JP2024072400A - 触媒層付電解質膜、膜電極接合体および水電解装置 - Google Patents

触媒層付電解質膜、膜電極接合体および水電解装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水電解性能が良好であり、かつ酸素ガス中の水素濃度を十分に低減することができる、触媒層付電解質膜を提供する。【解決手段】電解質膜と、前記電解質膜の第一主面側に配置されるカソード触媒層と、前記電解質膜の第二主面側に配置されるアノード触媒層と、を有する触媒層付電解質膜であって、前記アノード触媒層が、イリジウム元素と、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、金、銀、およびオスミウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属元素と、を含み、前記電解質膜が、前記第一主面を有し炭化水素系高分子電解質を含む第1の層と、前記第二主面を有しフッ素系高分子電解質を含む第2の層と、を有し、前記第1の層の厚みが前記第2の層の厚みより大きいことを特徴とする、触媒層付電解質膜。【選択図】図1

Description

本発明は、触媒層付電解質膜、膜電極接合体および水電解装置に関する。
近年、次世代におけるエネルギーの貯蔵・輸送手段として、水素エネルギーが注目されている。水素は、燃料電池の燃料として用いることで、熱機関を用いた発電よりも理論的に高いエネルギー効率で電力に変換可能で、かつ有害物を排出しないことから、高効率なクリーンエネルギー源となり得る。
水素製造方式の一つに水の電気分解がある。再生可能エネルギーによる余剰電力を使用して水を電気分解すれば、二酸化炭素を排出することなく電力を水素エネルギーに変換可能である。さらに、水素は貯蔵方式によっては、タンクローリーやタンカーで輸送でき、必要な時に必要な場所へ供給可能なため、水の電気分解は電力貯蔵のツールとして高い可能性を有している。
水の電気分解による水素製造方式は、アルカリ水電解と高分子電解質膜(PEM)型水電解があるが、PEM型水電解は高電流密度での運転が可能であり、再生可能エネルギーの出力変動に柔軟に対応できるというメリットを有する。
PEM型水電解は、一般に、高分子電解質膜によって内部がアノードとカソードとに区画された電解セルに水を供給し、アノードで酸素、カソードで水素を生成させる。
PEM型水電解における高分子電解質膜として、従来からパーフルオロカーボンスルホン酸などのフッ素系高分子電解質が一般的に知られている。しかしながら、フッ素系高分子電解質は、高価であること、ガスバリア性が低いこと、などの課題があり、フッ素系高分子電解質に替えて炭化水素系高分子電解質の使用が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、PEM型水電解装置では、カソードで生成した水素が電解質膜を透過してアノードに到達するという「クロスオーバー」が発生することにより、アノードで生成した酸素中に水素が混入して酸素の純度を低下させることがある。また、酸素中の水素濃度が4%を超えると爆発の危険性がある。そこで、酸素ガス中の水素濃度を低減することが求められている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2には、アノード触媒層に酸化イリジウムおよび白金を用いることが開示されている。
特開2016-216826号公報 特開2008-240069号公報
炭化水素系高分子電解質膜は、フッ素系高分子電解質膜に比べて、水電解性能の向上が期待できる。その一方で、炭化水素系高分子電解質膜を用いた水電解装置に特許文献2に開示されているような触媒層を適用しても、酸素ガス中の水素濃度を十分に低減することができなかった。
そこで、本発明の目的は、水電解性能が良好であり、かつ酸素ガス中の水素濃度を十分に低減することができる、触媒層付電解質膜を提供することにある。
本発明の触媒層付電解質膜は、上記目的を達成するために、以下の構成を採る。すなわち、
[1]電解質膜と、前記電解質膜の第一主面側に配置されるカソード触媒層と、前記電解質膜の第二主面側に配置されるアノード触媒層と、を有する触媒層付電解質膜であって、前記アノード触媒層が、イリジウム元素と、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、金、銀およびオスミウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属元素と、を含み、前記電解質膜が、前記第一主面を有し炭化水素系高分子電解質を含む第1の層と、前記第二主面を有しフッ素系高分子電解質を含む第2の層と、を有し、前記第1の層の厚さが前記第2の層の厚さより大きいことを特徴とする、触媒層付電解質膜。
[2]前記貴金属元素が白金およびパラジウムのいずれかまたは双方である、[1]に記載の触媒層付電解質膜。
[3]前記貴金属元素が、貴金属元素を含む粒子の形態で含まれる、[1]または[2]に記載の触媒層付電解質膜。
[4]前記イリジウム元素が、イリジウム元素を含む粒子の形態で含まれる、[1]~[3]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[5]前記イリジウム元素が酸化イリジウムの形態で含まれる、[1]~[4]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[6]前記アノード触媒層における前記イリジウム元素の質量(Ir質量)と前記貴金属元素の質量(NM質量)との比率(Ir質量:NM質量)が51:49~99:1の範囲である、[1]~[5]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[7]前記アノード触媒層がフッ素系高分子電解質を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[8]前記カソード触媒層が白金を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[9]前記炭化水素系高分子電解質が芳香族炭化水素系ポリマーを含む、[1]~[8]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[10]前記第1の層の厚みが40μm以上250μm以下であり、前記第2の層の厚みが1μm以上30μm以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[11]前記第1の層の厚み(T1)に対する前記第2の層の厚み(T2)の比率(T2/T1)が0.05以上0.30以下である、[1]~[10]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[12]水電解装置に用いられる、[1]~[11]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
[13][1]~[11]のいずれかに記載の触媒層付電解質膜を含む、膜電極接合体。
[14][13]に記載の膜電極接合体を含む、水電解装置。
本発明によれば、水電解性能が良好であり、かつ酸素ガス中の水素濃度を十分に低減することができる、触媒層付電解質膜を提供することができる。
本発明の触媒層付電解質膜の一つの形態における断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
本発明の実施の形態に係る触媒層付電解質膜は、電解質膜の一方の面にアノード触媒層を有し、他方の面にカソード触媒層を有する。
図1は、本発明の実施の形態に係る触媒層付電解質膜の断面模式図である。触媒層付電解質膜1は、第一主面13を有する第1の層11および第二主面14を有する第2の層12を含む電解質膜10と、この電解質膜10の第一主面13側に配置されるカソード触媒層20と、第二主面14側に配置されるアノード触媒層30と、を有する。
電解質膜10を構成する第1の層11は炭化水素系高分子電解質を含み、第2の層12はフッ素系高分子電解質を含む。第1の層は第2の層より厚い。アノード触媒層30は、イリジウム元素と、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、金、銀およびオスミウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属元素と、を含む。カソード触媒層20は触媒として、詳細は後述するが、白金を含むことが好ましい。
従来、水電解装置において、炭化水素系高分子電解質膜と、イリジウム元素と貴金属元素とを有するアノード触媒層とを積層させた触媒層付電解質膜を用いると、アノードで生成した酸素ガス中の水素濃度を十分に低減することができなかった。これに対し、本発明の実施の形態に係る触媒層付電解質膜は、炭化水素系高分子電解質膜と、イリジウム元素と貴金属元素とを有するアノード触媒層との間に、炭化水素系高分子電解質膜よりも厚さの小さいフッ素系高分子電解質膜を設けている。このような構成の触媒層付電解質膜を水電解装置に適用した場合、良好な水電解性能が発現し、かつアノードで生成した酸素ガス中の水素濃度が低減されることが見いだされた。
[電解質膜]
本発明における電解質膜は、炭化水素系高分子電解質を含む第1の層と、フッ素系高分子電解質を含む第2の層を有し、第1の層の厚さが第2の層の厚さより大きい第1の層は水電解性能を担う主電解質層であり、その膜厚は比較的大きく設計される。一方、第2の層はアノード触媒層との組み合わせによって水素濃度低減に寄与する補助電解質層であり、その膜厚は、水電解性能を阻害しないように比較的小さく設計される。
