JP2024073042A - 電気泳動の移動度を改変する修飾基質を用いた遺伝子検出 - Google Patents

電気泳動の移動度を改変する修飾基質を用いた遺伝子検出 Download PDF

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Abstract

【課題】既存の蛍光標識1塩基伸長反応法の変異検出を高感度化するための方法及び手段を提供すること。【解決手段】蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質の存在下において、標的遺伝子に特異的なプライマーを用いて1塩基伸長反応を行う工程、前記1塩基伸長反応の反応産物をキャピラリー電気泳動に供する工程、前記蛍光色素のシグナルに基づいて前記1塩基伸長反応によって取り込まれた基質の種類を判別し、前記キャピラリー電気泳動の移動度に基づいて前記標的遺伝子を同定する工程を含む1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動の組み合わせによる遺伝子検出方法において、前記基質の少なくとも1つが、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子をさらに含むことを特徴とする方法。【選択図】なし

Description

本発明は、遺伝子を検出するための方法、試薬及びキットに関する。具体的には、本発明は、1塩基伸長反応による遺伝子検出のための方法、試薬及びキットに関する。
ゲノムには多様な個体差が存在しており、それらゲノム配列の違いは疾患や薬剤応答の指標として有用なバイオマーカとなることがある。
ゲノム変異の検出方法は主として、PCRによる検出、シーケンサを用いた塩基配列解析、1塩基伸長反応解析法(特許文献1)が用いられている。
近年のゲノム科学の進展により、大規模な解析が可能な超並列シーケンサを利用したゲノム変異のパネル検査が利用可能となった。多数の遺伝子変異を同時に解析することにより、多くの疾患や治療法選択の判断を同時に可能となり、なかでも液体生検によるがん検診は今後大きな進展が期待されている。液体生検は血液を利用した検査であり、“侵襲性が低いこと”、“全身のがんを検査対象にできること”から新しいがん検診として研究が進められている(非特許文献1)。
一方、これらの液体生検を用いたがん検診技術の社会実装を想定するとその解析コストが課題である。超並列シーケンサを用いたがんパネル検査による治療法選択はすでに日本において保険適用がなされているが、56万円という高額な検査費用となっている(診療報酬算定、D006-19 がんゲノムプロファイリング検査)。高額ながん治療において有効な治療法を選択する場面であれば検査費用が高額であってもその利用が認められるが、検診という場面においては現実的な検査費用ではない。比較的高額な内視鏡やCTをもちいた大腸がん検診であっても日本国内の検査費用は数万円程度であることを考えると超並列シーケンサに代替する低コストな多変異検査技術の開発が液体生検によるがん検診の社会実装に必要である。
米国特許第5,888,819号
Cohen, J.D. et al., Science 第359巻第926-930頁 (2018) Coutinho, A. et, al., PLOS ONE 第9巻第3号 e93292 (2014) Dias-Santagata, D. et al., EMBO Molecular Medicine 第2巻第146-158頁 (2010)
蛍光標識1塩基伸長反応法は、電気泳動の移動度を遺伝子識別の指標とするため、使用するプライマー長の長さを調整したり、それらプライマーに移動度を変更する標識を行うことによって信号が検出される位置を変えることにより、複数の遺伝子を標的とした多項目同時検出が可能である。例えば、Coutinhoらの文献(非特許文献2)では26 plexの同時検出がなされ、Dias-Santagataらの文献(非特許文献3)では、5~8種類の変異を同時に検出し、この分析を8回行うことにより合計58種類の遺伝子検出が行われている。
この技術では信号の検出される位置は検出に使用するプライマーの移動度で規定されており、すなわち標的とする遺伝子を識別する指標となっている。また、プライマーによって規定された位置に観察される蛍光波長の種類が塩基の種類を判別する指標である。
1塩基伸長反応はプライマーに対して蛍光修飾された1塩基の取り込みを行う反応であり、反応後のDNA分子の鎖長はプライマーに1塩基加えた鎖長となっている。核酸の電気泳動における移動度を決定する主要因は鎖長であることから、1塩基伸長反応によって得られるDNA分子は野生型又は変異型のどちらであっても同じ鎖長である。
