JP2024053742A - ウエーハの加工方法及び加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】切削ブレードの外周に形成された切り刃の摩耗量を、切削溝を形成している最中であっても容易に算出でき、該摩耗量を加算して切削ブレードによる切り込み深さを適正に調整することができるウエーハの加工方法及び加工装置を提供する。【解決手段】ウエーハの加工方法において、摩耗量算出工程では、ウエーハ10の分割予定ライン12に切削ブレードを位置付けてチャックテーブルと相対的に切削送りして分割予定ライン12に切削溝16を形成し、時間経過に伴って切削溝形成を中断して、切削ブレードを未加工の分割予定ラインに対して垂直に相対的に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝18aを形成する。撮像手段7によって垂直溝の長さL1を計測した値と、所定の切り込み位置とによって切削ブレードの摩耗量を算出して、切削溝形成において、摩耗量を加算して切り込み深さを調整する。【選択図】図7
Description
本発明は、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハの加工方法及び加工装置に関する。
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
ダイシング措置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像して切削すべき領域を検出する撮像手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを回転可能に備えた切削手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に相対的に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向に相対的に切り込み送りするZ軸送り手段と、制御手段と、を含み構成され、ウエーハを個々のデバイスチップに高精度に分割できる(例えば特許文献1を参照)。
ところで、切削ブレードによる切削加工を繰り返し実施すると、切削ブレードの切り刃が摩耗して切り込み深さが徐々に浅くなり、さらに摩耗が進行すると、ウエーハの表面から所望の深さの切削溝が形成できなくなって、デバイスチップの品質が低下するという問題がある。すなわち、該切削ブレードの切り刃の摩耗は、例えば、ウエーハの表面に一定の深さの溝を形成した後、ウエーハの裏面を研削してウエーハを個々のデバイスチップに分割する先ダイシング技術、又はウエーハを完全切削する際に該ウエーハの裏面に貼着されたテープを所定の深さで切り込む技術において品質に与える影響が大きい。このような問題に対し、切削ブレードをカバーするブレードカバーに対して光学素子から構成されたブレードセンサーを配設し、切削ブレードの切り刃の摩耗量を検出することも提案されている。しかし、該摩耗量を検出するためには、該ブレードセンサーの汚れを除去したり、調整したりするメンテナンスが必要であることから、切削溝を形成する加工を実施している最中に気軽に切り刃の摩耗量を検出することができず、煩に堪えないという問題がある。
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、切削ブレードの外周に形成された切り刃の摩耗量を、切削溝を形成している最中であっても容易に算出でき、該摩耗量を加算して切削ブレードによる切り込み深さを適正に調整することができるウエーハの加工方法及び加工装置を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハの加工方法であって、チャックテーブルにウエーハを保持する保持工程と、チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像手段で撮像して加工すべき分割予定ラインの位置を検出する検出工程と、分割予定ラインの間隔にしたがって切削ブレードと該チャックテーブルとを相対的に割り出し送りし、分割予定ラインに切削ブレードを位置付けて該チャックテーブルと相対的に切削送りして分割予定ラインに切削溝を形成する切削溝形成工程と、を含み、時間経過に伴って該切削溝形成工程を中断して、切削ブレードを未加工の分割予定ラインに対して垂直に相対的に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝を形成する垂直溝形成工程と、該撮像手段によって該垂直溝の長さを計測した値と、該所定の切り込み位置とによって切削ブレードの摩耗量を算出する摩耗量算出工程と、該切削溝形成工程において、該摩耗量を加算して切り込み深さを調整する切り込み深さ調整工程と、を備え構成されるウエーハの加工方法が提供される。
