JP2024053676A - 積層造形装置及び積層造形プログラム - Google Patents

積層造形装置及び積層造形プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】安定した品質の造形物を得る。【解決手段】積層造形装置1は、粉末91及び造形物92を支持する造形テーブル42と、造形テーブル42上の粉末91の造形面91sに電子ビームBを照射する電子銃21を含む積層造形部5と、導電性を有する造形テーブル42に電気的に接続されて、造形テーブル42と基準電位GNDとの電位差に関する情報を得る電位計測器6と、電位計測器6が出力する電位の情報を受け、電位の情報を利用して積層造形部5を制御するコントローラ7と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、積層造形装置及び積層造形プログラムに関する。
積層造形技術は、粉末を敷き均すステップと、敷き均した粉末にエネルギビームを照射するステップと、を繰り返しながら三次元の造形物を得る。エネルギビームとして電子ビームを選択することがある。粉末に電子ビームが照射されると、粉末が電気的に負の状態に帯電する。粉末の帯電量が大きくなると、電気的な反発力によって、粉末の飛散が発生することが知られている。
例えば、特許文献1、2は、電子ビームを用いた造形装置において、粉末の飛散に注目した技術を開示する。具体的には、特許文献1、2が開示する技術は、いずれも粉末の飛散を発生しにくくする。
特許第5135584号 特開2019-7051号公報
仮に、粉末の飛散が発生したとする。粉末の飛散は、電子ビームの照射に起因して、粉末が帯電することが主な原因であるとされている。そこで、粉末の飛散が発生した場合には、電子ビームの照射を停止する。電子ビームの照射が中断されると、電子ビームの照射を受けていた粉末の温度が低下するなどといった、造形環境の変化が生じる。このような造形環境の変化は、造形物の品質に影響を及ぼす。つまり、粉末の飛散が発生するような造形動作では、安定した品質の造形物を得ることが難しい。
そこで、本発明は、安定した品質の造形物を得ることができる積層造形装置及び積層造形プログラムを提供する。
本発明の一形態である積層造形装置は、粉末及び造形物を支持する造形テーブルと、造形テーブル上の粉末の表面に電子ビームを照射する電子銃を含む積層造形部と、導電性を有する造形テーブルに電気的に接続されて、造形テーブルと基準電位との電位差に関する情報を得る電位計測部と、電位計測部が出力する電位の情報を受け、電位の情報を利用して積層造形部を制御するコントローラと、を備える。
本発明の別の形態である積層造形プログラムは、粉末及び造形物を支持する造形テーブルに、粉末を塗布するステップと、造形テーブル上の粉末の表面に電子ビームを照射する電子銃を含む積層造形部によって、造形物を造形するステップと、導電性を有する造形テーブルと基準電位との電位差に関する情報を得るステップと、電位差に関する情報を得るステップの結果として出力される電位の情報を受け、電位の情報を利用して積層造形部を制御するステップと、をコンピュータに実行させる。
積層造形装置は、造形テーブルと基準電位との電位差に関する情報を得ることによって、造形テーブルの上に塗布された粉末の帯電状態を知ることができる。粉末の飛散が発生するか否かは、粉末の帯電状態の影響を受ける。従って、粉末の帯電状態を知ることができれば、粉末の飛散が発生する予兆を捉えることが可能になる。粉末の飛散が発生する予兆を捉えることができれば、粉末の飛散を発生させない手段を講じることができる。従って、積層造形装置及び積層造形プログラムは、粉末の飛散が発生する予兆を捉えることによって、粉末の飛散を未然に防止することが可能であるから、安定した品質の造形物を得ることができる。
上記の積層造形装置のコントローラは、電子ビームを粉末に照射している状態であるときの電位の単位時間当たりの変化量を粉末の飛散の予兆を捉えるための評価値として得る取得動作と、電位の単位時間当たりの変化量を用いて、粉末の飛散の予兆を捉える捕捉動作と、を行ってもよい。この動作によれば、簡易な判断によって粉末の飛散の予兆を捉えることができる。
上記の積層造形装置のコントローラは、造形テーブルに粉末を塗布する塗布動作と、塗布された粉末に設定される積層造形領域に電子ビームを照射する積層造形動作と、を積層造形部に実行させてもよい。コントローラは、積層造形動作を実行しているときに、取得動作及び捕捉動作を実行してもよい。この動作によれば、造形動作中において、粉末の飛散の予兆を捉えることが可能になる。その結果、造形物の品質を低下させる粉末の飛散の発生が抑制されるので、安定した品質の造形物を得ることができる。
上記の積層造形装置のコントローラは、捕捉動作の結果が粉末の飛散が生じる予兆があることを示す場合に、電子ビームの照射を停止してもよい。この動作によれば、粉末の飛散を未然に防ぐことができる。
上記の積層造形装置のコントローラは、造形テーブルに粉末を塗布する塗布動作と、塗布された粉末に設定される積層造形領域に電子ビームを照射する積層造形動作と、を積層造形部に実行させてもよい。コントローラは、塗布動作の後であり、且つ、積層造形動作の前に、取得動作及び捕捉動作を含む前評価動作を実行してもよい。この動作によれば、これから実行しようとする造形動作のための、粉末の飛散を発生させないようにする動作条件を得ることができる。
上記の積層造形装置のコントローラは、捕捉動作の結果が粉末の飛散が生じる予兆があることを示す場合に、電子ビームの照射条件を変更してもよい。この動作によれば、これから実行しようとする造形動作の環境に応じた、粉末の飛散を発生させないようにする動作条件を得ることができる。
上記の積層造形装置のコントローラは、塗布動作と積層造形動作を繰り返し実行してもよい。コントローラは、塗布動作が実行されるたびに、前評価動作を実行してもよい。この動作によれば、塗布動作ごとに粉末の飛散を発生させないようにする動作条件を得ることができる。
上記の積層造形装置の造形テーブルは、絶縁部材を介して造形テーブルを駆動するテーブル昇降部と連結されてもよい。この構成によれば、粉末の電位差に関する情報を良好に得ることができる。
本発明の積層造形装置及び積層造形プログラムによれば、安定した品質の造形物を得ることができる。