[第1の層]
第1の層に含まれる炭化水素系高分子電解質とは、イオン性基を有する炭化水素系ポリマーである。イオン性基を有する炭化水素系ポリマーとは、炭化水素を主構成単位とする主鎖を有するとともに、当該主鎖または側鎖にイオン性基が付与されたポリマーである。
炭化水素系高分子電解質としては、主鎖に芳香環を有する芳香族炭化水素系ポリマーが好ましい。上記芳香環は、炭化水素系芳香環だけでなく、ヘテロ環を含んでいてもよい。また、芳香環ユニットと共に一部脂肪族系ユニットがポリマーを含んでいてもよい。
芳香族炭化水素系ポリマーの具体例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンホスフィンオキシド、ポリエーテルホスフィンオキシド、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドスルホンから選択される構造を芳香環とともに主鎖に有するポリマーが挙げられる。
なお、上記ポリスルホンとは、分子鎖にスルホン結合を有する構造の総称であり、上記ポリエーテルスルホンとは、分子鎖にエーテル結合とスルホン結合を有する構造の総称であり、上記ポリエーテルケトンとは、分子鎖にエーテル結合とケトン結合を有する構造の総称である。芳香族炭化水素系ポリマーは、これらの構造のうち複数の構造を有していてもよい。
芳香族炭化水素系ポリマーとしては、ポリエーテルケトン系ポリマーが特に好ましい。ポリエーテルケトン系ポリマーとしては、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトンなどが挙げられる。ポリエーテルケトン系ポリマーは、酸素透過度が比較的小さいことから、第1の電解質層の炭化水素系電解質として好適である。
炭化水素系高分子電解質としては特に、イオン性基を含有するセグメント(イオン性セグメント)と、イオン性基を含有しないセグメント(非イオン性セグメント)をそれぞれ1個以上有するブロック共重合体が好ましい。ここで、セグメントとは、特定の性質を示す繰り返し単位からなる共重合体ポリマー鎖中の部分構造であって、分子量が2,000以上のものを表すものとする。なお、非イオン性セグメントは、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲でイオン性基を少量含んでいても構わない。ブロック共重合体は、ランダム共重合体に比べて水電解性能が優れており、本発明の電解質膜を水電解装置に適用する場合は、第1の層の炭化水素系高分子電解質としてブロック共重合体を用いることが好ましい。
炭化水素系高分子電解質が有するイオン性基は、カチオン交換能あるいはアニオン交換能のいずれかを有するイオン性基であればよい。このような官能基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、アンモニウム基、ホスホニウム基、アミノ基が好ましく用いられる。イオン性基はポリマー中に2種類以上含むことができる。中でも、水電解性能が優れていることから、ポリマーはスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基から選ばれる少なくとも1つを有することがより好ましく、原料コストの点からスルホン酸基を有することが最も好ましい。
炭化水素系高分子電解質のイオン交換容量(IEC)は、プロトン伝導性と耐水性のバランスから、0.1meq/g以上、5.0meq/g以下が好ましい。IECは、1.0meq/g以上がより好ましく、1.4meq/g以上がさらに好ましい。またIECは、3.5meq/g以下がより好ましく、3.0meq/g以下がさらに好ましい。IECが0.1meq/g以上5.0meq/g以下の場合、優れたプロトン伝導性と耐水性を両立することができる。
ここで、IECとは、炭化水素系高分子電解質の単位乾燥重量当たりに導入されたイオン性基のモル量であり、この値が大きいほどイオン性基の導入量が多いことを示す。本発明においては、IECは、中和滴定法により求めた値と定義する。中和滴定によるIECの算出は、実施例に記載の方法で行うことができる。
本発明においては、例えば、水電解装置における水電解性能の観点から、芳香族炭化水素系ブロックコポリマーを用いることが特に好ましく、ポリエーテルケトン系ブロックコポリマーであることがより好ましい。特に、下記のようなイオン性基を含有する構成単位(S1)を含むセグメントと、イオン性基を含有しない構成単位(S2)を含むセグメントとを含有するポリエーテルケトン系ブロックコポリマーは特に好ましく用いることができる。
Figure 2024072400000002
一般式(S1)中、Ar~Arは任意の2価のアリーレン基を表し、Arおよび/またはArはイオン性基を含有し、ArおよびArはイオン性基を含有しても含有しなくても良い。Ar~Arは任意に置換されていても良く、互いに独立して2種類以上のアリーレン基が用いられても良い。*は一般式(S1)または他の構成単位との結合部位を表す。
Figure 2024072400000003
一般式(S2)中、Ar~Arは任意の2価のアリーレン基を表し、任意に置換されていても良いが、イオン性基を含有しない。Ar~Arは互いに独立して2種類以上のアリーレン基が用いられても良い。*は一般式(S2)または他の構成単位との結合部位を表す。
ここで、Ar~Arとして好ましい2価のアリーレン基は、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレンジイル基などの炭化水素系アリーレン基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイルなどのヘテロアリーレン基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ここで、フェニレン基としてはベンゼン環と他の構成単位との結合部位を有する箇所によりo-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基の3種類があり得るが、本明細書において特に限定しない場合はこれらの総称として用いる。ナフチレン基やビフェニレン基など、その他の2価のアリーレン基についても同様である。Ar~Arは、好ましくはフェニレン基とイオン性基を含有するフェニレン基、最も好ましくはp-フェニレン基とイオン性基を含有するp-フェニレン基である。また、Ar~Arはイオン性基以外の基で置換されていてもよいが、無置換である方が水電解性能、化学的安定性、物理的耐久性の点でより好ましい。
また、十分な寸法安定性、機械強度、物理的耐久性、燃料遮断性、耐溶剤性を得るためには、結晶性を有する芳香族炭化水素系ポリマーであることが好ましい。ここで、「結晶性を有する」とは昇温すると結晶化されうる結晶化可能な性質を有しているか、あるいは既に結晶化していることを意味する。
結晶性の有無の確認は、示差走査熱量分析法(DSC)あるいは広角X線回折によって実施される。本発明においては、製膜後にDSCによって測定される結晶化熱量が0.1J/g以上であるか、もしくは、広角X線回折によって測定される結晶化度が0.5%以上であることが好ましい。すなわち、DSCにおいて結晶化ピークが認められない場合は、既に結晶化している場合と、高分子電解質が非晶性である場合が考えられるが、既に結晶化している場合は広角X線回折によって結晶化度が0.5%以上となる。
結晶性を有する芳香族炭化水素系ポリマーは、電解質層の加工性が不良である場合がある。その場合、芳香族炭化水素系ポリマーに保護基を導入し、一時的に結晶性を抑制してもよい。具体的には、保護基を導入した状態で製膜し、その後に脱保護することで、結晶性を有する芳香族炭化水素系ポリマーを含有する電解質層を得ることができる。
第1の層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、炭化水素系高分子電解質以外の高分子電解質、例えば、フッ素系高分子電解質などを含有することができる。第1の層における炭化水素系高分子電解質の含有量は、第1の層の高分子電解質の全質量に対して80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
第1の層は、その強度を高めるために、多孔質基材を含むことが好ましい。第1の層が多孔質基材を含む形態としては、例えば、多孔質基材と炭化水素系高分子電解質とを含む複合層と、この複合層の片面もしくは両面に、炭化水素系高分子電解質を含み多孔質基材を含まない非複合層を有する形態が好ましく、複合層の両面に非複合層を有する形態がより好ましい。複合層は、多孔質基材の空孔に炭化水素系高分子電解質が充填(含浸)されていることが好ましい。
第1の層における複合層の厚み比率は、第1の層の厚みを100%として、10~90%が好ましく、20~80%がより好ましく、30~70%が特に好ましい。ここで、複合層の厚みは多孔質基材の厚みを意味する。複合層の具体的な厚みとしては、22~47μmの範囲が好ましく、25~45μmの範囲がより好ましく、30~43μmの範囲が特に好ましい。また、非複合層の一層あたりの厚みは、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が特に好ましい。また、非複合層の一層あたりの厚みは、各々45μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、35μm以下が特に好ましい。
