JP2024066514A - ナス科植物における果実中の糖含量の程度に関する分子マーカー及びその利用 - Google Patents

ナス科植物における果実中の糖含量の程度に関する分子マーカー及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】ナス科植物を果実中の糖含量に基づき判定する技術を実現する【解決手段】ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する方法は、ナス科植物において、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する工程を含み、前記果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド:(i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド;(ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;(iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;からなる。【選択図】なし

Description

本発明は、ナス科植物における果実中の糖含量の程度に関する分子マーカー及びその利用に関する。
トマトはわが国で1番の生産量を誇る果菜類であり、世界的にも最も消費されている野菜である。生食用をはじめ様々な加工用途があるトマトは、消費形態に合わせた種々のトマト品種が発表されている。特に生食用のトマトが主体である日本では、糖度が非常に重視されており、世界的に見ても高い果実糖含量の品種が作出され利用されている。
高果実糖含量のトマト品種の育成は、従来、得られた全トマト株を栽培して、収穫した果実の糖含量又は食味を指標として甘味の強い高糖含有の個体を選抜することにより行われている。個体の選抜においては、収穫した果実の一部においてBrix計、HPLC等により成分分析することにより有望系統が選抜する(非特許文献1)。
世界的に高品質トマトへの要望は高まっており、トマトの果実中の糖含量に関する研究から、これまでに複数の遺伝子・遺伝子座が栽培品種と野生種間を比較することで見いだされてきた(非特許文献2)。また、近年はゲノムワイド連関解析やゲノミックセレクションを用いて品種間で糖含量制御遺伝子の探索も行われている(非特許文献2)。
渡邉香、山田文典、祖父江順ら、"トマト新系統「群馬交2号」の育成"、群馬県農業技術センター研究報告、第14号(2017):15~22 Carmen Capel et al. "Wide - genome QTL mapping of fruit quality traits in a tomato RIL population derived from the wild - relative species Solanum pimpinellifolium L.", Theor. Appl. Genet. 128, 2019-2035 (2015) Elise Albert et al. "Association mapping reveals the genetic architecture of tomato response to water deficit: focus on major fruit quality traits", J. Exp. Bot. 67, 6413-6430 (2016)
非特許文献1に記載された成分分析や食味試験による個体の選抜においては、全ての苗について果実を収穫するまで生育させる必要があり、時間がかかると共に膨大なコストがかかる。非特許文献2及び3に記載された果実中の糖含量を制御する遺伝子を利用した実用的な選抜技術はこれまでに開発されていない。そのため、育苗時点で高果実糖含量の個体の選抜が可能な技術の開発が求められている。
本発明の一態様は、ナス科植物を果実中の糖含量に基づき判定する技術を実現することを目的とする。
本発明の一態様に係る方法は、ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する方法であって、ナス科植物において、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する工程を含み、前記果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド:
(i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
(iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
からなるポリヌクレオチドである。
本発明の一態様に係る製造方法は、果実中の糖含量が多いナス科植物を製造する製造方法であって、育種により得られたナス科植物又はその後代系統のナス科植物から、本発明の一態様に係る方法によって、果実中の糖含量が多いナス科植物を判別する工程を包含する。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、ナス科植物における果実中の糖含量の程度に関する分子マーカーであって、上記(i)から(iii)のいずれかのポリヌクレオチドからなる、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーである。
本発明の一態様に係る判定キットは、ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する判定キットであって、上記(i)から(iii)のいずれかのポリヌクレオチドからなる、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーを含む。
本発明の一態様に係る高糖含量ナス科植物は、本発明の一態様に係る分子マーカーにより特定される、上記(i)から(iii)のいずれかのポリヌクレオチドからなる、第11染色体上の果実中の糖含量の制御に関する遺伝子を有する。
本発明の一態様によれば、ナス科植物を果実中の糖含量に基づき判定する技術を実現することができる。
実施例における、果実中の糖含量を制御するQTLの原因遺伝子の位置についての解析結果を示す図である。 実施例において、DNAマーカーを用いて、果実中の糖含量を制御するQTLの遺伝子型を特定した結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた他の結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた他の結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた他の結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた他の結果を示す図である。 実施例における、果実中の糖含量を制御するQTLの原因遺伝子の位置について、更新した解析結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた結果を示す図である。 実施例において、遺伝子型と糖度との関係を調べた結果を示す図である。
本発明の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、これに限定されるものではない。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。さらに、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)、B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、「核酸」又は「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。ここで、核酸は、DNAの形態(例えば、cDNA若しくはゲノムDNA)、又は、RNA(例えば、mRNA)の形態にて存在し得る。DNA又はRNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNA又はRNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。本明細書において使用される場合、塩基の表記は、適宜IUPAC及びIUBの定める1文字表記を使用する。
本発明の一態様は、ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する技術に関する。本発明の一態様は、ナス科植物において、果実中の糖含量の多い個体を判定するために使用することができる。本発明の一態様は、ナス科植物のゲノムに存在する、果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を判定することで、果実中の糖含量に基づいてナス科植物個体を判定する。本発明の一態様は、トマトの品種のうち、果実中の糖含量の多い品種を判定するために使用することもできる。なお、本発明の一態様において、果実中の糖含量の概念には、あるナス科植物個体における果実中の糖含量が、他のナス科植物個体と比較して相対的に多い又は少ないことを表す、果実中の糖の含有の程度が含まれる。
本明細書において、「ナス科植物」は、一例として、トマト、トウガラシ(Capsicum chinense、Capsicum annuum、Capsicum baccatum)である。また、「ウリ科植物」は、一例として、二ホンカボチャ(Cucurbita moschata)、セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)、キュウリ(Cucumis sativus)、メロン(Cucumis melo)、又は、ツルレイシ(Momordica charantia)である。
本明細書において、「トマト」は、広義には、栽培種「S.リコペルシクム(S. lycop
ersicum)」、並びに野生種「S.ケエスマニ(S. cheesmaniae)、S.チレンセ(S. chilense)、S.クミエレウスキイ(S. chmielewskii)、S.ガラパゲンセ(S. galapagense)、S.ハブロカイテス(S. habrochaites)、S.リコペルシコイデス(S. lycopersicoides)、S.ネオリキイ(S. neorickii)、S.ペネリ(S. pennellii)、S.ペルビアナム(S. peruvianum)、及びS.ピンピネリフォリウム(S. pimpinellifolium)を含む概念であり、狭義には「S.リコペルシクム」を意図している。本発明の一態様において、トマトには、ナス科ナス属トマト種の植物全般が含まれる。トマトの品種は、一例として、「りんか409」、「桃太郎8」、「CF桃太郎ヨーク」等が挙げられる。
本明細書において、植物とは、植物体の一部又は全部であってもよい。植物体の一部としては、例えば、繁殖素材(種子、鱗茎等)、鱗葉、花、根等が挙げられる。
本明細書において、ナス科植物における果実中の「糖含量」とは、ナス科植物の果実中に含まれる糖の含有量又は含有率が意図される。したがって、「果実中の糖含量」は、「果実中の糖含有量」、「果実中の糖含有率」、又は「果実中の糖度」と称される場合もある。ここで、果実中の糖度は、BRIX値により表され得る。「果実中の糖含量が多い」とは、果実中の糖の量が多いこと、果実中の糖の割合が高いこと、又は、果実中の糖度が高いこと、を意味している。また、「果実中の糖」には、グルコース、フルクトース、スクロース等が含まれる。ナス科植物のうち、例えばトマトの品質において、糖度は非常に重視されており、世界的に見ても高い果実糖度を有するトマトの品種が求められている。したがって、果実中の糖含量を指標としてナス科植物を容易に選抜することができれば、非常に有益である。
