ところで、昨今、建築分野において人手不足の傾向があり、一本ずつ柱状部材を運搬し個々を連続して立設する特許文献1記載の発明(以下、「従来の壁面構造」と省略することがある)の実施にあたり、人手不足から事前想定よりも施工に時間が掛かり、工期が遅れることがあった。特に、従来の壁面構造を二階建て以上の建物に適用する際には、階上までの運搬の負担が大きく、更に、階上での作業は柱状部材の挙動が不安定となることがあって作業の安全性の不安もあり、安全性確保の負担も大きくなる。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、簡易な構造であると共に、従来の壁面構造と比較して運搬性及び施工性が向上しており、適用した建物に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができる壁面構造体、壁面構造体の連結構造、同壁面構造体を適用した建物、及び、同壁面構造体を適用した建物の建築方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明の壁面構造体は、軸方向に長尺で略同じ長さの3本以上のプレカット既製木柱が連結部材を用いて幅方向に連結されていると共に、少なくとも幅方向の中間又は略中間に配設された木柱の一端近傍に設けられ、連結具を受け入れ可能な第1連結部分及び同木柱の他端近傍に設けられた連結具を受け入れ可能な第2連結部分を有する構造である。
本発明の壁面構造体は、これを並設することで、建物等の内外を区画する所望の大きさの木造の壁面を形成することができ、例えば、住宅、店舗、車庫や物置等の側壁として好適に使用することができる。この壁面構造体は、構成材として木材を使用しているので、材料に起因する炭素貯蔵効果を奏し、同壁面構造体を適用した建物にも炭素貯蔵効果を付加する。そして、構成材として木材を使用する同壁面構造体は、金属や石質材料を構成材とするものと比較して、製造や加工で生じるエネルギー及び二酸化炭素の削減による省エネルギー効果及び二酸化炭素削減効果(以下「省エネルギー等効果」)を奏し、同壁面構造体を適用した建物にも省エネルギー等効果を付加する。
そして、本発明の壁面構造体は、軸方向に長尺で略同じ長さの3本以上のプレカット既製木柱が連結部材を用いて幅方向に連結されている構造(即ち、所定幅のパネル状に予め設けられたもの)であることにより、従来の壁面構造と比較して、設置場所まで運搬しやすく(運搬効率が良く)、且つ、現場での組立工程が減少するので作業時間を短縮できる。
更に、本発明の壁面構造体は、前述した第1連結部分及び第2連結部分を有する構造であることにより、建物基体等に対して個別の木柱を立設する従来の壁面構造と比較して、建物基体等に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮でき、作業効率が良い。
前述の「プレカット既製木柱」としては、サイズの統一性や入手の容易性、低廉な調達コストの観点からJAS規格又はJIS規格に基づくプレカット既製木柱が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、軸方向に長尺で略同じ長さのプレカット既製木柱であればJAS規格又はJIS規格以外のものであってもよい。また、「プレカット既製木柱」は、断面形状が四角形等である角柱が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、例えば、断面形状が円形あるいは楕円形等である円柱、断面形状がD型の柱材等であっても良い。
前述の「連結部分」は、建物基礎、鉄骨、胴差等の建物基体に連結可能な構造であれば特に限定されないが、例えば、連結具を受け入れ可能に形成された穴或いは溝、又は、各種連結金具等が挙げられる。
前述したプレカット既製木柱を連結する「連結部材」としては、例えば、一のプレカット既製木柱の軸方向(換言すると長さ方向)に対して交差方向(換言すると幅方向)に貫通し、隣接するプレカット既製木柱に至る長さに穿設されるスクリューボルト、或いは、各プレカット既製木柱の軸方向に対して交差方向に設けられるボルト及びナットの組み合わせ等が挙げられ、これらは完成後の壁面に部材が現れず見た目が良いため好適に使用される。しかしながら、「連結部材」は、スクリューボルト等に限定するものではなく、各プレカット既製木柱の間に接着剤を塗布して成る構造、スクリューボルト等と接着剤を組み合わせた構造、プレート金具やほぞ継ぎ等の公知手段による連結構造をも含む意味で使用している。
本発明の壁面構造体を構成するプレカット既製木柱は、3本以上であるが、10本以下であることが好ましい。3本未満の場合は運搬効率向上や作業時間短縮が期待しにくく、10本を超える場合は幅広過ぎて嵩張り且つクレーン等を要する程に重量が増大するため、運搬効率向上や作業時間短縮が期待しにくくなるためである。このような運搬効率向上や作業時間短縮の観点から、壁面構造体を構成するプレカット既製木柱の数は3本以上7本以下であることが更に好ましい。
前述した第1連結部分及び第2連結部分が設けられる木柱は、壁面構造体の幅方向の中間又は略中間に配設された少なくとも1本の木柱であるが、木柱の数が多い場合は、複数の木柱に第1連結部分及び第2連結部分を設ける態様を除外するものではない。
本発明の壁面構造体を構成する木柱が3本以上の奇数の場合、前述した第1連結部分及び第2連結部分が設けられる「幅方向の中間」に配設された木柱とは、例えば、木柱の数が3本の場合は一端側から2本目、5本の場合は一端側から3本目、7本の場合は一端側から4本目、等である。また、本発明の壁面構造体を構成する木柱が4本以上の偶数の場合、前述した第1連結部分及び第2連結部分が設けられる「幅方向の略中間」に配設された木柱とは、例えば、木柱の数が4本の場合は一端側から2本目又は3本目、6本の場合は一端側から3本目又は4本目、8本の場合は一端側から4本目又は5本目、等である。このような配置の木柱に第1連結部分及び第2連結部分を設けることにより、壁面構造体の組立作業が容易であり、更に、第1連結部分及び第2連結部分の位置が壁面構造体の幅方向の中間又は略中間であることから、建築時における取付作業がしやすく、且つ、建築後に地震等で壁面に加わる壁面への応力がバランス良く分散される。
以上の通り、本発明の壁面構造体は、運搬した個別の木柱を各々連続して立設する従来の壁面構造と比較して、簡易な構造であると共に運搬性及び施工性が向上しており、所望の大きさの木造の壁面を短時間で効率良く形成することができ、同壁面を適用した建物に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができるものとなっている。なお、同壁面構造体を適用する「建物」の種類は特に限定されず、例えば、木造、鉄骨造、コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造等であってもよい。
また、前述の壁面構造体は、第1連結部分及び第2連結部分が、壁面構造体の厚さ方向に貫通した貫通穴及び該貫通穴の周縁に形成された座ぐり加工部を設けたものであってもよい。
本態様における壁面構造体は、前述した貫通穴及び座ぐり加工部が予め設けられていることにより、壁面構造体とその取付予定領域に配設された連結具とを、棒状部分を有する固定部材(例えばボルトやスクリュー、釘等)を以て連結する作業を行うにあたり、現場での穴の形成等が不要で、作業効率が更に向上する。
そして、本態様における壁面構造体は、前述した貫通穴が設けられていることにより、棒状部分を有する固定部材(例えばボルトやスクリュー、釘等)を挿通させることができる。また、前述した貫通穴の周りに座ぐり加工部が設けられていることにより、ボルト等の固定部材の頭部が座ぐり加工部に収まるように取り付けることにより、壁面構造体の表面に固定部材の頭部が出っ張らず、見た目の良い外観となる。
更に、本態様における壁面構造体は、前述の貫通穴及び座ぐり加工部が第1連結部分及び第2連結部分のいずれにも設けられているので、第1連結部分を設けた側又は第2連結部分を設けた側のいずれを下向き(例えば建物基礎や胴差等の方向)にして使ってもよく、作業効率が良い。
なお、「連結具」としては、取付時において立ち上がり部が上方へ立ち上がる態様で取り付けられる接続金具等が挙げられ、例えば、同接続金具は端面視でI字形、L字形、逆T字形、H字形のものが挙げられる。そして、連結具は、その立ち上がり部に、前述した貫通穴と連通するように位置合わせ可能な固定具の挿通穴が形成されているものが好適に使用されるが、これに限定するものではなく、固定具の挿通穴が形成されていないものを除外するものではない。また、連結具の取付対象箇所としては、例えば、建物基礎の上面、屋根部分の軒桁等であってもよいし、二階建て以上の構造の場合は、上下階の間に位置する胴差等の上面及び下面であってもよい。
