JP2024068444A - ガスバリア積層体及び包装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気バリア性に優れる、紙基材を用いたガスバリア積層体を提供すること。【解決手段】紙基材と、水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物から形成された層と、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層と、を備えるガスバリア積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア積層体及び包装材に関する。
食品、飲料、医薬品、化学品等の多くの分野では、それぞれの内容物に応じた包装材が使用されている。包装材は、内容物の変質の原因となる酸素、水蒸気等の透過防止性(ガスバリア性)が求められる。
従来、このような包装材には、ガスバリア性に優れるプラスチック材料が多く用いられてきた。しかしながら、海洋プラスチックごみの問題等に端を発する近年の環境意識の高まりから、包装材においても脱プラスチックの機運が高まっている。例えば、下記特許文献1では、紙を使用することでプラスチック材料の使用量削減が検討されており、具体的には紙支持体の少なくとも一方の面上に水蒸気バリア層及びガスバリア層をこの順に有するガスバリア積層体が開示されている。
特開2020-69783号公報
特許文献1における水蒸気バリア層は、アニオン性バインダー中にマイカ、ベントナイト、カオリン等の層状無機化合物を含む構成を有している。しかしながら発明者らの検討の結果、当該水蒸気バリア層を備えるガスバリア積層体は、水蒸気バリア性の観点において改善の余地があることが分かった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、水蒸気バリア性に優れる、紙基材を用いたガスバリア積層体を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該ガスバリア積層体を備える包装材を提供することを目的とする。
本開示の一側面は、紙基材と、水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物から形成された層と、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層と、を備えるガスバリア積層体を提供する。
一態様において、シリカ粒子のシラノール基密度が10~70μmol/mであってよい。
一態様において、シリカ粒子のアスペクト比が10~100であってよい。
一態様において、水分散性樹脂がアニオン性樹脂であってよい。
一態様において、水分散性樹脂が、オレフィン-不飽和カルボン酸系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂及びスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含んでよい。
一態様において、ガスバリア積層体の水蒸気透過度(温度40℃、相対湿度90%)が、20g/m・day以下であってよい。
本開示の一側面は、上記ガスバリア積層体と、ガスバリア積層体の少なくともいずれかの面に設けられたシーラント層と、を備える包装材を提供する。
本発明によれば、水蒸気バリア性に優れる、紙基材を用いたガスバリア積層体が提供される。
また、本発明によれば、当該ガスバリア積層体を備える包装材が提供される。このような包装材は、水蒸気バリア性に優れると言える。
図1は、一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されない。
<ガスバリア積層体>
図1は、一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。ガスバリア積層体10は、紙基材1と、水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物から形成された層2と、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層3と、をこの順に備える。
水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物から形成された層は、主に水蒸気の透過を抑制することに優れており、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層は、主にガス(酸素)の透過を抑制することに優れていることから、それぞれ「水蒸気バリア層」及び「ガスバリア層」と言うことができる。
ガスバリア積層体10は、水蒸気バリア層上、あるいはガスバリア層上に、バリア性向上の観点からさらに金属箔又は蒸着層を備えていてもよい。
ガスバリア積層体10の水蒸気透過度(WVTR)は、20g/m・day以下とすることができ、15g/m・day以下であってもよい。水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件で、JIS K-7126-2に準拠して測定される。水蒸気透過度の下限は特に限定されないが、例えば0.1g/m・dayとすることができる。
ガスバリア積層体10の酸素透過度(OTR)は、30cc/m・day・atm以下とすることができ、20cc/m・day・atm以下であってもよい。酸素透過度は、酸素透過度測定装置(MOCON社製、商品名:OX-TRAN)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で、JIS K-7126-2に準拠して測定される。