多孔質基材の形態としては、織布、不織布、多孔質フィルム、メッシュ織物等が挙げられる。多孔質基材としては、例えば、炭化水素系高分子化合物を主成分とする炭化水素系多孔質基材、フッ素系高分子化合物を主成分とするフッ素系多孔質基材などが挙げられる。
炭化水素系高分子化合物としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリエステル、液晶ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリアリーレンエーテル系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアリーレンホスフィンオキシド、ポリエーテルホスフィンオキシド、ポリベンズオキサゾール(PBO)、ポリベンズチアゾール(PBT)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミドスルホン(PIS)などが挙げられる。
フッ素系高分子化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられる。
多孔質基材は第1の層の強度を補強するという役目があり、第1の層の厚みが40μm以上と比較的厚い場合は、強度が比較的高い多孔質基材が好ましく、その観点からメッシュ織物が好ましい。メッシュ織物は、当該分野で従来から一般的に使用されている多孔質基材に比べて、繊維径が比較的大きく、高い強度を有する。メッシュ織物を構成する繊維の材質としては、ポリエステル、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンが好ましい。これらの中でも、強度や化学的安定性の観点から液晶ポリエステルやポリフェニレンスルフィドがより好ましく、液晶ポリエステルが特に好ましい。
多孔質基材で補強された第1の層を含む電解質膜は、例えば、水電解の長時間連続運転での耐久性が向上する。例えば、1,000時間を超える連続運転であっても良好な水電解性能を維持することができる。
第1の層は、本発明の効果を阻害しない範囲で各種添加剤、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、ラジカル捕捉剤、過酸化水素分解剤、非電解質ポリマー、エラストマー、フィラーなどを含有することができる。
第1の層の厚みは、良好な水電解性能を長時間維持するという観点およびカソードで生成した水素が電解質膜を透過してアノードに到達する、クロスオーバーの発生を抑制するという観点から、比較的厚いことが好ましい。具体的には、40μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、60μm以上がさらに好ましく、70μm以上が特に好ましい。一方、良好な水電解性能を確保するという観点から、第1の層の厚みは、250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、180μm以下がさらに好ましく、150μm以下が特に好ましい。
[第2の層]
第2の層は、フッ素系高分子電解質を含む。フッ素系高分子電解質とは、イオン性基を有するフッ素系ポリマーである。フッ素系ポリマーとは、分子中のアルキル基および/またはアルキレン基における水素の大部分または全部がフッ素原子に置換されたポリマーであることを意味する。イオン性基としては、前述の炭化水素系高分子電解質と同様のイオン性基が挙げられる。中でも、スルホン酸基が好ましい。
フッ素系高分子電解質としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンホスホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン-g-スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド-パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが挙げられる。
これらの中でも、耐熱性や化学的安定性など観点からパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーが好ましく、係るポリマーとして、例えば、“ナフィオン”(登録商標)(ケマーズ社製)、“フレミオン”(登録商標)(AGC(株)製)および“アシプレックス”(登録商標)(旭化成(株)製)などの市販品を挙げることができる。
第2の層は、さらに粒子を含有することが好ましい。第2の層が粒子を含有することによって、第1の層との密着性が向上する。これにより、水電解装置の運転中に第1の層と第2の層との間の剥離や浮き上がりがより発生しにくくなるので、水電解性能をより良好にすることができる。係る粒子としては、例えば、無機粒子、有機粒子、有機・無機複合粒子などが挙げられる。
無機粒子としては、例えば、炭素粒子、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、ゼオライト、雲母、絹雲母、セリサイト、カオリンクレー、カオリン、マイカ、タルク、モンモリロナイトなどが挙げられる。
上記した無機粒子の中でも、酸やアルカリに対して比較的安定であることから、炭素粒子が好ましい。炭素粒子としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンなどが挙げられる。
有機粒子としては、各種樹脂粒子が挙げられる。樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ABS樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン樹脂、ポリアゾール系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂などの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
有機・無機複合粒子としては、例えば、アクリル・シリカ複合粒子、メラミン・シリカ複合粒子、ベンゾグアナミン・シリカ複合粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・シリカ複合粒子、ポリスチレン・シリカ複合粒子、シルセスキオキサン系有機無機ハイブリッド粒子、有機物被覆無機ナノ粒子などが挙げられる。
上記粒子の中でも、無機粒子が好ましく、炭素粒子がより好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。
粒子の平均粒子径は、密着性向上の観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、20nm以上が特に好ましい。一方、粒子の平均粒子径は、分散性および製膜性の観点から、1,000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、200nm以下が特に好ましい。
第2の層が粒子を含有する場合、その粒子の含有量は、フッ素系高分子電解質100質量%に対して10~300質量%が好ましく、20~200質量%がより好ましく、30~150質量%が特に好ましい。
第2の層は、本発明の効果を阻害しない範囲で各種添加剤、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、ラジカル捕捉剤、過酸化水素分解剤、非電解質ポリマー、エラストマーなどを含有することができる。
第2の層の厚みは、酸素ガス中の水素濃度の低減の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が特に好ましい。また、上記厚みは、水電解性能を阻害しないような範囲に設計することが好ましく、具体的には30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましく、13μm以下が特に好ましい。
本発明の実施に形態に係る電解質膜において、第1の層の厚み(T1)に対する第2の層の厚み(T2)の比率(T2/T1)は、より良好な水電解性能を確保するという観点から、0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましく、0.15以下が特に好ましい。一方、酸素ガス中の水素濃度の低減の観点からは、上記比率(T2/T1)は、0.05以上が好ましく、0.06以上がより好ましく、0.07以上が特に好ましい。
[アノード触媒層]
アノード触媒層は、イリジウム元素と、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、金、銀およびオスミウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属元素と、を含む。以下、「イリジウム以外の貴金属」を「他の貴金属」ということがある。これらはアノード触媒層において触媒として機能する。
他の貴金属としては、白金およびパラジウムが好ましく、白金が特に好ましい。すなわち、他の貴金属元素が白金およびパラジウムのいずれかまたは双方であることが好ましく、白金であることが特に好ましい。
