JP2024051244A - 積層位相差フィルム、位相差層付偏光板および画像表示装置 - Google Patents

積層位相差フィルム、位相差層付偏光板および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

Figure 2024051244000001
【課題】過酷な高温高湿環境下においても優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態による積層位相差フィルムは、第1位相差層と、第1接着層を介して第1位相差層に貼り合わせられた第2位相差層と、を有し、第1位相差層と第2位相差層とは、互いの軸ずれが相殺されるように貼り合わせられている。第1位相差層および第2位相差層はそれぞれ、Re(450)<Re(550)の関係を満足し、第1位相差層の面内位相差Re(550)および第2位相差層の面内位相差Re(550)の合計が100nm~180nmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層位相差フィルム、位相差層付偏光板および画像表示装置に関する。
近年、液晶表示装置およびエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。画像表示装置には、代表的には偏光板および位相差板が用いられている。実用的には、偏光板と位相差板とを一体化した位相差層付偏光板が広く用いられている(例えば、特許文献1)。近年、画像表示装置の用途の広がりに伴い、位相差層付偏光板(したがって、それに用いられる位相差板)に対しても各種性能の向上が要望されている。例えば、位相差板に対して、従来は要求されなかった過酷な高温高湿環境下における耐久性が求められる場合がある。
特許第3325560号
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、過酷な高温高湿環境下においても優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを提供することにある。
[1]:本発明の実施形態による積層位相差フィルムは、第1位相差層と、第1接着層を介して該第1位相差層に貼り合わせられた第2位相差層と、を有し、該第1位相差層と該第2位相差層とは、互いの軸ずれが相殺されるように貼り合わせられている。該第1位相差層および該第2位相差層はそれぞれ、Re(450)<Re(550)の関係を満足し、該第1位相差層の面内位相差Re(550)および該第2位相差層の面内位相差Re(550)の合計は100nm~180nmである。
[2]:上記[1]において、上記積層位相差フィルムは、上記第1位相差層と上記第2位相差層との間にポジティブCプレートをさらに有し、該ポジティブCプレートは、上記第1接着層を介して該第1位相差層に貼り合わせられ、かつ、第2接着層を介して該第2位相差層に貼り合わせられている。
[3]:上記[1]または[2]において、上記積層位相差フィルムは、上記第1位相差層または上記第2位相差層の外側に、第2接着層を介して該第1位相差層または該第2位相差層に貼り合わせられたポジティブCプレートをさらに有する。
[4]:上記[3]において、上記積層位相差フィルムは、上記第1位相差層または上記第2位相差層のうち上記ポジティブCプレートが設けられていない位相差層の外側に、第3接着層を介して貼り合わせられた別のポジティブCプレートをさらに有する。
[5]:上記[1]から[4]のいずれかにおいて、上記第1接着層および上記第2接着層は活性エネルギー線硬化型接着剤で構成されており、その貯蔵弾性率はそれぞれ1.0MPa以上である。
[6]:上記[1]から[5]のいずれかにおいて、上記第1位相差層の遅相軸方向と上記第2位相差層の遅相軸方向とは実質的に平行である。
[7]:上記[1]から[6]のいずれかにおいて、上記第1位相差層および上記第2位相差層はそれぞれ、カーボネート結合およびエステル結合からなる群から選択される少なくとも1つの結合基と、下記一般式(1)で表される構造単位および下記一般式(2)で表される構造単位からなる群から選択される少なくとも1つの構造単位とを含み、正の屈折率異方性を有する樹脂を含有する:
Figure 2024051244000002
Figure 2024051244000003
一般式(1)および(2)中、R~Rは、それぞれ独立に、直接結合、置換または非置換の炭素数1~4のアルキレン基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数4~10のアリール基、置換または非置換の炭素数1~10のアシル基、置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~10のアリールオキシ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換の炭素数1~10のビニル基、置換または非置換の炭素数1~10のエチニル基、置換基を有する硫黄原子、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、またはシアノ基であり;ただし、R~Rは、互いに同一であっても、異なっていてもよく、 R~Rのうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
[8]:上記[1]から[7]のいずれかにおいて、上記第1位相差層および上記第2位相差層の吸水率はそれぞれ、1.1%~2.8%である。
[9]:本発明の別の局面によれば、位相差層付偏光板が提供される。当該位相差層付偏光板は、偏光子を含む偏光板と、上記[1]から[8]のいずれかに記載の積層位相差フィルムと、を有し、該偏光子の吸収軸方向と上記第1位相差層および上記第2位相差層の遅相軸方向とのなす角度は40°~50°である。
[10]:本発明のさらに別の局面によれば、画像表示装置が提供される。当該画像表示装置は、上記[1]から[8]のいずれかに記載の積層位相差フィルム、あるいは、上記[9]に記載の位相差層付偏光板を備える。
本発明の実施形態によれば、過酷な高温高湿環境下においても優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを実現することができる。
本発明の1つの実施形態による積層位相差フィルムの概略断面図である。 本発明の別の実施形態による積層位相差フィルムの概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による積層位相差フィルムの概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による積層位相差フィルムの概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。
以下、本発明の代表的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。例えば、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Rth=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回りおよび反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
(6)「実質的に直交」または「実質的に平行」