果実中の糖含量は、ナス科植物のうち、例えばトマトの品種毎に異なり得る。一例として、「THY113」は、「THY102」よりも糖含量が多い。また、「THY113」を母親とし、「THY102」を父親とする「鈴玉」は、「THY113」よりも糖含量が少ないが、「THY102」よりも糖含量が多い。糖含量の多い高糖含量のトマト品種の開発が求められており、「THY113」のように、高糖含量の品種を安定的かつ効率的に育種選抜することが望まれている。
〔ナス科植物における果実中の糖含量に関する分子マーカー〕
本発明の一態様に係る分子マーカーは、ナス科植物における、果実中の糖含量の制御関する分子マーカーである。分子マーカーは、第11染色体上の果実中の糖含量に関する遺伝子座(果実糖含量制御遺伝子座)を特定するために用いることができる。なお、果実糖含量制御遺伝子座は、第11染色体に代えて、第11染色体以外のいずれの染色体上に存在していてもよい。一例として、判定方法は、ナス科植物の染色体のいずれかの上において、トマトの第11染色体上における果実糖含量制御遺伝子座に対応する遺伝子座の存在を検出する。果実中の糖含量に関する遺伝子座とは、果実中の糖含量に影響する量的形質遺伝子座又は遺伝子領域を意味する。量的形質遺伝子座(Quantitative Trait Loci;QTL)は、一般に、量的形質の発現に関与する染色体領域を意味する。QTLは、染色体上の特定の座を示す分子マーカーを使用して規定できる。このような分子マーカーを使用してQTLを規定する技術は、当該技術分野において周知である。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、トマトの第11染色体上の5.870Mbp~6.089Mbpまでの領域である果実糖含量制御遺伝子座を検出するマーカーである。すなわち、分子マーカーは、果実糖含量制御遺伝子座内、又は、果実糖含量制御遺伝子座の近傍であって、当該遺伝子座に連鎖する領域内に位置する分子マーカーであり得る。本発明の一態様に係る分子マーカーは、果実糖含量制御遺伝子座の遺伝子型を検出する分子マーカーであり、果実糖含量制御遺伝子座に連鎖する領域内に位置する遺伝子多型である分子マーカーであり得る。そして、果実糖含量制御遺伝子座に連鎖する領域は、ナス科植物であるトマトの第11染色体上の5.300Mbpと7.300Mbpとの間の領域であり得る。このトマトの第11染色体上の果実糖含量制御遺伝子座は、配列番号71に示す塩基配列からなる。なお、後述する実施例に基づけば、5.736Mbp~6.121Mbpの領域、及び、5.870Mbp~6.089Mbpの領域(配列番号4)についても、果実糖含量制御遺伝子座の候補領域であり得る。分子マーカーは、トマトの第11染色体上の果実糖含量制御遺伝子座に対応する、ナス科植物の果実糖含量制御遺伝子座の存在の目印となるDNAマーカーである。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、ナス科植物における果実中の糖含量の程度に関する分子マーカーであって、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーである。ここで、前記果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド:
(i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
(iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
からなる。
本発明者らは、果実中の糖含量の異なる2つの固定系統「THY113」(母親)と「THY102」(父親)との交配によって作出された「鈴玉」を用いてQTL解析を行った結果、第11染色体上に果実糖含量制御遺伝子が存在することを見出した。本発明者らは、果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型が「THY113」型(母型)である場合に、「THY102」型(父型)よりも果実中の糖含量の多く、高糖含量であることを見出した。また、本発明者らは、果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型が「鈴玉」型(ヘテロ型)である場合、果実中の糖含量は母型よりも少ないが、父型よりも多いことを見出した。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する分子マーカーであり得、当該遺伝子型が、上記母型及び上記父型のいずれであるかを判定する分子マーカーであり得る。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、一例として、後述する(a)から(c)のポリヌクレオチドの少なくとも1つである。後述する(a)から(c)のポリヌクレオチドは、それぞれ、ナス科植物の第11染色体上の5.717Mbp、5.736Mbp、及び6.121Mbpに位置する。また、本発明の一態様に係る分子マーカーは、後述する(a)から(c)のポリヌクレオチドの少なくとも1つと、連鎖不平衡の関係にあるポリヌクレオチドであり得る。ここで、連鎖不平衡の関係とは、一例として、連鎖不平衡係数が0.8以上の関係であり、好ましくは0.9以上の関係であり、さらに好ましくは0.95以上の関係である。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、例として、SNPマーカー、AFLP(分子増幅断片長多型)マーカー、RFLPマーカー、マイクロサテライトマーカー、SCARマーカー、CAPSマーカー等が挙げられる。
ここで、分子マーカーは、DNAの塩基配列中のある特定の領域内に変異が見られる遺伝子多型を意味している。分子マーカーにおいて、当該遺伝子多型は、トマト(S. lycopersicum)のゲノム配列を基準とした遺伝子多型である。基準植物であるトマト(S.リコペルシクム)のゲノム配列は、solgenomics FTPサイト(ftp://ftp.solgenomics.net/genomes/Solanum_lycopersicum/annotation/ITAG4.1_release/)に公表されている。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、後述する実施例に記載された分子マーカー又はこれと同一視できる分子マーカーである。本発明の一態様に係る分子マーカーを用いれば、ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定することができる。後述する実施例に記載された参考文献(Yamamotoら,2016ら)における糖含量に関するSNPを、分子マーカーとして用いることもできる。一例として、実施例中の表2に示すDNAマーカーを、本発明の一態様に係る分子マーカーとして用いることができる。
分子マーカーにより検出される遺伝子多型は、第11染色体上の果実中の糖含量に関する遺伝子座上の変異である。第11染色体上の果実中の糖含量に関する遺伝子座は、基準となるナス科植物由来の塩基配列からなる。他のナス科植物においては、基準となる塩基配列に対して上記の変異以外の部分でも塩基配列が異なる部分が含まれ得る。このような他のナス科植物における塩基配列を、第11染色体上の果実中の糖含量に関する遺伝子座の塩基配列に相当する塩基配列と称する。この分子マーカーが位置するゲノム上の領域は、多数のナス科植物間で保存されているため、ホモロジー検索等の手法によって、この分子マーカーを特定することができる。
すなわち、他のナス科植物において、第11染色体上の果実中の糖含量に関する遺伝子座(すなわち植物間で高度に保存されている遺伝子座)が存在する場合、当該果実糖含量制御遺伝子座の塩基配列は、「配列番号71に示す塩基配列に相当する塩基配列」であり得る。そして、「配列番号71に示す塩基配列に相当する塩基配列」は、ホモロジー検索等の手法によって、「配列番号71に示す塩基配列」に相当するとされた、第11染色体上の果実中の糖含量に関する遺伝子座上の塩基配列を指す。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、本発明者らが新たに同定した分子マーカーであり、当業者は、この分子マーカーの塩基配列に基づき、当該分子マーカーのゲノム上の位置を特定することができる。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、一例として、ナス科植物において、当該分子マーカーの塩基配列を検出したとき、当該ナス科植物は果実中の糖含量が多いと判定することができる。
このような分子マーカーは、一例として、当該分子マーカーに特異的なプライマー対を用いて検出することができる。ここで、ナス科植物の果実中の糖含量が多いとは、他のナス科植物個体と比較して、ナス科植物の果実中の糖含量が相対的に多いことが意図される。
ナス科植物において、(a)から(c)のポリヌクレオチドの少なくとも1つ、又は、当該ポリヌクレオチドと連鎖不平衡の関係にあるポリヌクレオチドを検出したとき、当該ナス科植物は果実中の糖含量が多いと判定することができる。一方、ナス科植物において、これらのポリヌクレオチドを検出しないとき、当該ナス科植物は果実中の糖含量が少ないと判定することができる。本発明の分子マーカーは、(a)から(c)のポリヌクレオチド、及び、当該ポリヌクレオチドと連鎖不平衡の関係にあるポリヌクレオチドの少なくとも2つをハプロタイプブロックとして解析することにより、ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定してもよい。
本発明の一態様に係る分子マーカーに関して、(a)のポリヌクレオチドは、(a1)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、(a2)(a1)のポリヌクレオチドの塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関与する遺伝子座に対して(a1)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド、又は、(a3)(a1)のポリヌクレオチドの塩基配列に対して、97個以下の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関与する遺伝子座に対して(a1)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチドである。
本発明の一態様に係る分子マーカーに関して、(b)のポリヌクレオチドは、(b1)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、(b2)(b1)のポリヌクレオチドの塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関与する遺伝子座に対して(b1)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド、又は、(b3)(b1)のポリヌクレオチドの塩基配列に対して、46個以下の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関与する遺伝子座に対して(b1)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチドである。