そして、「固定部材」としては、例えば、その棒状部分(軸部分とも換言できる)を、連通状態にある連結具の立ち上がり部に設けた固定具の挿通穴と本態様における壁面構造体の貫通穴とに挿通させる態様で壁面構造体と連結可能なボルトやスクリュー、釘等が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、例えば、ボルト等と併用する接着材も含まれ、また、その他の公知の固定手段を採用してもよい。
また、前述の壁面構造体は、第1連結部分及び第2連結部分が、壁面構造体の取付予定領域に配設された連結具における板状の垂直面部を嵌入可能な溝部を設けたものであってもよい。
本態様における壁面構造体は、第1連結部分又は第2連結部分に設けた前述の溝部に、壁面構造体の取付予定領域に配設された連結具における板状の垂直面部を嵌入するだけで、熟練工のみならず非熟練工であっても、建物へ壁面構造体を容易且つ精度良く取り付けることができる。更に、壁面構造体の溝部と連結具の垂直面部の嵌合状態において、固定部材の使用により、建物と壁面構造体を強固に連結することができる。
更に、本態様における壁面構造体は、前述の溝部が第1連結部分及び第2連結部分のいずれにも設けられているので、第1連結部分を設けた側又は第2連結部分を設けた側のいずれを下向き(例えば建物基礎や胴差等の方向)にして使うことができ、作業効率が良い。
なお、本態様における「固定部材」とは、例えば、ボルトやスクリュー、釘等の棒状部材であって連結具の垂直面部の厚み方向へ貫通又は挿通させる態様で壁面構造体と連結するものであってもよいし、溝部に充填する接着材であって連結具の周面と溝部とを接着する態様で壁面構造体と連結するものであってもよいし、これらの態様を組み合わせたもの又はその他の公知の固定手段を採用してもよい。
本態様における「連結具」としては、取付時において板状の垂直面部を立設する態様で取り付けられる接続金具等が挙げられ、例えば、同接続金具は端面視でI字形、L字形、逆T字形、H字形のものが挙げられる。また、連結具の取付対象箇所としては、例えば、建物基礎の上面、屋根部分の軒桁等であってもよいし、二階建て以上の構造の場合は、上下階の間に位置する胴差等の上面及び下面であってもよい。
本態様における「溝部」の数は、1条又は2条以上であってもよいが、数が多すぎると溝部周辺の強度が低下するおそれがあり、経年により木痩せした際にはその傾向が顕著になるので、第1連結部分及び第2連結部分を設ける木柱のサイズにもよるが1~5条程度の範囲内であることが好ましい。そして、「溝部」の数に応じて、「連結具」における板状の垂直面部の数も「溝部」の数に対応する数(例えば1~5)に設定することができるが、必ずしも「溝部」の数と「板状の垂直面部」の数が完全一致しなくてもよい。例えば、溝部の数は3条で垂直面部の数が1であったり、溝部の数は5条で垂直面部の数が2であったりしてもよい。
また、前述の壁面構造体は、溝部が、壁面構造体の厚み方向へ形成されていると共に所定の間隔を空けて配設された2条の平行な溝部分と、該溝部分において溝幅方向へ架設されていると共に連結具の垂直面部に形成された連結溝又は連結穴に対して係止可能な係止ピンと、を設けたものであってもよい。
本態様における壁面構造体は、第1連結部分又は第2連結部分の溝部に設けた溝部分に対し、壁面構造体の取付予定領域に配設された連結具の垂直面部を嵌入させ、その際に、同垂直面部に形成された連結溝又は連結穴に前述した係止ピンを係止させる。これにより、壁面構造体は、建物基体と連結されるか、又は、上下いずれかの方向に配設された他の壁面構造体と連結することができ、つまりは、前述の係止ピンによって係止する簡易な作業で、熟練工のみならず非熟練工であっても、建物へ壁面構造体を容易且つ精度良く取り付けることができる。
そして、本態様における壁面構造体は、溝部の溝部分が所定の間隔を空けて配設された2条且つ平行であることにより、連結具と壁面構造体との嵌合箇所が複数(2箇所)に分かれることになる。これにより、同壁面構造体は、嵌合箇所が単数の場合と比較して、地震や強風等の揺れによって加わる同箇所への応力が分散されると共に、木痩せや連結具の錆等の経年劣化が生じたとしても一度に破断や分離が起きにくいようになっており、施工後の安全性が更に向上したものとなっている。
なお、本態様における「連結具」としては、取付時において前述の係止ピンを係止可能な切欠又は溝が設けられた接続金具等が挙げられ、例えば、同接続金具は端面視でコの字形、I字形(板状)、L字形(山形)、逆T字形、H字形のものが挙げられる。また、連結具の取付対象箇所としては、例えば、建物基礎の上面、屋根部分の軒桁等であってもよいし、二階建て以上の構造の場合は、上下階の間に位置する胴差等の上面及び下面であってもよい。
また、前述の壁面構造体は、プレカット既製木柱の数が3本以上の奇数であってもよい。
本態様における壁面構造体は、プレカット既製木柱の数が偶数本である場合と比較して、第1連結部分及び第2連結部分を設けるための中間位置である木柱の位置が把握しやすいため壁面構造体の組立作業が容易である。更に、本態様における壁面構造体は、プレカット既製木柱の数が偶数である場合と比較して、第1連結部分及び第2連結部分の位置が幅方向の中間であることから建築時における取付作業が容易で、且つ、建築後に地震等で壁面に加わる壁面への応力がバランス良く分散される。
上記の目的を達成するために本発明の壁面構造体の連結構造は、壁面構造体の設置予定領域の上部及び下部に設けた連結具と、軸方向に長尺で略同じ長さの3本以上のプレカット既製木柱が連結部材を用いて幅方向に連結されていると共に、少なくとも幅方向の中間又は略中間に配設された木柱の一端近傍に設けられ、前記連結具を受け入れ可能な第1連結部分及び同木柱の他端近傍に設けられた同連結具を受け入れ可能な第2連結部分を有する構造である壁面構造体と、を備える。
本発明の壁面構造体の連結構造は、前述の壁面構造体を並設して壁面を構成することで、建物の内外を区画する所望の大きさの木造の壁面を形成することができ、そして、壁面構造体の構成材として木材を使用しているので、材料に起因する炭素貯蔵効果、及び、建材製造で生じるエネルギーの削減による省エネルギー効果を奏し、適用する建物にも炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加する。加えて、本発明の壁面構造体の連結構造は、前述の壁面構造体が第1連結部分及び第2連結部分を有する構造であることにより、建物基体等に対して個別の木柱を立設する従来の壁面構造と比較して、建物基体等に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮でき、作業効率が良い。
更に、本発明の壁面構造体の連結構造は、前述の壁面構造体により構成されていることにより、従来の壁面構造と比較して、壁面構成材(壁面構造体)が当初からまとまったパネル状の態様で運べることから運搬効率が良く、屋根部分の軒桁や胴差等に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮できて作業効率も良く、特に二階建ての場合に、不安定な階上部分での作業では作業効率の良さから作業員の安全性も向上する。
以上の通り、本発明の壁面構造体の連結構造は、運搬した個別の木柱を各々連続して立設する従来の壁面構造と比較して、壁面構造体が簡易な構造であると共にその運搬性及び施工性が向上しており、所望の大きさの木造の壁面を短時間で効率良く形成することができ、同建物に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができるものとなっている。なお、同壁面構造体の連結構造を適用する「建物」の種類は特に限定されず、例えば、木造、鉄骨造、コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造等であってもよい。
上記の目的を達成するために本発明の建物は、木造の壁面を有する二階建て以上の構造であって、少なくとも二階部分の側壁の全部又は一部を構成する壁面が、軸方向に長尺で略同じ長さの複数本のプレカット既製木柱が連結部材を用いて幅方向に連結されていると共に、少なくとも幅方向の中間又は略中間に配設された木柱の一端近傍に設けられ、連結具を受け入れ可能な第1連結部分及び同木柱の他端近傍に設けられた連結具を受け入れ可能な第2連結部分を有する構造である壁面構造体により構成されている。
