JP2024070836A - 流動床式ガス化炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】利便性が高いガスを生成することが可能な流動床式ガス化炉を提供する。【解決手段】流動床式ガス化炉1は、炉内に設けられた炉底板10Aに流動媒体を載置して形成された流動層部10と、炉内における流動層部10の上方に設けられたフリーボード部11と、フリーボード部11における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部12と、フリーボード部11における温度が所定の第1設定値となるように、フリーボード部11に水蒸気を含む第1ガス化剤を供給する第1ガス化剤供給部13と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、流動層部とフリーボード部とを備えた流動床式ガス化炉に関する。
従来、ガス化炉内に充填した珪砂等の流動媒体の下部から流動用ガスを送って流動層を形成し、この流動層上で処理物をガス化処理する流動床式ガス化炉が利用されてきた。このような流動床式ガス化炉に関する技術として、下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
特許文献1には、流動用ガスによりガス化炉の内部で流動層を形成して燃料をガス化し、可燃性ガスを生成する流動層ガス化装置について記載されている。この流動層ガス化装置では、ガス化炉で生成した可燃性ガスを用いてボイラで生成した蒸気によって、ガス化炉出口の可燃性ガスの一部を吸引し、蒸気と可燃性ガスとを混合した混合ガスを流動用ガスとして、ガス化炉内に供給している。
特許文献1に記載の流動層ガス化装置では、流動層に対して下方から流動用ガスを供給して、流動層の温度を高めているが、燃焼炉における流動層の上方のフリーボード部の温度管理は行われていない。このため、フリーボード部で生成されるガスの主成分(例えば、水素や一酸化炭素や二酸化炭素等)の割合にバラつきが生じ、ガスの利便性が悪くなる可能性がある。
そこで、生成されるガスの利便性が高い流動床式ガス化炉が求められる。
本発明に係る流動床式ガス化炉の特徴構成は、炉内に設けられた炉底板に流動媒体を載置して形成された流動層部と、前記炉内における前記流動層部の上方に設けられたフリーボード部と、前記フリーボード部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部と、前記フリーボード部における温度が所定の第1設定値となるように、前記フリーボード部に水蒸気を含む第1ガス化剤を供給する第1ガス化剤供給部と、を備えている点にある。
このような特徴構成とすれば、流動層部で発生するガスの成分を制御し、流動層部で発生したガスの成分を、効率よくガス化することが可能となる。また、フリーボード部の温度が第1設定値となるように水蒸気を含む第1ガス化剤の供給量を制御すればよいので、制御形態が簡便である。このように、本流動床式ガス化炉によれば、利便性が高いガスを生成することが可能となる。
また、前記水蒸気は、前記炉内で生成されたガスの熱を利用して運転するボイラから供給されると好適である。
このような構成とすれば、ボイラで生成した水蒸気のうち、余った水蒸気を有効利用することが可能となる。また、流動床式ガス化炉で利用する水蒸気を生成するために、専用のボイラを設ける必要がないので、低コストで水蒸気を利用することが可能となる。
また、前記第1ガス化剤は、さらに酸素を含むと好適である。
このような構成とすれば、第1ガス化剤における水蒸気及び酸素の量を増大させることにより、例えば空気中の窒素などの不要な成分を低減することができる。この場合には、第1ガス化剤に含まれる不要な成分が少なくなる分、発生ガス体積が小さくなるため、構成機器のサイズを小さくすることができ、かつ、発生ガスから窒素を除去する装置が不要となる。
また、前記温度情報取得部は、前記流動層部を構成する砂層の温度を示す砂層温度情報を更に取得し、前記砂層の温度が所定の第2設定値となるように、前記流動層部の下方から前記流動層部に水蒸気を含む第2ガス化剤を供給する第2ガス化剤供給部を更に備えると好適である。
このような構成とすれば、第2ガス化剤を流動層部の下方から供給することで、砂層が焼き付かないようにすることができる。したがって、流動層において安定したガス化を行うことが可能となる。