図1は、第1実施形態の積層造形装置の構成を示す概略図である。 図2は、スモークが発生する原理を説明するための図である。 図3は、コントローラの機能構成を示すブロック図である。 図4は、造形プレートの電位の時間変化を例示するグラフである。 図5は、第1実施形態の積層造形装置が実行する積層造形方法のフローチャートである。 図6は、造形プレートの電位の時間変化を例示する別のグラフである。 図7は、第2実施形態の積層造形装置が実行する積層造形方法のフローチャートである。 図8は、変形例の電位計測器の構成を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示す積層造形装置1は、いわゆる3Dプリンタである。積層造形装置1は、層状の粉末91における造形対象となる領域に電子ビームBを付与する。換言すると、積層造形装置1は、造形対象となる領域に含まれている粉末91の温度を上昇させる。その結果、電子ビームBを受けた粉末91の一部は、溶融又は焼結する。そして、電子ビームBの付与が停止されると、溶融した粉末91の温度が下がるので、固化する。つまり、積層造形装置1は、電子ビームBの付与と停止とを複数回繰り返すことにより、造形物92を得る。
粉末91は、金属粉末である。粉末91は、例えばチタン系金属粉末、インコネル粉末又はアルミニウム粉末等である。粉末91は、金属粉末に限定されない。粉末91は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)など、炭素繊維と樹脂とを含む材料であってもよい。粉末91は、導電性を有するその他の粉末でもよい。
造形物92は、例えば機械部品である。なお、造形物92は、その他の構造物であってもよい。
積層造形装置1は、電子ビーム発生部2と、ビーム整形部3と、造形領域部4と、を有する。電子ビーム発生部2、ビーム整形部3及び造形領域部4は、積層造形部5を構成する。電子ビーム発生部2は、電子ビームBを発生させ、当該電子ビームBをビーム整形部3を介して造形領域部4に提供する。ビーム整形部3は、電子ビーム発生部2から出射された電子ビームBを整形する。造形領域部4は、粉末91を収容し、電子ビームBを受けて粉末91を溶融及び固化させる造形空間Gを形成する。
電子ビーム発生部2は、電子銃21とビーム源チャンバ22とを有する。電子銃21は、電源と、カソードと、アノードと、フィラメントと、グリッド電極と、を有する。カソードは、フィラメントによって加熱される。加熱の結果、カソードは熱電子を放出する。熱電子は、カソード及びアノード間の電位差に応じて加速される。加速された熱電子は、電子ビームBを構成する。電子ビームBが出射される方向、つまり熱電子が加速される方向は、電子ビーム発生部2の出射方向である。
なお、電子ビーム発生部2は、ビーム源チャンバ22の内部空間を減圧するためのビーム源ポンプを備えてもよい。ビーム源チャンバ22の内部を高真空状態とすることにより、高温のカソードとガスとの化学反応の発生が抑制される。従って、カソードの表面に化合物による膜が生じることが抑制される。その結果、カソードから放出される熱電子の数の低下を抑制できる。
ビーム整形部3は、電子ビーム発生部2の前方領域に磁場を形成する。前方領域とは、電子ビームBの出射軸の方向における前方(下流側)の領域である。ビーム整形部3は、収差修正コイル31と焦点コイル32と偏向コイル33を含む。収差修正コイル31、焦点コイル32及び偏向コイル33は、電子ビームBの出射軸の方向において、例えば電子ビーム発生部2側からこの順番で配置されている。
収差修正コイル31、焦点コイル32及び偏向コイル33は、電子ビーム発生部2から出射される電子ビームBを囲むように配置されている。収差修正コイル31は、電子ビームBの非点収差を補正する。焦点コイル32は、電子ビームBを細く収束する。偏向コイル33は、収束された電子ビームBを偏向する。電磁的なビーム偏向は、機械的なビーム偏向と比べて、走査速度を高めることができる。このような構成によれば、電子ビーム発生部2から出射された電子ビームBは、収差修正コイル31により非点収差が補正され、焦点コイル32により細く収束され、偏向コイル33により偏向された後に、所定の位置に照射される。
造形領域部4は、造形チャンバ41と、造形テーブル42と、昇降装置43と、粉末供給装置44と、造形ポンプ46と、を有する。
造形チャンバ41は、造形テーブル42及び粉末供給装置44を収容する造形空間Gを形成する。
造形テーブル42は、例えば板状を成し、造形物92の原料である粉末91が配置される。造形テーブル42は、平面視において、矩形状である。造形テーブル42の形状は、矩形に限定されない。造形テーブル42は、円形でもよいし、その他の形状でもよい。昇降装置43は、造形テーブル42を昇降させる。昇降装置43は、例えばラックアンドピニオン方式の駆動機構を含む。なお、昇降装置43は、ラックアンドピニオン方式の駆動機構に限定されず、例えば、ボールねじ、シリンダなどその他の機構であってもよい。
粉末供給装置44は、粉末91を、例えば層状に複数回に分けて造形テーブル42の上に配置する。造形テーブル42上に配置された粉末91の表面を、以下の説明において「造形面91s」と称する。造形面91sは、電子ビームBの照射を受ける。
粉末供給装置44は、原料タンク441と、粉末塗布機構442とを有する。原料タンク441は、粉末91を貯留すると共に造形テーブル42上に粉末91を供給する。粉末塗布機構442は、造形テーブル42上の粉末91の表面を均す。なお、積層造形装置1は、粉末塗布機構442に替えて、ローラー部、棒状部材、刷毛部などを有する機構を採用してもよいし、粉末91を散布する機構を採用してもよい。
造形ポンプ46は、造形チャンバ41の造形空間Gに存在するガスを排気し、造形空間Gの圧力を所定の値に設定する。造形ポンプ46は、いわゆる真空ポンプである。
積層造形装置1は、粉末91の飛散が発生する予兆を捉える。以下の説明において、造形面91sから粉末91が飛散する現象を「スモーク」とも称する。
図2に示すように、造形面91sに電子ビームBを照射すると、電子Eは粉末粒子91pと結びつく。電気的には中性であった粉末粒子91pは、負に帯電する。造形テーブル42が基準電位GNDに接続されているとする。つまり、造形テーブル42が接地されている場合には、電子Eは、導電性を有する造形テーブル42を介して、基準電位GNDに移動する。その結果、粉末粒子91pが帯電した状態は解消される。
上述した状態は、電子ビームBから供給される電子Eの数が、基準電位GNDに移動する電子Eの数よりも少ないときに発生する。このような状態であるときには、原理的にはスモークは発生しない。
