JP2686356B2 - ガス化燃焼方法 - Google Patents

ガス化燃焼方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、重質油や石炭等の粗悪燃料をガス化し、こ
れを例えばガスタービンを用いるコンバインドサイクル
等の作動燃料とするための、ガス化燃焼方法に関する。
〔従来の技術〕
第3図は従来のガス化燃焼方法を実施する装置の一例
を示す系統図である。
まず、石炭(10)および脱硫剤(11)が流動層ガス化
炉(1)へ供給される。この流動層ガス化炉(1)で
は、石炭(10)がガス化され、石炭中の硫黄分は脱硫剤
(11)により硫化カルシウム(CaS)として固定され
る。石炭(10)のガス化によって生じた可燃ガス(13
a)は、脱塵装置(3a)で脱塵される。脱塵後の可燃ガ
ス(13b)は二次コンバスタ(5)へ導入される。
一方、流動層ガス化炉(1)でガス化されずに石炭か
ら生じたチャーと脱硫剤の混合物(15a)、および脱塵
装置(3a)で回収されたチャーと脱硫剤の混合物(15
b)は、流動層燃焼炉(2)へ供給される。この流動層
燃焼炉(2)には空気(12b)も供給され、チャーの燃
焼反応と硫化カルシウムが酸化して石膏(CaSO4)に転
換する反応が起きる。また、流動層燃焼炉(2)の流動
層内には熱交換器(7)が設置されていて、スチームま
たは水(18)で冷却することにより、流動層温度が調整
される。
流動層燃焼炉(2)で発生する燃焼ガス(14a)は、
脱塵装置(3b)により脱塵される。脱塵後の燃焼ガス
(14b)は、前記二次コンバスタ(5)へ導入される。
二次コンバスタ(5)では、流動層ガス化炉(1)で発
生した可燃ガス(13b)が、流動層燃焼炉(2)から導
かれた燃焼ガス(14b)中の残存酸素と別途供給された
空気(12c)により燃焼し、その燃焼ガス(17)は例え
ばガスタービン(図示せず。)へ送られる。
石炭(10)中の灰分および脱硫後の脱硫剤(11)は、
流動層燃焼炉(2)の炉底から抜き出し灰(16a)とし
て、また脱塵装置(3b)から排出灰(16b)として、そ
れぞれ系外へ除去される。
燃焼ガス(17)の量を増大させる場合は、流動層ガス
化炉(1)に供給する石灰(10)と空気(12a)を増加
させる。そうすると、流動層ガス化炉(1)から流動層
燃焼炉(2)へ移送されるチャーと脱硫剤(15a)が増
加する。そこで、流動層燃焼炉(2)へ入るチャーの増
加量に応じて、空気(12b)の供給量を増加する。また
燃焼ガス(17)量を減少させる場合は、流動層ガス化炉
(1)に供給する石炭(10)と空気(12a)を減少し、
その後流動層燃焼炉(2)へ入るチャーの減少量に応じ
て、空気(12b)を減少する。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記従来のガス化燃焼方法においては、流動層燃焼炉
(2)に燃焼温度制御用の熱交換器(7)が設置されて
いる。したがって、燃料のエネルギーの一部は、燃焼ガ
スの顕熱としてガスタービンへ送られることなく、直接
スチームタービンで回収されるので、ガスタービンを利
用しない分だけ発電効率が低下するという問題があっ
た。
従来の方法ではまた、流動層ガス化炉(1)の排出チ
ャーの増減に応じて、流動層燃焼炉(2)の空気(12
b)量を調整するので、燃焼ガス(17)の量の変動速度
が遅い。
更に、流動層ガス化炉(1)と流動層燃焼炉(2)間
のチャーの移送量の変動を、燃焼ガス(17)の温度を一
定に保持するために、一定量の空気(12)を流動層ガス
化炉(1)と流動層燃焼炉(2)との間の分配割合で調
整することになるので、燃焼ガス(17)量を変化させる
場合、各反応器(炉)の制御が非常に複雑となるという
欠点があった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、前記従来の課題を解決するために、燃料と
脱硫剤と空気とを流動層ガス化炉内に供給して上記燃料
の一部をガス化し、生じた可燃ガスを二次コンバスタへ
導くとともに、上記流動層ガス化炉内でガス化しなかっ
た残りの燃料を脱硫剤とともに流動床燃焼炉に導いて、
別途供給する空気により燃焼させ、生じた燃焼ガスを上
記二次コンバスタへ導き、同二次コンバスタで上記可燃
ガスを上記燃焼ガス中の酸素および別途供給する空気に
より燃焼させる方法において、上記流動床ガス化炉、上
記流動床燃焼炉および上記二次コンバスタに供給する総
空気量は、上記二次コンバスタの温度を維持するのに必