また、前記フリーボード部に、複数の前記第1ガス化剤供給部が設けられていると好適である。
このような構成とすれば、フリーボード部に第1ガス化剤供給部を分散して配置できる。したがって、炉内において局所的に温度が高い部位が形成されることを抑制できるので、炉内でクリンカやスラグ等の発生を抑制することが可能とある。
流動床式ガス化炉は、木屑や廃プラスチック等の原料を酸素と水蒸気によりガス化し、水素ガスや、一酸化炭素ガスや、メタンやエチレン等の軽質炭化水素ガスを発生する。また、このようなガスには、タールのような重質炭化水素も含まれる。本発明に係る流動床式ガス化炉は、炭化水素ガスの含有量が少ないクリーンなガスを生成することができるように構成される。以下、本実施形態の流動床式ガス化炉1について説明する。
図1は、流動床式ガス化炉1の運転を制御するガス化炉制御システム100の構成を模式的に示した図である。ガス化炉制御システム100には、流動床式ガス化炉1、流動床式ガス化炉1の運転を制御する制御ユニット2、及び流動床式ガス化炉1により生成されたガスを利用して運転されるボイラ3が含まれる。
図1に示されるように、流動床式ガス化炉1は、流動層部10、フリーボード部11、温度情報取得部12、第1ガス化剤供給部13、及び第2ガス化剤供給部14を備えて構成される。制御ユニット2は、供給量設定部21、供給量設定マップ記憶部22、及び供給量制御部23を備えて構成される。ボイラ3は、ボイラ本体3A、煙道3B、蒸気弁3C、過熱器3D、及びエコノマイザ3Eを備えている。制御ユニット2の各機能部は、流動床式ガス化炉1の燃焼に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
流動層部10は、炉内に設けられた炉底板10Aに流動媒体を載置して形成される。炉内とは、流動床式ガス化炉1の内部である。本実施形態では、炉底板10Aは、ガス化剤が供給される複数の散気ノズル(不図示)を有しており、且つ、外縁側から中央側に向かって傾斜した状態で構成される。流動媒体とは、流動性の物質であって砂(例えば珪砂)が用いられる。このため、流動層部10には砂層10Bが構成される。砂層10Bは、約750℃~800℃に加熱され、砂層10B上に投入された木屑等を含むバイオマス燃料4を焼却する。また、流動層部10の下方には、特に燃焼開始時に押込通風装置5から空気が供給される。押込通風装置5からの空気の供給は、流動床式ガス化炉1の流動層部10の温度が安定すると停止される。また、フリーボード部11の昇温時には、炉内に第1ガス化剤供給部13及び空気供給部15から空気が供給されるが、燃焼が安定すると、流量制御弁44により空気の供給が停止される。
フリーボード部11は、炉内における流動層部10の上方に設けられる。流動床式ガス化炉1は、鉛直方向に沿って設けられ、上述した流動層部10は炉内における下部側に設けられる。フリーボード部11は、炉内における流動層部10の上方の空間が相当する。
温度情報取得部12は、フリーボード部11における温度を示す温度情報を取得する。例えば温度情報取得部12は、フリーボード部11における温度を測定する温度センサ(例えば熱電対)を用いて構成することが可能である。また、温度情報取得部12は、フリーボード部11において複数箇所に亘って設けることで、フリーボード部11の温度分布を細かく検出することが可能である。本実施形態では、フリーボード部11において、2つの温度情報取得部12が設けられる。2つの温度情報取得部12の一方を温度情報取得部12Aとし、他方を温度情報取得部12Bとすると、温度情報取得部12Aと温度情報取得部12Bとは、フリーボード部11において、互いに高さが異なる位置に設けられる。本実施形態では、温度情報取得部12Aが温度情報取得部12Bよりも下方に設けられ、一方の温度情報取得部12Aが上下方向に配置された一対の第1ガス化剤供給部13の間(第1ガス化剤供給部13Aと第1ガス化剤供給部13Bとの間)に配置され、他方の温度情報取得部12Bが第1ガス化剤供給部13(第1ガス化剤供給部13B)と空気供給部15との間に配置されている。温度情報取得部12により取得された温度情報(測定結果)は、供給量設定部21に伝達される。
