JP4013676B2 - 冷温食品容器の包装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶や瓶に炭酸飲料、ビールなどを冷温で充填した冷温液体容器等の冷温で包装した容器入り各種食品を包装する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種食品を冷温下で包装する食品工場では、ビール等の飲料工場を一例として挙げると、製造工程で約5℃以下に冷却された液体容器をそのまま段ボールで包装した場合、液体容器の温度が工場内の室温より低いため、容器に結露水が発生する。この結露水によって段ボールケースが軟化するという問題があった。また、箱外側に防滑樹脂層が設けられている場合には、結露水によりブロッキングが発生するという問題があった。
【0003】
これを防ぐため、このような冷却された食品容器を段ボールケースで包装する際には、冷却されていた食品容器の温度を、結露水が発生しなくなる温度(通常では室温より+2℃以上)まで一旦暖める工程、いわゆるウォーマー工程を必要としていた。
しかし、このウォーマー工程は、エネルギーの消失や、時間のロス、さらには内容物である飲料等食品の味の低下等のデメリットを伴っていた。
【0004】
また、ビールの2L缶等のように、食品容器が大きい場合は加温に時間とエネルギーがかかりすぎるため、事実上ウォーマー工程で温めることが不可能な場合もあった。
このような、ウォーマー工程が不可能な場合、温度差によって発生する結露による段ボールケースの軟化を防ぐため、強耐水段ボールケースを使用していた。
しかし、従来の冷温包装に使用していた強耐水段ボールは、通常の古紙離解工程によって簡単には離解することができず、リサイクルするためには特別の処理工程を設ける必要があり、コスト的にも負担が大きかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明にて解決しようとする課題は、ビール、炭酸飲料等の飲料を始めとする各種冷温包装された食品容器の包装工程において、強耐水段ボールを使用せず、かつ、ウォーマー工程を設けなくても、結露による段ボールケースの軟化や、段ボールケースのブロッキングを防止することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するため、下記の構成をとる。
即ち本発明の第1は、10℃以下の食品を容器に入れ、容器を段ボール箱で包装する包装方法において、
段ボール箱の外側ライナの表面に昜離解性防水・防湿塗工層が形成され、
該表面から測定されるコッブ吸水度(JIS P 8140、接触時間30分)が30g/m2以下、該ライナの透湿度(JAPAN TAPPI No.7:2000、A法)が1500g/m2/24h以下である段ボールを使用し、
かつ、食品充填後の容器を加温せずに段ボール箱に詰める冷温食品容器の包装方法である。
【0007】
また、本発明の第2は、10℃以下の食品を容器に入れ、容器を段ボール箱で包装する包装方法において、
段ボール箱の外側ライナ表面に、コッブ吸水度(JIS P 8140、接触時間30分)が30g/m2以下、透湿度(JAPAN TAPPI No.7:2000、A法)が1500g/m2/24h以下、滑り角度が40°以上である昜離解性防水・防湿・防滑層が設けられている段ボール箱を使用し、
かつ、食品充填後の容器を加温せずに段ボール箱に詰める冷温食品容器の包装方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の特徴は、10℃以下で食品を容器に入れ、容器を段ボール箱で包装する包装方法において、充填後に食品容器を加温せずに段ボール箱に詰めることであり、それを可能にするために、段ボール箱の内側表面または外側表面となるライナには、表面に防水・防湿塗工層が形成され、該表面から測定したライナのコッブ吸水度(JIS−P8140、接触時間30分)が30g/m2以下であり、該ライナの透湿度(JAPAN TAPPI No.7:2000、A法)が1500g/m2/24h以下である段ボール箱を使用する点にある。
【0013】
低温の内実容器を並べて箱に詰めると、容器表面に結露水が付着し、それが段ボール箱の内側ライナに転移し、ライナの強度を弱める。結露水は、まず、段ボール箱の内部に存在する水蒸気が結露することにより発生する。続いて、段ボール層を通して外部の水蒸気が箱の内部に到達すると、その分が更に結露することになる。
