JP2024065077A - 米粉パン用品質改良剤、米粉パンの調製方法及び米粉パンの品質改善方法 - Google Patents

米粉パン用品質改良剤、米粉パンの調製方法及び米粉パンの品質改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】米粉パン用品質改良剤、米粉パンの調製方法及び米粉パンの品質改良方法 に関し、焼成前の整形性と最終発酵及び焼成時の膨張性を向上する方法を提供する。【解決手段】メチルセルロース及びサイリウムシードガムを含有する米粉パン用品質改良剤を使用して米粉パンを調製する。【選択図】なし

Description

本願発明は、米粉パン用品質改良剤、米粉パンの調製方法及び米粉パンの品質改善方法に関する。
近年、小麦粉に含まれているグルテンによる食物アレルギー対策として、原料に米粉を利用した米粉パンが知られてきている。
グルテンはパンに弾性や柔軟性を付与する働きがあり、また、パンの膨張を助ける働きをすることが知られている。したがって、アレルギー対策にグルテンフリー食品として提供される米粉パンでは、グルテンを含まないこと及び澱粉含量が多いこと等に由来して、パンが膨らみにくい、弾力がなく表面が固くなりやすいという課題があった。
グルテンフリーの米粉パンにおけるこれらの課題を解決するために、様々な検討が行われている。
特許文献1では、グルテンを含まないためにくちどけが悪く食感が重いことを改善するためにサイリウムシードガム、イヌリン等の可溶性食物繊維を含む特定の製造方法が提案され、特許文献2では膨らみ、製パン性及び食感が悪いとの指摘を改善するためにパン生地に増粘多糖類としてアルギン酸エステル及びHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を添加することが提案されている。特許文献3では特定量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることでボリューム、保形性、ソフトな食感が得られる旨、提案されており、特許文献4では特定量のサイリウムシードガム及び大豆粉を添加することで、グルテンを含まない米粉パン用ミックス粉による膨らみ及び食感の改善が提案されている。また特許文献5では作業時の成形性を改善するために、米粉、セルロースエーテル(HPMC、MC、CMC)、ガム類(キサンタンガム、グァーガム、カラギナン、アルギン酸、ローカストビーンガム、アルギン酸プロピレングリコール及び寒天)及び油剤を含む米ドウ組成物が提案されている。
特許第7127225号公報 特開2021-177701号公報 特許第6942643号公報 特許第6304673号公報 特表2015-536151号公報
愛媛県産業技術研究所研究報告No.50 2112「油脂および澱粉が米粉パンの製パン性に及ぼす影響」
グルテンフリーの米粉パンを製造する際の課題を解決するため、上記従来技術で提示されたような様々な検討がなされているが、いずれも十分な解決には至っていないのが現状である。
本発明の目的は、生地の整形性及び膨張性が向上した米粉パンを提供することである。さらに詳細には、生地を混合混錬する際に、適度な粘度を有していることから生地がダレることなく一定の形状を維持したまま発酵工程に進めることができ、さらに最終発酵時にパンの厚み(高さ)が優位に増え、焼成後もその膨らみが維持される米粉パンを提供することを目的とする。
本願発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意検討を重ね、米粉パンの原料としてメチルセルロース及びサイリウムシードガムを利用することにより、本願発明の目的である米粉パンの生地の整形性及び膨張性に優れた米粉パンを得ることができるとの知見を得るに至った。
本願発明の構成は、次の通りである;
項1 メチルセルロース及びサイリウムシードガムを含有することを特徴とする、米粉パン用品質改良剤であって、当該米粉パンにおける米粉100質量部に対するメチルセルロースの含有量が0.05~2質量部、サイリウムシードガムの含有量が1~4質量部の範囲である米粉パン用品質改良剤。
項2 メチルセルロースとサイリウムシードガムとの配合比が、メチルセルロース1質量部に対し、サイリウムシードガム0.5~80質量部である、項1に記載の米粉パン用品質改良剤。
項3 メチルセルロース及びサイリウムシードガムを添加することを特徴とする、米粉パンの調製方法であって、米粉100質量部に対するメチルセルロースの添加量が0.05~2質量部、サイリウムシードガムの添加量が1~4質量部の範囲である、米粉パンの調製方法。
