JP2024071975A - 結晶粒度特性に優れた真空浸炭用鋼 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結晶粒度特性に優れ、また、靭性及び曲げ疲労に優れる浸炭鋼部品の提供。【解決手段】 質量%で、C:0.15~0.30%、Si:0.05~2.00%、Mn:0.10~0.50%未満、Cr:1.3~2.5%、Nb:0.020~0.100%、Al:0.020~0.100%、N:0.0040~0.0300%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、を満足する、真空浸炭用鋼。【選択図】 なし
Description
本発明は、真空浸炭に好適な結晶粒度特性の優れた肌焼鋼である真空浸炭用鋼に関する。
鋼材を部品に成形し、浸炭して鋼製部品を得る場合の浸炭方法として、現状の一般法ではガス浸炭が用いられている。加えて、最近では真空浸炭も採用されることがある。真空浸炭とは、鋼を真空中で加熱し、これに浸炭性ガスを導入して浸炭させた後、再び真空中で拡散処理させる手順を含む処理である。
現状の一般的方法であるガス浸炭に比して、真空浸炭には以下の利点がある。
1) 真空中で処理を行うため鋼材表面に粒界酸化層がみられず、各種強度の低減を回避することができる。
2) 高温での浸炭処理が可能なため、迅速な浸炭が可能である。
1) 真空中で処理を行うため鋼材表面に粒界酸化層がみられず、各種強度の低減を回避することができる。
2) 高温での浸炭処理が可能なため、迅速な浸炭が可能である。
もっとも、真空浸炭は上述の効果を有するものの、高温で実施された真空浸炭により製造された浸炭部品では、浸炭層、特に最表面で結晶粒の粗大化が生じやすいものとなる。この粗大粒は靭性及び曲げ疲労強度を低下させることがある。
従来から、真空浸炭で浸炭された浸炭部品等として、たとえば以下のような提案がなされている。
質量%で、C:0.1~0.3%、Si:0.5~3.0%、Mn:0.3~3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cu:0.01~1.00%、Ni:0.01~3.00%、Cr:0.3~1.0%、Al:0.20%以下およびN:0.05%以下を含有し、残部が不可避な不純物およびFeからなり、[Si%]+[Ni%]+[Cu%]-[Cr%]>0.5の条件を満たす合金組成を有する浸炭用鋼を部品形状に成形し、真空浸炭により浸炭して得た浸炭部品が提案されている(特許文献1参照。)
また、表面から1.5mm以上の深さ領域において、成分組成が、質量%で、C:0.10~0.40%、Si:0.10~3.00%、Mn:0.50~3.00%、Cr:0.30~3.00%、Al:0.010~0.050%、N:0.003~0.030%、S:0.003~0.030%、P:0.030%以下、Mo:0~3.00%、B:0~0.0050%、Nb:0~0.100%、Ti:0~0.100%、V:0~0.30%、Ni:0~0.40%、In:0~0.02%、Cu:0~0.20%、Bi:0~0.300%、Pb:0~0.50%、及びREM:0~0.020%を含有し、残部がFe及び不純物であり、表面から1.5mm深さのビッカース硬さが200~400HVであり、表面から0.10mmまでの深さ領域において、Cの含有量が質量%で、0.60~1.20%、焼入れ組織の分率が面積率で99.00%以上、粒界セメンタイト分率が面積率で0.50%以下、及び不完全焼入れ組織の分率が面積率で0.50%以下である、ことを特徴とする浸炭部品が、提案されている(特許文献2参照。)。
また、他にも、C:0.10~0.35%、Si:0.50%以下、Mn:0.30~1.50%、Cr:1.10~2.00%、P:0.02%以下、S:0.05%以下、Al:0.01~0.05%およびN:0.030%以下を含み、残部はFe及び不可避的不純物である成分組成を有し、
表面から深さ0.05mm位置におけるセメンタイト分率が5%以下、表面からの深さ0.05mm位置における硬度がHV600以上、表面からの深さ0.05mm位置におけるオーステナイト粒径が粒度5番以上、および、表面からの深さ0.10mm位置における硬度がHV650以上である浸炭鋼が提案されている(特許文献3参照。)。
表面から深さ0.05mm位置におけるセメンタイト分率が5%以下、表面からの深さ0.05mm位置における硬度がHV600以上、表面からの深さ0.05mm位置におけるオーステナイト粒径が粒度5番以上、および、表面からの深さ0.10mm位置における硬度がHV650以上である浸炭鋼が提案されている(特許文献3参照。)。
もっとも特許文献1、2ではオーステナイトの結晶粒度が規定されていないため、靭性が十分に考慮されておらず、品質にバラツキが生じ十分とはいえなかった。
