JP2024057567A - 流動物の塗布方法 - Google Patents

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拓也 鈴木
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Abstract

【課題】ワークの塗布面に高粘度の流動物を簡便に塗布するのに有効な技術を提供する。【解決手段】ワークである基材3の塗布面3aに高粘性の流動物であるシール剤Sを塗布する塗布方法は、塗布面3aに隙間Gを空けて配置したノズル11からシール剤Sを吐出して塗布面3aに付着させることにより、シール剤Sがノズル11の吐出口11aから塗布面3aまで延びてなる保形部Saを形成する保形部形成工程と、保形部形成工程で形成した保形部Saに対してノズル11の吐出口11aを横切る第1方向Y1にワイヤー13をスライドさせることにより、保形部Saを切断して塗布面3a側に付着状態のままで残留させる保形部切断工程と、を有する。【選択図】図8

Description

本発明は、流動物を塗布する技術に関する。
自動車の車体などの基材には、電着塗料抜き目的の開口孔や、部材の溶接用位置決めに使用される開口孔など、種々の開口部が設けられている。これらの開口部を通じて雨水や塵埃及び音などが侵入するのを防止するために、樹脂材料やゴム材料などからなる弾性変形可能な封止部品が用いられる。この封止部品を基材の開口部に押し込んで嵌め込むことによって開口部が封止される。このような封止部品は、一般的に「プラグ」と称される。
また、下記の特許文献1には、発泡剤を含むシール剤を開口孔に埋め込み、シール剤を発泡させて閉塞する封止方法が開示されている。このような封止方法は、異なる大きさの開口孔のサイズに合わせて予め複数種類のプラグを準備する必要がなく、プラグの部品コストを削減できるという利点を有する。
特開昭61-263827号公報
ところが、上記の封止方法を採用する場合、作業者はシール剤を掴んだ状態で開口孔毎に毎回手を伸ばして、このシール剤を開口孔に埋め込む作業を手作業で行う必要がある。このため、封止作業に要する作業者の負担が大きいという問題が生じ得る。とりわけ、自動車の車体などに設けられている開口孔の数が多く、作業者が同じ姿勢を繰り返すことになるため、このような問題がより顕著にあらわれる。そこで、このような作業を簡便に行うことを可能とする技術が求められている。また、このような技術は、基材に設けられた開口孔をシール剤で封止するときのみならず、各種のワークの塗布面にシール剤のような高粘性の流動物を塗布する場合においても同様に要請される。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ワークの塗布面に高粘度の流動物を簡便に塗布するのに有効な技術を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
ワークの塗布面に高粘性の流動物を塗布する、流動物の塗布方法であって、
上記塗布面に隙間を空けて配置したノズルから上記流動物を吐出して上記塗布面に付着させることにより、上記流動物が上記ノズルの吐出口から上記塗布面まで延びてなる保形部を形成する保形部形成工程と、
上記保形部形成工程で形成した上記保形部に対して上記ノズルの上記吐出口を横切る横断方向にワイヤーをスライドさせることにより、上記保形部を切断して上記塗布面側に付着状態のままで残留させる保形部切断工程と、
を有する、流動物の塗布方法、
にある。
上述の態様の塗布方法は、ワークの塗布面に高粘性の流動物を塗布する方法である。この塗布方法は、保形部形成工程と保形部切断工程を少なくとも有する。保形部形成工程では、ワークの塗布面に隙間を空けて配置したノズルから高粘性の流動物を吐出して塗布面に付着させる。これにより、高粘性の流動物がノズルの吐出口からワークの塗布面まで延びた保形部を形成させる。また、保形部切断工程では、保形部形成工程で形成した保形部に対してノズルの吐出口を横切る横断方向にワイヤーをスライドさせる。これにより、保形部を切断してワークの塗布面側に付着状態のままで残留させる。このとき、目的に合わせてワークの塗布面とノズルとの間の隙間寸法を変更すれば、保形部の塗布厚みを任意に調整することが可能になる。
流動物は、高粘性であるため、保形部形成工程においては、その付着性能によってワークの塗布面に付着してノズルの吐出口から塗布面まで延びた保形部を形成し、その保形部の形状を維持できるという特性を発揮する。また、このような高粘性の流動物は、保形部切断工程で切断された保形部がワークの塗布面に一旦付着すると、この保形部が塗布面から垂れ落ちにくいという特性を発揮する。したがって、保形部が重力や振動などの影響を経時的に受けても、ワークの塗布面から剥がれたり垂れ落ちたりする現象が起こりにくい。その結果、ワークの塗布面における流動物の塗布状態を維持することができる。
上述の態様の塗布方法によれば、ノズルの吐出口からワークの塗布面まで延びた保形部をワイヤーで切断することで流動物の塗布作業を行うことができる。これにより、作業者は流動物の塗布作業を簡便に行うことができる。また、ワークの塗布面とノズルとの間に隙間を空けて流動物を塗布するため、流動物の塗布作業がワークの塗布面の形状等に影響を受けにくく汎用性が高い。
以上のごとく、上述の態様によれば、ワークの塗布面に高粘度の流動物を簡便に塗布するのに有効な技術を提供することができる。
実施形態1にかかる封止設備の全体構成を示す図。 実施形態1のノズル装置の先端部の構造を示す断面図。 実施形態1で使用するシール剤の特性について粘度と剪断速度の相関を示す図。 実施形態1の塗布方法のフローチャート。 実施形態1の塗布方法について部材別の動作タイミングを示すタイムチャート。 図2のノズル装置について図4中の第1ステップの実行時の様子を示す断面図。 図2のノズル装置について図4中の第2ステップの実行時の様子を示す断面図。 図2のノズル装置について図4中の第3ステップの実行時の様子を示す断面図。 図2のノズル装置について図4中の第4ステップの実行時の様子を示す断面図。 図2のノズル装置について図4中の第5ステップの実行時の様子を示す断面図。 実施形態2のノズル装置の先端部の構造を示す断面図。 実施形態2の塗布方法のフローチャート。 実施形態2の塗布方法について部材別の動作タイミングを示すタイムチャート。 図11のノズル装置について図12中の第1ステップの実行時の様子を示す断面図。 図11のノズル装置について図12中の第2ステップの実行時の様子を示す断面図。 図11のノズル装置について図12中の第3ステップの実行時の様子を示す断面図。 図11のノズル装置について図12中の第4ステップ及び第5ステップの実行時の様子を示す断面図。 図11のノズル装置について図12中の第6ステップの実行時の様子を示す断面図。 実施形態3の塗布方法のフローチャート。 図2のノズル装置について図19中の第2ステップの実行時の様子を示す断面図。 図2のノズル装置について図19中の第2aステップの実行時の様子を示す断面図。 図2のノズル装置について図19中の第3ステップの実行時の様子を示す断面図。 図2のノズル装置について図19中の第4ステップの実行時の様子を示す断面図。 図2のノズル装置について図19中の第5ステップの実行時の様子を示す断面図。
