックが橋軸方向、橋軸直角方向、及び高さ方向に延在する。コンクリートブロックには橋軸直角方向に沿って並ぶ複数のシース管が設けられており、各シース管はコンクリートブロックを橋軸方向に貫通している。このプレキャストコンクリート床版はボイドを有する。ボイドは、コンクリートブロックの内部における複数のシース管の間の位置で橋軸方向に沿って延在する。プレキャストコンクリート床版は複数のシース管、及びボイドを備えることにより、コンクリートブロックの内部の空間部を増やすことができるのでプレキャストコンクリート床版を軽量化させることができる。その結果、プレキャストコンクリート床版の搬送、及びプレキャストコンクリート床版による構築作業を効率よく行うことができる。従って、プレキャストコンクリート床版の製造、搬送、及びプレキャストコンクリート床版による構築作業に伴うコストを低減させることができる。
(2)上記(1)において、コンクリートブロックは、高強度繊維補強コンクリートによって構成されていてもよい。この場合、複数のシース管、及びボイドを有するコンクリートブロックの強度を高めることができる。従って、コンクリートブロックの内部への鉄筋の配置を不要にできるので、更なる軽量化を実現できると共にプレキャストコンクリート床版の製造コストの増大を抑制することができる。
(3)上記(1)又は(2)において、プレキャストコンクリート床版は、ボイドの空気をコンクリートブロックの外部に逃がすエア抜き部を備えてもよい。この場合、プレキャストコンクリート床版の養生のときにコンクリートが加熱され、当該加熱に伴ってボイドの空気が膨張してもエア抜き部から膨張した空気を逃がすことができる。
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、コンクリートブロックの橋軸方向を向く端面においてボイドは閉塞されていてもよい。この場合、コンクリートブロックの橋軸方向を向く端面に形成される孔を減らせるので、橋軸方向に沿った複数のプレキャストコンクリート床版の接合をより強固に且つ効率よく行うことができる。すなわち、橋軸方向に沿って並ぶ一対のプレキャストコンクリート床版の間に間詰材を充填するときにボイドが脆弱部になることを回避できるので、橋軸方向への複数のプレキャストコンクリート床版の接合を強固にすることができる。
本開示によれば、軽量化を実現させることができると共にコストの増大を抑制できる。
以下では、図面を参照しながら本開示に係るプレキャストコンクリート床版の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
図1は、本実施形態に係るプレキャストコンクリート床版1が適用される現場Aを有する橋梁Bを示す斜視図である。図1に示されるように、橋梁Bは、橋軸方向D1に延びると共に橋軸直角方向D2に沿って並ぶ複数の桁2と、複数の桁2の上において橋軸直角方向D2に延びるように配置される複数のプレキャストコンクリート床版1とを備える。橋軸直角方向D2は道路の幅員方向である。
桁2は、例えば、上フランジ2b、ウェブ2c及び下フランジ2dを有する鋼桁である。しかしながら、桁2は鋼桁に限られず、例えば、PC桁であってもよい。更に、橋梁Bは、プレキャストコンクリート床版1の橋軸直角方向D2の両端のそれぞれから鉛直上方に延びる防護柵3と、プレキャストコンクリート床版1の上に設けられるアスファルト4とを備える。
現場Aは、一例として、高速道路における工事現場である。現場Aでは、例えば、プレキャストコンクリート床版1の更新工事が行われる。プレキャストコンクリート床版1は、例えば、高強度繊維補強コンクリートによって構成されている。プレキャストコンクリート床版1は厚さ方向D3に厚みを有する。厚さ方向D3は、橋軸方向D1及び橋軸直角方向D2の双方に交差する方向である。
プレキャストコンクリート床版1はコンクリートブロック20を有する。コンクリートブロック20は、プレキャストコンクリート床版1における後述するシース管21(図2参照)及びボイド22,23以外の部分を示している。例えば、コンクリートブロック20は、高強度繊維補強コンクリートによって構成されている。
一例として、コンクリートブロック20は、UHPFRC(Ultra HighPerformance Fiber Reinforced cement-based Composites)によって構成されていてもよい。コンクリートブロック20がUHPFRCによって構成されている場合、コンクリートブロック20を高強度とすることができるので、コンクリートブロック20の内部における鉄筋を不要にできる。