一方、電子ビームBから供給される電子Eの数が、基準電位GNDに移動する電子Eの数よりも多くなることもあり得る。例えば、互いに隣接する電子ビームBの走査ラインが狭いときに、電子ビームBから供給される電子Eの数が、基準電位GNDに移動する電子Eの数よりも多くなることがある。この場合には、電子Eの数に応じる帯電量が時間の経過とともに増加する。粉末粒子91pの帯電量が多くなると、粉末粒子91pの間に電気的な反発力が発生する。この力によって、粉末粒子91pが飛散する。つまり、スモークが発生する。
スモークが発生すると造形動作を中断する。少なくとも電子ビームBの照射を停止する。そうすると、造形面91sの温度が低下するので、造形面91sの温度を所定の温度に維持することが難しくなる。さらに、造形面91sにおける温度の分布が不均一になることもあり得る。その結果、造形品質が不安定となる。
さらに、スモークは、粉末91の劣化状態や造形形状などの違いにより、たびたび引き起こされる現象である。そのため、スモークの発生を予測し事前に対応する技術が望まれる。
そこで、発明者らが鋭意検討した結果、複数の粉末粒子91pを含む粉末床91tの帯電の状態はスモークが発生するか否かの予兆を示すことに想到した。より詳細には、電子ビームBの照射条件が維持された場合における帯電量の時間変化を知ることによって、スモークが発生する可能性があるかないかを予測する。スモークの予兆を得た場合には、電子ビームBの照射を停止する。そうすると、電子Eは、基準電位GNDに移動するので、帯電量の増加が抑制される。つまり、スモークの発生を予防することが可能になる。
要するに、本実施形態の積層造形装置1は、スモークが実際に発生する前に、スモークの予兆を捉える機能を有する。スモークの予兆を捉えることができれば、その後のスモークの発生を抑制する各種の対策を講じることができる。積層造形装置1は、スモークの予兆を捉えるための構成として、電位計測器6(電位計測部)と、コントローラ7と、を有する。
電位計測器6は、粉末91の帯電の状態を知るために用いる。電位計測器6は、造形テーブル42に接続されている。さらに、電位計測器6は、基準電位GNDにも接続されている。電位計測器6は、造形テーブル42の電位と基準電位GNDとの間の電位差に関する情報をコントローラ7に与える。帯電量は、電子ビームBの照射に応じるので、帯電量には偏りが存在する。電位計測器6が出力する電位差は、造形テーブル42の上に存在する粉末91全体の帯電量を意味するものである。
このような構成では、造形テーブル42そのものは、電気的に浮いているとされる状態である。電気的に浮いているという状態とは、造形テーブル42が基準となる電位に電気的に接続されていない状態をいう。換言すると、造形テーブル42が非常に大きなインピーダンスを介して接地された状態であるということもできる。例えば、造形テーブル42は、絶縁部材47を介して昇降装置43に連結されている。また、造形チャンバ41が接地されている場合には、造形テーブル42は、造形チャンバ41に対して電気的に絶縁されている。このような電気的な構成によれば、粉末91から造形テーブル42に移動した電子Eは、電位計測器6を介して基準電位GNDに移動する。
図3に示すように、コントローラ7は、1又は複数のコンピュータ8を含む。コンピュータ8は、積層造形プログラムPGを実行する。積層造形プログラムPGは、コンピュータ8に積層造形方法を実行させるためのものである。
コンピュータ8は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)81と、主記憶部82と、補助記憶部83と、通信制御部84と、入力装置85と、出力装置86とを有する。コントローラ7は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータ8によって構成される。
コントローラ7が複数のコンピュータ8によって構成される場合には、これらのコンピュータ8はローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つのコントローラ7が構築される。
CPU81は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行する。主記憶部82は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶部83は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶部83は、一般的に主記憶部82よりも大量のデータを記憶する。通信制御部84は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。入力装置85は、キーボード、マウス、タッチパネル、及び、音声入力用マイクなどにより構成される。出力装置86は、ディスプレイ及びプリンタなどにより構成される。
補助記憶部83は、予め、積層造形プログラムPG及び処理に必要なデータを格納している。積層造形プログラムPGは、コントローラ7の各機能要素をコンピュータ8に実行させる。例えば、積層造形プログラムPGは、CPU81又は主記憶部82によって読み込まれ、CPU81、主記憶部82、補助記憶部83、通信制御部84、入力装置85、及び出力装置86の少なくとも1つを動作させる。例えば、積層造形プログラムPGは、主記憶部82及び補助記憶部83におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。
積層造形プログラムPGは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に記録された上で提供されてもよい。積層造形プログラムPGは、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
コントローラ7は、スモーク発生の予兆を捉える動作を行う。なお、コントローラ7は、上述したスモーク発生の予兆を捉える動作だけでなく、通常の造形動作のための制御を行ってよい。つまり、コントローラ7は、積層造形部5を構成するビーム整形部3、昇降装置43、粉末供給装置44の動作を制御するための信号を出力してもよい。以下、スモーク発生の予兆を捉える動作について、コントローラ7の説明を行う。
図1に示すように、コントローラ7は、いくつかの機能的な構成要素を有する。コントローラ7は、電位取得部71と、予兆評価値算出部72と、予兆捕捉部73と、造形条件設定部74と、造形制御部75と、を有する。これらの機能的な構成要素は、コンピュータ8によって積層造形プログラムPGが実行されることによって実現される。
電位取得部71は、電位計測器6から電位に関する情報を得る。電位取得部71は、電位計測器6から電位に関するアナログ値として示された電位を得てもよい。この場合には、電位取得部71は、電位計測器6から時間的に連続して出力される電位を得る。また、電位取得部71は、電位計測器6から電位に関するデジタル値として示された電位を得てもよい。この場合には、電位取得部71は、電位計測器6から所定の時間間隔ごとに出力される電位を得る。