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
上述の態様の、流動物の塗布方法において、上記保形部形成工程では、上記ノズルの上記吐出口から上記流動物の突出部が突出するように上記流動物を吐出したのちに上記突出部が引込方向に流動するように上記流動物を吸引し、上記突出部の先端面を上記塗布面に押し当てて付着させるのが好ましい。
高粘性の流動物をノズルから吐出するときには、この流動物とノズルの内面との間に張り付き抵抗が作用する。このため、流動物の突出部は、ノズル中央寄りの部分が先に突出方向に盛り上がり、当該部分からノズル外周側の部分に向けて肩下がりするように形成される。その後、この流動物を吸引するときにも、流動物とノズルの内面との間に張り付き抵抗が作用する。このとき、流動物の突出部の中でノズル中央寄りの部分が先に引込方向に引き込まれる。したがって、突出部の先端面の凹凸の度合いを小さく抑えることができ、ワークの塗布面に突出部の先端面を押し当てたときの流動物の付着性能を向上させることができる。
上述の態様の、流動物の塗布方法において、上記保形部形成工程では、上記突出部の上記先端面が平坦状態になるまで上記流動物を吸引するのが好ましい。
この塗布方法によれば、ワークの塗布面に流動物を付着させるときに、流動物の突出部の先端面を平坦状態として塗布面に押し当てることができる。これにより、ワークの塗布面に対する流動物の付着性能の更なる向上を図ることができる。また、流動物の突出部の先端面を平坦状態とすることで、ノズルの吐出口から突出部を突出させ過ぎないようにして予定突出高さに調整することができる。これにより、ワイヤーによる保形部の切断性能を安定させることができ、保形部の切断不良を防ぐことができる。
例えば、ワークの塗布面が開口面であって開口部を流動物で塞いでシールする場合、突出部の先端面が平坦状態になるように流動物を吸引することで、所望のシール性能を確保するために開口面に突出部の先端面を過剰に押し付けることを要しない。これにより、流動物がワークの開口部に過剰に進入して食い込むのを抑制することができる。さらには、ワークの開口部への突出部の食い込みを抑制することで、切断によってワークの塗布面側に最終的に残留する保形部を、一定厚みを有する見栄えの良い形状とすることができる。その結果、最小限の流動物でワークの開口部を塞ぐことができ、流動物の材料コストを低減でき、且つ、ワークの重量増加を抑制できる。
上述の態様の、流動物の塗布方法において、上記保形部切断工程では、上記保形部の形成後に、上記ノズルを上記ワークの上記塗布面からノズル軸線に沿って遠ざけるノズル動作と、上記ワイヤーを上記横断方向にスライドさせるワイヤー動作と、を連動的に行うのが好ましい。
この塗布方法において、ノズル動作は、保形部の形成後にノズルをワークの塗布面からノズル軸線に沿って遠ざけるように動かすことによって、保形部に引張荷重を付与する動作である。一方で、ワイヤー動作は、引張荷重を受けている保形部をワイヤーによって切断する動作である。これらノズル動作及びワイヤー動作を連動的に行うことによって、切断後の保形部がノズル側の流動物に再結合するのを防ぐことができる。
上述の態様の、流動物の塗布方法において、上記保形部形成工程では、上記ノズルを上記ワークの上記塗布面に対して上記隙間が上記ワイヤーのスライド開始側で最大となるように斜めに配置した傾斜状態で上記塗布面に上記流動物を付着させて上記保形部を形成し、上記保形部切断工程では、上記ノズル動作と上記ワイヤー動作を並行して行うのが好ましい。
この塗布方法において、保形部形成工程では、ノズルからワークの塗布面に向けて流動物を吐出するに際してノズルを傾斜状態とする。この傾斜状態は、ワークの塗布面との隙間がワイヤーのスライド開始側で最大となるようにノズルを斜めに配置した状態である。このため、傾斜状態のノズルの吐出口からワークの塗布面までの間に保形部が形成される。その後の保形部切断工程では、傾斜状態のノズルをワークの塗布面からノズル軸線に沿って遠ざけるように動かすノズル動作を行いつつ、このノズル動作によって引張荷重を受けている保形部をワイヤーによって切断するワイヤー動作を行う。すなわち、ノズル動作とワイヤー動作を並行して行う。これにより、保形部切断工程に要する時間を短縮できる。ノズル動作とワイヤー動作を並行して行うときに、ノズルをノズル軸線がワークの塗布面と垂直になるように配置すると、ワークの塗布面に付着して最終的に残留する保形部の厚みは、ワイヤーのスライド開始側よりもワイヤーのスライド終了側の方が厚くなる。これに対して、ノズルを上記のような傾斜状態にしてノズル動作を行うようにすれば、ノズル動作とワイヤー動作を並行して行う場合であっても、一定厚みの保形部を形成させることができる。
上述の態様の、流動物の塗布方法において、上記ワークの上記塗布面は開口面であるのが好ましい。
この塗布方法によれば、塗布面が開口部を有する開口面である場合には、開口部を流動物によって封止することができる。
以下、自動車の車体を構成する基材に対してその開口部を封止するようにシール剤を塗布する技術の具体的な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
なお、本形態を説明するための図面では、特にことわらない限り、上下方向を矢印Xで示し、水平方向を矢印Yで示すものとする。また、ノズル軸線が延びる方向であって互いに逆向きの二方向を第1方向X1及び第2方向X2とし、ノズル軸線と直交する方向であって互いに逆向きの二方向を第1方向Y1及び第2方向Y2とする。