アノード触媒層にイリジウム元素および他の貴金属元素を含有させる形態としては、特に限定されず、公知の形態を用いることができる。例えば、(I)イリジウム元素を含む粒子(以下、「イリジウム系粒子」という)と他の貴金属元素を含む粒子(以下、「他の貴金属系粒子」という)とを含有させる形態、(II)イリジウムと他の貴金属との合金粒子を用いる形態、(III)イリジウムおよび他の貴金属をスパッタリングや蒸着によって積層する形態、などが挙げられる。
イリジウム元素は、アノード触媒層中にイリジウム系粒子の形態で含まれることが好ましい。また、他の貴金属元素は、アノード触媒層中に当該他の貴金属元素系粒子の形態で含まれることが好ましい。その観点から、上記形態の中でも、(I)の形態がより好ましい。すなわち、アノード触媒層は、イリジウム元素を含む粒子と、他の貴金属元素を含む粒子とを含むことが好ましい。
上記(I)の形態として、より具体的には、(I-1)イリジウム系粒子および他の貴金属系粒子をそれぞれ単体で含有させる形態、(I-2)酸化チタンや酸化スズなどの金属酸化物からなる担体に、イリジウム系粒子および他の貴金属系粒子を一緒にまたは別々に担持させた触媒担持粒子を用いる形態、(I-3)イリジウム系粒子の表面の一部もしくは全部を他の貴金属系粒子で被覆した、いわゆるコア・シェル粒子や複合粒子を用いる形態、などが挙げられる。
上記(I-1)の形態の場合、第1の層が一層構成でありイリジウム系粒子と他の貴金属系粒子とが混在する形態、第1の層が積層構成でありイリジウム系粒子含有層と他の貴金属系粒子含有層とがそれぞれ含まれる形態、が挙げられるが、前者が好ましい。
イリジウム系粒子としては、イリジウム粒子、酸化イリジウム粒子が挙げられる。
イリジウム元素は、高電位下での安定性の観点から、酸化イリジウムの形態でアノード触媒層中に含まれることが好ましい。すなわち、アノード触媒層は、酸化イリジウムを含むことが好ましい。
他の貴金属系粒子としては、白金粒子やパラジウム粒子が好ましく、白金粒子が特に好ましい。他の貴金属元素を含む粒子としては、担体に担持されていない状態のもの、いわゆる、「~ブラック(黒)」と称される粒子を用いることができる。例えば、白金ブラック(黒)、パラジウムブラック(黒)などが挙げられる。また、他の貴金属元素を含む粒子としては、上記したように、酸化チタンや酸化スズなどの金属酸化物からなる担体に他の貴金属元素を含む粒子が担持された触媒担持粒子を用いることができる。
触媒担持粒子の担体として、カーボンブラックなどの炭素粒子が一般的に知られているが、水電解装置におけるアノードは高電位環境にあり、炭素粒子は電気化学的酸化に対する耐性が懸念されるために、アノード触媒層には使用しないことが好ましい。
イリジウム系粒子および他の貴金属系粒子は、公知の方法で合成もしくは製造することができる。また、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、酸化イリジウム粒子として「Umicore製のIrO触媒Elyst」、「徳力本店製の酸化イリジウム粉末」、白金ブラックとして「ジョンソン・マッセイ製のHISPEC1000」、「田中貴金属工業製のTEC90300、同TEC90400」、「BASF(ビーエーエスエフ)製PtBlack」、 「徳力本店製の白金黒」、「石福金属興業製の白金黒」、パラジウムブラックとして「添川理化学製のパラジウム黒」、「Alfa Aesar製のPd-black」、「和光純薬工業製のPdblack」などが入手可能である。また、これらの粒子は、所望の粒子径、例えば、1~100nm程度となるように粉砕して使用することができる。
アノード触媒層におけるイリジウム元素の質量(Ir質量)と他の貴金属元素の質量(NM質量)に関しては、良好な水電解性能と確保するという観点からはIr質量が多い方が好ましく、一方、酸素ガス中の水素濃度の低減の観点からはNM質量が多い方が好ましい。これら効果を適切にバランスさせるという観点から、Ir質量とNM質量との比率(Ir質量:NM質量)は、51:49~99:1の範囲が好ましく、55:45~95:5の範囲がより好ましく、60:40~92:8の範囲がさらに好ましく、65:35~90:10の範囲が特に好ましい。
ここで、Ir質量およびNM質量の含有比率は、触媒層の断面画像から電子線マイクロアナライザー(EPMA)で分析を行い各元素の質量比率を測定することで算出可能である。
アノード触媒層において、単位面積当たりのイリジウム元素の質量は、0.2~2.0mg/cmの範囲が好ましく、0.4~1.5mg/cmの範囲がより好ましく、0.6~1.3mg/cmの範囲が特に好ましい。
アノード触媒層において、他の貴金属元素の単位面積当たりの質量は、上記の単位面積当たりのイリジウム元素の質量に基づいて、上記比率(Ir質量:NM質量)の範囲内で適宜設定することが好ましい。
アノード触媒層は、さらに、高分子電解質を含有することが好ましい。高分子電解質としては、前述の炭化水素系高分子電解質やフッ素系高分子電解質を用いることができる。水電解装置ではアノードは高電位環境にあるので、電気化学的酸化に対する耐性が比較的良好であるフッ素系高分子電解質を用いることが好ましく、さらにパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーが好ましい。
アノード触媒層において、触媒の質量(C)と高分子電解質の質量(I)との質量比(C/I)は、3.0以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、6.0以上が特に好ましい。また、上記比率は、15.0以下好ましく、14.0以下がより好ましく、13.0以下が特に好ましい。上記触媒の質量(C)とは、全触媒の添加形態における合計質量である。例えば、触媒担持粒子を用いた場合は、担体を含む質量である。後述のカソード触媒層における触媒の質量(C)も上記と同義である。
アノード触媒層の厚みは、ガス拡散性や耐久性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが特に好ましい。また、上記厚みは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。
[カソード触媒層]
カソード触媒層は、触媒として、白金族元素(白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、鉛、金、銀、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、これら金属の合金や酸化物が挙げられる。これらの中でも、白金が好ましい。
また、上記触媒を炭素粒子に担持させた(触媒金属担持炭素粒子)も好ましく用いられる。炭素粒子としては、微粒子状で導電性を有し、触媒との反応により腐食、劣化しないものであれば特に限定されることはないが、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、およびフラーレン粒子が好ましく使用できる。カソード触媒層における触媒としては、白金担持炭素粒子が好ましい。
カソード触媒層は、さらに、高分子電解質を含有することが好ましい。高分子電解質としては、前述の炭化水素系高分子電解質やフッ素系高分子電解質を用いることができる。これらの中でも、フッ素系高分子電解質が好ましく、さらにパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーが好ましい。
カソード触媒層において、触媒の質量(C)と高分子電解質の質量(I)との質量比(C/I)は、4.0未満が好ましく、3.5未満がより好ましく、3.0未満が特に好ましい。また、上記比率は、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.7以上が特に好ましい。
カソード触媒層の厚みは、ガス拡散性や耐久性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが特に好ましい。また、上記厚みは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。
[電解質膜の製造方法]
以下、電解質膜の製造方法について説明する。まず、第1の層の製造方法について説明する。第1の層は、例えば、製膜基材上に炭化水素系高分子電解質溶液を塗布、乾燥することによって製造することができる。上記製膜基材としては、特に制限はないが、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。製膜基材は、最終的には剥離除去されるものであり、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
第1の層は、多孔質基材と炭化水素系高分子電解質を含む複合層の片面もしくは両面に高分子電解質層を有する形態であってもよい。上記形態の製造方法としては、例えば、製膜基材上に塗布された炭化水素系高分子電解質溶液の上に多孔質基材を貼り合わせて含浸させる方法、さらに、上記方法で炭化水素系高分子電解質溶液が含浸した多孔質基材材上に炭化水素系高分子電解質溶液を塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
また、炭化水素系高分子電解質としては、イオン性基がアルカリ金属またはアルカリ土類金属の陽イオンと塩を形成している状態のものを用いることもできる。この場合は、製膜基材上に第1の質層を形成した後、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の陽イオンをプロトンと交換するための酸処理を施すことが好ましい。ここで、酸処理は公知の方法を採用することができる。
