JP2024066791A - 水素生成装置 - Google Patents

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柾峻 西崎
Masatoshi Nishizaki
憲有 武田
Kenyu Takeda
理 宮脇
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Abstract

【課題】本開示は、蒸発部の外周を囲む伝熱緩衝空間を構成する水素生成装置において、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を安定的に低減、除去しつつ、部品点数と溶接工数とを削減した、低コストの水素生成装置を提供する。【解決手段】本開示における水素生成装置は、第1隔壁と伝熱緩衝筒との間に、一酸化炭素低減触媒を充填したCO低減器と蒸発部との第1隔壁と伝熱緩衝筒とを介した熱交換が抑制されるように伝熱緩衝空間が設けられ、伝熱緩衝筒は、一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部と第1隔壁との距離が、一酸化炭素低減触媒の下流部分を除いて一酸化炭素低減触媒に隣接する部分と第1隔壁との距離より短くなるよう、一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部において絞り部を有する。【選択図】図1

Description

本開示は、水素生成装置に関する。
特許文献1には、第1のガス流路(以下、蒸発部)と変成部(以下、CO低減器)との間に、隔壁と隔壁とが互いに間隔を有して対向して形成される伝熱緩衝空間を備える水素生成装置が開示されている。
この水素生成装置は、CO低減器と、蒸発部と、混合部と、CO除去部(以下、CO除去器)と、CO低減器と蒸発部とを隔てる空間と、を備える。
特許文献2には、空気と変成部(以下、CO低減器)から流出する水素含有ガスとの混合を促進させる空気混合筒の内部において、空気と水素含有ガスとの混合ガスを周方向に旋回させ、混合の促進と蒸発部との熱交換をさせた後に空気混合筒からヘッダー流路へ流出させる水素生成装置が開示されている。
この水素生成装置は、蒸発部と、上下を蒸発部外筒に接して構成され空気と水素含有ガスとの混合ガスが流れる空気混合筒と、上部に向かうにしたがって空気混合筒の径が小さくなるように傾斜する傾斜部と、傾斜部に円周方向に複数設けられヘッダー流路に斜め上方に流出させる吹き出し穴と、を備える。
特開2014-530159号公報 特開2018-118863号公報
本開示は、蒸発部の外周を囲む伝熱緩衝空間を構成する水素生成装置において、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を安定的に低減、除去しつつ、部品点数と溶接工数とを削減した、低コストの水素生成装置を提供する。
本開示における水素生成装置は、加熱部と、燃焼筒と、加熱部隔壁と、第1隔壁と、第2隔壁と、伝熱緩衝筒と、燃焼排ガス流路と、蒸発部と、改質器と、リターン流路と、CO低減器と、CO除去器と、ヘッダー流路と、第1流路と、区画部材と、空気供給管と、伝熱緩衝空間と、伝熱緩衝空間入口と、吹き出し穴と、絞り部と、を有している。
加熱部は、可燃性ガスを燃焼して、燃焼排ガスを排出するように構成されている。燃焼筒は、鉛直方向に中心軸を有し、加熱部の外周を囲むように構成されている。加熱部隔壁は、鉛直方向に中心軸を有する有底筒形で、燃焼筒を収納するように構成されている。
第1隔壁は、鉛直方向に中心軸を有する筒形で、加熱部隔壁の外周を囲むように構成されている。第2隔壁は、鉛直方向に中心軸を有する有底筒形で、第1隔壁と加熱部隔壁を収納するように構成されている。
伝熱緩衝筒は、鉛直方向に中心軸を有する筒形で、第2隔壁の内周側の上部で第1隔壁
の外周を囲み、上下の2カ所で第1隔壁に全周に渡り接合されるように構成されている。
燃焼排ガス流路は、燃焼筒と加熱部隔壁との間に形成され、上方に燃焼排ガスを流すように構成されている。
蒸発部は、加熱部隔壁と第1隔壁との間の上部に形成され、加熱部隔壁を介して伝わる熱で原料ガスと水とを加熱して、水を蒸発させるように構成されている。
改質器は、加熱部隔壁と第1隔壁との間の下部に改質触媒を充填して形成され、加熱部隔壁を介して伝わる熱で、原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一酸化炭素を含む一次水素含有ガスを生成するように構成されている。
リターン流路は、第1隔壁と第2隔壁との間に形成され、改質器から流出した一次水素含有ガスを上方に流すように構成されている。CO低減器は、第2隔壁と伝熱緩衝筒との間で一酸化炭素低減触媒を充填して形成され、改質器から流出した一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して、二次水素含有ガスとして排出するように構成されている。
CO除去器は、第2隔壁と伝熱緩衝筒との間で、CO低減器の上方で、一酸化炭素除去触媒を充填して形成され、CO低減器から排出される二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成されている。
区画部材は、ドーナツ盤形状で、内周側端部が伝熱緩衝筒に固定され、外周側端部が第2隔壁に固定され、CO低減器とCO除去器と第2隔壁と伝熱緩衝筒とで囲まれた空間を、上部空間であるヘッダー流路と、下部空間である第1流路とに区画するように構成されている。空気供給管は、第1流路に空気を供給するように構成されている。
伝熱緩衝空間は、第1隔壁と伝熱緩衝筒との間に、CO低減器と蒸発部との第1隔壁と伝熱緩衝筒とを介した熱交換と、CO除去器と蒸発部との第1隔壁と伝熱緩衝筒とを介した熱交換とが抑制されるように設けられた空間である。
伝熱緩衝空間入口は、燃焼筒を挟んで空気供給管の先端と対向する位置で第1流路の空気と混合された二次水素含有ガスを伝熱緩衝空間に流入させるように伝熱緩衝筒に設けられている。吹き出し穴は、伝熱緩衝空間の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路に流出させるよう伝熱緩衝筒の円周方向に複数設けられている。