電位取得部71は、予兆評価値算出部72が要求する情報を、予兆評価値算出部72に渡す。予兆評価値算出部72が要求する情報は、例えば、一つの電位であってもよい。予兆評価値算出部72が要求する情報は、例えば、一対の電位であってもよい。一対の電位は、第1のタイミングに対応する第1の電位と、第2のタイミングに対応する第2の電位と、を含む。第2のタイミングは、第1のタイミングの後である。つまり、第1のタイミングから所定の時間が経過したときを、第2のタイミングとする。
予兆評価値算出部72は、電位取得部71から得た一つ又は一対の電位を用いて、スモークの予兆を示す予兆評価値を算出する。予兆評価値には、いくつかの態様があり得る。
帯電量が増加するとスモークが発生することをすでに述べた。そこで、第1の態様である予兆評価値として、電位取得部71から得た一つの電位のそのものを用いてもよい。
帯電量は電子ビームBの照射条件に応じることもすでに述べた。つまり、帯電量は、電子ビームBが照射されている期間中に、連続的に増加したり、減少したりする。図4は、電子ビームBの照射を受けた粉末91を保持する造形テーブル42の電位を示すグラフである。横軸は時間を示す。縦軸は、電位計測器6が出力する造形テーブル42の電位を示す。グラフG4aは、再利用回数がゼロ回である粉末91に電子ビームBを照射したときの造形テーブル42の電位を示す。グラフG4bは、再利用回数がN回である粉末91に電子ビームBを照射したときの造形テーブル42の電位を示す。なお、電子ビームBの強度は同じであるとする。
グラフG4aに注目する。粉末91が電子ビームBの照射を受けると、電子ビームBを構成する電子Eが粉末粒子91pと結びつく。従って、粉末91の電位が時間の経過と共に高まる。換言すると、粉末91の帯電量が時間の経過と共に増加する。粉末91が電子ビームBの照射を受けると、粉末粒子91pの仮焼結が生じる。仮焼結が生じると、粉末粒子91p同士の電気的特性が変化する。具体的には、電気抵抗が低下する傾向にある。つまり、粉末91が電子ビームBの照射を受け続けると、電気抵抗が次第に低下していく。そうすると、ある時点を境に、与えられる電子の量よりも、基準電位GNDに移動する電子の量が多くなる。このような状態になると、電子ビームBの強度が同じであっても、粉末91の帯電量が高まることがなく、次第に低下していく。
グラフG4bに注目する。再利用回数が増えると、粉末91の特性が次第に変化する。例えば、粉末粒子91pに酸化膜が生じるなどして電気抵抗が高まることが考えられる。電子ビームBの照射期間中に生じる造形テーブル42の電位の時間変化のおおよその傾向は、再利用回数が異なってもおおむね同じである。電子ビームBの照射を開始した直後は、造形テーブル42の電位は時間の経過と共に増加する。そして、ある時点を境に、造形テーブル42の電位は時間の経過と共に減少する。
一方、グラフG4a、G4bを比較すると、再利用回数の相違によって異なっている部分も見受けられる。例えば、造形テーブル42の最大電位は、再利用回数が多い方(点E4b)が、再利用回数が少ない方(点E4a)よりも高い。さらに、電位が高まる期間において、電位が高まる速度も再利用回数が多い方が早い。電位が高まる速度は、単位時間あたりの電位の変化量であるとも言える。
上記のような検討から、第2の態様である予兆評価値として、単位時間当たりの電位の変化量(図4のグラフL4a、グラフGL4b参照)を用いてもよい。単位時間当たりの電位の変化量は、一対の電位(図4の点P4a、P4b及び点P4c、P4d参照)から得ることができる。
予兆評価値算出部72は、予兆評価値を予兆捕捉部73に渡す。
予兆捕捉部73は、予兆評価値がスモークの発生の予兆を示すものであるか否かを判定する。予兆捕捉部73は、判定の結果として、「スモークの発生の予兆がある」又は「スモークの発生の予兆がない」のいずれかを出力する。予兆捕捉部73は、例えば、判定の結果を、造形制御部75に渡す。
予兆捕捉部73は、予兆評価値の態様に応じて、判定の条件を選択する。
予兆評価値が第1の態様である電位そのものである場合には、予兆捕捉部73は、電位と閾値電位とを比較する。閾値電位は、これ以上の電位ではスモークが発生する可能性があることを示す。閾値電位は、実験等によって事前に得る条件値である。閾値電位は、粉末91の種類、電子ビームBの照射条件、電子ビームBの走査パターン及び粉末91の再利用回数といった複数の条件を総合的に評価して決める。従って、閾値電位は、唯一の値ではない。例えば、粉末91の再利用回数が2回であるときの閾値電位は、粉末91の再利用回数が1回であるときの閾値電位とは異なる。
予兆捕捉部73は、電位そのものが閾値電位と等しい又は電位そのものが閾値電位より大きい場合には、「スモークの発生の予兆がある」との結果を出力する。予兆捕捉部73は、電位そのものが閾値電位より小さい場合には、「スモークの発生の予兆がない」との結果を出力する。
予兆評価値が第2の態様である単位時間当たりの電位の変化量である場合には、予兆捕捉部73は、単位時間当たりの電位の変化量と判定条件とを比較する。ここで、「単位時間当たりの電位の変化量」は、主たる第1の判定要素と、主たる判定要素に対して付加的に用いる第2の判定要素と、を含む。第1の判定要素は、「単位時間当たりの電位の変化量の傾き」である。第2の判定要素は、「単位時間当たりの電位の変化量そのものの値」である。
第1の判定要素である「単位時間当たりの電位の変化量の傾き」は、より詳細には、傾きが正であるか又は負であるかという要素である。単位時間当たりの電位の変化量の傾きが正であるとき、帯電量は時間の経過とともに増加していることを示す。帯電量の増加は、スモークの発生を生じさせる可能性が高まっていることを示す。従って、予兆捕捉部73は、単位時間当たりの電位の変化量の傾きが正であるとき、「スモークの発生の予兆がある」との結果を出力する。予兆捕捉部73は、単位時間当たりの電位の変化量の傾きが負であるとき、「スモークの発生の予兆がない」との結果を出力する。なお、予兆捕捉部73は、単位時間当たりの電位の変化量の傾きがゼロであるとき、「スモークの発生の予兆がない」との結果を出力してもよい。
例えば、図4に示すように、第1の判定要素である「単位時間当たりの電位の変化量の傾き」が正であった場合には、2つの状況があり得る。第1の状況は、「単位時間当たりの電位の変化量の傾き」(グラフL4b)によって予想される最大帯電量が、閾値電位(ラインLS参照)を超える場合である(グラフG4b参照)。第2の状況は、「単位時間当たりの電位の変化量の傾き」(グラフL4a)によって予想される最大帯電量が、閾値電位を超えない場合である(グラフG4a参照)。