本発明の一態様に係る分子マーカーに関して、(c)のポリヌクレオチドは、(c1)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、(c2)(c1)のポリヌクレオチドの塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関与する遺伝子座に対して(c1)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド、又は、(c3)(c1)のポリヌクレオチドの塩基配列に対して、83個以下の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関与する遺伝子座に対して(c1)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチドである。
(a1)、(b1)及び(c1)のポリヌクレオチドは、例えば、第11染色体上の果実中の糖含量に関する遺伝子座の塩基配列に基づき、果実中の糖含量の多い植物(例えば、トマト品種「THY113」)から得ることができる。
(a2)のポリヌクレオチドは、(a1)と同等の果実中の糖含量を調節する機能は保持し、(a1)のポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するものであり得る。(b2)のポリヌクレオチドは、(b1)と同等の果実中の糖含量を調節する機能は保持し、(b1)のポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するものであり得る。(c2)のポリヌクレオチドは、(c1)と同等の果実中の糖含量を調節する機能は保持し、(c1)のポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するものであり得る。このような塩基配列の同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、2つの塩基配列をアライメントとすることによって決定することができる。
(a3)のポリヌクレオチドは、(a1)と同等の果実中の糖含量を調節する機能は保持し、(a1)のポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、97個以下、95個以下、90個以下、80個以下、70個以下、60個以下、50個以下、40個以下、30個以下、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、1個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入されたものであり得る。(b3)のポリヌクレオチドは、(b1)と同等の果実中の糖含量を調節する機能は保持し、(b1)のポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、46個以下、40個以下、30個以下、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、1個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入されたものであり得る。(c3)のポリヌクレオチドは、(c1)と同等の果実中の糖含量を調節する機能は保持し、(c1)のポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、83個以下、80個以下、70個以下、60個以下、50個以下、40個以下、30個以下、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、1個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入されたものであり得る。このようなポリヌクレオチドの塩基配列は、当該技術分野における当業者にとって明らかであり、上述したトマトのゲノム配列を参照することにより、又は、果実中の糖含量の多いナス科植物のゲノム上における果実中の糖含量に関する遺伝子座の塩基配列を解読することにより、決定することができる。
(a2)~(c2)及び(a3)~(c3)のポリヌクレオチドの範疇には、例えば、トマトに由来する変異遺伝子、又は、トマト以外のナス科植物に由来する相同遺伝子(オーソログを含む)が含まれ得る。
ナス科植物において、(a1)~(a3)、(b1)~(b3)、又は、(c1)~(c3)のポリヌクレオチドを検出したとき、当該ナス科植物は果実中の糖含量が多いと判定することができる。一方、ナス科植物において、(a1)~(a3)、(b1)~(b3)、又は、(c1)~(c3)のポリヌクレオチドを検出しないとき、当該ナス科植物は果実中の糖含量が少ないと判定することができる。
本発明の一態様に係る分子マーカーは、一例として、果実糖含量制御遺伝子に連鎖する領域である、ナス科植物の第11染色体上の5.300Mbpと7.300Mbpとの間の領域内に位置しており、後述するプライマーにより増幅される領域を含む。また、本発明の一態様に係る分子マーカーには、後述するプライマーにより増幅される領域を含む分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーが含まれ得る。
分子マーカーは、一例として、配列番号5に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号7に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号1に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号6に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号7に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号14に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号8に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号10に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号2に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号9に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号10に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号15に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号11に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号13に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号3に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号12に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号13に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号16に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号18に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号19に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号47に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号17に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号19に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号48に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号21に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号22に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号49に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号20に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号22に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号50に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号23に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号25に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号51に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号24に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号25に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号52に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号26に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号27に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号53に示す塩基配列からなるか、配列番号54に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号28に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号29に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号55に示す塩基配列からなるか、配列番号56に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号30に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号32に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号57に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号31に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号32に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号58に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号33に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号35に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号59に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号34に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号35に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号60に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号36に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号37に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号61に示す塩基配列からなるか、配列番号62に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号38に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号40に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号63に示す塩基配列からなる。