絞り部は、伝熱緩衝筒における一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部に設けられ、伝熱緩衝筒における一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部と第1隔壁との距離が、伝熱緩衝筒における一酸化炭素低減触媒の下流部分を除いて一酸化炭素低減触媒に隣接する部分と第1隔壁との距離より短くなるように構成されている。
本開示における水素生成装置は、伝熱緩衝筒において一酸化炭素低減触媒の下流部分と隣接する一部に、第1隔壁との距離が短くなるよう絞り部を備えることにより、伝熱緩衝筒を介し一酸化炭素除去触媒から一酸化炭素低減触媒の下流部分へ多くの熱が伝わる場合でも、蒸発部へより多くの熱を伝えることができる。これにより、一酸化炭素低減触媒の下流部分の温度上昇を抑制できる。
また絞り部により、伝熱緩衝空間入口から流入した水素含有ガスの上下方向の通流が抑
制されるため、ガスの周方向への旋回が促進され、空気と水素含有ガスとの混合機能を維持することができる。
これにより、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を安定的に低減、除去しつつ、部品点数と溶接工数を削減することができ、水素生成装置の製造コストを低減できる。
実施の形態1における水素生成装置の概略構成を示す縦断面図 一酸化炭素低減触媒の作動温度と触媒通過後の一酸化炭素濃度の一般的な関係を示した特性図 伝熱緩衝筒に絞り部を設けなかった点で実施の形態1の水素生成装置とは異なる構成の水素生成装置の概略構成を示す縦断面図 図3に示す水素生成装置のA-A’線の位置における内部温度分布を示した特性図 絞り部の形状が異なる他の実施の形態における水素生成装置の概略構成を示す縦断面図 絞り部の形状が更に異なる他の実施の形態における水素生成装置の概略構成を示す縦断面図
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、都市ガスなどの炭化水素系の原料ガスから水蒸気改質反応によって水素を生成し、更に副生した一酸化炭素(CO)などの不純物を除去することによって、燃料電池発電装置の燃料ガス等に適用可能な水素リッチな水素含有ガスを生成する技術があった。
この一酸化炭素などの不純物が除去された水素リッチな水素含有ガスを生成する技術は、全体形状が多重円筒構造で、その中心部にバーナを備えた加熱部が配設され、加熱部の周囲に改質触媒を充填した改質器が配設され、一酸化炭素低減触媒を充填したCO低減器と、一酸化炭素除去触媒を充填したCO除去器とを軸心方向に配列した水素生成装置により得るものであった。
ここで、CO低減器が変成反応で一酸化炭素を低減する変成器からなる場合、CO低減器は図2に示すように、水素含有ガスの流れ方向の温度が上流部分で高く、下流部分で低くなるような温度勾配が形成されていることが反応速度や反応平衡の点から望ましい。
CO低減器の熱を回収し上記の温度勾配を形成する目的で、原料ガスと水との混合物を加熱する蒸発部の外周側にCO低減器を配設した場合、熱交換によってCO低減器で水素含有ガスの流れ方向の温度勾配は形成される一方で、CO低減器の内周側は温度が低く外周側は温度が高くなり、径方向に温度分布が大きく生じる。これにより、一酸化炭素低減触媒が機能する適切な温度範囲から外れた触媒が存在することになり、CO低減器による一酸化炭素低減能力が不十分になるという課題があった。
そのため、当該業界では、この課題に対して、CO低減器と蒸発部とが互いに間隔を有して対向してなる伝熱緩衝空間を設けるよう隔壁で区画し径方向の温度分布を緩和する商品設計をするのが一般的であり、CO除去器についても同様であった。
また、ここで、CO除去器が選択酸化反応で一酸化炭素を除去する選択酸化器からなる場合、選択酸化反応に使用する酸素を含む空気と水素含有ガスとがよく混合されていないと、局所的に酸素の量が少ない領域が発生し、CO除去器による一酸化炭素除去能力が不
十分になるという課題があった。
そのため、当該業界では、この課題に対して、蒸発部外筒に空気混合筒を取り付け、蒸発部と空気混合筒の間に空気を含む水素混合ガスを流すことで、空気が混入されてからCO除去器へ至るまでの流路長を長くとり濃度差によるガス拡散を促進させる製品設計をするのが一般的であった。
そうした状況下において、発明者らは、隔壁や空気混合筒などの複数の部品を蒸発部外筒に固定しなければならず、固定箇所から水素含有ガスが漏れないよう上記の複数の部品を蒸発部外筒の全周に渡って溶接しなければならないことから、部品点数と溶接工数とが増加している点に着目した。
さらに、蒸発部外筒へ溶接を行う場合、溶接時の熱ひずみによって内部の螺旋棒と蒸発器外筒の密着状態へ悪影響を与えないようにするため、全周に渡って入熱が均一となるよう溶接速度を落として溶接する必要があり、溶接工数の増加につながることをヒントにして、図3に示すように、CO低減器と伝熱緩衝空間とを仕切る隔壁と、CO除去器と伝熱緩衝空間とを仕切る隔壁と、空気混合筒とを一体の伝熱緩衝筒とし、伝熱緩衝筒の上下の2カ所のみを蒸発部外筒へ溶接することで、部品点数と溶接工数を削減することを想到した。
このとき、図4に示すようにCO除去器の上流部分の温度はCO低減器の下流部分の温度より高いため、一体の伝熱緩衝筒とした場合、伝熱緩衝筒を介して熱が伝わり一酸化炭素低減触媒の下流部分の温度が上昇し、CO低減器の水素含有ガス流れ方向の温度勾配は維持されない。
そこで、一体の伝熱緩衝筒としつつ伝熱緩衝筒の空気混合部に相当する部位の筒径を小さくし蒸発部への伝熱性能を高めることでCO除去器から伝熱緩衝筒を介した熱伝導による一酸化炭素低減触媒の下流部分の温度上昇を抑制するという着想を得た。
そして、発明者らは、その着想を実現するには、伝熱緩衝筒の空気混合部の筒径が小さい場合、周方向の旋回が抑制され水素含有ガスの流路長が減少し、空気と水素含有ガスの混合性が維持できず、伝熱緩衝筒の筒径の調整では一酸化炭素低減触媒の下流部分の温度上昇の抑制と、水素含有ガスの混合性の維持とが両立できない課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、空気混合筒と、CO低減器と伝熱緩衝空間とを仕切る隔壁と、CO除去器と伝熱緩衝空間とを仕切る隔壁とを一体化し上下の2カ所で蒸発部外筒に全周に渡り接合された伝熱緩衝筒において、一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部と第1隔壁との距離が、一酸化炭素低減触媒の下流部分を除いて一酸化炭素低減触媒に隣接する部分と第1隔壁との距離より短くなるよう、一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部に絞り部を形成することで、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を安定的に低減、除去しつつ、部品点数と溶接工数とを削減した、低コストの水素生成装置を提供する。