また、本実施形態では、温度情報取得部12は、砂層10Bの温度を示す砂層温度情報を取得する。砂層10Bの温度を測定する温度情報取得部12は、上述したフリーボード部11の温度情報を取得する温度情報取得部12A及び温度情報取得部12Bと区別する場合には、温度情報取得部12Cとして説明する。温度情報取得部12Cによる測定結果(すなわち、砂層温度情報)は、供給量設定部21に伝達される。
ここで、流動床式ガス化炉1が燃焼を開始すると、上述したように炉内においてガスが生成される。このガスは、少なくとも一部がボイラ3の運転に利用される。ボイラ3のボイラ本体3Aには、流動床式ガス化炉1からのガスが導入される煙道3Bが設けられると共に、脱気処理や薬剤処理が行われた水が供給される。この水は煙道3Bに導入されたガスにより加熱され、ボイラ本体3Aの上方の蒸気弁3Cから蒸気(湿り蒸気)として吹き出される。蒸気弁3Cから吹き出された蒸気は過熱器3Dに導入される。過熱器3Dに導入された蒸気は煙道3Bから排出されたガスを利用して過熱され、過熱蒸気(乾き蒸気)となる。過熱器3Dで利用したガスはエコノマイザ3Eに導入され、ボイラ本体3Aに供給される水の予熱に利用される。
供給量設定部21は、フリーボード部11における温度が所定の第1設定値となるように、フリーボード部11に供給する第1ガス化剤の供給量を設定する。フリーボード部11に供給する第1ガス化剤とは、上述したように炉内においてクリーンなガスを生成するためにフリーボード部11に供給されるガスであって、水蒸気を含むガスである。本実施形態では、第1ガス化剤は、さらに酸素を含んで構成される。
本実施形態では、第1ガス化剤を構成する水蒸気は、ボイラ3から吹き出された蒸気を加熱した過熱蒸気が供給される。ここで、過熱蒸気は、数百℃で、且つ、低酸素状態の蒸気である。したがって、このような過熱蒸気をフリーボード部11に導入することで、温度管理を行うことが可能になると共に、炉内で生成されるガスの酸化を防止することも可能となる。また、フリーボード部11における温度を所定の温度(第1設定部)に維持することで、クリーンなガスを生成することも可能となる。供給量設定マップ記憶部22には、現在のフリーボード部11における温度に対して、フリーボード部11の温度を第1設定値にすることが可能な第1ガス化剤の供給量が予め記憶されている。
図2には、第1ガス化剤の供給量の設定に用いる供給量設定マップの一例が示される。図2の例では、フリーボード部11における温度情報取得部12Aが設けられている部位の温度TAと、フリーボード部11における温度情報取得部12Bが設けられている部位の温度TBと、後述する第1ガス化剤供給部13から供給される第1ガス化剤の供給量との関係が示される。なお、本実施形態では、第1ガス化剤供給部13は、フリーボード部11に複数(2つ)、設けられている。そこで、図2では、第1ガス化剤供給部13による第1ガス化剤の供給量として、2つの第1ガス化剤供給部13のうちの一方の第1ガス化剤供給部13Aによる第1ガス化剤の供給量FAと、2つの第1ガス化剤供給部13のうちの他方の第1ガス化剤供給部13Bによる第1ガス化剤の供給量FBとが個別に示される。
供給量設定部21には、フリーボード部11における温度を示す温度情報として、温度情報取得部12Aの測定結果と、温度情報取得部12Bの測定結果とが伝達される。供給量設定部21は、これらの測定結果に基づいて、供給量設定マップ記憶部22に記憶されている第1ガス化剤用の供給量設定マップから、第1ガス化剤供給部13Aによる第1ガス化剤の供給量FAと、第1ガス化剤供給部13Bによる第1ガス化剤の供給量FBとを設定する。例えば、温度TAがT1℃であり、温度TBがT2℃である場合には、供給量設定部21は、供給量FAとしてA1を設定し、供給量FBとしてB2を設定する。供給量設定部21により設定された供給量FAを示す情報及び供給量FBを示す情報は、後述する供給量制御部23に伝達される。
また、本実施形態では、供給量設定部21は、砂層10Bの温度が所定の第2設定値となるように、砂層10Bに供給する第2ガス化剤の供給量も設定する。砂層10Bに供給する第2ガス化剤とは、砂層10Bの焼き付きを抑制し、炉内においてクリーンなガスを生成するために砂層10Bに供給されるガスであって、水蒸気を含むガスである。本実施形態では、第2ガス化剤も、さらに酸素を含んで構成される。
本実施形態では、第2ガス化剤を構成する水蒸気(蒸気)も、ボイラ3からの過熱蒸気が利用される。供給量設定マップ記憶部22には、現在の砂層10Bにおける温度に対して、砂層10Bの温度を第2設定値にすることが可能な第2ガス化剤の供給量が予め記憶されている。