要な空気量となるように制御し、上記流動層ガス化炉へ
直接供給する空気量は同流動層ガス化炉の温度を所定の
値に維持するように制御し、上記流動層燃焼炉へ直接供
給する空気量は同流動層燃焼炉の温度を所定の値に維持
するように制御し、上記二次コンバスタへ直接供給する
空気量は上記総空気量から上記流動層ガス化炉と上記流
動層燃焼炉へ直接供給する空気量を差し引いた空気量と
なるように制御することを特徴とするガス化燃焼方法、
ならびに上記要件に加えて、上記流動層燃焼炉に上記と
は別個に燃料を供給することを特徴とするガス化燃焼方
法を提案するものである。
〔作用〕
本発明方法においては、例えばコンバインドサイクル
の負荷を変化させるためめに二次コンバスタ出口の燃焼
ガス量を増減させる場合に、空気をそれぞれ独立に制御
して、流動層ガス化炉、流動層燃焼炉、二次コンバスタ
へ供給することにより、燃焼ガス量を容易かつ迅速に変
化させることができる。
更に、流動層燃焼炉へ直接燃料を供給する場合は、流
動層ガス化炉と流動層燃焼炉とを同時に起動でき、また
二次コンバスタの燃焼ガス量を負荷の要求に応じて簡単
に変化させることができて、スタートアップ手順が容易
である。
〔実施例〕
第1図は、本発明方法の第1実施例に使用される装置
を示す系統図である。
石炭(10)および脱硫剤(11)は、流動層ガス化炉
(1)に供給される。この流動層ガス化炉(1)では、
石炭(10)がガス化され、石炭中の硫黄分は脱硫剤(1
1)により硫化カルシウムとして固定される。石炭(1
0)のガス化により生じた可燃ガス(13a)は、脱塵装置
(3a)で脱塵される。脱塵後の可燃ガス(13b)は二次
コンバスタ(5)へ導入される。
一方、流動層ガス化炉(1)でガス化されずに石炭か
ら生じたチャーと脱硫剤の混合物(15a)、および脱塵
装置(3a)で回収されたチャーと脱硫剤の混合物(15
b)は、流動層燃焼炉(2)に供給される。この流動層
燃焼炉(2)には空気(12b)も供給され、チャーの燃
焼反応と硫化カルシウムを酸化して石膏に転換する反応
が進む。
流動層燃焼炉(2)で発生する燃焼ガス(14a)は、
脱塵装置(3b)により脱塵される。脱塵後の燃焼ガス
(14b)は、前記二次コンバスタ(5)へ導入される。
二次コンバスタ(5)では、可燃ガス(13b)が燃焼ガ
ス(14b)中の残存酸素と空気(12c)によって燃焼し、
生じた燃焼ガス(17)は例えばガスタービン(図示せ
ず。)へ送り込まれる。
石炭(10)中の灰分および脱硫後の脱硫剤(11)は、
流動層燃焼炉(2)の炉低から抜き出し灰(16a)とし
て、また脱じん装置(3b)から排出灰(16b)として、
それぞれ系外へ除去される。
流動層ガス化炉(1)の流動層温度は、脱硫反応が効
率よく生じかつ石炭のガス化反応も進行する最適な温度
として、炭種により異なるが、700℃〜1000℃が選定さ
れる。流動層燃焼炉(2)の流動層温度は、硫化カルシ
ウムが石膏に効率よく酸化される反応が進行し、かつチ
ャーの燃焼効率が高くなることを目的に、炭種により80
0℃〜1050℃が選定される。
本実施例では、流動層ガス化炉(1)、流動層燃焼炉
(2)、二次コンバスタ(5)の温度を温度検出器(21
a),(21b),(21c)によりそれぞれ検知し、その情
報と石炭(10)の供給量の値とに基づいて、これら反応
器(1),(2),(5)に供給すべき空気(12a),
(12b),(12c)の流量を制御器(20)で演算し、流量
調整弁(19a),(19b),(19c)を制御することによ
り空気量を調整する。
二次コンバスタ(5)出口の燃焼ガス(17)の量を増
大させる場合は、流動量ガス化炉(1)へ供給する石炭
(10)と空気(12a)、および二次コンバスタ(5)へ
供給する空気(12c)を同時に増加させることにより、
燃焼ガス(17)の量を急速に増加させる。そしてその後
流動層ガス化炉(1)から流動層燃焼炉(2)へ移送さ
れるチャーの量が増大したら、流動層燃焼炉(2)へ供
給する空気(12b)を増加させ、二次コンバスタ(5)
へ供給する空気(12c)を減少させる。また、二次コン
バスタ(5)出口の燃焼ガス(17)の量を減少させる場
合は、流動層ガス化炉(1)へ供給する石炭(10)と空
気(12a)、および二次コンバスタ(5)へ供給する空
気(12c)を同時に減少し、その後流動層ガス化炉
(1)から流動層燃焼炉(2)へ移送されるチャーの量
が減少したら、流動層燃焼炉(2)へ供給する空気(12
b)を減少させ、二次コンバスタ(5)へ供給する空気