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1に示すように、水素生成装置100は、加熱部120と、蒸発部121と、改質器122と、CO低減器123と、CO除去器124と、伝熱緩衝空間125と、燃焼筒130と、加熱部隔壁131と、第1隔壁132と、第2隔壁133と、伝熱緩衝筒134と、区画部材135と、空気供給管136と、燃焼排ガス流路140と、リターン流路141と、第1流路142と、ヘッダー流路143と、伝熱緩衝空間入口150と、吹き出し穴151と、絞り部152と、を有する。
加熱部120は、鉛直方向に中心軸を有する燃焼筒130の内周側に配置され、燃焼用空気が混合された可燃性ガスを燃焼して燃焼排ガスを排出するバーナと、バーナに可燃性ガスを供給するガス供給管と、バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給管と、を備えている。加熱部120のバーナは、下向きの炎を形成するように構成されている。
可燃性ガスには、原料ガス(都市ガスやLPガス)を用いることができ、水素生成装置100が燃料電池発電装置に水素含有ガスを燃料ガスとして供給する場合は、燃料電池発電装置で利用されずに燃料電池発電装置から排出される燃料ガス(アノードオフガス)を用いることができる。
燃焼筒130は、鉛直方向に中心軸を有し、加熱部120の外周を囲む円筒形の金属部材であり、加熱部120と同軸になるように配置されている。燃焼筒130は、燃焼筒130の内周側では、燃焼排ガスを鉛直方向の下方へ流し、燃焼筒130の外周側(加熱部隔壁131と燃焼筒130との間に形成された燃焼排ガス流路140)では、燃焼排ガスを鉛直方向の上方へ流すための部材である。
燃焼筒130の下端部は、改質器122の下端部と略同じ高さ、もしくは改質器122の下端部よりも鉛直方向の下方に位置する。また、燃焼筒130の下端部は、燃焼筒130と同軸になるように配置され燃焼筒130を囲む有底円筒形の加熱部隔壁131の底部よりも鉛直方向の上方に位置している。
水素生成装置100は、加熱部120のバーナの燃焼で発生した燃焼排ガスが、燃焼筒130の内周面に沿って燃焼筒130の内周側を下方に流れた後に、加熱部隔壁131の底部と燃焼筒130の下端部との隙間を通って燃焼筒130の外周側に出て上方に折り返して、加熱部隔壁131を介して改質器122の改質触媒と熱交換しながら加熱部隔壁131の内周面に沿って加熱部隔壁131と燃焼筒130との間の燃焼排ガス流路140を上方に流れた後に、加熱部隔壁131を介して蒸発部121の水および原料ガスと熱交換しながらさらに燃焼排ガス流路140を上方に流れて、加熱部隔壁131における上部に第1隔壁132を貫通するように設けられた燃焼排ガス出口管から、水素生成装置100の外部に排出されるように構成されている。
加熱部隔壁131は、鉛直方向に中心軸を有する有底円筒形の金属部材であり、燃焼筒130を収納するように構成されている。加熱部隔壁131は、内径が燃焼筒130の外径よりも大きく燃焼筒130の外周面を囲み、燃焼筒130と同軸になるように配置されている。
加熱部隔壁131は、第1隔壁132との間に、炭化水素を含む原料ガスと水とを螺旋状に流すための螺旋状の流路を形成する。
加熱部隔壁131の底部と燃焼筒130の下端部との間に、燃焼筒130の内周側を流れた燃焼排ガスが燃焼筒130の外周側へと通流する隙間がある。
第1隔壁132は、鉛直方向に中心軸を有する円筒形の金属部材であり、加熱部隔壁131の外周面を囲み加熱部隔壁131と同軸になるように配置されている。第1隔壁132は、小径部と大径部とを接続したような円筒形状をしており、大径部よりも径の小さい小径部は大径部の上方に位置する。
第1隔壁132は、その下端部が、燃焼筒130の下端部と略同じ高さ、もしくは改質器122の下端部よりも鉛直方向の下方に位置する。
加熱部隔壁131と第1隔壁132との間の下部(第1隔壁132における比較的径が大きい大径部と加熱部隔壁131との間)は、原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一次水素含有ガス(一酸化炭素を含む水素含有ガス)を生成する改質触媒が充填されている。
加熱部隔壁131と第1隔壁132との間の上部(第1隔壁132における比較的径が小さい小径部と加熱部隔壁131との間)で、螺旋状の流路が形成された箇所は、炭化水素を含む原料ガスと水とが加熱部隔壁131を介して高温の燃焼排ガスから伝わる熱で加熱されながら通過する蒸発部121となっており、蒸発部121の下方で改質触媒が充填された箇所は改質器122となっている。
蒸発部121の螺旋状の流路は、螺旋状の丸棒を配置して形成される。螺旋状の丸棒は、例えば、弦巻ばね(コイルばね)のように螺旋形状に曲げた丸棒を用いてもよい。弦巻ばね(コイルばね)のように螺旋形状に曲げた丸棒を、加熱部隔壁131の外周面と第1隔壁132の内周面とに密着するように設置することによって、蒸発部121の螺旋状の流路を形成することができる。
また、蒸発部121の螺旋状の流路は、螺旋形状に曲げた丸棒を設ける代わりに、加熱部隔壁131の側壁を軸方向(鉛直方向)に向かって螺旋状の凹凸を形成するように加工して(加熱部隔壁131の外周面に雄ネジのような凹凸を形成して)凹凸における外周方向に突出した凸部が第1隔壁132の内周面に密着するようにして形成しても構わない。
改質器122は、加熱部隔壁131と第1隔壁132との間の下部(第1隔壁132における比較的径が大きい大径部と加熱部隔壁131との間)に改質触媒を充填して形成され、加熱部隔壁131を介して伝わる熱で、原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一酸化炭素を含む一次水素含有ガスを生成するように構成されている。改質器122に充填される改質触媒は、直径が2~3mmの粒状の白金系の触媒である。
本実施の形態では、改質触媒に白金系の触媒を用いたが、改質触媒は白金系の触媒に限らず、改質器122に充填される改質触媒に、ロジウム系、ルテニウム系、ニッケル系の触媒を用いてもよい。