本明細書において「実質的に直交」とは、2つの方向のなす角度が90°±7°である場合を包含し、好ましくは90°±5°であり、より好ましくは90°±3°であり、さらに好ましくは90°±1°である。「実質的に平行」とは、2つの方向のなす角度が0°±7°である場合を包含し、好ましくは0°±5°であり、より好ましくは0°±3°であり、さらに好ましくは0°±1°である。また、本明細書において単に「直交」または「平行」というときは、「実質的に直交」または「実質的に平行」である場合を包含する。
A.積層位相差フィルム
A-1.積層位相差フィルムの全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による積層位相差フィルムの概略断面図である。図示例の積層位相差フィルム100は、第1位相差層11と、第1接着層31を介して第1位相差層11に貼り合わせられた第2位相差層12と、を有する。第1位相差層11と第2位相差層12との間に中間層としての第1接着層31を介在させることにより、単一の位相差フィルムで所定の面内位相差を付与する場合(例えば、λ/2板またはλ/4板とする場合)に比べて、第1位相差層11および第2位相差層12のそれぞれの厚みを小さくすることができる。その結果、第1位相差層11および第2位相差層12のそれぞれの収縮応力を小さくすることができ、過酷な高温環境下においても優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを実現することができる。さらに、第1位相差層11と第2位相差層12との間に中間層としての第1接着層31を介在させることにより、単一の位相差フィルムで所定の面内位相差を付与する場合(例えば、λ/2板またはλ/4板とする場合)に比べて、第1位相差層11および第2位相差層12のそれぞれの厚み方向の断面積を小さくすることができる。したがって、第1位相差層11および第2位相差層12のそれぞれの水分との接触面積を小さくすることができ、加湿による配向の緩和を低減することができる。その結果、過酷な高湿環境下においても優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを実現することができる。本発明の実施形態によれば、上記の効果の相乗的な効果により、過酷な高温高湿環境下においても優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを実現することができる。より詳細には、過酷な高温高湿環境下においても面内位相差の変化が小さい積層位相差フィルムを実現することができる。
本発明の実施形態においては、第1位相差層11と第2位相差層12とは、互いの軸ずれが相殺されるように貼り合わせられている。本明細書において「互いの軸ずれが相殺されるように貼り合わせられている」とは、位相差層の原反フィルムの幅方向に発現するボウイングが反対方向となるようにして2つの位相差層が貼り合わせられていることを意味する。より詳細には以下のとおりである。位相差層の原反フィルムは代表的には延伸方向に遅相軸が発現するところ、遅相軸方向は幅方向の端部において中央部とずれる場合がある。例えば縦一軸延伸された位相差フィルム原反の場合、遅相軸は中央部では延伸方向(長尺方向)に発現する一方、幅方向の端部では外側に(すなわち、一方の端部と他方の端部とでは逆方向に)2°~3°ずれる場合がある。また例えば走行しながら幅方向に延伸された位相差フィルム原反の場合、遅相軸は中央部では延伸方向(幅方向)にほぼ平行に発現する一方、幅方向の端部では延伸方向(幅方向)から2°~3°ずれる場合がある。このような軸ずれはボウイングと称される。本発明の実施形態においては、このような軸ずれ部分を含む位相差層を用いる場合に、軸ずれが本来の遅相軸方向を基準として互いに反対方向となるようにして2つの位相差層を貼り合わせる。このような構成であれば、全体にわたって光学特性(代表的には、面内位相差)のムラが小さい積層位相差フィルムを実現することができる。
本発明の実施形態においては、第1位相差層および第2位相差層はそれぞれ、Re(450)<Re(550)の関係を満足する。すなわち、第1位相差層および第2位相差層はそれぞれ、いわゆる逆分散の波長依存性を示す。逆分散の波長依存性を示す位相差層(位相差フィルム)は、過酷な高温高湿環境下における面内位相差の変化が大きい場合があるところ、本発明の実施形態によれば、逆分散の波長依存性を示す位相差層を用いた場合であっても、過酷な高温高湿環境下における面内位相差の変化を抑制することができる。
第1位相差層の面内位相差Re(550)および第2位相差層の面内位相差Re(550)の合計は、代表的には100nm~180nmであり、好ましくは110nm~170nmであり、より好ましくは120nm~160nmであり、さらに好ましくは130nm~150nmである。すなわち、第1位相差層および第2位相差層は組み合わされて、いわゆるλ/4板として機能し得る。第1位相差層の面内位相差Re(550)および第2位相差層の面内位相差Re(550)の合計がこのような範囲であれば、積層位相差フィルム全体がいわゆるλ/4板として機能し得る。
代表的には、第1位相差層の遅相軸方向と第2位相差層の遅相軸方向とは実質的に平行である。このような構成であれば、第1位相差層の面内位相差Re(550)および第2位相差層の面内位相差Re(550)を単純に加算することにより、合計の面内位相差を得ることができる。
図2は、本発明の別の実施形態による積層位相差フィルムの概略断面図である。図示例の積層位相差フィルム101は、第1位相差層11と第2位相差層12との間にポジティブCプレート41をさらに有する。ポジティブCプレート41は、第1接着層31を介して第1位相差層11に貼り合わせられ、かつ、第2接着層32を介して第2位相差層12に貼り合わせられている。なお、ポジティブCプレートは、屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示す位相差層である。
図3は、本発明のさらに別の実施形態による積層位相差フィルムの概略断面図である。図示例の積層位相差フィルム102は、第2位相差層12の外側に第2接着層32を介して貼り合わせられたポジティブCプレート41をさらに有する。図示例ではポジティブCプレート41は第2位相差層12に貼り合わせられているが、ポジティブCプレート41は第1位相差層11に貼り合わせられてもよい。理論的には明らかではないが、最外層としてポジティブCプレートを設けることにより、さらに過酷な高温高湿環境下においても優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを実現することができる。例えば、高温高湿環境下の耐久性に関する加速試験であるHAST試験(JIS C60068)においても、クラックも剥がれも発生しない積層位相差フィルムを実現することができる。本実施形態においては、図4の積層位相差フィルム103のように、両側にポジティブCプレート41、42が設けられてもよい。図示例においては、ポジティブCプレート42は、第3接着層33を介して第1位相差層11に貼り合わせられている。
以下、積層位相差フィルムの構成要素(第1位相差層、第2位相差層、ならびに、第1接着層、第2接着層および第3接着層)を説明する。第1位相差層および第2位相差層については、個別に説明する必要がある場合を除いてまとめて位相差層として説明し、第1接着層、第2接着層および第3接着層については、個別に説明する必要がある場合を除いてまとめて接着層として説明する。