また、分子マーカーは、配列番号39に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号40に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号64に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号41に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号42に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号65に示す塩基配列からなるか、配列番号66に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号43に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号44に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号67に示す塩基配列からなるか、配列番号68に示す塩基配列からなる。
さらに、分子マーカーは、配列番号45に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号46に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットにより増幅される領域を含む。すなわち、分子マーカーは、一例として、配列番号69に示す塩基配列からなるか、配列番号70に示す塩基配列からなる。
〔果実中の糖含量が多いナス科植物〕
本発明の一態様に係る果実中の糖含量が多いナス科植物は、後述する製造方法によって得られる植物である。このようなナス科植物は、上述した本発明の一態様に係る分子マーカーで特定される変異を有し、果実中の糖含量が多いナス科植物である。すなわち、本発明の一態様に係る果実中の糖含量が多いナス科植物(高糖含量ナス科植物)は、一例として、上述した(a)から(c)のポリヌクレオチドの少なくとも1つを含む分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーにより特定される、第11染色体上の果実中の糖含量の制御に関する遺伝子を有する。また、本発明の一態様に係る果実中の糖含量が多いナス科植物(高糖含量ナス科植物)は、
本発明の一態様に係る果実中の糖含量が多いナス科植物は、後述する判定方法及び製造方法に示すように、育種により得られたナス科植物及びその後代系統から、本発明の一態様に係る分子マーカーを用いて果実中の糖含量が多いナス科植物を判別することで得られる。なお、上述した分子マーカーで特定される変異を有するように遺伝子工学的に改変した果実中の糖含量が多いナス科植物についても、本発明の範疇に含まれる。また、本発明の一態様に係る分子マーカーを用いて、ナス科植物において果実中の糖含量の程度を判定し、判定結果に基づき選抜される果実中の糖含量が多いナス科植物についても、本発明の範疇に含まれる。
本発明の一態様に係る果実中の糖含量が多いナス科植物には、第11染色体上に上述した果実糖含量制御遺伝子又は相同遺伝子(オーソログを含む)が存在する。このような果実糖含量制御遺伝子又は相同遺伝子は、ナス科植物の内在性(endogenous)の遺伝子であり得る。本発明の一態様に係る分子マーカーは、上述した果実糖含量制御遺伝子や相同遺伝子上の分子マーカーであり得る。
なお、果実糖含量制御遺伝子が人工的に変異を導入した遺伝子を指す場合、例えば、Kunkel法(Kunkel, Proc Natl Acad Sci USA, 82: 488-492, 1985)等の部位特異的突然変異誘発法、薬剤を用いた変異原処理、放射線(γ線、重イオンビーム等)の照射による変異誘発手法、部位特異的ヌクレアーゼを利用したゲノム編集等を用いて人工的に変異を導入してもよいし、天然に存在する同様の変異ポリペプチドに由来するものであってもよい。
果実糖含量制御遺伝子は、RNAの形態(例えば、mRNA)、又は、DNAの形態(例えば、cDNA又はゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。果実糖含量制御遺伝子の一例は、トマト品種である「THY113」由来の塩基配列からなるDNAや、配列番号71に示す塩基配列の少なくとも一部からなるDNAである。
果実糖含量制御遺伝子を取得する(単離する)方法は、特に限定されるものではないが、例えば、果実糖含量制御遺伝子の塩基配列の一部と特異的にハイブリダイズするプローブを調製し、ゲノムDNAライブラリ又はcDNAライブラリをスクリーニングする方法が挙げられる。
また、果実糖含量制御遺伝子を取得する方法として、PCR等の増幅手段を用いる方法を挙げることができる。例えば、果実糖含量制御遺伝子のDNAのうち、5’側及び3’側の配列(又はその相補配列)の中からそれぞれプライマーを調製し、これらプライマーを用いてゲノムDNA(又はcDNA)等を鋳型にしてPCR等を行い、両プライマー間に挟まれるDNA領域を増幅することで、果実糖含量制御遺伝子を含むDNA断片を大量に取得できる。
なお、単離された果実糖含量制御遺伝子の候補遺伝子が、所望する果実中の糖含量を制御する活性を有するか否かは、由来する植物における当該候補遺伝子の発現によって、所望する果実中の糖含量の程度が誘導されるかを観察することによって評価することができる。
果実糖含量制御遺伝子は、ナス科植物における、果実中の糖含量の制御機構の解明に利用することができる。また、果実糖含量制御遺伝子は、その配列を発現ベクターに組み込む等して、ナス科植物の植物体又は細胞に導入することによって、形質転換体を作製するために用いることができる。果実糖含量制御遺伝子が導入されたナス科植物を栽培することで、果実中の糖含量が多いナス科植物を得ることができる。
〔ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する判定方法〕
本発明の一態様に係るナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する方法(判定方法)は、第11染色体上における果実糖含量制御遺伝子座の存在を検出する分子マーカーをナス科植物において検出する工程を含む。なお、果実糖含量制御遺伝子座は、第11染色体に代えて、第11染色体以外のいずれの染色体上に存在していてもよい。一例として、判定方法は、ナス科植物の染色体のいずれかの上において、トマトの第11染色体上における果実糖含量制御遺伝子座に対応する遺伝子座の存在を検出する。
本発明の一態様に係るナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する方法は、ナス科植物において、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する工程を含む。そして、果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド:
(i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
(iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
からなる。
本発明の一態様において、果実糖含量制御遺伝子に関して、(i)のポリヌクレオチドは、例えば、第11染色体上の果実中の糖含量に関する遺伝子座の塩基配列に基づき、果実中の糖含量の多い植物(例えば、トマト品種「THY113」)から得ることができる。
(ii)のポリヌクレオチドは、(i)と同等の果実中の糖含量を調節する機能は保持し、(i)のポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するものであり得る。このような塩基配列の同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、2つの塩基配列をアライメントとすることによって決定することができる。
(iii)のポリヌクレオチドは、(i)と同等の果実中の糖含量を調節する機能は保持し、(i)のポリヌクレオチドの塩基配列において、1又は数個の塩基、例えば、100個以下、95個以下、90個以下、80個以下、70個以下、60個以下、50個以下、40個以下、30個以下、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、1個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入されたものであり得る。
本発明の一態様に係る判定方法において、分子マーカーは、上述した(a)から(c)のポリヌクレオチドの少なくとも1つを含む分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーであり、当該分子マーカーを、果実中の糖含量の制御に関する分子マーカーとして、ナス科植物において検出する。また、本発明の一態様に係る判定方法において、分子マーカーは、果実糖含量制御遺伝子座の遺伝子型を検出する分子マーカーであり、果実糖含量制御遺伝子座に連鎖する領域内に位置する遺伝子多型である分子マーカーであり得る。そして、果実糖含量制御遺伝子座に連鎖する領域は、ナス科植物であるトマトの第11染色体上の5.300Mbpと7.300Mbpとの間の領域であり得る。
本発明の一態様に係る判定方法において、被検体であるナス科植物は、育種素材の候補植物であるか、育種のプロセスで得られた植物である。育種素材の候補植物としては、例えば、交配に用いる親植物、及び、遺伝子組換え技術を利用した分子育種に用いられる植物が含まれる。また、育種のプロセスで得られた植物としては、例えば、ナス科植物の上述したような品種に属する植物を種内交雑した植物、及びこれらの後代系統である。また、被検体であるナス科植物は、ある品種に属するナス科植物と他の品種に属するナス科植物との交雑植物のように種間交雑した植物、及びその後代系統であってもよい。さらに、被検体であるナス科植物は、例えば、果実中の糖含量が多いナス科植物同士の交雑植物、果実中の糖含量が多いナス科植物とそれ以外のナス科植物、及び果実中の糖含量が少ない植物同士の交雑植物、並びにこれらの後代系統であり得る。また、被検体であるナス科植物は、果実中の糖含量が不明なナス科植物同士を交雑した交雑植物及びその後代系統であり得る。
