JP2024057754A - 活性エネルギー線硬化性組成物、硬化塗膜及び積層フィルム - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物、硬化塗膜及び積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】低粘度であり、高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物、硬化塗膜及び積層フィルムを提供する。【解決手段】2官能(メタ)アクリレート(A)、及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記2官能(メタ)アクリレート(A)の水酸基価が特定の範囲かつ分子量が特定の範囲であり、2官能(メタ)アクリレート(A)の樹脂固形分中における含有量が25質量%以上であり、有機溶剤の含有量が組成物中に10質量%以下である活性エネルギー線硬化性組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、低粘度であり、高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物、硬化塗膜及び積層フィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アセチル化セルロース樹脂などを用いて製造されるプラスチックフィルムは、フラットパネルディスプレイの内部に組み込まれる偏光板保護フィルムやタッチパネルの表面保護フィルムなど、工業用途で多用されている。これらのプラスチックフィルムはそれ単独では表面が傷つきやすい、加工性が低く割れやヒビが入りやすいなど性能に不足があることから、通常は、表面に活性エネルギー線硬化性樹脂等からなるコート層を設けて、これらの性能を補って用いられる。
プラスチックフィルム補強用のコート剤としては、例えば、ジペンタエリスリトールポリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させて得られるウレタンアクリレートを含有する樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。前記樹脂組成物は、硬化物における表面硬度が高く、耐擦傷性に優れるものの、カールが生じ易く、また、塗膜の靱性や柔軟性が十分ではないため、外部衝撃による割れが生じやすいものであった。
また特許文献1では樹脂組成物の粘度調整のため、樹脂と同量のメチルエチルケトンを樹脂組成物に添加し、基材へ塗布し乾燥させたのち、紫外線照射により硬化させることも開示されている。このように、樹脂組成物を塗液化するために、溶剤を用いて低粘度化することが行われているが、塗液に溶剤を用いる場合、揮発性有機化合物(VOC)の排出による環境への影響や、乾燥に要する大きな設備の必要性、膜の内部に残った溶剤によるフィルム特性への影響などが懸念される。
そこで、溶剤を使用せずとも低粘度であり、高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成可能な材料が求められていた。
国際公開第2010/146801号
本発明が解決しようとする課題は、溶剤を使用せずとも低粘度であり、高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物、硬化塗膜及び積層フィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、2官能(メタ)アクリレート(A)、及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記2官能(メタ)アクリレート(A)の水酸基価が特定の範囲かつ分子量が特定の範囲であり、有機溶剤の含有量が組成物中に10質量%以下である活性エネルギー線硬化性組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供するものである。
[1]2官能(メタ)アクリレート(A)、及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記2官能(メタ)アクリレート(A)の水酸基価が210mgKOH/g以上かつ分子量が240以下であり、2官能(メタ)アクリレート(A)の樹脂固形分中における含有量が25質量%以上であり、有機溶剤の含有量が組成物中に10質量%以下である活性エネルギー線硬化性組成物。
[2]多官能(メタ)アクリレート(B)をさらに含有し、前記多官能(メタ)アクリレート(B)の25℃における粘度が70mPa・s以下である[1]の活性エネルギー線硬化性組成物。
[3]前記2官能(メタ)アクリレート(A)が第1級又は第2級アルコール化合物である[1]又は[2]の活性エネルギー線硬化性組成物。
[4]前記2官能(メタ)アクリレート(A)の樹脂固形分中における含有量が40~90質量%の範囲であり、多官能(メタ)アクリレート(B)の樹脂固形分中における含有量が5~60質量%の範囲である[2]または[3]の活性エネルギー線硬化性組成物。
[5]レベリング剤をさらに含有する[1]~[4]のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物。
[6]前記2官能(メタ)アクリレート(A)が天然物由来である[1]~[5]のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物。
[7][1]~[6]のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物の硬化反応物である硬化塗膜。
[8][7]の硬化塗膜と基材からなる積層フィルム。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、低粘度であり、高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成できることから、各種基材表面の保護用コート剤、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に用いる光学フィルムとして好適に用いることができる。
本明細書では、「アクリレート」と「メタクリレート」とを総称して「(メタ)アクリレート」といい、「(メタ)アクリロイル」と「アクリロイル」とを総称して「(メタ)アクリロイル」という。また、活性エネルギー線硬化性組成物を単に「組成物」ということがある。また2官能(メタ)アクリレート(A)を(A)成分とし、(B)成分においても同様にいうことがある。
[活性エネルギー線硬化性組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、2官能(メタ)アクリレート(A)、及び光重合開始剤を少なくとも含有する。