コンクリートブロック20は、超高強度繊維補強コンクリート(UFC:Ultrahigh strength Fiber reinforce Concrete)によって構成されていてもよい。この場合、コンクリートブロック20の強度を一層高めることが可能となる。一例として、プレキャストコンクリート床版1はUFCによって構成されるUFC床版である。例えば、現場Aでは、UFC床版を用いた高速道路の床版更新工事が行われる。一例として、現場Aでは、老朽化した既設の床版の撤去が行われる。
プレキャストコンクリート床版1がUFC床版である場合、軽量且つ耐久性が高いプレキャストコンクリート床版1に更新することが可能となる。従って、新たなプレキャストコンクリート床版1に更新するときに、プレキャストコンクリート床版1を支える桁2、橋脚又は基礎構造等に対する補強を不要とすることが可能となるので、工期の短縮化や軽量化による耐震性の向上に寄与する。
例えば、プレキャストコンクリート床版1は、厚さ(厚さ方向D3への長さ)が180mm以下であるプレキャストコンクリート床版である。一例として、プレキャストコンクリート床版1の厚さは140mmである。例えば、プレキャストコンクリート床版1は平板型の床版である。この場合、プレキャストコンクリート床版1を製造するときに用いられる型枠を簡易な構造にできるので、プレキャストコンクリート床版1の製造を容易に行うことができる。
図2は、プレキャストコンクリート床版1を示す平面図である。図1及び図2に示されるように、プレキャストコンクリート床版1は、橋軸方向D1、橋軸直角方向D2及び厚さ方向D3に延在するコンクリートブロック20を備える。コンクリートブロック20は、例えば、矩形板状を呈する。コンクリートブロック20は、一対の短辺20bと、一対の長辺20cとを有する。コンクリートブロック20は、各短辺20bが橋軸方向D1に沿うと共に、各長辺20cが橋軸直角方向D2に沿うように配置される。
コンクリートブロック20は、鉛直上方に向けられる上面20dと、橋軸方向D1を向く端面20fと、橋軸直角方向D2を向く端面20gと、鉛直下方に向けられる下面20j(図3参照)とを有する。端面20fはプレキャストコンクリート床版1(コンクリートブロック20)の妻面である。橋軸方向D1に並ぶ一対のコンクリートブロック20の端面20fの間には間詰材30が充填される。
間詰材30は、充填時には流動性を有し、充填時から一定時間経過後に硬化するセメント系材料である。間詰材30が硬化することにより、当該一対のコンクリートブロック20が一体化される。間詰材30は、コンクリートブロック20の材料と同様、高強度繊維補強コンクリートによって構成されていてもよい。また、間詰材30は、無収縮モルタルであってもよいし、場所打ちUFC又はUHPFRCであってもよい。このように、間詰材30としては種々のものを用いることができる。
例えば、コンクリートブロック20の上面20d、端面20f、端面20g及び下面20jは、いずれも平坦面である。この場合、下面に凹凸を有する床版(ワッフル型の床版とも称される)等と比較して型枠等の構造を簡易にできるので、プレキャストコンクリート床版1の製造コストの増大を抑制できる。
コンクリートブロック20は、複数の貫通孔20hを有する。貫通孔20hは、プレキャストコンクリート床版1を厚さ方向D3に貫通する孔である。一例として、貫通孔20hは、厚さ方向D3に沿って見たときに橋軸直角方向D2に延びる長円状を呈する。コンクリートブロック20において、橋軸方向D1に沿って複数の貫通孔20hが並ぶと共に橋軸直角方向D2に沿って複数の貫通孔20hが並んでいる。貫通孔20hは、例えば、コンクリートブロック20の長手方向(橋軸直角方向D2)に延在する。
桁2は、スタッド2fを有する。桁2において、上フランジ2bに複数のスタッド2fが設置されている。スタッド2fは上フランジ2bから上方に突出している。複数のスタッド2fは、上フランジ2bにおいて橋軸方向D1に沿って並ぶように配置されている。スタッド2fは、桁2に対するプレキャストコンクリート床版1のずれ止めを行うずれ止めスタッドである。
桁2の上にプレキャストコンクリート床版1が設置されるときに、コンクリートブロック20の貫通孔20hに桁2のスタッド2fが入り込む。スタッド2fが入り込んだ貫通孔20hにセメント系材料である充填材が充填されて当該充填材が硬化することにより、桁2にプレキャストコンクリート床版1が一体化される。
