JP2024066916A - ヘパリン類似物質を含有する消毒用組成物 - Google Patents

ヘパリン類似物質を含有する消毒用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】殺菌剤とヘパリン類似物質を含みつつ、白濁が抑制された又は白濁のない消毒用組成物を提供する。【解決手段】本発明の消毒用組成物は、殺菌剤(1)、ヘパリン類似物質(2)、界面活性剤(3)、及び水(4)を含み、波長400nmの光線透過率が70%以上である。本発明の消毒用組成物は、更に、エタノール(5)を含有しても良い。前記ヘパリン類似物質(2)の含有量は、例えば、殺菌剤(1)1重量部に対して0.05~30重量部である。前記界面活性剤(3)の含有量は、例えば、殺菌剤(1)1重量部に対して2.5~10重量部である。【選択図】なし

Description

本発明は、ヘパリン類似物質を含有する消毒用組成物に関する。
特許文献1には、ヘパリン類似物質を含む外用組成物が開示されている。
特開2018-52836号公報
近年、新型インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの出現に伴い、擦式手指消毒剤の需要が高まっている。しかし、ヘパリン類似物質と殺菌剤とを含有する擦式手指消毒剤は知られていない。
そこで、本発明者らが検討した結果、殺菌剤の水溶液にヘパリン類似物質を添加したところ、白濁、析出、もしくは沈殿することが判明した。また、殺菌剤としては、第4級アンモニウム化合物類やグルコン酸クロルヘキシジンなどが知られているが、何れを使用した場合にも白濁、析出、もしくは沈殿することが判明した。
そして、ヘパリン類似物質の添加で白濁する現象は、殺菌剤を含む消毒剤に共通した問題であることが分かった。
つまり、殺菌剤を含む消毒剤は、ヘパリン類似物質を添加することで白濁して、殺菌剤の含量が低下する問題や、溶液が不均一化する問題が生じることが分かった。
従って、本発明の目的は、殺菌剤とヘパリン類似物質を含みつつ、白濁が抑制された又は白濁のない消毒用組成物を提供することにある。
本発明者らは前記課題を達成するため鋭意検討した結果、前記白濁の現象は、ヘパリン類似物質や殺菌剤の添加量に依存することを見出した。そして、ヘパリン類似物質(w/v%)と殺菌剤(w/v%)と界面活性剤(w/v%)と水(vol%)とを組み合わせ、必要に応じてさらにエタノールを含有した消毒用組成物は、白濁が抑えられることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、殺菌剤(1)、ヘパリン類似物質(2)、界面活性剤(3)、及び水(4)を含み、
波長400nmの光線透過率が70%以上である、消毒用組成物を提供する。
本発明は、また、前記ヘパリン類似物質(2)の含有量が、殺菌剤(1)1重量部に対して0.05~30重量部である前記消毒用組成物を提供する。
本発明は、また、前記界面活性剤(3)の含有量が、殺菌剤(1)1重量部に対して2.5~10重量部である前記消毒用組成物を提供する。
本発明は、また、前記殺菌剤(1)の含有量が消毒用組成物全量に対して0.01~0.25w/v%である前記消毒用組成物を提供する。
本発明は、また、前記殺菌剤(1)が、第4級アンモニウム化合物及びクロルヘキシジングルコン酸塩から選択される少なくとも1種の化合物である前記消毒用組成物を提供する。
本発明は、また、前記第4級アンモニウム化合物が、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、及びセチルピリジニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である前記消毒用組成物を提供する。
本発明は、また、前記殺菌剤(1)が、ベンザルコニウム塩化物及びベンゼトニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である、前記消毒用組成物を提供する。
本発明は、また、更に、エタノール(5)を含有する前記消毒用組成物を提供する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲に示す数値は、有効数字以下の桁を四捨五入して丸めた数値も含むものとする。例えば、0.06w/v%は、有効数字以下の桁である小数第3位を四捨五入して0.06w/v%となる0.055~0.064w/v%を含み、0.1w/v%は同様に小数第2位を四捨五入して、0.05~0.14w/v%を含む。
本発明の消毒用組成物は、ヘパリン類似物質と、殺菌剤と、界面活性剤と、水又はエタノール水溶液との組合せにより、白濁が抑えられる。そのため、本発明の消毒用組成物は、ポンプやノズルの詰まりを防止し得る、噴霧して使用する用途に適している、組成が均一である、及び/又はざらつきにくい、といった利点がある。