[2官能(メタ)アクリレート(A)]
前記2官能(メタ)アクリレート(A)は、水酸基価が210mgKOH/g以上且つ分子量が240g/mol以下であり、一分子内に(メタ)アクリロイル基を2つ有する化合物全般を指す。或いは、そのような化合物を主成分とした混合物又は市販品であっても良い。2官能(メタ)アクリレート(A)として市販品を用いる場合、市販品においても水酸基価210mgKOH/g以上且つ分子量240g/mol以下である。
前記2官能(メタ)アクリレート(A)の水酸基価が210mgKOH/g以上の範囲であれば、分子間で水素結合を形成し、(メタ)アクリロイル基の運動性が低下する。したがって、水酸基、(メタ)アクリロイル基が組成物中に高密度でバランス良く存在することで比較的低粘度であり、硬化物の硬度および耐カール性のバランスが良く向上すると考えられる。
2官能(メタ)アクリレート(A)の水酸基価は、210mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、220mgKOH/g以上295mgKOH/g以下の範囲の範囲であることがより好ましく、225mgKOH/g以上290mgKOH/g以下の範囲であることが特に好ましい。水酸基価が大きすぎると極性が大きくなるため高粘度化する。よって、これらの範囲とすることで、粘度の上昇を抑制しつつ、硬度および耐カール性のバランスが良く向上する。
前記2官能(メタ)アクリレート(A)の分子量が240g/mol以下の範囲であれば、組成物の粘度の上昇を抑えることができる。2官能(メタ)アクリレート(A)の分子量は、190g/mol以上240g/mol以下の範囲であることが好ましく、190g/mol以上235g/mol以下の範囲の範囲であることがより好ましく、190g/mol以上230g/mol以下の範囲であることが特に好ましい。これらの範囲とすることで、組成物の粘度の上昇をより抑えつつ、硬度および耐カール性ことができる。
2官能(メタ)アクリレート(A)は、水酸基価及び分子量が上記の範囲内であれば構造は特に限定されず、公知の化合物を使用可能である。
2官能(メタ)アクリレート(A)として、例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
2官能(メタ)アクリレート(A)が市販品である場合、例えば、「アロニックスM-920」(グリセリンジアクリレートを主成分とするグリセリントリアクリレートとの混合物、東亜合成社製、水酸基価:240mgKOH/g、分子量:200)、「ライトエステルG-201P」(2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、共栄社化学社製、水酸基価262mgKOH/g、分子量214)、「ライトエステルG-101P」(グリセリンジメタクリレート、共栄社化学社製、水酸基価245mgKOH/g、分子量228)等が挙げられる。これら市販品は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
上述した中でも低粘度であり、高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成可能なことから、2官能(メタ)アクリレート(A)は第1級又は第2級アルコール化合物であることがより好ましく、グリセリンジ(メタ)アクリレート又は2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレートが特に好ましい。市販品であれば、「アロニックスM-920」または「ライトエステルG-201P」が特に好ましい。
また、サステナビリティの観点から、前記2官能(メタ)アクリレート(A)としては、天然物由来のものを使用することがより好ましい。
2官能(メタ)アクリレート(A)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して25質量部以上であり、上限値は特に限定されない。この範囲とすることで硬化塗膜のカールを抑制することができる。また、樹脂固形分100質量部に対して25~100質量部の範囲であることがより好ましく、40~90質量部の範囲であることがさらに好ましく、60~80質量部の範囲であることが特に好ましい。これら範囲とすることで、低粘度であり、高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
また本発明における樹脂固形分とは、前記2官能(メタ)アクリレート(A)をはじめとする、組成物中の分子中に(メタ)アクリロイル基を有する化合物の合計の総量を指す。
[光重合開始剤]
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、3,3′-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4′-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′-ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなど各種ベンゾフェノン;
キサントン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンなどのキサントン、チオキサントン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなど各種アシロインエーテル;
ベンジル、ジアセチルなどのα-ジケトン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、p-トリルジスルフィドなどのスルフィド類;4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチルなど各種安息香酸;
3,3′-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノ)クマリン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4′-メチルジメチルスルフィド、2,2′-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ-ル、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、o-ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリルニ量体、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-[ジ-(エトキシカルボニルメチル)アミノ]フェニル-S-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(4-エトキシ)フェニル-S-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-エトキシ)フェニル-S-トリアジンアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、β-クロルアントラキノンなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、前記光重合開始剤の中でも、より広範囲の波長の光に対して活性を示し、前記硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の硬化性を向上できることから、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンの群から選ばれる1種または2種類以上の混合系を用いることが好ましい。