電解質膜は、上記のようにして製造された第1の層に、第2の層が積層されて製造される。積層方法としては、塗布方式または転写方式を採用することができる。
上記塗布方式は、製膜基材上に形成された第1の層に、第2の層用塗液を塗布、乾燥して積層する方法である。上記転写方式は、転写用基材に第2の層が積層された転写シートと、製膜基材上に形成された第1の層とを加熱プレスして、第1の層に第2の層を転写する方式である。転写用基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリイミドフィルムなどを用いることができる。これらの転写用基材は、第1の層と第2の層とを積層した後、適切な時期に剥離される。
また、触媒層付電解質膜の製造工程において、第1の層に、第2の層とアノード触媒層とを一緒に積層する方式も採用することができる。係る方式としては、例えば、製膜基材上に形成された第1の層と、転写用基材にアノード触媒層と第2の層とが順次積層された転写シートとを加熱プレスして、第1の層上に第2の層とアノード触媒層とを同時に積層する方式が挙げられる。
[触媒層付電解質膜の製造方法]
電解質膜に触媒層を積層する方法としては、例えば、塗布方式、転写方式、または塗布方式と転写方式との併用方式が挙げられる。これらの方式は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
塗布方式は、電解質膜上に触媒層用塗液を塗布する方式である。具体的には、電解質膜の第2の層側にアノード触媒層用塗液を塗布、乾燥してアノード触媒層を形成し、電解質膜の反対面にカソード触媒層用塗液を塗布、乾燥してカソード触媒層を形成する方法が挙げられる。アノード触媒層とカソード触媒層の積層順は、上記と逆であってもよい。塗布方式を採用する場合は、電解質膜の触媒層用塗液を塗布する面と反対面に製膜基材または新たな支持基材を積層しておくことが好ましい。
転写方式としては、転写用基材にアノード触媒層を積層したアノード触媒層転写シートと、転写用基材にカソード触媒層を積層したカソード触媒層転写シートをそれぞれ用意し、電解質膜の第2の質層側にアノード触媒層転写シートを、電解質膜の反対面にカソード触媒層転写シートを、それぞれ貼り合わせて、加熱プレスして、アノード触媒層とカソード触媒層をそれぞれ転写する方式が挙げられる。
塗布方式と転写方式との併用は、まず、電解質膜の第2の層側にアノード触媒層用塗液を塗布、乾燥してアノード触媒層を形成し、電解質膜の反対面にカソード触媒層転写シートを貼り合わせ、加熱プレスしてカソード触媒層を転写する方式が挙げられる。上記とは逆に、カソード触媒層用塗液を塗布し、アノード触媒層を転写する方式であってもよい。
また、後述の膜電極接合体の製造工程の中で、触媒層付電解質膜を完成させることができる。詳細は後述する。
[膜電極接合体]
膜電極接合体は、上記触媒層付電解質膜と、その両面に配置されるガス拡散層(ガス拡散電極)とを含む。具体的には、触媒層付電解質膜のカソード触媒層側にカソードガス拡散層を、アノード触媒層側にアノードガス拡散層を、それぞれ配置したものである。
ガス拡散層は、一般に、ガス透過性および電子伝導性を有する部材で構成されており、例えば、カーボン多孔質体や金属多孔質体が挙げられる。カーボン多孔質体としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンメッシュ、カーボン不織布等が挙げられる。金属多孔質体としては、金属メッシュ、発泡金属、金属織物、金属焼結体、金属不織布等が挙げられる。この金属としては、例えば、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル-クロム合金、銅およびその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等が挙げられる。
ガス拡散層には、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐための撥水処理や、水の排出路を形成するための部分的撥水処理および部分的親水処理や、抵抗を下げるための炭素粉末の添加等を行うこともできる。また、ガス拡散層には、触媒層付電解質膜側に、少なくとも無機導電性物質と疎水性ポリマーを含む導電性中間層を設けることもできる。特に、ガス拡散層が空隙率の大きい炭素繊維織物や不織布で構成されている場合、導電性中間層を設けることで、触媒溶液がガス拡散層にしみ込むことによる性能低下を抑えることができる。
ガス拡散層の厚みは、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、200μm以上が特に好ましい。また、2,000μm以下が好ましく、1,500μm以下がより好ましく、1,000μm以下が特に好ましい。
カソードガス拡散層とアノードガス拡散層とは同一材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。膜電極接合体を水電解装置に適用する場合は、カソードガス拡散層とアノードガス拡散層とは異なる材料で構成されていることが好ましい。例えば、カソードガス拡散層はカーボン多孔質体で構成され、アノードガス拡散層は金属多孔質体で構成されることが好ましい。
本発明の実施の形態に係る触媒層付電解質膜は、膜電極接合体の製造工程の中で完成させてもよい。例えば、ガス拡散層に触媒層が積層された触媒層付ガス拡散層と電解質膜とを接合することによって得られた形態であってもよい。具体的には、アノードガス拡散層にアノード触媒層が積層されたアノード触媒層付ガス拡散層と、カソードガス拡散層にカソード触媒層が積層されたカソード触媒層付ガス拡散層との間に電解質膜を配置して接合することによって、触媒層付電解質膜を完成させることができる。
本発明の膜電極接合体は、触媒層付電解質膜とガス拡散層あるいは電解質膜と触媒層付ガス拡散層とが、予め接合されたものであってもよいし、セル内に触媒層付電解質膜とガス拡散層とを配置あるいはセル内に電解質膜と触媒層付ガス拡散層とを配置した後の締め付け工程で接合されたものであってもよい。
[適用例]
本発明の触媒層付電解質膜および膜電極接合体は、それぞれ、種々の用途に適用可能である。例えば、体外循環カラム、人工皮膚などの医療用途、ろ過用用途、イオン交換樹脂用途、各種構造材用途、電気化学用途に適用可能である。中でも種々の電気化学用途により好ましく利用できる。電気化学用途としては、例えば、燃料電池、レドックスフロー電池、水電解装置、電気化学式水素圧縮装置等が挙げられるが、中でも水電解装置が好ましく、特に水電解式水素発生装置が好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各種測定条件は次の通りである。
(1)ポリマーの分子量
ポリマーの数平均分子量及び重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー(株)製HLC-8022GPCを用いた。また、GPCカラムとして東ソー(株)製TSK gel SuperHM-H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用いた。N-メチル-2-ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN-メチル-2-ピロリドン溶媒)にて、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。
(2)イオン交換容量(IEC)
以下の1)~4)に示す中和滴定法により測定した。測定は3回実施し、その平均値を取った。
1)プロトン置換し、純水で十分に洗浄したブロック共重合体の水分を拭き取った後、100℃にて12時間以上真空乾燥し、乾燥重量を求めた。
2)ブロック共重合体に5wt%硫酸ナトリウム水溶液を50mL加え、12時間静置してイオン交換した。
3)0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて、生じた硫酸を滴定した。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液0.1w/v%を加え、薄い赤紫色になった点を終点とした。
4)IECは下記式により求めた。
IEC(meq/g)=〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/ml)×滴下量(ml)〕/試料の乾燥重量(g)。
(3)電解質膜および触媒層の厚みの測定
下記条件に従い、電解質膜および触媒層付電解質膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、得られた画像から電解質膜における第1の層および第2の層、並びに触媒層の厚みをそれぞれ測定した。
装置:電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)S-4800(日立ハイテクノロジーズ製)
加速電圧:2.0kV
前処理:BIB法にて作製した断面試料にPtコートして測定した。
BIB法:アルゴンイオンビームを使用した断面試料作製装置。試料直上に遮蔽板を置き、その上からアルゴンのブロードイオンビームを照射してエッチングを行うことで観察面・分析面(断面)を作製する。
(4)水電解性能の評価
触媒層付電解質膜の水分解性能を評価するに当たり、下記の要領で膜電極接合体を作製した。
<膜電極接合体>