また、特許文献1ではMnを焼入性向上のために添加しているが、Mnが0.50%以上であると、焼準あるいは焼鈍により現れるフェライト・パーライト組織の結晶粒が15μm未満と小さくなりやすいので、かえって浸炭時に結晶粒の粗大化を招くこととなる。
また、特許文献1ではMnを焼入性向上のために添加しているが、Mnが0.50%以上であると、焼準あるいは焼鈍により現れるフェライト・パーライト組織の結晶粒が15μm未満と小さくなりやすいので、かえって浸炭時に結晶粒の粗大化を招くこととなる。
また、特許文献3では主に浸炭処理方法により粗大粒の抑制を試みているが、ピンニング粒子を形成する成分が考慮されておらず、靭性に影響を与える芯部硬さが評価されていないなど十分とはいえなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、浸炭層表面部で粗大な結晶粒が発生しやすい高温での真空浸炭において、粗大な結晶粒の発生を安定的に抑制し、結晶粒度特性に優れ、また、靭性及び曲げ疲労に優れる肌焼鋼とこれを用いた浸炭鋼部品を提供することである。
そこで、発明者らは鋭意検討の結果、化学成分を規定し、Nb、Al、Nを適正化するによって結晶粒が微細化しうる真空浸炭用鋼を得ることができ、また1050℃以下で真空浸炭処理することによって、オーステナイト粒径が結晶粒度番号で6以上の浸炭鋼部品が得られることを見出した。
そして、課題を解決するための第1の手段は、質量%で、C:0.15~0.30%、Si:0.05~2.00%、Mn:0.10~0.50%未満、Cr:1.3~2.5%、Nb:0.020~0.100%、Al:0.020~0.100%、N:0.0040~0.0300%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、を満足する、真空浸炭用鋼である。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
その第2の手段は、第1の手段に記載の成分に加えて、選択的成分として、質量%で、Ti:0.020~0.200%、B:0.0050%以下、V:0.01~0.50%のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、を満足する、真空浸炭用鋼である。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
その第3の手段は、第1又は第2の手段のいずれかに記載の成分に加えて、選択的成分として、質量%で、Ni:1.0%以下、Mo:1.0%以下のいずれか1種または2種を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼である。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
を満足する、真空浸炭用鋼である。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。
第4の手段は、第1~3のいずれか1の手段に記載の鋼を用いた浸炭された状態の浸炭鋼部品であって、表面から深さ5.0mmにおける硬度が200~500Hvである浸炭鋼部品である。
第5の手段は、第1~3のいずれか1の手段に記載の鋼を用いた、1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品であって、その表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上である、浸炭鋼部品である。
第6の手段は、第1~3のいずれか1の手段に記載の鋼を用いた、1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品であって、その表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上であり、表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上である、浸炭鋼部品である。
第7の手段は、第1~3のいずれか1の手段に記載の鋼を用いた、1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品であって、その表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上であり、表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で7番以上である、浸炭鋼部品である。
第8の手段は、第5~7のいずれか1の手段に記載の浸炭鋼部品であって、表面から深さ5.0mmにおける硬度が200~500Hvである浸炭鋼部品である。