前記光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。
前記光重合開始剤の添加量は、光重合開始剤としての機能を十分に発揮し得る量であり、かつ、結晶の析出や塗膜物性の劣化が生じない範囲が好ましく、具体的には、樹脂固形分100質量部に対して、0.05~20質量部の範囲が好ましく、0.1~10質量部の範囲がより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに多官能(メタ)アクリレート(B)を含有しても構わない。多官能(メタ)アクリレート(B)を含有することで、架橋密度がより向上し、粘度の上昇を抑えつつ、より高硬度な硬化塗膜を形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
[多官能(メタ)アクリレート(B)]
多官能(メタ)アクリレート(B)は、1分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、粘度が70mPa・s以下である化合物又はそれを主成分とする混合物又は市販品である。多官能(メタ)アクリレート(B)として市販品を用いる場合には、市販品の粘度が70mPa・s以下である。
ただし多官能(メタ)アクリレート(B)は、2官能(メタ)アクリレート(A)に該当しない化合物又は市販品である。
前記多官能(メタ)アクリレート(B)の粘度が70mPa・s以下であることで、溶剤を使用せずとも組成物の粘度上昇を抑えられ、複数の(メタ)アクリロイル基を有することから架橋密度が向上し高硬度な硬化塗膜が得られる。
前記多官能(メタ)アクリレート(B)は、粘度が70mPa・s以下且つ複数の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば特に構造は限定されないが、例えば、(A)成分以外の2官能(メタ)アクリレート化合物、3官能(メタ)アクリレート化合物等の(メタ)アクリレート単量体等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら多官能(メタ)アクリレート(B)はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
多官能(メタ)アクリレート(B)が市販品である場合、例えば、「アロニックスM-930」(グリセリントリアクリレート、東亜合成社製、粘度:30mPa・s)、「Miramer M3130」(トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、Miwon社製、粘度:65mPa・s)、「Miramer M3160」(トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、Miwon社製、粘度:70mPa・s)、「Miramer M301」(トリメチロールプロパントリメタアクリレート、Miwon社製、粘度:55mPa・s)等が挙げられる。これら市販品は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
上述した中でも、多官能(メタ)アクリレート(B)は、低粘度、高硬度、耐カール性の観点から、グリセリントリ(メタ)アクリレート又はトリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレートがより好ましく、市販品であれば「アロニックスM-930」、「Miramer M3130」がより好ましい。
多官能(メタ)アクリレート(B)の含有量は特に限定されないが、樹脂固形分100質量部に対して0質量部以上70質量部以下の範囲であることが好ましく5質量部以上60質量部以下の範囲であることがより好ましく、10質量部以上40質量部以下の範囲であることが特に好ましい。これら範囲とすることで、低粘度であり、高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物は、塗液の基材への濡れ性を付与する又は表面張力を向上させる目的でレベリング剤をさらに含有しても良い。
[レベリング剤]
レベリング剤としては、各種公知のレベリング剤を用いることができる。レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる塗膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、シリコーン系、ポリアクリレート系及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。レベリング剤として市販品を用いてもよく、具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22-161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF-4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC-72、同FC-40、同FC-43、同FC-3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R-08、同R-30、同R-90、同F-410、同F-411、同F-443、同F-445、同F-470、同F-477、同F-479、同F-482、同F-483、同F-556(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S-381、同S-382、同S-383、同S-393、同SC-101、同SC-105、KH-40、SA-100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BYK-307、BYK-322、BYK-323、BYK-331、BYK-333、BYK-345、BYK-348、BYK-349、BYK-352、BYK-353、BYK-356、BYK-361N、BYK-377、BYK-378、BYK-399、BYK-3450、BYK-3451、BYK-3455、BYK-UV3500、BYK-UV3505、BYK-UV3510、BYK-UV3530、BYK-UV3535、BYK-UV3570、BYK-UV3575、及びBYK-UV3576(いずれも商品名:ビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。レベリング剤は単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