図3には、第2ガス化剤の供給量の設定に用いる供給量設定マップの一例が示される。図3の例では、砂層10Bにおける温度情報取得部12Cが設けられている部位の温度TC、後述する第2ガス化剤供給部14から供給される第2ガス化剤の供給量との関係が示される。図3では、第2ガス化剤供給部14による第2ガス化剤の供給量FCとして示される。
供給量設定部21には、砂層10Bにおける温度を示す温度情報として、温度情報取得部12Cの測定結果が伝達される。供給量設定部21は、この測定結果に基づいて、供給量設定マップ記憶部22に記憶されている第2ガス化剤用の供給量設定マップから、第2ガス化剤供給部14による第2ガス化剤の供給量FCを設定する。例えば、温度TCがT3℃である場合には、供給量設定部21は、供給量FCとしてC3を設定する。供給量設定部21により設定された供給量FCを示す情報は、後述する供給量制御部23に伝達される。
供給量制御部23は、第1ガス化剤供給部13による第1ガス化剤の供給量、及び第2ガス化剤供給部14により第2ガス化剤の供給量を流量制御弁40に基づいて制御する。本実施形態では、第1ガス化剤供給部13Aの上流側には、流量制御弁40として、第1ガス化剤供給部13Aからフリーボード部11に供給する第1ガス化剤を構成する水蒸気の流量を制御する流量制御弁41A及び第1ガス化剤供給部13Aからフリーボード部11に供給する第1ガス化剤を構成する酸素の流量を制御する流量制御弁41Bが設けられる。なお、流量制御弁41A及び流量制御弁41Bを総称して流量制御弁41ということもある。
また、第1ガス化剤供給部13Bの上流側には、流量制御弁40として、第1ガス化剤供給部13Bからフリーボード部11に供給する第1ガス化剤を構成する水蒸気の流量を制御する流量制御弁42A及び第1ガス化剤供給部13Bからフリーボード部11に供給する第1ガス化剤を構成する酸素の流量を制御する流量制御弁42Bが設けられる。なお、流量制御弁42A及び流量制御弁42Bを総称して流量制御弁42ということもある。
また、第2ガス化剤供給部14の上流側には、流量制御弁40として、第2ガス化剤供給部14から砂層10Bの下方に供給する第2ガス化剤を構成する水蒸気の流量を制御する流量制御弁43A及び第2ガス化剤供給部14から砂層10Bの下方に供給する第2ガス化剤を構成する酸素の流量を制御する流量制御弁43Bが設けられる。なお、流量制御弁43A及び流量制御弁43Bを総称して流量制御弁43ということもある。
流量制御弁40は、夫々、電動弁を用いて構成される。供給量制御部23は、第1ガス化剤及び第2ガス化剤の供給量が、供給量設定部21により設定された供給量となるように、これらの電動弁(流量制御弁40)の開度を調節する。
第1ガス化剤供給部13は、フリーボード部11における温度が第1設定値になるように、フリーボード部11に第1ガス化剤を供給する。本実施形態では、フリーボード部11に複数の第1ガス化剤供給部13(第1ガス化剤供給部13A及び第1ガス化剤供給部13B)が設けられている。本実施形態では、第1ガス化剤供給部13Aが第1ガス化剤供給部13Bよりも下方に設けられている。また、本実施形態では、フリーボード部11を水平方向に沿って見て、下方から順に、第1ガス化剤供給部13A、温度情報取得部12A、第1ガス化剤供給部13B、温度情報取得部12Bの順に設けられる。しかしながら、この順は流動床式ガス化炉1の構成に応じて変更することが可能である。
上述したように、第1ガス化剤供給部13A及び第1ガス化剤供給部13Bの上流側には、夫々、水蒸気の流量を制御する流量制御弁41A,42Aと、酸素の流量を制御する流量制御弁41B,42Bと、が設けられている。この水蒸気の流量を制御する流量制御弁41A,42Aと、酸素の流量を制御する流量制御弁41B,42Bと、が、供給量制御部23により開度が制御され、第1ガス化剤供給部13A及び第1ガス化剤供給部13Bから水蒸気及び酸素を含む第1ガス化剤が供給される。