そこで、箱の内側表面に防水・防湿層を形成しておけば、外部からの水蒸気を遮断でき、結露水は、始めに発生した分だけになるので、それ程段ボールシート全体の水分は高くならない。更に、箱内壁面に付着した結露水の紙層内部への浸透が防げるので、段ボールシートの軟化を防止できる。
【0014】
一方、箱全体が低温となり、箱外側面に外部の水蒸気が結露することもある。
その場合、防水・防湿層が箱の外側表面にあれば、箱外側の水滴は段ボールシート内部まで到達しない。
以上のように、箱の内側表面に防水・防湿層を形成すれば、箱の内部結露水による段ボールシートの軟化を防ぐことができる。また、箱の外側に防水・防湿層を形成すれば、箱の外側表面の結露水により段ボールシートの軟化を防ぐことができ、低温容器の箱詰めが可能になる。
以上のような効果を得るためには、当該ライナの透湿度(JAPAN TAPPI No.7:2000、A法)が1500g/m2/24h以下である必要があり、好ましくは1200g/m2/24h以下である。同様にライナのコッブ吸水度(JIS−P8140、接触時間30分)が30g/m2以下である必要があり、好ましくは20g/m2以下である。
【0015】
一般的に防水・防湿層は、ライナに合成樹脂フィルムを貼合するか押出塗工することによって得られる。また、ワックスをライナに塗布することによっても得られる。しかしながら、それらの方法では、段ボールを離解して再使用する際に問題が発生する。
従って、本発明では、再離解可能な防水・防湿層が必要であり、そのような防水・防湿層は、合成樹脂水分散液に顔料を混合した塗料をライナに塗布し乾燥して形成する。
【0016】
防水・防湿性を有する塗工層を形成する方法として、特開平10-194326号公報に記載された方法が使用できる。即ち、フィロケイ酸塩化合物と合成樹脂水性エマルジョンを含む防湿性塗料を塗布し防湿層を形成する方法であり、本発明に好ましく適用できる。
使用するフィロケイ酸塩化合物(層状構造を有する層状ケイ酸塩化合物)は平板状顔料である。フィロケイ酸塩化合物に属するものは板状または薄片状であって明瞭な劈開を有し、カオリナイト(カオリン鉱物)、雲母族、脆雲母族、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイトがある。これらの中でも雲母族、タルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。
【0017】
これらのフィロケイ酸塩化合物のうち、白雲母、絹雲母が粒子径の大きさ、アスペクト比(平均直径を厚さで除した数値)などの点から好適である。本発明では平板性(平板状)が保持されている顔料であればよいが、より好ましい平均粒子径範囲としては0.5μm〜100μm、更に好ましい平均粒子径範囲としては1μm〜50μm ある。平均粒子径が1μm 未満のものは塗工層中での平板状顔料の配向が支持体に対して平行になりにくく、50μmを越えて大きくなると平板状顔料の一部が塗工層から突き出たり、平板状顔料の厚みが数μm程度となるに伴い、配向した平板状顔料の塗工層中における層数が少なくなってしまうために防湿性能向上効果が減少する。また、好ましいアスペクト比は5以上であり、特に好ましくはアスペクト比が10以上の平板状顔料である。アスペクト比が5未満のものは塗工面に対して平行に配向できなくなるため防湿性能が劣る。アスペクト比は大きいほど平板状顔料の塗工層中における層数が大きくなるため高い防湿性能を発揮する。
【0018】
上記平板状顔料の平均粒子径は溶媒中に分散させたフィロケイ酸塩化合物をレーザー回折式粒度分布測定装置で求めたものである。また、アスペクト比は平均粒子径を厚さで除した値である。フィロケイ酸塩化合物の厚さは電子顕微鏡の観察で求めたものである。
【0019】
用いられる合成樹脂水性エマルジョンを構成する合成樹脂としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、アクリル−スチレン共重合体、メタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体などが挙げられるが、耐水性が良好で、伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにスチレン−ブタジエン共重合体が好適である。またスチレン−ブタジエン共重合体は(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリルグリシジルエーテルなどで変性(共重合)されたスチレン−ブタジエン共重合体(変性SBR)が好ましい。