また、被検体であるナス科植物には、遺伝子組換え技術を利用した分子育種に用いられるナス科植物、及び、分子育種により得られたナス科植物が含まれる。
本発明の一態様に係る判定方法は、上述した本発明の一態様に係る分子マーカーを用いて、ナス科植物の被検体において、果実中の糖含量の程度を判定する。本発明の一態様に係る判定方法は、ナス科植物の被検体のゲノム上において、上述した分子マーカーにより変異を特定することで、被験ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する。本発明の一態様に係る判定方法によれば、本発明の一態様に係る分子マーカーを用いることにより、ナス科植物の第11染色体上の果実糖含量制御遺伝子の存在を検出し、ナス科植物における糖含量に関する形質を判定することができる。
本発明の一態様に係る判定方法は、検出する工程において、ナス科植物において、配列番号1~3の塩基配列からなるポリヌクレオチドの少なくとも1つを検出したときに、当該ナス科植物は、果実中の糖含量が多いと判定する。一方、本発明の一態様に係る判定方法は、検出する工程において、ナス科植物において、配列番号1~3の塩基配列からなるポリヌクレオチドの少なくとも1つを検出しないときに、当該ナス科植物は、果実中の糖含量が少ないと判定する。また、ナス科植物において、配列番号14~16に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドの少なくとも1つを検出したとき、当該ナス科植物は果実中の糖含量が少ないと判定することができる。
さらに、本発明の一態様に係る判定方法は、配列番号47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、又は69に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドの少なくとも1つを検出したとき、当該ナス科植物は果実中の糖含量が多い高糖含量であると判定することができる。また、本発明の一態様に係る判定方法は、配列番号48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、又は70に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドの少なくとも1つを検出したとき、当該ナス科植物は果実中の糖含量が少ない低糖含量であると判定することができる。
本発明の一態様に係る判定方法において用いる分子マーカーの詳細については、上述した本発明の一態様に係る分子マーカーの説明を援用する。
本発明の一態様に係る判定方法の検出する工程において、ナス科植物における分子マーカーを検出する方法としては特に限定されず、公知の分析方法を用いることができ、例えば、ナス科植物の被検体のPCR増幅断片中の分子マーカーの領域を検出することにより分析する方法が挙げられる。本発明の一態様に係る判定方法は、分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーを用いて、ナス科植物のDNAにおける当該領域を増幅してもよい。
上述した分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、ナス科植物における、果実中の糖含量の程度を判定するための判定キットであり得る。すなわち、ナス科植物における、果実中の糖含量の程度を判定するための判定キットは、上述した(a)から(c)のポリヌクレオチドの少なくとも1つを含む分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーを含む。また、ナス科植物における、果実中の糖含量の程度を判定するための判定キットは、配列番号47~70に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドのいずれかを含む分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーを含む。
ナス科植物の被検体のDNAにおける前記領域の増幅は、ナス科植物の被検体から抽出したDNAを鋳型にして、前記領域を増幅するプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により行うことができる。そして、得られた増幅断片における塩基配列(遺伝子型)を決定し、決定された塩基配列(遺伝子型)とナス科植物における果実中の糖含量との関係を示すデータに基づいて、ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する。増幅断片における遺伝子型の決定方法については、従来公知の方法を用いることができ、一例として、DNAシーケンス解析、アガロースゲル電気泳動を利用する方法、リアルタイムPCRを用いたTaqMan解析等である。
PCRおいて用いるプライマーセットは、標的の分子マーカーを含む領域のDNA断片を増幅することができるものである限り、特に限定されず、増幅断片の長さが短くなるようにプライマーセットを設計してもよい。例えば、プライマー増幅断片の長さが、好ましくは、500塩基対(bp)以下、400bp以下、3000bp以下、200bp以下、160bp以下、150bp以下、140bp以下、130bp以下、120bp以下、又は100bp以下となるようにプライマーセットを設計する。プライマーセットは、フォワードプライマーと、リバースプライマーとが含まれる。これらのプライマーの長さは、例えば、15bp以上、16bp以上、17bp以上、18bp以上、19bp以上、20bp以上、25bp以上、又は30bp以上であってもよく、50塩基bp以下、40bp以下、又は35bp以下であってもよい。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、ナス科植物における、果実中の糖含量の程度を判定するための判定キットである。分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、表1示す配列番号5~13に示す塩基配列における15以上の連続する塩基を含むプライマーを含む。このようなプライマーセットを用いれば、分子マーカーを含む領域を特異的に増幅し、アガロース電気泳動により遺伝子型を決定することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号5に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号7に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号1に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号6に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号7に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号14に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号8に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号10に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号2に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号9に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号10に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号15に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号11に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号13に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号3に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号12に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号13に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号16に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
また、分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、表2示す配列番号17~46に示す塩基配列における15以上の連続する塩基を含むプライマーを含む。このようなプライマーセットを用いれば、分子マーカーを含む領域を特異的に増幅し、アガロース電気泳動により遺伝子型を決定することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号18に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号19に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号47に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号17に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号19に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号48に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号21に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号22に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号49に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号20に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号22に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号50に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号23に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号25に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号51に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号