JP2024064493A - エンジン - Google Patents

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聡 藪
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Abstract

【課題】点火プラグを用いることなく燃焼を可能にするエンジンを構成する。【解決手段】ピストン4とシリンダヘッド3との間に形成された燃焼室Cに空気を供給する吸気流路15を開閉する吸気バルブVaと、燃焼室Cから燃焼ガスを排出する排気流路16を開閉する排気バルブVbと、燃焼室Cに水素ガスを噴射するインジェクタ9と、を備え、インジェクタ9から水素ガスを噴射して前記燃焼室の内面に接触させることにより燃焼室の内面に静電気を帯電させ、ピストン4の圧縮作動時にピストン4と燃焼室Cとの間で火花放電を行わせる静電気点火機構Aを備えた。【選択図】図2

Description

本発明は、水素ガスを燃料とするエンジンに関する。
水素ガスを燃料とするエンジンとして、特許文献1には、水素タンク内の水素の圧力が設定値以下まで低下した場合でも、継続的な運転を可能にするエンジンが記載されている。
特許文献1に記載されるエンジンは、燃焼室に酸素と、作動ガスであるアルゴンガスとを供給した後に圧縮し、水素噴射弁から水素ガスを噴射し、点火プラグによる点火により混合気を燃焼させている。
尚、特許文献1に記載されるエンジンは、水素タンク内の水素圧が低下し、燃料噴射手段から高圧噴射を行えない場合に、第1噴射時期における筒内圧よりも低い筒内圧となる第2噴射時期において水素ガスが噴射され、その水素ガスを火花点火で燃焼させることにより、エンジンの継続運転を可能にしている。
特開2009-68392号公報
水素ガスを燃料とするエンジンでは、特許文献1にも示されるように、ガソリンエンジンと同様の構造のエンジンを用い、燃焼室の空気と水素ガスとの混合気に、点火プラグにより着火させることで燃焼を開始する。
しかしながら、点火プラグを用いて混合気に着火するエンジンでは、点火プラグを必要とするだけでなく、点火プラグで火花放電を可能にする高電圧を作り出す回路を必要とし、構造の複雑化を招いていた。
このような理由から、点火プラグを用いることなく燃焼を可能にするエンジンが望まれている。
本発明に係るエンジンの特徴構成は、クランクシャフトの回転に連係して往復作動するピストンと、前記ピストンとシリンダヘッドとの間に形成された燃焼室に空気を供給する吸気流路を開閉する吸気バルブと、前記燃焼室から燃焼ガスを排出する排気流路を開閉する排気バルブと、前記燃焼室に水素ガスを噴射するインジェクタと、を備え、前記インジェクタから水素ガスを噴射して前記燃焼室の内面に接触させることにより当該内面に静電気を帯電させ、前記ピストンの圧縮作動時に前記ピストンと前記燃焼室との間で火花放電を行わせる静電気点火機構を備えている点にある。
本構成によると、例えば、吸気行程から圧縮行程に亘る行程においてインジェクタで水素ガスを噴射し、噴射した水素ガスを燃焼室の内面に接触させると共に、水素ガスの噴射に伴い吸気に含まれる水などの微粒子も接触することにより燃焼室の内面を静電気で帯電させるように静電気点火機構を構成することが可能である。このように帯電した後に、圧縮行程において燃焼室の内面とピストンとが近接することにより、帯電部分とピストンとの間で火花放電を行わせ、空気と水素ガスとの混合気の着火が可能となる。このように、点火プラグを用いることなく燃焼を可能にするエンジンが構成された。
他の構成として、前記静電気点火機構が、前記インジェクタから噴射された水素ガスが接触することにより静電気が帯電するように前記燃焼室に形成された帯電体を有し、前記帯電体は、前記ピストンの圧縮作動に伴い前記ピストンにおける前記燃焼室に露出する冠面との間隔が設定値未満に達した時点で火花放電を行わせるように静電気の帯電量が設定されても良い。
これによると、インジェクタから噴射された水素ガスが帯電体の表面に接触し、水素ガスの噴射に伴い吸気に含まれる水などの微粒子が接触することにより、その帯電体に静電気を帯電させ、帯電体とピストンの冠面との間隔が設定値未満に達した時点で火花放電を行わせるように静電気の帯電量を設定している。このため、圧縮行程において、ピストンの冠面と、帯電体との間隔が設定値未満に達した時点で火花放電を行わせることが可能となる。