また、本発明によれば、複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハの加工装置であって、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像して切削すべき領域を検出する撮像手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを回転可能に備えた切削手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に相対的に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向に相対的に切り込み送りするZ軸送り手段と、制御手段と、を含み構成され、該制御手段は、未加工の分割予定ラインに切削ブレードを位置付けて該Z軸送り手段を作動して、切削ブレードを分割予定ラインに対して相対的に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝を形成する垂直溝形成部と、該撮像手段によって該垂直溝の長さを計測する長さ計測部と、該長さ計測部によって計測した長さの値と、該所定の切り込み位置とによって切削ブレードの摩耗量を算出する算出部と、該摩耗量を加算して該Z軸送り手段を作動して切り込み深さを調整する切り込み深さ調整部と、を備え構成されるウエーハの加工装置が提供される。
本発明のウエーハの加工方法は、チャックテーブルにウエーハを保持する保持工程と、チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像手段で撮像して加工すべき分割予定ラインの位置を検出する検出工程と、分割予定ラインの間隔にしたがって切削ブレードと該チャックテーブルとを相対的に割り出し送りし、分割予定ラインに切削ブレードを位置付けて該チャックテーブルと相対的に切削送りして分割予定ラインに切削溝を形成する切削溝形成工程と、を含み、時間経過に伴って該切削溝形成工程を中断して、切削ブレードを未加工の分割予定ラインに対して垂直に相対的に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝を形成する垂直溝形成工程と、該撮像手段によって該垂直溝の長さを計測した値と、該所定の切り込み位置とによって切削ブレードの摩耗量を算出する摩耗量算出工程と、該切削溝形成工程において、該摩耗量を加算して切り込み深さを調整する切り込み深さ調整工程と、を備え構成されることから、切削ブレードの外周に形成された切り刃が摩耗しても、摩耗量を加算して切り込み深さが一定となるように調整されることから、ウエーハの表面から所望の深さの切削溝が形成できずにデバイスチップの品質が低下するという問題が解消する。
また、本発明のウエーハの加工装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像して切削すべき領域を検出する撮像手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを回転可能に備えた切削手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に相対的に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向に相対的に切り込み送りするZ軸送り手段と、制御手段と、を含み構成され、該制御手段は、未加工の分割予定ラインに切削ブレードを位置付けて該Z軸送り手段を作動して、切削ブレードを分割予定ラインに対して相対的に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝を形成する垂直溝形成部と、該撮像手段によって該垂直溝の長さを計測する長さ計測部と、該長さ計測部によって計測した長さの値と、該所定の切り込み位置とによって切削ブレードの摩耗量を算出する算出部と、該摩耗量を加算して該Z軸送り手段を作動して切り込み深さを調整する切り込み深さ調整部と、を備え構成されていることから、切削ブレードの外周に形成された切り刃が摩耗しても、摩耗量を加算して切り込み深さが一定となるように調整されることから、ウエーハの表面から所望の深さの切削溝が形成できずにデバイスチップの品質が低下するという問題が解消する。