本発明の建物は、前述の壁面構造体を並設して壁面を構成することで、建物の内外を区画する所望の大きさの木造の壁面を形成することができ、そして、壁面構造体の構成材として木材を使用しているので、材料に起因する炭素貯蔵効果、及び、建材製造で生じるエネルギーの削減による省エネルギー効果を奏し、建物にも炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加する。加えて、本発明の建物は、前述の壁面構造体が第1連結部分及び第2連結部分を有する構造であることにより、建物基体等に対して個別の木柱を立設する従来の壁面構造と比較して、建物基体等に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮でき、作業効率が良い。
更に、本発明の建物は、少なくとも二階以上の部分の側壁の全部又は一部を構成する壁面が、前述の壁面構造体により構成されていることにより、従来の壁面構造と比較して、壁面構成材(壁面構造体)が当初からまとまったパネル状の態様で運べることから運搬効率が良く、屋根部分の軒桁や胴差等に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮できて作業効率も良く、特に不安定な階上部分での作業では作業効率の良さから作業員の安全性も向上する。なお、一階部分の側壁の全部又は一部を構成する壁面については、従来の壁面構造で構成することを除外するものではないが、前述した本発明の壁面構造体で構成した方が作業効率等の観点から好ましい。
以上の通り、本発明の建物は、運搬した個別の木柱を各々連続して立設する従来の壁面構造と比較して、壁面構造体が簡易な構造であると共にその運搬性及び施工性が向上しており、所望の大きさの木造の壁面を短時間で効率良く形成することができ、同建物に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができるものとなっている。なお、同建物の種類は特に限定されず、例えば、木造、鉄骨造、コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造等であってもよい。
上記の目的を達成するために本発明の建物の建築方法は、軸方向に長尺で略同じ長さの複数本のプレカット既製木柱が連結部材を用いて幅方向に連結されていると共に、少なくとも幅方向の中間又は略中間に配設された木柱の一端近傍に設けられ、連結具を受け入れ可能な第1連結部分及び同木柱の他端近傍に設けられた連結具を受け入れ可能な第2連結部分を有する構造である壁面構造体を設ける第1工程と、該第1工程で設けた壁面構造体を使用して二階建て以上の建物を形成する第2工程と、を備える。
本発明の建物の建築方法は、第1工程を備えることにより、建物に前述した壁面構造体を設けることができる。そして、本発明の建物の建築方法は、第2工程を備えることにより、第1工程で設けた壁面構造体を使用して二階建て以上の建物を形成することができる。
本発明の建物の建築方法によれば、前述の壁面構造体を並設して壁面を構成し、内外を区画する所望の大きさの木造の壁面を形成した建物を建築することができる。そして、本発明の建物の建築方法によれば、壁面構造体の構成材として木材を使用しているので、材料に起因する炭素貯蔵効果、及び、建材製造で生じるエネルギーの削減による省エネルギー効果を奏する建物を建築することができる。
加えて、本発明の建物の建築方法によれば、同方法で建築する建物において、第1連結部分及び第2連結部分を有する構造である前述の壁面構造体で壁面を構成することにより、建物基体等に対して個別の木柱を立設する従来の壁面構造と比較して、建物基体等に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮でき、作業効率が良い。
特に、本発明の建物の建築方法によれば、同方法で建築する建物において二階以上の部分の側壁の全部又は一部を構成する際に、壁面が前述の壁面構造体により構成されていることにより、従来の壁面構造と比較して、壁面構成材(壁面構造体)が当初からまとまったパネル状の態様で運べることから運搬効率が良く、屋根部分の軒桁や胴差等に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮できて作業効率も良く、特に不安定な階上部分での作業では作業効率の良さから作業員の安全性も向上する。なお、一階部分の側壁の全部又は一部を構成する壁面についても前述の壁面構造体で構成した方が作業効率等の観点から好ましいが、従来の壁面構造で構成することを除外するものではない。
以上の通り、本発明の建物の建築方法は、運搬した個別の木柱を各々連続して立設する従来の壁面構造と比較して、壁面構造体が簡易な構造であると共にその運搬性及び施工性が向上しており、所望の大きさの木造の壁面を短時間で効率良く形成することができ、建築した建物に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができるものとなっている。なお、同建物の種類は特に限定されず、例えば、木造、鉄骨造、コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造等であってもよい。
本発明によれば、簡易な構造であると共に、従来の壁面構造と比較して運搬性及び施工性が向上しており、適用した建物に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができる壁面構造体、壁面構造体の連結構造、建物、及び、建物の建築方法を提供することができる。
図1~図10を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は、〔第1実施形態〕、〔第2実施形態〕〔変形例1〕、〔変形例2〕の順序により行う。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。
〔第1実施形態〕
(建物1)
図1に示す建物1は、本発明の実施の一形態(第1実施形態)である。建物1は、二階建て構造の建物であり、ガレージ或いは倉庫、店舗又は住居として使用可能なものである。建物1は、建物基礎2、一階側壁3、二階側壁4及び、屋根5を備えている。
なお、一階側壁3は、出入口30が設けられた正面部分を正面側壁部31として、正面側壁部31と対向方向を奥側壁部32、正面側壁部31の右に位置する右側壁部33、及び、正面側壁部31の左に位置する左側壁部34、と称して説明する。また、二階側壁4は、正面側壁部31の階上部分を正面側壁部41、正面側壁部41と対向方向を奥側壁部42、正面側壁部41の右に位置する右側壁部43、及び、正面側壁部41の左に位置する左側壁部44、と称して説明する。各部について、以下で詳述する。
(建物基礎2)
図1及び図3を参照する。建物基礎2は、基礎本体部21と接続部22を有する。基礎本体部21は、建物の床面及び各側壁下方となる位置を含んだ面積の平面視長方形であり、略平坦なコンクリート製である(いわゆるベタ基礎あるいは土間床基礎)。なお、「略平坦」の語は、完全に平坦な態様を含むと共に、概ね平坦な態様を含む意味で使用している。また、建物基礎2には、後述する配置の接続部22に沿うよう複数の鉄骨柱10が所定間隔で立設されている。
接続部22は、基礎本体部21上における一階側壁3(31、32、33、34)の立設予定位置(基礎本体部21の外縁。前述した「壁面構造体の取付予定領域」に相当)に配置され、本実施形態では、前述した連結具である第1連結金具61により構成されている(図3(a)、(b)参照)。第1連結金具61は、アングル部分610とアングル部分の隅に立設された一対の垂直部分611を有する(図3(a)~(d)参照)。
各垂直部分611は、基礎本体部21への設置状態において、下部及び背部となる箇所がアングル部分610の隅を挟んで内側面(内側の底上面及び垂直面)に固着されている。各垂直部分611は、その間に所定の間隔を空けて配設されている。そして、各垂直部分611は、使用時において上部及び先部(背部の反対側)となる箇所に、後述する係止ピン713を受ける態様で係止可能な切欠部分612が形成されている。切欠部分612は、前述した「連結具の垂直面部に形成された連結溝」に相当し、上方に開口した円弧状の受け部分を有する鉤形であり、背部側よりも先部側の上縁が低く設けられている(図3(a)~(d)参照)。