【0020】
合成樹脂エマルジョンの最低造膜温度(MFT:一般に合成樹脂のガラス転移温度より5〜10℃高い温度を示す)は、0〜80℃、より好ましくは1〜65℃である。合成樹脂ラテックスの粒子径、ゲル分率(THFなどの溶媒で抽出されない量)、分子量などは特に限定されないが、粒子径は50〜500nm、ゲル分率は10〜90%、分子量は数千〜数十万の範囲が好ましい。
また、防水・防湿塗料に使用するフィロケイ酸塩化合物と合成樹脂との配合質量比率(固形比)は30:70〜70:30、好ましくは40:60〜65:35である。
【0021】
ところで、前記したように、箱の内側表面に防水・防湿層を形成した場合、外側表面に付着する結露水の問題が多少はある。但し、箱の外面は冷却されている缶からはかなり離れて段ボールにより断熱されているので、この結露水はそれ程多くはない。従って、外側表面に若干の撥水性を与えるか、微量の合成樹脂塗工層を形成すれば良い。微量の合成樹脂層は0.5〜6g/m2程度であり、後述する防滑層でも良い。
一方、箱の外側表面に防水・防滑層を形成した場合、箱の外側からの湿度の進入を防いで、箱内での結露水の量が大幅に減少するが、箱の内部に初めから存在する水蒸気が結露することは防げない。その対策としては、箱の内側表面の撥水性を高めることが有効である。
上記した箱の外側表面あるいは内側表面の撥水性を高める具体的方法としては、ワックスエマルジョンやポリエチレンエマルジョンを固形分換算で0.01〜2.0g/m2程度塗布し撥水度(JIS−P8137)をR6以上とする方法が挙げられる。
【0022】
ところで、一般的に飲料缶を詰めた段ボール箱の場合、内容物重量が大きいため荷くずれした時の危険性が高く、そのため防滑性段ボールがよく使用される。
本発明においても、箱の内側に防水・防湿層を形成し、箱の外側表面に防滑層を形成する形態が可能である。
【0023】
防滑層はライナに防滑性塗料を塗工して得られる。防滑性塗料としては、特許2724684号公報、特開平7-304999号公報、特開平8-226096号公報などに記載されている塗料などが使用できる。
特許第2724684号公報には、連鎖結合数が2〜300であり、鎖の長さが20〜300mμの鎖状シリカが10〜80質量部、結着剤90〜10質量部を水分散液にした防滑層形成用塗料が開示されている。結着剤が、ポリアクリル酸エステル系共重合体98〜80質量%と、ブタジエン結合量が35〜80質量%のブタジエン系共重合体2〜20質量%との混合物からなり、かつ、該結着剤の粒子径が0.05〜0.5μm、ガラス転移点が−60〜0℃であるものが好ましい。
【0024】
特開平7-304999号公報には、シリカ粒子と水性樹脂エマルジョンにカルボキシル基含有水溶性樹脂が混合されたシリカ複合エマルジョンを主成分とする防滑剤組成物が開示されている。カルボキシル基含有水溶性樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和単量体とスチレンモノマー、アクリルモノマーなどとを共重合したものである。
【0025】
特開平8-226096号公報には、アクリル系樹脂100質量部、ワックス1〜20質量部、無機系顔料0.1〜20質量部を含有する水性エマルジョン塗料組成物が開示されている。無機系顔料として重質炭酸カルシウムなどを使用し、表面粗さが10〜50μmの範囲とし、ブロッキングを防止する技術が開示されている。
以上3つの公報に記載されたような防滑性塗料は、本発明にも好ましく適用できる。
【0026】
前記した形態は、防水・防湿層と防滑層を別個に形成するものであるが、箱の外側表面に形成された防滑層の防水・防湿性を向上させて、1つの層で防水、防湿、防滑の機能を有するようにする形態も好ましい。
そのため、特許3072583号公報、特開平10-204797号公報に記載されている防滑性・防湿性塗料などが使用できる。