実施例および比較例で作製した触媒層付電解質膜のカソード触媒層側にカソードガス拡散層として市販のSGL社製ガス拡散電極24BCHを、アノード触媒層側にアノードガス拡散層として市販の多孔質チタン焼結体プレートをそれぞれ積層して、膜電極接合体を作製した。
[水電解性能の評価]
上記で作製した膜電極接合体を英和(株)製JARI標準セル“Ex-1”(電極面積25cm)にセットし、平均CCM圧力が4MPaとなるようセルを締結し、セル温度を80℃とした。カソード電極とアノード電極の双方に電気伝導度1μS/cm以下の脱イオン水を大気圧で0.2L/minの流量にて供給し、2A/cmの電流を印加して水電解反応により水素ガスと酸素ガスを製造した。このときのセルへの初期印可電圧を水電解性能とした。初期印加電圧が低いほど、水電解性能に優れる。
(5)酸素ガス中の水素ガス濃度の測定
上記水電解性能の評価条件において、印加電流密度を1A/cmに変更したこと以外は同じ条件で100時間運転した。運転開始から25時間毎に、アノードから排出される生成酸素ガスを採取し、この酸素ガスからから水を除去した後にガスクロマトグラフィー分析装置に導入し、以下の条件に従い酸素ガス中の水素ガス濃度(ppm、体積比)を測定し、平均した。
装置: アジレント・テクノロジー(株)製、490マイクロGC
カラム: アジレント・テクノロジー(株)製、部品番号493001360、タイプBF CHA 10m MS5A Unl, Facl
キャリアーガス:Ar
カラム温度:100℃。
(6)密着性の評価
電解質膜の第1の層と第2の層との密着性を以下の要領で評価した。電解質膜を2cm×2cmのサイズに切り出して試験片とした。この試験片を60℃のイオン交換水20gに10時間浸漬したときの第1の層と第2の層との密着性状態を観察し、以下の基準で評価した。
A:剥離および浮き上がりは確認できなかった。
B:剥離もしくは浮き上がりが確認された。
[ポリマーの合成]
[合成例1]
(下記化学式(G1)で表される2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン(K-DHBP)の合成)
攪拌器、温度計及び留出管を備えた500mLフラスコに、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン49.5g、エチレングリコール134g、オルトギ酸トリメチル96.9g及びp-トルエンスルホン酸一水和物0.50gを仕込み溶解した。その後78~82℃で2時間保温攪拌した。更に、内温を120℃まで徐々に昇温、ギ酸メチル、メタノール、オルトギ酸トリメチルの留出が完全に止まるまで加熱した。この反応液を室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液100mLで洗浄し分液後、溶媒を留去した。残留物にジクロロメタン80mLを加え結晶を析出させ、これを濾過し、乾燥して下記化学式(G1)で示される2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン52.0gを得た。この結晶をGC分析したところ99.9%の2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソランと0.1%の4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンであった。純度は99.9%であった。
Figure 2024072400000004
[合成例2]
(下記化学式(G2)で表されるジソジウム-3,3’-ジスルホネート-4,4’-ジフルオロベンゾフェノンの合成)
4,4’-ジフルオロベンゾフェノン109.1g(シグマアルドリッチジャパン(同)試薬)を発煙硫酸(50%SO)150mL(富士フイルム和光純薬(株)試薬)中、100℃で10時間反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩(NaCl)200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、下記化学式(G2)で示されるジソジウム-3,3’-ジスルホネート-4,4’-ジフルオロベンゾフェノンを得た。純度は99.3%であった。
Figure 2024072400000005
[合成例3]
(下記一般式(G3)で表される非イオン性オリゴマーa1の合成)
攪拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた2,000mLのSUS製重合装置に、炭酸カリウム16.59g(アルドリッチ試薬、120mmol)、合成例1で得たK-DHBP25.83g(100mmol)および4,4’-ジフルオロベンゾフェノン20.3g(アルドリッチ試薬、93mmol)を入れた。窒素置換後、N-メチルピロリドン(NMP)300mLとトルエン100mLを加え、150℃で脱水後、昇温してトルエンを除去し、170℃で3時間重合を行った。多量のメタノールで再沈殿精製を行い、非イオン性オリゴマーa1の末端ヒドロキシ体を得た。この非イオン性オリゴマーa1の末端ヒドロキシ体の数平均分子量は10,000であった。
攪拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた500mL三口フラスコに、炭酸カリウム1.1g(シグマアルドリッチジャパン(同)試薬、8mmol)、上記非イオン性オリゴマーa1の末端ヒドロキシ体20.0g(2mmol)を入れた。装置内を窒素置換した後、NMP100mL及びトルエン30mLを加え、100℃で脱水後、昇温してトルエンを除去した。さらに、ヘキサフルオロベンゼン2.2g(シグマアルドリッチジャパン(同)試薬、12mmol)を加え、105℃で12時間反応を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿精製を行い、下記一般式(G3)で示される非イオン性オリゴマーa1(末端:フルオロ基)を得た。数平均分子量は11,000であった。
Figure 2024072400000006
[合成例4]
(下記一般式(G4)で表されるイオン性オリゴマーa2の合成)
撹拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた2,000mLのSUS製重合装置に、炭酸カリウム27.6g(シグマアルドリッチジャパン(同)試薬、200mmol)、合成例1で得たK-DHBP12.9g(50mmol)、4,4’-ビフェノール9.3g(シグマアルドリッチジャパン(同)試薬、50mmol)、合成例2で得たジソジウム-3,3’-ジスルホネート-4,4’-ジフルオロベンゾフェノン39.3g(93mmol)、および18-クラウン-6 17.9g(富士フイルム和光純薬(株)82mmol)を入れ、窒素置換後、NMP300mL及びトルエン100mLを加え、150℃で脱水後、昇温してトルエンを除去し、170℃で6時間重合を行った。多量のイソプロピルアルコールで再沈殿精製を行い、下記一般式(G4)で示されるイオン性オリゴマーa2(末端:ヒドロキシ基)を得た。数平均分子量は16,000であった。なお、一般式(G4)において、Mは、水素原子、NaまたはKを表す。
Figure 2024072400000007
[合成例5]
(下記化学式(G5)で表される3-(2,5-ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの合成)
攪拌機、冷却管を備えた3Lの三口フラスコに、クロロスルホン酸245g(2.1mol)を入れ、続いて2,5-ジクロロベンゾフェノン105g(420mmol)を加え、100℃のオイルバスで8時間反応させた。所定時間後、反応液を砕氷1,000gにゆっくりと注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、淡黄色の粗結晶3-(2,5-ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸クロリドを得た。粗結晶は精製せず、そのまま次工程に用いた。
2,2-ジメチル-1-プロパノール(ネオペンチルアルコール)41.1g(462mmol)をピリジン300mLに加え、約10℃に冷却した。ここに上記で得られた粗結晶を約30分かけて徐々に加えた。全量添加後、さらに30分撹拌し反応させた。反応後、反応液を塩酸水1,000mL中に注ぎ、析出した固体を回収した。得られた固体を酢酸エチルに溶解させ、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去し、粗結晶を得た。これをメタノールで再結晶し、下記化学式(G5)で示される3-(2,5-ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルの白色結晶を得た。
Figure 2024072400000008
[合成例6]
(下記一般式(G6)で表される非イオン性オリゴマーの合成)
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,6-ジクロロベンゾニトリル49.4g(0.29mol)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン88.4g(0.26mol)、炭酸カリウム47.3g(0.34mol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346mL、トルエン173mLを加えて攪拌した。フラスコをオイルバスにつけ、150℃に加熱還流させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を徐々に上げながら大部分のトルエンを除去した後、200℃で3時間反応を続けた。次に、2,6-ジクロロベンゾニトリル12.3g(0.072mol)を加え、さらに5時間反応した。