アングル部分610は、垂直面にボルト220が挿通可能な貫通穴613が設けられ、貫通穴613は各垂直部分611から所定間隔を空けて形成されている(図3(a)~(c)参照)。
本実施形態において、第1連結金具61は、貫通穴613が各垂直部分611の両側に形成され、各貫通穴613は後述する壁面構造体7の幅方向両側(木柱材70a、木柱材70d)の下端に対応する位置に設けられている。これにより、貫通穴613を通してコーチスクリュー221が螺着されると、壁面構造体7とアングル部分610が固定され、壁面構造体7に対して生じうる回転(捻れ)方向の応力に対する剛性が高まり、各側壁ひいては建物1の堅牢性が向上する。
本実施形態において、第1連結金具61は、アングル部分610が一階側壁3(31、32、33、34)の立設予定位置と略同じ長さに形成され、各垂直部分611が複数並設される壁面構造体7の第1連結部分710(又は第2連結部分711)と対応する箇所に間隔を空けて溶接等により固着されている態様である。アングル部分610が当該長さであることにより、壁面構造体7を複数並設する際にアングル部分610に沿わせて配置していけば、作業が容易でありながら、真っ直ぐな各側壁を精度良く迅速に設けることができる。また、本実施形態における第1連結金具61は、その形成(アングル部分610に対する各垂直部分611の固着、各貫通穴613の形成)が建築現場で行われるが、工場等で事前に加工したものを使用することもでき、この場合は現場での第1連結金具61の形成工程が不要となって作業効率が良い。
なお、アングル部分610は、前述の長さに限定するものではなく、例えば、アングル部分610の長さは壁面構造体7と略同じ長さであってもよいし、少なくとも鉄骨柱10の幅と略同じ長さのものであってもよい。アングル部分610の長さが壁面構造体7と略同じ長さである場合、少なくとも壁面構造体7に対して生じうる回転(捻れ)方向の応力に対する剛性が担保され、短尺であるため、第1連結金具61としての運搬性が向上し、保管の際も嵩張りにくい。アングル部分610の長さが鉄骨柱10の幅と略同じ長さのものである場合、第1連結金具61を鉄骨柱10に固着することで鉄骨柱10と壁面構造体7との連結は可能であり、短尺であるため、第1連結金具61としての運搬性が向上し、保管の際も嵩張りにくい。更に、他の長尺なアングル材と組み合わせて使用すれば、壁面構造体7に対して生じうる前述の応力に対する剛性が担保され、同アングル材に沿わせて壁面構造体7を配置することも可能である。
本実施形態において、第1連結金具61は、アングル部分610の垂直面が鉄骨柱10に溶接されると共にアングル部分610の水平面が基礎本体部21上に載置された態様で固着されることで、接続部22を構成している(図3(a)、(b)参照)が、当該態様に限定するものではなく、例えば、アングル部分610の垂直面の固着手段はボルト等の公知の固定手段であってもよいし、また、第1連結金具61の固着相手は建物1における他の躯体(壁や他の柱等)であってもよい。更にまた、第1連結金具61と基礎本体部21上面との間には、免震部材(減震部材、制震部材であってもよい)やシール部材、蟻等の侵入防止部材等を配設してもよい。
(一階側壁3、壁面構造体7)
図1~2を参照する。一階側壁3を構成する正面側壁部31、奥側壁部32、右側壁部33及び左側壁部34は、建物基礎2上に軸方向が上下となるように立設された複数の壁面構造体7により、主に構成されている。なお、後述する出入口30上側の垂れ壁や勝手口331上側の垂れ壁は、短尺な柱状部材(符号省略)の連結により形成したり、パネル部材により形成したりすることができる。
正面側壁部31には、出入口30が設けられており、本実施形態ではシャッターである。また、右側壁部33の正面側壁部31近傍には、勝手口331が設けられており、出入口30の開閉の手間をかけなくても利用者が出入りできるようになっている。
また、正面側壁部31、奥側壁部32及び右側壁部33は、その外面にサイディングボード(符号省略)が覆設され、各外面とサイディングボードの間には断熱材(図示省略)が挟まれている。更にまた、左側壁部34は、その外面にガルバリウム鋼板(登録商標、以下省略。符号省略)が覆設され、各外面とガルバリウム鋼板の間には断熱材(図示省略)が挟まれている。
なお、正面側壁部31、奥側壁部32、右側壁部33及び左側壁部34には、窓、換気口、他の出入り口等を設けてもよく、窓等の上下の壁となる箇所については短尺な柱状部材(符号省略)の連結により形成したり、パネル部材により形成したりすることができる。
本実施形態における壁面構造体7は、予め現場外(工場等)で製造されたものであり、軸方向に長尺で略同じ長さの5本以上のプレカット既製柱である木柱材70a~dと木柱材71が連結部材を用いて幅方向に連結されていると共に、幅方向の中間に配設された木柱材71の一端近傍に設けられた第1連結部分710及び第2連結部分711を有する構造である。
壁面構造体7を構成する木柱材70a~d及び71は、軸長が約300cm(図2(a)の符号L)で、端面の一辺が10.5cmの断面視正方形の標準的な角柱である。すなわち、5本の木柱材70a~d及び71を幅方向に連結した壁面構造体7は、設置時における高さ(軸長)が約300cmで、幅(図2(a)の符号W)が52.5~53cm程度である。
連結部材は、軸長が15cmのスクリューボルト72と、1液型シリコンエポキシ樹脂系接着剤(以下「接着剤」という)から成る。
まず、図2(a)で最も右に位置する木柱材70aの左面側に接着剤を塗布し、塗布面側に他の木柱材70bを接合し、木柱材70bの左面側からスクリューボルト72を螺挿する。次に、木柱材70bの左面側に接着剤を塗布し、塗布面側に他の木柱材71を接合し、木柱材71の左面側からスクリューボルト72を螺挿する。そして、木柱材71の左面側に接着剤を塗布し、塗布面側に他の木柱材70cを接合し、木柱材70cの左面側からスクリューボルト72を螺挿する。最後に、木柱材70cの左面側に接着剤を塗布し、塗布面側に他の木柱材70dを接合し、木柱材70dの左面側からスクリューボルト72を螺挿する。
このとき、スクリューボルト72の螺挿位置(上下方向)は、高さ方向に約80cmの間隔を空けて、隣接する木柱材毎に互い違いにずれるように設けている。スクリューボルト72は、隣接する木柱材において螺挿されたスクリューボルト72は、1本目の木柱材を貫通すると共に、その先部が2本目の木柱材の太さの半分程に至り、約5cmの幅を残して2本目の木柱材は未貫通となる。
壁面構造体7は、木柱材70a側の角(図2(b)の右上)に切欠部73が形成されている。切欠部73は、木材の収縮による生じる隙間の変更が見苦しくなるならないようにするものである。
このようにして成した壁面構造体7では、隣接する木柱材においてスクリューボルト72の螺挿位置が高さ方向に交互に異なり(非直線状)、これにより壁面構造体7における木柱材の連結力を高めている。
第1連結部分710及び第2連結部分711には、溝部が形成されており、同溝部は、第1連結部分710及び第2連結部分711において同じ構造である。このため、第1連結部分710の構造等についてのみ説明し、第2連結部分711についての説明は省略する。また、説明の便宜上、図面で第1連結部分と第2連結部分には異なる符号(710、711)を付しているが、第1連結部分と第2連結部分は同一構造であり、上下を入れ替えても問題無く使用することができる。
第1連結部分710は、溝部が、2条の平行な切欠部73と、溝部分712において溝幅方向へ架設されている係止ピン713を設けた構造である。
係止ピン713は、木柱材71を幅方向に貫通する長さであって、溝部分712内の高さ方向及び幅方向の略中央に位置し、溝部分712の形成方向と略直交すると共に壁面構造体7の長手方向と略一致する態様で設けられている(図2(c)、(d)参照)。なお、本実施形態において、係止ピン713は、金属製であるが、これに限定するものではなく、例えば、合成樹脂製等であってもよいが、大きな応力が加わる部分であるため、高剛性且つ劣化進行速度が遅い材料で形成されていることが好ましい。
溝部分712は、各々同じ形状であり、図2(c)に示す溝の入り口から底まで深さD1は約11cm、溝の底から係止ピンまでの深さD2は約5cm、溝の入り口から係止ピン713までの深さD3は約6cm、溝幅D4は約0.4cmに設定されている。これら各部が同寸法であることにより、溝部分712に第1連結金具61の垂直部分611(板厚が約0.33cm)が隙間無く丁度収まり、切欠部分612と係止ピン713が係合するので、壁面構造体7の連結構造が安定し強固なものとなる。