[紙基材]
紙基材としては、特に限定されるものではなく、ガスバリア積層体が適用される包装材の用途に応じて適宜選択すればよい。植物由来のパルプを主成分としている紙であれば特に制限はない。紙基材の具体例として、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙及びクラフト紙、グラシン紙が挙げられる。
紙基材の厚さは、例えば、30~100μmとすることができ、30~70μmであってもよい。
紙基材の厚さ(坪量)は、例えば20~500g/mとすることができ、30~100g/mであってもよい。
紙基材の厚さは、ガスバリア積層体全体の厚さの70%以上であってよい。紙基材の厚さが、ガスバリア積層体全体の厚さの70%以上であれば、環境適性に優れているといえる。
紙基材の重量は、ガスバリア積層体全体を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。紙基材の重量がガスバリア積層体全体を基準として、50質量%以上であれば、プラスチック材料の使用量を十分に削減することができ、ガスバリア積層体全体として紙製であるということができる。このようなガスバリア性積層体はリサイクル性に優れる。
紙基材は、少なくとも水蒸気バリア層と接する側にコート層を備えていてもよい。コート層により、紙基材に水蒸気バリア層の成分が染み込むことを防ぐことができるほか、紙の凹凸を埋める目止めの役割を果たすこともでき、水蒸気バリア層を欠陥なく均一に形成し易くなる。コート層には、バインダー樹脂として例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン-酢酸ビニル系、などの各種共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂等が含まれていてよく、填料として例えば、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が含まれていてもよい。
コート層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、1~10μm、又は3~8μmであってよい。
[水蒸気バリア層]
水蒸気バリア層は、紙基材上に水蒸気バリア層を形成する組成物(水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物)を含む塗液を塗布し、50~150℃程度で乾燥させることで得ることができる。水蒸気バリア層は、当該塗液の加熱乾燥物(硬化物)であるということができる。塗液に含まれる溶媒(液状媒体)は、臭気抑制の観点から水系溶媒である。水系溶媒は水を含むが、少量のアルコールを含んでいてもよい。アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール等が挙げられる。
水系溶媒は水を50質量%超含むものであり、100質量%含んでいてもよい。
水蒸気バリア層を形成する組成物は、水分散性樹脂及びシリカ粒子の他に、必要に応じて界面活性剤、防腐剤、保存安定剤、シランカップリング剤、金属アルコキシド(及びその加水分解物)等の添加剤を含むことができる。例えば金属アルコキシドとしてはテトラエトキシシランが挙げられる。組成物中に金属アルコキシドを含めることで層がより緻密化し易くなり、水蒸気バリア性がより向上し易い。
水蒸気バリア層の厚さは、1~30μmとすることができ、2~20μmであってもよい。厚さが1μm以上であることで、充分な水蒸気バリア性を発現させ易く、30μm以下であることで、コストを抑えつつ紙基材の凹凸を効率的に埋めることができる。
水分散性樹脂の含有量は、組成物の全量を基準として、5~50質量%とすることができ、10~30質量%であってもよい。含有量が5質量%以上であることで、塗液が乾燥し易くなり生産効率が向上する傾向があり、含有量が50質量%以下であることで、塗液粘度の上昇が抑制され塗工性が向上する傾向がある。
水分散性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層の全量を基準として70~99質量%とすることができ、80~99質量%であってもよく、90~95質量%であってもよい。
(水分散性樹脂)
水分散性樹脂は、水系溶媒中に分散する樹脂のことであり、カルボキシ基等を有するアニオン性樹脂、アミノ基等を有するカチオン性樹脂、水酸基等を有するノニオン性樹脂に分けられる。水分散性樹脂は、これらアニオン性樹脂、カチオン性樹脂及びノニオン性樹脂からなる群より少なくとも一種を含有してよい。
すなわち、水蒸気バリア層は、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂及びノニオン性樹脂のからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂並びにシリカ粒子を含む組成物から形成された層、又はカチオン性樹脂、アニオン性樹脂及びノニオン性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂並びにシリカ粒子を含む層であるということもできる。
水蒸気バリア層は、製造時の環境への影響及び包材(特に食品包材)の残留臭気低減の観点から、水系塗液を塗布し形成することが好ましい。したがって水蒸気バリア層は水分散性樹脂の水系塗液によって形成することが好ましい。