図1に示されるように、本形態にかかる封止設備1は、車体2を構成する基材3に開口形成されている開口部4を封止するためのものである。このとき、ワークである基材3の塗布面3aは、開口部4を有する開口面となっている。このため、シール剤Sが塗布面3aに開口部4を塞ぐように塗布されることによって、開口部4が封止される。ここで、基材3として、典型的には、車体2のアンダーボディを構成するメンバーやリーンフォースなどの基材が挙げられる。
基材3の塗布面3aにシール剤Sを塗布する作業において、車体2は基材3に相当する部位が概ね水平方向Yに延在するように予め配置される。開口部4として、典型的には、開口孔、貫通孔、凹部などが挙げられる。本形態では、断面形状が円形である開口径d1の貫通孔を開口部4として例示している。一方で、開口部4の断面形状は円形に限定されるものではなく、開口部4の断面形状を必要に応じて円形以外とすることもできる。
1.封止設備1の全体構成
図1に示されるように、実施形態1にかかる封止設備1は、その構成要素として、ノズル装置10と、ロボット20と、制御装置30と、を主体に構成されている。
ノズル装置10は、ノズル11と、ポンプ14と、ノズル11とポンプ14を接続する供給管15と、を有する。ポンプ14は、高粘性の流動物であるシール剤Sを高圧化して吐出するためのものである。このポンプ14で吐出されたシール剤Sは、供給管15を通じてノズル11まで圧送され、このノズル11の吐出口11aから突出するように外部へ吐出される。詳細については後述するが、本形態では、ノズル11を基材3の上下方向Xの下方から開口部4に近接させたのち、このノズル11の吐出口11aから吐出されたシール剤Sを開口部4に塗布する。
なお、第1方向X1(図2を参照)をシール剤Sの「突出方向」とし、その突出方向の逆方向である第2方向X2(図2を参照)を「引込方向」としたとき、本形態のポンプ14は、シール剤Sの一部がノズル11の吐出口11aから突出方向X1に押し出されて突出部を形成するようにシール剤Sを吐出する第1運転と、シール剤Sの突出部を引込方向X2に流動させるようにシール剤Sを吸引する第2運転と、を切り替えて実行できるように構成されている。
ノズル装置10は、ロボット20のロボットアーム21のアーム先端部22に保持されている。ロボット20は、ロボットアーム21に複数の駆動軸が設けられた多軸ロボットとして構成されている。このロボット20及びポンプ14はいずれも、制御装置30に電気的に接続されている。
制御装置30は、既知のCPU、メモリ、入出力部等によって構成されている。この制御装置30は、ロボット制御部31及びポンプ制御部32を備えている。
ロボット制御部31は、ロボット20を制御する機能を有する。このロボット制御部31によれば、ロボットアーム21のアーム先端部22が予め教示された移動軌跡にしたがって動くようにロボット20が制御される。これにより、ノズル装置10を所望の姿勢に調節することができる。また、ポンプ制御部32は、ポンプ14を制御する機能を有する。このポンプ制御部32によれば、ノズル11の吐出口11aから吐出されるシール剤Sの吐出流量が制御される。
2.ノズル装置10の先端部の構造
図2に示されるように、実施形態1のノズル装置10は、ノズル11に加えて、ガイド部材12及びワイヤー13を備えている。
ノズル11は、その内径d2が開口部4の開口径d1(図1を参照)以上となるように寸法設定されている。ここで、開口径d1と内径d2との関係は、シール剤Sと開口部4の開口縁との重なり代を0.1[mm]以上確保できるように定められるのが好ましい。一例として、ノズル11と開口部4を互いの中心を一致させて配置することを想定した場合、ノズル11の内径d2が開口部4の開口径d1に0.2[mm]を加算した値以上となるように設定することができる。これにより、シール剤Sが開口部4を突き抜けるのを防ぐことができシール剤Sを基材3の塗布面3a側に確実に留めることができる。ガイド部材12は、ノズル11よりも大径の円筒部材であり、ノズル11の周囲にノズル11と同芯状に設けられている。このため、ノズル11とガイド部材12のそれぞれの軸線が一致している。なお、ノズル11の流路断面形状は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意の流路断面形状を採り得る。
ガイド部材12は、基材3の開口部4とノズル11の吐出口11aとの上下方向の位置関係を定める機能を有する。本機能は、ガイド部材12の先端部12aが基材3の塗布面3aに押し当てられることによって達成される。このとき、ガイド部材12は、その先端部12aがノズル11の吐出口11aよりも第1方向X1に突出高さA分だけ突出した構造になっている。この突出高さAは、ノズル11の全周にわたって一定とされている。また、このガイド部材12は、ノズル11を図2中の第1方向X1及び第2方向X2に相対移動可能に支持するように構成されている。
ワイヤー13は、ノズル11の吐出口11aの近傍に設けられている。このワイヤー13は、典型的には、断面形状が一様な針金状或いは釣り糸状等の部材である。ワイヤー13の断面形状は特に限定されるものではなく、円形、楕円形、多角形などの任意の断面形状を採り得る。ワイヤー13は、ワイヤー駆動機構(図示省略)によって吐出口11aを横切る方向(第1方向Y1及び第2方向Y2)に往復動可能に構成されている。本構成によれば、ノズル11の吐出口11aから突出しているシール剤Sをワイヤー13によって切断することができる。このとき、ワイヤー13は、ノズル11の吐出口11aとの間に隙間が形成されない当接状態、所謂「ゼロタッチ」の状態で吐出口11aに沿って摺動するのが好ましい。これにより、シール剤Sの切断面を滑らかにすることができる。
3.シール剤Sの特性
本形態で使用するシール剤Sは、高粘性の流動物の一形態である。このシール剤Sは、常温下で流動性を有し、常温下で塗布後の形状を保持するための静置粘度を有する、樹脂(例えば、塩化ビニール等の樹脂)系のシール剤である。このシール剤Sは、常温下での流動性向上のためチクソ性を有するのが好ましい。ここでいう「常温」として、典型的には、5~40[℃]程度の範囲内の温度が挙げられる。