[消毒用組成物]
本発明の消毒用組成物は、殺菌剤(1)、ヘパリン類似物質(2)、界面活性剤(3)、及び水(4)を含み、波長400nmの光線透過率が70%以上であることを特徴とする。
本発明の消毒用組成物は、更に、エタノール(5)を含有することができる。本発明の消毒用組成物がエタノール(5)を含有すると、速乾効果が得られる。
(殺菌剤(1))
本発明の消毒用組成物における殺菌剤とは、手指消毒剤に好適に用いられる殺菌剤であり、病原性細菌を死滅させる効果を有する化合物が好ましい。
前記殺菌剤としては、例えば、下記式で示される、ベンザルコニウム塩化物(BAC)、ベンゼトニウム塩化物(BEC)、セチルピリジニウム塩化物(CPC)等の第4級アンモニウム化合物や、ビグアナイド系のクロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2024066916000001
殺菌剤としては、第4級アンモニウム化合物及びクロルヘキシジングルコン酸塩から選択される少なくとも1種の化合物が好ましく、中でも第4級アンモニウム化合物が好ましく、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、及びセチルピリジニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物が更に好ましく、ベンザルコニウム塩化物及び/又はベンゼトニウム塩化物が特に好ましく、ベンザルコニウム塩化物が最も好ましい。
殺菌剤(1)の含有量は、消毒用組成物全量において、例えば0.001~0.3w/v%であり、好ましくは0.01~0.25w/v%、より好ましくは0.03~0.25w/v%であり、最も好ましくは0.05~0.2w/v%である。
(ヘパリン類似物質(2))
本発明に用いるヘパリン類似物質は、「ヘパリン」に類似する構造の物質であり、例えばウシやブタの胎盤から抽出され、ムコ多糖を硫酸化することにより精製され、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖に属する成分である。
本発明においては、特に日本薬局方外医薬品規格2002に記載されているヘパリン類似物質もしくはこれと同等規格のヘパリン類似物質を使用することが更に好適である。
ヘパリン類似物質の含有量は、消毒用組成物全量に対して、例えば0.001~1w/v%であり、殺菌剤(1)との白濁を抑制して溶解性を向上し、殺菌効果を高める観点から、好ましくは0.001~0.5w/v%、さらに好ましくは0.005~0.45w/v%、より好ましくは0.01~0.4w/v%、特に好ましくは0.02~0.35w/v%、最も好ましくは0.03~0.3w/v%である。
ヘパリン類似物質の含有量は、殺菌剤(1)1重量部に対して、例えば0.01~50重量部、好ましくは0.02~30重量部、さらに好ましくは0.03~20重量部であり、より好ましくは0.05~15重量部であり、特に好ましくは0.1~10重量部であり、最も好ましくは0.15~7重量部である。
(界面活性剤(3))
本発明の消毒用組成物は界面活性剤を含有する。前記界面活性剤には、本発明の効果に影響がない範囲で、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が含まれる。なかでも、低刺激性で手指の荒れを抑制できる観点から、非イオン系界面活性剤が好ましい。また、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記非イオン系界面活性剤としては、水に溶解し、ヘパリン類似物質とも白濁を起こさないものであればよく、例えば、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と表記する。)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;POE・ポリオキシプロピレン(以下、「POP」と表記する)セチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、モノリノール酸ポリグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;POE(196)・POP(67)グリコールなどのPOE・POPグリコール;POEラノリンアルコール、POE硬化ヒマシ油等や、POE・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