以下、本発明に基づいて構成されるウエーハの加工方法及び加工装置に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1には、本実施形態のウエーハの加工方法を実施するのに好適な加工装置の一例であるダイシング装置1の全体斜視図が示されている。本実施形態のダイシング装置1によって加工される被加工物は、例えば、図示のような半導体のウエーハ10であり、環状のフレームFに粘着テープTを介して支持されている。
ダイシング装置1は、ウエーハ10を吸引保持するチャックテーブル22と、チャックテーブル22に保持されたウエーハ10を撮像して加工すべき領域を検出する撮像手段7と、チャックテーブル22に保持されたウエーハ10を切削する切削ブレード83を回転可能に備えた切削手段8と、チャックテーブル22と切削手段8とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段(図示は省略している)と、チャックテーブル22と切削手段8とを相対的にX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段(図示は省略している)と、チャックテーブル22と切削手段8とを相対的にX軸方向及びY軸方向に直交するZ軸方向に切り込み送りするZ軸送り手段(図示は省略している)と、制御手段100と、を含み構成されている。
ダイシング装置1についてさらに説明すると、ダイシング装置1は、略直方体形状のハウジング2を備え、ハウジング2のカセットテーブル4aに載置されるカセット4と、カセット4からフレームFに支持されたウエーハ10を仮置きテーブル5に搬出する搬出入手段3と、仮置きテーブル5に搬出されたウエーハ10を、上記した保持手段20のチャックテーブル22に搬送する旋回アームを有する搬送手段6と、加工後のウエーハ10を洗浄する洗浄装置13(詳細については省略されている)と、図1においてチャックテーブル22が位置付けられた搬出入位置からウエーハ10を洗浄装置13に搬送する洗浄搬送手段14と、ハウジング2上に配設された表示手段15と、を備えている。
切削手段8は、スピンドルハウジング81と、スピンドルハウジング81に回転自在に保持されたスピンドル82とを備え、切削ブレード83は、スピンドル82の先端部に固定されている。さらに、スピンドルハウジング81の先端には、切削ブレード83を保護する複数の部材により構成されたブレードカバー84が配設されている。ブレードカバー84には、切削ブレード83を挟み隣接するように一対の切削水供給ノズル85(反対側は見えていない)が配設されており、ブレードカバー84を介して導入される切削水を切削位置に向けて供給する(図4も併せて参照)。スピンドルハウジング81の他端側には図示を省略するモータ等の回転駆動源が収容されており、該回転駆動源はスピンドル82を回転させることで切削ブレード83を回転させる。
本実施形態の切削ブレード83は、例えば、ダイヤモンド砥粒を含むレジン砥石又はビトリファイド砥石から構成され、直径が50mm、厚みが30μmの環状の切り刃を有するブレードが選択される。なお、本発明において選択される切削ブレード83の材質、厚みはこれに限定されない。
チャックテーブル22は、図示を省略する回転駆動手段を備え、チャックテーブル22の保持面23の周囲には、上記したウエーハ10を支持するフレームFを固定するためのクランプ21が均等な間隔で複数(図示の実施形態では4つ)配設されている。
制御手段100は、コンピュータにより構成され、制御プログラムに従って演算処理する中央演算処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、検出した検出値、演算結果等を一時的に格納するための読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、入力インターフェース、及び出力インターフェースとを備えている(詳細についての図示は省略する)。制御手段100には、上記したX軸送り手段、Y軸送り手段、Z軸送り手段、チャックテーブル22の回転駆動手段、撮像手段7等が少なくとも接続され、追って詳細に説明する垂直溝形成部、長さ計測部、算出部、切り込み深さ調整部が制御プログラムにより構成されている。
ダイシング装置1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、このダイシング装置1を使用して、本実施形態のウエーハの加工方法を実施することが可能である。図1に加え、図2~7を参照しながら、本実施形態のウエーハの加工方法について説明する。