水分散性樹脂の軟化点は例えば、40~150℃である。水分散性樹脂は樹脂が水中に分散しているため、水系溶媒を揮発させただけでは分散された樹脂同士が結合せず一体膜になりにくい。軟化点が150℃以下であることで、塗布乾燥時の加熱により樹脂の融着を進行しやすく一様な膜を得ることができる。軟化点が高すぎる場合は相応の高温が必要となるため、紙基材に変形等の支障が生じたり、生産性が低下したりする虞がある。一方軟化点が40度以上あることで室温域での粘性が高くなりすぎず、ブロッキングの発生が抑制される。水分散性樹脂の軟化点は60~120℃であることがより好ましい。
(カチオン性樹脂)
カチオン性樹脂の骨格となる樹脂としては、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素-エピハロヒドリン又はホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
(アニオン性樹脂)
アニオン性樹脂は、例えば不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸の無水物と、エチレン、プロピレン、スチレン等の疎水性モノマーとを共重合し、カルボキシ基を金属塩やアンモニウム塩とすることで得られる。これらの樹脂としては、オレフィン-不飽和カルボン酸系樹脂、スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂等が挙げられる。その他、アニオン性樹脂としては、スチレン-ブタジエン系樹脂が挙げられる。
アニオン性樹脂の骨格となる樹脂が酸基を有していない場合には、骨格となる樹脂にカルボキシ基等の酸を含むモノマーを共重合して、変性させることにより得ることができる。
これらの樹脂は、耐水性、耐油性及び水蒸気バリア性が良好で、伸びがよく、折割れによる塗工層の亀裂が生じ難い傾向がある。
オレフィン-不飽和カルボン酸系樹脂としては、エチレン、プロピレン等のα-オレフィンと、(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタクリル酸)、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸等の不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル等の少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩等の不飽和スルホン酸モノマー又はその塩、及び必要に応じこれらと共重合可能なその他のモノマーと、を乳化重合することによって得られる共重合体が挙げられる。
低軟化点の観点から、オレフィンとしては、エチレンが好ましく、不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が好ましい。
オレフィン-不飽和カルボン酸系樹脂としては、例えばエチレン-アクリル酸共重合体が挙げられ、これはエチレン-アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液である、ザイクセン(登録商標)AC等(住友精化株式会社製)として入手可能である。
スチレン-ブタジエン系樹脂としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系の芳香族ビニル化合物と、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン等の共役ジエン化合物、及び必要に応じこれらと共重合可能なその他のモノマーと、を乳化重合することによって得られる共重合体が挙げられる。
低軟化点の観点から、スチレン系の芳香族ビニル化合物としてはスチレンが好ましく、共役ジエン化合物としては1,3-ブタジエンが好ましい。
スチレン-ブタジエン系樹脂の具体例としては、例えば酸変性スチレン-ブタジエン系共重合体が挙げられ、これは酸変性スチレン-ブタジエン系共重合体の水性分散液である、LX407S12等(日本ゼオン株式会社製)として入手可能である。
スチレン-不飽和カルボン酸系樹脂としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系の芳香族ビニル化合物と、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸等の不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル等の少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩等の不飽和スルホン酸モノマー又はその塩、及び必要に応じこれらと共重合可能なその他のモノマーと、を乳化重合することによって得られる共重合体が挙げられる。
上記において共重合可能なその他のモノマーとしては、シアノ基含有エチレン性不飽和化合物、エチレン性不飽和酸のグリシジルエーテル、不飽和アルコールのグリシジルエーテル、(メタ)アクリルアミド系化合物等が挙げられる。
水分散性樹脂である上記アニオン性樹脂の骨格となる樹脂の中和に用いられる塩基性化合物としては、アンモニア及び有機アミン類が挙げられる。具体的には、アンモニア;ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N-イソプロピルエタノールアミン、N,N-ジイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-(ジメチルアミノ)-2-メチルプロパノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等の有機アミン類が挙げられる。