生殖細胞変異であればヘテロ型であっても野生型と変異型の存在比は1:1であり、同じ座標位置に2種の蛍光信号が重なっても容易にその存在を判定することが可能であった。一方、腫瘍組織で見られる体細胞変異では変異遺伝子の存在比率に変動が見られ、存在比の低い変異を検出する技術が求められている。このような高感度な変異検出において野生型に由来する大きな蛍光信号の座標位置から、同一座標で重なる微量の変異型に由来する小さな蛍光信号の有無を判定することは困難であった。
本発明は、既存の蛍光標識1塩基伸長反応法の変異検出を高感度化するための方法及び手段を提供することを目的とする。
課題解決方法の検討を行った結果、本発明者らは少なくとも1つの基質がヌクレオチドに蛍光色素と電気泳動の移動度を改変する化学修飾を有する1塩基伸長反応とすることで微量の変異検出能を改善する効果が得られることを確認し、本発明を完成するに至った。
一態様において、本発明は、
蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質の存在下において、標的遺伝子に特異的なプライマーを用いて1塩基伸長反応を行う工程、
前記1塩基伸長反応の反応産物をキャピラリー電気泳動に供する工程、
前記蛍光色素のシグナルに基づいて前記1塩基伸長反応によって取り込まれた基質の種類を判別し、前記キャピラリー電気泳動の移動度に基づいて前記標的遺伝子を同定する工程
を含む1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動の組み合わせによる遺伝子検出方法において、
前記基質の少なくとも1つが、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子をさらに含むことを特徴とする方法に関する。
別の態様において、本発明は、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子、蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質を含む、1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動の組み合わせによる遺伝子検出に使用するための試薬に関する。
さらに別の態様において、本発明は、上記試薬を含む、遺伝子検出用キットに関する。
本発明により、高感度に標的遺伝子を検出するための方法及び試薬が提供される。特に微量にしか存在しない標的遺伝子を他の遺伝子と明確に区別して高感度に検出することが可能となる。よって、本発明は、遺伝子検出が望まれる分野において有用である。
前述した以外の課題、構成及び効果は,以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
実施例において使用した、修飾分子としてリンカー(アミノアリル基)を有しない基質(dUTP-Cy3)及びリンカーを有する基質(dUTP-XX-Cy3)の構造を示す図である。 実施例において様々な基質を使用して1塩基伸長反応を行った後にキャピラリー電気泳動で検出された蛍光シグナルの波形を示す図である。
本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
本明細書において単数形で表される構成要素は、特段文脈で明らかに示されない限り、複数形を含むものとする。
本発明は、1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動(CE)の組み合わせによる遺伝子検出において、電気泳動の移動度を改変する修飾分子を有する基質を用いた1塩基伸長反応を行う。具体的には、1塩基伸長反応によって取り込まれる4種のヌクレオチド基質において電気泳動におけるDNA分子の移動度を互いに分離することにより、微量な塩基に由来するシグナルの波形の検出感度を向上する。
したがって、一態様において、本発明は、1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動の組み合わせによる遺伝子検出方法を提供し、該方法は、
蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質の存在下において、被検試料及び標的遺伝子に特異的なプライマーを用いて1塩基伸長反応を行う工程、
前記1塩基伸長反応の反応産物をキャピラリー電気泳動に供する工程、
前記蛍光色素のシグナルに基づいて前記1塩基伸長反応によって取り込まれた基質の種類を判別し、前記キャピラリー電気泳動の移動度に基づいて前記標的遺伝子を同定する工程
を含み、
前記基質の少なくとも1つが、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子をさらに含む。
本発明は、1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動の組み合わせによる遺伝子検出方法に基づくものであり、このような遺伝子検出方法は、例えば非特許文献2及び3に記載のように当該技術分野で周知である。