A-2.第1位相差層および第2位相差層
A-2-1.第1位相差層および第2位相差層の特性
第1位相差層および第2位相差層は、同一の構成(例えば、厚み、面内位相差、形成材料)を有していてもよく、互いが異なる構成を有していてもよい。好ましくは、第1位相差層および第2位相差層は同一の構成を有する。製造が容易であり、かつ、対称性が確保されることにより優れた機械的特性(例えば、反りの抑制)および光学特性が得られ得るからである。
位相差層は、上記のとおりRe(450)<Re(550)の関係を満たし、好ましくはRe(550)<Re(650)の関係をさらに満たす。すなわち、位相差層は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散の波長依存性を示す。位相差層のRe(450)/Re(550)は、例えば0.5を超えて1.0未満であり、好ましくは0.7~0.95であり、より好ましくは0.75~0.92であり、さらに好ましくは0.8~0.9である。Re(650)/Re(550)は、好ましくは1.0以上1.15未満であり、より好ましくは1.03~1.1である。
第1位相差層の面内位相差Re(550)および第2位相差層の面内位相差Re(550)は、その合計が上記A-1項に記載の値となる限り、任意の適切な値に設定され得る。例えば、第1位相差層および第2位相差層が同一の構成を有する場合には、Re(550)およびRe(550)はそれぞれ、上記A-1項に記載の値の半分の値であり得る。また例えば、第1位相差層および第2位相差層が同一材料で異なる厚みを有する場合には、Re(550)およびRe(550)はそれぞれ、第1位相差層および第2位相差層の合計厚みに対するそれぞれの厚みの割合に対応した値となり得る。
第1位相差層および第2位相差層の厚みはそれぞれ、Re(550)およびRe(550)が上記の値となるように適切に設定され得る。第1位相差層および第2位相差層の厚みはそれぞれ、好ましくは10μm~40μmであり、より好ましくは12μm~30μmであり、さらに好ましくは15μm~25μmである。
位相差層は、上記のように面内位相差を有するので、nx>nyの関係を有する。位相差層は、nx>nyの関係を有する限り、任意の適切な屈折率特性を示す。位相差層の屈折率特性は、代表的にはnx>ny≧nzの関係を示す。なお、ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。位相差層のNz係数は、好ましくは0.9~2.0であり、より好ましくは0.9~1.5であり、さらに好ましくは0.9~1.2である。このような関係を満たすことにより、位相差層付偏光板を画像表示装置に用いた場合に、非常に優れた反射色相を達成し得る。
位相差層は、80℃~125℃で180分までの時間加熱した時の遅相軸方向の収縮率が、例えば4%以下であり、好ましくは3.5%以下であり、より好ましくは3%以下である。収縮率は小さいほど好ましく、その下限は、例えば0.5%であり得る。位相差層の収縮率がこのような範囲であれば、過酷な高温高湿環境下におけるクラックをより良好に抑制することができる。
位相差層と同一の構成を有するフィルムの破断伸びは、好ましくは200%以上であり、より好ましくは210%以上であり、さらに好ましくは220%以上であり、特に好ましくは245%以上である。破断伸びの上限は、例えば500%であり得る。位相差層と同一の構成を有するフィルムの破断伸びがこのような範囲であれば、上記収縮率による効果との相乗的な効果により、過酷な高温高湿環境下におけるクラックをより良好に抑制することができる。なお、本明細書において「破断伸び」とは、所定の延伸温度(例えば、Tg-2℃)での固定端一軸延伸においてフィルムが破断した時の伸び率を意味する。
位相差層は、その光弾性係数の絶対値が好ましくは20×10-12(m/N)以下であり、より好ましくは1.0×10-12(m/N)~15×10-12(m/N)であり、さらに好ましくは2.0×10-12(m/N)~12×10-12(m/N)である。光弾性係数の絶対値がこのような範囲であれば、位相差層付偏光板を画像表示装置に適用した場合に表示ムラを抑制することができる。
位相差層は、その吸水率が代表的には1.1%~2.8%であり、好ましくは1.1%~2.5%であり、より好ましくは1.1%~2.3%である。本発明の実施形態によれば、このような吸水率を有する位相差層を用いた場合であっても、過酷な高温高湿環境下において優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを実現することができる。なお、吸水率は、JIS K 7209に準拠して求めることができる。
A-2-2.位相差層の構成材料
位相差層は、代表的には、カーボネート結合およびエステル結合からなる群から選択される少なくとも1つの結合基を含む樹脂を含有する。言い換えれば、位相差層は、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリエステルカーボネート系樹脂(以下、これらをまとめて単にポリカーボネート系樹脂と称する場合がある)を含有する。
ポリカーボネート系樹脂は、1つの実施形態においては、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジオール、脂環式ジメタノール、ジ、トリまたはポリエチレングリコール、ならびに、アルキレングリコールまたはスピログリコールからなる群から選択される少なくとも1つのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、を含む。好ましくは、ポリカーボネート系樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジメタノールに由来する構造単位ならびに/あるいはジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含み;さらに好ましくは、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、ジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含む。ポリカーボネート系樹脂は、必要に応じてその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。なお、本発明に好適に用いられ得るポリカーボネート系樹脂の詳細は、例えば、特開2014-10291号公報、特開2014-26266号公報、特開2015-212816号公報、特開2015-212817号公報、特開2015-212818号公報に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
ポリカーボネート系樹脂は、1つの実施形態においては、上記一般式(1)で表される構造単位および/または上記一般式(2)で表される構造単位からなる群から選択される少なくとも1つの構造単位を含む。これらの構造単位は、2価のオリゴフルオレンに由来する構造単位であり、以下、オリゴフルオレン構造単位と称する場合がある。このようなポリカーボネート系樹脂は、正の屈折率異方性を有する。
位相差層は、1つの実施形態においては、アクリル系樹脂をさらに含有してもよい。アクリル系樹脂の含有量は、代表的には0.5質量%~1.5質量%である。なお、本明細書において「質量」単位の百分率または部は、「重量」単位の百分率または部と同義である。