上記アニオン性樹脂の骨格となる樹脂に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを作用させて金属塩にしてもよい。そのような化合物としては、ケミパールSシリーズ(三井化学株式会社製)が挙げられる。
アニオン性樹脂の重量平均分子量は、1万~1000万とすることができ、10万~500万であってもよい。
(ノニオン性樹脂)
ノニオン性樹脂は、アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル等のコアとなる疎水性樹脂に、PVA等のシェルとなる親水性樹脂をグラフト化させた、コアシェル構造を有しており、これにより水に分散している。いずれの樹脂も伸びがよく、折割れによる層の亀裂が生じ難い傾向がある。また、これらの樹脂から得られる水蒸気バリア層は耐水性が高い。ノニオン性樹脂としては、X-436(星光PMC製)が挙げられる。
(シリカ粒子)
水蒸気バリア層を、水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物から形成すると、水蒸気バリア性が向上する。この理由につき発明者らは、層形成過程においてシリカ粒子が有する末端シラノール基同士の脱水縮合が生じ、層が緻密になるためであると推察している。使用する水分散性樹脂の性質により組成物の液性が中性、塩基性(pH>7)又は酸性(pH<7)に傾くが、シリカ粒子を用いることで液性に依らずこの効果を享受することができる。
シリカ粒子を用いることによる効果は、マイカ、ベントナイト、カオリン等の天然鉱物粒子を用いた場合には充分に得られない。天然鉱物粒子の場合、液性が塩基性である場合、粒子末端にシラノール基は存在し難く、アルミノール基が存在し易くなる。アルミノール基では脱水縮合が生じ難いため層の緻密化が起こり難い。一方、液性が中性又は酸性である場合、粒子末端にシラノール基が存在し易くなるものの、そもそも天然鉱物粒子のシラノール基密度が低いため、やはり層の緻密化が起こり難い。
シリカ粒子の形状は特に制限されず、球状、棒状、板状、鱗片状等の形状が挙げられる。
シリカ粒子は、一次粒子としての極薄片形状の二酸化珪素(SiO)微粒子が平行的に重なった鱗片状の二次粒子、また当該二次粒子が更に三次元的に凝集した三次粒子の形態を有していてもよい。そのようなシリカ粒子としては、例えばサンラブリー(AGCエスアイテック株式会社製)が挙げられる。
シリカ粒子の形状が、棒状、板状、鱗片状等のように高アスペクト比を有する形状である場合、水蒸気バリア層内において層の主面に平行に配向し易くなる。これによりシリカ粒子による迷路効果が生じ易くなり、水蒸気や酸素が透過し難くなる。
シリカ粒子のアスペクト比は10~100とすることができる。アスペクト比が10以上であることで、迷路効果がより生じ易くなり、100以下であることで折り曲げ後のバリア性の低下を抑制し易くなる。
アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて30個の粒子の長軸と短軸の比率の平均を求めることにより測定される。
シリカ粒子の平均粒子径D50は、0.1~3.0μmとすることができ、0.5~1.5μmであってもよい。
平均粒子径D50は、レーザー回折・散乱法を用いた粒度分布測定により得ることができる。
シリカ粒子のシラノール基密度は10~70μmol/mとすることができ、20~70μmol/mであってもよい。シラノール基密度が10μmol/m以上であることで、水蒸気バリア層の緻密化が生じ易くなり、70μmol/m以下であることで、シラノール基の縮合によるゲル化が起こり難い。
シラノール基密度は、イオンクロマトグラフ法(IC)により測定される。
シリカ粒子の含有量は、水分散性樹脂100質量部(固形分)に対して、0.1~50質量部とすることができ、1~30質量部であってもよく、5~20質量部であってもよく、7.5~20質量部であってもよく、15~20質量部であってもよい。含有量が0.1質量部以上であることで、シラノール基の縮合によるバリア性向上が生じ易くなり、50質量部以下であることで、シラノール基の縮合によるゲル化が起こり難い。また、特に20質量部未満であることで、塗液の粘度が低く維持され、優れた塗工性が得易い。
シリカ粒子の含有量は、水蒸気バリア層の全量を基準として、1~30質量%とすることができ、1~20質量%であってよく、5~10質量%であってもよい。
[ガスバリア層]
(ポリビニルアルコール系樹脂)
ポリビニルアルコール系樹脂とは、例えば、完全けん化のポリビニルアルコール樹脂、部分けん化のポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等である。ポリビニルアルコール系樹脂を用いて形成されたガスバリア層は柔軟性に優れる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、300~1500以下とすることができる。重合度が300以上であれば、ガスバリア積層体のバリア性や屈曲耐性が良好になり、重合度が1500以下であれば、後述するポリビニルアルコール系樹脂の塗液の粘度が低くなり、塗布性が良好になる。
ガスバリア層を設ける方法としては、水蒸気バリア層上に上述したポリビニルアルコール系樹脂及び溶媒を含む塗液を塗布し、50~150℃程度で乾燥させることで得ることができる。
塗液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられ、特に水と、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールとの混合溶媒が好ましい。また塗液は、界面活性剤や防腐剤、保存安定剤、シランカップリング剤、有機チタネート等の添加剤を含んでいても構わない。