第2ガス化剤供給部14は、砂層10Bの温度が第2設定値になるように、流動層部10の下方から流動層部10に第2ガス化剤を供給する。本実施形態では、第2ガス化剤供給部14は、炉内における炉底板10Aよりも下方に設けられている。したがって、第2ガス化剤供給部14は、炉底板10Aに載置される砂層10Bに温度を測定する温度情報取得部12Cよりも下方に設けられる。上述したように、第2ガス化剤供給部14の上流側には、夫々、水蒸気の流量を制御する流量制御弁43Aと、酸素の流量を制御する流量制御弁43Bとが設けられている。この水蒸気の流量を制御する流量制御弁43Aと、酸素の流量を制御する流量制御弁43Bとが、供給量制御部23により開度が制御され、第2ガス化剤供給部14から水蒸気及び酸素を含む第2ガス化剤が供給される。
このようなフリーボード部11の温度の測定及び当該温度に応じた第1ガス化剤の供給と、砂層10Bの温度の測定及び当該温度に応じた第2ガス化剤の供給とは、流動床式ガス化炉1の運転時に継続して行われる。したがって、第1ガス化剤及び第2ガス化剤の供給量を入力値とし、フリーボード部11の温度に対する第1設定値及び砂層10Bの温度に対する第2設定値を目標値として、フリーボード部11の温度及び砂層10Bの温度を出力値とする、フィードバック制御として構成される。
特に、本流動床式ガス化炉1においては、入力値である第1ガス化剤及び第2ガス化剤の供給量の制御を、目標値であるフリーボード部11の温度に対する第1設定値及び砂層10Bの温度に対する第2設定値と、出力値であるフリーボード部11の温度及び砂層10Bの温度とから算定した偏差や、微分値や、積分値に基づいて、PID制御が行われる。これにより、炉内の環境を、自動的にクリーンなガスの生成に適した状態に維持することが可能となる。
次に、図4のフローチャートを用いて、流動床式ガス化炉1における温度制御に係る処理について説明する。
流動床式ガス化炉1が起動されている状態において、温度情報取得部12A及び温度情報取得部12Bがフリーボード部11の温度を測定して温度情報を取得する(ステップ#1)。この温度情報(測定結果)は供給量設定部21に伝達される。供給量設定部21は、フリーボード部11の温度の測定結果が第1設定値(例えば1200℃)未満であるか否かを判定する。
フリーボード部11の温度の測定結果が第1設定値未満である場合には(ステップ#2:Yes)、供給量設定部21は供給量設定マップ記憶部22に記憶されているフリーボード部11の供給量設定用の供給量設定マップに基づいてフリーボード部11の温度が高くなるように第1ガス化剤の供給量を設定する(ステップ#3)。一方、フリーボード部11の温度の測定結果が第1設定値を超える場合には(ステップ#2:No)、供給量設定部21は供給量設定マップ記憶部22に記憶されているフリーボード部11の供給量設定用の供給量設定マップに基づいてフリーボード部11の温度が低くなるように第1ガス化剤の供給量を設定する(ステップ#4)。なお、図4では示していないが、フリーボード部11の温度の測定結果が第1設定値と等しい場合(例えば1200℃±5℃以内である場合)には、ステップ#3及びステップ#4の処理は行わなくてもよい。
また、ステップ#2において、フリーボード部11の温度の測定結果が第1設定値未満である場合には(ステップ#2:Yes)、例えば酸素の供給量を増やしたり、或いは、水蒸気の供給量を減らしたりするように構成することも可能である。この場合には、酸素の供給量を調整すると(増やすと)、空気比が変わり、ガス組成も変わってしまうため、酸素の供給量の調整よりも水蒸気の供給量の調整を優先的に行うとよい。また、砂層10B及びフリーボード部11の全体としての空気比が、0.2~0.6の範囲内におさまるように調整するとよい。
供給量制御部23は、上記のように供給量設定部21により設定された供給量の第1ガス化剤を供給するように、流量制御弁41及び流量制御弁42の開度を制御する(ステップ#5)。
また、第1ガス化剤の供給中又は供給後に、温度情報取得部12Cが砂層10Bの温度を測定して温度情報を取得する(ステップ#6)。この温度情報(測定結果)は供給量設定部21に伝達される。供給量設定部21は、砂層10Bの温度の測定結果が第2設定値(例えば780℃)未満であるか否かを判定する。
砂層10Bの温度の測定結果が第2設定値未満である場合には(ステップ#7:Yes)、供給量設定部21は供給量設定マップ記憶部22に記憶されている砂層10Bの供給量設定用の供給量設定マップに基づいて砂層10Bの温度が高くなるように第2ガス化剤の供給量を設定する(ステップ#8)。一方、砂層10Bの温度の測定結果が第2設定値を超える場合には(ステップ#7:No)、供給量設定部21は供給量設定マップ記憶部22に記憶されている砂層10Bの供給量設定用の供給量設定マップに基づいて砂層10Bの温度が低くなるように第2ガス化剤の供給量を設定する(ステップ#9)。なお、図4では示していないが、砂層10Bの温度の測定結果が第2設定値と等しい場合(例えば780℃±5℃以内である場合)には、ステップ#8及びステップ#9の処理は行わなくてもよい。