本実施形態のウエーハの加工方法によって加工されるウエーハ10は、例えば、図2に示すように、複数のデバイス11が分割予定ライン12によって区画され表面10aに形成されたウエーハである。図示のウエーハ10を用意したならば、該ウエーハ10を上記したチャックテーブル22に載置して保持する保持工程を実施する。ウエーハ10を加工するに際しては、図示のように、開口を有する環状のフレームFを用意し、該開口の中央にウエーハ10の表面10aを上方に向けて載置すると共に、ダイシングテープTにフレームFと共に貼着して一体とする。該保持工程を実施する際には、図示を省略する吸引手段を作動して、上記したチャックテーブル22の保持面23に負圧を生成して吸引すると共にクランプ21によってフレームFを把持してウエーハ10を固定する。なお、本発明は、必ずしもウエーハ10をダイシングテープTによってフレームFに支持することに限定されず、フレームFを使用することなくウエーハ10をチャックテーブル22に保持するようにしてもよい。その場合は、ウエーハ10の裏面にウエーハ10の形状と一致するダイシングテープを貼着することが好ましい。
上記した保持工程を実施したならば、図3に示すように、ウエーハ10を撮像手段7の直下に位置付けて、ウエーハ10の表面10を撮像手段7で撮像し加工すべき分割予定ライン12の位置を検出する検出工程を実施する。加工すべきウエーハ10の分割予定ライン12を検出したならば、該分割予定ライン12の位置座標を制御手段100に配設された適宜の記憶領域に記憶する。
上記した検出工程を実施したならば、図3の表示手段15に示されているように、上記検出工程により検出した加工すべき分割予定ライン12の位置情報に基づき、Y軸送り手段及び上記した回転駆動手段を作動して、ウエーハ10の所定の分割予定ライン12を、表示手段15に表示されるヘアライン15aに沿うX軸方向に整合させると共に、該ヘアライン15aに一致するように移動して切削手段8の切削ブレード83との位置合わせを実施する。次いで、上記したZ軸送り手段を作動して、図4に示すように、X軸方向に整合させた分割予定ライン12に、矢印R1で示す方向に高速回転させた切削ブレード83を位置付けてZ軸方向に切り込ませると共に、上記したX軸送り手段を作動して、チャックテーブル22をX軸方向に加工送りして切削溝16を形成する。さらに、Y軸送り手段を作動して、切削溝16を形成した分割予定ライン12と、Y軸方向で隣接し切削溝16が形成されていない未加工の分割予定ライン12との間隔にしたがって切削手段8の切削ブレード83をY軸方向に割り出し送りして、未加工の分割予定ライン12に切削ブレード83を位置付けて、上記と同様にして切削溝16を形成する切削加工を実施する。これらを繰り返すことにより、X軸方向に沿うすべての分割予定ライン12に沿って切削溝16を形成する。次いで、チャックテーブル22を90度回転し、先に切削溝16を形成した方向と直交する方向をX軸方向に整合させ、上記した切削加工を新たにX軸方向に整合させたすべての分割予定ライン12に対して実施し、ウエーハ10に形成されたすべての分割予定ライン12に沿って切削溝16を形成する。このように切削加工を実施して分割予定ライン12に沿ってウエーハ10をデバイス11ごとのデバイスチップに分割する(切削溝形成工程)。
上記した切削溝形成工程において設定される切り込み送り量は、例えば、摩耗が生じていない新品の切削ブレード83を使用して、ウエーハ10の分割予定ライン12が完全に分割されると共に、ダイシングテープTの上面側の一部、例えば、上面から50μmだけ切り込まれるように設定されている。この状態から、複数のウエーハ10に対して上記の切削溝形成工程を繰り返し実施することで、徐々に切削ブレード83の外周の切り刃の先端部分が摩耗し、ついには所望の切削溝16が適正に形成されず、個々に分割されるデバイスチップが所望の品質とならないことが起こり得る。そこで、本実施形態のダイシング装置1の制御手段100には、切削ブレード83を分割予定ライン12に対して相対的に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝を形成する垂直溝形成部と、撮像手段7によって該垂直溝の長さを計測する長さ計測部と、該長さ計測部によって計測した長さの値及び該所定の切り込み位置とによって切削ブレードの摩耗量を算出する算出部と、該摩耗量を加算して該Z軸送り手段を作動して切り込み深さを調整する切り込み深さ調整部とが構成されており、上記した切削溝形成工程を適宜のタイミングで中断し、以下に説明する垂直溝形成工程、摩耗量算出工程、及び切り込み深さ調整工程を実施する。図5~7を参照しながら、以下にその具体的な手順について説明する。