スタッド2fが入り込んだ貫通孔20hに充填される充填材は、コンクリートブロック20、又は前述した間詰材30の材料と同様であってもよい。当該充填材は、高強度繊維補強コンクリートによって構成されていてもよい。当該充填材が高強度繊維補強コンクリートによって構成されている場合、当該充填材を高強度とすることができるので、コンクリートブロック20の貫通孔20hの数を減らすことができる。貫通孔20hの数が減ることによってプレキャストコンクリート床版1の設置作業を効率化できると共に、雨水等の浸入を低減できプレキャストコンクリート床版1の耐久性を向上させることができる。
プレキャストコンクリート床版1はシース管21を有する。例えば、プレキャストコンクリート床版1は複数のシース管21を有する。複数のシース管21は橋軸直角方向D2に沿って並ぶように配置されており、各シース管21はコンクリートブロック20を橋軸方向D1に貫通する。
シース管21には、ポストテンション方式によるプレストレスを導入する緊張材が挿通される。当該緊張材は、橋軸方向D1に並ぶ複数のプレキャストコンクリート床版1の各シース管21に挿通され、複数のプレキャストコンクリート床版1に橋軸方向D1へのプレストレスを導入する。
図3は、プレキャストコンクリート床版1の端面20fを拡大したプレキャストコンクリート床版1の側面図である。図2及び図3に示されるように、シース管21は、コンクリートブロック20の端面20fに形成された開口21bを有する。一例として、シース管21は円管状を呈し、開口21bは円形状を呈する。
プレキャストコンクリート床版1はボイド22を有する。ボイドは、空間を含む部分又は部材を示している。例えば、ボイドは、プレキャストコンクリート床版の軽量化のために設けられる。ボイドは、一例として、ボイド管である。しかしながら、ボイドは、ボイド管以外の態様で形成されていてもよい。本実施形態では、ボイド管であるボイド22について説明する。
例えば、プレキャストコンクリート床版1は橋軸直角方向D2に沿って並ぶ複数のボイド22を有する。コンクリートブロック20の端面20fにおいて、シース管21及びボイド22は交互に並んでいる。シース管21及びボイド22は、コンクリートブロック20の厚さ方向D3の中央に形成されている。すなわち、シース管21の中心、及びボイド22の中心は、端面20fの厚さ方向D3の中央において橋軸直角方向D2に延びる基準線L上に位置する。
例えば、端面20fにおいてシース管21及びボイド22は等間隔で並んでいる。コンクリートブロック20の厚さをT、ボイド22の外径をR、シース管21のピッチをPとすると、
100×(R/2)2×π/(T×P)(%) ・・・(1)
の軽量化が可能となる。一例として、式(1)を用いてR=52(mm)、T=140(mm)、P=280(mm)とすると、5.4%の軽量化が実現される。
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の軽量化が可能となる。一例として、式(1)を用いてR=52(mm)、T=140(mm)、P=280(mm)とすると、5.4%の軽量化が実現される。
ボイド22は、コンクリートブロック20の内部に設けられている。ボイド22は、複数のシース管21の間において橋軸方向D1に沿って延在する。なお、プレキャストコンクリート床版1は、複数のシース管21の間に配置されないボイド23を有していてもよい。
例えば、ボイド23は、厚さ方向D3に沿って見た場合において、シース管21と貫通孔20hとの間に設けられている。また、ボイド23は、シース管21と端面20gとの間に設けられていてもよい。ボイド23は、ボイド22と同様、コンクリートブロック20の内部において橋軸方向D1に延在している。なお、プレキャストコンクリート床版1は、ボイド23を有しなくてもよい。
例えば、コンクリートブロック20の端面20fにおいて、ボイド22は閉塞されている。この場合、ボイド22は、橋軸方向D1の端部においてコンクリートブロック20の外部に露出する部位を有しない。すなわち、ボイド22は、ボイド22の橋軸方向D1の両端部の少なくともいずれかに閉塞部22bを有する。
閉塞部22bは、プレキャストコンクリート床版1において塞がっている部分を示している。一例として、ボイド22は、ボイド22の橋軸方向D1の両端部に閉塞部22bを有する。しかしながら、ボイド22は、橋軸方向D1の一端部のみに閉塞部22bを有していてもよい。
例えば、ボイド22は管状を呈する。図4は、ボイド22の長手方向(橋軸方向D1)及び径方向(厚さ方向D3)に延びる平面に沿ってボイド22を切断したボイド22の断面図である。図3及び図4に示されるように、ボイド22は円管状を呈する。このように、ボイド22は円形管であってもよい。この場合、ボイド22を安価にすることができると共に、ボイド22への局所的な応力の発生を抑制できる。