第1の状況であるときには、スモークの発生の予兆がある可能性がある。従って、予兆捕捉部73は、単位時間当たりの電位の変化量の傾きが正であり、且つ、最大帯電量が閾値電位を超えるような傾きの値である場合に、「スモークの発生の予兆がある」との結果を出力してもよい。
第2の状況であるときには、スモークの発生の予兆がないとも言える。従って、予兆捕捉部73は、単位時間当たりの電位の変化量の傾きが正であり、且つ、最大帯電量が閾値電位を超えないような傾きの値である場合に、「スモークの発生の予兆がない」との結果を出力してもよい。
なお、上述した予兆捕捉部73の判定手法は例示であるから、上述した判定手法には限定されない。例えば、予兆捕捉部73は、予兆評価値の第1の態様である電位そのものと、予兆評価値の第2の態様である単位時間当たりの電位の変化量と、を両方用いてスモークの予兆を判定してもよい。
造形条件設定部74は、予兆捕捉部73の結果を受けて、電子ビームBの照射条件を設定する。造形条件設定部74は、「スモークの発生の予兆がない」との結果を受けたとき、積層造形部5の造形条件を維持する。例えば、造形条件設定部74は、電子ビームBの照射条件を維持する。造形条件設定部74は、「スモークの発生の予兆がある」との結果を受けたとき、積層造形部5の造形条件を変更する。例えば、造形条件設定部74は、電子ビームBの照射条件を変更する。
以下、図5を参照しながら、積層造形装置1が実行する積層造形動作について説明する。積層造形動作は、積層造形プログラムPGをコンピュータ8が実行することによって実現される。第1実施形態の積層造形装置1は、造形動作を実行しているときに、スモークの発生の予兆を検知する動作を実行する。以下の説明において、スモークの発生の予兆を捉える動作を「予兆捕捉動作」と称する。つまり、第1実施形態の積層造形装置1は、造形動作と、予兆捕捉動作と、を並行して実行する。このように造形動作と平行して予兆捕捉動作とを行う態様を、リアルタイム予兆捕捉動作と称する。従って、第1実施形態の積層造形装置1は、リアルタイム予兆捕捉動作を実行する。
まず、粉末91の層を形成する(ステップS1)。この動作は、コントローラ7が粉末供給装置44に制御信号を与えることによって実行される。
次に、リアルタイム予兆捕捉動作を実行する(ステップS31~S36)。まず、電子ビームBの照射を開始する(ステップS31)。電子ビームBの照射を開始した後は、明示的に電子ビームBの照射を停止すると述べない限り、電子ビームBの照射は継続して実行されている。ステップS31では、造形面91sにおいて、造形物92の断面に対応する領域に電子ビームBを照射する。つまり、このステップS31では、造形面91sに電子ビームBを照射した結果、その照射によって造形物92が形成される。このような電子ビームBの照射を、造形照射と称する。
まず、造形テーブル42の電位に関する情報を得る(ステップS32)。この動作は、電位計測器6及び電位取得部71によって実行される。
次に、予兆評価値を得る(ステップS33)。この動作は、予兆評価値算出部72によって実行される。以下の説明では、予兆評価値として「単位時間当たりの電位の変化量」を採用した場合を例示する。予兆評価値算出部72は、電位取得部71から第1のタイミングにおける第1の電位と第2のタイミングにおける第2の電位とを得る。予兆評価値算出部72は、第1のタイミングからと第2のタイミングまでの時間間隔を得る。予兆評価値算出部72は、第2の電位から第1の電位を減算することによって電位の差分を得る。そして、予兆捕捉部73は、電位の差分を時間間隔で除する。以上の演算によって、予兆評価値算出部72は、予兆評価値として「単位時間当たりの電位の変化量」を得る。
次に、予兆評価値は予兆条件を満たすかを判定する(ステップS34)。この動作は、予兆捕捉部73によって実行される。予兆捕捉部73は、予兆評価値算出部72から予兆評価値を得る。次に、予兆捕捉部73は、予兆評価値が予兆条件を満たすか否かを判定する。いま、予兆評価値は単位時間当たりの電位の変化量であるから、予兆条件は、単位時間当たりの電位の変化量の符号が正であるか否かとする。
予兆捕捉部73は、予兆評価値である単位時間当たりの電位の変化量の符号が正である(ステップS34:YES)場合には、「スモークの発生の予兆がある」との結果を造形制御部75に出力する。「スモークの発生の予兆がある」との結果を受けた造形制御部75は、電子ビームBの照射条件を変更する。電子ビームBの照射条件として、ビーム電流値や予熱時間が例示できる。「スモークの発生の予兆がある」との結果を受けた造形制御部75は、例えば、ビーム電流値を下げた制御信号を電子銃21に出力する(ステップS35)。
予兆捕捉部73は、予兆評価値である単位時間当たりの電位の変化量の符号が負であるか、ゼロである(ステップS34:NO)場合には、「スモークの発生の予兆がない」との結果を造形制御部75に出力する。「スモークの発生の予兆がない」との結果を受けた造形制御部75は、電子ビームBの照射条件を変更することなく、電子ビームBの照射を継続する制御信号を電子銃21に出力する(ステップS36)。
コントローラ7は、造形動作が終了するまでステップS31~S36を繰り返す。具体的には、コントローラ7は、ステップS1によって形成した造形面91sにおける造形領域への電子ビームBの照射が終了するまで、ステップS31~S36を繰り返す。コントローラ7は、ステップS1によって形成した造形面91sにおける造形領域への電子ビームBの照射が終了したのちに、次の粉末91の造形面91sを形成する(ステップS1)。
なお、上述の説明では、塗布動作(ステップS1)と、造形動作(ステップS3)と、が交互に実行される場合を述べた。例えば、回転積層造形動作である場合には、塗布動作が実行される領域と、造形動作が実行される領域と、は互いに異なっている。造形テーブル42の異なる領域において、塗布動作(ステップS1)と、造形動作(ステップS3)と、が時間的に同時に実行されてもよい。
ところで、粉末91の特性は、再利用可数が増加する毎に変化することをすでに述べた。図6は、粉末91を3回利用したときの造形テーブル42の電位を模式的に示すグラフG6である。1回目(期間T1)、2回目(期間T2)、3回目(期間T3)は、それぞれ別の造形工程を意味するので、これらをひとつの時間軸で示すことは厳密には正しくない。しかし、図6は、再利用回数が増えるたびに電気的特性が変化することを説明することを意図して示すものであるから、1回目(期間T1)、2回目(期間T2)、3回目(期間T3)をひとつの時間軸で示すこととする。