上記した制御手段100は、切削溝形成工程が実施される時間経過を管理しており、新たに投入された切削ブレード83に摩耗が生じていない所定の時間経過のタイミングで切削溝形成工程を中断し、切削ブレード83をウエーハ10の未加工の分割予定ライン12に対して垂直に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝を形成する1回目の垂直溝形成工程を実施する。なお、該時間経過の管理は、ウエーハ10の分割予定ライン12に対して切削溝を形成する加工時間を計測し管理することだけに限定されず、分割予定ライン12に形成する切削溝の長さや該切削溝を形成する本数をカウントするものであってもよい。
該垂直溝形成工程を実施するに際しては、まず、制御手段100を構成する垂直溝形成部を作動して、図5(a)に示すように、切削ブレード83を未加工の分割予定ライン12の上方に位置付ける。次いで、切削ブレード83を矢印R1で示す方向に高速回転させると共に、ウエーハ10の表面10a側から、分割予定ライン12上に対して、図中矢印R2で示す垂直方向に下降させる。このとき切削ブレード83の中心Cは、図6に示すように、下降前の所定の高さ位置Z0から、所定の切り込み深さ位置Z1で示す位置に位置付けられる。該所定の切り込み深さ位置Z1は、切削ブレード83が摩耗していない状態(このときの切削ブレード83の半径r1とする)でウエーハ10を完全に切断しない位置、例えばウエーハ10の表面10aから100μmの深さ程度になるように設定される。これにより、該垂直溝18aが形成される。次いで、図5(b)に示すように、切削ブレード83を矢印R3で示す方向に上昇させて、切削ブレード83の中心Cを、図6に示す下降前の所定の高さ位置Z0に位置付ける。なお、上記した実施形態では、垂直溝18aを、ウエーハ10においてデバイス11が形成された中央側の領域を囲繞する外周余剰領域の分割予定ライン12上に形成したが、本発明はこれに限定されず、デバイス11が形成された中央側の領域の分割予定ライン12上に形成してもよい。
上記したように、垂直溝18aを形成したならば、X軸送り手段、Y軸送り手段を作動して、図7に示すように、垂直溝18aを形成した領域を撮像手段7の直下に位置付けて撮像して表示手段15に表示すると共に、垂直溝18aの長さを計測する長さ計測部を作動して、垂直溝18aの長さL1を計測する。ここで、ウエーハ10の表面10aの高さをZ2とすると、
(Z1-Z2)2+(L1/2)2=r12 ・・・・・(1)
が成立する。該Z2の高さ位置は、図示を省略する所定の高さ計測装置によって計測されて制御手段100に記憶されていることから、このときの切削ブレード83の半径r1は、
r1=[(Z1-Z2)2+(L1/2)2]1/2 ・・・・・(2)
によって算出される。
(Z1-Z2)2+(L1/2)2=r12 ・・・・・(1)
が成立する。該Z2の高さ位置は、図示を省略する所定の高さ計測装置によって計測されて制御手段100に記憶されていることから、このときの切削ブレード83の半径r1は、
r1=[(Z1-Z2)2+(L1/2)2]1/2 ・・・・・(2)
によって算出される。
上記したように、1回目の垂直溝形成工程を実施し、上記の式(2)によって切削ブレード83の半径r1が算出されたならば、該半径r1を制御手段100の所定の記憶部に記憶する。次いで、上記した垂直溝18aを形成した分割予定ライン12から、切削溝形成工程を再開して、ウエーハ10の全ての分割予定ライン12に切削溝16を形成する切削溝形成工程を実施して完了させる。上記した摩耗していない切削ブレード83の半径r1を算出した後、上記した検出工程、切削溝形成工程を、複数のウエーハ10に対して実施し、切削溝形成工程を繰り返し実施する。
制御手段100によって、切削溝形成工程を再開した後の時間経過に伴って、所定の時間経過が検出されたならば、切削溝形成工程を中断して、上記の図5~図7に基づき説明した手順にしたがい2回目の垂直溝形成工程を実施し、切削手段8の切削ブレード83の中心Cを、上記した図6に示す所定の切り込み位置Z1に位置付け、未加工の分割予定ライン12上のいずれかの位置に垂直溝18bを形成する(垂直溝形成工程)。なお、上記の所定の時間経過の設定値は、仮に切削ブレード83の切り刃に摩耗が生じた場合であっても、切削溝形成工程において形成される切削溝16が過剰に浅くなりデバイスの品質の低下を招く状態となる前に実施されるように設定される。
上記したように、ウエーハ10の分割予定ライン12上の位置に、垂直溝18bを形成したならば、上記の長さ計測部を作動し、図7に示すように、撮像手段7によって撮像した画像データから、垂直溝18bの長さL2を計測する(下方の表示手段15を参照)。そして、制御手段100に構成された切削ブレード83の摩耗量を算出する算出部を作動して、垂直溝18bの長さL2と、ウエーハ10に対する所定の切り込み位置Z1とによって、上記した式(1)、(2)と同様の以下の式(3)、(4)に基づき、垂直溝18bを形成した摩耗後の切削ブレード83の半径r2を算出する。