本発明の鋼を用いて、1050℃以下で真空浸炭した浸炭鋼部品は、その表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径の結晶粒度番号が6以上となり、また、表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径の結晶粒度番号も6番以上となり、粗大な結晶粒の発生を安定的に抑制しうるものとなっている。また、本発明の鋼を用いた浸炭鋼部品は、25J/cm2以上の衝撃値であるから靭性に優れ、また500MPa以上の1.0×107サイクル疲労限を確保することができる。そこで、本発明によると、結晶粒度特性、靭性及び曲げ疲労に優れる肌焼鋼と、これを用いた浸炭鋼部品を得ることができる。
本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明の真空浸炭用肌焼鋼の化学成分について説明する。なお化学成分の%は質量%である。
C:0.15~0.30%、
Cは、素材硬さを上昇させる成分である。Cが0.15%未満であると、浸炭後の芯部硬さが低下し、強度が不足することとなる。他方、Cが過多になると、素材硬さが上昇しすぎて、加工性が低下し、芯部靭性が低下することとなる。この観点から、Cは0.30%以下とする。好ましくは、Cは0.25%以下である。
Cは、素材硬さを上昇させる成分である。Cが0.15%未満であると、浸炭後の芯部硬さが低下し、強度が不足することとなる。他方、Cが過多になると、素材硬さが上昇しすぎて、加工性が低下し、芯部靭性が低下することとなる。この観点から、Cは0.30%以下とする。好ましくは、Cは0.25%以下である。
Si:0.05~2.00%、
Siは、脱酸剤として有用な成分であり、素材硬さも向上する成分である。Siが不足すると脱酸が十分になされないこととなるので、Siは0.05%以上必要である。好ましくは、Siは0.30%以上である。他方、Siが過剰であると、素材硬さが上昇することで加工性が低下することとなる。そこで、Siは2.00%以下とする。好ましくは、Siは0.80%以下である。
Siは、脱酸剤として有用な成分であり、素材硬さも向上する成分である。Siが不足すると脱酸が十分になされないこととなるので、Siは0.05%以上必要である。好ましくは、Siは0.30%以上である。他方、Siが過剰であると、素材硬さが上昇することで加工性が低下することとなる。そこで、Siは2.00%以下とする。好ましくは、Siは0.80%以下である。
Mn:0.10~0.50%未満、
Mnは、焼入れ性の向上に有用な成分である。そこでMnは0.10%以上とする。好ましくはMnは0.15%以上である。他方、Mnが過多になると、機械加工性が低下し、また浸炭時に結晶粒の粗大化が発生しやすくなる。そこで、Mnは0.50%未満とする。好ましくは、Mnは0.40%以下である。
Mnは、焼入れ性の向上に有用な成分である。そこでMnは0.10%以上とする。好ましくはMnは0.15%以上である。他方、Mnが過多になると、機械加工性が低下し、また浸炭時に結晶粒の粗大化が発生しやすくなる。そこで、Mnは0.50%未満とする。好ましくは、Mnは0.40%以下である。
Cr:1.3~2.5%、
Crは、焼入れ性と素材硬さの向上に有用な成分である。Crが過少であると、焼入れ性が低下し、強度も低下することとなる。そこで、Crは1.3%以上とする。好ましくはCrは1.5%以上である。他方、Crが過多であると素材硬さの上昇に伴い加工性が低下してしまうこととなる。そこで、Crは2.5%以下とする。好ましくは、Crは2.2%以下である。
Crは、焼入れ性と素材硬さの向上に有用な成分である。Crが過少であると、焼入れ性が低下し、強度も低下することとなる。そこで、Crは1.3%以上とする。好ましくはCrは1.5%以上である。他方、Crが過多であると素材硬さの上昇に伴い加工性が低下してしまうこととなる。そこで、Crは2.5%以下とする。好ましくは、Crは2.2%以下である。
Nb:0.020~0.100%、
Nbは、微細な炭窒化物を生成させ、結晶粒の粗大化を抑制に有用な成分である。Nbが過少であると、微細な炭窒化物に不足し、結晶粒粗大化抑制の効果が小さいものとなるので、靭性が低下したり、疲労強度に不足するものとなりやすい。そこで、Nbは0.020%以上とする。他方、Nbが過多であると、炭窒化物の量が過剰となり、加工性が低下することとなる。そこで、Nbは0.100%以下とする。好ましくはNbは0.080%以下である。
Nbは、微細な炭窒化物を生成させ、結晶粒の粗大化を抑制に有用な成分である。Nbが過少であると、微細な炭窒化物に不足し、結晶粒粗大化抑制の効果が小さいものとなるので、靭性が低下したり、疲労強度に不足するものとなりやすい。そこで、Nbは0.020%以上とする。他方、Nbが過多であると、炭窒化物の量が過剰となり、加工性が低下することとなる。そこで、Nbは0.100%以下とする。好ましくはNbは0.080%以下である。
Al:0.020~0.100%