他の構成として、前記インジェクタは、前記帯電体の表面に沿う平行方向に水素ガスを噴射しても良い。
これによると、インジェクタから噴射された水素ガスが帯電体の表面に沿う平行方向に流れるため、水素ガスが帯電体に接触する時間を長くし、効率的な帯電を可能にする。
他の構成として、前記帯電体が、前記燃焼室のうち前記ピストンの前記冠面に向かい合う位置に配置されても良い。
これによると、帯電状態にある帯電体に対し、圧縮行程においてピストンの冠面が接近することにより、帯電体とピストンの冠面との間で火花放電を行わせ、燃焼室の混合気の点火が可能となる。また、帯電体を燃焼室の上部に設置するだけで良いので、構成が簡便である。
他の構成として、前記静電気点火機構が、前記燃焼室のうち、前記ピストンにおける前記燃焼室に露出する冠面に向かい合う部位から前記冠面の方向に突出する突出体と、前記突出体の突出側の端部に形成され、前記インジェクタから噴射された水素ガスが接触することにより帯電する帯電体と、前記ピストンの圧縮作動に伴い前記帯電体が入り込むように前記ピストンの前記冠面に形成された凹部とで構成されても良い。
これによると、インジェクタから噴射された水素ガスが接触し、水素ガスの噴射に伴い吸気に含まれる水などの微粒子が接触することにより帯電体が帯電し、圧縮作動によりピストンの対向面に形成された凹部に帯電体が入り込むことにより、帯電体と凹部の内面との間で火花放電を行わせ、燃焼室の混合気の点火が可能となる。特に、この構成では帯電体が凹部に入り込んだ状態で、ピストンが圧縮方向に作動を継続する際に、帯電体の外面と凹部の内面との間隔を一定に維持できるため、火花放電が可能な時間を長くして確実な着火を可能にする。
また、この構成は、ピストンの凹部に帯電体が入り込む位置関係が成立する状況の任意のタイミングで水素ガスを噴射することにより帯電体を帯電させ火花放電による着火も可能にするものである。この構成特有の特徴は、混合気の着火タイミングの制御を可能にするものであり、例えば、ピストンの凹部に帯電体が入り込む位置関係が成立する時間領域のうち、例えば、燃焼ガスの圧力がピストンに作用する時間を長くするタイミングで燃焼を開始するように、水素ガスを噴射して混合気の着火を行わせ、エンジンの仕事量を高めることも可能にする。
エンジンの断面図である。 吸気行程におけるエンジン上部の断面図である。 ピストンが圧縮上死点に達した状態のエンジン上部の断面図である。 別実施形態(a)のエンジン上部の断面図である。 別実施形態(a)においてピストンが圧縮上死点に達した状態のエンジン上部の断面図である。 別実施形態(a)の帯電体と凹部との位置関係を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1には乗用車等の車両に備えられ、水素ガスを燃料とするエンジンEを示している。エンジンEは、クランクシャフト1を支持するシリンダブロック2の上部にシリンダヘッド3を連結し、シリンダブロック2のシリンダボアにピストン4を往復作動自在に収容し、ピストン4をコネクティングロッド5によってクランクシャフト1に連結して4サイクル型に構成されている。
図1に示すように、エンジンEには、ピストン4と、シリンダヘッド3の内面との間に燃焼室Cが形成されている。シリンダヘッド3は、燃焼室Cに燃料としての水素ガスを燃焼室Cに噴射するインジェクタ9を備えている。
シリンダヘッド3は、燃焼室Cに空気を吸引する吸気流路15と、燃焼室Cから燃焼ガスを排出する排気流路16とが形成され、吸気流路15を開閉する吸気バルブVaと、排気流路16を開閉する排気バルブVbが備えられている。
また、シリンダヘッド3は、吸気バルブVaを介して燃焼室Cに空気を供給するように吸気流路15に連通するインテークマニホールド11が連結されている。これと同様にシリンダヘッド3は、排気バルブVbを介して燃焼室Cからの燃焼ガスを送り出すように排気流路16に連通するエキゾーストマニホールド12が連結されている。