図6で示されることは、電子ビームBの照射を開始する前(例えば点P6a)と終了した後(例えば点P6b)とでは、造形テーブル42の電位に相違が生じていることである。換言すると、電子ビームBの照射を開始する前(点P6a)と終了した後(点P6b)とでは、粉末91の電気的な特性が変わっている。そして、次の電子ビームBの照射では、以前の電子ビームBの照射によって変化した後の特性を初期条件として、造形テーブル42の電位が変化する。図6に示す例では、再利用回数が増えるごとに、当初の造形テーブル42の電位が高まっている。このように、再利用回数が増加すると粉末91の電気的特性の変化をもたらすので、電子ビームBの照射条件が同じであったとしても、粉末91の飛散が生じる場合と生じない場合があり得る。
しかし、再利用回数が異なったとしても、電子ビームBの照射直後は造形テーブル42の電位が上昇し、ピークに至った後に低下するという傾向は同じである。このように、電位の時間変化に注目した場合には、粉末91の再利用回数というパラメータを考慮する必要がなくなる。
そこで、積層造形装置1は、造形テーブル42と基準電位GNDとの電位差に関する情報を得ることによって、造形テーブル42の上に塗布された粉末91の帯電状態を知ることができる。粉末91の飛散が発生するか否かは、粉末91の帯電状態の影響を受ける。従って、粉末91の帯電状態を知ることができれば、粉末91の飛散が発生する予兆を捉えることが可能になる。そして、粉末91の飛散が発生する予兆を捉えることができれば、粉末91の飛散を発生させない手段を講じることができる。従って、積層造形装置1及び積層造形プログラムPGは、粉末91の飛散が発生する予兆を捉えることによって、粉末91の飛散を未然に防止することが可能であるから、安定した品質の造形物92を得ることができる。
要するに、積層造形装置1は、造形テーブル42の電位を測定し、帯電状態の変化から粉末91が飛散する現象であるスモークが発生する予兆を検知する。換言すると、ある時点での帯電状態ではなく、帯電状態の時間変化をもとにスモークが発生する予兆を検知する。帯電状態の時間変化は、再利用回数に応じて変化するものではないので、スモークが発生する予兆の検知を容易に判断することが可能になる。予兆があった場合には電子ビームBの照射を停止する。さらに、スモークが発生するであろう帯電の状態が解消されるまで、電子ビームBの照射を停止したまま待機する。そして、よりスモークの発生しにくい状態となったことが確認された後に、電子ビームBの照射を再開する。
このような動作によれば、スモークの発生を未然に防止することができるので、造形物92の品質が向上する。さらに、歩留まりも向上する。
上記の積層造形装置1のコントローラ7は、電子ビームBを粉末91に照射している状態であるときの電位の単位時間当たりの変化量を粉末91の飛散の予兆を捉えるための予兆評価値として得る取得動作(ステップS33)と、電位の単位時間当たりの変化量を用いて、粉末91の飛散の予兆を捉えるリアルタイム予兆捕捉動作(ステップS34)と、を行う。この動作によれば、簡易な判断によって粉末91の飛散の予兆を捉えることができる。
上記の積層造形装置1のコントローラ7は、造形テーブル42に粉末91を塗布する塗布動作(ステップS1)と、塗布された粉末91に設定される積層造形領域に電子ビームBを照射する積層造形動作(ステップS3)と、を造形領域部4に実行させる。上記の積層造形装置1のコントローラ7は、積層造形動作(ステップS3)を実行しているときに、取得動作(ステップS32)及びリアルタイム予兆捕捉動作(ステップS34)を実行する。この動作によれば、造形動作中において、粉末91の飛散の予兆を捉えることが可能になる。その結果、造形物92の品質を低下させる粉末91の飛散の発生が抑制されるので、造形物92の品質を安定化することができる。
上記の積層造形装置1のコントローラ7は、リアルタイム予兆捕捉動作(ステップS34)の結果が粉末91の飛散が生じる予兆があることを示す場合に、電子ビームBの照射を停止してもよい。この動作によれば、粉末91の飛散を未然に防ぐことができる。
第2実施形態の積層造形装置1について説明する。第2実施形態の積層造形装置1は、物理的な構成要素は、第1実施形態の積層造形装置1と同じである。従って、積層造形装置1の物理的な構成要素の説明は省略する。第2実施形態の積層造形装置1は、その動作が第1実施形態の積層造形装置1の動作と相違する。
上述したように、第1実施形態の積層造形装置1は、造形動作(ステップS3)とリアルタイム予兆捕捉動作(ステップS34)とを並行して実行した。つまり、第1実施形態の積層造形装置1は、リアルタイム予兆補足動作を実行した。
第2実施形態の積層造形装置1は、予兆捕捉動作(ステップS34)を造形動作(S3)と並行して実行しない。より詳細には、第2実施形態の積層造形装置1は、予備的な電子ビームBの照射を用いた予兆捕捉動作(ステップS24)を実行する。予兆捕捉動作(ステップS24)では、次に実行される造形動作の造形条件を設定するためのものである。つまり、第2実施形態の積層造形装置1は、造形動作(ステップS3)を実行する前に、予兆捕捉動作(ステップS24)を実行する。そして、予兆捕捉動作(ステップS24)の結果を用いて、実際の造形動作(ステップS3)に用いる電子ビームBの照射条件を決定する。このような予兆補足動作(ステップS24)を、以下「フィードバック予兆補足動作」と称する。つまり、第2実施形態の積層造形装置1は、フィードバック予兆補足動作を実行する。
造形条件設定部74は、予兆捕捉部73が出力する結果を用いて、造形条件を設定する。例えば、造形条件設定部74は、造形条件のひとつである電子ビームBの照射条件を設定する。予兆捕捉部73が出力する結果が「スモークの発生の予兆がある」ことを示す場合には、造形条件設定部74は、電子ビームBの照射条件を変更する。例えば、ビーム電流値を変更する。なお、造形条件設定部74は、電子ビームBとは別のパラメータを変更してもよい。例えば、造形条件設定部74は、造形条件である予熱時間やビーム出力を変更してもよい。予熱は、電子ビームBの照射によって行われてもよい。予兆捕捉部73が出力する結果が「スモークの発生の予兆がない」ことを示す場合には、造形条件設定部74は、電子ビームBの照射条件を維持する。
以下、図7を参照しながら、第2実施形態の積層造形装置1の積層造形動作について説明する。
まず、粉末91の層を形成する(ステップS1)。この動作は、コントローラ7が粉末供給装置44に制御信号を与えることによって実行される。このステップS1は、第1実施形態と同様である。