Alは、脱酸材として有用な成分であり、また微細な窒化物を生成することで結晶粒の粗大化を抑制する成分である。Alが過少であると、微細な窒化物が不足し、結晶粒が粗大化しやすくなるので、靭性が低下したり、疲労特性が低下することとなる。そこでAlは0.020%以上とする。他方、Alが過多であると、アルミナ系酸化物が増加し、疲労特性や加工性が低下することとなる。そこで、Alは0.100%以下とする。好ましくはAlは0.050%以下である。
Alは、脱酸材として有用な成分であり、また微細な窒化物を生成することで結晶粒の粗大化を抑制する成分である。Alが過少であると、微細な窒化物が不足し、結晶粒が粗大化しやすくなるので、靭性が低下したり、疲労特性が低下することとなる。そこでAlは0.020%以上とする。他方、Alが過多であると、アルミナ系酸化物が増加し、疲労特性や加工性が低下することとなる。そこで、Alは0.100%以下とする。好ましくはAlは0.050%以下である。
N:0.0040~0.0300%、
Nは、微細な炭窒化物を生成し結晶粒の粗大化抑制に有用な成分である。Nが過少であると、微細な炭窒化物が不足することとなり、結晶粒が粗大化しやすくなるので、靭性や疲労特性が低下しやすくなる。そこで、Nは0.0040%以上とする。Nが過多であると、粗大な炭窒化物が形成されることとなり、疲労特性が低下し、また加工性も低下しやすくなる。そこで、Nは0.0300%以下とする。好ましくはNは0.0200%以下である。
Nは、微細な炭窒化物を生成し結晶粒の粗大化抑制に有用な成分である。Nが過少であると、微細な炭窒化物が不足することとなり、結晶粒が粗大化しやすくなるので、靭性や疲労特性が低下しやすくなる。そこで、Nは0.0040%以上とする。Nが過多であると、粗大な炭窒化物が形成されることとなり、疲労特性が低下し、また加工性も低下しやすくなる。そこで、Nは0.0300%以下とする。好ましくはNは0.0200%以下である。
残部はFe及び不可避的不純物である。そこで、次に鋼中に不可避的不純物として含有されるP、S、Cuの上限を規定する理由を説明する。
P:0.030%以下
Pは不可避的不純物として鋼中に含有されることがあるが、Pが過多であると、粒界偏析により靭性が低下する。そこで、Pは0.030%以下とする。
Pは不可避的不純物として鋼中に含有されることがあるが、Pが過多であると、粒界偏析により靭性が低下する。そこで、Pは0.030%以下とする。
S:0.030%以下
Sは不可避的不純物として鋼中に含有されることがあるが、Sが過多であると、MnSの形成によって靭性が低下し、また疲労強度も低下することとなる。そこで、Sは0.030%以下とする。
Sは不可避的不純物として鋼中に含有されることがあるが、Sが過多であると、MnSの形成によって靭性が低下し、また疲労強度も低下することとなる。そこで、Sは0.030%以下とする。
Cu:0.30%以下
Cuは不可避的不純物として鋼中に含有されることがあるが、Cuが過多であると、熱間加工性が低下する。そこで、Cuは0.30%以下とする。
Cuは不可避的不純物として鋼中に含有されることがあるが、Cuが過多であると、熱間加工性が低下する。そこで、Cuは0.30%以下とする。
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式Aの値は、3[Al]+4[Nb]で求められる。[Al][Nb]には、該当する化学成分の%の値を代入する。式Aは、靭性や疲労特性に関わる指標である。
式Aの値が、0.12を下回ると、ピンニング粒子が不足し、結晶粒が粗大化することから、靭性や疲労特性が低下することとなる。他方、式Aの値が0.50を超えると、炭窒化物の量が過剰となるので、加工性が低下することとなる。
そこで、式Aは、0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50とする。好ましくは、式Aは、0.15≦3[Al]+4[Nb]≦0.45である。
式Aの値は、3[Al]+4[Nb]で求められる。[Al][Nb]には、該当する化学成分の%の値を代入する。式Aは、靭性や疲労特性に関わる指標である。
式Aの値が、0.12を下回ると、ピンニング粒子が不足し、結晶粒が粗大化することから、靭性や疲労特性が低下することとなる。他方、式Aの値が0.50を超えると、炭窒化物の量が過剰となるので、加工性が低下することとなる。
そこで、式Aは、0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50とする。好ましくは、式Aは、0.15≦3[Al]+4[Nb]≦0.45である。
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
式Bの値は、[N]/[Al]で求まる。[N][Al]には、該当する化学成分の%の値が代入される。式Bは、靭性と疲労特性に関わる指標である。