項4 メチルセルロース及びサイリウムシードガムを添加することを特徴とする、米粉パンの生地の整形性及び/又は膨張性の改善方法。
項5 メチルセルロースとサイリウムシードガムとの配合比が、メチルセルロース1質量部に対し、サイリウムシードガム0.5~80質量部である、項3又は4に記載の方法。
本願発明により、グルテンフリーの米粉パンの製造時における整形性を改善し製造効率の改善に寄与し、さらにはパンを調製する段階における膨張性を改善することができる。
これにより、製造時の整形性や保形性を改善して、ふっくらとした膨らみの良い米粉パンを提供できる。
さらには、本発明の好ましい実施形態によれば、グルテンフリーのみならず、アレルゲンとして知られている卵及び卵由来成分、乳及び乳由来成分を含まない、米粉パンを提供することができる。
試験4における実施例12、比較例7、8の米粉パンの断面写真を示す。 試験5における各種製品の写真を示す。
以下に本願発明を実施するための形態を説明する。本発明では、米粉パンの品質(例.整形性及び/又は膨張性)を向上する品質改良剤、該品質改良剤を添加する米粉パンの製造方法、さらには米粉パンの生地の整形性及び/又は膨張性の改善方法に関する。
<米粉パン>
本発明における米粉パンとは、米粉或いは米粉とその他の穀物粉から調製されるパン類であり、上記米粉を使用する点以外においては、従来パンの製造に利用されている油脂、糖類、食塩、調味料、粉乳、乳化剤、増粘剤、膨張剤、酵母、イーストフード等の原料を利用することができる。これらを水に加えて混合して得た生地を、発酵させて焼く、蒸す、揚げるといった加熱調理によって得ることができるパン類をいう。具体的には米粉パンと総称され、食パン、フランスパン、バターロール、菓子パン、ドーナツなどが例示できる。米粉に加え、米粉以外の穀物粉を用いる実施形態において、米粉の使用量としては、米粉及び米粉以外の穀物粉の合計量に対し、米粉を70質量%以上含むことが好ましく、99質量%以上含むことがさらに好ましい。
典型的な実施形態において、本発明では、グルテンを含まない、いわゆるグルテンフリーの米粉パンが対象となる。本発明においてグルテンフリーとは、本発明が属する食品分野において通常用いられる用語の意味として解釈され、例えば、グルテン含有量が最終食品である米粉パン中、20ppm以下、好ましくは10ppm以下であることを意味する。
<米粉>
米粉は、特に制限されるものではないが、粳米の生米を精米し粉砕、粉末化したもので、粉砕する前の生米としては、精白米、玄米、屑米、古米などが例示できる。
前記米粉の製粉方法は、従来利用されている胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉、高速回転打撃製粉等のいずれの方法であってもよい。米粉としては、粒度が小さく、でん粉損傷度が低いものが好ましい。例えば、メディアン径が75μm以下であることが好ましい。米粉の粒径分布は、レーザー回折散乱法により測定することができ、例えば、食品総合研究所研究報告, 74, 37-44 (2010)等に記載の装置を用いて測定できる。
また、でん粉損傷度(損傷でん粉含量)が10質量%未満であることが好ましい。でん粉損傷度(損傷でん粉含量)は、AACC法76-31により測定することができ、例えば、 Food Sci. Technol. Res., 15, 439-448 (2009)等 に記載の方法により測定することができる。
<米粉パン用品質改良剤>
本発明は、上記米粉を用いて調製される米粉パンの品質を改良するために添加される、品質改良剤に関する。具体的には、メチルセルロース及びサイリウムシードガムを含むものである。本発明において、メチルセルロース及びサイリウムシードガムの組合せ自体を品質改良剤として用いてもよいし、さらに他の成分を配合したものを用いてもよい。メチルセルロース及びサイリウムシードガム以外の成分としては、例えば、飲食品に配合可能な担体(基剤)や添加剤(例えば、賦形剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、保存剤、コーティング剤、着色料等)等が挙げられる。賦形剤としては、例えば、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類;デキストリン、セルロース、アラビアガム、およびでん粉(コーンスターチ等)などの多糖類、乳糖、ブドウ糖、果糖、砂糖、ショ糖、麦芽糖、水飴、蜂蜜、転化糖、シロップ、異性化糖(例えば、高果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖など)などの糖類;ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、還元パラチノースなどの糖アルコールを挙げることができる。本発明においては、メチルセルロース及びサイリウムシードガムが同一の包装に含まれていてもよいし、メチルセルロース及びサイリウムシードガムが別々の包装に含まれていてもよい。