図3に示されるように、シール剤Sの「チクソ特性」とは、剪断速度の上昇に伴って粘度が低下し、剪断速度の低下に伴って或いは剪断力の付加を停止してからの時間経過に伴って粘度が上昇する特性をいう。このシール剤Sは、例えば20[℃]の常温下において、剪断速度が60~10000[s-1]の範囲で、粘度が30~2[Pa・s]の範囲となるようなチクソ特性を有する。このようなチクソ特性によれば、シール剤Sは、その剪断速度が相対的に高い領域では粘度が低くなり、その剪断速度が相対的に低い領域では粘度が高くなる。ノズル11からシール剤Sが吐出されるとき、ポンプ14による吐出圧がかかることでノズル11内を流れるシール剤Sのせん断速度が高くなる。このとき、シール剤Sの粘度が一時的に低くなるため、このシール剤Sの一定レベルの流動性を維持できる。したがって、ノズル11におけるシール剤Sの吐出性能を向上させることができる。一方で、ノズル11の吐出口11aから吐出されて基材3の塗布面に付着したシール剤Sには外力が作用しないため、シール剤Sの剪断速度は吐出時に比べて低くなる。このとき、シール剤Sの粘度が高くなるため、シール剤Sの所望の付着性能と形状維持性能を確保することができる。このため、基材3の塗布面3aに一旦付着したシール剤Sは、基材3の塗布面3aから剥がれたり垂れ落ちたりする現象が起こりにくい。
次に、図1、図4~図10を参照しつつ、実施形態1の塗布方法について説明する。この塗布方法は、上記構成の封止設備1を使用して基材3の塗布面3aに開口部4を封止するようにシール剤Sを塗布する方法であり、保形部形成工程と、保形部切断工程と、復帰工程と、に大別される。
(保形部形成工程)
保形部形成工程は、図4中の第1ステップS101から第3ステップS103までのステップを図5のタイムスケジュールにしたがって順次行うことによって可能になる。
第1ステップS101は、ノズル11を初期位置(図示省略)から図6中の基材開口直下位置P1まで移動させるステップである。上記構成の封止設備1を使用する場合、制御装置30のロボット制御部31からロボット20に制御信号を出力してロボットアーム21の姿勢を調節することによって、この第1ステップS101を実行することができる(図1を参照)。以下の説明では、この制御を単に「ロボット制御」という。この第1ステップS101によれば、ノズル11は、基材開口直下位置P1に移動することにより、その吐出口11aが開口部4との間に所定距離を隔てた状態で開口部4と対向するように上向きに配置される(図6を参照)。
第2ステップS102は、ノズル11の吐出口11aからシール剤Sを一定高さ突出させるシール剤出しステップである。上記構成の封止設備1を使用する場合、制御装置30のポンプ制御部32からポンプ14に制御信号を出力してノズル11の吐出口11aから一定量のシール剤Sを吐出させることによって、この第2ステップS102を実行することができる。このときポンプ14の前述の第1運転を実行する。この第2ステップS102によれば、ノズル11は、基材開口直下位置P1に保持されたままでその吐出口11aからシール剤Sが突出高さBで上方へ突出した状態とされる(図7を参照)。このときのシール剤Sの突出部Sbの突出高さBは、シール剤Sがガイド部材12の先端部12aよりも高所まで突出する寸法として設定されるのが好ましい。これにより、その後の第3ステップS103で、シール剤Sを基材3の塗布面3aに確実に付着させることができる。
なお、図5のタイムチャートに示されるように、第1ステップS101においてノズル11が基材開口直下位置P1に到達する前に、第2ステップS102を実行するのが好ましい。本形態では、第1ステップS101と第2ステップS102が概ね同時に完了するようにスケジュールされている。これにより、第2ステップS102の完了までに要する時間を短縮できる。
第3ステップS103は、第2ステップS102に引き続いて、ノズル11を図7中の基材開口直下位置P1から図8中のシール剤付着位置P2まで第1方向X1に上昇させるステップである。前述のロボット制御によって、この第3ステップS103を実行することができる。図8に示されるように、この第3ステップS103によれば、ガイド部材12の先端部12aが基材3の塗布面3aに当接することによって、ノズル11が基材3の開口部4に対して位置決めされ、隙間Gの上下方向の高さが予定された高さに設定される。このとき、ノズル11は、そのノズル軸線Lが基材3の塗布面3aと垂直となるように配置される。また、ノズル11がシール剤付着位置P2に達したとき、シール剤Sはガイド部材12の先端部12aからの突出高さC分だけ開口部4に進入した状態で基材3の塗布面3aに付着する。そして、シール剤Sのうちノズル11の吐出口11aから突出している突出部Sbは、一定の形状を維持した状態で吐出口11aから塗布面3aまで延びた保形部Saを形成する。
上述のように、本形態の保形部形成工程は、基材3の塗布面3aに隙間Gを空けて配置したノズル11からシール剤Sを吐出して塗布面3aに付着させることにより、シール剤Sの突出部Sbがノズル11の吐出口11aから塗布面3aまで延びてなる保形部Saを形成する工程である。
(保形部切断工程)
保形部切断工程は、保形部形成工程の後の工程であり、図4中の第4ステップS104から第7ステップS107までのステップを図5のタイムスケジュールにしたがって順次行うことによって可能になる。
第4ステップS104は、ノズル11を図9中のシール剤付着位置P2(二点鎖線で示される位置)から切断位置P3(実線で示される位置)まで第2方向X2に下降させるステップである。このとき、ガイド部材12の先端部12aと基材3の塗布面3aとの当接を維持したままの状態で、ガイド部材12に対してノズル11をノズル軸線Lに沿って第2方向X2に下降させる。図9に示されるように、この第4ステップS104によれば、シール剤Sの保形部Saは、ノズル11の下降量に応じた引張荷重を受けて若干伸長する。
第5ステップS105は、第4ステップS104に引き続いて、ワイヤー13を往路スライドさせるステップである。図10に示されるように、この第5ステップS105によれば、ワイヤー13が第1位置Q1(図9を参照)から第2位置Q2まで第1方向Y1に往路スライドすることによって保形部Saが切断されてノズル11側から切り離される。このとき、保形部Saが引張荷重を受けた状態で切断されるため、切断後の保形部Saがノズル11側のシール剤Sと再結合するのを防ぐことができる。したがって、保形部Saは、基材3の塗布面3aに付着したままの状態で基材3側に残留する。その結果、基材3側に残留した保形部Saによって開口部4が封止される。