Nに対するAlの比率が増すことによって、AlNが粗大化することとなると、ピン止め力が低下することとなるので、靭性や疲労特性が低下することとなる。他方、Nに対するAlの比率が低くなりすぎると、微細な窒化物が不足することとなって、結晶粒が粗大化することとなるので、靭性や疲労特性が低下することとなる。
そこで、式Bは、0.12<[N]/[Al]<0.70とする。
式Bの値は、[N]/[Al]で求まる。[N][Al]には、該当する化学成分の%の値が代入される。式Bは、靭性と疲労特性に関わる指標である。
Nに対するAlの比率が増すことによって、AlNが粗大化することとなると、ピン止め力が低下することとなるので、靭性や疲労特性が低下することとなる。他方、Nに対するAlの比率が低くなりすぎると、微細な窒化物が不足することとなって、結晶粒が粗大化することとなるので、靭性や疲労特性が低下することとなる。
そこで、式Bは、0.12<[N]/[Al]<0.70とする。
次に本発明における選択的付加的に添加しうる成分について規定する理由を説明する。
本発明の鋼成分として、以下に規定する範囲でTi、B、Vを1種類または2種以上添加してもよい。また、本発明の鋼成分として以下に規定する範囲で、NiまたはMoを1種類又は2種を添加することができる。
本発明の鋼成分として、以下に規定する範囲でTi、B、Vを1種類または2種以上添加してもよい。また、本発明の鋼成分として以下に規定する範囲で、NiまたはMoを1種類又は2種を添加することができる。
Ti:0.020~0.20%
Tiは、微細な窒化物量の確保に寄与する成分である。Tiが過少で微細な窒化物量の確保が十分でないときには、Nが固定されず、BNを形成するなどして、焼入れ性が低下することとなる。また、Tiが過少であると結晶粒の粗大化を抑制する効果が小さいこととなる。そこで、Tiを添加する場合は、0.020%以上とする。他方で、Tiが過剰となると、炭窒化物の量が過剰となり加工性が低下することとなる。そこで、Tiを添加する場合は、0.20%以下とする。好ましくは、Tiは0.16%以下である。
Tiは、微細な窒化物量の確保に寄与する成分である。Tiが過少で微細な窒化物量の確保が十分でないときには、Nが固定されず、BNを形成するなどして、焼入れ性が低下することとなる。また、Tiが過少であると結晶粒の粗大化を抑制する効果が小さいこととなる。そこで、Tiを添加する場合は、0.020%以上とする。他方で、Tiが過剰となると、炭窒化物の量が過剰となり加工性が低下することとなる。そこで、Tiを添加する場合は、0.20%以下とする。好ましくは、Tiは0.16%以下である。
B:0.0050%以下
Bは、素材硬さを上昇させる成分であるが、過剰となると、素材硬さ上昇に伴って加工性が低下してしまう。そこで、Bを添加する場合は、0.0050%以下とする。
Bは、素材硬さを上昇させる成分であるが、過剰となると、素材硬さ上昇に伴って加工性が低下してしまう。そこで、Bを添加する場合は、0.0050%以下とする。
V:0.01~0.50%
Vは炭窒化物の量を確保するうえで有用な成分である。Vが過少であると、微細な炭窒化物が不足し、結晶粒の粗大化の抑制効果が小さくなるため、靭性や疲労強度が不足しやすくなる。そこで、Vを添加する場合は、0.01%以上とする。Vが過剰であると、炭窒化物の量が過剰となって加工性が低下する。そこでVの添加は0.50%以下とする。好ましくは、Vは0.30%以下である。
Vは炭窒化物の量を確保するうえで有用な成分である。Vが過少であると、微細な炭窒化物が不足し、結晶粒の粗大化の抑制効果が小さくなるため、靭性や疲労強度が不足しやすくなる。そこで、Vを添加する場合は、0.01%以上とする。Vが過剰であると、炭窒化物の量が過剰となって加工性が低下する。そこでVの添加は0.50%以下とする。好ましくは、Vは0.30%以下である。
Ni:1.0%以下
Niは素材硬さを上昇させる成分である。過剰に添加するとコストが上昇し、素材硬さの上昇に伴い加工性が低下してしまう。そこで、Niを添加する場合は、1.0%以下とする。
Niは素材硬さを上昇させる成分である。過剰に添加するとコストが上昇し、素材硬さの上昇に伴い加工性が低下してしまう。そこで、Niを添加する場合は、1.0%以下とする。
Mo:1.0%以下
Moは素材硬さを上昇させる成分である。過剰に添加するとコストが上昇し、素材硬さの上昇に伴い加工性が低下してしまう。そこで、Moを添加する場合は、1.0%以下とする。
Moは素材硬さを上昇させる成分である。過剰に添加するとコストが上昇し、素材硬さの上昇に伴い加工性が低下してしまう。そこで、Moを添加する場合は、1.0%以下とする。
表面から深さ5.0mmにおける硬度:200~500Hv
浸炭鋼部品の内部の硬度が低すぎると、曲げ疲労強度が低いものとなる。他方、浸炭鋼部品の内部の硬度が高すぎると、靭性が低くなってしまうこととなる。そこで、浸炭された状態において、鋼表面から深さ5.0mmにおける硬度がビッカース硬さで200~500Hvとする。