(Z1-Z2)2+(L2/2)2=r22 ・・・・・(3)
r2=[(Z1-Z2)2+(L2/2)2]1/2 ・・・・・(4)
(Z1-Z2)2+(L2/2)2=r22 ・・・・・(3)
r2=[(Z1-Z2)2+(L2/2)2]1/2 ・・・・・(4)
次いで、上記した算出部を作動して、該半径r2と、前回、すなわち1回目の垂直溝形成工程により得られた半径r1とに基づき、以下に示す式(5)によって、切削ブレード83の摩耗量Δrを算出する(摩耗量算出工程)。該摩耗量Δrの値は、制御手段100の適宜の記憶部に記憶する。
Δr=r1-r2 ・・・・・(5)
Δr=r1-r2 ・・・・・(5)
上記した摩耗量Δrを算出して制御手段100に記憶したならば、再度、ウエーハ10に対する切削溝形成工程を再開する。この際、制御手段100に構成された切り込み深さ調整部を作動し、切削溝形成工程における所定の切り込み送り量に対し、上記した摩耗量Δrを加算して、Z軸送り手段を作動して切り込み送る際の切削ブレード83の先端が達する所定の切り込み深さを、摩耗量Δrだけ下方に調整する(切込み深さ調整工程)。
上記したように、2回目の垂直溝形成工程、摩耗量算出工程、切り込み深さ調整工程を実施して、摩耗量Δrに基づき切削ブレード83の切込み深さを調整したならば、上記した切削溝形成工程を再開すると共に、引き続き切削溝形成工程の時間経過を管理する。そして、切削溝形成工程を再開した後の時間経過に伴って3回目以降の垂直溝形成工程、摩耗量算出工程、及び切込み深さ調整工程を繰り返し実施する。3回目以降の切削ブレード83の摩耗量の算出においては、上記した2回目の垂直溝形成工程により算出される切削ブレード83の半径r2と、3回目の垂直溝形成工程により算出される切削ブレード83の半径との差分、3回目の垂直溝形成工程により算出される切削ブレード83の半径と4回目の垂直溝形成工程により算出される切削ブレード83の半径との差分、というように、垂直溝形成工程を実施する毎に、切削ブレード83の半径の前回値と今回値との差分により切削ブレード83の最新の摩耗量を算出し、切り込み深さ調整工程に反映させることができる。なお、本発明はこれに限定されず、例えば、繰り返し実施される垂直溝形成工程によって算出される切削ブレード83の切り刃の半径の今回値と、上記した1回目の垂直溝形成工程の垂直溝18aにより算出された1回目の切削ブレード83の半径r1とから摩耗量を算出して摩耗量の総和として、切り込み深さ調整工程を実施することもできる。
上記したように、ウエーハ10を個々のデバイスチップに分割する際に、切削溝形成工程が繰り返し実施され、所定の経過時間に伴い切削ブレード83の外周に形成された切り刃が摩耗しても、該切り刃の摩耗量を算出して切り込み深さに加算することにより、切削溝形成工程において切削ブレード83が到達する切り込み深さが一定になるように調整されることから、ウエーハ10の表面10aから所望の深さの切削溝16が形成できずにデバイスチップの品質が低下するという問題が解消する。
さらに、上記した実施形態のウエーハの加工方法によれば、切削溝形成工程を実施している最中に、該切削溝形成工程を中断し、そのまま垂直溝形成工程を実施して、分割予定ライン12上に形成した垂直溝の長さを計測することで、切削ブレード83の摩耗量を算出することが可能であり、該摩耗量に基づいて切削溝形成工程を実施する際の切り込み送り深さの調整が可能となり、切削ブレード83の摩耗に伴う切り込み深さの調整を容易に実行することができる。また、上記したように、垂直溝形成工程によって形成される垂直溝は、分割予定ライン12上に形成されることから、該垂直溝を形成する際に、誤ってデバイス11を損傷してしまうという問題もない。
1:ダイシング装置
2:ハウジング
3:搬出入手段
4:カセット
5:仮置きテーブル
6:搬送手段
7:撮像手段
8:切削手段
81:スピンドルハウジング
82:スピンドル
83:切削ブレード
84:ブレードカバー
85:切削水供給ノズル
10:ウエーハ
10a:表面
11:デバイス
12:分割予定ライン
13:洗浄装置
14:洗浄搬送手段
15:表示手段
20:保持手段
21:クランプ
22:チャックテーブル
23:保持面
100:制御手段
2:ハウジング
3:搬出入手段
4:カセット
5:仮置きテーブル
6:搬送手段
7:撮像手段
8:切削手段
81:スピンドルハウジング
82:スピンドル
83:切削ブレード
84:ブレードカバー
85:切削水供給ノズル
10:ウエーハ
