JP2024061064A - 化粧シート及び化粧シートの製造方法 - Google Patents

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【課題】耐候性と耐傷性と耐汚染性とに優れた化粧シート及びその化粧シートの製造方法を提供する。【解決手段】本実施形態に係る化粧シート10は、ポリオレフィンを含む基材層11と絵柄層12とアンカー層13とポリプロピレンを主成分とする透明樹脂層14とトップコート層15とがこの順に積層され、トップコート層15が、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド硬化剤と無機フィラーと紫外線吸収剤と光安定剤とを含む下塗り層15bと、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド硬化剤とワックスと紫外線吸収剤と光安定剤と抗菌剤とを含む上塗り層15aと、の二層で構成され、下塗り層15bの膜厚をX、上塗り層15aの膜厚をY、下塗り層15b中の無機フィラーの平均粒子径をZとしたとき、0.33Z≦X+Y≦Z、及び0.25Z≦X<Zを満足する。【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の内外装や建具、家具等の表面等に使用される化粧シート及びその化粧シートの製造方法に関する。
化粧シートは、近年の使用環境の多様化に伴い、高機能化への要望が高くなってきている。化粧シートとしての重要な機能として、意匠の多様性(例えば、幅広い光沢表現)があり、その光沢表現は、トップコート層に添加する無機微粒子で構成されるフィラーの量で調整するのが一般的である。トップコート層におけるフィラーの添加量が多いと低光沢となり、トップコート層におけるフィラーの添加量が少ないと高光沢となる。このフィラー添加量により、耐候性、耐傷性、耐汚染性などの物性に差が生じ、総じて添加量の多い低光沢意匠の化粧シートでは上記物性が低下する傾向にある。そのため、化粧シートにおける耐候性向上を意図し、紫外線吸収剤や光安定剤を添加する技術等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2018-203866号公報
化粧シートは、近年、外装用途にも展開しており、耐候性、耐傷性、耐汚染性などの物性向上とその安定性が課題になっている。また、外観を左右する意匠も重要であり、特に低光沢を実現するためには、必然的にフィラー添加量が多くなり、フィラーの欠落による耐傷性の低下や、フィラーにより生じる毛管の影響で耐候性、耐汚染性も総じて低下する傾向にある。意匠と物性を両立するためには、フィラー粒子径とトップコート層膜厚による制御が必要である。
発明者は、化粧シートとして更なる耐候性、耐傷性、耐汚染性の改善を目的として、トップコート層に使用する材料組成および層構成を検討することによって、本発明を見いだした。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る化粧シートによれば、ポリオレフィン基材と、前記ポリオレフィン基材上に形成された絵柄層と、前記絵柄層上に形成されたアンカーコート層と、前記アンカーコート層上に形成され、ポリプロピレンを主成分とする透明樹脂層と、前記透明樹脂層上に形成されたトップコート層と、を備え、前記トップコート層は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド硬化剤とを少なくとも含む硬化塗膜からなる、下塗り層及び上塗り層の二層で構成され、前記下塗り層が、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、前記カルボジイミド硬化剤と、無機フィラーと、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含み、前記上塗り層が、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、前記カルボジイミド硬化剤と、ワックスと、紫外線吸収剤と、光安定剤と、抗菌剤とを含み、前記下塗り層の膜厚をX、前記上塗り層の膜厚をY、前記下塗り層中の前記無機フィラーの平均粒子径をZとしたとき、0.33Z≦X+Y≦Z、及び0.25Z≦X<Zを満足する化粧シートが提供される。
また、本発明の他の態様にかかる化粧シートの製造方法によれば、上記態様の化粧シートの製造方法であって、前記透明樹脂層の上に前記トップコート層を積層する工程を備え、当該トップコート層を積層する工程は、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂を水性エマルションの形態で含む水性塗工液を前記透明樹脂層の上に塗布し硬化させる工程である化粧シートの製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、トップコート層の材料組成および層構成を特定化することで、他の性能を損なうことなく、生産性、意匠性、耐候性、耐傷性、耐汚染性に優れた化粧シート及びその化粧シートの製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る化粧シートの構成を説明する概略断面図である。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
以下の図面の記載は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
[化粧シートの全体構成]
図1に示すように、本発明の実施形態(以下、本実施形態)に係る化粧シート10は、基材層11と、絵柄層12と、アンカー層13と、透明樹脂層14と、トップコート層15と、がこの順で積層されている。以下、上述した各層の構成について説明する。
(基材層11)
基材層11は、ポリオレフィン基材、即ちポリオレフィンを含んだ基材、あるいはポリオレフィンのみを含む基材で構成された層である。基材層11を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等が挙げられ、その中でもポリエチレンが最も好ましい。基材層11をポリオレフィン基材で構成された層とすることで、廃棄時における有害なガス等の発生を低減することができる。また、基材層11を、ポリエチレンを含んだ基材、あるいはポリエチレンのみを含んだ基材で構成された層とすることで、廃棄時における有害なガス等の発生をさらに低減することができる。
基材層11は、上述のようにポリオレフィン基材で構成された層であることが好ましいが、他の材料で構成された層であってもよい。以下、ポリオレフィン以外の材料で構成された基材層11について説明する。
基材層11としては、例えば紙、合成樹脂、あるいは合成樹脂の発泡体、ゴム、不織布、合成紙、金属箔等から任意に選定したものが使用可能である。紙としては、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙等が例示できる。合成樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル等が例示できる。ゴムとしては、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等が例示できる。不織布としては、有機系や無機系の不織布が使用できる。金属箔の金属としては、アルミニウム、鉄、金、銀等が例示できる。
基材層11は隣接層との密着性を補うため、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。
(絵柄層12)
絵柄層12は、基材層11に対してインキを用いて施された絵柄印刷の層である。