また、前記界面活性剤のHLB値は10以上が好ましく、13以上がより好ましく、14以上がさらに好ましく、15以上が特に好ましい。具体的には、HLB値13以上(例えば13~29、好ましくは13~23)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、HLB値13以上(例えば13~20)のポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値14以上(例えば14~18)のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、HLB値14以上(例えば14~20)のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、HLB値12.5以上(例えば12.5~17)のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、HLB値13~15のポリグリセリン脂肪酸エステル、HLB値10以上(例えば10~15)のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、HLB値13以上(例えば13~17)のシリコーン系界面活性剤等がより好ましい。
前記界面活性剤の含有量は、前記消毒用組成物全量に対して、例えば0.001~10w/v%、好ましくは0.025~10w/v%、さらに好ましくは0.03~9w/v%、最も好ましくは0.035~8w/v%である。
前記界面活性剤の含有量は、殺菌剤(1)1重量部に対して例えば0.01~1000重量部、好ましくは0.05~500重量部、さらに好ましくは0.125~200重量部である。
前記界面活性剤の含有量は、ヘパリン類似物質(2)1重量部に対して例えば0.01~500重量部、好ましくは0.05~200重量部、さらに好ましくは0.083~170重量部である。
(水(4))
本発明の消毒用組成物は水を含有する。水としては特に限定されず、例えば、蒸留水、イオン交換水、精製水などを使用することができる。
本剤は、水以外の成分、すなわち、殺菌剤(1)、ヘパリン類似物質(2)、界面活性剤(3)と、さらに手指消毒剤として添加できるその他の成分(例えば、エタノール(5)やエタノール以外のアルコール類や、さらに製品上、添加が好ましい医薬品添加物等、又は公定書記載成分等)を含有しても良く、水の含有量は、水以外の成分を差引き、残余分を水の分量とするために限定することはできないが、前記消毒用組成物全量に対して、例えば50vol%以上、好ましくは60vol%以上、さらに好ましくは70vol%以上である。
(エタノール(5))
本発明の消毒用組成物は、エタノールを含有することができる。エタノールは単独で使用しても良いし、エタノールと共に他の低級アルコール(例えば、メタノール、1-プロパノール、イソプロパノールなど)を、本発明の効果に影響を与えない範囲(例えば、組成物全量に対して5vol%以下)で併用してもよい。
エタノールの含有量は、消毒用組成物全量に対して、例えば45vol%以下であり、好ましくは33vol%以下、特に好ましくは30vol%以下、最も好ましくは19vol%以下である。
本発明の消毒用組成物に含まれる各成分の濃度は、例えば、殺菌剤(1)0.05~0.2w/v%、ヘパリン類似物質(2)0.01~0.3w/v%、界面活性剤(3)0.025~10w/v%、エタノール(5)0~45vol%以下の範囲内であり、前記範囲内において配合割合を適宜調整することで、白濁を抑制又は白濁を防止することができる。
本発明の溶解性の基準の一つとしては、例えば、溶液の光透過率で決定することもできる。特に好適には、透過率T%を測定することで、消毒液剤の透明性又は白濁の抑制効果や溶解性を客観的に判断することができる。
本発明の消毒用組成物の透過率T%は70%以上が許容範囲であり、85%以上が好ましい。透過率T%の上限値は、100%である。ただし、測定誤差等により、100%を超える場合は、実質的に100%とする。透過率T%が70%未満の場合は、白濁や沈殿が起こる範囲にあり、好ましくない。
(各成分の濃度)
本発明の消毒用組成物は、例えば、ヘパリン類似物質(2)の濃度に応じて、殺菌剤(1)、界面活性剤(3)、水(4)、及びエタノール(5)の濃度を適宜調整することができる。
例えば、ヘパリン類似物質(2)濃度が全組成物に対して例えば0.01w/v%以上0.2w/v%未満(好ましくは0.03~0.1w/v%、特に好ましくは0.06w/v%)であり、かつ、界面活性剤(3)濃度が全組成物に対して0.025~10w/v%であるとき、殺菌剤(1)の含有量は0.05~0.2w/v%の範囲が好ましく、エタノール(5)の含有量は45vol%以下の範囲が好ましく、エタノール(5)を含まなくてもよい。但し、殺菌剤の含有量が0.05~0.1w/v%であるときは、殺菌剤(1)の濃度が高いほど、エタノール(5)の好適な濃度の上限値は低くなる傾向がある。つまり、エタノール(5)の好適な濃度範囲は狭くなる傾向がある。殺菌剤(1)の含有量が0.1~0.2w/v%であるときは、殺菌剤(1)の濃度が高いほど、エタノール(5)の好適な濃度の上限値は低くなる傾向がある一方で、35w/v%付近に好適な濃度範囲が現れる。