なお、上述の説明では、図8~図10に示されるように、保形部形成工程で保形部Saの一部が開口部4に進入した状態(以下、「進入状態」という。)が形成され、それ以降は保形部Saの進入状態が維持される場合について例示しているが、進入状態が形成されること、及び進入状態が維持されることは必須ではない。例えば、保形部形成工程で保形部Saの先端面が基材3の塗布面3aと概ね面一になるような状態(以下、「未進入状態」という。)が形成され、それ以降は保形部Saの未進入状態が維持されてもよい。或いは、保形部形成工程で保形部Saの進入状態が形成されたのち、保形部切断工程で保形部Saの状態が進入状態から未進入状態に変化してもよい。保形部Saが最終的に上記進入状態にあると、保形部Saのうち開口部4への突出部分が開口部4の内周面に付着することで、保形部Saが基材3の塗布面3aから剥がれにくくなるという効果が得られる。これに対して、保形部Saが最終的に上記未進入状態にあると、保形部Saが厚くなり過ぎるのを防いで保形部Saの質量を低く抑えることができるという効果が得られる。
第6ステップS106は、第5ステップS105に引き続いて、ノズル11を図10中の切断位置P3からそれよりも低所の退避位置(図示省略)まで第2方向X2に下降させるステップである。前述のロボット制御によって、この第6ステップS106を実行することができる。この第6ステップS106によれば、切断後の保形部Saがノズル11側のシール剤Sと再結合するのを防ぐ効果をさらに高めることができる。
第7ステップS107は、ワイヤー13を、第2位置Q2(図10を参照)から第1位置Q1(図6を参照)まで第2方向Y2に復路スライドさせるステップである。この第7ステップS107によれば、ワイヤー13を次の切断に備えた状態に設定することができる。
上述のように、本形態の保形部切断工程は、保形部形成工程で形成した保形部Saに対してノズル11の吐出口11aを横切る第1方向Y1にワイヤー13をスライドさせることにより、保形部Saを切断して塗布面3a側に付着状態のままで残留させる工程である。また、本形態の保形部切断工程は、ノズル11を基材3の塗布面3aから遠ざけるノズル動作に引き続いて、ワイヤー13を第1方向Y1に往路スライドさせるワイヤー動作を連動的に行うことを特徴とするものである。ここでいう「連動的」とは、実施形態1のように、ノズル動作終了後に、そのノズル動作に引き続いてワイヤー動作を行う形態をいう。
(復帰工程)
復帰工程は、保形部切断工程の後の工程であり、図4中の第8ステップS108及び第9ステップS109を図5のタイムスケジュールにしたがって順次行うことによって可能になる。
第8ステップS108は、予め定められた作業スケジュールに基づいて、塗布処理を終了するか否かを判定するステップである。塗布処理を終了する場合(第8ステップS108の「Yes」の場合)に第9ステップS109にすすみ、そうでない場合(第8ステップS108の「No」の場合)に第1ステップS101に戻る。第1ステップS101に戻ることで、次に予定されている箇所の基材開口直下位置P1までノズル11を移動させる。その後、第2ステップS102から第7ステップS107までの処理を当該箇所に対しても同様に実行する。
第9ステップS109は、退避位置にあるノズル11を、前述のロボット制御によって、初期位置に復帰させるステップである。この第9ステップS109によれば、ノズル11とワイヤー13はともに、次回の塗布処理にそなえた待機状態に設定される。
上述の実施形態1によれば、以下のような作用効果が得られる。
実施形態1の塗布方法において、保形部形成工程では、基材3の塗布面3aに隙間Gを空けて配置したノズル11から高粘性のシール剤Sを吐出して塗布面3aに付着させる。これにより、高粘性のシール剤Sがノズル11の吐出口11aから基材3の塗布面3aまで延びた保形部Saを形成させる。また、保形部切断工程では、保形部形成工程で形成した保形部Saに対してノズル11の吐出口11aを横切る第1方向Y1にワイヤー13を往路スライドさせる。これにより、保形部Saを切断して基材3の塗布面3a側に付着状態のままで残留させる。このとき、目的に合わせて基材3の塗布面3aとノズル11との間の隙間寸法を変更すれば、保形部Saの塗布厚みを任意に調整することが可能になる。
シール剤Sは、高粘性の流動物であるため、保形部形成工程においては、その付着性能によって基材3の塗布面3aに付着してノズル11の吐出口11aから塗布面3aまで延びた保形部Saを形成し、その保形部Saの形状を維持できるという特性を発揮する。また、このような高粘性のシール剤Sは、保形部切断工程で切断された保形部Saが基材3の塗布面3aに一旦付着すると、この保形部Saが塗布面3aから垂れ落ちにくいという特性を発揮する。したがって、保形部Saが重力や振動などの影響を経時的に受けても、基材3の塗布面3aから剥がれたり垂れ落ちたりする現象が起こりにくい。その結果、基材3の塗布面3aにおけるシール剤Sの塗布状態を維持することができる。
実施形態1の塗布方法によれば、ノズル11の吐出口11aから基材3の塗布面3aまで延びた保形部Saをワイヤー13で切断することでシール剤Sの塗布作業を行うことができる。これにより、作業者はシール剤Sの塗布作業を簡便に行うことができる。また、基材3の塗布面3aとノズル11との間に隙間Gを空けてシール剤Sを塗布するため、シール剤Sの塗布作業が基材3の塗布面3aの形状等に影響を受けにくく汎用性が高い。
上述のように、実施形態1によれば、基材3の塗布面3aに高粘度のシール剤Sを簡便に塗布するのに有効な技術を提供することができる。
また、実施形態1によれば、プラグのような封止部品を開口部4の種類ごとに準備して使用する必要がないため、多種類の封止部品が不要であり、封止部品の部品コストを削減することができる。
以下、実施形態1に関連する他の形態について図面を参照しつつ説明する。他の形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
(実施形態2)
図11に示されるように、実施形態2では、実施形態1のノズル装置10とは構造が異なるノズル装置10Aを使用する。封止設備1のノズル装置10A以外のその他の構成は、実施形態1と同様である。
ノズル装置10Aにおいて、ノズル11がガイド部材12に対して傾斜状態で配置されている。すなわち、ノズル11のノズル軸線Lとガイド部材12のガイド軸線Mが傾斜角度θをなしている。この場合、ノズル11の吐出口11aからガイド部材12の先端部12aの突出高さがノズル11の周方向について異なる構造になっている。図11では、ノズル装置10Aは、この突出高さがワイヤー13のスライド開始側で最大突出高さA1となり、ワイヤー13のスライド終了側で最小突出高さA2となり、周方向位置の変化に応じて最大突出高さA1から最小突出高さA2までの間で突出高さが変わるように構成されている。