供給量制御部23は、上記のように供給量設定部21により設定された供給量の第2ガス化剤を供給するように、流量制御弁43の開度を制御する(ステップ#10)。
上述したステップ#1からステップ#10に係る一連の処理は、流動床式ガス化炉1において燃焼を終了するまで継続して行われる(ステップ#11:No)。流動床式ガス化炉1では、このようなフローチャートに沿って処理が行われ、クリーンなガスを生成することが可能となる。
図5には、フリーボード部11に温度に応じて生成されるガスの濃度(体積比)の傾向が示される。図5の例では、フリーボード部11の温度をTXからTYまで変化させた場合に生成される水素、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、及び炭化水素のガス濃度が示される(ただし、TX<TYである)。図5に示されるように、フリーボード部11の温度が高くなるにつれて、水素、二酸化炭素、及び一酸化炭素のガス濃度が高くなり、メタンや炭化水素のガス濃度が低くなる。このようにフリーボード部11の温度を制御することで、生成されるガスの濃度を制御することが可能となる。したがって、フリーボード部11の温度を制御することで、所期のガスを生成することが可能となる。
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、水蒸気は、炉内で生成されたガスの熱を利用して運転するボイラ3から供給されるとして説明したが、水蒸気は流動床式ガス化炉1のガスを利用するボイラ3とは異なる他のボイラやボイラ以外の装置から供給してもよい。
上記実施形態では、水蒸気は、炉内で生成されたガスの熱を利用して運転するボイラ3から供給されるとして説明したが、水蒸気は流動床式ガス化炉1のガスを利用するボイラ3とは異なる他のボイラやボイラ以外の装置から供給してもよい。
上記実施形態では、第1ガス化剤及び第2ガス化剤は、さらに酸素を含んで構成されるとして説明したが、第1ガス化剤及び第2ガス化剤は、酸素を含まないように構成することも可能である。
上記実施形態では、温度情報取得部12は、流動層部10を構成する砂層10Bの温度を示す砂層温度情報を更に取得し、第2ガス化剤供給部14は、砂層10Bの温度が所定の第2設定値となるように、流動層部10の下方から流動層部10に水蒸気を含む第2ガス化剤を供給するとして説明した。しかしながら、流動床式ガス化炉1は、流動層部10に第2ガス化剤を供給しないように構成することも可能である。
上記実施形態では、フリーボード部11に、2つの第1ガス化剤供給部13が設けられているとして説明したが、フリーボード部11に、1つの第1ガス化剤供給部13を設けて構成することも可能であるし、フリーボード部11に、3つ以上の第1ガス化剤供給部13を設けて構成することも可能である。
上記実施形態では、第1ガス化剤供給部13Aが第1ガス化剤供給部13Bよりも下方に設けられているとして説明した。しかしながら、第1ガス化剤供給部13Aが第1ガス化剤供給部13Bよりも上方に設けられていてもよいし、第1ガス化剤供給部13Aと第1ガス化剤供給部13Bとを互いに同じ高さの位置に設けてもよい。
上記実施形態では、供給量設定マップ記憶部22に記憶されているマップを用いて供給量設定部21が供給量を設定するとして説明した。しかしながら、供給量設定部21は、マップに代えて例えば数式を利用して供給量を算定してもよいし、数式とは異なるツールを利用して供給量を算定してもよい。
上記実施形態では、供給量設定部21が、フリーボード部11の温度の測定結果が第1設定値未満であるか否かを判定する場合において、第1設定値として1200℃を例示した。しかしながら、第1設定値は1200℃に限定されるものではなく、流動床式ガス化炉1の規模や構成に応じて、例えば500℃~1200℃の範囲において設定することが可能である。