24に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号25に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号52に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号26に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号27に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号53に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号54に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号28に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号29に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号55に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号56に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号30に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号32に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号57に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号31に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号32に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号58に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号33に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号35に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号59に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号34に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号35に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号60に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号36に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号37に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号61に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、果実中の糖含量が少ないナス科植物においては、配列番号62に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号38に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号40に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号63に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号39に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号40に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号64に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号41に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号42に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号65に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号66に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号43に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号44に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号67に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号68に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーセットは、配列番号45に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むフォワードプライマーと、配列番号46に示される塩基配列における15以上の連続する塩基を含むリバースプライマーとを含むプライマーセットであり得る。このようなプライマーセットを用いることで、果実中の糖含量の多いナス科植物においては、配列番号69に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、果実中の糖含量の少ないナス科植物においては、配列番号70に示す塩基配列からなるPCR増幅産物が得られ、分子マーカーに相当する塩基配列を検出することができる。
検出する工程におけるPCRは、単独のプライマーセットを含む反応系でDNA断片を増幅するシングルプレックスPCR、又は、複数のプライマーセットを含む反応系で遺伝子増幅するマルチプレックスPCR、のいずれであってもよい。マルチプレックスPCRの場合は、異なる波長を有する蛍光物質(例えば、NED、6-FAM、VIC、PET)により標識したプライマーセットを混合してもよい。
PCRの反応条件は、用いるDNAポリメラーゼ及びPCR装置の種類、増幅断片の長さ等に応じて適宜に設定され得る。サイクル条件としては、変性工程、アニーリング工程及び伸長工程の3工程を1サイクルとする3ステップPCR法、及び、変性工程とアニーリング及び伸長工程との2工程を1サイクルとする2ステップPCR法を適用することができる。3ステップPCRにおける反応条件の一例としては、90~100℃で40~60秒(例えば、95℃で30秒)の変性工程、10~60秒(例えば、60秒)のアニーリング工程、及び65~80℃で10~150秒(例えば、72℃で150秒)の伸長工程を、10~40サイクル(例えば35サイクル)行う。アニーリング温度は、一例として、45~70℃(例えば、61℃)の初期アニーリング温度から40~65℃(例えば、45℃)の最終アニーリング温度まで、所定サイクル毎に段階的に低下させる条件(例えば、1サイクル毎に1℃低下)が挙げられる。鋳型となるDNAの状態に応じて、分子マーカーを安定的に検出するために、PCR反応条件を調整してもよい。
検出する工程におけるPCRとして、PCRによる増幅及び分子マーカーの特定を行うTaqMan(登録商標)-PCR法、SYBR(登録商標) Green等を用いたインターカレーター法等のようなリアルタイムPCRを用いてもよい。すなわち、プライマーセットを用いて増幅した増幅断片に含まれる分子マーカーを検出するTaqMan(登録商標)プローブをさらに用いてもよい。リアルタイムPCR法を用いることにより、高処理能力の判別方法を提供することができる。なお、PCRにより増幅した増幅断片において分子マーカーを特定する方法としては、自動DNAシークエンサー等を用いて増幅断片の塩基配列を決定することにより、解析してもよい。
ナス科植物の被検体から、PCRにより増幅するDNAを抽出する方法としては、特に限定されず、公知のDNA抽出方法を用いることができる。また、市販のDNA抽出キットを用いて、DNAを抽出してもよい。被検体の種類及び夾雑物の量等に応じて、DNA抽出工程の前に、適宜に前処理を行ってもよい。また、被検体から抽出されたDNAは、PCR反応において鋳型として用いるために、必要に応じて洗浄又は精製してもよい。さらに、被検体から抽出されたDNAを2種類の制限酵素で消化した制限酵素切断断片をPCRにより増幅してもよい。
本発明の一態様に係るナス科植物における、果実中の糖含量の程度を判定する判定方法によれば、分子マーカーにより、被検ナス科植物の、果実中の糖含量の程度を判定することができる。したがって、判定結果に基づき、果実中の糖含量の程度が所望の程度であるナス科植物及びその後代系統を選抜することができる。
本発明の一態様に係る判定方法によれば、果実中の糖含量の程度が所望の程度であるナス科植物を選抜することが可能であり、育種選抜のための期間を大幅に短縮することができる。また、幼苗の段階で選抜された果実中の糖含量の程度が所望の程度である実生のみを栽植して生育することで、圃場の利用効率を向上させることができる。
〔果実中の糖含量が多いナス科植物を製造する製造方法〕
本発明の一態様に係る製造方法は、果実中の糖含量が多いナス科植物を製造する製造方法である。本発明の一態様に係る製造方法は、育種により得られたナス科植物又はその後代系統のナス科植物から、本発明の一態様に係る判定方法によって、果実中の糖含量が多いナス科植物を判別する工程を包含する。
したがって、本発明の一態様に係る分子マーカー、本発明の一態様に係る果実中の糖含量が多いナス科植物、及び、本発明の一態様に係る判定方法に関する説明を、果実中の糖含量が多いナス科植物を製造する方法の説明に援用する。
本発明の一態様に係る製造方法は、判別する工程の前に、ナス科植物を育種する工程を包含してもよい。育種に用いる親植物としてのナス科植物は、例えば、果実中の糖含量が多いナス科植物、果実中の糖含量が少ないナス科植物、果実中の糖含量の程度が不明なナス科植物、並びにこれらの後代系統であり得る。
また、育種に用いる親植物としてのナス科植物は、本発明の一態様に係る果実中の糖含量が多いナス科植物であってもよい。また、育種に用いる親植物としてのナス科植物は、本発明の一態様に係る判定方法により選抜された果実中の糖含量が多いナス科植物であってもよい。すなわち、本発明の一態様に係る製造方法は、育種する工程の前に、本発明の一態様に係る判定方法により、被検ナス科植物から果実中の糖含量が多いナス科植物を判別する判別工程をさらに含み得る。
本発明の一態様に係る製造方法によれば、分子マーカーによりナス科植物において果実中の糖含量の程度を判定し、判定結果に基づき選抜した果実中の糖含量が多いナス科植物を製造することができる。本発明の一態様に係る製造方法は、一例として、「THY113」のような高糖含量のナス科植物を製造するとき、本発明の一態様に係る分子マーカーを用いて、果実中の糖含量が多いナス科植物を選抜する。
また、本発明の一態様に係る分子マーカーを用いて、ナス科植物において果実中の糖含量の程度を判定し、判定結果に基づき果実中の糖含量が少ないナス科植物を選抜することにより、果実中の糖含量が少ないナス科植物を製造する製造方法についても、本発明の範疇に含まれる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(1.QTL解析)