得られた反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を2lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解した。これをメタノール2Lに再沈殿し、下記一般式(G6)で表される目的の非イオン性オリゴマー107g得た。数平均分子量は11,000であった。
Figure 2024072400000009
[合成例7]
(下記化学式(G8)で表されるセグメントと下記一般式(G9)で表されるセグメントからなるポリエーテルスルホン(PES)系ブロック共重合体前駆体b1の合成)
無水塩化ニッケル1.62gとジメチルスルホキシド15mLとを混合し、70℃に調整した。これに、2,2’-ビピリジル2.15gを加え、同温度で10分撹拌し、ニッケル含有溶液を調製した。
ここに、2,5-ジクロロベンゼンスルホン酸(2,2-ジメチルプロピル)1.49gと下記一般式(G7)で示される、スミカエクセルPES5200P(住友化学(株)製、Mn=40,000、Mw=94,000)0.50gとを、ジメチルスルホキシド5mLに溶解させて得られた溶液に、亜鉛粉末1.23gを加え、70℃に調整した。これに上記ニッケル含有溶液を注ぎ込み、70℃で4時間重合反応を行った。反応混合物をメタノール60mL中に加え、次いで、6mol/L塩酸60mLを加え1時間攪拌した。析出した固体を濾過により分離し、乾燥し、灰白色の下記一般式(G8)と下記一般式(G9)で表されるセグメントを含むブロック共重合体前駆体b1を得た。重量平均分子量は23万であった。
Figure 2024072400000010
Figure 2024072400000011
Figure 2024072400000012
[第1の層用塗液の調製]
以下の要領で、各種の炭化水素系高分子電解質を含む塗液p1~p4をそれぞれ調製した。また、フッ素系高分子電解質P5を含む塗液p5として市販品を用意した。
[塗液p1]:ポリエーテルケトン系ブロック共重合体(PEKブロック)を含む
撹拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた2,000mLのSUS製重合装置に、16gのイオン性オリゴマーa2及び11gの非イオン性オリゴマーa1を入れ、オリゴマーの総仕込み量が7wt%となるようにNMPを加えて、105℃で24時間反応を行った。
多量のイソプロピルアルコール/NMP混合液(重量比2/1)への再沈殿を行い、得られた沈殿をろ過により回収し多量のイソプロピルアルコールで洗浄してポリエーテルケトン系ブロック共重合体を得た。重量平均分子量は34万であった。このポリエーテルケトン系ブロック共重合体のイオン交換容量(IEC)は2.1meq/gであった。続いてブロック共重合体をNMPに溶解させ、1μmのポリプロピレン製フィルターを用いて加圧ろ過し、塗液p1(高分子電解質濃度13質量%)を得た。塗液p1の粘度は1,300mPa・sであった。
[塗液p2]:ポリエーテルケトン系ランダム共重合体(PEKランダム)を含む
撹拌機、窒素導入管、Dean-Starkトラップを備えた5Lの反応容器に、合成例1で合成した2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン129g、4,4’-ビフェノール93g(シグマアルドリッチジャパン(同)試薬)、および合成例2で合成したジソジウム-3,3’-ジスルホネート-4,4’-ジフルオロベンゾフェノン422g(1.0mol)を入れた。容器内を窒素置換した後、NMP 3,000g、トルエン450g、18-クラウン-6 232g(富士フイルム和光純薬(株)試薬)を加えた。モノマーが全て溶解したことを確認した後、炭酸カリウム304g(シグマアルドリッチジャパン(同)試薬)を加え、環流しながら160℃で脱水した。その後、昇温してトルエン除去し、200℃で1時間脱塩重縮合を行った。得られたポリエーテルケトン系ランダム共重合体の重量平均分子量は32万、イオン交換容量(IEC)は2.1であった。
次に重合原液の粘度が500mPa・sになるようにNMPを添加して希釈した。(株)久保田製作所製インバーター・コンパクト高速冷却遠心機(型番6930)にアングルローターRA-800をセットし、25℃で30分間、遠心力20,000Gで重合原液の直接遠心分離を行った。沈降固形物(ケーキ)と上澄み液(塗液)がきれいに分離できたので上澄み液を回収した。次に、撹拌しながら80℃で減圧蒸留し、ポリマー濃度が14質量%になるまでNMPを除去し、さらに5μmのポリエチレン製フィルターで加圧濾過して、塗液p2を得た。この塗液p2の粘度は1,000mPa・sであった。
[塗液p3]:下記一般式(G10)で表されるポリアリーレン系ブロック共重合体(ポリアリーレン)を含む
乾燥したN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)540mLを、3-(2,5-ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.0g(0.336mol)と、合成例6で合成した一般式(G6)で表される非イオン性オリゴマーを40.7g(5.6mmol)、2,5-ジクロロ-4’-(1-イミダゾリル)ベンゾフェノン6.71g(16.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(0.137mol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、亜鉛53.7g(0.821mol)の混合物中に窒素下で加えた。
反応系を撹拌下に加熱し(最終的には79℃まで加温)、3時間反応させた。反応途中で系中の粘度上昇が観察された。重合反応溶液をDMAc730mLで希釈し、30分撹拌し、セライトを濾過助剤に用い、濾過した。
濾液をエバポレーターで濃縮し、濾液に臭化リチウム43.8g(0.505mol)を加え、内温110℃で7時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、室温まで冷却し、アセトン4Lに注ぎ、凝固した。凝固物を濾集、風乾後、ミキサーで粉砕し、1N塩酸1,500mLで攪拌しながら洗浄を行った。濾過後、生成物を洗浄液のpHが5以上となるまでイオン交換水で洗浄した。その後、80℃で一晩乾燥し、ポリアリーレン系ブロック共重合体を23.0g得た。このポリアリーレン系ブロック共重合体の重量平均分子量は19万、イオン交換容量(IEC)は2.0であった。得られたポリアリーレン系ブロック共重合体P3を、0.1g/gとなるように、N-メチル-2-ピロリドン/メタノール=30/70(質量%)の混合有機溶媒に溶解して、塗液p3を得た。塗液p3の粘度は1,200mPa・sであった。
Figure 2024072400000013
[塗液p4]:ポリエーテルスルホン系ブロック共重合体(PESブロック)を含む
合成例7で得られたブロック共重合体前駆体b1を0.23g計量し、臭化リチウム一水和物0.16gとNMP8mLとの混合溶液に加え、120℃で24時間反応させた。反応混合物を、6mol/L塩酸80mL中に注ぎ込み、1時間撹拌した。析出した固体を濾過により分離した。分離した固体を乾燥し、灰白色の前記一般式(G9)で示されるセグメントと下記化学式(G11)で表されるセグメントからなるブロック共重合体P4を得た。得られたポリエーテルスルホン系ブロック共重合体の重量平均分子量は19万、イオン交換容量(IEC)は2.0であった。得られたポリエーテルスルホン系ブロック共重合体を、0.1g/gとなるように、N-メチル-2-ピロリドン/メタノール=30/70(質量%)有機溶媒に溶解して、塗液p4を得た。塗液p4の粘度は1,300mPa・sであった。
Figure 2024072400000014
[塗液p5]:フッ素系高分子電解質を含む
市販の“Nafion”(登録商標)分散液(ケマーズ(Chemours)(株)製、品番D2020)を塗液p5として用いた。
[第2の層用塗液の調製]
以下の要領で、塗液q1~q2をそれぞれ調製した。
[塗液q1]
・フッ素系高分子電解質:ケマーズ(Chemours)(株)製の「“Nafion”(登録商標)品番D2020」を固形分換算で10質量部
・粒子:カーボンブラック(Cabot Corporation製“VULCAN”(登録商標)XC72:平均粒子径30nm)を8質量部
・溶媒:水と1-プロピルアルコールとの質量比4:6の混合溶媒
上記の粒子とポリマーを溶媒中でビーズミルを用いて分散して、固形分濃度が10質量%になるように調製した。
[塗液q2の調製]
粒子(カーボンブラック)を添加しないこと以外は、塗液q1と同様にして調製した。
[実施例1]
以下の要領で触媒層付電解質膜を作製した。
〔電解質膜の作製〕
〔第1の層の作製〕
“カプトン”(登録商標)テープを用いて東レ(株)製PETフィルム“ルミラー”(登録商標)125T60をSUS板に張り合わせて固定した。PETフィルム上に塗液p1を流延塗布した後、100℃にて4時間乾燥しフィルム状膜を得た。このフィルム状膜を10質量%硫酸水溶液に80℃で24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、第1の層(膜厚90μm)を得た。