更に、本実施形態では、第1連結部分710と第1連結金具61を接続した後に、第1連結部分710の外面から係止ピン713の直上且つ係止ピン713の軸方向と交差する態様で固定ピン222が打ち込まれている(図3(b)参照)。これにより、地震等で垂直方向からの衝撃を受けても建物基礎と壁面構造体7が分離しにくくなり、壁面構造体7の連結構造を更に安定的且つ強固なものとしている。
なお、本実施形態において「溝の入り口から底まで深さ」、「溝の底から係止ピンまでの深さ」、「溝の入り口から係止ピンまでの深さ」、「溝幅」については前述の通りであるが、壁面構造体を構成する木柱材の太さに応じて使用する連結具(連結金具)のサイズや形状も変更される場合があり、この場合に連結具のサイズ等に応じて各部の設定数値が変更することを除外するものではない。
また、本実施形態において、第1連結金具61と第1連結部分710の間には、シール部材、蟻等の侵入防止部材等を配設したものであってもよい。
(一階側壁3と二階側壁4、壁面構造体7)
図1及び図4を参照して、二階側壁4及び建物1の一階と二階の間における壁面構造体7の連結構造を説明する。二階側壁4を構成する正面側壁部41、奥側壁部42、右側壁部43及び左側壁部44は、各々対応する一階側壁3の各側壁部の上に、軸方向が上下となるように立設された複数の壁面構造体7により、主に構成されている。なお、二階側壁4に適用された壁面構造体7は、前述した建物1の一階側壁3に適用されたものと同一であるため、構造の説明は省略する。
正面側壁部41及び奥側壁部42の各々には、窓45が設けられている(図1参照)。なお、窓45上下側の垂れ壁は、短尺な柱状部材(符号省略)の連結により形成したり、パネル部材により形成したりすることができる。
また、正面側壁部41、奥側壁部42及び右側壁部43は、その外面にサイディングボード(符号省略)が覆設され、各外面とサイディングボードの間には断熱材(図示省略)が挟まれている。更にまた、左側壁部44は、その外面にガルバリウム鋼板(符号省略)が覆設され、各外面とガルバリウム鋼板の間には断熱材(図示省略)が挟まれている。
建物1の一階と二階の間における壁面構造体7の連結は、階下に位置する壁面構造体7の上端に設けた第2連結部分711と、階上に位置する壁面構造体7の下端に設けた第1連結部分710との間に配置された連結具である第2連結金具62により成されている(図4(a)、(b)参照)。
第2連結金具62は、背面板620と、背面板620の同一面に並設された一対の垂直部分621を有する(図4(a)~(d)参照)。各垂直部分621は、その長手方向が背面板620の長手方向と直交するように固着されている。
背面板620は、ボルト220が挿通可能な貫通穴624が設けられており、貫通穴624は各垂直部分621の略中間に位置し、使用状態で上下方向となる箇所に2つ形成されている(図4(b)~(c)参照)。
第2連結金具62は、貫通穴624にボルト220に挿通し、建物1の躯体(本実施形態では鉄骨柱10)に固着されている。第2連結金具62は、貫通穴624にボルト220に挿通し、ボルト220の軸部分が鉄骨柱10に螺着されることで、同螺着部分を以て一階部分の壁面構造体7の上部及び二階部分の壁面構造体7の下部と、鉄骨柱10の固定構造を成している(図4(a)、(b)参照)。
各垂直部分621は、鉄骨柱10への設置状態において、背部となる箇所が背面板620に固着されている。各垂直部分621は、その間に所定の間隔を空けて設けられ、各々が背面板620の両端からも所定の幅をおいて配設されている。そして、各垂直部分621は、使用時において上部及び先部(背部の反対側)となる箇所に、係止ピン713を受ける態様で係止可能な第1切欠部分622及び第2切欠部分623が形成されている。第1切欠部分622及び第2切欠部分623は、前述した「連結具の垂直面部に形成された連結溝」に相当する。
第1切欠部分622は、上方に開口した円弧状の受け部分を有する鉤形であり、背部側よりも先部側の上縁が低く設けられている(図4(a)~(d)参照)。
第2切欠部分623は、垂直部分621の使用時において先部となる端縁から背面板620方向へ所定幅を以て切り欠かれ、背面板620方向への切り欠き端部から使用時において下となる方向に形成された円弧状の受け部分が形成された鉤形に設けられている(図4(a)~(d)参照)。第2切欠部分623において係止ピン713を導入する部分(切り欠き)の幅は、係止ピン713の直径よりもやや幅広に設定されている。
本実施形態では、階下に位置する壁面構造体7の上端に設けた第2連結部分711と、階上に位置する壁面構造体7の下端に設けた第1連結部分710が重なるように配置し、第2連結金具62を以て上下の壁面構造体7を連結する。
第2連結金具62は、第1切欠部分622に第2連結部分711の係止ピン713を係止させ、第2切欠部分623に第1連結部分710の係止ピン713を係止させて取り付ける。そして、第2連結部分711及び第1連結部分710と、第2連結金具62を接続した後に、第2連結部分711及び第1連結部分710の外面から係止ピン713の直上且つ係止ピン713の軸方向と交差する態様で固定ピン222が打ち込まれている(図4(b)参照)。これにより、地震等で垂直方向からの衝撃を受けても上下に位置する(換言すると、一階部分と二階部分を構成する)壁面構造体7が分離しにくくなり、壁面構造体7の連結構造を更に安定的且つ強固なものとしている。
(二階側壁4、壁面構造体7)
図1及び図5を参照して、二階側壁4の屋根5側における壁面構造体7の連結構造を説明する。なお、二階側壁4の構成は既述の通りであるため説明を省略し、壁面構造体7についても既述の通りであるため構造の説明は省略する。
建物1の二階側壁4の屋根5側における壁面構造体7の連結は、壁面構造体7の上端に設けた第2連結部分711と、鉄骨柱10上部に配置された連結具である第3連結金具63により成されている(図5(a)、(b)参照)。
第3連結金具63は、背面板630と、背面板630の同一面に並設された一対の垂直部分631を有する(図5(a)~(d)参照)。各垂直部分631は、その長手方向が背面板630の長手方向と直交するように固着されている。
背面板630は、ボルト220が挿通可能な貫通穴633が設けられており、貫通穴633は各垂直部分631の略中間に位置し、使用状態で上下方向となる箇所に2つ形成されている(図5(a)~(c)参照)。第3連結金具63は、貫通穴633にボルト220に挿通し、建物1の躯体(本実施形態では鉄骨柱10)に固着されている。第3連結金具63は、貫通穴633にボルト220に挿通し、ボルト220の軸部分が鉄骨柱10に螺着されることで、同螺着部分を以て二階部分の壁面構造体7の上部と鉄骨柱10の固定構造を成している(図5(a)、(b)参照)。
各垂直部分631は、鉄骨柱10への設置状態において、背部となる箇所が背面板630に固着されている。各垂直部分631は、その間に所定の間隔を空けて設けられ、各々が背面板630の両端からも所定の幅をおいて配設されている。そして、各垂直部分631は、使用時において先部(背部の反対側)となる箇所に、係止ピン713を受ける態様で係止可能な切欠部分632が形成されている。切欠部分632は、前述した「連結具の垂直面部に形成された連結溝」に相当する。
切欠部分632は、垂直部分631の使用時において先部となる端縁から背面板620方向へ所定幅を以て切り欠かれ、背面板630方向への切り欠き端部から使用時において下となる方向に形成された円弧状の受け部分が形成された鉤形に設けられている(図5(a)~(d)参照)。切欠部分632において係止ピン713を導入する部分(切り欠き)の幅は、係止ピン713の直径よりもやや幅広に設定されている。
本実施形態では、二階に位置する壁面構造体7の上端に設けた第2連結部分711と鉄骨柱10の上部が、第3連結金具63を以て連結される。
第3連結金具63は、切欠部分632に第2連結部分711の係止ピン713を係止させて取り付ける。そして、第2連結部分711と第3連結金具63を接続した後に、第2連結部分711の外面から係止ピン713の直上且つ係止ピン713の軸方向と交差する態様で固定ピン222が打ち込まれている(図5(b)参照)。これにより、地震等で垂直方向からの衝撃を受けても、鉄骨柱10と壁面構造体7が分離しにくくなり、壁面構造体7の連結構造を更に安定的且つ強固なものとしている。