上記実施形態では、供給量設定部21が、砂層10Bの温度の測定結果が第2設定値未満であるか否かを判定する場合において、第2設定値として780℃を例示した。しかしながら、第2設定値は780℃に限定されるものではなく、流動床式ガス化炉1の規模や構成に応じて、例えば400℃~800℃の範囲において設定することが可能である。
上記実施形態では、流動床式ガス化炉1における温度制御として、供給量制御部23が、供給量設定部21により設定された供給量の第1ガス化剤を供給するように、流量制御弁41及び流量制御弁42の開度を制御し、供給量設定部21により設定された供給量の第2ガス化剤を供給するように、流量制御弁43の開度を制御するとして説明した。しかしながら、流動床式ガス化炉1における温度制御として、例えば、流動床式ガス化炉1の炉頂からの水供給、及び、フリーボード部11からの熱回収の一方、又は、双方を行うことも可能である。流動床式ガス化炉1の炉頂からの水供給は、流動床式ガス化炉1の頂部に、霧状の水を供給する水供給ユニットを設け、この水供給ユニットから霧状の水を供給することにより行える。一方、フリーボード部11からの熱回収は、例えばフリーボード部11の周囲の壁部に水管等を配置してボイラ構造を構成し、水管を流通する水をフリーボード部11で生じる熱で加熱して蒸気を生成することにより行える。このような炉頂からの水供給やフリーボード部11における熱回収を行うことにより、流動床式ガス化炉1の温度制御を行うことも可能である。
なお、上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態のみに限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
本発明は、流動層部とフリーボード部とを備えた流動床式ガス化炉に用いることが可能である。
1:流動床式ガス化炉
10:流動層部
10A:炉底板
10B:砂層
11:フリーボード部
12:温度情報取得部
13:第1ガス化剤供給部
14:第2ガス化剤供給部
10:流動層部
10A:炉底板
10B:砂層
11:フリーボード部
12:温度情報取得部
13:第1ガス化剤供給部
14:第2ガス化剤供給部
Claims (5)
- 炉内に設けられた炉底板に流動媒体を載置して形成された流動層部と、
前記炉内における前記流動層部の上方に設けられたフリーボード部と、
前記フリーボード部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部と、
前記フリーボード部における温度が所定の第1設定値となるように、前記フリーボード部に水蒸気を含む第1ガス化剤を供給する第1ガス化剤供給部と、
を備える流動床式ガス化炉。 - 前記水蒸気は、前記炉内で生成されたガスの熱を利用して運転するボイラから供給される請求項1に記載の流動床式ガス化炉。
- 前記第1ガス化剤は、さらに酸素を含む請求項1又は2に記載の流動床式ガス化炉。
- 前記温度情報取得部は、前記流動層部を構成する砂層の温度を示す砂層温度情報を更に取得し、
前記砂層の温度が所定の第2設定値となるように、前記流動層部の下方から前記流動層部に水蒸気を含む第2ガス化剤を供給する第2ガス化剤供給部を更に備える請求項1又は2に記載の流動床式ガス化炉。 - 前記フリーボード部に、複数の前記第1ガス化剤供給部が設けられている請求項1又は2に記載の流動床式ガス化炉。
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JP2022180899 | 2022-11-11 | ||
JP2022180899 | 2022-11-11 |
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Family Applications (1)
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JP2023190657A Pending JP2024070836A (ja) | 2022-11-11 | 2023-11-08 | 流動床式ガス化炉 |
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2023
- 2023-11-08 JP JP2023190657A patent/JP2024070836A/ja active Pending
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