〔第2の層の積層〕
第1の層上に塗液q1を流延塗布し、100℃にて2時間乾燥することにより、第1の層上に第2の層(膜厚8μm)を積層した。
〔触媒層付電解質膜の作製〕
上記で得られた電解質膜の第2の層側に下記のアノード触媒層転写シート1、電解質膜の第1の層側に下記のカソード触媒層転写シート1をそれぞれ重ね合わせ、150℃、5MPaで3分間加熱プレスを行い、加圧した状態で40℃以下まで降温させてから圧力を開放し、触媒層付電解質膜を得た。
<アノード触媒層転写シート1の作製>
市販のポリテトラフルオロエチレン製フィルムに下記のアノード触媒層用塗液1を、イリジウム量が1.0mg/cmとなるように流延塗布し100℃にて1時間乾燥することにより、アノード触媒層転写シートを作製した。
<アノード触媒層用塗液1>
・イリジウム:市販の酸化イリジウム粒子をイリジウム元素換算で15質量部
・白金:市販の白金黒粒子を白金元素換算で3質量部
・フッ素系高分子電解質:ケマーズ(株)製の“Nafion”(登録商標)品番D2020を固形分換算で4質量部
酸化イリジウムと白金黒に水を9質量部、t-ブタノール60質量部、Nafion、1-プロパノール9質量部を添加し、よく混合した後、ビーズミルで分散して調製した。この塗液1におけるイリジウム元素の質量(Ir質量)と白金元素の質量(NM質量)との比率(Ir質量:NM質量)は、83:17であった。
<カソード触媒層転写シート1の作製>
市販のポリテトラフルオロエチレン製フィルムに下記のカソード触媒層用塗液1を、白金量が0.3mg/cmとなるように流延塗布し100℃にて4時間乾燥することにより、カソード触媒層転写シートを作製した。
<カソード触媒層用塗液1>
・触媒:田中貴金属工業(株)製白金触媒担持炭素粒子TEC10E50E(白金担持率50質量%)を10質量部
・フッ素系高分子電解質:ケマーズ(株)製の“Nafion”(登録商標)品番D2020を固形分換算で5質量部
白金触媒担持炭素粒子に水を22質量部、Nafion、1-プロパノールを63質量部を添加し、よく混合した後、ビーズミルで分散して調製した。
[実施例2]
第1の層の作製において、塗液p2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[実施例3]
第1の層の作製において、塗液p3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[実施例4]
第1の層の作製において、塗液p4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[実施例5]
第2の層の作製において、塗液q2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[実施例6]
第1の層の膜厚を50μmに変更し、かつ第2の層の膜厚を6μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[実施例7]
第2の層の膜厚を15μmに変更すること以外は、実施例1と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[実施例8]
第2の層の膜厚を15μmに変更すること以外は、実施例3と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[実施例9]
第2の層の作製において、塗液q2を用い、かつ膜厚を35μmに変更すること以外は、実施例4と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[比較例1]
電解質膜の作製において、第2の層を積層しないこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
[比較例2]
下記のアノード触媒層転写シート2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして触媒層付電解質膜を作製した。
<アノード触媒層転写シート2の作製>
上記アノード触媒層用塗液1から白金を除いたこと以外は、アノード触媒層転写シート1と同様にして作成した。
[比較例3]
第1の層用塗液を塗液p5に変更したこと以外は実施例1と同様にして第1の層を作製し、第2の層は積層せずに第1の層のみからなる電解質膜を得た。この電解質膜と上記アノード触媒層転写シート2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして触媒層付電解質膜を作製した。
[実施例10]
下記のアノード触媒層転写シート3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解質膜および触媒層付電解質膜を作製した。
<アノード触媒層転写シート3の作製>
市販のポリテトラフルオロエチレン製フィルムに下記のアノード触媒層用塗液3を、イリジウム量が1.0mg/cmとなるように流延塗布し100℃にて1時間乾燥することにより、アノード触媒層転写シートを作製した。
<アノード触媒層用塗液3>
・イリジウム:市販の酸化イリジウム粒子をイリジウム元素換算で15質量部
・パラジウム:市販のパラジウム黒粒子をパラジウム元素換算で3質量部
・フッ素系高分子電解質:ケマーズ(株)製の“Nafion”(登録商標)品番D2020を固形分換算で5質量部
酸化イリジウムとパラジウム黒に水を9質量部、t-ブタノール60質量部、Nafion、1-プロパノール9質量部を添加し、よく混合した後、ビーズミルで分散して調製した。この塗液3におけるイリジウム元素の質量(Ir質量)と白金元素の質量(NM質量)との比率(Ir質量:NM質量)は、83:17であった。
[評価]
上記実施例および比較例で作製した触媒層付電解質膜について、水電解性能、酸素ガス中の水素ガス濃度および密着性を評価した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2024072400000015
1 触媒層付電解質膜
10 電解質膜
11 第1の層
12 第2の層
13 第一主面
14 第二主面
20 カソード触媒層
30 アノード触媒層

Claims (14)

  1. 電解質膜と、前記電解質膜の第一主面側に配置されるカソード触媒層と、前記電解質膜の第二主面側に配置されるアノード触媒層と、を有する触媒層付電解質膜であって、前記アノード触媒層が、イリジウム元素と、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、金、銀およびオスミウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属元素と、を含み、前記電解質膜が、前記第一主面を有し炭化水素系高分子電解質を含む第1の層と、前記第二主面を有しフッ素系高分子電解質を含む第2の層と、を有し、前記第1の層の厚さが前記第2の層の厚さより大きいことを特徴とする、触媒層付電解質膜。
  2. 前記貴金属元素が白金およびパラジウムのいずれかまたは双方である、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  3. 前記貴金属元素が、貴金属元素を含む粒子の形態で含まれる、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  4. 前記イリジウム元素が、イリジウム元素を含む粒子の形態で含まれる、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  5. 前記イリジウム元素が酸化イリジウムの形態で含まれる、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  6. 前記アノード触媒層における前記イリジウム元素の質量(Ir質量)と前記貴金属元素の質量(NM質量)との比率(Ir質量:NM質量)が51:49~99:1の範囲である、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  7. 前記アノード触媒層がフッ素系高分子電解質を含む、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  8. 前記カソード触媒層が白金を含む、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  9. 前記炭化水素系高分子電解質が芳香族炭化水素系ポリマーを含む、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  10. 前記第1の層の厚みが40μm以上250μm以下であり、前記第2の層の厚みが1μm以上30μm以下である、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  11. 前記第1の層の厚み(T1)に対する前記第2の層の厚み(T2)の比率(T2/T1)が0.05以上0.30以下である、請求項1に記載の触媒層付電解質膜。
  12. 水電解装置に用いられる、請求項1~11のいずれかに記載の触媒層付電解質膜。
  13. 請求項1~11のいずれかに記載の触媒層付電解質膜を含む、膜電極接合体。
  14. 請求項13に記載の膜電極接合体を含む、水電解装置。
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