絵柄層12を形成するインキはバインダーを含み、そのバインダーとしては、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独若しくは各変性物の中から適宜選定して用いることができる。バインダーは、水性、溶剤系、エマルションタイプのいずれでもよく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでもよい。更に、絵柄層12の形成には、硬化性のインキを使用し、紫外線や電子線等の照射によりそのインキを硬化させる方法を用いてもよい。中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキを用い、イソシアネートによってそのインキを硬化させて、絵柄層12を形成する方法である。
絵柄層12には、上述したバインダー以外には、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤などが添加されていてもよい。汎用性の高い顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。
ウレタン系のインキの硬化に用いる硬化剤は、特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びその水添物、あるいはジフェニルメタンジイソシアネート及びその水添物などを含む市販の硬化剤から適宜選択して用いることができる。
また、インキの塗布とは別に各種金属の蒸着やスパッタリングで、絵柄層12に意匠を施すことも可能である。
また、上述したインキに対して光安定剤が添加されていることが好ましく、これにより、インキの光劣化から生じる化粧シート10自体の劣化を抑制し、化粧シート10の寿命を長くすることができる。インキの光劣化から生じる化粧シート10自体の劣化を効果的に抑制するためには、光安定剤の含有量を、インキ全体の質量に対して1質量%以上5質量%以下の範囲内に設定することが好ましい。
絵柄層12の形成方法は、特に限定さるものではない。絵柄層12は、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷など通常の印刷方法を用いて形成することができる。
(アンカー層13)
アンカー層(アンカーコート層)13は、絵柄層12と透明樹脂層14との接着性を高めるために設けられる層である。
アンカー層13を構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ポリエステル系などの樹脂材料から、絵柄層12と透明樹脂層14との密着性に優れた材料を適宜選択しインキ化した材料を用いることができる。
アンカー層13の形成方法は、特に限定さるものではない。アンカー層13は、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の塗布方法を用いて形成することができる。
(透明樹脂層14)
透明樹脂層14は、化粧シート10全体の強度(機械的な強度)等を向上させるために設けられる層である。
透明樹脂層14は、ポリプロピレンを主成分とする層である。ここで「主成分」とは、ポリプロピレンの質量が透明樹脂層14全体の質量の50質量%以上を占めていることをいう。
透明樹脂層14は、ポリプロピレン以外の樹脂成分を含んでいてもよい。透明樹脂層14に含めることが可能な、ポリプロピレン以外の材料としては、オレフィン系樹脂が好適に用いられ、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレン又はαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。
また、化粧シート10の表面強度の向上を図るために、透明樹脂層14を構成する樹脂として、高結晶性のポリプロピレンを用いることが好ましい。つまり、透明樹脂層14は、高結晶性のポリプロピレンを主成分とする層であれば、好ましい。
また、透明樹脂層14に耐候剤として、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤と、NOR型骨格を有する光安定剤とを含めてもよい。透明樹脂層14は、例えば、耐候剤として、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを含んでいてもよい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、透明樹脂層14全体の質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下の範囲内であれば、好ましい。また、ヒンダードアミン系光安定剤は、透明樹脂層14全体の質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下の範囲内であれば、好ましい。
なお、透明樹脂層14には、必要に応じて熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤及び光沢調整剤等の各種添加剤を添加することもできる。熱安定剤としては、フェノール系、硫黄系、リン系、ヒドラジン系等、光安定剤としては、ヒンダードアミン系等を、任意の組合せで添加するのが一般的である。
透明樹脂層14の形成方法は、特に限定されるものではない。透明樹脂層14は、カレンダー成膜や押出成膜など通常の方法を用いて形成することができる。その中でも、透明樹脂層14の形成方法としては、押し出し成型が好ましい。押し出し成型であれば、透明樹脂層14を均一に成膜することができる。
また、意匠性を付与するために、透明樹脂層14に表面凹凸を設けてもよい。凹凸を設ける方法としては、例えば、透明樹脂層14を押し出し成型した後に熱エンボス加工を施す方法、押し出し成型時に凹凸を設けた冷却ロールを用い押し出し成型と同時にエンボス加工を施す方法がある。
(トップコート層15)
トップコート層15は、化粧シート10に、耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられる層である。
トップコート層15は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド硬化剤とを少なくとも含むコーティング材を塗布して形成した硬化塗膜で構成された層であって、図1に示すように、透明樹脂層14側に位置する下塗り層15bと、下塗り層15bの上に積層され、トップコート層15の最表層を構成する上塗り層15aとの二層を備えている。下塗り層15bは、ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、カルボジイミド硬化剤と、無機フィラーと、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含み、上塗り層15aは、ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、カルボジイミド硬化剤と、ワックスと、紫外線吸収剤と、光安定剤と、抗菌剤とを含んでいる。
以下、トップコート層15を構成する材料等について詳しく説明する。
トップコート層15を構成する材料は、例えば、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、各種モノマーや市販されているオリゴマーなど、公知のものを用いることができ、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET3A)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET4A)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)等の多官能モノマーや、紫光UV-1700B(日本合成化学工業株式会社製)のような多官能オリゴマー、もしくはこれらの混合物を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、以下に述べるカルボキシ基を含むポリマーと、硬化剤成分であるカルボジイミド化合物(カルボジイミド硬化剤)とを、熱により硬化させることで形成されるものが好ましい。カルボキシ基を含むポリマーは、特に限定されるものではないが、例えば、分子構造の伸張などによる機械特性的特徴をトップコート層15に付与することが可能なポリマーであってもよい。カルボキシ基を含むポリマーは、例えば各種アクリルポリマー、各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート、各種ポリウレタンなどから、適宜選択して用いられる。