インテークマニホールド11は、空気中の塵埃をフィルタ部10aで除去するエアクリーナ10を上流に備えている。インテークマニホールド11の流路中には、吸気量を制御するスロットルバルブ13を備えている。エキゾーストマニホールド12は、触媒により排ガスを浄化する触媒コンバータ14に排ガスを送り出す。
エンジンEは、吸気バルブVaを制御する吸気カムシャフト7と、排気バルブVbを制御する排気カムシャフト8とをシリンダヘッド3の上部に備えており、吸気カムシャフト7と同軸芯で弁開閉時期制御装置VTを備えている。この弁開閉時期制御装置VTは、吸気バルブVaの開閉時期(バルブタイミング)を設定する。
弁開閉時期制御装置VTは、吸気カムシャフト7と同軸芯で、吸気カムシャフト7に対し相対的に所定角度だけ回動可能な駆動ケース21を有し、この駆動ケース21の外周にタイミングプーリ部21Pを有している。この弁開閉時期制御装置VTは、電動型のアクチュエータ(油圧型のアクチュエータでも良い)の作動により、吸気カムシャフト7と駆動ケース21との相対回転位相を制御し、吸気バルブVaの開閉時期(バルブタイミング)の調節を行う。
エンジンEは、クランクシャフト1の出力プーリ部1Pと、弁開閉時期制御装置VTの駆動ケース21のタイミングプーリ部21Pと、排気カムシャフト8の駆動プーリ部8Pに亘ってタイミングベルト6(タイミングチェーンでも良い)が巻回されている。
この構成から、クランクシャフト1の回転に連係して、吸気カムシャフト7と排気カムシャフト8とが同期回転し、吸気バルブVaの開閉と、排気バルブVbの開閉が行われる。尚、弁開閉時期制御装置VTは、アクチュエータの作動により、吸気バルブVaの開閉時期(バルブタイミング)の調節を行うだけでなく、排気バルブVbが閉塞する以前に吸気バルブVaを開放するオーバラップの設定も可能である。
図2、図3に示すように、シリンダヘッド3は、燃焼室Cに水素ガスを噴射するインジェクタ9を備え、燃焼室Cのうちシリンダヘッド3の突出端面4V(冠面Sの一例)に対向する位置のシリンダヘッド3の内面に帯電体17を備えている。このように燃焼室Cの内面は、一部に帯電体17を含んでいる。
ピストン4は、燃焼室Cに対向する頂部4tの中央部からシリンダヘッド3の内面に向けて突出する突出部4uを一体的に形成しており、この突出部4uの突出端に突出端面4V(冠面S)が形成されている。冠面Sは、ピストン4において燃焼室Cに露出する部位であり、この実施形態では、冠面Sの一部を帯電体17に向けて突出することで突出端面4Vが形成されている。この突出端面4Vは、ピストン4が上死点に達したタイミングで帯電体17に近接する。
〔静電気点火機構〕
静電気点火機構Aは、インジェクタ9から噴射される水素ガスが接触し、水素ガスの噴射に伴い吸気に含まれる水などの微粒子が接触することにより、帯電体17に静電気を帯電させ、圧縮作動時(圧縮行程における作動時)において図3に示すようにピストン4の突出端面4V(冠面S)が帯電状態の帯電体17に近接したタイミングで、絶縁破壊により帯電体17と突出端面4Vとの間で火花放電を行わせる。静電気点火機構Aは、この火花放電により燃焼室Cの混合気に着火させ混合気の燃焼を実現している。
このように静電気点火機構Aは、帯電体17と、インジェクタ9と、ピストン4とを有する構成である。特に、静電気点火機構Aは、インジェクタ9から噴射される水素ガスや水などの微粒子による帯電体17の静電気の帯電量と、この帯電量においてピストン4が上死点に達したタイミングで火花放電を可能にするように帯電体17と、ピストン4の突出端面4Vとの間隔が設定されている。
帯電体17の帯電量は、水素ガスの流速と、水素ガスを供給する時間とに比例して増大し、水素ガスを帯電体17の表面に平行する角度に(図2に示す平行方向F)に近いほど増大することが確認できる。更に、帯電体17は、吸気される空気が乾燥するほど帯電しやすい反面、空気に含まれる水の微粒子は電荷を運ぶキャリアーとして機能するため、帯電量を大きくするために最適な湿度の値が存在する。このように吸気される空気の湿度、あるいは、空気中に浮遊する微細な粒子を利用する具体構成については、後述する「静電気点火機構の付加構成」において説明する。
このように水素ガスの流速と、水素ガスの供給時間とに基づき予め設定された帯電量に達するまで帯電体17の帯電を行うことにより、ピストン4の突出端面4Vとの間隔が予め設定された値に達したタイミングでの放電を可能にしている。