次に、フィードバック予兆捕捉動作を実行する(ステップS2)。
まず、電子ビームBの照射を開始する(ステップS21)。ステップS21では、造形面91sにおいて、造形物92の断面に対応する領域とは重複しない領域に電子ビームBを照射する。つまり、このステップS21では、造形面91sに電子ビームBを照射するが、その照射によって造形物92は形成されない。このような電子ビームBの照射を、予備照射と称する。
次に、造形テーブル42の電位に関する情報を得る(ステップS22)。この動作は、電位計測器6及び電位取得部71によって実行される。次に、予兆評価値を得る(ステップS23)。ステップS22の具体的な動作は、第1実施形態のステップS33と同じである。次に、予兆評価値がスモークの予兆を示すものであるか否かを判定する(ステップS24)。そして、予兆捕捉部73は、造形条件設定部74に判定の結果を出力する。
造形条件設定部74は、「スモークの発生の予兆がない」との結果を受けたとき(ステップS24:NO)、ステップS21における予備照射の照射条件を、造形動作における照射条件として採用する(ステップS36)。そして、造形動作を実行する(ステップS3)。
一方、造形条件設定部74は、「スモークの発生の予兆がある」との結果を受けたとき(ステップS24:YES)、ステップS21における予備照射の照射条件を変更する(ステップS25)。そして、再びステップS21から実行する。コントローラ7は、ステップS24における結果が「スモークの発生の予兆がない」となるまで、照射条件を変更しながら、ステップS21~S25の動作を繰り返す。
第2実施形態の積層造形装置1は、造形テーブル42に粉末91を塗布する塗布動作(ステップS1)と、塗布された粉末91に設定される積層造形領域に電子ビームBを照射する積層造形動作(ステップS3)と、を造形領域部4に実行させる。コントローラ7は、塗布動作(ステップS1)の後であり、且つ、積層造形動作(ステップS3)の前に、取得動作(ステップS22)及びフィードバック予兆捕捉動作(ステップS24)を含む前評価動作(ステップS2)を実行する。この動作によれば、これから実行しようとする造形動作(ステップS3)のための、粉末91の飛散を発生させないようにする動作条件を得ることができる。
上記の積層造形装置1のコントローラ7は、フィードバック予兆捕捉動作(ステップS24)の結果が粉末91の飛散が生じる予兆があることを示す場合に、電子ビームBの照射条件を変更してもよい。この動作によれば、これから実行しようとする造形動作(ステップS3)の環境に応じた、粉末91の飛散を発生させないようにする動作条件を得ることができる。
上記の積層造形装置1のコントローラ7は、塗布動作(ステップS1)と積層造形動作(ステップS3)を繰り返し実行する。コントローラ7は、塗布動作(ステップS1)が実行されるたびに、前評価動作(ステップS2)を実行する。この動作によれば、塗布動作(ステップS1)ごとに粉末91の飛散を発生させないようにする動作条件を得ることができる。
<変形例>
本発明の積層造形装置及び積層造形プログラムは、第1実施形態及び第2実施形態の積層造形装置及び積層造形プログラムの構成や動作には、限定されない。
例えば、予兆評価値として、予兆評価値算出部72は、単位時間当たりの電位の変化量をさらに時間微分した値を得てもよい。そして、予兆捕捉部73は、時間微分した値と閾値とを比較することによって、「スモークの発生の予兆がある」又は「スモークの発生の予兆がない」との判定を行ってもよい。
例えば、造形制御部75は、「スモークの発生の予兆がある」との結果を得た場合に、電子ビームBの照射を停止する制御を行ってもよい。電子ビームBの照射が停止された状態では、粉末91の帯電量は、時間の経過とともに減少する。従って、スモークの発生の予兆を低減させることができる。つまり、このような動作では、粉末の飛散を発生させない手段とは、電子ビームBの照射を停止することである。なお、この場合には、造形制御部75は、電子ビームBの照射条件を変更しない。従って、コントローラ7は、造形条件設定部74を省略してもよい。
例えば、電子ビームBの照射を停止した場合に、電子ビームBの照射を再開するための条件は、スモークの発生の予兆の有無を判定するための条件と同じであってよい。つまり、電子ビームBの照射を停止してから時間経過したのちに、再度、スモークの発生の予兆の有無を判定する。そして、判定の結果が「スモークの発生の予兆がない」であった場合に、電子ビームBの照射を再開してもよい。
一方、電子ビームBの照射を停止した場合に、電子ビームBの照射を再開するための条件は、スモークの発生の予兆の有無を判定するための条件と異なっていてもよい。例えば、電位が一定値とみなせるほど単位時間当たりの変化量が小さい場合に、電子ビームBの照射を再開してもよい。換言すると、一定の電位が所定時間だけ継続されたことを条件として、電子ビームBの照射を再開してもよい。
第1実施形態の動作であるとき、造形領域の形状が電位の変化に与える影響を考慮した評価を行ってもよい。具体的には、予め各層の造形領域の面積(溶融させる領域の面積)に応じた電位量を設定する。そして、設定した電位量と実測によって得た電位量との差分を利用して、スモークの発生の予兆の有無を判定してもよい。
なお、このような判定動作を行う場合には、各層の造形領域の面積のみを考慮してもよいが、造形対象とは別の層の造形領域の影響を考慮してもよい。具体的には、各層ごとの電位量は、下記式を用いて得ることができる。
Figure 2024053676000002

Vn:造形テーブルの電位量。
Vp:プレートの電位量。
dv:造形領域における単位面積当たりの電位の変化量。
An:各層ごとの造形領域の面積。
電位の変化は、造形領域の形状によっても左右される。そこで、第1実施形態の動作であるときに、造形領域と重複しない非造形領域に対して電子ビームBを照射することによって、電位の変化を評価してもよい。評価の結果が「スモークの発生の予兆がある」場合には、電子ビームBの条件を補正してもよい。つまり、リアルタイム予兆補足動作とフィードバック予兆補足動作とを組み合わせて実行してもよい。
例えば、図8に示すように、造形テーブル42の複数の領域ごとに電位を計測するものであってもよい。変形例の積層造形装置1は、複数の電位計測器6A、6B、6Cを有する。この構成によれば、造形テーブル42における領域ごとに帯電量を評価することができる。
本発明である積層造形装置及び積層造形方法は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