位相差層は、1つの実施形態においては、酸化防止剤をさらに含有してもよい。酸化防止剤としては、任意の適切な化合物を用いることができる。具体例としては、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]:商品名「Irganox1010」(BASF社製)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン:商品名「Irganox1330」(BASF社製)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート:商品名「Irganox3114」(BASF社製)、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル:商品名「Irganox1076」(BASF社製)、2,2’-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]:商品名「Irganox1035」(BASF社製)、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]:商品名「Irganox1098」(BASF社製)、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]:商品名「Irganox245」(BASF社製)、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]商品名「Irganox259」(BASF社製)、4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール:商品名「Irganox565」(BASF社製)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3、-テトラメチルブチル)フェノール:商品名「アデカスタブLA-31」(ADEKA社製)等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、代表的には1.5質量%~3.5質量%である。
A-2-2-1.ポリカーボネート系樹脂
<オリゴフルオレン構造単位>
オリゴフルオレン構造単位は、上記一般式(1)または(2)で表される。一般式(1)および(2)中、R~Rは、それぞれ独立に、直接結合、置換または非置換の炭素数1~4のアルキレン基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数4~10のアリール基、置換または非置換の炭素数1~10のアシル基、置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~10のアリールオキシ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換の炭素数1~10のビニル基、置換または非置換の炭素数1~10のエチニル基、置換基を有する硫黄原子、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、またはシアノ基である。ただし、R~Rは、互いに同一であっても、異なっていてもよく、 R~Rのうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
ポリカーボネート系樹脂におけるオリゴフルオレン構造単位の含有量は、樹脂全体に対して、好ましくは1質量%~40質量%であり、より好ましくは10質量%~35質量%であり、さらに好ましくは15質量%~30質量%であり、特に好ましくは18質量%~25質量%である。オリゴフルオレン構造単位の含有量が多すぎる場合、光弾性係数が大きくなりすぎる、信頼性が不十分となる、位相差発現性が不十分となるといった問題が生じるおそれがある。さらに、オリゴフルオレン構造単位が樹脂中に占める割合が高くなるため、分子設計の幅が狭くなり、樹脂の改質が求められた時に改良が困難となる場合がある。一方、仮に、非常に少量のオリゴフルオレン構造単位により所望の逆分散波長依存性が得られたとしても、この場合には、オリゴフルオレン構造単位の含有量のわずかなばらつきに応じて光学特性が敏感に変化するので、諸特性が一定の範囲に収まるように製造することが困難となる場合がある。
オリゴフルオレン構造単位の詳細は、例えば、国際公開第2015/159928号パンフレットに記載されている。当該公報は、本明細書に参考として援用される。
<他の構造単位>
ポリカーボネート系樹脂は、代表的には、オリゴフルオレン構造単位に加えて他の構造単位を含み得る。1つの実施形態においては、他の構造単位は、好ましくはジヒドロキシ化合物またはジエステル化合物由来であり得る。目的とする逆分散波長性を発現させるためには、負の固有複屈折を有するオリゴフルオレン構造単位とともに、正の固有複屈折を有する構造単位をポリマー構造に組み込む必要があるため、共重合する他のモノマーとしては、正の複屈折を有する構造単位の原料となるジヒドロキシ化合物又はジエステル化合物がさらに好ましい。
共重合モノマーとしては、芳香族環を含む構造単位を導入可能な化合物と、芳香族環を含む構造単位を導入しない、即ち脂肪族構造で構成される化合物が挙げられる。
前記脂肪族構造で構成される化合物の具体例を以下に挙げる。エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ヘプタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物;ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等の分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物;1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-アダマンタンジオール、水添ビスフェノールA、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール等に例示される、脂環式炭化水素の2級アルコール、及び3級アルコールであるジヒドロキシ化合物;1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6-デカリンジメタノール、1,5-デカリンジメタノール、2,3-デカリンジメタノール、2,3-ノルボルナンジメタノール、2,5-ノルボルナンジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、リモネン等の、テルペン化合物から誘導されるジヒドロキシ化合物等に例示される、脂環式炭化水素の1級アルコールであるジヒドロキシ化合物;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシアルキレングリコール類;イソソルビド等の環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物;スピログリコール、ジオキサングリコール等の環状アセタール構造を有するジヒドロキシ化合物;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸。