帯電体17は、薄板状の窒化ケイ素セラミックス材等が用いられる。図2に示すように、インジェクタ9は、帯電体17の表面に平行する平行方向Fに水素ガスを噴射するように先端のノズルの噴射方向が設定され、水素ガスの高速での噴射を可能にするようにノズル径が設定されている。また、インジェクタ9は、ノズルの向きを変更することにより、水素ガスの噴射方向を変更することができる。
尚、インジェクタ9のノズルから平行方向Fに噴射された水素ガスは、噴射方向の下流側ほど拡大する領域に流れ、この拡大により水素ガスの多くが帯電体17の表面に接触する。帯電体17は、電流が流れない絶縁体であり、ピストン4は、突出部4uを含む全体が、容易に電流が流れる(良導体となる)金属材で構成されている。
前述したように、エンジンEは、4サイクル型であり、一般的なガソリンエンジンと同様に吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、排気行程が、この順序で行われる。帯電体17の帯電のためのインジェクタ9による水素ガスの噴射は、図2に示す吸気行程の開始直後から圧縮行程においてピストン4が図3に示す上死点に近接するまでの時間領域のうち、設定された時間において継続して行われる。この設定された時間が、ピストン4が上死点に達したタイミングで火花放電を可能にする帯電量を得るための時間となる。
このような構成から、インジェクタ9から噴射される水素ガスを帯電体17の表面に吹き付けることで帯電体17を静電気で帯電させると同時に燃焼室Cに混合気を作り出す。この後に、ピストン4が圧縮上死点に近接したタイミング(圧縮上死点に達したタイミングでも良い)において、帯電体17とピストン4の突出端面4Vとの間の絶縁破壊により火花放電が行われ、混合気に着火させ混合気の燃焼が行われる。
〔静電気点火機構の付加構成〕
帯電体17は、空気中を浮遊する微細な粒子が接触することにより帯電量が増大することが確認され、前述したように、吸気される空気の湿度が適切であることによっても帯電体17の帯電量を増大させる。
この理由から、例えば、図1に示すエアクリーナ10のフィルタ部10aにおいて空気中の微粒子を通過できるようにフィルタ性能を設定したエアクリーナ10を備えて静電気点火機構Aを構成することが考えられる。この場合、従来のエアクリーナ10に対して性能を落とした安価なエアクリーナ10で良い。このように静電気点火機構Aを構成することにより、吸引される空気に含まれる微粒子の量を増大させ、インジェクタ9から水素ガスを噴射した際に帯電体17における静電気の帯電量の増大を可能にする。
前述したように、帯電量を大きくする最適な湿度の値が存在する。このため、燃焼室Cに吸引される空気の湿度が最適な値より乾燥している場合には、加湿のために加湿器を付加した静電気点火機構Aも想像できる。また、エンジンEが始動した後には、オーバラップの設定により燃焼ガスの一部を燃焼室Cに戻すように弁開閉時期制御装置VTを付加して静電気点火機構Aを構成することも考えられる。
尚、弁開閉時期制御装置VTを付加した静電気点火機構Aは、オーバラップの設定により内部EGRで燃焼室Cに燃焼ガスの一部を戻し、混合気に含まれる空気の湿度の上昇を可能にする。その結果、燃焼室Cの空気の湿度を最適な値に維持し、インジェクタ9から水素ガスを噴射することによる帯電体17の静電気の帯電量の増大を可能にする。
〔実施形態の作用効果〕
このように、静電気点火機構Aを備えることにより、燃焼室Cの内面の帯電体17を帯電させ、点火プラグを用いずとも混合気に静電気の火花放電による着火を可能にし、水素ガスを含む混合気の燃焼を実現する。この構成では、点火プラグだけでなく、点火プラグに高圧電流を供給する高電圧回路や、高電圧回路を制御するための制御システムが不要となり、エンジンEの部品点数の低減が可能で、エンジン全体の構成の単純化が実現する。
また、静電気点火機構Aは、一般的なガソリンエンジンにおいて燃焼室Cに帯電体17を備えるだけで済むため、インジェクタ9と、ピストン4との構成を大きく変更することなく、複雑化を招くこともない。