また、ヘパリン類似物質(2)濃度が全組成物に対して例えば0.01w/v%以上0.2w/v%未満(好ましくは0.03~0.1w/v%、特に好ましくは0.06w/v%)、かつ、界面活性剤(3)濃度が全組成物に対して0.025~10w/v%であるとき、殺菌剤(1)の濃度に応じて、エタノール(5)の好適な各濃度を決めることができる。例えば、殺菌剤(1)濃度が0.03w/v%以上0.08w/v%未満(好ましくは0.04~0.06w/v%、特に好ましくは0.05w/v%)であるとき、エタノール(5)濃度は45vol%以下が好ましく、37vol%以下がより好ましい。殺菌剤(1)濃度が0.08w/v%以上0.13w/v%未満(好ましくは0.09~0.11w/v%、特に好ましくは0.10w/v%)であるとき、エタノール(5)濃度は16vol%以下が好ましく、15vol%以下がより好ましい。殺菌剤(1)濃度が0.13w/v%以上0.23w/v%以下(好ましくは0.18~0.22w/v%、さらに好ましくは0.19~0.21w/v%、特に好ましくは0.20w/v%)であるとき、エタノール(5)濃度は8vol%以下又は33~37vol%が好ましく、2vol%以下又は34~35vol%がより好ましい。
また、ヘパリン類似物質(2)濃度が全組成物に対して例えば0.2w/v%以上0.5w/v%未満(好ましくは0.25~0.4w/v%、さらに好ましくは0.28~0.35w/v%、特に好ましくは0.30w/v%)、かつ、界面活性剤(3)濃度が全組成物に対して0.025~10w/v%であるとき、殺菌剤(1)濃度は0.05~0.2w/v%の範囲が好ましく、エタノール(5)濃度は33vol%以下の範囲が好ましく、エタノール(5)を含まなくてもよい。但し、殺菌剤(1)の濃度が高いほど、エタノール(3)の好適な濃度の下限値は高くなり、上限値は低くなり、エタノール(5)の好適な濃度範囲は狭くなる傾向がある。
また、ヘパリン類似物質(2)濃度が全組成物に対して例えば0.2w/v%以上0.5w/v%未満(好ましくは0.25~0.4w/v%、さらに好ましくは0.28~0.35w/v%、特に好ましくは0.30w/v%)、かつ、界面活性剤(3)濃度が全組成物に対して0.025~10w/v%であるとき、殺菌剤(1)の濃度に応じて、エタノール(5)の好適な各濃度を決めることができる。例えば、殺菌剤(1)濃度が0.03w/v%以上0.08w/v%未満(好ましくは0.04~0.06w/v%、特に好ましくは0.05w/v%)であるとき、エタノール(5)濃度は33vol%以下が好ましい。殺菌剤(1)濃度が0.08w/v%以上0.13w/v%未満(好ましくは0.09~0.11w/v%、特に好ましくは0.10w/v%)であるとき、エタノール(5)濃度は30vol%以下が好ましい。殺菌剤(1)濃度が0.13w/v%以上0.23w/v%以下(好ましくは0.18~0.22w/v%、さらに好ましくは0.19~0.21w/v%、特に好ましくは0.20w/v%)であるとき、エタノール(5)濃度は19vol%以下が好ましく、14vol%以下がより好ましく、エタノール(5)を含まなくてもよい。
本発明の消毒用組成物は、殺菌剤(1)の濃度に応じて、ヘパリン類似物質(2)及びエタノール(5)の好適な各濃度を決めてもよい。
例えば、殺菌剤(1)濃度が全組成物に対して0.03w/v%以上0.08w/v%未満(好ましくは0.04~0.06w/v%、特に好ましくは0.05w/v%)であり、かつ、界面活性剤(3)濃度が全組成物に対して0.025~10w/v%であるとき、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.01~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は45vol%以下であってもよく、好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.03~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は45vol%以下であってもよく、より好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.06~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は45vol%以下であってもよい(いずれもエタノール(5)を含まなくてもよい)。但し、ヘパリン類似物質(2)の濃度が高いほど、エタノール(5)の好適な濃度の上限値は低くなり、エタノール(5)の好適な濃度範囲は狭くなる傾向がある。