特許3072583号公報には、スチレン・アクリル共重合物に対して、粒径が0.01〜50μmの多孔質無機顔料を2〜200質量%混合して生成された塗料が記載され、多孔質無機顔料としてはゼオライト、タルク、クレー、セピオライトなどが例示されている。具体例として、スチレン・アクリル共重合物100部に対し、無機系多孔質剤であるセピオライトを10部混合して2種類のコート剤を板紙の片面に塗布し、透湿度300g/m2/24hr、コッブ吸水度(60分法)6g/m2、静摩擦係数0.47の防水・防湿・防滑紙が得られている。
【0027】
特開平10-204797号公報には、フィロケイ酸塩化合物と合成樹脂水性エマルジョンと発泡性微粒子を含有する塗料を塗工し、前記発泡性微粒子を発泡させて防湿層を形成した防湿性シートが記載されている。
この技術は、優れた防滑性と防水性・防湿性を兼ねそなえた層を1層で形成でき、本発明の冷温液体容器の包装方法に適用するのに最適である。
以下、この方法による防滑・防水・防湿層の形成について説明する。
【0028】
合成樹脂としては、前記した特開平10-194326号公報に関する説明で記載した合成樹脂が使用できる。中でも、耐水性が良好で、伸びがよく折割れによる塗工層の亀裂が生じにくいためにスチレン−ブタジエン共重合体が好適である。
【0029】
またスチレン−ブタジエン共重合体は(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリルグリシジルエーテルなどの官能基を有するモノマーで変性されたスチレン−ブタジエン共重合体(変性SBR)を使用しても良い。また、使用するフィロケイ酸塩化合物と合成樹脂との配合質量比率(固形比)は30:70〜70:30、好ましくは40:60〜65:35である。
【0030】
本発明に上記塗料を用いる場合、更に、防水性を高めるため、前記した官能基を有する合成樹脂エマルジョンを使用し、官能基を架橋する架橋剤を併用することも好ましい。
ここで使用する架橋剤は、合成樹脂中の官能基と反応して合成樹脂を架橋、高分子化(三次元網目構造)するものである。こうした架橋剤としては(1)メチロール基を有し、上記親水性官能基と脱水反応を起こすもの(メラミン−ホルムアルデヒド縮合反応生成物など)、(2)アルデヒド基を有し、上記親水性官能基と付加反応を起こすもの(グリオキザールなど)、(3)エポキシ基を有し、上記親水性官能基と開環付加反応を起こすもの(ポリグリシジルエーテル化合物など)、(4)多価金属を有し上記親水性官能基と配位結合及び共有結合を形成するもの(炭酸ジルコニウムなど)、(5)水溶液中でカチオン性を示しアニオン性官能基とイオン結合を形成するもの(ポリアミドアミンポリ尿素樹脂など)などがある。
【0031】
架橋剤の配合量は合成樹脂100質量部(固形分)に対して0.01〜10質量部(固形分または有効成分)、好ましくは0.1〜5質量部が望ましい。架橋剤の配合量が0.01質量部未満の場合、架橋剤と親水性官能基との反応性が著しく低下するため好ましくなく、10質量部を越えても透湿度向上や耐ブロッキングに対する効果が頭打ちとなったり、未反応の架橋剤が析出するなどの問題が発生するため好ましくない。
【0032】
この方法で使用する発泡性微粒子は、インサイト重合法等によって熱可塑性樹脂で構成される殻壁に低沸点溶剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルである。このカプセルは、80〜200℃の比較的低温度で短時間の加熱により、直径が約4〜6倍、体積が50〜100倍程度に膨張する平均粒子径が10〜30μmの微粒子である。
【0033】
内包される低沸点溶剤としては、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等の揮発性有機溶剤等が挙られる。また低沸点溶剤を内包する熱可塑性樹脂としては、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体組成物等が用いられる。
【0034】
これら熱膨張性マイクロカプセルは、それ自体が殻壁を構成する熱可塑性樹脂の軟化点温度以上に加熱されると、熱可塑性樹脂が軟化し始め、同時に内包されている低沸点溶剤の蒸気圧が上昇し、熱可塑性樹脂が内圧によって押し広げられることによってカプセルが発泡する。
【0035】
このような熱膨張性マイクロカプセルは、比較的低温で膨張して独立気泡を形成するため、前述の如き防湿層の防湿性を損なうことなく防湿層表面に微細な凹凸を形成することが可能であるため、本用途には最適である。これら発泡性微粒子の配合量は、塗料の固形分比に対して好ましくは0.1〜10質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。この場合、発泡性微粒子の配合量が0.1質量部以下では、十分な防滑性が得られにくく、また10質量部以上では、平板状顔料の配向が乱れ、防湿性に悪影響を及ぼすばかりでなく、経済的にも適当であるとは言い難い。