水素ガスの最小着火エネルギーは、ガソリンエンジンの混合気の最小着火エネルギーより小さいため、ガソリンエンジンの点火プラグのように強力な火花放電を用いることなく混合気の着火を可能にする静電気点火機構Aを構成できる。
水素ガスを燃料として用いるため、排ガスに水蒸気が含まれるものの、ガソリンエンジンのように燃焼ガスに未燃焼炭化水素や、窒素酸化物、あるいは、一酸化炭素等の有害成分が排ガスに含まれることがなく、クリーンなエンジンを構成できる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)図4~図6に示すように、燃焼室Cのうちピストン4の頂部4t(冠面S)に向かい合う位置にピストン4に向けて突出する棒状の突出体19を形成し、この突出体19の突出部分に帯電体17を備え、噴射した水素ガスが帯電体17に接触する位置にインジェクタ9を備え、更に、ピストン4の圧縮作動に伴い帯電体17が入り込むようにピストン4の頂部4tに凹部4aを形成して静電気点火機構Aを構成する。
この別実施形態(a)の静電気点火機構Aは、突出体19と帯電体17とが略等しい外径の棒状であり、図6に示すように、凹部4aが、突出体19と帯電体17と外面との間に僅かな間隙を作る状態での入り込みを可能にする内径に形成されている。この静電気点火機構Aにおいても、実施形態で説明した構成と同様に、インジェクタ9が突出体19と帯電体17との外面に沿う平行方向Fに水素ガスが噴射される。
これにより、吸気行程の開始直後から圧縮行程に亘る時間領域のうち、設定された時間においてインジェクタ9から水素ガスを噴射することで帯電体17に必要とする帯電量となる静電気を帯電させ、ピストン4が圧縮上死点に到達する以前に帯電体17が凹部4aに入り込む状態を作り出し、帯電体17の外面と凹部4aの内面との間で火花放電を行わせ、混合気の着火を可能にしている。特に、この構成では、帯電体17の外面と凹部4aの内面との広い面が近接する状態が、ピストン4が移動する際にも継続することになり、火花放電が起こりやすい状態を作り出している。
水素ガスを燃料とする混合気は、燃焼時間が極めて短く、燃焼ガスがピストン4に圧力を作用させる時間も短縮し、エンジンの仕事量が低下する不都合も考えられる。これに対し、別実施形態(a)の静電気点火機構Aは、ピストン4の凹部4aに帯電体17が入り込む位置関係が成立する状況の任意のタイミングで水素ガスを噴射することにより帯電体17を帯電させ火花放電による着火を可能にする。この構成は、混合気の着火タイミングの制御を可能にするものである。
前述した不都合を解消するため、この別実施形態(a)では、例えば、ピストン4の凹部4aに帯電体17が入り込む位置関係が成立する時間領域のうち、燃焼ガスの圧力がピストン4に作用する時間を長くするタイミングで燃焼を開始するように、水素ガスを噴射して混合気の着火を行わせるように着火タイミングを制御することが考えられる。
つまり、先に説明した実施形態では、吸気行程の開始直後から圧縮行程においてピストン4が上死点に近接するまでの時間領域において水素ガスの噴射が可能である制御形態を説明したが、別実施形態(a)の静電気点火機構Aでは、ピストン4が圧縮上死点、あるいは、圧縮上死点の近傍に達したタイミングで水素ガスを噴射するように噴射タイミングを設定している。これにより、燃焼室Cにおいて圧力の高い状態の燃焼ガスからピストン4に作用する時間を長くし、結果として、混合気の燃焼時間が短くとも、エンジンの仕事量を高めている。尚、燃焼ガスの噴射形態は、1度の噴射に限るものではなく、複数回に分割することも考えられる。
この別実施形態(a)では、凹部4aの内面に対しピストン4の作動方向に沿う溝状部4bを形成しており、ピストン4の作動時に伴い凹部4aに帯電体17が入り込んだ際に、溝状部4bを介して凹部4aの内部のガスの排出が行われる。
(b)先に説明した別実施形態(a)の変形例として、突出体19の外面にピストン4の作動方向に沿う溝状部を形成しても良い。また、異なる変形例として、突出体19と帯電体17との断面形状を多角形状にすることや、複数の歯部を有するギヤ形状にすることや、凹部4aの断面形状を多角形状にすることが考えられる。
(c)例えば、燃焼室Cの内面の一部の領域において表面が露出する状態で帯電体17を埋め込むことや、燃焼室Cの内面に帯電体17をコーティングにより形成し、このように帯電体17が形成された燃焼室Cの内面にインジェクタ9から水素ガスを吹き付けることで帯電体17を帯電させるように静電気点火機構Aを構成することも可能である。