浸炭鋼部品の内部の硬度が低すぎると、曲げ疲労強度が低いものとなる。他方、浸炭鋼部品の内部の硬度が高すぎると、靭性が低くなってしまうこととなる。そこで、浸炭された状態において、鋼表面から深さ5.0mmにおける硬度がビッカース硬さで200~500Hvとする。
浸炭鋼部品の表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径:結晶粒度番号で6番以上
浸炭鋼部品の表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径:結晶粒度番号で6番以上
オーステナイト粒径が粗大になると、靭性、疲労特性がいずれも低下することとなる。そこで、浸炭層である深さ0.05mmの位置、及び非浸炭層である深さ5.0mmのいずれの深さにおいても、オーステナイトの粒径が粗大化していないことが望ましい。そこで、好ましい浸炭層における結晶粒度は6番以上である。また、好ましい非浸炭層における結晶粒度は6番以上であり、より好ましくは7番以上である。
浸炭鋼部品の表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径:結晶粒度番号で6番以上
オーステナイト粒径が粗大になると、靭性、疲労特性がいずれも低下することとなる。そこで、浸炭層である深さ0.05mmの位置、及び非浸炭層である深さ5.0mmのいずれの深さにおいても、オーステナイトの粒径が粗大化していないことが望ましい。そこで、好ましい浸炭層における結晶粒度は6番以上である。また、好ましい非浸炭層における結晶粒度は6番以上であり、より好ましくは7番以上である。
表1の発明鋼No.1~12及び比較鋼No.1~6に記載の化学成分と残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼について、それぞれ100kgを真空誘導溶解炉(VIM)で溶製して鋼塊を得た。その後、1250℃でφ32の丸棒に鍛伸し、925℃で1時間保持してから空冷する焼ならししてから、さらに各試験片へと加工した。
作成された各試験片について、真空浸炭炉にて、930℃、1000℃、もしくは1050℃で、以下の条件で浸炭処理を実施した後、それらのミクロ組織の結晶粒度を評価した。
<930℃浸炭>
930℃にて40分間均熱した後、930℃で55分間浸炭処理(アセチレンガス雰囲気で圧力150Pa)をした。その後、930℃で真空(5Pa以下)で100分間拡散処理をした。その後、880℃に40分間保持した後に焼入れし、さらに180℃で1.5時間の焼戻し処理をした。
930℃にて40分間均熱した後、930℃で55分間浸炭処理(アセチレンガス雰囲気で圧力150Pa)をした。その後、930℃で真空(5Pa以下)で100分間拡散処理をした。その後、880℃に40分間保持した後に焼入れし、さらに180℃で1.5時間の焼戻し処理をした。
<1000℃浸炭>
1000℃に40分間均熱した後、1000℃で25分間浸炭処理(アセチレンガス雰囲気で圧力150Pa)をした。その後、1000℃で真空(5Pa以下)で65分間拡散処理をした。その後、880℃に40分間保持した後に焼入れし、さらに180℃で1.5時間の焼戻し処理をした。
1000℃に40分間均熱した後、1000℃で25分間浸炭処理(アセチレンガス雰囲気で圧力150Pa)をした。その後、1000℃で真空(5Pa以下)で65分間拡散処理をした。その後、880℃に40分間保持した後に焼入れし、さらに180℃で1.5時間の焼戻し処理をした。
<1050℃浸炭>
1050℃に40分間均熱した後、1050℃で15分間浸炭処理(アセチレンガス雰囲気で圧力150Pa)をした。その後、1050℃で真空(5Pa以下)で50分間拡散処理をした。その後、880℃に40分間保持した後に焼入れし、さらに180℃で1.5時間の焼戻し処理をした。
1050℃に40分間均熱した後、1050℃で15分間浸炭処理(アセチレンガス雰囲気で圧力150Pa)をした。その後、1050℃で真空(5Pa以下)で50分間拡散処理をした。その後、880℃に40分間保持した後に焼入れし、さらに180℃で1.5時間の焼戻し処理をした。
浸炭された試験片について、ミクロ組織観察(結晶粒観察)、浸炭後硬さ(ビッカース硬さ試験)、シャルピー衝撃試験、切欠回転曲げ試験を行なって評価した。結果を表2に示す。
(1)浸炭後硬さ(表面から0.10mm、表面から5.0mm深さ)
試験片の圧延方向と垂直に切断し、切断面を平面研削後、表面から所定の深さの位置、例えば0.10mmなどの位置で、それぞれJIS Z 2244(2020)に準拠してビッカース硬度計にて測定した(荷重300gf)。
試験片の圧延方向と垂直に切断し、切断面を平面研削後、表面から所定の深さの位置、例えば0.10mmなどの位置で、それぞれJIS Z 2244(2020)に準拠してビッカース硬度計にて測定した(荷重300gf)。