(屋根5)
屋根5は、右側壁部43の上端近傍と左側壁部44の上端近傍の間に横設された複数の木製の軸状部材により構成されている。なお、右側壁部43の上端位置(高さ)と左側壁部44の上端位置(高さ)は相違しており、屋根5は、右側壁部43方向からと左側壁部44方向に下り傾斜する、片流れ形状の屋根となっている。
そして、屋根5は、隣接した軸状部材と軸状部材とが、連結構造部により連結されて一体化している。なお、連結構造部については、壁面構造体7と同様(スクリューボルト及び接着剤を使用し、スクリューボルトが互い違いに螺挿されている)であるため、説明を省略する。屋根5は、その外面(上面側)に、ガルバリウム鋼板が覆設され、各外面とガルバリウム鋼板の間には断熱材(符号省略)が挟まれている。
〔第1実施形態の建物の建築方法〕
第1実施形態の建物1の建築方法について説明する。同建築方法は、第1工程及び第2工程を備える。なお、第2工程は、本実施形態においては、建物基礎2を形成する第1ステップ、壁面構造体7及び第1連結金具61を用いて一階側壁3を形成する第2ステップ、壁面構造体7及び第2連結金具62と第3連結金具63を用いて二階側壁4を形成する第3ステップ、屋根5を形成する第4ステップ、を含む。
本建物の建築方法は、第1工程を備えることにより、前述した壁面構造体7を設けることができ、そして、第2工程を備えることにより、第1工程で設けた壁面構造体7を使用して建物1を建築することができる。
なお、本建物の建築方法において、壁面構造体7は、クレーン等を用いて吊り下げ、所定の場所へ運搬し固定する方法を採用することが好適である(特に2階部分へ運搬され、前述の第1工程の第3ステップにおいて好適である)。壁面構造体7の運搬は、例えばワイヤー、布ベルト等による公知の玉掛(吊り下げ)で行われ、壁面構造体7の荷上移動の際にはビス、ボルト又は吊下金物等を使用してもよく、これにより、本建物の建築方法は落下対策を十分な考慮したものとなっている。
(作 用)
建物1は、正面側壁部31に設けた出入口30を主たる出入口とする屋根付きの建物であり、車庫や物置等のスペースとして好適に使用することができる。右側壁部33の正面側壁部31近傍には、勝手口331が設けられており、出入口30の開閉の手間をかけなくても利用者が出入りできるようになっている。
そして、建物1は、壁面構造体7を並設することで、建物等の内外を区画する所望の大きさの木造の壁面を形成している。壁面構造体7は、構成材として木材を使用しているので、材料に起因する炭素貯蔵効果を奏し、壁面構造体7を適用した建物1にも炭素貯蔵効果を付加する。そして、構成材として木材を使用する壁面構造体7は、金属や石質材料を構成材とするものと比較して、製造や加工で生じるエネルギー及び二酸化炭素の削減による省エネルギー等効果を奏し、壁面構造体7を適用した建物1にも省エネルギー等効果を付加する。
壁面構造体7は、所定幅のパネル状に予め設けられたものであることにより、従来の壁面構造と比較して、設置場所まで運搬しやすく(運搬効率が良く)、且つ、現場での組立工程が減少するので作業時間を短縮できる。更に、壁面構造体7は、第1連結部分710及び第2連結部分711を有する構造であることにより、建物基体等に対して個別の木柱を立設する従来の壁面構造と比較して、建物基体等に対する連結箇所が少ないことから作業時間を短縮でき、作業効率が良い。
壁面構造体7は、これを構成する木柱が5本で幅方向中間に位置する木柱材71のみに第1連結部分710及び第2連結部分711を設けることにより、壁面構造体7の組立作業が容易である。更に、第1連結部分710及び第2連結部分711の位置が壁面構造体7の幅方向の中間であることから、建築時における取付作業がしやすく、且つ、建築後に地震等で壁面に加わる壁面への応力がバランス良く分散される。
また、並設した隣同士の壁面構造体7は、連結部材74により連結されている。本実施形態において、連結部材74としてビスを使用しており、壁面構造体7の上下部分と中間部分の3箇所に配設されている。そして、連結部材74の各配設箇所ではビスが2本一セットで使用され、連結部材74は隣接する壁面構造体7の一方から他方へ各々螺挿され、一の壁面構造体7と他の壁面構造体7が当接する端面近傍において、断面視で各ビスの軸が交差するようにしてある。当該構成の連結部材74によれば、建築時における取付作業がしやすく、且つ、建築後に地震等で壁面に加わる壁面への応力がバランス良く分散され、並設した隣同士の壁面構造体7が互いに分離しにくい構造になっている。
壁面構造体7は、一階側壁3の構築にあたり、第1連結部分710に設けた溝部分712に基礎本体部21に設けた第1連結金具61の各垂直部分611を嵌入させ、各切欠部分612に係止ピン713を係止させることで、基礎本体部21と連結される。
また、二階側壁4の構築にあたり、二階部分に配設する壁面構造体7は、第2連結金具62を介して一階部分に配設した壁面構造体7と連結される。より詳しくは、一階部分に配設した壁面構造体7の第2連結部分720に設けた溝部分712に第2連結金具62の各垂直部分621下部を嵌入させ、各第2切欠部分623に係止ピン713を係止させ、且つ、二階部分に配設した壁面構造体7の第1連結部分710に設けた溝部分712に第2連結金具62の各垂直部分621上部を嵌入させ、各第1切欠部分622に係止ピン713を係止させる。
更に、二階部分に配設する壁面構造体7は、第3連結金具63を介して屋根5側に連結される。
より詳しくは、二階部分に配設する壁面構造体7の第1連結部分710に設けた溝部分712に、第3連結金具63の各垂直部分631を嵌入させ、各切欠部分632に係止ピン713を係止させる。
つまり、壁面構造体7の設置作業は、係止ピン713によって係止する簡易なものであるので、熟練工のみならず非熟練工であっても、壁面構造体7を容易且つ精度良く取り付けて建物1の壁面を構成することができる。
そして、壁面構造体7は、溝部の溝部分712が所定の間隔を空けて配設された2条且つ平行であることにより、各連結金具(61、62、63)と壁面構造体7との嵌合箇所が複数(2箇所)に分かれることになる。これにより、壁面構造体7は、嵌合箇所が単数の場合と比較して、地震や強風等の揺れによって加わる同箇所への応力が分散されると共に、木痩せや連結金具の錆等の経年劣化が生じたとしても一度に破断や分離が起きにくいようになっており、施工後の安全性が更に向上している。
以上の通り、壁面構造体7は、運搬した個別の木柱を各々連続して立設する従来の壁面構造と比較して、簡易な構造であると共に運搬性及び施工性が向上しており、所望の大きさの木造の壁面を短時間で効率良く形成することができ、壁面構造体7を壁面として適用した建物1に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができる。
〔第2実施形態〕
(壁面構造体7a)
図7に示す壁面構造体7aは、壁面構造体7の他の実施形態(第2実施形態)であり、壁面構造体7と同様に二階建ての建物1の構成部材となる。なお、壁面構造体7aが適用される建物において、建物基礎の構造は接続部を除いて建物1と概ね同様であるため、共通箇所の構造及び作用効果の説明を省略し、相違点について説明する。
壁面構造体7aは、予め現場外(工場等)で製造されたものであり、軸方向に長尺で略同じ長さの5本以上のプレカット既製柱である木柱材70a~dと木柱材71aが連結部材を用いて幅方向に連結されていると共に、幅方向の中間に配設された木柱材71aの一端近傍に設けられた第1連結部分710a及び第2連結部分711aを有する構造である。
壁面構造体7aを構成する木柱材70a~d及び71aは、その軸長及び端面の一辺の寸法が壁面構造体7と同じ角柱であり、5本の木柱材70a~d及び71aを幅方向に連結した壁面構造体7aの設置時における高さ及び幅も壁面構造体7と同じであるため、説明を省略する。また、壁面構造体7aの連結部材及びこれを使用した5本の木柱材70a~d及び71aの連結方法は、壁面構造体7と同じであるため、説明を省略する。なお、壁面構造体7aにも壁面構造体7の切欠部73が形成されているが、構造及び作用効果が同様であるため、説明を省略する。
壁面構造体7aにおける第1連結部分710a及び第2連結部分711aは、ボルト穴750及び座ぐり751で構成されたものであり、第1連結部分710a及び第2連結部分711aにおいて同じ構造である(図7(a)、(b)参照)。このため、第1連結部分710aの構造等についてのみ説明し、第2連結部分711aについての説明は省略する。また、説明の便宜上、図面で第1連結部分と第2連結部分には異なる符号(710a、711a)を付しているが、第1連結部分と第2連結部分は同一構造であり、上下を入れ替えても問題無く使用することができる。