例えば、殺菌剤(1)濃度が全組成物に対して0.08w/v%以上0.13w/v%未満(好ましくは0.09~0.11w/v%、特に好ましくは0.10w/v%)であり、かつ、界面活性剤(3)濃度が全組成物に対して0.025~10w/v%であるとき、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.01~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は30vol%以下であってもよく、好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.03~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は30vol%以下であってもよく、より好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.06~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は30vol%以下であってもよい(いずれもエタノール(5)を含まなくてもよい)。但し、ヘパリン類似物質(2)の濃度が低いほど、エタノール(5)の好適な濃度の上限値は低くなり、エタノール(5)の好適な濃度範囲は狭くなる傾向がある。
例えば、殺菌剤(1)濃度が全組成物に対して0.13w/v%以上0.23w/v%以下(好ましくは0.18~0.22w/v%、さらに好ましくは0.19~0.21w/v%、特に好ましくは0.20w/v%)であり、かつ、界面活性剤(3)濃度が全組成物に対して0.025~10w/v%であるとき、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.01~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は19vol%以下又は33~37vol%であってもよく、好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.03~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は19vol%以下又は33~37vol%であってもよく、より好ましくは、ヘパリン類似物質(2)濃度は0.06~0.3w/v%、エタノール(5)濃度は19vol%以下又は34~35vol%であってもよい。但し、ヘパリン類似物質(2)の濃度が低いほど、エタノール(5)の好適な濃度の上限値は低くなる傾向がある一方で、35vol%付近に好適な濃度範囲が現れる。
(その他の成分)
本発明の消毒用組成物は、上記(1)~(5)成分以外にも、本発明の効果に影響がない範囲で、用途に応じて他の成分を含有していても良い。
他の成分としては、例えば、ヘパリン類似物質(2)以外に製剤学的に許容される保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、清涼化剤、抗炎症剤、エモリエント剤、溶剤、着色剤、香料成分等の成分を製剤の目的や特性を考慮して使用することができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記保湿剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、天然保湿因子(NMF);NMFの構成要素であるアミノ酸、カルボン酸又はそのエステル、乳酸;ピロリドンカルボン酸;ヒアルロン酸;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール又はソルビット等の多価アルコール類;可溶性コラーゲン、加水分解ユラスチン、加水分解ケラチン等のたんぱく質加水分解物;プラセンタエキス、ムチン、ベタイン、キチン・キトサン、ビフィズス菌代謝物、酵母発酵代謝産物;酵母抽出物等が挙げられる。
前記増粘剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール等のトコフェロール誘導体;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸プロピル等の没食子酸誘導体、ビタミンC(アスコルビン酸)及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩等が挙げられる。