1塩基伸長反応は、蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質の存在下において、被検試料及び標的遺伝子に特異的なプライマーを用いて行われるが、本発明では、その基質の少なくとも1つが、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子をさらに含む。
被検試料は、標的遺伝子について検出しようとする試料であれば特に限定されるものではなく、デオキシリボ核酸(DNA)、例えばゲノムDNA、cDNA、及びリボ核酸(RNA)、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)、並びにそれらの断片が含まれる。本発明においては、被検試料として、例えばセルフリーDNA(cfDNA、血中を遊離しているDNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)を使用することが好ましい。試料からの核酸の調製は、当技術分野で公知の方法により行うことができる。例えば、血液や細胞から標的核酸を調製する場合には、Proteinase Kのようなタンパク質分解酵素、チオシアン酸グアニジン・グアニジン塩酸といったカオトロピック塩、Tween及びSDSといった界面活性剤、あるいは市販の細胞溶解用試薬を用いて、細胞を溶解し、それに含まれる核酸、すなわちDNA及びRNAを溶出することができる。RNAを調製する場合には、上記の細胞溶解により溶出された核酸のうち、DNAをDNA分解酵素(DNase)により分解し、核酸としてRNAのみを含む試料が得られる。mRNAを調製する場合には、mRNAはポリA配列を含むことから、上記のように調製したRNA試料から、ポリT配列を含むDNAプローブを用いてmRNAのみを捕捉することができる。このような核酸の調製を行うために、多数のメーカーからキットが販売されており、目的とする核酸を簡便に精製することが可能である。
また、標的遺伝子に特異的なプライマーを準備する。標的に特異的なプライマーは、DNA又はRNAのいずれでもよく、被検試料及び標的遺伝子の種類、1塩基伸長反応に使用されるポリメラーゼの種類に応じて決定される。好ましくは、プライマーはDNAであり、被検試料としてDNA又はmRNAを鋳型とした1塩基伸長反応が行われる。
プライマーは、標的遺伝子(又は標的領域)に特異的に結合する配列を有する、すなわち標的遺伝子(又は標的領域)に対して相補的な配列を有するように設計される。プライマーの設計手法は当技術分野で周知であり、本発明において使用可能なプライマーは、特異的なアニーリングが可能な条件を満たす、例えば特異的なアニーリングが可能な長さ及び塩基組成(融解温度)を有するように設計される。例えば、プライマーとしての機能を有する長さとしては、10塩基以上が好ましく、さらに好ましくは15~50塩基であり、さらに好ましくは15~30塩基、例えば約20塩基である。また設計の際には、プライマーのGC含量とプライマーの融解温度(Tm)を確認することが好ましい。Tmとは、任意の核酸鎖の50%がその相補鎖とハイブリッドを形成する温度を意味し、鋳型となる被検試料とプライマーとが二本鎖を形成してアニーリングするためには、アニーリングの温度を最適化する必要がある。一方、この温度を下げすぎると非特異的な反応が起こるため、温度は可能な限り高いことが望ましい。Tmの確認には、公知のプライマー設計用ソフトウエアを利用することができる。設計されたプライマーは、公知のオリゴヌクレオチド合成手法により化学合成することができるが、通常は、市販の化学合成装置を使用して合成される。
本発明の方法では、上述した基質の存在下において、被検試料及び標的遺伝子に特異的なプライマーを用いて1塩基伸長反応を行う。1塩基伸長反応は当技術分野で公知であり、典型的にはポリメラーゼを用いた1塩基伸長反応である。使用するポリメラーゼは、鋳型(被検試料)の種類及び使用するプライマーの種類によって選択される。例えば、DNA又はRNAを鋳型としたDNAプライマーを用いた1塩基伸長反応には、それぞれDNA依存性又はRNA依存性DNAポリメラーゼが使用される。
1塩基伸長反応は当該技術分野において広く知られており、例えば非特許文献3等に、サイクル反応により効率的に1塩基を伸長させる方法などが説明されている。
標的遺伝子が存在する場合には、この標的遺伝子に特異的なプライマーがハイブリダイゼーションし、プライマーの3'末端部分からポリメラーゼの合成反応によってヌクレオチドが基質として取り込まれる。この時、取り込まれるヌクレオチド(基質)として、例えばジデオキシヌクレオチド(ddNTP)を用いることにより、合成反応は1塩基伸長のみで終了する。