前記芳香族環を含む構造単位を導入可能な化合物の具体例を以下に挙げる。2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3-フェニル)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3,5-ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)メタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジクロロジフェニルエーテル等の芳香族ビスフェノール化合物;2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホン等の芳香族基に結合したエーテル基を有するジヒドロキシ化合物;テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸。
尚、上記で挙げた脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸成分はジカルボン酸そのものとして前記ポリエステルカーボネートの原料とすることができるが、製造法に応じて、メチルエステル体、フェニルエステル体等のジカルボン酸エステルや、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料とすることもできる。
共重合モノマーとして、負の複屈折を有する構造単位を有する化合物として従来より知られている、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のフルオレン環を有するジヒドロキシ化合物や、フルオレン環を有するジカルボン酸化合物もオリゴフルオレン化合物と組み合わせて用いることができる。
本発明の実施形態に用いられる樹脂は、前記脂環式構造を有する化合物によって導入可能な構造単位の中でも、共重合成分として下記式(3)で表される構造単位を含有することが好ましい。
Figure 2024051244000004
前記式(3)の構造単位を導入可能なジヒドロキシ化合物としては、スピログリコールを用いることができる。
本発明の実施形態に用いられる樹脂において、前記式(3)で表される構造単位は5質量%以上、90質量%以下含有されていることが好ましい。上限は70質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。下限は10質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が特に好ましい。前記式(3)で表される構造単位の含有量が前記下限以上であれば、十分な機械物性や耐熱性、低い光弾性係数が得られる。さらに、アクリル系樹脂との相溶性が向上し、得られる樹脂組成物の透明性をさらに向上することができる。また、スピログリコールは重合反応の速度が比較的に遅いため、含有量を前記上限以下に抑えることで、重合反応を制御しやすくなる。
本発明に用いられる樹脂は、共重合成分としてさらに下記式(4)で表される構造単位を含有することが好ましい。
Figure 2024051244000005
前記式(4)で表される構造単位を導入可能なジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド(ISB)、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の実施形態に用いられる樹脂において、前記式(4)で表される構造単位は5質量%以上、90質量%以下含有されていることが好ましい。上限は70質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。下限は10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましい。前記式(4)で表される構造単位の含有量が前記下限以上であれば、十分な機械物性や耐熱性、低い光弾性係数が得られる。また、前記式(4)で表される構造単位は吸水性が高い特性があるため、前記式(4)で表される構造単位の含有量が前記上限以下であれば、吸水による成形体の寸法変化を許容範囲に抑えることができる。
本発明の実施形態に用いられる樹脂は、さらに別の構造単位を含んでいてもよい。尚、かかる構造単位を「その他の構造単位」と称することがある。その他の構造単位を有するモノマーとしては、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(及びその誘導体)を採用することがより好ましく、1,4-シクロヘキサンジメタノールとトリシクロデカンジメタノールが特に好ましい。これらのモノマーに由来する構造単位を含む樹脂は、光学特性や耐熱性、機械特性等のバランスに優れている。また、ジエステル化合物の重合反応性は比較的低いため、反応効率を高める観点から、オリゴフルオレン構造単位を含有するジエステル化合物以外のジエステル化合物は用いないことが好ましい。
本発明の実施形態に用いられる樹脂のガラス転移温度(Tg)は、110℃以上160℃以下であることが好ましい。上限は155℃以下がさらに好ましく、150℃以下がより好ましく、145℃以下が特に好ましい。下限は120℃以上がさらに好ましく、130℃以上が特に好ましい。ガラス転移温度が上記範囲外であると耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こしたり、位相差層の使用条件下における品質の信頼性が悪化する可能性がある。一方、ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時にフィルム厚みの斑が生じたり、フィルムが脆くなり、延伸性が悪化したりする場合があり、また、フィルムの透明性を損なう場合がある。
A-2-2-2.アクリル系樹脂
アクリル系樹脂としては、熱可塑性樹脂としてのアクリル系樹脂が使用される。アクリル系樹脂の構造単位となる単量体としては、例えば、以下の化合物が挙げられる:メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸2-(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸2-(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸2-(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2-(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルメタクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロドデシルメタクリレート、シクロドデシルアクリレート。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の単量体を組み合わせて用いる形態は、2種以上の単量体の共重合、1種の単量体の単独重合体の2つ以上のブレンド、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、これらのアクリル系単量体と共重合可能な他の単量体(例えば、オレフィン系単量体、ビニル系単量体)を併用してもよい。