次に、図12~図18を参照しつつ、実施形態2の塗布方法について説明する。この塗布方法は、実施形態1の場合と同様に、保形部形成工程と、保形部切断工程と、復帰工程と、に大別される。
(保形部形成工程)
保形部形成工程は、図12中の第1ステップS201から第3ステップS203までのステップを図13のタイムスケジュールにしたがって順次行うことによって可能になる。
第1ステップS201は、実施形態1の第1ステップS101と同様に、前述のロボット制御によって、ノズル11を初期位置(図示省略)から図14中の基材開口直下位置P1まで移動させるステップである。この第1ステップS201によれば、ノズル11は、基材開口直下位置P1において、そのノズル軸線Lが基材3の塗布面3aと垂直となるように配置される。また、第2ステップS202は、実施形態1の第1ステップS101と同様に、ノズル11の吐出口11aからシール剤Sを一定高さ突出させるシール剤出しステップである。図13のタイムチャートに示されるように、第1ステップS201においてノズル11が基材開口直下位置P1に到達する前に、第2ステップS202を実行することで、第2ステップS202の完了までに要する時間を短縮するのが好ましい。
第3ステップS203は、第2ステップS202に引き続いて、前述のロボット制御によって、ノズル11を図15中の基材開口直下位置P1から図16中のシール剤付着位置P2まで第1方向X1に上昇させるステップである。図16に示されるように、この第3ステップS203では、ガイド部材12の先端部12aが基材3の塗布面3aに当接することによって、ノズル11が基材3の開口部4に対して位置決めされる。このとき、ノズル11は、ガイド部材12との間の傾斜構造にしたがって、そのノズル軸線Lが基材3の塗布面3aに対して傾斜角度θ(図11を参照)で傾斜して配置される。また、ノズル11がシール剤付着位置P2に達したとき、シール剤Sはガイド部材12の先端部12aからの突出高さC分だけ開口部4に進入した状態で基材3の塗布面3aに付着して保形部Saを形成する。このように、第3ステップS203によれば、ノズル11を基材3の塗布面3aに対して隙間Gがワイヤー13のスライド開始側(第1位置Q1側)で最大となるように斜めに配置した傾斜状態で塗布面3aにシール剤Sを付着させて保形部Saを形成する。
(保形部切断工程)
保形部切断工程は、保形部形成工程の後の工程であり、図12中の第4ステップS204から第8ステップS208までのステップを図13のタイムスケジュールにしたがって順次行うことによって可能になる。
第4ステップS204は、ノズル11を図16中のシール剤付着位置P2から図17中の中間位置P2’を経由して図18中の切断位置P3まで第2方向X2に下降させる下降動作を開始するステップである。このとき、ガイド部材12の先端部12aと基材3の塗布面3aとの当接を維持したままの状態で、ガイド部材12に対してノズル11をノズル軸線Lに沿って第2方向X2に下降させる。
第5ステップS205は、第4ステップS204から所定時間Δt(図13を参照)経過後に、ワイヤー13の往路スライドを開始するステップである。第4ステップS204及び第5ステップS205によれば、ノズル11のノズル動作とワイヤー13のワイヤー動作を並行して行うことで、保形部Saに付与する引張荷重を増やしながら保形部Saを徐々に切断することができる。このとき、保形部Saが引張荷重を受けつつ切断されるため、切断後の保形部Saがノズル11側のシール剤Sと再結合するのを防ぐことができる。
第6ステップS206は、ノズル11が図18中の切断位置P3まで下降し、且つワイヤー13が図18中の第2位置Q2に到達したタイミングで、第4ステップS204のノズル動作と第5ステップS205のワイヤー動作をともに停止するステップである。第6ステップS206によって、実施形態1の場合と同様に、ノズル11側から切り離された保形部Saが基材3の塗布面3aに付着したままの状態で基材3側に残留する。このとき、保形部Saは、実施形態1の場合と同様に、開口部4に対して進入状態であってもよいし或いは未進入状態であってもよい。
第7ステップS207は、第6ステップS206に引き続いて、前述のロボット制御によって、ノズル11を図18中の切断位置P3からそれよりも低所の退避位置(図示省略)まで第2方向X2に下降させるステップである。第8ステップS208は、実施形態1の第7ステップS107と同様である。
上述のように、本形態の保形部切断工程は、実施形態1の場合と同様に、保形部形成工程で形成した保形部Saに対してノズル11の吐出口11aを横切る第1方向Y1にワイヤー13をスライドさせることにより、保形部Saを切断して塗布面3a側に付着状態のままで残留させる工程である。また、本形態の保形部切断工程は、ノズル11を基材3の塗布面3aから遠ざけるノズル動作と、ワイヤー13を第1方向Y1に往路スライドさせるワイヤー動作と、を並行して連動的に行うことを特徴とするものである。ここでいう「連動的」とは、ノズル動作とワイヤー動作を確実に同じタイミングで並行して行うように連動させる形態をいう。
(復帰工程)
復帰工程は、保形部切断工程の後の工程であり、図12中の第9ステップS209及び第10ステップS210を図13のタイムスケジュールにしたがって順次行うことによって可能になる。これら第9ステップS209及び第10ステップS210は、実施形態1の第8ステップS108及び第9ステップS109と同様である。
上述の実施形態2によれば、以下のような作用効果が得られる。
実施形態2の塗布方法において、保形部形成工程では、ノズル11から基材3の塗布面3aに向けてシール剤Sを吐出するに際してノズル11を傾斜状態とする。この傾斜状態は、基材3の塗布面3aとの隙間Gがワイヤー13のスライド開始側で最大となるようにノズル11を斜めに配置した状態である。このため、傾斜状態のノズル11の吐出口11aから基材3の塗布面3aまでの間に保形部Saが形成される。その後の保形部切断工程では、傾斜状態のノズル11を基材3の塗布面3aからノズル軸線Lに沿って遠ざけるように動かすノズル動作を行いつつ、このノズル動作によって引張荷重を受けている保形部Saをワイヤー13によって切断するワイヤー動作を行う。すなわち、ノズル動作とワイヤー動作を並行して行う。ノズル動作とワイヤー動作を並行して行うときに、ノズル11をノズル軸線Lが基材3の塗布面3aと垂直になるように配置すると、基材3の塗布面3aに付着して最終的に残留する保形部Saの厚みは、ワイヤー13のスライド開始側よりもワイヤー13のスライド終了側の方が厚くなる。これに対して、ノズル11を上記のような傾斜状態にしてノズル動作を行うようにすれば、ノズル動作とワイヤー動作を並行して行う場合であっても、一定厚みの保形部Saを形成させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施形態3)