上述した樹脂の中でもトップコート層15を構成する樹脂材料として最も好ましいのは、ポリカーボネート系ウレタン樹脂である。ポリカーボネート系ウレタン樹脂とは、ポリカーボネートジオールを構造単位として有し、イソシアネート化合物やジオール化合物との反応により得られるウレタン樹脂である。
硬化剤成分であるカルボジイミド化合物としては、上記同様、特に限定されるものではないが、例えば、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N-3-ジメチルアミノプロピル-N‘-エチルカルボジイミド、N-tert-ブチル-N‘-エチルカルボジイミド、N-シクロヘキシル-N‘-2-モルフォリノエチルカルボジイミドメソ-p-トルエンスルホン酸、N,N‘-ジ-tert-ブチルカルボジイミド、などが挙げられる。
カルボジイミド化合物の添加量は、カルボジイミド当量(NCN当量)とポリカーボネート系ウレタン樹脂の酸価(mgKOH/g)より算出されるカルボジイミドのモル当量(mmol/g)と前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量(mmol/g)との当量比(カルボジイミドのモル当量/ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量)で1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがさらに好ましい。この当量比が1以下であると架橋密度が低くなり、耐傷性の低下、および耐汚染性の低下が発生する。
なお、カルボジイミド化合物の添加量の上限値に特に制限はないが、カルボジイミドのモル当量(mmol/g)と前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量(mmol/g)との当量比(カルボジイミドのモル当量/ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量)で2以下であれば好ましく、1.8以下であればより好ましく、1.6以下であればさらに好ましい。カルボジイミド化合物の添加量が、当量比で2を超えると、相対的にポリカーボネート系ウレタン樹脂の含有量が少なくなり、硬化反応に寄与しないカルボジイミド化合物の量が多くなるため、トップコート層15の硬度が十分に高まらない場合がある。
また、本実施形態におけるトップコート層15に含まれる樹脂としては、酸価が10mgKOH/g以上のポリカーボネート系ウレタンポリマー(ポリカーボネート系ウレタン樹脂)が硬化剤(例えば、上述したカルボジイミド硬化剤)により架橋された樹脂であってもよく、ガラス転移温度が80℃以上であり、且つ酸価が10mgKOH/g以上のポリカーボネート系ウレタンポリマーが硬化剤により架橋された樹脂であれば、より好ましい。ここで、ガラス転移温度が80℃以下であるとトップコート層15の表面硬度が低下し、耐傷性能が低下するおそれがある。また、酸価が10mgKOH/g以下であると硬化後の架橋密度が低いため、耐傷性能が低下するおそれがある。
なお、本実施形態におけるトップコート層15に含まれるポリカーボネート系ウレタンポリマーのガラス転移温度の上限値は、特に制限されないが、例えば200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、160℃以下がさらに好ましい。本実施形態におけるトップコート層15を構成する樹脂のガラス転移温度が200℃を超えると、トップコート層15の表面硬度が高くなりすぎて、外部からの衝撃に弱くなる可能性がある。
また、本実施形態におけるトップコート層15に含まれるポリカーボネート系ウレタンポリマーの酸価の上限値は、特に制限されないが、例えば200mgKOH/g以下が好ましく、100mgKOH/g以下がより好ましく、50mgKOH/g以下がさらに好ましい。本実施形態におけるトップコート層15を構成する樹脂の酸価が200mgKOH/gを超えると、硬化後の架橋密度が高くなりすぎて、外部からの衝撃に弱くなる可能性がある。
また、トップコート層15に含まれるポリカーボネート系ウレタンポリマーは、水性エマルションの形態で、上記硬化剤と共に塗工されることが好ましい。トップコート層15に含まれるポリカーボネート系ウレタンポリマーが水性エマルションの形態で、上記硬化剤と共に塗工されれば、分子量が高い樹脂被膜が得られ、トップコート層15の表面硬度が向上するとともに、耐汚染性が向上する。ここで、「水性エマルション」とは、分散媒である水または低級アルコール中に形成されたエマルションを意味する。
トップコート層15を構成する下塗り層15b及び上塗り層15aにおけるカルボジイミド化合物の添加量は、当量比(カルボジイミドのモル当量/ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量)で、下塗り層15bの方が上塗り層15aよりも多くてもよいし、少なくてもよい。下塗り層15bと上塗り層15aとで、カルボジイミド化合物の添加量に差を設けることで、トップコート層15全体に柔軟性を付与することができる。下塗り層15bと上塗り層15aとで、カルボジイミド化合物の添加量に差を設ける場合には、一方の層の添加量を他方の層の添加量の1.1倍以上2.0倍以下の範囲内、より好ましくは1.3倍以上1.5倍以下の範囲内にすれば、上記効果を得ることができる。
トップコート層15の下塗り層15bには、光沢調整剤として無機フィラーが添加される。一般的に、フィラーとして、アクリルビーズ、シリコーンビーズなどの有機材料、アルミナやシリカなどの無機材料のいずれも用いることができるが、本実施形態では、耐傷性の点で無機材料からなるシリカ(シリカフィラー)を添加する。シリカは他材料と比較し良好な耐傷性を示すが、これはシリカが適度な硬度を有することに起因すると考えられる。
シリカの粒子径(平均粒子径D50)は、15μm以下であることが好ましく、9μm以下であることがより好ましく、さらには7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。粒子径が15μmを超えると擦傷性評価において粒子の欠落が発生し易くなるため好ましくない。
なお、シリカの粒子径の下限値は、特に制限されないが、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。本実施形態におけるトップコート層15に添加するシリカの粒子径が1μm未満であると、光沢調整剤としての機能が発揮されない可能性がある。
シリカは、1mL/g以上の細孔容積を有することが好ましい。シリカは、細孔容積が大きい(具体的には1mL/g以上)と耐傷性に優れる傾向を示すが、これはバインダー樹脂成分がシリカ細孔へ含侵することが影響していると考えられる。また、細孔容積が大きいシリカは、艶を落とす機能も大きく、光沢調整剤の必要添加量を減ずる効果も大きい。
なお、シリカは、その形状が球状であってもよい。
本実施形態では、物性安定性(耐傷性の機能付与)の観点から、上述したシリカ(シリカフィラー)をトップコート層15のうち下塗り層15bのみに添加する。そのシリカの含有量は、下塗り層15b全体の質量に対して、2質量%以上25質量%以下の範囲内が好ましい。