前記防腐剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、パラベン類(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)、サリチル酸、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、ソルビン酸、ヒノキチオール等が挙げられる。
前記キレート剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、EDTA、EDTA2Na、EDTA3Na、EDTA4Na等のエデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩);HEDTA3Na等のヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩;ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩);フィチン酸;エチドロン酸等のホスホン酸及びそのナトリウム塩;シュウ酸ナトリウム等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酢酸、酢酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、リン酸、塩酸、硫酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、オキシベンゾン、サリチル酸2-エチルヘキシル、4-tert-ブチル-4-メトキシ-ベンゾイルメタン等が挙げられる。
前記清涼化剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、l-メントール、カンフル等が挙げられる。
前記抗炎症剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン及びアロエエキス等が挙げられる。
前記エモリエント剤としては、本発明の効果に影響がない範囲で、例えば、アジピン酸ジイソブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソブチル、及びマレイン酸イソブチル等が挙げられる。
他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整することができ、例えば、消毒用組成物全量の30w/w%以下であってもよく、20w/w%以下が好ましく、10w/w%以下が更に好ましく、5w/w%以下が更に好ましく、1w/w%以下が更に好ましく、0.1w/w%以下が更に好ましく、0.01w/w%以下が最も好ましい。
本発明の消毒用組成物は、例えば、殺菌剤(1)、ヘパリン類似物質(2)、水(4)、及び界面活性剤(3)を配合し、加温しながら撹拌して溶解し、その後、室温に冷却してから、エタノール(5)を添加する方法により調製することができる。
前記消毒用組成物は、上記成分(1)~(5)を含有するため(好ましくは、所定濃度で含有するため)溶解性に優れ、殺菌剤(1)とヘパリン類似物質(2)による白濁を抑制することができる。
そのため、前記消毒用組成物の溶解性を、前記消毒用組成物の効果(ポンプやノズルが詰まりにくい、噴霧しやすい、ざらつきにくい、均一な製剤が得られやすいなどの効果)の指標として利用することができる。
前記消毒用組成物の溶解性は、光の透過率で判断することができる。特に判断しやすい方法は、UV測定機器による透過率T%を利用する方法である。
以上、本発明の各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、適宜、構成の付加、省略、置換、及び変更が可能である。また、本発明は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
尚、重量での秤取は天秤を用いて行い、容量での採取はピペットマン(ギルソン社製)を用いて行った。
また、組成物の調製では、各成分の添加ごとに、必要に応じてボルテックスミキサーを使用して、混和した。
水とエタノールの添加量はアルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表を基に予め算出した。
(エタノール含有量による溶解性評価)
実施例1
15mLのポリスチレン製透明コニカルチューブ(コーニング社製)に、50w/w%ポリオキシエチレンラウリルエーテル(PEG-La)水溶液0.1gを量り取り、これに水を添加して溶解させた後、3w/w%ヘパリン類似物質(hep)水溶液1mL、10w/v%BAC水溶液0.05mLを加え、全量10mLの組成物(1)(PEG-La0.5w/v%、hep0.3w/v%、BAC0.05w/v%、エタノール0vol%)を得た。