この別実施形態(c)の構成では、ピストン4の冠面Sに向かい合う位置から外れた位置に帯電体17を形成することが可能となり、例えば、ピストン4の側面と燃焼室Cの内面との間で火花放電を行わせ、混合気に着火させることも可能となる。
(d)実施形態では、ピストン4の頂部4tに突出部4uを形成していたが、ピストン4の突出部4uは必須の構成ではなく、ピストン4が上死点に達した際に、ピストン4の平坦な冠面Sが、シリンダヘッド3の内面の帯電体17に近接するように位置関係を設定することも可能である。
(e)帯電体17のうちピストン4の冠面Sに対応する位置の一部(実施形態では突出端面4V)に向けて突出する先細りの突起片を、帯電体17に一体形成する。この突起片の突出量は僅かであって良く、この突出片を形成することにより、エンジンEの改造を行うことなく、帯電体17とピストン4の冠面S(実施形態では突出端面4V)との一部の間隔を短縮し、帯電体17とピストン4の冠面Sとを近接させ、結果として、火花放電を容易に行わせる。
この別実施形態(e)の構成は、ピストン4の冠面Sにピストン4と一体的に突起を形成する、あるいは、金属等の導体で成る突起部を形成することにより前述と同様に、機械部分の改造を行うことなく、帯電体17とピストン4の冠面Sとのうち、火花放電が行われる間隔を短縮し、容易に火花放電を行わせる。
尚、この別実施形態(e)は帯電体17と、ピストン4の冠面Sとの双方に突起部を形成することも可能である。
(f)帯電体17は、窒化ケイ素に限らず、ゼオライト、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化アルミ等のセラミックスを用いることが考えられる。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、エンジンに利用することができる。
1 クランクシャフト
4 ピストン
4a 凹部
4V 突出端面(冠面)
9 インジェクタ
15 吸気流路
16 排気流路
17 帯電体
19 突出体
A 静電気点火機構
C 燃焼室
E エンジン
F 平行方向
S 冠面
Va 吸気バルブ
Vb 排気バルブ

Claims (5)

  1. クランクシャフトの回転に連係して往復作動するピストンと、
    前記ピストンとシリンダヘッドとの間に形成された燃焼室に空気を供給する吸気流路を開閉する吸気バルブと、
    前記燃焼室から燃焼ガスを排出する排気流路を開閉する排気バルブと、
    前記燃焼室に水素ガスを噴射するインジェクタと、を備え、
    前記インジェクタから水素ガスを噴射して前記燃焼室の内面に接触させることにより当該内面に静電気を帯電させ、前記ピストンの圧縮作動時に前記ピストンと前記燃焼室との間で火花放電を行わせる静電気点火機構を備えているエンジン。
  2. 前記静電気点火機構が、前記インジェクタから噴射された水素ガスが接触することにより静電気が帯電するように前記燃焼室に形成された帯電体を有し、
    前記帯電体は、前記ピストンの圧縮作動に伴い前記ピストンにおける前記燃焼室に露出する冠面との間隔が設定値未満に達した時点で火花放電を行わせるように静電気の帯電量が設定されている請求項1に記載のエンジン。
  3. 前記インジェクタは、前記帯電体の表面に沿う平行方向に水素ガスを噴射する請求項2に記載のエンジン。
  4. 前記帯電体が、前記燃焼室のうち前記ピストンの前記冠面に向かい合う位置に配置されている請求項2に記載のエンジン。
  5. 前記静電気点火機構が、前記燃焼室のうち、前記ピストンにおける前記燃焼室に露出する冠面に向かい合う部位から前記冠面の方向に突出する突出体と、
    前記突出体の突出側の端部に形成され、前記インジェクタから噴射された水素ガスが接触することにより帯電する帯電体と、
    前記ピストンの圧縮作動に伴い前記帯電体が入り込むように前記ピストンの前記冠面に形成された凹部とで構成されている請求項1に記載のエンジン。
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