本実施形態では、下塗り層15bのみにシリカフィラーを添加し、その添加量を変えることで、光沢を調整する。上塗り層15aは、シリカフィラー未添加の一定の塗膜とすることで、シリカフィラー添加量の違いによる物性のバラつきを抑制し、安定化することができる。
また、シリカは、100mL/100g以上200mL/100g以下の吸油量を有することが好ましく、吸油量が150mL/100g以上180mL/100g以下であればより好ましく、吸油量が160mL/100g以上170mL/100g以下であればさらに好ましい。シリカは、吸油量が大きい(具体的には100mL/100g以上200mL/100g以下)と耐傷性に優れる傾向を示すが、これはバインダー樹脂成分とシリカ表面との親和性が高まることが影響していると考えられる。また、吸油量が大きいシリカは、艶を落とす機能も大きく、光沢調整剤の必要添加量を減ずる効果も大きい。そのため、本実施形態では、光沢調整剤として、吸油量が100mL/100g以上200mL/100g以下であるシリカ(シリカフィラー)を添加する場合には、そのシリカの含有量は、下塗り層15b全体の質量に対して、2質量%以上25質量%以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、2質量%以上20質量%以下の範囲内である。また、そのシリカの含有量は、下塗り層15b全体の質量に対して、10質量%以上15質量%以下の範囲内であればさらに好ましい。
なお、シリカフィラーをトップコート層15のうちの下塗り層15bのみに添加する場合について説明したが、下塗り層15bだけでなく、上塗り層15aにも、シリカフィラーを添加してよい。下塗り層15b及び上塗り層15a、すなわちトップコート層15にシリカフィラーを添加する場合には、光沢調整剤としてのシリカフィラーの含有量は、トップコート層15全体の質量に対して、1質量%以上30質量%以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、2質量%以上20質量%以下の範囲内である。つまり、本実施形態では、光沢調整剤として、細孔容積が1mL/g以上のシリカ(シリカフィラー)を添加する場合には、そのシリカの含有量は、トップコート層15全体の質量に対して、1質量%以上30%以下の範囲内が好ましく、より好ましくは2質量%以上20質量%以下の範囲内である。
本実施形態の化粧シート10を構成するトップコート層15に、各種機能を付与するため、例えば、熱安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤、抗菌剤、防カビ剤などの各種添加剤を配合してもよい。
トップコート層15には、上塗り層15a及び下塗り層15bそれぞれに、耐候剤として紫外線吸収剤及び光安定剤が添加されている。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、また、光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系等、任意の組み合わせで添加するのが一般的である。つまり、トップコート層15は、耐候剤として、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤と、NOR型骨格を有する光安定剤とを含んでいる。トップコート層15におけるトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤の含有量は、トップコート層15全体の質量に対して、1質量%以上15質量%以下の範囲内が好ましく、3質量%以上6質量%以下の範囲内がより好ましい。また、トップコート層15におけるNOR型骨格を有する光安定剤の含有量は、トップコート層15全体の質量に対して、1質量%以上10質量%以下の範囲内が好ましく、3質量%以上6質量%以下の範囲内がより好ましい。トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤の含有量及びNOR型骨格を有する光安定剤の含有量が、上記数値範囲内であれば、耐傷性や耐汚染性等のトップコート層15が有する基本的機能を維持しつつ、耐候性をより向上させることができる。
また、トップコート層15において、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤の含有量は、NOR型骨格を有する光安定剤の含有量よりも多いことが好ましく、1.5倍以上3倍以下の範囲内が好ましい。トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤の含有量が、上記数値範囲内であれば、耐傷性や耐汚染性等のトップコート層15が有する基本的機能を維持しつつ、耐候性をさらに向上させることができる。
なお、下塗り層15b及び上塗り層15aは、互いに異なる種類の紫外線吸収剤及び光安定剤を含んでいてもよいし、同じ種類の紫外線吸収剤及び光安定剤を含んでいてもよい。
また、紫外線吸収剤と光安定剤の各添加量は、下塗り層15bの方が上塗り層15aよりも多くてもよいし、少なくてもよい。下塗り層15bと上塗り層15aとで、紫外線吸収剤と光安定剤の各添加量に差を設ける場合には、一方の層の添加量を他方の層の添加量の1.1倍以上2.0倍以下の範囲内、より好ましくは1.5倍以上2.0倍以下の範囲内にすれば、使用上問題のない程度の耐候性が得られるため、好ましい。
トップコート層15のうち上塗り層15aのみに添加される滑剤(ワックス)として、例えば粒子状のポリエチレン系ワックスを適用することができる。ここで「ポリエチレン系ワックス」とは、分子量が数万以下の低分子量ポリエチレンを意味する。また、「ワックス」とは、「(1)常温で固体または半固体のもので、融点が40℃以上あり、(2)加熱すると分解することなく溶けて、粘度の低いもの」を意味する。
ポリエチレン系ワックスとしては、例えば、三洋化成工業株式会社製『サン.ワックス』シリーズや、三井化学ファイン株式会社製『ハイワックス』シリーズを用いることができる。上塗り層15aにおけるポリエチレン系ワックスの含有量は、上塗り層15a全体の質量に対して、10質量%以上30質量%以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、15質量%以上25質量%以下の範囲内である。ポリエチレン系ワックスの含有量が、上記数値範囲内であれば、耐傷性等の上塗り層15aが有する基本的機能を維持しつつ、耐汚染性をより向上させることができる。
なお、上塗り層15aに添加可能な滑剤は、上述した粒子状のポリエチレン系ワックスに限定されず、例えば、粒子状のポリエステル系ワックスであってもよい。
また、上述したワックスは、上塗り層15aだけでなく、下塗り層15bにも添加する構成としてよいが、耐傷性や耐汚染性の観点からすれば、少なくとも上塗り層15aのみにワックスが添加されていてもよく、その分ワックスの添加量を低減することができる。
ワックスを上塗り層15a及び下塗り層15bに添加する場合、すなわちトップコート層15に添加する場合には、そのワックスの含有量は、トップコート層15全体の質量に対して、1質量%以上10質量%以下の範囲内が好ましく、3質量%以上6質量%以下の範囲内がより好ましい。
トップコート層15のうちの上塗り層15aのみに添加される抗菌剤として、例えば銀担持リン酸塩からなる微粒子を適用することができる。リン酸塩は公知のものであれば特に限定されるものではないが、銀、チタン、セリウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、カリウム、アルミニウムおよびガリウムからなる群から選択される金属を一種類以上含むものが好ましい。これらの金属は、その同位体の使用が可能である。抗菌能力から本実施形態においては、特に銀が好ましい。また、リン酸塩を製造する方法として公知の方法が用いられる。
銀担持リン酸塩の含有量は、上塗り層15a全体の質量に対して、1×10-4質量%以上20質量%以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、1質量%以上20質量%以下の範囲内であり、さらに好ましくは、10質量%以上20質量%以下の範囲内である。