実施形態3では、実施形態1のノズル装置10(図2を参照)を使用する。実施形態3の塗布方法は、実施形態1の場合と同様に、保形部形成工程と、保形部切断工程と、復帰工程と、に大別される。以下、図19~図24を参照しつつ、実施形態3の塗布方法について説明する。
(保形部形成工程)
保形部形成工程は、図19中の第1ステップS101から第3ステップS103までのステップを順次行うことによって可能になる。
実施形態3の保形部形成工程は、第2ステップS102と第3ステップS103の間に第2aステップS102aを追加している点で、実施形態1のものと相違している。なお、第1ステップ101は、実施形態1の場合と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
第2ステップ102は、ノズル11の吐出口11aからシール剤Sを一定高さ突出させるシール剤出しステップである。図20に示されるように、この第2ステップ102では、シール剤Sの突出部Sbに最終的に予定される予定突出高さDに基づいて突出高さBが設定される。このとき、突出高さBは、予定突出高さDよりも高所に設定され、予定突出高さDとの間に高低差Eを有する。そして、突出部Sbがノズル11の吐出口11aから突出高さBで突出するように、ポンプ14の前述の第1運転を実行してシール剤Sを突出方向X1に吐出する。なお、このときのポンプ14の第1運転時の運転条件(例えば、ポンプ14の動作時間、吐出圧力など)は、運転条件を適宜に変更しつつ事前に実施したテスト運転結果に基づいて設定されるのが好ましい。
第2ステップ102で高粘性のシール剤Sを突出方向X1に吐出するとき、このシール剤Sとノズル11の内面11bとの間に張り付き抵抗が作用する。このとき、シール剤Sの中ではノズル中央寄りの第1部分Scよりもノズル外周側の第2部分Sdの方がこの張り付き抵抗の影響を受け易い。
したがって、第2ステップ102によれば、シール材Sの突出部Sbは、第1部分Scが先に突出方向X1に盛り上がり、第2部分Sdが突出方向X1に遅れて流動する。その結果、突出部Sbは、第1部分Scから第2部分Sdに向けて肩下がりするように形成される。このとき、突出部Sbの先端面Seは、突出側を凸とする湾曲面になる。
第2aステップ102aは、シール材Sを吸引するステップである。図21に示されるように、この第2aステップ102aでは、ポンプ14の前述の第2運転を実行して、突出部Sbの先端面Seが平坦状態になるまでシール材Sを引込方向X2に吸引する。なお、ポンプ14を第1運転から第2運転に切り替えるタイミングや、第2運転時の運転条件(例えば、ポンプ14の動作時間、吐出圧力など)は、運転条件を適宜に変更しつつ事前に実施したテスト運転結果に基づいて設定されるのが好ましい。
第2aステップ102aで高粘性のシール剤Sを引込方向X2に吸引するとき、このシール材Sの突出部Sbは、前記張り付き抵抗の影響が小さい第1部分Scが先に引込方向X2に引き込まれるため、その流動度合い(沈み込み量)が大きい。すなわち、突出部Sbの中では第1部分Scが引込方向X2に戻る動きが早く、且つ、大きく沈み込む。これに対して、突出部Sbの中で前記張り付き抵抗の影響が大きい第2部分Sdは、引込方向X2に遅れて引き込まれるため、その流動度合いが小さい。
したがって、第2aステップ102aによれば、高粘性のシール剤Sとノズル11の内面11bとの間に作用する張り付き抵抗を利用することによって、突出部Sbの突出高さが予定突出高さDとなり、且つ、突出部Sbの先端面Seが湾曲状態(図21中の二点鎖線で示す状態)から平坦状態(図21中の実線で示す状態)へと変化するように、突出部Sbの形状を調整することができる。
なお、ここでいう「平坦状態」とは、突出部Sbの先端面Seが概ね平らな面になる状態をいう。したがって、突出部Sbの先端面Seに微小な凹凸が含まれている状態も、ここでいう平坦状態に包含される。
第3ステップ103は、実施形態1の場合と同様に、ノズル11を図21中の基材開口直下位置P1から図22中のシール剤付着位置P2まで上昇させるステップである。この第3ステップ103によれば、シール材Sの突出部Sbの先端面Seを基材3の塗布面3aに押し当てて付着させることができる。これにより、シール剤Sの突出部Sbがノズル11の吐出口11aから塗布面3aまで延びてなる保形部Saが形成される。
ただし、実施形態3の第3ステップ103では、図22に示されるように、第2部分Sdの肩下がり寸法に相当する微小な高低差F分だけ突出部Sbが開口部4に進入するように、ノズル11の上昇動作を行う。これにより、シール材Sの突出部Sbの第2部分Sdを基材3の塗布面3aに確実に付着させることができる。なお、このときの高低差Fは、高低差E(図20を参照)を下回る。
(保形部切断工程)
保形部切断工程は、図19中の第4ステップS104から第7ステップS107までのステップを順次行うことによって可能になる。
図23に示されるように、第4ステップS104は、実施形態1の場合と同様に、ノズル11をシール剤付着位置P2(二点鎖線で示される位置)から切断位置P3(実線で示される位置)まで下降させるステップである。この第3ステップ103によれば、ノズル11が切断位置P3まで下降することで、シール剤Sの保形部Saがノズル11の下降量に応じた引張荷重を受けて予定突出高さDになるまで若干伸長する。
図24に示されるように、第5ステップS105は、実施形態1の場合と同様に、ワイヤー13を第1位置Q1(図23を参照)から第2位置Q2まで往路スライドさせるステップである。この第5ステップS105によれば、保形部Saが切断されてノズル11側から切り離される。本形態では、保形部Saは、基材3の塗布面3aに一定厚みの状態で付着したまま基材3側に残留する。