<メチルセルロース>
本発明のメチルセルロースとは、セルロースの骨格中の水酸基を、ペクチンなどにみられるメトキシル基で置換したものである。本発明において、メチルセルロースは、本発明の属する食品分野において通常用いられる意味で解釈され、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとは別の成分として認識される。セルロースを水酸化ナトリウムでアルカリセルロースにし、塩化メチルと反応させることにより得られる。市販されているメチルセルロースの置換度(DS)は1.4~2.0であり、10~20℃程度の冷水に溶解する。メチルセルロース水溶液は約50~90℃の温度域で三次元のネットワーク構造を構築してゲル化するという特異な挙動を示すため、損失水分の低減、吸油抑制等の目的でドーナツや揚げ物の衣等に使用されている。本特許において、メチルセルロースは商業上入手可能なものを使用することができ、例えば「メトローズMCE-25」および「メトローズMCE-4000」(いずれも信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
メチルセルロースの添加量は、限定されないが、米粉100質量部に対する添加量として、0.05~2.0質量部を例示できる。本発明の一実施形態において、メチルセルロースの添加量は、米粉100質量部に対する添加量として、0.05質量部以上が好ましく、0.25質量部以上がより好ましい。また、本発明の一実施形態において、メチルセルロースの添加量は、米粉100質量部に対する添加量として、2.0質量部以下がより好ましい。ここで、メチルセルロースの添加量が0.05質量部未満になると、良好な整形性や、最終発酵後や焼成後の膨らみの維持ができなくなり好ましくない場合がある。一方、添加量が2.0質量部を超えると、最終発酵および焼成時の生地の膨張が抑制される等の観点から、メチルセルロースの添加量は上記範囲が好ましい。
<サイリウムシードガム>
本発明で用いるサイリウムシードガムは、Plantagoovata Forskalの種子から採った天然植物ガムのことである。本発明では市販されているサイリウムシードガムをいずれも使用可能である。このような製剤は、商業上入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ビストップ[商標]D-2074」および「ビストップ[商標]D-2268」を挙げることができる。
サイリウムシードガムの添加量は、限定されないが、米粉100質量部に対する添加量として、1.0~4.0質量部を例示できる。本発明の一実施形態において、サイリウムシードガムの添加量は、米粉100質量部に対する添加量として、1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましい。また、本発明の一実施形態において、サイリウムシードガムの添加量は、米粉100質量部に対する添加量として、4.0質量部以下がより好ましい。ここで、サイリウムシードガムの添加量が1質量部未満になると、整形性と膨張性が悪くなり好ましくない場合がある。また、添加量が4.0質量部を超えると、生地の調製時の粘度上昇の抑制等の観点から、サイリウムシードガムの添加量は上記範囲が好ましい。メチルセルロースとサイリウムシードガムとの配合比は限定されないが、例えば、メチルセルロース1質量部に対し、サイリウムシードガム0.5~80質量部が好ましく、1~16質量部がより好ましい。
<米粉パンの調製方法>
本発明に係る米粉パンは、メチルセルロース及びサイリウムシードガムを必須とする以外は、従来公知の調製方法でよく、製造設備や条件を新たに設定する必要がないというメリットを有する。
本実施形態において、「メチルセルロース及びサイリウムシードガムを添加する」態様は特に限定されず、例えば、米粉パンの原料(粉体原料、パン生地等)にメチルセルロース及びサイリウムシードガムを添加すること等が挙げられる。調製方法の一例として、米粉100部に対し、本発明に係るメチルセルロース及びサイリウムシードガムを混合すると共に、通常用いる各種添加物も併せて混合混練させてパンの生地を作る。この時、従来の方法では、増粘多糖類の種類によっては粘度が高くなることで最終発酵時にパンが膨らまない、或いは十分な粘度が得られず生地がまとまらない事態が生じる場合がある。しかし、本発明によれば、メチルセルロース及びサイリウムシードガムを添加することによって、生地に適切な粘度を付与でき、パンの整形が容易になると共に、膨張性が改善された米粉パンを提供できる。