ここで、抗菌性能を得るためには、抗菌剤の添加量が比較的多い方が好ましく、逆に表面強度は、抗菌剤の添加量が比較的小さい方が好ましく、添加量が多い場合には、十分な表面強度を得ることができない。具体的には、例えば上塗り層15aの厚みDが3μm以上20μm以下の範囲内であるときには、抗菌剤の添加量は、上述のように、上塗り層15a全体の質量に対して1×10-4質量%以上20質量%以下の範囲内であることが好ましい。抗菌剤の添加量が1×10-4質量%より小さいと、抗菌性能を発揮することができず、20質量%より大きいと、表面強度を確保することができない。
銀担持リン酸塩の粒子径(平均粒子径D50)は、1μm以上であることが好ましい。粒子径が1μm未満であると分散性が低下し、抗菌剤としての機能が発揮されない可能性がある。
なお、銀担持リン酸塩の粒子径の上限値は、特に制限されないが、例えば10μm以下が好ましい。本実施形態における上塗り層15aに添加する銀担持リン酸塩の粒子径が10μmを超えると、擦傷性評価において抗菌剤の欠落が発生し易くなるため好ましくない。
抗菌剤の粒子径(μm)は、1μm以上であって、上塗り層15aの厚みD(μm)の0.1倍以上1.0倍以下であることが好ましく、0.3倍以上0.4倍以下であることがより好ましい。抗菌剤の平均粒子径が上塗り層15aの厚みDの0.1倍より小さいと、抗菌剤の分散性が低下し、十分な抗菌効果を得ることができない場合があり、1.0倍を超えると、表面硬度が低下する場合がある。
また、上述した、抗菌剤の粒子径(μm)が1μm以上であって、上塗り層15aの厚みDの0.1倍以上1.0倍以下である抗菌剤を「第1の抗菌剤」とし、抗菌剤の粒子径(μm)が1μm以上であって、上塗り層15aの厚みDの1.4倍以上1.6倍以下である抗菌剤を「第2の抗菌剤」とした場合、上塗り層15aは、第1の抗菌剤と、第2の抗菌剤とを含んでいてもよい。つまり、上塗り層15aは、平均粒子径の異なる2種類以上の抗菌剤を含んでいてもよい。第2の抗菌剤を含むことで、上塗り層15aの表面から第2の抗菌剤が突起し、その第2の抗菌剤が抗菌効果を発揮するようになる。
また、第1の抗菌剤の添加量と、第2の抗菌剤の添加量との比(第1の抗菌剤の添加量/第2の抗菌剤の添加量)は、1.5以上10以下であればよく、2以上8以下であればより好ましく、3以上5以下であればさらに好ましい。上記数値範囲内であれば、高い抗菌効果が得られる。
また、第1の抗菌剤と第2の抗菌剤とは、同じ種類の抗菌剤(例えば、同じ種類の銀系抗菌剤)であってもよいし、異なる種類の抗菌剤であってもよい。
なお、上塗り層15aに添加可能な抗菌剤としては、上述した銀担持リン酸塩以外に、例えば、無機化合物のゼオライト、アパタイト、ジルコニアなどの物質に銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンのいずれかの金属イオンを取り込んで形成した抗菌性ゼオライト、抗菌性アパタイト、抗菌性ジルコニア等の無機系抗菌剤が使用できる。また抗菌剤として、例えば、ジンクピリジオン、2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、10、10-オキシビスフェノキサノジン、有機チツソイオウハロゲン系、ピリジン-2-チオール-オキシド等の有機系抗菌剤が使用できるが、抗菌効果の点で銀系抗菌剤(銀系材料を含んだ抗菌剤)が優れている。
また、抗菌剤は銀系材料が無機材料に担持されている構成であってもよい。「無機材料」としては、例えば「ガラス」を使用することができる。
銀成分(銀系材料)を無機物に担持させることで、経時での銀成分の脱落や、隣接する層への転移を防ぐことができる。また、抗菌剤は、微粉砕された銀を含んだものであってもよい。
本実施形態で使用可能な抗菌剤としては、具体的には、ジヨードメチル複合体(商品名;PBM-H7、株式会社エムアイシー製)や、水酸化カルシウム焼成物(商品名;スカロー、株式会社細菌研究所製)、あるいは「ビオサイドTB-B100(商品名)」(株式会社タイショーテクノス製)が挙げられる。
また、上述した実施形態では、上塗り層15aに抗菌剤を添加した場合について説明したが、この抗菌剤は、抗ウイルス性能を有する抗ウイルス剤であってもよい。つまり、本実施形態では、抗菌剤に代えて、抗ウイルス剤を上塗り層15aに添加してもよいし、抗菌剤と抗ウイルス剤の両方を上塗り層15aに添加してもよい。
なお、抗ウイルス剤を上塗り層15aに添加する場合の添加量や平均粒子径等は、上述した抗菌剤の場合と同じであってもよい。また、抗菌剤の場合と同様に、平均粒子径の異なる2種類以上の抗ウイルス剤を上塗り層15aに添加してもよい。
上塗り層15aを構成する樹脂は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド硬化剤とを少なくとも含んでいるため、架橋構造を有している。
上塗り層15aを架橋構造とすることで、銀成分を含む抗菌剤の転移をブロックすることが可能となる。架橋構造は、紫外線や、電子線等の高エネルギ、あるいは熱で架橋させることで、架橋度を上げ、銀成分を含む抗菌剤の転移をさらに抑制することができる。
また、抗菌剤は、トップコート層15の上塗り層15aのみではなく、下塗り層15bにも添加する構成としてよい。抗菌剤は、化粧シート10の表面に機能付与するため、少なくとも、上塗り層15aのみに添加されていればよく、下塗り層15bも含めてトップコート層15全体に添加する場合に比較して抗菌剤の添加量を削減することができる。
抗菌材を下塗り層15bにも添加する場合、すなわちトップコート層15には、トップコート層15中、1×10-4質量%以上20質量%以下の範囲内で用いられるのが好ましく、1質量%以上15質量%以下の範囲内で用いられるのがより好ましく、3質量%以上10質量%以下の範囲内で用いられるのがさらに好ましく、5質量%以上8質量%以下の範囲内で用いられるのが最も好ましい。銀担持リン酸塩の含有量が上記数値範囲内であれば、抗菌能力が確実に発揮される。
抗菌材を下塗り層15bにも添加する場合、すなわちトップコート層15には、トップコート層15中、1×10-4質量%以上20質量%以下の範囲内で用いられるのが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下の範囲内で用いられるのがより好ましく、0.3質量%以上5質量%以下の範囲内で用いられるのがさらに好ましく、0.5質量%以上3質量%以下の範囲内で用いられるのが最も好ましい。銀担持リン酸塩の含有量が上記数値範囲内であれば、抗菌能力が確実に発揮される。
さらに、上述した抗菌剤は、トップコート層15のうちの上塗り層15a及び下塗り層15bだけでなく、透明樹脂層14に添加されていてもよい。これにより、摩耗等により透明樹脂層14が露出した場合であっても、抗菌性能を維持することができる。透明樹脂層14に添加する抗菌剤の添加量は、透明樹脂層14全体の質量に対して1質量%以上30質量%以下が好ましい。また抗菌剤の平均粒子径は、2μm以上20μm以下が好ましく、より好ましくは、5μm以上12μm以下である。透明樹脂層14に、抗菌剤を添加する場合には、透明樹脂層14には、塩素を含む成分を添加しない方が好ましい。
トップコート層15の形成方法は、特に限定されるものではない。トップコート層15は、前述の材料を塗液化したものを、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の方法で塗布した後、熱硬化、紫外線硬化など材料に適合した方法で硬化させることで形成してもよい。
また、トップコート層15は、基材層11に設けた絵柄層12にアンカー層13を介して透明樹脂層14と接合した後に設けてもよい。