(12c)を増加させる。このようにして本実施例では、
二次コンバスタ(5)出口の燃焼ガス(17)の量を、容
易かつ迅速に変化させることができる。
本実施例ではまた、流動層燃焼炉(2)内に従来のよ
うな熱交換器(第3図の符号(7))がなく、大量のス
チームまたは水で冷却することをしないので、燃料のも
つ化学エネルギーを金属燃焼ガスの熱エネルギーに転換
させることができる。そしてその燃焼ガスがガスタービ
ンへ供給するので、コンバインドサイクルの発電効率は
従来よりも高くなる。そしてまた流動層燃焼炉(2)内
に熱交換器を設置しなくてすむため、流動層燃焼炉の建
設コストが安価となる。
第2図は、本発明方法の第2実施例に使用される装置
を示す系統図である。本実施例では、流動層ガス化炉
(1)だけでなく流動層燃焼炉(2)にも、石炭(10
b)を直接供給する。
そうすると、負荷を変化させる場合には、次のような
手順によって二次コンバスタ(5)出口の燃焼ガス量を
急速に変化させることができる。例えば負荷を増大させ
る場合には、流動層ガス化炉(1)へ供給する石炭(10
a)と空気(12a)、および流動層燃焼炉(2)へ供給す
る石炭(10b)と空気(12b)を同時に増加させることに
より、燃焼ガス(17)量を急速に増加させる。そしてそ
の後、流動層ガス化炉(1)から流動層燃焼炉(2)へ
移送されるチャーの量の増加に応じて、流動層燃焼炉
(2)へ供給する石炭(10b)を減少させるのである。
本実施例ではまた、スタートアップ時に上記のように
流動層ガス化炉(1)と流動層燃焼炉(2)へ同時に石
炭(10a),(10b)を供給することにより、同時に暖気
運転ができる。
〔発明の効果〕
本発明方法によれば、石炭や重質油のような粗悪燃料
をガス化しコンバインドサイクル等の作動燃料として用
いるような場合に、負荷変動に対する応答性が良好でか
つ高効率のガス化燃焼を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法の第1実施例に使用される装置を示
す系統図、第2図は同じく第2実施例に使用される装置
を示す系統図である。第3図は従来のガス化燃焼方法を
実施する装置の一例を示す系統図である。 (1)……流動層ガス化炉,(2)……流動層燃焼炉, (3a),(3b)……脱塵装置,(5)……二次コンバス
タ, (7)……熱交換器, (10),(10a),(10b)……石炭, (11)……脱硫剤, (12),(12a),(12b),(12c)……空気, (13a),(13b)……可燃ガス, (14a),(14b)……燃焼ガス, (15a),(15b)……チャーと脱硫剤の混合物, (16a)……抜出し灰, (16b)……排出灰, (17)……燃焼ガス, (18)……スチームまたは水, (19a),(19b),(19c)……流量調整弁, (20)……制御器, (21a),(21b),(21c)……温度検出器。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料と脱硫剤と空気とを流動層ガス化炉内
    に供給して上記燃料の一部をガス化し、生じた可燃ガス
    を二次コンバスタへ導くとともに、上記流動層ガス化炉
    内でガス化しなかった残りの燃料を脱硫剤とともに流動
    床燃焼炉に導いて、別途供給する空気により燃焼させ、
    生じた燃焼ガスを上記二次コンバスタへ導き、同二次コ
    ンバスタで上記可燃ガスを上記燃焼ガス中の酸素および
    別途供給する空気により燃焼させる方法において、上記
    流動床ガス化炉、上記流動床燃焼炉および上記二次コン
    バスタに供給する総空気量は、上記二次コンバスタの温
    度を維持するのに必要な空気量となるように制御し、上
    記流動層ガス化炉へ直接供給する空気量は同流動層ガス
    化炉の温度を所定の値に維持するように制御し、上記流
    動層燃焼炉へ直接供給する空気量は同流動層燃焼炉の温
    度を所定の値に維持するように制御し、上記二次コンバ
    スタへ直接供給する空気量は上記総空気量から上記流動
    層ガス化炉と上記流動層燃焼炉へ直接供給する空気量を
    差し引いた空気量となるように制御することを特徴とす
    るガス化燃焼方法。
  2. 【請求項2】上記流動層燃焼炉に上記とは別個に燃料を
    供給することを特徴とする請求項1)記載のガス化燃焼
    方法。
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