改質触媒が充填された部分の直下には、充填された改質触媒が落下しないように、改質触媒を下から支持する改質触媒の粒子径よりも小さい直径が1mmの通気孔が形成された通気構造でドーナツ盤形状の板が、加熱部隔壁131と第1隔壁132との間の下部に配置されている。
改質触媒が充填された部分の真上には、水素生成装置100の製造時に製造途中の水素
生成装置100の上下を逆にしても(水素生成装置100の使用時の重力方向の上下を反転させても)、または水素生成装置100の運搬時に水素生成装置100を斜めに傾けても、改質触媒が蒸発部121の方へ移動しないように、改質触媒を上から覆う改質触媒の粒子径よりも小さい直径が1mmの通気孔が形成された通気構造でドーナツ盤形状の板が、加熱部隔壁131と第1隔壁132との間の下部に配置されている。
第1隔壁132における螺旋状の流路が配置された箇所よりも上部には、蒸発部121に原料ガスと水とを供給する供給管が接続されている。
伝熱緩衝筒134は、鉛直方向に中心軸を有する略円筒状の金属部材であり、内径が第1隔壁132の小径部の外径よりも大きく、第1隔壁132と同軸になるように配置されている。
伝熱緩衝筒134は、第1隔壁132における上部(小径部)との間に伝熱緩衝用の空間が形成されるように、第1隔壁132における上部(小径部)の外周面に固定されている。
改質器122から流出した一次水素含有ガスのうち、CO低減器123およびCO除去器124を通流せずに、伝熱緩衝筒134と第1隔壁132との間を通流して、水素生成装置100の外に出てしまう一次水素含有ガスの量が許容量を超えないように、伝熱緩衝筒134の上下端部が、第1隔壁132の小径部の外周面に気密に接合される。
伝熱緩衝筒134は、一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部と第1隔壁132の小径部との距離が、一酸化炭素低減触媒の下流部分を除いて一酸化炭素低減触媒に隣接する部分と第1隔壁132の小径部との距離より短くなるように、一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部に絞り部152が設けられている。
伝熱緩衝筒134は、伝熱緩衝筒134の外周面に全周にわたって内周方向に凹んだ環状の溝が形成されるとともに、伝熱緩衝筒134の内周面における外周面の環状の溝に対応する部分には全周にわたって内周方向に突出した環状の凸部が形成されることで、絞り部152を形成している。
絞り部152は、第1隔壁132の小径部と最も近接する部分から上方に向かうに従って伝熱緩衝筒134の外径が大きくなり、第1隔壁132の小径部と最も近接する部分から下方に向かうに従って伝熱緩衝筒134の外径が大きくなる形状である。
伝熱緩衝筒134は、伝熱緩衝筒134の外周側に隣接するCO低減器123の一酸化炭素低減触媒およびCO除去器124の一酸化炭素除去触媒または伝熱緩衝筒134の外周面と第2隔壁133の内周面との間を流れるガスが、蒸発部121との熱交換によって局所的に冷却されることを抑制し、且つCO低減器123から流出した二次水素含有ガスと空気供給管136から供給された空気との混合性を高めるための空間である伝熱緩衝空間125を形成するための部材である。
第2隔壁133は、伝熱緩衝筒134と同軸になるように配置され、伝熱緩衝筒134の外周面を囲む大径部と第1隔壁132の大径部の外周面を囲む小径部とを有する有底円筒形の側面部と、外周端が側面部(大径部)の上端部に接続され内周端が第1隔壁132の小径部の外周面に接合されるドーナツ盤形状の上面部と、を有する金属部材である。
第2隔壁133は、大径部の内径が伝熱緩衝筒134の外径よりも大きく、小径部の内径が第1隔壁132の大径部の外径よりも大きい。
第2隔壁133は、第2隔壁133の小径部と第1隔壁132の大径部との間にリターン流路141を形成し、第2隔壁133の大径部と伝熱緩衝筒134との間に一酸化炭素低減触媒が充填されたCO低減器123を構成する。第2隔壁133の底部と第1隔壁132の下端部との間に一次水素含有ガスが通流する隙間がある。
第2隔壁133の底部は加熱部隔壁131の底部よりも大きく、第2隔壁133は加熱部隔壁131と第1隔壁132と伝熱緩衝筒134とを収納するように構成されている。
第2隔壁133の大径部と伝熱緩衝筒134との間で伝熱緩衝空間125の外周側に隣接する部分は、改質器122から流出した一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を化学反応で低減して二次水素含有ガスを生成する一酸化炭素低減触媒が充填されたCO低減器123となっている。
CO低減器123に充填される一酸化炭素低減触媒は、直径が2~3mmの粒状のCu-Zn系の触媒である。本実施の形態では、一酸化炭素低減触媒にCu-Zn系の触媒を用いたが、一酸化炭素低減触媒はCu-Zn系の触媒に限らず、CO低減器123に充填される一酸化炭素低減触媒に、Ru系の触媒を用いてもよい。
一酸化炭素低減触媒が充填された部分の直下には、充填された一酸化炭素低減触媒が落下しないように、一酸化炭素低減触媒を下から支持する一酸化炭素低減触媒の粒子径よりも小さい直径が1mmの通気孔が形成された通気構造でドーナツ盤形状の板が、第2隔壁133の大径部と伝熱緩衝筒134との間に配置されている。
一酸化炭素低減触媒が充填された部分の直上には、水素生成装置100の製造時に、製造途中の水素生成装置100の上下を逆にしても(水素生成装置100の使用時の重力方向の上下を反転させても)、または水素生成装置100の運搬時に水素生成装置100を斜めに傾けても、一酸化炭素低減触媒が流出しないように、一酸化炭素低減触媒を上から覆う一酸化炭素低減触媒の粒子径よりも小さい直径が1mmの通気孔が形成された通気構造でドーナツ盤形状の板が、第2隔壁133の大径部と伝熱緩衝筒134との間に配置されている。
リターン流路141は、第1隔壁132と第2隔壁133との間、且つCO低減器123よりも鉛直方向の下方に形成され、改質器122から流出した一次水素含有ガスを上方に流すように構成されている。
CO除去器124は、第2隔壁133の大径部と伝熱緩衝筒134との間で、CO低減器123の上方で、一酸化炭素除去触媒を充填して形成され、CO低減器123から流出した二次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を化学反応でさらに低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成されている。