本発明では、そのような基質として蛍光色素(標識)及びヌクレオチドを含む基質を使用し、使用する基質の少なくとも1つが、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子をさらに含む。蛍光色素(標識)は、基質が取り込まれたか否かを簡便に検出するため、又は取り込まれた塩基の種類を判定するために有用であり、当技術分野で公知の蛍光色素を使用することができる。蛍光色素としては、例えば限定されるものではないが、フルオレセン(FITC)、スルホローダミン(TR)、テトラメチルローダミン(TRITC)、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、NED、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、5'-ヘキサクロロフルオレセインCE-ホスホロアミダイト(HEX)、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン(JOE)、5'-テトラクロロフルオレセインCE-ホスホロアミダイト(TET)、ローダミン110(R110)、ローダミン6G(R6G)、VIC(登録商標)、ATTO系、Alexa Fluor(登録商標)系、Cy系など、また泳動サイズにずれを生じない蛍光色素として、dR110(carboxy-dichloro rhodamine 110)、dR6G(dihydro rhodamine 6G)、dTAMRA(Tetramethyl rhodamine)、dROX(carboxy-X-rhodamine)などが挙げられる。例えば塩基の種類を判定しようとする場合には、4種類の塩基と参照用(参照ラダーDNAから塩基長を検出補正するため)の5種類を識別するために、異なる波長で励起かつ検出される5種類の蛍光色素を組み合わせて使用することができる。このような蛍光色素の種類や導入方法等に関しては、特に限定されることはなく、従来公知の各種手段を用いることができる。
キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子は、サイズにより移動度が改変するため、基質のサイズ(嵩)を変更する修飾分子であれば特に限定されるものではない。例えば、蛍光色素とヌクレオチドとを連結するリンカーをそのような修飾分子として使用することができる。リンカーもまた特に限定されるものではなく、例えば、実施例で使用したアミノアリル基、修飾されたヌクレオチド分子として市販若しくは受注合成されているAmino-Modifier C6、Amino Modifier C12、3' Amino Modifier、3' C3 Spacer、トリエチレングリコールスペーサー(triethylene glycol spacer)、TEG(tetra-ethlene glycol)修飾ヌクレオチド、PEG修飾ヌクレオチドなどを利用することができる。アミノアリル基等を修飾分子として使用する場合、修飾基を1~8個、好ましくは1~5個連結して使用することにより、基質のサイズを適宜調整してもよい。
標的遺伝子の有無は、この1塩基伸長反応が生じるか否かで判定することができ、標的遺伝子における特定の塩基は、1塩基伸長した部分に取り込まれた塩基の種類に基づいて判定することが可能となる。例えば、一塩基多型(SNP)の検出を目的とする場合には、そのSNPの上流部分に特異的に結合するプライマーを設計し、被検試料にプライマーをハイブリダイズさせ、異なる蛍光色素が結合されたヌクレオチドを基質として使用して1塩基伸長反応を行う。取り込まれた塩基の種類を蛍光色素に基づいて判定することにより、被検試料に含まれるSNPを検出することができる。
1塩基伸長反応後、得られた反応産物をキャピラリー電気泳動(CE)に供して解析する。CEは、導入された成分を荷電、大きさ及び形状などに基づく移動度の差異で分離する手法である。移動度に基づいて、標的遺伝子の種類(プライマーの種類に基づく)を同定することができる。また本方法では、移動度を改変する修飾分子を利用するため、蛍光色素のシグナルに基づいて標的遺伝子の有無又は標的遺伝子における特定の塩基の種類(1塩基伸長反応によって取り込まれた基質の種類に基づく)の判別の際にシグナルピークの重なりを排除することによって、より高精度に取り込まれた基質の種類を判別できる。このようにして、標的遺伝子を検出し、及び/又は標的遺伝子の塩基を決定することができる。
上述したように、塩基識別用の蛍光色素に加えて電気泳動の移動度を改変する修飾分子を加えたヌクレオチドを1塩基伸長反応の基質とすることにより、反応によって得られたDNA分子の電気泳動移動度が取り込まれる塩基の種類によって異なる値となり、つまり電気泳動装置によって観察される蛍光信号の座標位置が塩基の種類によって異なる効果により野生型と変異型の蛍光信号波長のピーク位置分離を行うことによって、変異型信号の検出を高感度化できる。