【0036】
上記した防滑・防水・防湿層を箱の外側に形成すれば、外部から水分が箱内に入ることも防止でき、防滑性も高め、本発明の目的を達成することができる。しかし、前記したように、箱の内部に初めから存在する水蒸気が結露するという問題は残る。その対策としても前記と同様、箱の内側表面の撥水性を高めることが有効である。
【0037】
【実施例】
<参考例1>
裏面(箱内面)用ライナの製造:
50質量部の水に合成樹脂ラテックスHOJ4027(SBRラテックス、固形分48%:日本ゼオン(株)製)100質量部を加え攪拌し、フィロケイ酸塩化合物マイカA21(白雲母、平均粒子径22μm、アスペクト比20〜30:山口雲母工業所(株)製)50質量部を添加、攪拌し防湿性塗料を調製し、ライナ(王子製紙製、ONRK、坪量220g/m2)にバーコーターにより固形分として片面20g/m2塗工後、120℃で乾燥させ裏面(箱内側面)用ライナを作成した。
【0038】
段ボールシートの製造:
表面(箱外面)用ライナとしてONRK(坪量220g/m2:王子製紙(株)製)、中芯として高崎三興製中芯(坪量120g/m2)、及び上記で製造した裏面用ライナを使用し、コルゲーターで貼合、A段の両面段ボールを製造した。接着剤には酸化デンプンの水溶液(王子コーンスターチ製)を用い、乾燥温度180℃で接着した。
裏面用ライナについて、透湿度、吸水度、離解試験を行ない、結果を表1に記載した。
但し、本発明における試験方法は以下の通りである。
【0039】
[試験方法]
(1)透湿度
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.7:2000「紙及び板紙−透湿度試験方法」のA法により、温度40±0.5℃、相対湿度90±2%で測定した。
(2)吸水度
JIS−P8140「紙及び板紙の吸水度試験方法(コッブ法)」により接触時間30分で測定した。
【0040】
(3)離解試験
約3cm四方としたライナ8gを500mlの水と共に家庭用ミキサー(刃は繊維を切らないようにヤスリで削り落としたものを使用)で90秒間撹拌した。得られたスラリーで坪量70g/m2の手抄きシートを作成した。未離解物(フィルム片、紙片)の有無を目視で評価し、未離解物を含まないものを○、含むものを×とした。
【0041】
(4)滑り角度の測定
JIS−P8147傾斜方法にて、塗工面同士を重ね合わせ、下記条件で滑り角度の測定を行った。この場合、滑り角度が40度以上であれば防滑性を示し、50度以上であれば、非常に優れた防滑性を発揮する。
雰囲気:温度23℃、相対湿度50%
傾斜速度:0.5度/分
傾斜方向:A4の長径方向
【0042】
<参考例2>
参考例1において使用した表面(箱外面)用ライナの表面に、更に下記の防滑性塗料を固形分換算で4g/m2塗工して防滑ライナとしたものを用いた以外は、参考例1と同様にして段ボールシートを製造した。
防滑塗料:
スチレン43質量部とアクリル酸2−エチルヘキシル57質量部とポリアクリル酸エステル系共重合体(PAc)エマルジョン(固形分50質量%、粒子径0.12μm、ガラス転移点:−20℃)100質量部と、真球状シリカ(粒子径20mμ)の水分散液(固形分40質量%)90質量部とを、十分に混合し、固形成分中のシリカの含有量が42質量%の防滑層形成用塗料を得た。表面用ライナについて、滑り角度を測定し、結果を表1に記載した。
【0043】
<実施例1>
表面(箱外面)用ライナの製造:
50質量部の水に発泡性微粒子F−30D(粒子径10〜30μm、最高発泡温度130℃:松本油脂製薬(株)製)3質量部を十分に分散させた後、合成樹脂ラテックスHOJ4027(SBRラテックス、固形分48%:日本ゼオン(株)製)100質量部を加えて攪拌し、フィロケイ酸塩化合物マイカA21(白雲母、平均粒子径22μm、アスペクト比20〜30:山口雲母工業所(株)製)50質量部を添加、攪拌して防湿性塗料を調製し、王子製紙製ライナONRK(坪量220g/m2)にバーコーターにより固形分として片面15g/m2塗工後、145℃で乾燥させて防滑性防湿ライナを得た。