トマト品種「鈴玉」は、高糖度型の「THY113」と標準糖度型の「THY102」のF1品種であり、その自殖後代を用いてQTL解析を行った。秋冬作にて、「鈴玉」の自殖後代(F2世代)158個体の栽培を実施し、栽培個体から得たAmplicon Sequenceのゲノム多型データに基づき、果実中の糖含量を制御する遺伝子座(QTL)の解析を行った。QTL解析の結果、11番染色体の上腕領域に果実中の糖含量を制御する遺伝子座の候補領域が見出された(トマトリファレンス配列「SL4.0」11番染色体5.870Mbp~6.089Mbp(配列番号4))。
(2.植物材料)
ファインマッピング用F2世代、及び、フェノタイピング用F3世代を、植物材料として用いた。上記QTLのファインマッピングのため、遺伝子の存在が推定されるゲノム領域中で染色体組換えが起こっているF2世代を選抜した。F2世代の選抜のために、合計765個体のF2世代を栽培し、サンプル(葉)を取得した。サンプルを取得した個体について、QTL近傍のDNAマーカーを用いて、育苗中に染色体組換え個体を選抜し、染色体組換え候補個体のみを続く栽培に供した。このうち、DNAマーカーによるジェノタイピングの結果、QTLの原因遺伝子の近傍で染色体組換えが起こっていると考えられた14のF2個体を選抜した。選抜したF2個体について、F3に相当する世代を栽培し、その遺伝子型及び表現型に基づき、QTLの原因遺伝子のゲノム領域中の位置の推定に用いた。
(3.植物栽培)
播種:粒状綿(グロダン、012-519)を詰めた72穴のセルトレイに種子を1つずつ静置し、粒状綿を覆土としてかぶせた後、28℃で、高湿度条件で暗所に3日静置して発芽を促した。
育苗:播種から3日後、明期14時間・28℃、暗期8時間・23℃に設定した人工光型の人工気象機を用いて5日間栽培を行い、その後、明期14時間・22℃、暗期8時間・17℃に温度を変更して、播種後3週間栽培を行った。その後、苗をロックウールブロック(グロダン、デルタ6.5G)に移植し、カーテンで遮光した温室内において7日程度養液栽培を行い、2次育苗とした。
定植以降:2次育苗を行った株をロックウールスラブ(グロダン、MY2075A2W)に定植し、通常の温室条件において養液栽培を実施した。植物体の栽培は、最低温度を13℃に設定した通常の温室条件下で行い、養液はOATハウス肥料のSA処方(OATアグリオ株式会社)を成長に応じてEC1.0-EC2.0の範囲で変動させて用いた。各果房内の花が3花開花した時点においてトマトトーンによる着果促進を実施し、着果数2以下の場合は最後の花が開花した時点で着果促進を実施した。赤熟した果実について収穫し、果実品質の測定に供試した。
(4.DNAマーカー検出)
PCR反応を利用した、DNAマーカーの検出を行った。F2個体のDNAの抽出は、Lysis Buffer for PCR(TAKARA Bio)を用い、エタノール沈殿による精製を追加して実施した。まず、0.2mlチューブに5mm以下の葉を採取し、50μlのLysis Buffer for PCRを添加して、60℃で5分間インキュベートした。その後、98℃で2分間インキュベートした後、上清を別の0.2mlチューブに採取し、100μlの99.5%エタノールを追加して-20℃で30分以上冷却し、遠心分離を行った。沈殿を回収後、チューブに70%エタノールを100μl追加して遠心分離を行った。沈殿を回収後、チューブを室温において30分以上開放して沈殿を乾燥させ、DNAを含む沈殿を50μlのTE Bufferに溶解し、DNA溶液とした。
抽出したDNA溶液を、反応条件を設定したサーマルサイクラー(Eppendorf、Master Cycler Pro)上において、BioTaq(日本ジェネティクス株式会社)を用いて反応させた。反応条件は、初めに94℃で2分の熱変性、次いで94℃で30秒(熱変性)、61℃で30秒(アニーリング)、68℃で1分(伸長)を1サイクルとして40サイクル反応させ、最後に72℃で5分の伸長反応を行った。
PCR反応の結果は、アガロースゲル電気泳動後、アガロースゲルをトランスイルミネーター(ATTO、AE-6932CP-2)により撮影することで確認した。アガロースゲル電気泳動は、臭化エチジウムを添加した1×TAE Bufferを入れたmupid 2 plusにおいて、1.2%のアガロースゲルを用いて行った。
(5.果実品質測定用試料調整)
収穫した果実は、重量計測を行い、糖度の測定及び糖含量の計測に供試した。糖含量分析用には、果実を縦断2分割し、対角に位置する2か所から合計20g程度となるように放射状に切断した切片を用いた。切片に、等量の99.5%エタノール(g/ml、トマト切片20g辺り20mlの99.5%エタノール)を加え、ミルサー(イワタニ産業株式会社、IFM-S30G)で30秒程度破砕した。破砕物を17,700Gで1分間遠心することで夾雑物を沈殿させ、上清を純水で20倍に希釈したものを解析試料とした。解析試料について、キャピラリー電気泳動装置(Agilent、7100)を用いて解析した。糖度(Brix)測定用には、縦断した果実の1か所から切り取った切片を用いた。切片を手で絞った果汁について、ポケット糖度計(アタゴ、PAL-1)を用いて糖度を測定した。
(6.公開データの利用)
Yamamotoらが2016年に発表した文献(Yamamotoら,2016)には、日本の大玉トマト96品種について、Axiomジェノタイピングアレイ(Affymertix)を用いた16782か所のSNPにおよぶ網羅的な遺伝子型データ及び各種形質データが公開されている。Yamamotoら,2016を、参考文献として本明細書中に組み込む。当文献のSNP検出用プローブの配列情報をfasta形式に変更し、local blastnプログラムを用いて、トマトリファレンスゲノムSL4.0に対する相同性検索を実施し、各SNPのゲノム中の存在箇所を見出した。
各SNPの2つの遺伝子型(Aアレル及びBアレル)のうち、どちらの配列もリファレンスゲノムに完全に一致する遺伝子型がないDNAマーカーについては対象から除き、どちらかのアレルで完全一致が見られたSNPのみ解析に使用した。上記文献中で公開されているジェノタイプ情報はBアレルの数を示しているものと推定される(0ならばAアレルホモ型、1ならAアレルとBアレルとのヘテロ型、2ならばBアレルホモ型)。
各SNPについて、SL4.0リファレンスゲノムに対応するアレルを見出し、リファレンスゲノム型ホモは0、ヘテロ型は1、対立アレル型ホモは2となるように、Excel(Microsoft)上で作業を行った。これにより、選抜したSNPについて各品種の遺伝子型を判定した。本発明者らが見出した果実中の糖含量に関する遺伝子座のゲノム領域においては、リファレンスゲノム型ホモが父型(THY102型)、対立アレル型ホモが母型(THY113型)となった。得られた遺伝子型情報及び糖度情報について、統計ソフトRを用いてテューキー=クレーマー法による検定を実施し、各遺伝子型と糖度との差を検証した。
(7.結果)
<7-1.遺伝子のファインマッピング>
11番染色体に見出された果実中の糖含量を制御するQTLについて、765個体のF2世代の個体の遺伝子型及び表現型を解析することで、より原因遺伝子の近傍に位置する、精度の高いDNAマーカーの作出を行った。上記QTLの糖度制御経路の推定に寄与するため、本解析では、糖度の上昇と果実中の主要糖成分の含有量についても確認した。DNAマーカーを用いたジェノタイピングの結果から、上記QTLの原因遺伝子はトマト11番染色体の5.736Mbp~6.12Mbpの間に位置することが明らかとなった(図1)。そして、この領域を挟み込むDNAマーカーの遺伝子型を検出することにより、その間に位置するQTL自体の遺伝子型を判断した(図2)。
図2に示すDNAマーカーでは、5.717Mbp領域の遺伝子型の特定に、表1に示すプライマー1~3を用いた。プライマー1及び3により母型を検出し、プライマー2及び3により父型を検出した。また、6.121領域の遺伝子型の特定に、表1に示すプライマー4~6を用いた。プライマー4及び6により母型を検出し、プライマー5及び6により父型を検出した。
765のF2個体のうち、特に、果実中の糖含量を制御するQTLの原因遺伝子近傍で染色体組換えが起こっていると判断された6個体については、DNBSEQ-G400(MGI)を用いて全ゲノムのリシークエンスを実施し、染色体組換えが起こっているゲノム中の個所を見出した。これにより、果実中の糖含量を制御するQTLの原因遺伝子の存在推定領域は5.870Mbp~6.089Mbpの間に狭まった。
<7-2.DNAマーカーを用いた果実高糖含量系統スクリーニング>
11の市販のトマト品種を含む12系統について、果実中の糖含量を制御するQTL領域中のDNAマーカーの型と果実の糖含量との関係を調べた。各系統から抽出したDNAを鋳型とし、トマト11番染色体5.736Mbp領域に設計したDNAマーカーのプライマーを用いて、各遺伝子型を特異的に増幅するPCR反応を行った。2つのPCR反応の結果から、市販品種でも、DNAマーカーの使用により、果実中の糖含量を制御するQTLの遺伝子型を検出できることが示された(図3)。また、供試した9個の大玉品種の比較から、果実中の糖度及び糖含量と、DNAマーカーの遺伝子型との関連が示唆される結果が得られた(図4~6)。
<7-3.公開データを利用したQTL遺伝子領域の有効性検定>
参考文献(Yamamotoら,2016)において、日本の大玉トマト品種96品種について、網羅的な遺伝子型及び各種表現型のデータが公開されている。そこで、参考文献中の遺伝子型データ及び糖度(文献中ではSSC)のデータを活用し、果実中の糖含量を制御するQTL領域の有効性の検証を行った。図7に示すように、果実中の糖含量を制御するQTLの遺伝子型が高糖度型となった系統については糖度が高く、遺伝子型が低糖度型となった品種間とは糖度に有意差が見られた。
(8.相同遺伝子の検出)
上述の解析により有効性が示された果実中の糖含量を制御するQTLの相同遺伝子を検出した。本QTLに関して、トマトゲノムの遺伝子アノテーションITAG4.1により、21の相同遺伝子が推定された。このうち2つの遺伝子が本QTLの相同遺伝子の候補であると考えられる。
<相同遺伝子の検出手法>
Sol GenomicsNetworkからダウンロードしたトマトITAG4.1アノテーションから、本QTL中に存在する遺伝子のCDS配列を抽出し、NCBIのblastxを用いて、「ナス目」、「ウリ目」のみを対象として「nr」データベースに対して相同性の検索を行った。得られた結果から相同性が見られた100の登録配列について、ITAG4.1のCDS配列に対してlocal tblastnで再度相同性を検索した。2度目の相同性検索において、検索の起点となったトマトの遺伝子と同様の遺伝子とトップの相同性を示したペア遺伝子と、同等の機能を有すると考えられる遺伝子をリストアップし、ペア遺伝子が存在する植物種を抽出した。
機能的に本QTLの候補遺伝子であり、かつ広範な植物種でペア遺伝子が見出された遺伝子として、以下の2つの遺伝子を選抜した。
<ERF遺伝子:Solyc11g012980>
本遺伝子は植物の発達、環境や病害虫といったストレス応答において中心的な働きを行うことが報告されてるERF遺伝子に属している。シロイヌナズナにおいて、ペア遺伝子(At1g44830)を培養細胞中で過剰発現させた場合、細胞壁の構成要素であるペクチン量が増加することが報告されており(Nakano et al., Biotech.Let.z 34, 763-769, 2012)、本QTLにおいては多糖類の合成量の変化が果実中の糖含量の変化に影響を与えている可能性が考えられる。