さらなる態様において、本発明は、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子、蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質を含む、1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動の組み合わせによる遺伝子検出に使用するための試薬を提供する。
基質は、上述した通りであり、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子(例えば、ヌクレオチドと蛍光色素とを連結するリンカー)、蛍光色素及びヌクレオチドを含む。一実施形態では、修飾分子としてアミノアリル基を使用することができる。
上記試薬は、複数のヌクレオチドに対応する複数の基質を含んでもよく、かかる場合、それぞれの基質が、異なる種類のヌクレオチドがキャピラリー電気泳動の移動度により区別可能なように、修飾分子を含む。
別の態様において、本発明は、上記試薬を含む、遺伝子検出用キットを提供する。本キットは、試薬として、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子、蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質を少なくとも含む。
本キットは、上記試薬に加えて、反応液を構成するバッファー、酵素類(ポリメラーゼ、逆転写酵素など)、校正用の標準試料などを含んでもよい。基質又は試薬をキットとして提供することにより、遺伝子検出をより迅速かつ簡便に行うことが可能となる。
[実施例1]
本実施例では、蛍光色素を結合させたヌクレオチド基質、及び蛍光色素をリンカー(アミノアリル基)を介して結合させたヌクレオチド基質を使用して1塩基伸長反応後のキャピラリー電気泳動による移動度を調べた。
ヌクレオチド基質として、アデニン検出用にdR6G修飾ddATP、チミン検出用に以下の表1に記載の修飾を施したdUTPを混合して用いた。表1中、「X」はアミノアリル基であり、「XX」はアミノアリル基が2つ存在していることを示している。実験番号2ではチミン検出用基質として2つのアミノアリル基を持つdUTP-XX-Texas redを使用し、実験番号4ではチミン検出用基質として2つのアミノアリル基を持つdUTP-XX-Cy3を使用した。実験番号3と実験番号4で使用したdUTP-Cy3とdUTP-XX-Cy3の構造を図1に示した。
Figure 2024073042000001
52merのオリゴヌクレオチド(EGFR L858:CAAGCTATTTAGGTGACACTATAGCAGCATGTCAAGATCACAGATTTTGGGC)をプライマーとし、野生型遺伝子としてチミン(T)、変異型遺伝子としてウラシル(U)の塩基を検出するために2種の鋳型DNA分子(ヒト由来)を10:1の比率で混合し1塩基伸長反応を行った。野生型及び変異型それぞれの鋳型DNA分子と得られる反応産物の配列を表2に示す(検出する1塩基伸長塩基を太字で表記している)。1塩基伸長反応は、1μLの10×Therminator buffer (NEB)、0.5μLのTherminator (NEB)、1μLのヌクレオチド基質(10μM)、1μLの鋳型DNA(100 pmol/uL)、1μLの光架橋プライマー、5.5μLのD.W.を混合組成とし、サーマルライクラーを用いた(96℃,10秒)→(50℃,5秒)→(60℃,30秒)の熱サイクルを40回繰り返すことによって行った。反応後の試料溶液をアルカリフォスファターゼ(TAKARA)にて精製処理を行った後、CEシーケンサであるDS3000(日立ハイテク)を用いて分析した。ヌクレオチド基質として、チミンに対応するアデニン検出用にdR6G修飾ddATP、ウラシルに対応するチミン検出用に表1に記載の修飾を施したdUTPを混合して用いた。
Figure 2024073042000002
検出された蛍光信号データを図2に示した。
断片長のサイズの目安である2つのサイズマーカ―(200、201)に挟まれた領域に1塩基伸長反応産物に由来する信号を示す波形が観察された。実験1では観察された波形は1つ(202)であった。反応時には変異型として10分の1量のアデニン鋳型を加えているが、実験1の標識組み合わせでは判別が困難である。
一方、同じ蛍光色素のTexas red標識に加え2分子のアミノアリル基を修飾したヌクレオチドを用いた実験2では、野生型の塩基を示す波形(203)と変異型の塩基を示す波形(204)が完全に異なる座標位置に検出され、明確な区別により感度の良い検出が可能となった。