アクリル系樹脂は、メタクリル酸メチル由来の構造単位を含む。アクリル系樹脂におけるメタクリル酸メチル由来の構造単位の含有量は70質量%以上、100質量%以下が好ましい。下限は80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましい。この範囲であると、本発明のポリカーボネート系樹脂と優れた相溶性が得られる。メタクリル酸メチル以外の構造単位としては、アクリル酸メチル、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンを用いることが好ましい。アクリル酸メチルを共重合することで熱安定性を向上させることができる。フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンを用いることで、アクリル系樹脂の屈折率を調整することができるため、組み合わせる樹脂の屈折率に合わせ込むことで、得られる樹脂組成物の透明性を向上させることができる。このようなアクリル系樹脂を用いることで、伸張性および位相差発現性に優れ、かつ、ヘイズの小さい逆分散位相差フィルムが得られ得る。
アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは、10,000以上、200,000以下である。下限は30,000以上が好ましく、50,000以上が特に好ましい。上限は180,000以下が好ましく、150,000以下が特に好ましい。分子量がこのような範囲であれば、ポリカーボネート系樹脂との相溶性が得られることで、最終的な位相差フィルム(位相差層)の透明性を向上させることができ、かつ、延伸時の伸張性を十分に向上させる効果が得られる。尚、上記の重量平均分子量はGPCにより測定される、ポリスチレン換算の分子量である。また、アクリル系樹脂は実質的に分岐構造を含有しないことが相溶性の観点から好ましい。分岐構造を含有しないことは、アクリル系樹脂のGPCカーブが単峰性であることなどで確認できる。
A-2-2-3.ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂とのブレンド
ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂とを併用する場合、ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂とはブレンドされ、積層位相差フィルムの製造方法(代表的には、共押出:A-2-3項で後述)に供される。ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂とは、好ましくは、溶融状態でブレンドされ得る。溶融状態でブレンドする方法としては、代表的には、押出機を用いた溶融混練が挙げられる。混練温度(溶融樹脂温度)は、好ましくは200℃~280℃であり、より好ましくは220℃~270℃であり、さらに好ましくは230℃~260℃である。混練温度がこのような範囲であれば、熱分解を抑制しながら、両樹脂が均一にブレンドされた樹脂組成物のペレットが得られ得る。押出機中の溶融樹脂温度が280℃を超えると、樹脂の着色および/または熱分解が発生する場合がある。一方、押出機中の溶融樹脂温度が200℃を下回ると、樹脂粘度が高くなり過ぎて押出機に過大な負荷が掛かったり、樹脂の溶融が不十分となる場合がある。なお、押出機の構成、スクリューの構成等としては、任意の適切な構成が採用され得る。光学フィルム用途に耐え得る樹脂の透明性を得るためには二軸押出機を用いることが好ましい。さらに、樹脂中の残存低分子成分や、押出混錬中の低分子量の熱分解成分は、製膜工程や延伸工程で冷却ロールや搬送ロールを汚染する懸念があるため、これを除去するために、真空ベントを備える押出機を用いることが好ましい。
樹脂組成物(結果として、位相差層)におけるアクリル系樹脂の含有量は、上記のとおり0.5質量%以上、2.0質量%以下である。下限は0.6質量%以上がより好ましい。上限は1.5質量%以下が好ましく、1.0重量%以下がより好ましく、0.9重量%以下がさらに好ましく、0.8質量%以下が特に好ましい。このように、ポリカーボネート系樹脂にアクリル系樹脂をごく限定的な比率で配合することにより、伸張性および位相差発現性を顕著に増大させることができる。さらに、ヘイズを抑制することができる。このような効果は理論的には明らかでなく、試行錯誤により得られた予期せぬ優れた効果である。なお、アクリル系樹脂の含有量が少なすぎると、上記の効果が得られない場合がある。一方、アクリル系樹脂の含有量が多すぎると、ヘイズが高くなってしまう場合がある。また、伸張性および位相差発現性も上記範囲内の場合に比べて不十分となったり、かえって低下してしまう場合が多い。
樹脂組成物は、機械特性および/または耐溶剤性等の特性を改質する目的で、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、AS、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート等の合成樹脂、ゴム、およびこれらの組み合わせがさらにブレンドされてもよい。
樹脂組成物は、添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤の具体例としては、熱安定剤、酸化防止剤、触媒失活剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、染顔料、衝撃改良剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、核剤、難燃剤、無機充填剤、発泡剤が挙げられる。樹脂組成物に含まれる添加剤の種類、数、組み合わせ、含有量等は、目的に応じて適切に設定され得る。
A-2-3.位相差層の形成方法
位相差層は、上記のポリカーボネート系樹脂(アクリル系樹脂を併用する場合には樹脂組成物)からフィルムを形成し、さらにそのフィルムを延伸することにより得られる。フィルムを形成する方法としては、任意の適切な成形加工法が採用され得る。具体例としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、キャスト塗工法(例えば、流延法)、カレンダー成形法、熱プレス法等が挙げられる。中でも得られるフィルムの平滑性を高め、良好な光学的均一性を得ることができる押出成形法、またはキャスト塗工法が好ましい。キャスト塗工法では残存溶媒による問題が生じるおそれがあるため、特に好ましくは押出成形法、中でもTダイを用いた溶融押出成形法がフィルムの生産性や、後の延伸処理のし易さの観点から好ましい。成形条件は、使用される樹脂の組成や種類、位相差層に所望される特性等に応じて適宜設定され得る。このようにして、ポリカーボネート系樹脂と必要に応じてアクリル系樹脂とを含む樹脂フィルムが得られ得る。
樹脂フィルム(未延伸フィルム)の厚みは、得られる位相差層の所望の厚み、所望の光学特性、後述の延伸条件などに応じて、任意の適切な値に設定され得る。好ましくは30μm~200μmである。
上記延伸は、任意の適切な延伸方法、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)が採用され得る。具体的には、自由端延伸、固定端延伸、自由端収縮、固定端収縮などの様々な延伸方法を、単独で用いることも、同時もしくは逐次で用いることもできる。延伸方向に関しても、長さ方向、幅方向、厚さ方向、斜め方向等、様々な方向や次元に行なうことができる。