CO除去器124に充填される一酸化炭素除去触媒は、直径が2~3mmの粒状のRu系の触媒である。
一酸化炭素除去触媒が充填された部分の直下には、充填された一酸化炭素除去触媒が落下しないように、一酸化炭素除去触媒を下から支持する一酸化炭素除去触媒の粒子径よりも小さい直径が1mmの通気孔が形成された通気構造でドーナツ盤形状の板が、第2隔壁133の大径部と伝熱緩衝筒134との間に配置されている。
一酸化炭素除去触媒が充填された部分の直上には、水素生成装置100の製造時に、製
造途中の水素生成装置100の上下を逆にしても(水素生成装置100の使用時の重力方向の上下を反転させても)、または水素生成装置100の運搬時に水素生成装置100を斜めに傾けても、一酸化炭素除去触媒が流出しないように、一酸化炭素除去触媒を上から覆う一酸化炭素除去触媒の粒子径よりも小さい直径が1mmの通気孔が形成された通気構造でドーナツ盤形状の板が、第2隔壁133の大径部と伝熱緩衝筒134との間に配置されている。
区画部材135は、内周側端部が伝熱緩衝筒134の側面部に接合され、外周側端部が第2隔壁133の大径部に接合されるドーナツ盤形状の金属部材であり、CO低減器123とCO除去器124と第2隔壁133と伝熱緩衝筒134とで囲まれた空間を上部空間であるヘッダー流路143と下部空間である第1流路142とに区画するように構成されている。
空気供給管136は、第2隔壁133の側面部(大径部)におけるCO低減器123よりも鉛直方向の上方、且つCO除去器124よりも鉛直方向の下方に設けられ、第1流路142に空気を供給するように構成されている。
伝熱緩衝空間入口150は、伝熱緩衝筒134の側面部における燃焼筒130を挟んで空気供給管136の先端と対向する位置で第1流路142の空気と混合された二次水素含有ガスを伝熱緩衝空間125に流入させるように構成されている。
吹き出し穴151は、伝熱緩衝筒134の側面部に円周方向に複数設けられ伝熱緩衝空間125の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路143に流出させるように構成されている。
第2隔壁133の側面部におけるCO除去器124よりも鉛直方向の上方には、CO除去器124から流出した三次水素含有ガスを外部へ排出するように水素含有ガス排出管が設けられている。
[1-2.動作]
以上のように構成された本実施の形態の水素生成装置100において、以下その動作、作用を説明する。
加熱部120は、燃焼用空気と混合された可燃性ガスを燃焼して、燃焼排ガスを排出する。加熱部120が可燃性ガスを燃焼することで、その熱(燃焼排ガスの熱を含む)が改質器122に伝搬する。これにより、改質器122を所望の温度に引き上げることができる。燃焼排ガスは、燃焼排ガス流路140を通って上方に流され外部に排出される。
蒸発部121には都市ガスなどの原料ガスと液体の水とが供給され、螺旋状の流路を通過する過程で加熱部隔壁131を介して伝わる熱で水が蒸発し、原料ガスと水蒸気との混合ガスとなる。
本実施の形態では、原料ガスとして、脱硫後のメタンを主成分とする都市ガスを使用する。また、蒸発部121へ供給する水の量については、原料ガス平均組成の炭素原子の3倍量となる酸素分子を含むように、水の量を設定する。
本実施の形態では、メタンを主成分とする都市ガスを原料ガスとして用いる構成とするため、供給する1モルのメタンに対して3モルの水蒸気が存在するために必要な水の量を蒸発部121に供給する。すなわち、スチームカーボン比(S/C比)が3となる水の量を蒸発部121に供給する。
水素生成装置100は、筒状の筐体を有しているため、改質器122もおよそドーナツ状の形状をしており、その全周から原料ガスと水蒸気との混合ガスが改質器122に流入する。
改質器122に流入した原料ガスと水蒸気との混合ガスは、加熱部120の熱によって600℃に温められ、かつ改質触媒によって一酸化炭素を含む一次水素含有ガスに改質される。このとき、(化1)に示すようにメタンと水から水素と二酸化炭素を生成する反応と、(化2)に示すようにメタンと水から水素と一酸化炭素を生成する反応が起こっている。
Figure 2024066791000002
Figure 2024066791000003
ただし、この600℃という温度は典型的な改質器122内の温度であって、反応による改質器122内の温度は、改質器122の構造や材質、大きさにも依存して変わる。改質器122内の温度は、例えば、400℃~650℃の範囲で変動し得る。
一次水素含有ガスは、改質器122からリターン流路141に流入する。リターン流路141はドーナツ状の形状をしており、リターン流路141の全周を伝って、一次水素含有ガスが軸心方向の上方に流れ、CO低減器123に供給される。CO低減器123もドーナツ状の形状をしており、その全周から一次水素含有ガスがCO低減器123に流入する。
CO低減器123は、改質器122から流出した一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を低減して二次水素含有ガスとして排出する。詳細には、一酸化炭素低減触媒で起こる(化3)に示す変成反応によって、一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気を反応させて二酸化炭素と水素を生成し、一酸化炭素の濃度が0.1~0.2%程度となるまで一酸化炭素を低減している。
Figure 2024066791000004
このとき、伝熱緩衝筒134における、CO低減器123に充填された一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する部分に設けられた絞り部152は、第1隔壁132と伝熱緩衝筒134との熱膨張量差により内周側に屈曲し、第1隔壁132の外周面と接触する。
本実施の形態では、図1に示すように、絞り部152は丸みを帯びた断面形状をしており、円弧の内周側の半径が2.5mmとなる円弧を組み合わせて構成されている。また、絞り部152の内周面と第1隔壁132の外周面との径方向の距離は0.6mm、伝熱緩衝筒134の一酸化炭素低減触媒の下流部分を除いて隣接する部分の内周面と第1隔壁1
32との径方向の距離は4.5mmと設計されている。第1隔壁132と伝熱緩衝筒134とは、それぞれ板厚0.6mmのステンレス材であり、伝熱緩衝筒134の軸心方向の長さは320mmと設計されている。