尚、50w/w%PEG-La水溶液としては、商品名「NIKKOL BL-21」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、局方名ラウロマクロゴール、日光ケミカルズ(株)製)の50w/w%水溶液を調製した。
3w/w%hep水溶液としては、「ヘパリン類似物質」(日本薬局方外規格品)の3w/w%水溶液を調製した。
10w/v%BAC水溶液としては、商品名「ヂアミトール消毒用液10w/v%」(10w/v%ベンザルコニウム塩化物水溶液、丸石製薬(株)製)を用いた。
エタノール(95)は、商品名「エタノール「マルイシ」」(丸石製薬(株)製)を用いた。
実施例2
15mLのポリスチレン製透明コニカルチューブ(コーニング社製)に、50w/w%PEG-La水溶液0.1gを量り取り、これに水を添加して溶解させた後、3w/w%hep水溶液1mL、10w/v%BAC水溶液0.05mLを加え、さらにエタノール(95)を加えて全量10mLの組成物(2)(PEG-La0.5w/v%、hep0.3w/v%、BAC0.05w/v%、エタノール1vol%)を得た。
実施例3~85、実施例101~177、比較例1~53、比較例101~161
殺菌剤(BAC)濃度、ヘパリン類似物質(hep)濃度、界面活性剤(PEG-La)濃度、及びエタノール濃度を下記表に記載の通り変更した以外は実施例1又は実施例2と同様にして組成物を得た。
実施例及び比較例で得られた組成物について、以下の方法で溶解性を評価した。
すなわち、組成物を室温で保存し、1週間以内に目視観察し、吸光マイクロプレートリーダー(SPECTRAmax PLUS384、モレキュラーデバイス社製)を用い、波長400nmの光線の透過率T%を測定し、ヘパリン類似物質と殺菌剤の溶解性を下記基準で評価した。なお、組成物は透過率測定前にボルテックスミキサーを使用して混和した。また、試験の校正は、水又は適宜作成したエタノール水溶液の波長400nmの光線透過率を用いて行った。
(溶解性評価)
非常に優れている(◎):波長400nmの光線透過率が85%以上
優れている(○):波長400nmの光線透過率が70%以上、85%未満
不良である(×):波長400nmの光線透過率が70%未満
結果を下記表にまとめて示す。なお、エタノール0vol%とは、エタノールを含まないことを示す。
Figure 2024066916000002
Figure 2024066916000003
Figure 2024066916000004
Figure 2024066916000005
Figure 2024066916000006
Figure 2024066916000007
(界面活性剤の添加量による溶解性評価)
実施例201~219、比較例201~211
下記表に示すように界面活性剤(PEG-La)濃度を変更した以外は実施例1と同様の方法で組成物を得、得られた組成物の溶解性を評価した。結果を下記表に示す。
Figure 2024066916000008
(BAC以外の殺菌剤の溶解性評価)
実施例301~303、比較例301~303
実施例301では、殺菌剤としてベンゼトニウム塩化物(以下、BEC)を使用した以外は実施例66と同様にして組成物を得た。
実施例302では、殺菌剤としてセチルピリジウム塩化物(以下、CPC)を使用した以外は実施例66と同様にして組成物を得た。
実施例303では、殺菌剤としてクロルヘキシジングルコン酸塩(以下、CHG)を使用した以外は実施例66と同様にして組成物を得た。
比較例301~303では、界面活性剤(PEG-La)を添加しなかった以外は実施例301~303と同様にして組成物を得た。
実施例及び比較例で得られた組成物について、溶解性を評価した。結果を下記表に示す。
Figure 2024066916000009
(界面活性剤の種類による溶解性評価)
実施例401~410、比較例401~413
界面活性剤の種類を下記表のとおり変更した以外は実施例66と同様にして組成物(hep0.3w/v%、界面活性剤0.5w/v%、BAC0.2w/v%、エタノール0vol%)を得、得られた組成物について、溶解性を評価した。
※1 比較例402は、ヘパリン類似物質と界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル)とを混合した段階で白濁したため、更にBACを添加して得られた組成物については溶解性評価を行わなかった。
※2 比較例403~413は、界面活性剤に水を添加した段階で白濁したため、更に、ヘパリン類似物質とBACを添加して得られる組成物については溶解性評価を行わなかった。