ボイド22は蛇腹状を呈する。すなわち、ボイド22は、ボイド22の長手方向(ボイド22の軸線方向)に沿って並ぶ凸部22c及び凹部22dを有する。凸部22cはボイド22の表面においてボイド22の径方向外側に突出する部位であり、凹部22dはボイド22の表面においてボイド22の径方向内側に窪む部位である。凸部22c及び凹部22dは、ボイド22の長手方向に沿って交互に並んでいる。凸部22c及び凹部22dは、ボイド22において螺旋状とされていてもよい。
例えば、ボイド22は、ボイド22の内面においてボイド22の長手方向に沿って並ぶ凹部22f及び凸部22gを有する。凹部22fはボイド22の内面においてボイド22の径方向外側に窪む部位であり、凸部22gはボイド22の内面においてボイド22の径方向外側に突出する部位である。例えば、ボイド22の厚さは一定である。この場合、凸部22cの内側に凹部22fが位置し、且つ凹部22dの内側に凸部22gが位置する。
例えば、ボイド22は樹脂によって構成されている。この場合、ボイド22を更に軽量化させることが可能となるので作業性の向上に寄与する。ボイド22はプラスチック製であってもよく、この場合、塩化物イオンの遮蔽効果が高いため、ボイド22の腐食を抑制できると共に塩害対策効果を発揮できる。
例えば、ボイド22はポリエチレン(PE)によって構成されている。一例として、ボイド22は高密度ポリエチレンによって構成されている。例えば、ボイド22は、ポリエチレン押出成形(一例として高密度ポリエチレン押出成形)によって製造されている。この場合、ボイド22の水密性を向上させることができる。しかしながら、ボイド22の材料は特に限定されない。例えば、ボイド22はゴムによって構成されていてもよい。例えば、ボイド23は、ボイド22と同様の構成を有する。
図5は、橋軸直角方向D2及び厚さ方向D3に延びる平面(ボイド22の長手方向に直交する平面)によってボイド22を切断したときにおけるボイド22の横断面を示す断面図である。図5に示されるように、プレキャストコンクリート床版1は、ボイド22の内部の空気Kをコンクリートブロック20の外部に逃がすエア抜き部24を備える。
例えば、エア抜き部24は、管状とされたエア抜きパイプである。一例として、エア抜き部24は、ボイド22からコンクリートブロック20の下面20jまで延在している。すなわち、エア抜き部24の一端に位置する開口24bがボイド22に形成され、且つエア抜き部24の他端に位置する開口24cが下面20jに形成されている。この場合、ボイド22の空気Kは、エア抜き部24を介してコンクリートブロック20の下方に排出される。
例えば、プレキャストコンクリート床版1は複数のエア抜き部24を有していてもよい。ボイド22において複数のエア抜き部24が橋軸方向D1(図5の紙面に直交する方向)に並んでいてもよい。この場合、複数のエア抜き部24からボイド22の空気Kをコンクリートブロック20の外部に排出できる。
上記のように、エア抜き部24がボイド22から下方に延びている場合、プレキャストコンクリート床版1の養生で高温になるときにボイド22からコンクリートブロック20の下方に膨張した空気Kを逃がすことが可能となる。更に、結露水等の水分をコンクリートブロック20の下方に逃がすことも可能である。
上記では、エア抜き部24の開口24cがコンクリートブロック20の下面20jに形成されている例について説明した。しかしながら、エア抜き部の開口はコンクリートブロックの下面以外の箇所に形成されていてもよい。例えば、エア抜き部の開口は、コンクリートブロック20の上面20d、コンクリートブロック20の端面20f、又はコンクリートブロック20の端面20gに形成されていてもよく、当該開口が形成される位置は特に限定されない。また、ボイド23にエア抜き部24と同様のエア抜き部が設けられていてもよい。
次に、本実施形態に係るプレキャストコンクリート床版1から得られる作用効果について詳細に説明する。図2及び図3に示されるように、プレキャストコンクリート床版1では、コンクリートブロック20が橋軸方向D1、橋軸直角方向D2、及び厚さ方向D3に延在する。コンクリートブロック20には橋軸直角方向D2に沿って並ぶ複数のシース管21が設けられており、各シース管21はコンクリートブロック20を橋軸方向D1に貫通している。プレキャストコンクリート床版1はボイド22を有する。ボイド22は、コンクリートブロック20の内部における複数のシース管21の間の位置で橋軸方向D1に沿って延在する。プレキャストコンクリート床版1が複数のシース管21、及びボイド22を備えることにより、コンクリートブロック20の内部の空間部(コンクリートブロック20の内部の空気によって構成された部分)を増やすことができる。従って、プレキャストコンクリート床版1を軽量化させることができる。