以下、本実施形態の化粧シート10を構成する各層の厚みについて説明する。印刷作業性、コストなどを考慮すると、基材層11の厚みは、20μm以上150μm以下の範囲内が好ましく、50μm以上100μm以下の範囲内がより好ましい。
同様に、印刷作業性、コストなどを考慮すると、絵柄層12の厚みは、0.5μm以上10μm以下の範囲内が好ましく、1μm以上5μm以下の範囲内がより好ましい。
同様に、印刷作業性、コストなどを考慮すると、アンカー層13の厚みは、1μm以上20μm以下の範囲内が好ましく、1μm以上3μm以下の範囲内がより好ましい。
同様に、印刷作業性、コストなどを考慮すると、透明樹脂層14の厚みは、20μm以上200μm以下の範囲内が好ましく、70μm以上100μm以下の範囲内がより好ましい。
同様に、印刷作業性、コストなどを考慮すると、トップコート層15の厚みは、3μm以上20μm以下の範囲内が好ましく、3μm以上15μm以下の範囲内がより好ましい。
また、化粧シート10の総厚は、45μm以上250μm以下の範囲内とすることが好適である。化粧シート10の総厚が45μmに満たないと、化粧シート10全体の強度が不足し、例えばインラインで化粧シート10を製造した場合に、製造中に化粧シート10が破損するおそれがある。化粧シート10の総厚が250μmを超えると、化粧シート10全体の柔軟性が低下し、化粧シート10に割れや白化が発生するおそれがある。
なお、トップコート層15を構成する下塗り層15bと上塗り層15aとの各厚みは、同じであってもよい。また、下塗り層15bの厚みは、上塗り層15aの厚みより厚くてもよいし、薄くてもよい。下塗り層15bの厚みが上塗り層15aの厚みより厚ければ、より好ましい。下塗り層15bと上塗り層15aとで、その厚みに差を設ける場合には、一方の層の厚みを他方の層の厚みの1.1倍以上2.0倍以下の範囲内、より好ましくは1.5倍以上2.0倍以下の範囲内にすれば、使用上問題のない程度の耐傷性が得られるため、好ましい。
また、下塗り層15bの厚みをX、上塗り層15aの厚みをY、シリカフィラー(無機フィラー)の平均粒子径D50をZとしたとき、これらX、Y、Zが、次式(1)及び(2)を満足するように、下塗り層15bの厚みX、上塗り層15aの厚みY、シリカフィラー(無機フィラー)の平均粒子径D50Zを選定する。
0.33Z≦X+Y≦Z ……(1)
0.25Z≦X<Z ……(2)
つまり、下塗り層15bの厚み(X)と上塗り層15aの厚み(Y)との和、すなわち、トップコート層15の層厚(X+Y)を、シリカフィラーの平均粒子径D50(Z)以下であり、且つシリカフィラーの平均粒子径D50(Z)の0.33倍(略1/3程度)以上とする。また、下塗り層15bの厚み(X)を、平均粒子径D50(Z)の1/4以上であり且つシリカフィラーの平均粒子径D50(Z)よりも小さくする。
ここで、化粧シート10の表面の艶消しを目的とする場合、光沢調整剤としての無機フィラーが、トップコート層15の表面から突出していることが好ましい。そのため、(1)式を満足するようにX、Y、Zを選定することで、無機フィラーをトップコート層15の表面から突出し易くすることができる。
また、無機フィラーを含む下塗り層15bを形成した後、この下塗り層15bの上に上塗り層15aを形成している。このとき、下塗り層15bに含まれる無機フィラーが下塗り層15bから大きく突出している場合、上塗り層15aを形成する際、すなわち下塗り層15bの上に上塗り層15aを塗布する際に、下塗り層15bから無機フィラーが欠落する可能性がある。そのため、(2)式を満足するように、X及びZを選定することで、無機フィラーは下塗り層15bにある程度埋まった状態となるため、上塗り層15aを形成する際に、下塗り層15bから突出している無機フィラーが欠落しにくくすることができる。
なお、図1に示す化粧シート10では、トップコート層15を上塗り層15a及び下塗り層15bの二層構造とした場合について説明しているが、トップコート層15は、トップコート層15の最表層を構成する上塗り層15aと、上塗り層15aと透明樹脂層14との間に位置する下塗り層15bとを少なくとも備えた構成(二層構成)であればよい。例えば、トップコート層15は、上塗り層15aと下塗り層15bとの間に中塗り層(中間層)を備えた構成(三層構成)であってもよいし、下塗り層15bと透明樹脂層14との間に下地層(最下層)を備えた構成(三層構成)であってもよく、四層構成以上であってもよい。その場合も、二層構造である場合と同様に、トップコート層15の最表面からシリカフィラーが突出し易くし、且つシリカフィラーが添加された層の上に他の層を形成する際にシリカフィラーが欠落しにくくなるように、各層の厚みとシリカフィラーの平均粒子径D50を選定すればよい。
[化粧シートの製造方法]
以下、本実施形態に係る化粧シート10の製造方法について、簡単に説明する。
まず、ポリオレフィンを含む基材層11上に絵柄層12を形成する。
次に、絵柄層12上にアンカー層13を形成する。
次に、アンカー層13上に、ポリプロピレンを主成分とする透明樹脂層14を押し出し成型により、70μm以上100μm以下の膜厚で形成する。
次に、透明樹脂層14上に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド硬化剤とを少なくとも含んで形成された硬化塗膜で構成されたトップコート層15を3μm以上15μm以下の膜厚で形成する。トップコート層15を形成する工程では、ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、カルボジイミド硬化剤と、無機フィラーと、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含んだ下塗り層15bを形成した後、ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、カルボジイミド硬化剤と、ワックスと、紫外線吸収剤と、光安定剤と、抗菌剤とを含んだ上塗り層15aを形成する。
こうして、本実施形態に係る化粧シート10を製造する。
また、透明樹脂層14を形成する工程では、その表面の濡れ指数が60dyne以上となるように、透明樹脂層14の表面を処理してもよい。なお、透明樹脂層14の表面における濡れ指数は、所謂「濡れ試薬」を用いて確認することができる。
また、アンカー層13を形成する工程及びトップコート層15を形成する工程の少なくとも一方では、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷のいずれかの方法を用いて各層を形成してもよい。
以上のように、本実施形態の化粧シート10の製造方法は、ポリオレフィンを含む基材層11と、絵柄層12と、アンカー層13と、ポリプロピレンを主成分とする透明樹脂層14と、トップコート層15とをこの順に形成する工程を少なくとも備えている。そして、トップコート層15を形成する工程では、透明樹脂層14上に水性塗工液であるトップコート層用コーティング材を塗工してトップコート層15を形成する。トップコート層15は、下塗り層15bと上塗り層15aとを備えており、ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、カルボジイミド硬化剤と、無機フィラーと、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含んだトップコート下塗り層用コーティング材を透明樹脂層14上に塗工して下塗り層15bを形成した後、ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、カルボジイミド硬化剤と、ワックスと、紫外線吸収剤と、光安定剤と、抗菌剤とを含んだトップコート上塗り層用コーティング材を下塗り層15b上に塗工して上塗り層15aを形成することでトップコート層15を形成する。ここで、トップコート層用コーティング材において、ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、酸価が10mgKOH/g以上であり、且つ水性エマルションの状態でトップコート層用コーティング材(トップコート下塗り層用コーティング材、トップコート上塗り層用コーティング材)に含まれていることが好ましい。