同様に実験3と実験4としてdUTP-Cy3、アミノアリル修飾を持つdUTP-XX-Cy3の波形比較を行った。どちらの実験区でも実験2と同じ座標位置に微量の変異型を示す波形(204)が観察された。Cy3修飾ヌクレオチドを標識に用いた実験3では野生型に由来する波形(205)が204より短い位置にみられ、アミノアリル修飾を持つdUTP-XX-Cy3を標識に用いた実験4では野生型に由来する波形(206)が204より長い位置にみられた。
これらの結果から本実験に用いたヌクレオチドへの修飾は電気泳動の移動度を改変する効果を持ち、その効果によって同じ鎖長のDNA分子の蛍光信号の出現位置を改変することが確かめられた。
[実施例2]
塩基変異解析にて要求される4種の塩基の識別は従来技術では4つの塩基に異なる波長の蛍光色素で標識することが必須であった。一方、本発明による移動度を改変する修飾により4種の塩基の波形の座標位置を塩基への修飾によって改変できるため、例えば以下の表3に示したような組み合わせによって用いる蛍光色素の種類を減らすことが可能である。
Figure 2024073042000003
本実施例ではアミノアリル基修飾を施したヌクレオチドを用いて電気泳動における移動度改変の効果を示した。ヌクレオチドは多様な修飾が可能な分子であり、DNA合成企業においてAmino-Modifier C6やTEG(tetra-ethlene glycol)といった修飾の合成サービスが行われている。電気泳動の移動度に及ぼす影響は修飾分子に依存するため、4種の塩基の波形出現位置を分離するヌクレオチド修飾の組み合わせを設定することが可能である。これらの組み合わせにおいて4種の塩基に施す蛍光色素修飾は従来どおり4種を4色の蛍光色素に一対一対応の組み合わせにすることも可能であるし、1色の蛍光色素としてより簡便な光学検出装置にて検出可能な反応組成とすることも可能となる。
100 ヌクレオチドの分子構造
101 蛍光色素Cy3の分子構造
102 アミノアリル基x2(リンカー)の分子構造
200、201 サイズマーカ―の波形
202 野生型由来のdUTP-Texas Redと変異型由来のddATP-dR6Gの2つのピークが重なった波形
203 野生型由来のdUTP-XX-Texas Red波形
204 変異型由来のddATP-dR6G波形
205 野生型由来のdUTP-Cy3波形
206 野生型由来のdUTP-XX-Cy3波形

Claims (11)

  1. 蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質の存在下において、標的遺伝子に特異的なプライマーを用いて1塩基伸長反応を行う工程、
    前記1塩基伸長反応の反応産物をキャピラリー電気泳動に供する工程、
    前記蛍光色素のシグナルに基づいて前記1塩基伸長反応によって取り込まれた基質の種類を判別し、前記キャピラリー電気泳動の移動度に基づいて前記標的遺伝子を同定する工程
    を含む1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動の組み合わせによる遺伝子検出方法において、
    前記基質の少なくとも1つが、キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子をさらに含むことを特徴とする方法。
  2. 前記修飾分子が、前記ヌクレオチドと前記蛍光色素とを連結するリンカーである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記修飾分子が、アミノアリル基である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記基質が、異なる種類のヌクレオチドがキャピラリー電気泳動の移動度により区別可能なように、前記修飾分子を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記標的遺伝子が2種以上であり、その標的遺伝子の種類に応じて異なる長さのプライマーを用いて1塩基伸長反応を行う、請求項1に記載の方法。
  6. キャピラリー電気泳動の移動度を改変する修飾分子、蛍光色素及びヌクレオチドを含む基質を含む、1塩基伸長反応とキャピラリー電気泳動の組み合わせによる遺伝子検出に使用するための試薬。
  7. 前記修飾分子が、前記ヌクレオチドと前記蛍光色素とを連結するリンカーである、請求項6に記載の試薬。
  8. 前記修飾分子が、アミノアリル基である、請求項6に記載の試薬。
  9. 複数のヌクレオチドに対応する複数の基質を含み、それぞれの基質が、異なる種類のヌクレオチドがキャピラリー電気泳動の移動度により区別可能なように、前記修飾分子を含む、請求項6に記載の試薬。
  10. 請求項6に記載の試薬を含む、遺伝子検出用キット。
  11. ポリメラーゼをさらに含む、請求項10に記載のキット。
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