レベリング剤の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、0.01~0.5質量部の範囲であることが好ましく、0.05~0.3質量部の範囲であることがより好ましく、0.08~0.2質量部の範囲であることが特に好ましい。レベリング剤の含有量が、上記範囲内であると、組成物を基材に対して平滑に塗布することができ、且つ高硬度、密着性及び耐カール性に優れる硬化塗膜を形成可能な組成物が得られる。
また、前記活性エネルギー線硬化性組成物は、本発明の課題解決を阻害しない範囲でその他添加剤をさらに添加することができる。
[その他添加剤]
その他添加剤としては、光増感剤、(A)成分(B)成分以外の光硬化性化合物(R)や有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、有機ビーズ、無機微粒子、無機フィラー、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤、着色剤等を含有しても良い。
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
前記その他の光硬化性化合物(R)としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらその他の光硬化性化合物(R)はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
本発明の組成物は、有機溶剤を一切含有しない。或いは、有機溶剤を含有するとしても、組成物中に10質量%未満の範囲である。そうすることで環境に配慮しつつ、高硬度、優れた耐カール性を有する硬化塗膜が得られる。
本発明は、有機溶剤を含有せずとも低粘度な組成物を得られ、組成物を硬化させた硬化塗膜は高硬度、優れた耐カール性を示すが、組成物中の各成分の合成時に微量含有する場合や、用途に応じてより低粘度であることが必要な場合は、有機溶剤を10質量%未満の範囲であれば含有しても構わない。
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記シリコン系添加剤としては、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記フッ素系添加剤としては、例えば、DIC株式会社製「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらのフッ素系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル・ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン等のビニル系のシランカップリング剤;
ジエトキシ(グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、2-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系のシランカップリング剤;
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチレン系のシランカップリング剤;
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ系のシランカップリング剤;
N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系のシランカップリング剤;
3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド系のシランカップリング剤;
3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル系のシランカップリング剤;
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキンシラン等のメルカプト系のシランカップリング剤;
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファイド等のスルフィド系のシランカップリング剤;
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系のシランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記リン酸エステル化合物としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられ、市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-2」、「カヤマーPM-21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-1M」「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S-23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
前記有機ビーズとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ-ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらの有機ビーズは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら有機ビーズの平均粒径は、1~10μmの範囲であることが好ましい。
前記無機微粒子は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら無機微粒子の平均粒径は、10~300nmの範囲であることが好ましく、特に50~150nmの範囲であることがより好ましい。