(2)ミクロ組織
試験片の中心を通り、圧延方向と平行に切断し、研磨、飽和ピクリン酸腐食を行った。その後、光学顕微鏡を用いて、表面から0.05mm位置、表面から5.0mm位置を観察する(観察の視野は10mm×10mmとする。)。
オーステナイト結晶粒度については、旧オーステナイト結晶粒度の測定をJIS G 0551(2020)に準じて行い、粒度番号を求めた。すなわち、粒度番号6番未満が存在すれば粗大粒発生と判定した。
試験片の中心を通り、圧延方向と平行に切断し、研磨、飽和ピクリン酸腐食を行った。その後、光学顕微鏡を用いて、表面から0.05mm位置、表面から5.0mm位置を観察する(観察の視野は10mm×10mmとする。)。
オーステナイト結晶粒度については、旧オーステナイト結晶粒度の測定をJIS G 0551(2020)に準じて行い、粒度番号を求めた。すなわち、粒度番号6番未満が存在すれば粗大粒発生と判定した。
(3)シャルピー衝撃試験
得られた鋼部材を試験片へと加工し、JIS Z 2242(2018)に基づいたシャルピー衝撃試験を用いて評価した。シャルピー衝撃試験では室温(23±5℃)において実施し、試験片は角10mmの10RCノッチ(ノッチ部・ノッチ面のみ浸炭層、ノッチ底はR=0.8)を使用した。
得られた鋼部材を試験片へと加工し、JIS Z 2242(2018)に基づいたシャルピー衝撃試験を用いて評価した。シャルピー衝撃試験では室温(23±5℃)において実施し、試験片は角10mmの10RCノッチ(ノッチ部・ノッチ面のみ浸炭層、ノッチ底はR=0.8)を使用した。
(4)切欠回転曲げ試験
得られた鋼部材を試験片へと加工し、JIS Z 2274(1978)に基づいた切欠回転曲げ試験を用いて評価した。小野式回転曲げ疲労試験では平行部がφ8mm(ノッチ底:R0.8)の切欠き回転曲げ疲労試験片を使用した。
得られた鋼部材を試験片へと加工し、JIS Z 2274(1978)に基づいた切欠回転曲げ試験を用いて評価した。小野式回転曲げ疲労試験では平行部がφ8mm(ノッチ底:R0.8)の切欠き回転曲げ疲労試験片を使用した。
本発明にかかる発明鋼No.1~12の鋼を1000℃以下で真空浸炭した鋼は、表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径の結晶粒度番号が6以上であり、また表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径の結晶粒度番号も7番以上であったので、粗大な結晶粒の発生を安定的に抑制しうるものとなっていることが確認された。そして、発明鋼No.1~12の鋼の浸炭鋼部品は、25J/cm2以上の衝撃値であるから靭性に優れ、また500MPa以上の1.0×107サイクル疲労限を確保できている。そこで、これら発明鋼を真空浸炭することで、結晶粒度特性、靭性及び曲げ疲労に優れる浸炭鋼部品を得ることができる。
比較鋼1は、Mnが過多で、Nbが過少であり、また、式Aと式Bの値が外れている。そこで、結晶粒が粗大化しやすくなり、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が4となり、靭性や疲労特性が低下した。
比較鋼2は、CrやAlが過少であり、式Bの値が外れている。そこで、硬さも低くなっており、また結晶粒が粗大化しやすくなるので、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が5であり、靭性と疲労特性が低下した。
比較鋼3は、Crが過少であり、式Aの値が外れている。そこで、硬さも低くなっており、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が4であり、靭性と疲労特性が低下している。
比較鋼4は、Mnが過多でCrとNbが過少であり、式Aの値が外れている。そこで、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が3であり、靭性と疲労特性が低下している。
比較鋼5は、Alが過多で、式Bの値が外れている。そこで、AlNが粗大化することとなると、ピン止め力が低下することとなるほか、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が4であり、5mm深さのオーステナイト粒度番号が5であり、靭性や疲労特性が低下している。
比較例6は、Nbが過少で、0.05mmと5mm深さのオーステナイト粒度番号が5であり、結晶粒が粗大化しているほか、内部が硬くなりすぎているので、靭性および疲労特性が低下している。
比較鋼2は、CrやAlが過少であり、式Bの値が外れている。そこで、硬さも低くなっており、また結晶粒が粗大化しやすくなるので、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が5であり、靭性と疲労特性が低下した。