上記延伸方法、延伸条件を適宜選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、Nz係数)を有する位相差層を得ることができる。
延伸温度は、1つの実施形態においては、好ましくは位相差層を構成するポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度(Tg)~Tg+30℃、さらに好ましくはTg~Tg+15℃、最も好ましくはTg~Tg+10℃である。ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂を併用する場合、延伸温度は、Tg以下の温度である。通常、フィルムを延伸する場合、Tg以下の温度ではフィルムがガラス状態であるので、延伸は実質的には不可能である。一方、アクリル系樹脂(代表的には、ポリメチルメタクリレート)を少量配合することにより、ポリカーボネート系樹脂のTgを実質的に変化させることなく、Tg以下での延伸が可能となる。さらに、理論的には明らかではないが、Tg以下で延伸を行うことにより、伸張性および位相差発現性に優れ、かつ、ヘイズの小さい逆分散位相差フィルム(位相差層)を実現することができる。具体的には、延伸温度は、好ましくはTg~Tg-10℃であり、より好ましくはTg~Tg-8℃であり、さらに好ましくはTg~Tg-5℃である。なお、上記フィルムは、例えばTg+5℃程度、また例えばTg+2℃程度までであれば、Tgよりも高い温度であっても適切に延伸され得る。
上記のようにして得られる延伸フィルムは、必要に応じて、105℃以上の温度で2分間以上加熱する加熱処理に供される。加熱処理を施すことにより、上記所望の収縮率を有する第1の位相差層を形成することができる。加熱温度は、好ましくは105℃~140℃であり、より好ましくは110℃~130℃であり、さらに好ましくは115℃~125℃である。加熱時間は、好ましくは2分間~150分間であり、より好ましくは3分間~120分間であり、さらに好ましくは5分間~60分間である。
必要に応じて、延伸フィルムは、緩和処理に供されてもよい。これにより、延伸により生じる応力を緩和することができ、上記所望の収縮率を有する位相差層を形成することができる。緩和処理条件としては、任意の適切な条件を採用し得る。例えば、延伸フィルムを、延伸方向に沿って所定の緩和温度および所定の緩和率(収縮率)で収縮させる。緩和温度は、好ましくは60℃~150℃である。緩和率は、好ましくは3%~6%である。緩和処理が行われる場合、緩和処理は、代表的には、上記加熱処理の前に行われ得る。
以上のようにして、位相差層が形成され得る。
A-3.接着層
接着層は、粘着剤で構成されていてもよく、接着剤で構成されていてもよい。粘着剤としては、任意の適切な粘着剤が用いられ得、例えばアクリル系粘着剤が用いられ得る。接着剤としては、任意の適切な接着剤が用いられ得る。接着剤としては、代表的には、活性エネルギー線(例えば、可視光線、紫外線、電子線)硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、水系接着剤、ホットメルト接着剤が挙げられる。接着層が粘着剤で構成されている場合、厚みは例えば3μm~10μmであり得る。接着層が接着剤で構成されている場合、厚みは例えば0.1μm~3μmであり得、また例えば0.5μm~2μmであり得る。
接着層は、その貯蔵弾性率(23℃)が好ましくは1.0MPa以上であり、より好ましくは2.0MPa~2000MPaであり、さらに好ましくは2.0MPa~1600MPaである。少なくとも第1接着層が上記範囲の貯蔵弾性率を有することが好ましく、第1接着層および第2接着層が上記範囲の貯蔵弾性率を有することが好ましく、第1接着層、第2接着層および第3接着層が上記範囲の貯蔵弾性率を有することがさらに好ましい。このような構成であれば、さらに過酷な高温高湿環境下においても優れた耐久性を有する積層位相差フィルムを実現することができる。例えば、高温高湿環境下の耐久性に関する加速試験であるHAST試験(JIS C60068)においても、クラックも剥がれも発生しない積層位相差フィルムを実現することができる。
接着層は、好ましくは接着剤で構成されており、より好ましくは活性エネルギー線硬化型接着剤で構成されており、さらに好ましくは紫外線硬化型接着剤で構成されている。紫外線硬化型接着剤は、本発明の実施形態において適切な貯蔵弾性率を有し、特性の調整が容易であり、かつ、取り扱い性および汎用性に優れている。以下、活性エネルギー線硬化型接着剤について簡単に説明する。
活性エネルギー線硬化型接着剤(例えば、紫外線硬化型接着剤)は、代表的には、単官能成分と多官能成分(硬化成分)と光重合開始剤とを含有する。単官能成分および多官能成分はそれぞれ、代表的には、ラジカル重合性化合物である。単官能成分および/または多官能成分(硬化成分)の種類、組み合わせ、および配合割合、ならびに、カチオン重合性化合物、オリゴマーおよび/または各種添加剤(例えば、架橋剤)の種類、組み合わせ、および配合割合を調整することにより、所望の特性(例えば、硬化後の貯蔵弾性率)を有する活性エネルギー線硬化型接着剤(結果として、接着層)を得ることができる。
好ましい単官能成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸の高級アルキルエステルおよびその変性体が挙げられる。具体例としては、イソステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、アクリロイルモルホリン、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトンが挙げられる。好ましい多官能成分としては、例えば、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基などの官能基を2つ以上有するモノマーおよび/またはオリゴマーが挙げられる。具体例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、グリセリントリアクリレートが挙げられる。上記以外の単官能成分または多官能成分の具体例としては、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物、N-メチルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、9-ビニルカルバゾールが挙げられる。多官能成分として、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート等を用いてもよい。単官能成分または多官能成分はそれぞれ、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、必要に応じて、カチオン重合性化合物をさらに含んでいてもよい。カチオン重合性化合物は、単官能であってもよく多官能であってもよい。単官能カチオン重合性化合物としては、例えば、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3-エチル-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]オキセタンが挙げられる。多官能カチオン重合性化合物としては、例えば、3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタンが挙げられる。カチオン重合性化合物として、シランカップリング剤を用いてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、必要に応じて、アクリル系オリゴマーをさらに含んでいてもよい。アクリル系オリゴマーの分子量は、目的に応じて適切に設定され得る。