なお、その他のステップ及び工程は、実施形態1の場合と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上述の実施形態3によれば、以下のような作用効果が得られる。
実施形態3の塗布方法において、高粘性のシール材Sをノズル11から吐出するときには、このシール材Sとノズル11の内面11bとの間に張り付き抵抗が作用する。このため、シール材Sの突出部Sbは、ノズル中央寄りの第1部分Scが先に突出方向X1に盛り上がり、第1部分Scからノズル外周側の第2部分Sdに向けて肩下がりするように形成される。その後、このシール材Sを吸引するときにも、シール材Sとノズル11の内面11bとの間に張り付き抵抗が作用する。このとき、シール材Sの突出部Sbの中で第1部分Scが先に引込方向X2に引き込まれる。したがって、突出部Sbの先端面Seの凹凸の度合いを小さく抑えることができ、基材3の塗布面3aに突出部Sbの先端面Seを押し当てたときのシール材Sの付着性能を向上させることができる。
とりわけ、本形態では、シール材Sの突出部Sbの先端面Seを平坦状態として基材3の塗布面3aに押し当てるようにしている。これにより、シール材Sの付着性能の更なる向上を図ることができる。また、シール材Sの突出部Sbの先端面Seを平坦状態とすることで、ノズル11の吐出口11aから突出部Sbを突出させ過ぎないようにして予定突出高さD(図24を参照)に調整することができる。これにより、ワイヤー13による保形部Saの切断性能を安定させることができ、保形部Saの切断不良を防ぐことができる。
また、実施形態3の塗布方法によれば、突出部Sbの先端面Seが平坦状態になるようにシール材Sを吸引することで、所望のシール性能を確保するために開口面に突出部Sbの先端面Seを過剰に押し付けることを要しない。すなわち、微小な高低差F分(図21を参照)だけ開口面に突出部Sbを押し付ければ良く、高低差Fを上回る過剰な高低差E分(図20を参照)を開口面に押し付ける必要がない。これにより、シール剤Sが基材3の開口部4に過剰に進入して食い込むのを抑制することができる。さらには、基材3の開口部4への突出部Sbの食い込みを抑制することで、切断によって基材3の塗布面3a側に最終的に残留する保形部Saを、一定厚みを有する見栄えの良い形状とすることができる。その結果、最小限のシール材Sで基材3の開口部4を塞ぐことができ、シール剤Sの材料コストを低減でき、且つ、基材3の重量増加を抑制できる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
なお、実施形態3の保形部形成工程の特徴部分を、実施形態2の保形部形成工程に適用しても良い。
本発明は、上述の典型的な形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上述の形態では、ノズル11の吐出口11aからシール剤Sを上向きに吐出する場合について例示したが、シール剤Sの吐出方向を、基材3の形状や配置などに応じて、下向き、横向き、斜め上方、斜め下方などの方向に適宜に変更することができる。
上述の形態では、ロボット制御を利用してノズル11を動かす場合について例示したが、これに代えて或いは加えて機械制御を利用してノズル11を動かしたり、作業者がノズル11を手指で直に把持して動かしたりしてもよい。
上述の形態では、車体2のアンダーボディを構成する基材3の開口部4をシール剤Sで封止する技術について例示したが、封止箇所はこれに限定されるものではなく、この技術を、車体2のうちアンダーボディ以外の要素を構成する部品の開口部をシール剤Sで封止する技術や、自動車以外の対象物を構成する部品に設けられた開口部をシール剤Sで封止する技術に適用することもできる。
上述の形態では、基材3の開口面である塗布面3aにシール剤Sを塗布する塗布方法について例示したが、この塗布方法を、平坦面や段差面にシール剤Sを塗布する技術に適用できることは勿論である。
3…基材(ワーク)、 3a…塗布面(開口面)、 11…ノズル、 11a…吐出口、 13…ワイヤー、 G…隙間、 L…ノズル軸線、 S…シール剤(高粘性の流動物)、 Sa…保形部、 Sb…突出部、 Se…先端面、 S101,S102,S102a,S103,S201,S202,S203…保形部形成工程、 S104,S105,S106,S107,S204,S205,S206,S207,S208…保形部切断工程、 X2…引込方向、 Y1…第1方向(横断方向)

Claims (6)

  1. ワークの塗布面に高粘性の流動物を塗布する、流動物の塗布方法であって、
    上記塗布面に隙間を空けて配置したノズルから上記流動物を吐出して上記塗布面に付着させることにより、上記流動物が上記ノズルの吐出口から上記塗布面まで延びてなる保形部を形成する保形部形成工程と、
    上記保形部形成工程で形成した上記保形部に対して上記ノズルの上記吐出口を横切る横断方向にワイヤーをスライドさせることにより、上記保形部を切断して上記塗布面側に付着状態のままで残留させる保形部切断工程と、
    を有する、流動物の塗布方法。
  2. 上記保形部形成工程では、上記ノズルの上記吐出口から上記流動物の突出部が突出するように上記流動物を吐出したのちに上記突出部が引込方向に流動するように上記流動物を吸引し、上記突出部の先端面を上記塗布面に押し当てて付着させる、請求項1に記載の、流動物の塗布方法。
  3. 上記保形部形成工程では、上記突出部の上記先端面が平坦状態になるまで上記流動物を吸引する、請求項2に記載の、流動物の塗布方法。
  4. 上記保形部切断工程では、上記保形部の形成後に、上記ノズルを上記ワークの上記塗布面からノズル軸線に沿って遠ざけるノズル動作と、上記ワイヤーを上記横断方向にスライドさせるワイヤー動作と、を連動的に行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の、流動物の塗布方法。
  5. 上記保形部形成工程では、上記ノズルを上記ワークの上記塗布面に対して上記隙間が上記ワイヤーのスライド開始側で最大となるように斜めに配置した傾斜状態で上記塗布面に上記流動物を付着させて上記保形部を形成し、
    上記保形部切断工程では、上記ノズル動作と上記ワイヤー動作を並行して行う、請求項4に記載の、流動物の塗布方法。
  6. 上記ワークの上記塗布面は開口面である、請求項1~3のいずれか一項に記載の、流動物の塗布方法。
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