その結果、プレキャストコンクリート床版1の搬送、及びプレキャストコンクリート床版1による構築作業を効率よく行うことができる。よって、プレキャストコンクリート床版1の搬送、及びプレキャストコンクリート床版1による構築作業に伴うコストを低減させることができる。
ボイド22により、コンクリートブロック20の材料のコストを低減させることができる。特に、コンクリートブロック20の材料が高強度繊維補強コンクリートである場合、高強度繊維補強コンクリート以外の場合と比較して、コンクリートブロック20の材料のコストが増大する。これに対し、コンクリートブロック20はボイド22を有し、ボイド22の分だけコンクリートブロック20の材料を減らすことができるので、コンクリートブロック20の材料にかかるコストを低減できる。
本実施形態において、コンクリートブロック20は、高強度繊維補強コンクリートによって構成されている。この場合、複数のシース管21、及びボイド22を有するコンクリートブロック20の強度を高めることができる。従って、コンクリートブロック20の内部への鉄筋の配置を不要にできる。よって、プレキャストコンクリート床版1を更に軽量化できると共にプレキャストコンクリート床版1の製造コストの増大を抑制することができる。
図5に示されるように、本実施形態において、プレキャストコンクリート床版1は、ボイド22の空気Kをコンクリートブロック20の外部に逃がすエア抜き部24を備える。よって、プレキャストコンクリート床版1の養生のときにコンクリートが加熱され、当該加熱に伴ってボイド22の空気Kが膨張してもエア抜き部24から膨張した空気Kを逃がすことができる。
図2及び図3に示されるように、本実施形態では、コンクリートブロック20の橋軸方向D1を向く端面20fにおいてボイド22が閉塞されていてもよい。この場合、コンクリートブロック20の橋軸方向D1を向く端面20fに形成される孔を減らせるので、橋軸方向D1に沿った複数のプレキャストコンクリート床版1の接合をより強固に且つ効率よく行うことができる。すなわち、橋軸方向D1に沿って並ぶ一対のプレキャストコンクリート床版1の間に間詰材30を充填するときにボイド22が脆弱部になることを回避できる。よって、橋軸方向D1への複数のプレキャストコンクリート床版1の接合を強固にすることができる。
以上、本開示に係るプレキャストコンクリート床版の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。すなわち、プレキャストコンクリート床版の各部の構成、形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
以下では、ボイド22の配置の種々の例について図6(a)及び図6(b)を参照しながら説明する。図6(a)に示されるように、橋軸直角方向D2に沿って並ぶ2つのシース管21の間にボイド22が設けられていてもよい。シース管21とボイド22は等間隔に設けられていてもよい。
コンクリートブロック20の厚さをT(mm)、ボイド22の外径をR(mm)、シース管21のピッチをP(mm)とすると、断面低減率X(%)は以下の式(2)で表される。
X=100×(R/2)2×π/(T×P) ・・・(2)
そこで、図6(a)においてT=140、R=52、P=208とすると、X=7.3となり、ボイド22が無い場合と比較して7.3(%)の軽量化を実現できる。
X=100×(R/2)2×π/(T×P) ・・・(2)
そこで、図6(a)においてT=140、R=52、P=208とすると、X=7.3となり、ボイド22が無い場合と比較して7.3(%)の軽量化を実現できる。
図6(b)に示されるように、橋軸直角方向D2に沿って並ぶ2つのシース管21の間に複数のボイド22が配置されてもよい。この場合、プレキャストコンクリート床版を更に軽量化させることが可能となる。ところで、2つのシース管21の間に配置されるボイド22の数をN、コンクリートブロック20の厚さをT(mm)、ボイド22の外径をR(mm)、シース管21のピッチをP(mm)とすると、断面低減率X(%)は以下の式(3)で表される。
X=100×N×(R/2)2×π/(T×P) ・・・(3)