混合混錬した生地は一次発酵させ、発酵した生地を分割して手で丸める、或いは目的とするパンの形状に成形して最終発酵を行う。これらの発酵条件(温度、湿度、時間)は従来行われているもので良く、例えば、室温又は発酵機内で20~40℃、湿度50~90%の条件で、20~50分間行うことができる。好ましい一例として、温度38℃、湿度85%で30分間を挙げることができる。一次発酵、最終発酵ともに同じ条件でも異なる条件であっても良く、また一次発酵を省略しても良い。発酵工程は調製するパンの種類などによって任意で設定することができる。
成形及び最終発酵後、加熱(焼成)によって米粉パンを得る。加熱方法としては、オーブン等の加熱器を用いた焼成の他、マイクロ波、フライ、ボイル或いは蒸す等の方法によるものでも良い。
本発明によって得ることができる米粉パンとしては、食パン、フランスパンなどのバケット、バターロール、コッペパン、バンズなどのロールパン;アンパン、ジャムパン、クリームパン、カレーパン等のフィリング類を包含したもの、メロンパン、クロワッサン、蒸しパンなどの菓子パン;ハンバーガー、ホットドッグ、ピザ、ドーナツ、ベーグル等の調理パン;餡まん、肉まん、カレーまん、ピザまんなどの饅頭等が挙げられる。
なお、上記米粉パンを常法に従って粉砕し篩過することで、グルテンフリーの米パン粉とすることもできる。得られた米パン粉は、揚げ物の衣など通常パン粉として使用される用途において使用することができる。
<米粉パンの整形性及び/又は膨張性の改善方法>
本発明は、米粉パンの整形性及び/又は膨張性の改善方法に関する。
係る発明を達成するためには、米粉パンの原料としてメチルセルロース及びサイリウムシードガムを添加すればよく、添加量及び製造時の添加時期などは、上述の通りである。
本願発明に係る米粉パン用品質改良剤は、米粉、メチルセルロース、サイリウムシードガム及び他の原料を含むミックス粉として使用することも可能である。例えば、粉乳、食塩、多糖類、米粉以外の穀物粉、澱粉、色素、糖類、油脂類(バター等)、卵類、調味料、乳製品、香辛料の他、ゴマやドライフルーツなど従来利用されている原料を利用することができる。なお、アレルギーフリーの観点からは、本発明の品質改良剤が対象とする米粉パンは、グルテンを含まないことが望ましい。
本願発明では、メチルセルロース及びサイリウムシードガムに加え、食品分野で使用されている多糖類を利用することができ、具体的にはペクチン、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、アラビアガム、ジェランガム、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、グルコマンナン、アルギン酸エステル、ゼラチン、寒天、大豆多糖類、コーンスターチ及び片栗粉などが例示できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの限定されるものではない。尚、処方中の「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。また、処方中の「部」は質量部を意味する。
試験1 米粉パンの調製
下記表1の処方に基づき、米粉パンを調製した。
<製造工程>
1)混合機のボウルに8、9を秤量し、1~7を篩い入れた
2)ミキシング:フック、63rpm/2分、107rpm/2分、126rpm/1分
3)一次発酵 :38℃、85%RH/30分
4)リミックス:107rpm/2分
5)成形:50gずつ量り取り手で丸める。打ち粉(分量外の米粉)使用
6)最終発酵:ホイロにて38℃、85%RH/30分
7)焼成:デッキオーブン、天板1枚、クッキングシートあり、上火200℃、下火160℃/22分
8)60分放冷
上記製造工程によって得られた米粉パンについて、下記の評価基準により評価を行った。その結果を表2に示す。
<評価基準>
・生地の整形性1:粘度が低く、手で纏めることが困難
2:手で纏められるが、手への付着が多く、整形が困難
3:手への付着が多いが、整形は可能
4:手への付着がやや多いが、整形は可能
5:手への付着が無く、整形が可能
・発酵前後の生地の寸法、焼成後の米粉パンの寸法(幅、高さ)を、ホイロ前・後、焼成直後に測定
<結果>