ガスバリア層の厚さは、例えば0.1~30μmとすることができ、1~10μmであってもよい。厚さが0.1μm以上であれば、充分なガスバリア性を発現させ易く、厚さが30μm以下であれば、コストを抑え易い。
[金属箔及び蒸着層]
金属箔としては、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる各種金属箔を用いることができ、防湿性、延展性等の加工性及びコスト等の観点から、アルミニウム箔であってもよい。アルミニウム箔としては、軟質アルミニウム箔を用いることができる。アルミニウム箔は、耐ピンホール性及び成型時の延展性が優れる観点から、鉄を含んでもよい。
金属箔の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性等の観点から、5~50μm、又は5~15μmであってもよい。
金属箔は、アクリルポリオールとイソシアネート硬化剤を用いた2液硬化型接着剤等の接着剤を介して水蒸気バリア層等に貼り合わせることができる。
蒸着層は、金属又は無機化合物を蒸着した層である。蒸着層としては、アルミニウム(Al)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化ケイ素(SiO)等を含むものであってもよい。
蒸着層の厚さは、30~100nmとすることができ、50~80nmであってもよい。蒸着層の厚さを30nm以上とすることで蒸着層が均一に形成され易く、100nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、ガスバリア性能及び可撓性を得易い。
蒸着層は、真空成膜手段によって成膜することが、酸素バリア性や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)等の公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流等で制御し易いこと、蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることなどから有効である。
蒸着層を設ける場合、水蒸気バリア層等の上にポリウレタン系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、エポキシ-アミン硬化型樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等を含むアンカーコート層を予め設けてもよい。
<包装材>
包装材は、上記ガスバリア積層体と、ガスバリア積層体の少なくともいずれかの面に設けられたシーラント層と、を備える。このような包装材は、上記ガスバリア積層体を備えるため、水蒸気バリア性に優れる、紙基材を用いた包装材であると言える。ガスバリア積層体の少なくともいずれかの面とは、紙基材側の面及び/又はガスバリア層側の面である。包装材はガスバリア積層体の最外層としてシーラント層を備えることができる。
(シーラント層)
シーラント層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体等の合成樹脂を含む。また、シーラント層は、生分解性樹脂を含有してもよい。
シーラント層は、これら樹脂を溶融押出ラミ法やドライラミ法によってガスバリア積層体上に積層することによって形成することができる。また、シーラント層は、上記樹脂の乳化分散液をガスバリア積層体上に塗工することによって形成することもできる。
シーラント層の厚さは、ヒートシール強度等の観点から1~50μmとすることができ、3~30μmであってもよい。
<包装袋>
包装材を製袋することで包装袋を得ることができる。包装袋は、1枚の包装材を、シーラント層が対向するように二つ折りにした後、ヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよく、2枚の包装材をシーラント層が対向するように重ねた後、ヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよい。
包装袋には、食品、医薬品等の内容物を収容することができる。包装袋の形状としては、例えばガゼット袋、ピロー袋、三方シール袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。
<本実施形態の概要>
[発明1]
紙基材と、水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物から形成された層と、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層と、を備えるガスバリア積層体。
[発明2]
前記シリカ粒子のシラノール基密度が10~70μmol/mである、発明1に記載のガスバリア積層体。
[発明3]
前記シリカ粒子のアスペクト比が10~100である、発明1又は2に記載のガスバリア積層体。
[発明4]
前記水分散性樹脂がアニオン性樹脂である、発明1~3のいずれか一に記載のガスバリア積層体。
[発明5]
前記水分散性樹脂が、オレフィン-不飽和カルボン酸系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂及びスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、発明1~4のいずれか一に記載のガスバリア積層体。
[発明6]