結果を下記表に示す。
Figure 2024066916000010
実施例501~505、比較例501
下記表に記載の界面活性剤0.25gを量り取り、これに水39.75mLを添加した後、0.3w/w%hep水溶液5mL、2w/w%BAC水溶液5mLを加え、全量50mLとして組成物(hep0.03w/v%、BAC0.2w/v%、界面活性剤0.5w/v%、エタノール0vol%)を得た。
得られた組成物について、溶解性を評価した。
尚、2w/w%BAC水溶液は、商品名「ヂアミトール消毒用液50w/v%」(50w/v%ベンザルコニウム塩化物水溶液、丸石製薬(株)製)を水で希釈して調製した。
3w/w%hep水溶液としては、「ヘパリン類似物質」(日本薬局方外規格品)の3w/w%水溶液を調製して使用した。
結果を下記表に示す。
※2 比較例501は、界面活性剤に水を添加した段階で白濁したため、更に、ヘパリン類似物質とBACを添加して得られる組成物については溶解性評価を行わなかった。
Figure 2024066916000011
上記実施例から、水、又はエタノールを低濃度で含む水溶液において、所定の濃度のヘパリン類似物質と、所定の濃度の殺菌剤(BAC、BEC、CPC、CHG)と、所定の濃度で特定の界面活性剤を含むとき、ヘパリン類似物質と殺菌剤は良好に溶解して、白濁を抑制又は防止できることが分かる。
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記する。
[1] 殺菌剤(1)、ヘパリン類似物質(2)、界面活性剤(3)、及び水(4)を含み、波長400nmの光線透過率が70%以上である、消毒用組成物。
[2] 前記ヘパリン類似物質(2)の含有量が、殺菌剤(1)1重量部に対して0.05~30重量部である、[1]に記載の消毒用組成物。
[3] 前記界面活性剤(3)の含有量が、殺菌剤(1)1重量部に対して2.5~10重量部である、[1]又は[2]に記載の消毒用組成物。
[4] 前記殺菌剤(1)の含有量が消毒用組成物全量に対して0.01~0.25w/v%である、[1]~[3]の何れか1つに記載の消毒用組成物。
[5] 前記殺菌剤(1)が、第4級アンモニウム化合物及びクロルヘキシジングルコン酸塩から選択される少なくとも1種の化合物である、[1]~[4]の何れか1つに記載の消毒用組成物。
[6] 前記第4級アンモニウム化合物が、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、及びセチルピリジニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である、[5]に記載の消毒用組成物。
[7] 前記殺菌剤(1)が、ベンザルコニウム塩化物及びベンゼトニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である、[1]~[6]の何れか1つに記載の消毒用組成物。
[8] 更に、エタノール(5)を含有する、[1]~[7]の何れか1つに記載の消毒用組成物。

Claims (8)

  1. 殺菌剤(1)、ヘパリン類似物質(2)、界面活性剤(3)、及び水(4)を含み、
    波長400nmの光線透過率が70%以上である、消毒用組成物。
  2. 前記ヘパリン類似物質(2)の含有量が、殺菌剤(1)1重量部に対して0.05~30重量部である、請求項1に記載の消毒用組成物。
  3. 前記界面活性剤(3)の含有量が、殺菌剤(1)1重量部に対して2.5~10重量部である、請求項1又は2に記載の消毒用組成物。
  4. 前記殺菌剤(1)の含有量が消毒用組成物全量に対して0.01~0.25w/v%である、請求項1又は2に記載の消毒用組成物。
  5. 前記殺菌剤(1)が、第4級アンモニウム化合物及びクロルヘキシジングルコン酸塩から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2に記載の消毒用組成物。
  6. 前記第4級アンモニウム化合物が、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、及びセチルピリジニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項5に記載の消毒用組成物。
  7. 前記殺菌剤(1)が、ベンザルコニウム塩化物及びベンゼトニウム塩化物から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2に記載の消毒用組成物。
  8. 更に、エタノール(5)を含有する、請求項1又は2に記載の消毒用組成物。
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