得られた防滑性防湿ライナの透湿度、吸水度、離解性、滑り角度について測定し、結果を表1に記載した。
【0044】
段ボールシートの製造:
裏面(箱内面)用ライナとしてONRK(坪量220g/m2:王子製紙(株)製)、中芯として高崎三興製中芯(坪量120g/m2)、及び上記で製造した表面用ライナを使用して、コルゲーターで貼合、A段の両面段ボールを製造した。接着剤としては酸化デンプンの水溶液(王子コーンスターチ製)を用いて乾燥温度180℃で貼合した。
【0045】
<実施例2>
実施例1と同様に調製した防湿性塗料100質量部に、架橋剤WS535(ポリアミドエピクロロヒドリン縮合物、固形分30%:日本PMC(株)製)を0.5質量部を添加、攪拌したこと以外は、実施例1と同様にして防滑性の防湿ライナを得た。
得られた防滑性防湿ライナの透湿度、吸水度、離解性、滑り角度について測定し、結果を表1に記載した。更に実施例1と同様にして段ボールシートを製造した。
【0046】
<実施例3>
ONRK(坪量220g/m2:王子製紙(株)製)に、パラフィンワックス系撥水剤(HA−541:荒川化学(株)製)を固形分当たり0.6g/m2塗工し、表面撥水度をR7としたものを裏面(箱内面)用ライナとして用い、高崎三興製中芯(坪量120g/m2)、参考例1で裏面用ライナとして得たライナを表面(箱外面)用ライナとして使用して、コルゲーターで貼合、A段の両面段ボールを製造した。接着剤としては酸化デンプンの水溶液(王子コーンスターチ製)を用いて乾燥温度180℃で貼合した。
なお、上記表面用ライナの透湿度、吸水度、離解性について表1に記載した。
【0047】
<比較例1>
ONRK(220g/m2:王子製紙(株)製)に、参考例2で使用した防滑性塗料を固形分換算で4g/m2塗工して防滑性ライナを得た。
次に、この防滑性ライナを表面(箱外面)用ライナとし、高崎三興製中芯(坪量120g/m2)、及びONRK(220g/m2:王子製紙製)を裏面(箱内面)用ライナとして使用して、コルゲーターにて貼合し、A段の両面段ボールシートを得た。
なお、上記防滑性ライナの透湿度、吸水度、離解性、滑り角度について表1に記載した。
【0048】
[冷却飲料缶包装時の箱軟化度合いの測定]
まず、参考例1〜2、実施例1〜3、及び比較例1で製造した段ボールシートを、段ボール製函機で製函し、段ボールケースを得た。
次に、各段ボール箱について下記の試験を行い、結果を表1に記載した。
試験:
5℃に冷却した飲料缶(2Lビール缶容器)6缶を、比較例、実施例及び比較例で得たA式段ボールにて梱包後、30℃、90%RHの環境下に3時間放置し、ケース(天面)の水分とコラムクラッシュ(JIS−Z0403)を測定した。
水分は12%未満を○、12%以上14%未満を△、14%以上を×とし、コラムクラッシュは残存強度率65%以上を◎、60%以上65%未満を○、50%以上60%未満を△、50%未満を×とする。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明により、缶飲料等を始めとする冷温包装された食品容器の包装工程において、強耐水段ボールを使用せず、かつ、ウォーマー工程を設けなくても、結露による段ボールケースの軟化や、段ボールケースのブロッキングを防止することが可能となった。
Claims (2)
- 10℃以下の食品を容器に入れ、容器を段ボール箱で包装する包装方法において、
段ボール箱の外側ライナ表面に昜離解性防水・防湿塗工層が形成され、
該表面から測定されるコッブ吸水度(JIS P 8140、接触時間30分)が30g/m2以下、該ライナの透湿度(JAPAN TAPPI No.7:2000、A法)が1500g/m2/24h以下である段ボールを使用し、
かつ、食品充填後の容器を加温せずに段ボール箱に詰めることを特徴とする冷温食品容器の包装方法。 - 10℃以下の食品を容器に入れ、容器を段ボール箱で包装する包装方法において、
段ボール箱の外側ライナ表面に、コッブ吸水度(JIS P 8140、接触時間30分)が30g/m2以下、透湿度(JAPAN TAPPI No.7:2000、A法)が1500g/m2/24h以下、滑り角度が40°以上である昜離解性防水・防湿・防滑層が設けられている段ボール箱を使用し、
かつ、食品充填後の容器を加温せずに段ボール箱に詰めることを特徴とする冷温食品容器の包装方法。
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