10a:表面
11:デバイス
12:分割予定ライン
13:洗浄装置
14:洗浄搬送手段
15:表示手段
20:保持手段
21:クランプ
22:チャックテーブル
23:保持面
100:制御手段
Claims (2)
- 複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハの加工方法であって、
チャックテーブルにウエーハを保持する保持工程と、
チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像手段で撮像して加工すべき分割予定ラインの位置を検出する検出工程と、
分割予定ラインの間隔にしたがって切削ブレードと該チャックテーブルとを相対的に割り出し送りし、分割予定ラインに切削ブレードを位置付けて該チャックテーブルと相対的に切削送りして分割予定ラインに切削溝を形成する切削溝形成工程と、
を含み、
時間経過に伴って該切削溝形成工程を中断して、切削ブレードを未加工の分割予定ラインに対して垂直に相対的に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝を形成する垂直溝形成工程と、
該撮像手段によって該垂直溝の長さを計測した値と、該所定の切り込み位置とによって切削ブレードの摩耗量を算出する摩耗量算出工程と、
該切削溝形成工程において、該摩耗量を加算して切り込み深さを調整する切り込み深さ調整工程と、
を備え構成されるウエーハの加工方法。 - 複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハの加工装置であって、
ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像して切削すべき領域を検出する撮像手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを回転可能に備えた切削手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に相対的に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向に直交するY軸方向に相対的に割り出し送りするY軸送り手段と、該チャックテーブルと該切削手段とをX軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向に相対的に切り込み送りするZ軸送り手段と、制御手段と、を含み構成され、
該制御手段は、
未加工の分割予定ラインに切削ブレードを位置付けて該Z軸送り手段を作動して、切削ブレードを分割予定ラインに対して相対的に所定の切り込み位置まで切込み送りして垂直溝を形成する垂直溝形成部と、
該撮像手段によって該垂直溝の長さを計測する長さ計測部と、
該長さ計測部によって計測した長さの値と、該所定の切り込み位置とによって切削ブレードの摩耗量を算出する算出部と、
該摩耗量を加算して該Z軸送り手段を作動して切り込み深さを調整する切り込み深さ調整部と、
を備え構成されるウエーハの加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022160131A JP2024053742A (ja) | 2022-10-04 | 2022-10-04 | ウエーハの加工方法及び加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022160131A JP2024053742A (ja) | 2022-10-04 | 2022-10-04 | ウエーハの加工方法及び加工装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024053742A true JP2024053742A (ja) | 2024-04-16 |
Family
ID=90670801
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022160131A Pending JP2024053742A (ja) | 2022-10-04 | 2022-10-04 | ウエーハの加工方法及び加工装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024053742A (ja) |
-
2022
- 2022-10-04 JP JP2022160131A patent/JP2024053742A/ja active Pending
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