比較鋼3は、Crが過少であり、式Aの値が外れている。そこで、硬さも低くなっており、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が4であり、靭性と疲労特性が低下している。
比較鋼4は、Mnが過多でCrとNbが過少であり、式Aの値が外れている。そこで、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が3であり、靭性と疲労特性が低下している。
比較鋼5は、Alが過多で、式Bの値が外れている。そこで、AlNが粗大化することとなると、ピン止め力が低下することとなるほか、0.05mm深さのオーステナイト粒度番号が4であり、5mm深さのオーステナイト粒度番号が5であり、靭性や疲労特性が低下している。
比較例6は、Nbが過少で、0.05mmと5mm深さのオーステナイト粒度番号が5であり、結晶粒が粗大化しているほか、内部が硬くなりすぎているので、靭性および疲労特性が低下している。
Claims (8)
- 質量%で、
C:0.15~0.30%、
Si:0.05~2.00%、
Mn:0.10~0.50%未満、
Cr:1.3~2.5%、
Nb:0.020~0.100%、
Al:0.020~0.100%、
N:0.0040~0.0300%、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、
不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。 - 請求項1に記載の成分に加えて、選択的成分として、質量%で、Ti:0.020~0.200%、B:0.0050%以下、V:0.01~0.50%のいずれか1種または2種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。 - 請求項1に記載の成分に加えて、選択的成分として、質量%で、Ni:1.0%以下、Mo:1.0%以下のいずれか1種または2種を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。 - 請求項1に記載の成分に加えて、質量%で、選択的成分としてTi:0.020~0.200%、B:0.0050%以下、V:0.01~0.50%のいずれか1種または2種以上を含有し、
さらなる選択的成分として、Ni:1.0%以下、Mo:1.0%以下のいずれか1種または2種を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物におけるP:0.030%以下、S:0.030%以下、Cu:0.30%以下であって、
式A:0.12≦3[Al]+4[Nb]≦0.50、
式B:0.12<[N]/[Al]<0.70、
を満足する、真空浸炭用鋼。
ただし、式A、式Bの[Al][Nb][N]には該当する化学成分の%の値を代入する。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼を用いた浸炭された状態の浸炭鋼部品であって、表面から深さ5.0mmにおける硬度が200~500Hvである浸炭鋼部品。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼を用いて1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品は、表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上である、浸炭鋼部品。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼を用いて1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品は、表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上であって、表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上である、浸炭鋼部品。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼を用いて1050℃以下で真空浸炭された状態の浸炭鋼部品は、表面から深さ0.05mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で6番以上であって、表面から深さ5.0mmにおけるオーステナイト粒径が結晶粒度番号で7番以上である、浸炭鋼部品。
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---|---|
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