公開されているトマト果実の遺伝子発現のデータベースからは、緑熟期及び赤熟する過程において発現が見られることから、本QTLにおいては果実の発達、成熟の過程で細胞壁多糖類の生合成を制御しているものと予想される。これにより、果実内のデンプン蓄積量や、最終的な果実の糖含量に影響を与えるものと考えられる。
果菜類において本遺伝子とペアの関係にある遺伝子はナス科では各種野生トマトのほか、トウガラシ(Capsicum chinense、Capsicum annuum、Capsicum baccatum)、ウリ科では、二ホンカボチャ(Cucurbita moschata)、セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)、キュウリ(Cucumis sativus)、メロン(Cucumis melo)、ツルレイシ(Momordica charantia)で見いだされており、本遺伝子と同様の機能を果たしている可能性があると考えられる。
<エキソヌクレアーゼ:Solyc11g013030>
本遺伝子は細胞質内において、翻訳に使われた後のメッセンジャーRNAの代謝に関わると推測される遺伝子で、公開されているトマト果実の遺伝子発現のデータベースでは発達の全期間を通して発現しているが、特に赤熟する過程で発現が増大している。本遺伝子とペア関係にあるシロイヌナズナの遺伝子はmRNAの代謝に関わる以上の明確な役割はまだ不明であり、遺伝子発現の制御に深くかかわることが示唆されていることしか判明はしていない(Zhang et al., PNAS 107, 15981-15985, 2010)。
しかしながら、シロイヌナズナにおいて相同性を有する他の遺伝子の解析ではRNAの代謝の制御を通じて組織の分化や細胞周期に関わることが報告されている(Kumakura et al., Plos ONE 0079219, 2013)。本遺伝子の配列が変わることにより、果実発達初期では細胞数が影響され、最終的な果実重及び糖含量が変化する可能性が考えられる。また、成熟過程においては遺伝子発現パターンの変動速度に影響が起こること、で果実内のデンプン蓄積量が増加し、最終的な果実の糖含量につながる可能性が考えられる。
果菜類において本遺伝子とペアの関係にある遺伝子はナス科では各種野生トマトのほか、トウガラシ(Capsicum chinense、Capsicum annuum、Capsicum baccatum)、ウリ科では、二ホンカボチャ(Cucurbita moschata)、セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)、キュウリ(Cucumis sativus)、メロン(Cucumis melo)、ツルレイシ(Momordica charantia)で見いだされており、本遺伝子と同様の機能を果たしている可能性が考えられる。
(9.相同遺伝子の検出)
本実施例において見出された果実中の糖含量を制御するQTL領域内の他のDNAマーカーについて、探索した。SGN(https://solgenomics.net/)の「Jbrowse」ツールにおいて「Tomato SL4.0 ITAG4.0」ゲノムを選択し、「SGN markers」及び「SolCAP markers」トラックを表示させた。本QTL領域中に位置するDNAマーカーを抽出した。抽出したDNAマーカーを表3に示す。
(10-1.遺伝子のファインマッピング)
上記7-1で得られたマッピングデータを更新する目的で、目的遺伝子である果実中の糖含量に関する糖含量制御遺伝子のファインマッピングを再度実施した。その結果、図8に示すように、糖含量制御遺伝子の存在領域が、5.870Mbp~6.089Mbpの間に位置することが示唆された。図8は、実施例における、果実中の糖含量を制御するQTLの原因遺伝子の位置について、更新した解析結果を示す図である。
そして、このQTL領域に連鎖する領域内のDNAマーカーの遺伝子型を検出することにより、QTL自体の遺伝子型を判断した。DNAマーカーとして、5.839Mbp、5.87Mbp、5.937Mbp、5.9418Mbp、5.9925Mbp、6.01Mbp、6.003Mbp、6.023Mbp、6.088Mbp、6.0625Mbp、5.967Mbp、及び、5.8673Mbp領域のそれぞれの遺伝子型の特定に表2に示すプライマー10~39を用いた。各領域について、遺伝子型の特定に用いたプライマーは、上述した(発明を実施するための形態)欄の〔ナス科植物における果実中の糖含量に関する分子マーカー〕や〔ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する判定方法〕の記載された通りである。これらのDNAマーカーについても、上記7-1の結果と同様に、父型又は母型の遺伝子型が検出された。
(10-2.DNAマーカーを用いた果実高糖含量系統スクリーニング)
15の市販のトマト品種と1つの固定系統とについて、果実中の糖含量を制御するQTL領域中のDNAマーカーの型と果実の糖含量との関係を調べた。各系統から抽出したDNAを鋳型とし、トマト11番染色体5.8673Mbp領域に設計したDNAマーカーのプライマーを用いて、各遺伝子型を特異的に増幅するPCR反応を行った。1つのPCR反応の結果から、DNAマーカーの使用により、果実中の糖含量を制御するQTLの遺伝子型を検出できることが示された(図9)。また、供試した9個の大玉品種の比較から、果実中の糖度及び糖含量と、DNAマーカーの遺伝子型との関連が示唆される結果が得られた(図10~12)。
(11.連鎖不平衡であるDNAマーカーを用いたQTL遺伝子領域の遺伝子型検出及び遺伝子型毎の平均果実糖度)
参考文献(yamamotoら,2016)において公開されている、日本の大玉トマト96品種における、網羅的な遺伝子型及び各種表現型のデータを用いた。遺伝子型データについて、11番染色体の4Mbp~8Mbpの間に存在するSNPの遺伝子型データを抽出し、これらの遺伝子型データを目視で確認し、染色体組換えが起こっておらず、連鎖不平衡の関係にあるSNPをブロック化した。各ブロックについての遺伝子型と糖度データについて統計ソフトRを用いてテューキー=クレーマー法による検定を実施し、高糖度(母型)と低糖度(父型)との間で有意な差がみられる最も離れた2つのブロックを見出した。そして、この最も離れた2つのブロック間の領域(5.399M-7.220M(配列番号71)の領域)を、糖含量制御遺伝子の候補領域と定義した。
見出されたブロックの周囲の全ブロックの遺伝子型と糖度データとについて、再度、統計ソフトRを用いてテューキー=クレーマー法による検定を実施し、有意となる最も外側のブロックを見出した。
表4及び図13~14に示す結果から、第11染色体上の5,399,824bp~7,220,009bpの、QTL遺伝子領域に連鎖する領域内に位置するDNAマーカーが、QTL遺伝子領域の遺伝子型の検出に有効であり、また、検出された遺伝子型と、トマトの果実中の糖度及び糖含量との関連が示唆される結果が得られた。
本発明は、農業分野、植物育種分野等に利用することができる。

Claims (8)

  1. ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する方法であって、
    ナス科植物において、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する工程を含み、
    前記果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド:
    (i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
    (iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
    からなる、方法。
  2. 前記検出する工程において、前記果実糖含量制御遺伝子に連鎖する領域内に位置する遺伝子多型である分子マーカーを用いて、当該分子マーカーの遺伝子型を検出することにより、前記果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記果実糖含量制御遺伝子に連鎖する領域は、ナス科植物の第11染色体上の5.300Mbpと7.300Mbpとの間の領域である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記検出する工程において、前記分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーを用いて、ナス科植物のDNAにおける当該領域を増幅する、請求項3に記載の方法。
  5. 果実中の糖含量が多いナス科植物を製造する製造方法であって、
    育種により得られたナス科植物又はその後代系統のナス科植物から、請求項1又は2に記載された方法によって、果実中の糖含量が多いナス科植物を判別する工程
    を包含する、製造方法。
  6. ナス科植物における果実中の糖含量の程度に関する分子マーカーであって、
    果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーであり、
    前記果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド:
    (i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
    (iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
    からなる、分子マーカー。
  7. ナス科植物における果実中の糖含量の程度を判定する判定キットであって、
    ナス科植物において、果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーを含む領域を増幅するプライマーを含み、
    前記果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド:
    (i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
    (iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
    からなる、
    判定キット。
  8. ナス科植物における果実中の糖含量の制御に関与する果実糖含量制御遺伝子の遺伝子型を検出する分子マーカー、又は、当該分子マーカーと連鎖不平衡の関係にある分子マーカーにより特定される、第11染色体上の前記果実糖含量制御遺伝子を有し、
    前記果実糖含量制御遺伝子は、下記(i)~(iii)のいずれかのポリヌクレオチド:
    (i)配列番号71に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (ii)配列番号71に示す塩基配列に対して、80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
    (iii)配列番号71に示す塩基配列に対して、1又は数個の塩基が置換、欠損、付加、又は挿入された塩基配列からなり、ナス科植物における果実中の糖含量の調節に関して上記(i)のポリヌクレオチドと同等の機能を示すポリヌクレオチド;
    からなる、
    高糖含量ナス科植物。
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