以下に、本発明に基づく実施例について説明する。
以下の手順で、評価用の化粧シートを作成し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例1>
~トップコート下塗り層用コーティング材の調製~
トップコート層用コーティング材を下記処方で調製した。
・樹脂;ポリカーボネート系ウレタンポリマーW-6010(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;カルボジイミド系硬化剤SV-02(日清紡ケミカル株式会社製)、10質量部
・フィラー(シリカ);ミズカシルP803(水澤化学工業株式会社製)、粒子径5μm、10質量部
・紫外線吸収剤(トリアジン系);Tinuvin400DW(BASF製)、1質量部
・光安定剤(NOR型);Tinuvin123DW(BASF製)、1質量部
~トップコート上塗り層用コーティング材の調製~
トップコート層用コーティング材を下記処方で調製した。
・樹脂;ポリカーボネート系ウレタンポリマーW-6010(三井化学株式会社製)、100質量部
・硬化剤;カルボジイミド系硬化剤SV-02(日清紡ケミカル株式会社製)、10質量部
・ワックス(ポリエチレン系);AQUAMAT263(ビックケミー製)、5質量部
・紫外線吸収剤(トリアジン系);Tinuvin400DW(BASF製)、1質量部
・光安定剤(NOR型);Tinuvin123DW(BASF製)、1質量部
・抗菌剤(銀担持型);アパサイダーAW(株式会社サンギ製)、粒子径2μm、0.3質量部
~化粧シートの作成~
基材層11として、隠蔽性のある55μmのポリエチレンシートを使用し、その一方の面に2液型ウレタンインキ(V180、東洋インキ株式会社製)を用いてグラビア印刷方式により絵柄層12を3μm設け、また、基材層11の他方の面に絵柄層12と同一樹脂成分で構成されるプライマーコートを設けた。
この絵柄層12の面上に、ドライラミネート用接着剤(タケラックA540、三井化学株式会社製)を用いてグラビア印刷方式によりアンカー層13を2μmの厚さで設け、この上にベンゾフェノン系紫外線吸収剤0.5質量%、ヒンダードアミン系光安定剤0.5質量%を含むポリプロピレン樹脂を押出しラミネート法により厚さ70μmの透明樹脂層14を設けた。
更にこの透明樹脂層14上に、上述のトップコート下塗り層用コーティング材を使用し、グラビアコーティング法で下塗り層15bを厚さ2μmで設けた。次いで、上述のトップコート上塗り層用コーティング材を使用し、グラビアコーティング法で上塗り層15aを厚さ1μmで設けることにより、実施例1の化粧シート10を作成した。
~生産性の評価~
トップコート層の巻取連続塗工時の状態を目視評価した。
<試験条件>
・グラビア印刷方式による巻取連続塗工時の表面状態を目視評価した。
<評価基準>
〇;問題なし
△;一部でフィラーの欠落部が認められる
×;フィラーの欠落、巻き取り後の裏面への転移が認められる
本評価では、「〇」を合格とした。
~意匠性の評価~
上述の化粧シート10の光沢度測定により、を低光沢表現の可否を評価した。
<試験条件>
・Rhopoint IQ(コニカミノルタ株式会社製)を用いて、60度光沢度を測定した。
<評価基準>
〇;光沢度5未満
×;光沢度5以上
本評価では、「〇」を合格とした。
~耐傷性の評価~
上述の化粧シート10の耐傷性評価を下記条件により実施し、試験後のサンプル状態を目視評価した。
<試験条件>
・スチールウール試験;スチールウールとしてボンスター#0000(ボンスター販売株式会社)を使用した。
・試験条件;500g荷重で20往復擦過
<評価基準>
〇:痕跡なし
△:痕跡あり
×:塗膜の損傷を伴う痕跡あり
本評価では、「〇」を合格とした。
~耐汚染性の評価~
上述の化粧シート10の耐汚染性評価を下記条件により実施し、試験後のサンプル状態を目視評価した。
<試験条件>
・1%水酸化ナトリウム水溶液を表面に滴下し、24時間放置後の表面状態を目視観察した。
<評価基準>
〇:痕跡なし
△:わずかに痕跡あり
×:溶解に伴う明確な痕跡あり
本評価では、「〇」を合格とした。
~耐候性の評価~
上述の化粧シート10の耐候性評価を下記条件により実施し、試験後のサンプル状態を目視評価した。
<試験条件>
・スーパーキセノン試験機;株式会社東洋精機製作所製アトラス・ウエザオメータCi4000
・試験条件;180W光照射、12min降雨/120minサイクル、500hr
<評価基準>
〇:試験前後で変化なし
△:試験後のサンプルに一部白化している箇所を確認した。その白化は、使用上問題のないレベルであった。
×:試験後のサンプルに白化している箇所や一部剥離している箇所を確認した。その白化や剥離は、使用上問題があるレベルであった。
本評価では、「〇」を合格とした。
<実施例2>
実施例1のトップコート下塗り層の膜厚を3μmとした以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<実施例3>
実施例1のトップコート下塗り層用コーティング材の処方中、フィラーをミズカシルP510(水澤化学工業株式会社製、粒子径10μm)、下塗り層の膜厚を4μm、上塗り層の膜厚を2μmとした以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<実施例4>
実施例3のトップコート下塗り層の膜厚を5μmとした以外は、実施例3と同様の方法で実施例4の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<実施例5>
実施例1のトップコート下塗り層の膜厚を1.25μm、上塗り層の膜厚を2μmとした以外は、実施例1と同様の方法で実施例5の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<実施例6>
実施例1のトップコート下塗り層の膜厚を1.25μm、上塗り層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例1と同様の方法で実施例6の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<実施例7>
実施例1のトップコート下塗り層の膜厚を4μmとした以外は、実施例1と同様の方法で実施例7の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<比較例1>
実施例1のトップコート上塗り層の膜厚を4μmとした以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<比較例2>
実施例1のトップコート下塗り層の膜厚を1μm、上塗り層の膜厚を3μmとした以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<比較例3>
実施例1のトップコート下塗り層の膜厚を6μmとした以外は、実施例1と同様の方法で比較例3の化粧シートを作成し、評価を実施した。
<比較例4>
実施例1のトップコート下塗り層の膜厚を1μm、上塗り層の膜厚を0.5μmとした以外は、実施例1と同様の方法で比較例4の化粧シートを作成し、評価を実施した。
Figure 2024061064000002
表1に示す通り、本実施例により、耐候性、耐傷性、耐汚染性に優れた物性を有する化粧シートが得られることが確認された。
なお、本発明は、例えば、以下のような構成をとることができる。
(1)
ポリオレフィン基材と、
前記ポリオレフィン基材上に形成された絵柄層と、
前記絵柄層上に形成されたアンカーコート層と、
前記アンカーコート層上に形成され、ポリプロピレンを主成分とする透明樹脂層と、
前記透明樹脂層上に形成されたトップコート層と、を備え、