水蒸気透過度(温度40℃、相対湿度90%)が、20g/m・day以下である、発明1~5のいずれか一に記載のガスバリア積層体。
[発明7]
発明1~6のいずれか一に記載のガスバリア積層体と、前記ガスバリア積層体の少なくともいずれかの面に設けられたシーラント層と、を備える包装材。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<ガスバリア積層体の作製>
(使用材料)
紙基材:晒クラフト紙(坪量52g/m、厚さ68μm)。
水蒸気バリア層形成用樹脂液1:エチレン-アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液(ザイクセンAC、住友精化株式会社製、pH7-10)。
水蒸気バリア層形成用樹脂液2:酸変性スチレン-ブタジエン系共重合体の水性分散液(ラテックス)(LX407S12、日本ゼオン株式会社製、pH7)。
シリカ粒子:鱗片状シリカ粒子(サンラブリーLFS-Cタイプ、AGCエスアイテック株式会社製、アスペクト比10~100、平均粒子径(D50)0.5μm、シラノール基密度20~70μmol/m)。
カオリン粒子:鱗片状カオリン粒子(バリサーフHX、イメリス社製)。
モンモリロナイト粒子:鱗片状モンモリロナイト粒子(クニピアF、クニミネ工業株式会社製)。
ガスバリア層形成用塗液:ポリビニルアルコール(5-98、株式会社クラレ製、重合度500)を5質量%溶解した水溶液。
(実施例1)
水蒸気バリア層形成用樹脂液1とシリカ粒子とを、樹脂とシリカ粒子との固形分比が、質量比で100:10となるように混合して塗液を得た。
この塗液を、紙基材上にバーコーターを用いて乾燥後重量が3g/mとなるように塗工した。塗膜を120℃で1分間乾燥させることで、厚さ7μmの水蒸気バリア層を形成した。
ガスバリア層形成用塗液を、水蒸気バリア層上にバーコーターを用いて乾燥後重量が3g/mとなるように塗工した。塗膜を120℃で1分間乾燥させることで、厚さ3μmのガスバリア層を形成した。
以上によりガスバリア積層体を得た。
(実施例2,3)
樹脂とシリカ粒子との固形分比を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア積層体を得た。実施例3では、粒子の含有量比の関係から塗液の粘度が向上したため、水蒸気バリア層を形成する際の塗工性は他の実施例よりも幾分劣っていた。
(実施例4)
水蒸気バリア層形成用樹脂液1に代えて水蒸気バリア層形成用樹脂液2を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア積層体を得た。
(比較例1,2)
シリカ粒子に代えてカオリン粒子又はモンモリロナイト粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア積層体を得た。
<バリア性評価>
(水蒸気透過度測定)
各例で得られたガスバリア積層体の水蒸気透過度(WVTR)を、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN-W 3/34G)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件で、JIS K-7126-2に準拠して測定した。
(酸素透過度測定)
各例で得られたガスバリア積層体の酸素透過度(OTR)を、酸素透過度測定装置(MOCON社製、商品名:OX-TRAN 2/22)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で、JIS K-7126-2に準拠して測定した。
<リサイクル性>
実施例における紙基材の重量は、ガスバリア積層体全体を基準として80~94質量%であり、リサイクル性に優れていた。
1…紙基材、2…水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物から形成された層(水蒸気バリア層)、3…ポリビニルアルコール系樹脂を含む層(ガスバリア層)、10…ガスバリア積層体。

Claims (7)

  1. 紙基材と、水分散性樹脂及びシリカ粒子を含む組成物から形成された層と、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層と、を備えるガスバリア積層体。
  2. 前記シリカ粒子のシラノール基密度が10~70μmol/mである、請求項1に記載のガスバリア積層体。
  3. 前記シリカ粒子のアスペクト比が10~100である、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体。
  4. 前記水分散性樹脂がアニオン性樹脂である、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体。
  5. 前記水分散性樹脂が、オレフィン-不飽和カルボン酸系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂及びスチレン-不飽和カルボン酸系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体。
  6. 水蒸気透過度(温度40℃、相対湿度90%)が、20g/m・day以下である、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体。
  7. 請求項1又は2に記載のガスバリア積層体と、前記ガスバリア積層体の少なくともいずれかの面に設けられたシーラント層と、を備える包装材。
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