<生地の整形性>
比較例1の生地は、水と混合混練しても粘度が発現せず、整形することができなかった。比較例3の硬さは発現したが、量り取って丸める際に手に付着し、整形することができなかった。
比較例2については混合混練で適度な粘度とまとまり感のある生地となり、量り取って丸めても手への付着は生じなかった。実施例1は比較例2よりも若干柔らかい程度であるが、手への付着もなくまとまり良く整形できた。
<膨張性の評価>
生地の調製段階において整形できた実施例1及び比較例2で得たパン生地を、50gずつ量り取り手で丸めた後、最終発酵前後と焼成直後のパン生地及びパンの幅と高さを計測した。幅の値の増加はパンが形を保てず横方向へ流れる(ダレる)ことを意味する。また高さの値の増加は発酵による生地が膨張することを意味し、値の減少はパンが萎むことを意味する。
表2に示した数値を変化率として表3に示す。整形することができなかった比較例1、3については評価しない。
表3より、実施例1においては最終発酵後に良好な膨らみが得られ、その膨らみは焼成後にも維持されていた。
比較例2では最終発酵後に横に大きく膨らむものの高さが減り、焼成後はさらに萎むような変化となった。
以上の結果より、本願発明に係るサイリウムシードガム及びメチルセルロースを含む実施例1において、生地は発酵によって高く膨らむものとなり、その膨らみは焼成後も大きく減衰することなく維持されていることが明らかとなった。一方の比較例2では横にダレるような膨らみ方となり、パンとしてのふっくらとしたの焼き上がりにはならなかった。
試験2 サイリウムシードガム及びメチルセルロースの添加量による効果
続いて、米粉パンに添加するサイリウムシードガムとメチルセルロースの含有量を変化させて効果の確認を行った。
処方と調製方法は試験1と同様とし、サイリウムシードガムとメチルセルロースの含量を表4のように変化させて米粉パンの調製を行い、試験1と同様の評価を行った。その結果を表5に示す。
<生地の整形性>
実施例1、2共に手への付着もなく良好な整形性を有していた。
<膨張性の評価>
試験1と同様にパン生地を50gずつ量り取り手で丸めた後、最終発酵前後と焼成直後のパン生地及びパンの幅と高さを計測した。
表5に示した数値を変化率として表6に示す。
表6より、実施例1においては試験1の際と同様に最終発酵後に良好な膨らみが得られ、その膨らみは焼成後にも維持されていた。実施例2においても発酵時に高さのある膨らみを生じ、その膨らみは焼成後も維持されていたことから、良好な膨張性が発揮されていた。焼き上がりもふっくらとした米粉パンであった。
一方、比較例4においては、生地の整形性が不良であり、手で丸めることが困難であった。また、比較例5、又は比較例6においては、最終発酵時に高さのある膨らみが生じず、焼成後も膨らみは乏しかった。
試験3 サイリウムシードガム及びメチルセルロースの添加量による効果
次に、米粉パンに添加するサイリウムシードガムとメチルセルロースの含有量をさらに変化させて効果の確認を行った。
処方と調製方法は試験1と同様とし、サイリウムシードガムとメチルセルロースの含量を表7のように変化させて米粉パンの調製を行った。生地の整形性については試験1と同様の評価を行った。生地ダレ、膨らみ、官能評価については以下の評価基準により評価を行った。その結果を表8に示す。
<評価基準>
・生地ダレ … 最終発酵前後の保形性、膨らみ等を1~5段階で評価(数値が大きいほど良好)
1:生地の粘度がとても低く全く保形性が無い、または粘度がとても高く膨らみにくい
2:生地の粘度が低く保形性が無い、または粘度が高く膨らみが乏しい
3:高さと幅がやや増加し、膨らみが見られる
4:高さと幅は増加し、膨らみも大きい
5:高さも幅もかなり増加している、保形性を維持しつつ、膨らみも大きい
・膨らみ … 焼成前後の膨らみ等を1~5段階で評価(数値が大きいほど良好)
1:生地の粘度が低く、生地がダレて、上部が潰れている
2:生地の粘度が高く、割れが生じる、膨らみに劣る
3:膨らみはやや良好で、丸みを帯びている
4:膨らみ良好だが、焼成後に萎みやすい
5:膨らみは良好で、丸みを帯びている
・官能評価 … 焼成後の米粉パンを1~5段階で評価(数値が大きいほど良好)
1:膨らみが乏しく、クラムがかなり詰まっており、団子状で硬い
2:膨らみは見られるが、クラムが詰まっており、硬い
3:内層の膜は厚いが、柔らかさもある
4:膨らみも良く、内層の膜が薄くなり、柔らかい
5:目が細かく分散し、ふんわりと柔らかさがある
総合評価としては、全評価項目の合計点(例えば、実施例7だと19点)が多いものが好ましい。
試験4 従来技術との対比