前記無機微粒子を含有する場合には、分散補助剤を用いることができる。前記分散補助剤としては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、トリイソデシルホスファイト、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタクリレート等のリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの分散補助剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記分散補助剤の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製「カヤマーPM-21」、「カヤマーPM-2」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-2M」等が挙げられる。
[硬化塗膜]
本発明の硬化塗膜は、前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られたものである。
前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化方法としては、方法としては、例えば、加熱する方法、紫外線等の活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
前記加熱する方法としては、60~200℃の温度領域で0.5分~60分加熱することで硬化させることができる。
また、前記活性エネルギー線を照射する方法としては、例えば、紫外線の場合、紫外線発生源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等の紫外線ランプを用いる方法にて硬化させることができる。
前記活性エネルギー線としては、前記紫外線の他に、例えば、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線も用いることができる。
前記活性エネルギー線の照射量は、0.05~5J/cmの範囲であることが好ましく、0.1~3J/cmの範囲であることがより好ましく、0.1~1J/cmの範囲であることが特に好ましい。なお、上記の紫外線照射量は、UVチェッカーUVR-N1(日本電池株式会社製)を用いて300~390nmの波長域において測定した値に基づく。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、基材上に、前記硬化塗膜を有するものである。
本発明の積層フィルムの製造方法としては、例えば、前記基材の少なくとも1面に、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、次いで活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
前記基材としては、例えば、金属基材、プラスチック基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材等が挙げられる。これらの基材の中でも、前記硬化性樹脂組成物との密着性に優れることからプラスチック基材が好ましい。
前記プラスチック基材の材質としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリエステル、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ABS樹脂とポリカーボネートとの複合樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン(COP)等)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリイミド等が挙げられる。
前記プラスチック基材としては、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品が挙げられる。また、プラスチックを素材としたフィルム基材も用いることができる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、フローコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、刷毛塗り、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法が挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成する塗膜の膜厚は、使用される用途に応じて適宜調整可能であるが、通常は、0.01~50μmの範囲であることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、前記基材と、前記硬化物からなる層のほかに、反射防止フィルム、拡散フィルム、偏光フィルム等の機能性フィルム層を有していてもよい。
本発明の積層フィルムは、高硬度且つ耐カール性に優れた硬化塗膜を有することから、基材表面を保護するコート層として用いることができる。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に用いる光学フィルムに好適に用いることができる。
また、本発明の積層フィルムを有する物品としては、例えば、携帯電話、家電筐体、自動車のバンパー、OA機器等のプラスチック成形品等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例の組成物における「%」は「質量%」を意味する。
(実施例1:活性エネルギー線硬化性組成物(1)の調整)
グリセリンジアクリレート(東亜合成社製の「アロニックス M-920」、グリセリントリアクリレートを14%含む、水酸基価:240mgKOH、分子量:200)75質量部、グリセリントリアクリレート(東亜合成社製の「アロニックス M-930」、粘度:30mPa・s)25質量部、レベリング剤(ビックケミー・ジャパン社製社製「BYK-356」)0.1質量部、光重合開始剤(RUNTEC Chemical社製の「Runtecure1104」)5質量部を均一に混合して、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を調整した。
(実施例2~6、比較例1~7:活性エネルギー線硬化性組成物(2)~(6)、(R1)~(R7)の作成)
各組成を表1又は2に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、活性エネルギー線硬化性組成物(2)~(6)、(R1)~(R7)を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を用いて、下記の評価を行った。
[粘度の測定方法]
E型粘度計(東機産業株式会社製「TV-25」)を用いて、各実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物の25℃における粘度(mPa・s)を測定した。