ボルト穴750は、壁面構造体7aにおける表面から裏面方向に木柱材71aを貫通して形成されている(図7(b)参照)。座ぐり751は木柱材71aの一面側にのみ形成され、本実施形態では円形有底凹部であって、底部略中央にボルト穴750の一端が開口している。そして、第1連結部分710及び第2連結部分711において、各座ぐり751は同一面に形成されている(図7(a)、(b)参照)。
本実施形態において、ボルト穴750は穴径が1.3cm、座ぐり751は穴径が6cmであるが、これに限定するものではなく、例えば、後述する第1連結部分710aに使用されるボルト、座金、ナットの寸法に合わせて穴径や座ぐりの深さを適宜変更することができる。また、本実施形態において、座ぐり751は円形有底凹部であるが、これに限定するものではなく、例えば、四角等の角形有底凹部であってもよい。
(建物基礎)
建物基礎は、基礎本体部と接続部を有する。なお、基礎本体部については、第1実施形態の基礎本体部21とほぼ同様であるため、その構成及び作用効果の説明を省略する。接続部は、基礎本体部上における図1で示した一階側壁3(31、32、33、34)の立設予定位置(基礎本体部21の外縁)に配置され、本実施形態では第1連結金具61aにより構成されている(図8(a)、図9(a)参照)。
(第1連結金具61a)
第1連結金具61aは、Lアングル形状で、水平部614及び水平部614から立ち上がる垂直部分615を有する。垂直部分615には板厚方向に貫通し、ボルト220が挿通可能な貫通穴616が設けられており(図8(a)、図9(a)参照)、換言すると「連結具の垂直面部に形成された連結穴」といえる。また、貫通穴616は、垂直部分615の長手方向へ間隔を空けて複数設けられている(図8(a)参照)。
本実施形態において、第1連結金具61aは、一階側壁3の各々(正面側壁部31、奥側壁部32、右側壁部33、左側壁部34)と略同じ長さに形成され、各側壁部の立設予定位置に設置される。
第1連結金具61aは、その水平部614上面に壁面構造体7a下端面が当接するように載置され、その垂直部分615の内側側面に壁面構造体7a下端近傍の側面を沿わせて当接するように取り付けられる。なお、壁面構造体7aにおいて第1連結金具61aの垂直部分615と当接する面は、座ぐり751が形成された面の反対方向となる面である(図9(a)参照)。
そして、第1連結金具61aは、その貫通穴616と、壁面構造体7aのボルト穴750とが連通するように位置を合わせ、貫通穴616側からボルト穴750へボルト220を嵌挿し、壁面構造体7aの座ぐり751内に配置した座金223に挿通させた後に、ボルト220先部をナット224に螺着させる(図9(a)参照)。このとき、座ぐり751内に座金223及びナット224が収まる態様となるため、見た目が良い。ボルト220とナット224の締結後、ボルト220を垂直部分615に溶接してボルト220頭部を切断し、垂直部分615と鉄骨柱等の建物躯体とを溶接等の手段で固着する。
同様の方法で、他の壁面構造体7aを複数並設することにより、一階側壁3の各々を構築する。第1連結金具61aは、当該長さであることにより、壁面構造体7aを複数並設する際に第1連結金具61aに沿わせて配置していけば、作業が容易でありながら、真っ直ぐな各側壁を精度良く迅速に設けることができる。
なお、第1連結金具61aは、前述の長さに限定するものではなく、例えば、第1連結金具61aの長さは壁面構造体7aと略同じ長さであってもよい。第1連結金具61aの長さが壁面構造体7aと略同じ長さである場合、少なくとも壁面構造体7aに対して生じうる回転(捻れ)方向の応力に対する剛性が担保され、短尺であるため、第1連結金具61aとしての運搬性が向上し、保管の際も嵩張りにくい。更に、他の長尺なアングル材と組み合わせて使用すれば、壁面構造体7aに対して生じうる前述の応力に対する剛性が担保され、同アングル材に沿わせて壁面構造体7aを配置することも可能である。
本実施形態において、第1連結金具61aは、垂直部分615が鉄骨柱に溶接されると共に水平部614が基礎本体部上に載置された態様で固着されることで、接続部を構成している(図9(a)参照)が、当該態様に限定するものではなく、例えば、鉄骨柱に対する垂直部分615の固着手段はボルト等の公知の固定手段であってもよいし、また、第1連結金具61aの固着相手は建物1における他の躯体(壁や他の柱等)であってもよい。更にまた、第1連結金具61aと基礎本体部上面との間には、免震部材(減震部材、制震部材であってもよい)やシール部材、蟻等の侵入防止部材等を配設してもよい。なお、座金223とナット224は別部材であるが、座金付きナットを使用してもよい。
(第2連結金具62a)
第2連結金具62aは、第1背面板625と、第2背面板626と、中間水平板627を有する。第1背面板625と第2背面板626は背面において鉛直方向へ面一に設けられている。中間水平板627は、第1背面板625と第2背面板626の中間位置において、第1背面板625と第2背面板626の軸線方向と直交するように設けられている(図8(b)、図9(b)参照)。
第1背面板625と第2背面板626には、板厚方向に貫通し、ボルト220が挿通可能な貫通穴628が設けられており(図8(b)、図9(b)参照)、換言すると「連結具の垂直面部に形成された連結穴」といえる。また、貫通穴628は、第1背面板625と第2背面板626の長手方向へ間隔を空けて複数設けられている(図8(b)参照)。
第2連結金具62aは、中間水平板627を挟んで第1背面板625と第2背面板626が対称な構造であるため、第1背面板625と第2背面板626のいずれを上下にしても使用可能である。
本実施形態において、第2連結金具62aは、一階側壁3の各々(正面側壁部31、奥側壁部32、右側壁部33、左側壁部34)と略同じ長さに形成され、一階側壁3の各々(正面側壁部31、奥側壁部32、右側壁部33、左側壁部34)と二階側壁4の各々(正面側壁部41、奥側壁部42、右側壁部43、左側壁部44)の間に設置される。
第2連結金具62aは、中間水平板627下面に一階側壁を構成する壁面構造体7a上端面が当接するように載置され、第2背面板626の内側側面に一階側壁を構成する壁面構造体7a上端近傍の側面を沿わせて当接するように取り付けられる。そして、第2連結金具62aは、中間水平板627上面に二階側壁を構成する壁面構造体7a下端面が当接するように載置され、第1背面板625の内側側面に二階側壁を構成する壁面構造体7a下端近傍の側面を沿わせて当接するように取り付けられる。このとき、第2連結金具62aは、中間水平板627が一階側壁を構成する壁面構造体7a上端面と二階側壁を構成する壁面構造体7a下端面の間に挟まった状態となる。
なお、一階側壁及び二階側壁を構成する壁面構造体7aにおいて、第2連結金具62aの第1背面板625及び第2背面板626と当接する面は、座ぐり751が形成された面の反対方向となる面である(図9(b)参照)。
そして、第2連結金具62aは、第2背面板626の貫通穴628と、一階側壁を構成する壁面構造体7aのボルト穴750とが連通するように位置を合わせ、貫通穴628側からボルト穴750へボルト220を嵌挿し、壁面構造体7aの座ぐり751内に配置した座金223に挿通させた後に、ボルト220先部をナット224に螺着させる(図9(b)参照)。
更に、第2連結金具62aは、第1背面板625の貫通穴628と、二階側壁を構成する壁面構造体7aのボルト穴750とが連通するように位置を合わせ、貫通穴628側からボルト穴750へボルト220を嵌挿し、壁面構造体7aの座ぐり751内に配置した座金223に挿通させた後に、ボルト220先部をナット224に螺着させる(図9(b)参照)。
このとき、座ぐり751内に座金223及びナット224が収まる態様となるため、見た目が良い。ボルト220とナット224の締結後、ボルト220を垂直部分635に溶接してボルト220頭部を切断し、垂直部分635と鉄骨柱等の建物躯体とを溶接等の手段で固着する。
同様の方法で、一階部分及び二階部分において、他の壁面構造体7aを複数並設することにより、一階側壁3と二階側壁4の各々を構築する。第2連結金具62aは、当該長さであることにより、壁面構造体7aを複数並設する際に第2連結金具62aに沿わせて配置していけば、作業が容易でありながら、真っ直ぐな各側壁を精度良く迅速に設けることができる。