従来技術との対比を行った。具体的には、調製方法は試験1と同様とし、処方を表9のように変化させて米粉パンの調製を行った。生地の整形性及び生地ダレについて試験3と同様の評価を行った。
評価結果は以下の通り:
・実施例12:整形性にも優れ、最終発酵及び焼成時の保形性も良い。(整形性4、生地ダレ5)
・比較例4(非特許文献1に対応。リン酸架橋澱粉で粉3%を置き換え):生地粘度が低く丸まらず、整形不可。(整形性1)
・比較例5(先行文献1に対応。キャノーラ油を対粉14%添加):生地粘度が低く丸まらず、整形不可。(整形性1)
・比較例6(特許文献2に対応)生地粘度が低く丸まらず、整形不可。(整形性1)
・比較例7(特許文献3に対応)実施例と比較して、整形時の生地の付着が多く、最終発酵及び焼成時に生地ダレが生じる。(整形性3、保形性2)
・比較例8(特許文献4に対応)実施例と比較して、最終発酵及び焼成時に生地ダレが生じる。(整形性3、保形性2)
・比較例9(特許文献5に対応)生地粘度が低く丸まらず、整形不可。(整形性1)
また、実施例12、比較例7、8の米粉パンの断面写真を図1に示す。
試験5 丸形の米粉パン以外の食品
上記試験と成形(丸型、包餡、その他)、調理法(焼き、揚げ、蒸し)を変えて丸形の米粉パン以外の食品を作製した。
生地部分の組成(単位:部)は表10に示す通り
各食品の製法及び評価結果は以下の通り:
・製法(ピザ)
(1)混合機のボウルに9、10を秤量し、1~8を篩い入れた
(2)ミキシング:フック、63rpm/2分、107rpm/2分、126rpm/1分
(3)一次発酵:38℃、85% RH/30分
(4)リミックス:107rpm/2分
(5)成形:生地200g、直径20cmに圧延した
分量外の米胚芽油を塗布、具材を乗せた
(6)焼成: デッキオーブン、天板1枚、クッキングシートあり、上下火200℃ 10分
・評価結果(ピザ)
整形が可能になり、焼成時の保形性が維持されている。その結果、生地に厚みがつき、ふんわりとした良好な食感になった。
・製法(カレーパン)
(1)混合機のボウルに9、10を秤量し、1~8を篩い入れた
(2)ミキシング:フック、63rpm/2分、107rpm/2分、126rpm/1分
(3)一次発酵:38℃、85%RH /30分
(4)リミックス:107rpm/2分
(5)成形:生地 50g、カレーフィリング 25gを包餡
包餡した生地に霧吹きで水をかけ、分量外の米パン粉を付ける
(6)最終発酵: 38℃/85%RH 25分、室温 5分
(7)油ちょう:170 ℃ 片面2分ずつ
・評価結果(カレーパン)
整形(包餡)が可能になり、最終発酵及び油ちょう時の保形性も維持されている。その結果、ふんわりとした良好な食感になった。
・製法(餡まん)
(1)混合機のボウルに9、10を秤量し、1~8を篩い入れた
(2)ミキシング:フック、63rpm/2分、107rpm/2分、126rpm/1分
(3)一次発酵:38℃、85%RH /30分
(4)リミックス:107rpm/2分
(5)成形:生地 50g、餡 25gを包餡
包餡した生地に霧吹きで水をかけ、分量外の米パン粉を付ける
(6)最終発酵:30℃、30分
(7)蒸し:蒸し器にて、中火で12分
・評価結果(餡まん)
整形(包餡)が可能になり、最終発酵及び蒸し時の保形性も維持されている。その結果、ふんわりとした良好な食感になった。

Claims (5)

  1. メチルセルロース及びサイリウムシードガムを含有することを特徴とする、米粉パン用品質改良剤であって、当該米粉パンにおける米粉100質量部に対するメチルセルロースの含有量が0.05~2質量部、サイリウムシードガムの含有量が1~4質量部の範囲である米粉パン用品質改良剤。
  2. メチルセルロースとサイリウムシードガムとの配合比が、メチルセルロース1質量部に対し、サイリウムシードガム0.5~80質量部である、請求項1に記載の米粉パン用品質改良剤。
  3. メチルセルロース及びサイリウムシードガムを添加することを特徴とする、米粉パンの調製方法であって、米粉100質量部に対するメチルセルロースの添加量が0.05~2質量部、サイリウムシードガムの添加量が1~4質量部の範囲である、米粉パンの調製方法。
  4. メチルセルロース及びサイリウムシードガムを添加することを特徴とする、米粉パンの生地の整形性及び/又は膨張性の改善方法。
  5. メチルセルロースとサイリウムシードガムとの配合比が、メチルセルロース1質量部に対し、サイリウムシードガム0.5~80質量部である、請求項3又は4に記載の方法。
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