[評価用サンプルの作製]
各例の活性エネルギー線硬化性組成物を、厚さ40μmのTAC基材(富士フィルム社製「FTTD40UC」)に、バーコーターで膜厚塗工し、窒素囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、高圧水銀ランプ)を用いて照射光量150mJ/cmで照射し、膜厚5-6μmの硬化塗膜を有するTAC基材を得、これを評価用サンプルとした。
[密着性の評価方法]
上記で得られ評価用サンプルの硬化塗膜表面にカッタ-ナイフで切れ目を入れて、1mm×1mmの碁盤目を100個作製し、その上からセロハンテ-プ(ニチバン株式会社製「セロテープ(登録商標)」CT-18)を貼着した後、急速に剥がす操作を行い、剥離せずに残存した碁盤目の数を数え、以下の基準に従い評価し、Aを合格、B~Dを不合格とした。
A:碁盤目の残存数が100個であった。
B:碁盤目の残存数が95個以上100個未満であった。
C:碁盤目の残存数が10個以上95未満であった。
D:碁盤目の残存数が10個未満であった。
[硬度の測定方法]
上記で得られた評価用サンプルにおいて、JIS K5600-5-4〔引っかき硬度(鉛筆法)〕に準拠し、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜表面の硬度を500g荷重条件下で測定した。1つの硬度につき5回測定を行い、傷が付かなかった測定が4回以上あった硬度を硬化塗膜の硬度とした。
なお、鉛筆の硬度は、硬度が高い順から3H、2H、H、F、HB、Bである。
[耐カール性の評価方法]
上記で得られた評価用サンプルから10cm四方の塗膜を切り出して試験片を得、該試験片について4角の水平からの浮きを測定し、その平均値(cm)で評価した。値が小さいほどカールが小さく、耐カール性に優れる。尚、比較例1~7の組成物を用いた評価用サンプルでは、カールが大きく筒状になってしまったため平均値を測定できなかった。
上記の評価結果を表1及び2に示す。
Figure 2024057754000001
Figure 2024057754000002
表1及び2中の略語は次の化合物を表す。
光重合開始剤:RUNTEC Chemical社製の「Runtecure1104」
GLY-DA:「アロニックス M-920」中に86%含有されるグリセリンジアクリレート(水酸基価280mgKOH/g、分子量228)
化合物(1):2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート(共栄化学社製「ライトエステルG-201P」、水酸基価262mgKOH/g、分子量214)
GLY-TA:「アロニックス M-920」中に14%含有されるグリセリントリアクリレートと、「アロニックスM-930」由来のグリセリントリアクリレートの合計(グリセリントリアクリレートの粘度は30mPa・s)
化合物(2):エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(MIWON社製「Miramer M3130」、粘度65mPa・s)
化合物(3):ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレートを主成分とするペンタエリスリトールとアクリル酸の反応生成物(東亜合成社製「アロニックス M-305」、粘度500mPa・s)
化合物(4):ヘキサンジオールジアクリレート(MIWON社製「Miramer M200」、粘度6mPa・s)
化合物(5):ジプロピレングリコールジアクリレート(MIWON社製「Miramer M222」、粘度10mPa・s)
化合物(6):ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄化学社製「ライトアクリレート DCP-A」、粘度120mPa・s)
化合物(7):1,9-ノナンジオールジアクリレート(共栄化学社製「ライトアクリレート 1,9ND-A」、粘度10mPa・s)
化合物(8):ネオペンチルグリコールジアクリレート(共栄化学社製「ライトアクリレート NP-A」、粘度6mPa・s)
レベリング剤:BYK-356(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-356」)
実施例1~6の組成物を用いた評価結果より、本発明の組成物は溶剤を使用せずとも低粘度且つ、密着性、硬度、及び耐カール性に優れた硬化塗膜を形成可能なことを確認した。一方、(A)成分の樹脂固形分における含有量が20質量%未満である比較例1では、耐カール性が著しく低下した。また(A)成分を含有しない比較例2~7では耐カール性が損なわれただけでなく、化合物の組み合わせによって組成物の粘度が向上し、硬化塗膜の密着性及び硬度も低下した。

Claims (8)

  1. 2官能(メタ)アクリレート(A)、及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
    前記2官能(メタ)アクリレート(A)の水酸基価が210mgKOH/g以上かつ分子量が240以下であり、
    2官能(メタ)アクリレート(A)の樹脂固形分中における含有量が25質量%以上であり、
    有機溶剤の含有量が組成物中に10質量%以下である活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 多官能(メタ)アクリレート(B)をさらに含有し、
    前記多官能(メタ)アクリレート(B)の25℃における粘度が70mPa・s以下である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 前記2官能(メタ)アクリレート(A)が第1級又は第2級アルコール化合物である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 前記2官能(メタ)アクリレート(A)の樹脂固形分中における含有量が40~90質量%の範囲であり、多官能(メタ)アクリレート(B)の樹脂固形分中における含有量が5~60質量%の範囲である請求項2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. レベリング剤をさらに含有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  6. 前記2官能(メタ)アクリレート(A)が天然物由来である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化反応物である硬化塗膜。
  8. 請求項7記載の硬化塗膜と基材からなる積層フィルム。
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