本発明の積層造形装置は、[1]「粉末及び造形物を支持する造形テーブルと、前記造形テーブル上の前記粉末の表面に電子ビームを照射する電子銃を含む積層造形部と、導電性を有する前記造形テーブルに電気的に接続されて、前記造形テーブルと基準電位との電位差に関する情報を得る電位計測部と、前記電位計測部が出力する電位の情報を受け、前記電位の情報を利用して前記積層造形部を制御するコントローラと、を備える、積層造形装置。」である。
本発明の積層造形装置は、[2]「前記コントローラは、前記電子ビームを前記粉末に照射している状態であるときの前記電位の単位時間当たりの変化量を前記粉末の飛散の予兆を捉えるための評価値として得る取得動作と、前記電位の単位時間当たりの変化量を用いて、前記粉末の飛散の予兆を捉える捕捉動作と、を行う、上記[1]に記載の積層造形装置。」である。
本発明の積層造形装置は、[3]「前記コントローラは、前記造形テーブルに前記粉末を塗布する塗布動作と、塗布された前記粉末に設定される積層造形領域に前記電子ビームを照射する積層造形動作と、を前記積層造形部に実行させ、前記コントローラは、前記積層造形動作を実行しているときに、前記取得動作及び前記捕捉動作を実行する、上記[2]に記載の積層造形装置。」である。
本発明の積層造形装置は、[4]「前記コントローラは、前記捕捉動作の結果が前記粉末の飛散が生じる予兆があることを示す場合に、前記電子ビームの照射を停止する、上記[2]又は[3]に記載の積層造形装置。」である。
本発明の積層造形装置は、[5]「前記コントローラは、前記造形テーブルに前記粉末を塗布する塗布動作と、塗布された前記粉末に設定される積層造形領域に前記電子ビームを照射する積層造形動作と、を前記積層造形部に実行させ、前記コントローラは、前記塗布動作の後であり、且つ、前記積層造形動作の前に、前記取得動作及び前記捕捉動作を含む前評価動作を実行する、上記[2]に記載の積層造形装置。」である。
本発明の積層造形装置は、[6]「前記コントローラは、前記捕捉動作の結果が前記粉末の飛散が生じる予兆があることを示す場合に、前記電子ビームの照射条件を変更する、上記[5]に記載の積層造形装置。」である。
本発明の積層造形装置は、[7]「前記コントローラは、前記塗布動作と前記積層造形動作を繰り返し実行し、前記コントローラは、前記塗布動作が実行されるたびに、前記前評価動作を実行する、上記[5]又は[6]に記載の積層造形装置。」である。
本発明の積層造形装置は、[8]「前記造形テーブルは、絶縁部材を介して前記造形テーブルを駆動するテーブル昇降部と連結されている、上記[1]~[7]のいずれかひとつに記載の積層造形装置。」である。
1 積層造形装置
2 電子ビーム発生部
3 ビーム整形部
31 収差修正コイル
32 焦点コイル
33 偏向コイル
4 造形領域部
41 造形チャンバ
42 造形テーブル
43 昇降装置
44 粉末供給装置
441 原料タンク
442 粉末塗布機構
46 造形ポンプ
47 絶縁部材
5 積層造形部
6,6A,6B 電位計測器(電位計測部)
7 コントローラ
8 コンピュータ
21 電子銃
22 ビーム源チャンバ
71 電位取得部
72 予兆評価値算出部
73 予兆捕捉部
74 造形条件設定部
75 造形制御部
91 粉末
91p 粉末粒子
91s 造形面
91t 粉末床
92 造形物
B 電子ビーム
E 電子
G 造形空間
GND 基準電位
PG 積層造形プログラム

Claims (9)

  1. 粉末及び造形物を支持する造形テーブルと、
    前記造形テーブル上の前記粉末の表面に電子ビームを照射する電子銃を含む積層造形部と、
    導電性を有する前記造形テーブルに電気的に接続されて、前記造形テーブルと基準電位との電位差に関する情報を得る電位計測部と、
    前記電位計測部が出力する電位の情報を受け、前記電位の情報を利用して前記積層造形部を制御するコントローラと、を備える、積層造形装置。
  2. 前記コントローラは、
    前記電子ビームを前記粉末に照射している状態であるときの前記電位の単位時間当たりの変化量を前記粉末の飛散の予兆を捉えるための評価値として得る取得動作と、
    前記電位の単位時間当たりの変化量を用いて、前記粉末の飛散の予兆を捉える捕捉動作と、を行う、請求項1に記載の積層造形装置。
  3. 前記コントローラは、前記造形テーブルに前記粉末を塗布する塗布動作と、塗布された前記粉末に設定される積層造形領域に前記電子ビームを照射する積層造形動作と、を前記積層造形部に実行させ、
    前記コントローラは、前記積層造形動作を実行しているときに、前記取得動作及び前記捕捉動作を実行する、請求項2に記載の積層造形装置。
  4. 前記コントローラは、前記捕捉動作の結果が前記粉末の飛散が生じる予兆があることを示す場合に、前記電子ビームの照射を停止する、請求項3に記載の積層造形装置。
  5. 前記コントローラは、前記造形テーブルに前記粉末を塗布する塗布動作と、塗布された前記粉末に設定される積層造形領域に前記電子ビームを照射する積層造形動作と、を前記積層造形部に実行させ、
    前記コントローラは、前記塗布動作の後であり、且つ、前記積層造形動作の前に、前記取得動作及び前記捕捉動作を含む前評価動作を実行する、請求項2に記載の積層造形装置。
  6. 前記コントローラは、前記捕捉動作の結果が前記粉末の飛散が生じる予兆があることを示す場合に、前記電子ビームの照射条件を変更する、請求項5に記載の積層造形装置。
  7. 前記コントローラは、前記塗布動作と前記積層造形動作を繰り返し実行し、
    前記コントローラは、前記塗布動作が実行されるたびに、前記前評価動作を実行する、請求項5に記載の積層造形装置。
  8. 前記造形テーブルは、絶縁部材を介して前記造形テーブルを駆動するテーブル昇降部と連結されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層造形装置。
  9. 粉末及び造形物を支持する造形テーブルに、前記粉末を塗布するステップと、
    前記造形テーブル上の前記粉末の表面に電子ビームを照射する電子銃を含む積層造形部によって、前記造形物を造形するステップと、
    導電性を有する前記造形テーブルと基準電位との電位差に関する情報を得るステップと、
    前記電位差に関する情報を得るステップの結果として出力される電位の情報を受け、前記電位の情報を利用して前記積層造形部を制御するステップと、をコンピュータに実行させる、積層造形プログラム。
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