なお、第2連結金具62aについても、第1連結金具61aと同様に、前述の長さに限定するものではなく、例えば、第2連結金具62aの長さは壁面構造体7aと略同じ長さであってもよい。また、第2連結金具62aについても、第1連結金具61aと同様に、鉄骨柱に対する垂直部分635の固着手段はボルト等であってもよいし、第2連結金具62aの固着相手が建物1における他の躯体であってもよいし、第2連結金具62aの固着相手との間にシール部材等を配設してもよい。
(第3連結金具63a)
第3連結金具63aは、Lアングル形状で、水平部634及び水平部634から垂下する垂直部分635を有する。垂直部分635には板厚方向に貫通し、ボルト220が挿通可能な貫通穴636が設けられており(図8(c)、図9(c)参照)、換言すると「連結具の垂直面部に形成された連結穴」といえる。また、貫通穴636は、垂直部分635の長手方向へ間隔を空けて複数設けられている(図8(c)参照)、
本実施形態において、第3連結金具63aは、二階側壁4の各々(正面側壁部41、奥側壁部42、右側壁部43、左側壁部44)と略同じ長さに形成され、二階側壁として配設する壁面構造体7aの上端面の取付予定位置に設置される。
第3連結金具63aは、その水平部634下面に壁面構造体7a上端面が当接するように載置され、その垂直部分635の内側側面に壁面構造体7a上端近傍の側面を沿わせて当接するように取り付けられる。なお、壁面構造体7aにおいて第3連結金具63aの垂直部分635と当接する面は、座ぐり751が形成された面の反対方向となる面である(図9(c)参照)。
そして、第3連結金具63aは、その貫通穴636と、壁面構造体7aのボルト穴750とが連通するように位置を合わせ、貫通穴636側からボルト穴750へボルト220を嵌挿し、壁面構造体7aの座ぐり751内に配置した座金223に挿通させた後に、ボルト220先部をナット224に螺着させる(図9(c)参照)。このとき、座ぐり751内に座金223及びナット224が収まる態様となるため、見た目が良い。ボルト220とナット224の締結後、ボルト220を垂直部分635に溶接してボルト220頭部を切断し、垂直部分635と鉄骨柱等の建物躯体とを溶接等の手段で固着する。
同様の方法で、他の壁面構造体7aを複数並設することにより、二階側壁4の各々を構築する。第3連結金具63aは、当該長さであることにより、壁面構造体7aを複数並設する際に第3連結金具63aに沿わせて配置していけば、作業が容易でありながら、真っ直ぐな各側壁を精度良く迅速に設けることができる。
なお、第3連結金具63aについても、第1連結金具61aと同様に、前述の長さに限定するものではなく、例えば、第3連結金具63aの長さは壁面構造体7aと略同じ長さであってもよい。また、第3連結金具63aについても、第1連結金具61aと同様に、鉄骨柱に対する垂直部分635の固着手段はボルト等であってもよいし、第3連結金具63aの固着相手が建物1における他の躯体であってもよいし、第3連結金具63aの固着相手との間にシール部材等を配設してもよい。
第1連結金具61a及び第3連結金具63aは、一般的なL字アングルで構成可能であり、調達容易な部材であることから材料費を低減できると共に、施工容易であるため作業者の調達が容易で、人件費削減も図ることができる。この結果、施工コストの更なる低減化を図ることができる。
第1連結金具61a、第2連結金具62a及び第3連結金具63aは、一階側壁3又は二階側壁4の形成方向と、第1連結金具61a等の垂直な部分(垂直部分615、第1背面板625、第2背面板626、垂直部分635)が略一致するように沿わせて配置する固定作業を、非熟練工であっても容易に行うことができる。
壁面構造体7aについても、壁面構造体7と同様、これを並設することで、建物1の内外を区画する所望の大きさの木造の壁面を形成することができ、壁面構造体7aを適用した建物1にも炭素貯蔵効果を付加し且つ省エネルギー等効果を付加する。
壁面構造体7aについても、壁面構造体7と同様、従来の壁面構造と比較して、設置場所まで運搬しやすく(運搬効率が良く)、且つ、現場での組立工程が減少するので作業時間を短縮でき、第1連結部分710a及び第2連結部分711aを有することで建物基体等に対する連結箇所が少ないことから、作業時間を短縮できて作業効率が良い。
壁面構造体7aについても、壁面構造体7と同様、幅方向中間に位置する木柱材71aのみに第1連結部分710a及び第2連結部分711aを設けることにより、壁面構造体7aの組立作業が容易である。また、壁面構造体7aは、第1連結部分710a及び第2連結部分711aがボルト穴750及び座ぐり751から成る簡易な構成であり、壁面構造体7における第1連結部分710及び第2連結部分711よりも加工が容易である。更に、第1連結部分710a及び第2連結部分711aの位置が壁面構造体7aの幅方向の中間であることから、建築時における取付作業がしやすく、且つ、建築後に地震等で壁面に加わる壁面への応力がバランス良く分散される。
なお、図示は省略するが、壁面構造体7aについても、壁面構造体7と同様、並設した隣同士の壁面構造体7aが連結部材74により連結されており、建築時における取付作業がしやすく、且つ、建築後に地震等で壁面に加わる壁面への応力がバランス良く分散され、並設した隣同士の壁面構造体7aが互いに分離しにくい構造になっている。
つまり、壁面構造体7aの設置作業は、第1連結金具61a等の垂直な部分に沿わせて壁面構造体7aを配置し、ボルト220等固定する簡易なものであるので、熟練工のみならず非熟練工であっても、壁面構造体7aを容易且つ精度良く取り付けて建物1の壁面を構成することができる。
以上の通り、壁面構造体7aも、運搬した個別の木柱を各々連続して立設する従来の壁面構造と比較して、簡易な構造であると共に運搬性及び施工性が向上しており、所望の大きさの木造の壁面を短時間で効率良く形成することができ、壁面構造体7aを壁面として適用した建物1に炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を付加することができる。
〔変形例1〕
図10(a)に示す壁面構造体7bは、壁面構造体7及び壁面構造体7aの変形例(変形例1)である。壁面構造体7及び壁面構造体7aは、5本の木柱材70a~70dと木柱材71により構成されており、「幅方向の中間」に配設された木柱材71に第1連結部分710及び第2連結部分720が設けた態様であるが、壁面構造体7bは第1連結部分710及び第2連結部分720が「幅方向の略中間」の木柱材に配設された態様を示している。
壁面構造体7bは、偶数本(6本)の木柱材70a~70dと木柱材71・71により構成されており、木柱材71・71は図10(a)における右から3本目と4本目に配置されて「幅方向の略中間」に位置する。そして、木柱材71・71の端部に第1連結部分710及び第2連結部分720が設けられている。
このような配置の木柱材に第1連結部分710及び第2連結部分720を設けることにより、壁面構造体7b及び7cの組立作業が容易であり、更に、第1連結部分710及び第2連結部分720の位置が壁面構造体7b及び7cの幅方向の略中間であることから、建築時における取付作業がしやすく、且つ、建築後に地震等で壁面に加わる壁面への応力がバランス良く分散される。
〔変形例2〕
図10(b)に示す壁面構造体7cは、壁面構造体7bの変形例(変形例2)である。壁面構造体7cは、偶数本(8本)の木柱材70a~70fと木柱材71・71により構成されており、木柱材71・71は図10(b)における右から3本目と6本目に配置されて、木柱材71・71の端部に第1連結部分710及び第2連結部分720が設けられている。木柱材71・71は、その間に木柱材70e及び木柱材70fを挟んでいるが「幅方向の略中間」に位置するものである。
このような配置の木柱材に第1連結部分710及び第2連結部分720を設けることにより、壁面構造体7cの組立作業が容易であり、更に、第1連結部分710及び第2連結部分720の位置が壁面構造体7cの幅方向の略中間であることから、建築時における取付作業がしやすく、且つ、建築後に地震等で壁面に加わる壁面への応力がバランス良く分散される。
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二などの言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。