前記トップコート層は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド硬化剤とを少なくとも含む硬化塗膜からなる、下塗り層及び上塗り層の二層で構成され、
前記下塗り層が、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、前記カルボジイミド硬化剤と、無機フィラーと、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含み、
前記上塗り層が、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、前記カルボジイミド硬化剤と、ワックスと、紫外線吸収剤と、光安定剤と、抗菌剤とを含み、
前記下塗り層の膜厚をX、前記上塗り層の膜厚をY、前記下塗り層中の前記無機フィラーの平均粒子径をZとしたとき、0.33Z≦X+Y≦Z、及び0.25Z≦X<Zを満足することを特徴とする化粧シート。
(2)
前記トップコート層に含まれる前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂の酸価が10mgKOH/g以上であることを特徴とする上記(1)に記載の化粧シート。
(3)
前記トップコート層に含まれる前記カルボジイミド硬化剤の添加量は、カルボジイミドのモル当量(mmol/g)と前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量(mmol/g)の当量比(カルボジイミドのモル当量/ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量)で1以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の化粧シート。
(4)
前記トップコート層に含まれる前記無機フィラーが、粒子径15μm以下のシリカフィラーであり、且つ、前記トップコート層のうち前記下塗り層のみに、前記下塗り層全体の質量に対して2質量%以上25質量%以下の範囲内で添加されていることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の化粧シート。
(5)
前記トップコート層に含まれる前記抗菌剤が、銀担持リン酸塩からなる粒子径1μm以上の微粒子であり、且つ、前記トップコート層のうち前記上塗り層のみに添加されていることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の化粧シート。
(6)
前記トップコート層に含まれる前記ワックスが、ポリエチレン系粒子であり、且つ、前記トップコート層のうち前記上塗り層のみに添加されていることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の化粧シート。
(7)
前記トップコート層に含まれる前記紫外線吸収剤がトリアジン骨格を有することを特徴とする上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の化粧シート。
(8)
前記トップコート層に含まれる前記光安定剤がNOR型骨格を有することを特徴とする上記(1)から(7)のいずれか一項に記載の化粧シート。
(9)
上記(1)から(8)のいずれか一項に記載の化粧シートの製造方法であって、
前記透明樹脂層の上に前記トップコート層を積層する工程を備え、
当該トップコート層を積層する工程は、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂を水性エマルションの形態で含む水性塗工液を前記透明樹脂層の上に塗布し硬化する工程であることを特徴とする化粧シートの製造方法。
10 化粧シート
11 基材層
12 絵柄層
13 アンカー層
14 透明樹脂層
15 トップコート層
15a 上塗り層
15b 下塗り層

Claims (9)

  1. ポリオレフィン基材と、
    前記ポリオレフィン基材上に形成された絵柄層と、
    前記絵柄層上に形成されたアンカーコート層と、
    前記アンカーコート層上に形成され、ポリプロピレンを主成分とする透明樹脂層と、
    前記透明樹脂層上に形成されたトップコート層と、を備え、
    前記トップコート層は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド硬化剤とを少なくとも含む硬化塗膜からなる、下塗り層及び上塗り層の二層で構成され、
    前記下塗り層が、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、前記カルボジイミド硬化剤と、無機フィラーと、紫外線吸収剤と、光安定剤とを含み、
    前記上塗り層が、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂と、前記カルボジイミド硬化剤と、ワックスと、紫外線吸収剤と、光安定剤と、抗菌剤とを含み、
    前記下塗り層の膜厚をX、前記上塗り層の膜厚をY、前記下塗り層中の前記無機フィラーの平均粒子径をZとしたとき、0.33Z≦X+Y≦Z、及び0.25Z≦X<Zを満足することを特徴とする化粧シート。
  2. 前記トップコート層に含まれる前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂の酸価が10mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記トップコート層に含まれる前記カルボジイミド硬化剤の添加量は、カルボジイミドのモル当量(mmol/g)と前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量(mmol/g)の当量比(カルボジイミドのモル当量/ポリカーボネート系ウレタン樹脂中のカルボキシ基のモル当量)で1以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  4. 前記トップコート層に含まれる前記無機フィラーが、粒子径15μm以下のシリカフィラーであり、且つ、前記トップコート層のうち前記下塗り層のみに、前記下塗り層全体の質量に対して2質量%以上25質量%以下の範囲内で添加されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  5. 前記トップコート層に含まれる前記抗菌剤が、銀担持リン酸塩からなる粒子径1μm以上の微粒子であり、且つ、前記トップコート層のうち前記上塗り層のみに添加されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  6. 前記トップコート層に含まれる前記ワックスが、ポリエチレン系粒子であり、且つ、前記トップコート層のうち前記上塗り層のみに添加されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  7. 前記トップコート層に含まれる前記紫外線吸収剤がトリアジン骨格を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  8. 前記トップコート層に含まれる前記光安定剤がNOR型骨格を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の化粧シートの製造方法であって、
    前記透明樹脂層の上に前記トップコート層を積層する工程を備え、
    当該トップコート層を積層する工程は、前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂を水性エマルションの形態で含む水性塗工液を前記透明樹脂層の上に塗布し硬化させる工程であることを特徴とする化粧シートの製造方法。
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