水素生成装置100の運転時では、伝熱緩衝筒134は約300℃、第1隔壁132は約100℃となるが、伝熱緩衝筒134の上下端部が第1隔壁132に固定されており、且つCO低減器123およびCO除去器124の真下と真上にそれぞれ配置されているドーナツ盤形状の板により伝熱緩衝筒134の外周方向への変形が抑制されるため、第1隔壁132と伝熱緩衝筒134との熱膨張量差により絞り部152が内周側に屈曲する。
その際、上記の寸法であれば、絞り部152の内周面の凸部頂点の径方向の変形量は構造解析ソフトであるANSYS Mechanicalで計算すると、約0.62mmであり、絞り部152は第1隔壁132と接触する。
ただし、上記の寸法の数値は、第1隔壁132と伝熱緩衝筒134との構造や材質、大きさと、第1隔壁132と伝熱緩衝筒134とに発生する温度差とにも依存して変わる。
水素生成装置100の運転時に、絞り部152と第1隔壁132とが接触することで、CO除去器124で発生し伝熱緩衝筒134を介してCO低減器123へ伝導する熱を、第1隔壁132を介してより低温の蒸発部121へ伝えることができ、一酸化炭素低減触媒の下流部分の温度上昇を抑制し、CO低減器123で一酸化炭素の濃度が0.1~0.2%程度となるまで低減させることができる。
また、このとき変成反応によって発生する熱の一部は、伝熱緩衝筒134と第1隔壁132とを介して蒸発部121へ移動する。伝熱緩衝空間125があることで、CO低減器123から蒸発部121への熱の移動量は適量に抑制され、CO低減器123内の(一酸化炭素低減触媒の)温度は、化学反応に適した温度である250℃が維持される。
ただし、この250℃という温度は典型的なCO低減器123内の(一酸化炭素低減触媒の)温度であって、反応によるCO低減器123内の温度は、CO低減器123の構造や材質、大きさにも依存して変わる。CO低減器123内の温度は、例えば、200℃~300℃の範囲で変動し得る。
CO低減器123から排出された二次水素含有ガスは、第1流路142に流入する。第1流路142は、ドーナツ状の形状をしており、空気供給管136から第1流路142に供給された空気とCO低減器123から第1流路142に排出された二次水素含有ガスとが、伝熱緩衝筒134によって二手に分かれて、伝熱緩衝筒134の外周面に沿って略半周、周方向に流れながら混合される。
二手に分かれて伝熱緩衝筒134の外周面に沿って略半周、周方向に流れながら空気と混合された二次水素含有ガスは、伝熱緩衝空間入口150を通って、伝熱緩衝空間125に流入する。
伝熱緩衝空間125もドーナツ状の形状をしており、さらに、伝熱緩衝筒134における、CO低減器123に充填された一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する部分に絞り部152があることで、伝熱緩衝空間125においてCO低減器123と隣接する空間への二次水素含有ガスの通流が抑制されるため、伝熱緩衝空間125に流入した空気と混合された二次水素含有ガスの大部分は、さらに混合されながら伝熱緩衝空間125の周方向に流れる。その後、伝熱緩衝筒134の吹き出し穴151を通ってヘッダー流路143に排出される。
ヘッダー流路143とCO除去器124とは、ともにドーナツ状の形状をしており、空気と混合された二次水素含有ガスは、ヘッダー流路143の全周からCO除去器124に流入する。
CO除去器124は、二次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を、さらに低減して三次水素含有ガスとして排出する。詳細には、一酸化炭素除去触媒で起こる(化4)に示す選択酸化反応によって一酸化炭素と酸素から二酸化炭素が、(化5)に示すように水素と酸素から水が生成され、一酸化炭素の濃度を数ppm程度にまで低減している。
Figure 2024066791000005
Figure 2024066791000006
このとき(化4)と(化5)とに示す反応によって発生する熱の一部は、伝熱緩衝筒134と第1隔壁132とを介して蒸発部121へ移動する。伝熱緩衝空間125があることで、CO除去器124から蒸発部121への熱の移動量は適量に抑制され、CO除去器124は化学反応に適した温度である150℃が維持される。
ただし、この150℃という温度は、CO除去器124内の典型的な温度であって、反応によるCO除去器124内の温度は、CO除去器124の構造や材質、大きさにも依存して変わる。CO除去器124内の温度は、例えば、100℃~180℃の範囲で変動し得る。
CO除去器124から排出された三次水素含有ガスは、水素含有ガス排出管から水素生成装置100の外部に排出された後に、燃料電池発電装置などの水素利用機器に供給される。
加熱部120のバーナの燃焼で発生した燃焼排ガスは、燃焼筒130の内周面に沿って燃焼筒130の内周側を下方に流れた後に、加熱部隔壁131の底部と燃焼筒130の下端部との隙間を通って上方に折り返して、燃焼筒130と加熱部隔壁131との間に形成された燃焼排ガス流路140を流れ、改質器122と熱交換した後に、蒸発部121と熱交換して、第1隔壁132における上部に設けられた燃焼排ガス出口管から水素生成装置100の外部に排出される。
[1-3.効果]
以上のように、本実施の形態における水素生成装置100は、加熱部120と、蒸発部121と、改質器122と、CO低減器123と、CO除去器124と、伝熱緩衝空間125と、燃焼筒130と、加熱部隔壁131と、第1隔壁132と、第2隔壁133と、伝熱緩衝筒134と、区画部材135と、空気供給管136と、燃焼排ガス流路140と、リターン流路141と、第1流路142と、ヘッダー流路143と、伝熱緩衝空間入口150と、吹き出し穴151と、絞り部152と、を有する。
そして、加熱部120は、可燃性ガスを燃焼して、燃焼排ガスを排出するように構成さ
れている。燃焼筒130は、鉛直方向に中心軸を有し、加熱部120の外周を囲むように構成されている。加熱部隔壁131は、鉛直方向に中心軸を有する有底筒形で、燃焼筒130を収納するように構成されている。
第1隔壁132は、鉛直方向に中心軸を有する筒形で、加熱部隔壁131の外周を囲むように構成されている。第2隔壁133は、鉛直方向に中心軸を有する有底筒形で、第1隔壁132と加熱部隔壁131とを収納するように構成されている。
伝熱緩衝筒134は、鉛直方向に中心軸を有する筒形で、第2隔壁133の内周側の上部で第1隔壁132の外周を囲み、上下の2カ所で第1隔壁132に全周に渡り接合されるように構成されている。
燃焼排ガス流路140は、燃焼筒130と加熱部隔壁131との間に形成され、上方に燃焼排ガスを流すように構成されている。