図6(b)においてT=140、R=52、P=312、N=2とすると、X=9.7となり、ボイド22が無い場合と比較して9.7(%)の軽量化を実現できる。以上のように、N、R、T及びPの値を調整することによって、本開示に係るプレキャストコンクリート床版では10%以上の軽量化も実現できる。
X=100×N×(R/2)2×π/(T×P) ・・・(3)
図6(b)においてT=140、R=52、P=312、N=2とすると、X=9.7となり、ボイド22が無い場合と比較して9.7(%)の軽量化を実現できる。以上のように、N、R、T及びPの値を調整することによって、本開示に係るプレキャストコンクリート床版では10%以上の軽量化も実現できる。
以上、前述した実施形態では、ボイド管であるボイド22について説明した。しかしながら、ボイドは管以外のものであってもよい。例えば、ボイドは発泡体であってもよい。当該発泡体は、一例として、発泡スチロールである。プレキャストコンクリート床版が発泡体であるボイドを有する場合でも、プレキャストコンクリート床版を軽量化させることができる。
前述した実施形態では、エア抜き部24を有するプレキャストコンクリート床版1について説明した。しかしながら、プレキャストコンクリート床版はエア抜き部を有しなくてもよい。例えば、プレキャストコンクリート床版は完全密閉されたボイドを有していてもよい。この場合もプレキャストコンクリート床版の軽量化が実現される。
前述した実施形態では、ボイド22の長手方向に直交する平面でボイド22を切断したときの断面が円形状であるボイド22について説明した。しかしながら、当該断面の形状は円形状でなくてもよい。例えば、当該断面の形状が長円形状(若しくは楕円形状)又は多角形状(一例として矩形状)であってもよい。この場合もプレキャストコンクリート床版を軽量化させることが可能である。
前述した実施形態では、UFC床版を用いた高速道路の床版更新工事が行われる現場Aについて説明した。しかしながら、本開示に係るプレキャストコンクリート床版の材料は、UFCに限られず、適宜変更可能である。更に、現場の種類についても高速道路の床版更新工事に限られず、本開示に係るプレキャストコンクリート床版は種々の現場に適用することが可能である。
1…プレキャストコンクリート床版、2…桁、2b…上フランジ、2c…ウェブ、2d…下フランジ、2f…スタッド、3…防護柵、4…アスファルト、20…コンクリートブロック、20b…短辺、20c…長辺、20d…上面、20f,20g…端面、20h…貫通孔、20j…下面、21…シース管、21b…開口、22,23…ボイド、22b…閉塞部、22c,22g…凸部、22d,22f…凹部、24…エア抜き部、24b,24c…開口、30…間詰材、A…現場、B…橋梁、D1…橋軸方向、D2…橋軸直角方向、D3…厚さ方向、K…空気。
Claims (4)
- 橋軸方向、前記橋軸方向に直交する橋軸直角方向、及び、前記橋軸方向と前記橋軸直角方向の双方に直交する高さ方向に延びるプレキャストコンクリート床版であって、
前記橋軸方向、前記橋軸直角方向、及び、前記高さ方向に延在するコンクリートブロックと、
前記橋軸方向に前記コンクリートブロックを貫通すると共に前記橋軸直角方向に沿って並ぶように配置された複数のシース管と、
前記コンクリートブロックの内部における複数の前記シース管の間において前記橋軸方向に沿って延在するボイドと、
を備える、
プレキャストコンクリート床版。 - 前記コンクリートブロックは、高強度繊維補強コンクリートによって構成されている、
請求項1に記載のプレキャストコンクリート床版。 - 前記ボイドの空気を前記コンクリートブロックの外部に逃がすエア抜き部を備える、
請求項1又は2に記載のプレキャストコンクリート床版。 - 前記コンクリートブロックの前記橋軸方向を向く端面において前記ボイドは閉塞されている、
請求項1又は2に記載のプレキャストコンクリート床版。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022184238A JP2024073169A (ja) | 2022-11-17 | 2022-11-17 | プレキャストコンクリート床版 |
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- 2022-11-17 JP JP2022184238A patent/JP2024073169A/ja active Pending
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