蒸発部121は、加熱部隔壁131と第1隔壁132との間の上部に形成され、加熱部隔壁131を介して伝わる熱で原料ガスと水とを加熱して、水を蒸発させるように構成されている。
改質器122は、加熱部隔壁131と第1隔壁132との間の下部に改質触媒を充填して形成され、加熱部隔壁131を介して伝わる熱で、原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一酸化炭素を含む一次水素含有ガスを生成するように構成されている。
リターン流路141は、第1隔壁132と第2隔壁133との間に形成され、改質器122から流出した一次水素含有ガスを上方に流すように構成されている。CO低減器123は、第2隔壁133と伝熱緩衝筒134との間で一酸化炭素低減触媒を充填して形成され、改質器122から流出した一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して、二次水素含有ガスとして排出するように構成されている。
CO除去器124は、第2隔壁133と伝熱緩衝筒134との間で、CO低減器123の上方で、一酸化炭素除去触媒を充填して形成され、CO低減器123から排出される二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成されている。
区画部材135は、ドーナツ盤形状で、内周側端部が伝熱緩衝筒134に固定され、外周側端部が第2隔壁133に固定され、CO低減器123とCO除去器124と第2隔壁133と伝熱緩衝筒134とで囲まれた空間を、上部空間であるヘッダー流路143と、下部空間である第1流路142とに区画するように構成されている。空気供給管136は、第1流路142に空気を供給するように構成されている。
伝熱緩衝空間125は、第1隔壁132と伝熱緩衝筒134との間に、CO低減器123と蒸発部121との第1隔壁132と伝熱緩衝筒134とを介した熱交換と、CO除去器124と蒸発部121との第1隔壁132と伝熱緩衝筒134とを介した熱交換とが抑制されるように設けられた空間である。
伝熱緩衝空間入口150は、燃焼筒130を挟んで空気供給管136の先端と対向する位置で第1流路142の空気と混合された二次水素含有ガスを伝熱緩衝空間125に流入させるように伝熱緩衝筒134に設けられている。吹き出し穴は、伝熱緩衝空間125の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路に流出させるよう伝熱緩衝筒134の円周方向に複数設けられている。
絞り部152は、伝熱緩衝筒134における一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部に設けられ、伝熱緩衝筒134における一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部と第1隔壁132との距離が、伝熱緩衝筒134における一酸化炭素低減触媒の下流部分を除いて一酸化炭素低減触媒に隣接する部分と第1隔壁132との距離より短くなるように構成されている。
これにより、伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素除去触媒から一酸化炭素低減触媒の下流部分へ多くの熱が伝わる場合でも、絞り部152を備えた伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝えることができ、一酸化炭素低減触媒の下流部分の温度上昇を抑制できる。
また、絞り部152により、伝熱緩衝空間入口150から流入した空気と二次水素含有ガスの上下方向の通流が抑制されるため、ガスの周方向の旋回が促進され、空気と二次水素含有ガスの混合を維持することができる。そのため、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を安定的に低減、除去しつつ、一体化された伝熱緩衝筒134により部品点数と溶接工数を削減することが出来、水素生成装置100の製造コストを低減できる。
また、本実施の形態のように、水素生成装置100は、水素生成装置100の運転前における絞り部152と第1隔壁132との距離が、運転中における伝熱緩衝筒134と第1隔壁132との熱膨張量差により絞り部152が内周側に屈曲し第1隔壁132の方向へ近づく距離よりも短くするようにしてもよい。
これにより、水素生成装置100の運転時において絞り部152と第1隔壁132とが接触することで、伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へさらに多くの熱を伝えることができ、一酸化炭素低減触媒の下流部分の温度上昇を抑制できる。そのため、水素含有ガスに含まれる一酸化炭素をより安定的に低減できる。
また、水素生成装置100の製造時に、伝熱緩衝筒134の内周側に第1隔壁132を挿入する際に、絞り部152が第1隔壁132に接触せずスムーズに挿入できるため、組立性のよい水素生成装置100を提供できる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、伝熱緩衝筒134を介して一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝える手段の一例として、第1隔壁132と接触する絞り部152を説明した。一酸化炭素低減触媒の下流部分においてより多くの熱を蒸発部121へ伝えることができれば、第1隔壁132と接触する絞り部152に限定されない。絞り部152と第1隔壁132との間に隙間が生じてもよい。
ただし、絞り部152を第1隔壁132に接触させれば、一酸化炭素低減触媒の下流部分と蒸発部121との間は、水素含有ガスよりも熱伝導率の高い金属部材のみ存在することになるので、より多くの熱を一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へ伝えることができる。
実施の形態1では、伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝える手段の一例として、丸みを帯びた断面形状を持つ絞り部152を説明した。伝熱緩衝筒134と第1隔壁132との熱膨張量差により内周側に屈曲することで絞り部152と第1隔壁132との距離が短くなるものであればよい。
したがって、伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝える手段は、丸みを帯びた断面形状を持つ絞り部152に限定されない。
ただし、伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝える手段として、丸みを帯びた断面形状を持つ絞り部152を用いれば、絞り部152への応力集中を緩和し、伝熱緩衝筒134の疲労破壊に対する耐久性を向上させることができる。
また、伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝える手段として、図5に示す水素生成装置200のように、台形の断面形状を持つ絞り部252を用いてもよい。
伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝える手段として、台形の断面形状を持つ絞り部252を用いれば、絞り部252からの伝熱面積を広くとることができるので、蒸発部121へより多くの熱を伝えることができる。
また、伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝える手段として、図6に示す水素生成装置300のように、楔形の断面形状を持つ絞り部352を用いてもよい。
伝熱緩衝筒134を介し一酸化炭素低減触媒の下流部分から蒸発部121へより多くの熱を伝える手段として、楔形の断面形状を持つ絞り部352を用いれば、簡易な加工で絞り部352を成形できるので、製造コストを低減できる。
実施の形態1では、加熱部120と燃焼筒130の形状が円筒状であったが、改質器122を加熱できれば、円筒状に限定されない。ただし、加熱部120と燃焼筒130の形状を円筒状にすれば、その周の外に設けられた円筒状の改質器122に均等に熱を分配することができる。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、局所的に触媒から冷熱源への伝熱効果を高める必要がある容器に適用可能である。具体的には、一酸化炭素濃度が低い水素含有ガスを生成する水素生成装置や、不純物を除いてから水素ガスを供給する燃料電池発電装置や水素精製システムなどに適用可能である。
100,200,300 水素生成装置
120 加熱部
121 蒸発部
122 改質器
123 CO低減器
124 CO除去器
125 伝熱緩衝空間
130 燃焼筒
131 加熱部隔壁
132 第1隔壁
133 第2隔壁
134 伝熱緩衝筒
135 区画部材
136 空気供給管
140 燃焼排ガス流路
141 リターン流路
142 第1流路
143 ヘッダー流路
150 伝熱緩衝空間入口
151 吹き出し穴
152,252,352 絞り部

Claims (2)

  1. 可燃性ガスを燃焼して、燃焼排ガスを排出する加熱部と、
    鉛直方向に中心軸を有し前記加熱部の外周を囲む燃焼筒と、
    鉛直方向に中心軸を有する有底筒形で前記燃焼筒を収納する加熱部隔壁と、
    鉛直方向に中心軸を有する筒形で前記加熱部隔壁の外周を囲む第1隔壁と、
    鉛直方向に中心軸を有する有底筒形で前記第1隔壁と前記加熱部隔壁を収納する第2隔壁と、
    鉛直方向に中心軸を有する筒形で前記第2隔壁の内周側の上部で前記第1隔壁の外周を囲み、上下の2カ所で前記第1隔壁に全周に渡り接合される伝熱緩衝筒と、
    前記燃焼筒と前記加熱部隔壁との間に形成され、上方に前記燃焼排ガスを流す燃焼排ガス流路と、
    前記加熱部隔壁と前記第1隔壁との間の上部に形成され、前記加熱部隔壁を介して伝わる熱で原料ガスと水とを加熱して、前記水を蒸発させる蒸発部と、
    前記加熱部隔壁と前記第1隔壁との間の下部に改質触媒を充填して形成され、前記加熱部隔壁を介して伝わる熱で、前記原料ガスと水蒸気との混合ガスから改質反応で一酸化炭素を含む一次水素含有ガスを生成する改質器と、
    前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に形成され、前記改質器から流出した前記一次水素含有ガスを上方に流すリターン流路と、
    前記第2隔壁と前記伝熱緩衝筒との間で一酸化炭素低減触媒を充填して形成され、前記改質器から流出した前記一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して、二次水素含有ガスとして排出するCO低減器と、
    前記第2隔壁と前記伝熱緩衝筒との間で、前記CO低減器の上方で、一酸化炭素除去触媒を充填して形成され、前記CO低減器から排出される前記二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するCO除去器と、
    内周側端部が前記伝熱緩衝筒に固定され、外周側端部が前記第2隔壁に固定され、前記CO低減器と前記CO除去器と前記第2隔壁と前記伝熱緩衝筒とで囲まれた空間を、上部空間であるヘッダー流路と、下部空間である第1流路とに区画するドーナツ盤形状の区画部材と、
    前記第1流路に空気を供給する空気供給管と、
    前記第1隔壁と前記伝熱緩衝筒との間に、前記CO低減器と前記蒸発部との前記第1隔壁と前記伝熱緩衝筒とを介した熱交換と、前記CO除去器と前記蒸発部との前記第1隔壁と前記伝熱緩衝筒とを介した熱交換とが抑制されるように設けられた伝熱緩衝空間と、
    前記燃焼筒を挟んで前記空気供給管の先端と対向する位置で前記第1流路の前記空気と混合された前記二次水素含有ガスを前記伝熱緩衝空間に流入させるように前記伝熱緩衝筒に設けられた伝熱緩衝空間入口と、
    円周方向に複数設けられ前記伝熱緩衝空間の前記空気と混合された前記二次水素含有ガスを前記ヘッダー流路に流出させるよう前記伝熱緩衝筒に設けられた吹き出し穴と、
    を備えた水素生成装置であって、
    前記伝熱緩衝筒は、前記一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部と前記第1隔壁との距離が、前記一酸化炭素低減触媒の下流部分を除いて前記一酸化炭素低減触媒に隣接する部分と前記第1隔壁との距離より短くなるよう、前記一酸化炭素低減触媒の下流部分に隣接する一部において絞り部を有することを特徴とする、水素生成装置。
  2. 水素生成装置の運転前における前記絞り部と前記第1隔壁との距離は、運転中における前記伝熱緩衝筒と前記第1隔壁との熱膨張量差により前記絞り部が内周側に屈曲し前記第1隔壁の方向へ近づく距離よりも短くすることを特徴とする、請求項1に記載の水素生成装置。
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