B.位相差層付偏光板
図5は、本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。図示例の位相差層付偏光板200は、偏光子121を含む偏光板120と、積層位相差フィルム100と、を有する。積層位相差フィルム100は、上記A項に記載の積層位相差フィルムである。積層位相差フィルムは、上記A項に記載の他の実施形態に係るもの(例えば、図2の積層位相差フィルム101、図3の積層位相差フィルム102、図4の積層位相差フィルム103)であってもよい。偏光板120は、代表的には偏光子121に加えて、偏光子121の一方の側に配置された第1の保護層122と、偏光子121のもう一方の側に配置された第2の保護層132とを含む。目的に応じて、第1の保護層12および第2の保護層13の一方は省略されてもよい。偏光子121の吸収軸方向と積層位相差フィルム100における第1位相差層11および第2位相差層12の遅相軸方向とのなす角度は、代表的には40°~50°であり、好ましくは42°~48°であり、より好ましくは44°~46°であり、さらに好ましくは約45°である。
位相差層付偏光板200は、好ましくは図示例のように、積層位相差フィルム100の偏光板120と反対側に屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示す別の位相差層(ポジティブCプレート)140をさらに有する。このような別の位相差層を設けることにより、斜め方向の反射を良好に防止することができ、反射防止機能の広視野角化が可能となる。
実用的には、位相差層付偏光板は、位相差層の偏光板と反対側の最外層として粘着剤層(図示せず)を有する。粘着剤層により、位相差層付偏光板は、画像表示パネルに貼り付け可能とされている。さらに、粘着剤層の表面には、位相差層付偏光板が使用に供されるまで、剥離フィルムが仮着されていることが好ましい。剥離フィルムを仮着することにより、粘着剤層を保護するとともに、位相差層付偏光板のロール形成が可能となる。
位相差層付偏光板の構成要素(偏光子、保護層、別の位相差層)については業界で周知の構成が採用されるので、詳細な説明は省略する。
C.画像表示装置
上記A項に記載の積層位相差フィルムおよび上記B項に記載の位相差層付偏光板は、それぞれ、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明の実施形態は、そのような積層位相差フィルムおよび/または位相差層付偏光板を用いた画像表示装置も包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機EL表示装置が挙げられる。1つの実施形態においては、画像表示装置は、代表的には、画像表示パネルの視認側に上記B項に記載の位相差層付偏光板を備える。この場合、積層位相差フィルムは、画像表示パネル側に配置され得る。別の実施形態においては、画像表示装置は、代表的には、画像表示パネルの視認側に上記A項に記載の積層位相差フィルムを備える。この場合、積層位相差フィルムの視認側に、偏光板がさらに配置され得る。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における評価項目は以下のとおりである。
(1)初期密着性
実施例および比較例で得られた積層位相差フィルムを、両面テープを介してガラス板に貼り合わせた。次いで、フィルム端部に、当該端部からはみ出すようにして密着テープ(積水化学社製)を貼り合わせた。次いで、密着テープを勢いよく剥がし、剥がした後の共押出フィルムの状態を観察し、以下の基準で評価した。
○(良好):フィルムは層間で剥がれなかった。
×(不良):フィルムが層間で剥がれた。
(2)位相差ムラ
実施例および比較例で得られた積層位相差フィルムを市販の偏光板に貼り合わせ、位相差層付偏光板を得た。このとき、第1位相差層および第2位相差層の遅相軸と偏光板の偏光子の吸収軸とのなす角度が45°となるようにして、積層位相差フィルムと偏光板とを貼り合わせた。得られた位相差層付偏光板について、王子計測機器株式会社製の位相差測定装置(製品名「KOBRA21-ADH」)を用いて面内位相差Re(550)を測定した。測定は、幅方向の7か所について行い、最大値と最小値との差を位相差ムラとした。
(3)軸ずれ
実施例および比較例で得られた積層位相差フィルムについて、Axometrics社製のAxoscanを用いて遅相軸方向を測定した。測定は、幅方向の7か所について行い、最大値と最小値との差を位相差ムラとした。
(4)加熱信頼性
実施例および比較例で得られた積層位相差フィルムを85℃、240時間の加熱信頼性試験に供し、試験前後の積層位相差フィルムの面内位相差を測定し、その変化量ΔRe(550)={試験前のRe(550)-試験後のRe(550)}を算出した。
(5)加湿信頼性
実施例および比較例で得られた積層位相差フィルムを60℃/90%RH、240時間の加湿信頼性試験に供し、試験前後の積層位相差フィルムの面内位相差を測定し、その変化量ΔRe(550)={試験前のRe(550)-試験後のRe(550)}を算出した。
(6)HAST試験
JIS C60068に準じて行った。具体的には、実施例および比較例で得られた積層位相差フィルムを、110℃および85%RHに制御されたオーブン内に36時間置いて加熱加湿し、加熱加湿後の積層位相差フィルムの状態を目視により観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○(良好) :クラックおよび剥がれは認められなかった
×(不良) :クラックおよび/または剥がれが認められた
[製造例1:第1位相差層および第2位相差層を構成する位相差フィルムの作製]
(ポリエステルカーボネート系樹脂の重合)
撹拌翼、及び還流冷却器を具備した竪型撹拌反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。BPFMを30.31質量部(0.047mol)、ISBを39.94質量部(0.273mol)、SPGを30.20質量部(0.099mol)、DPCを69.67質量部(0.325mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物7.88×10-4質量部(4.47×10-6mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を110℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、40分で内温240℃、圧力20kPaにした。その後、さらに圧力を下げながら、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。この樹脂を「PC1」と称する。各モノマーに由来する構造単位の比率は、BPFM/ISB/SPG/DPC=21.5/39.4/30.0/9.1質量%であった。PC1の還元粘度は0.46dL/g、Mwは48,000、屈折率nは1.526、溶融粘度は2480Pa・s、ガラス転移温度は139℃、光弾性係数は9×10-12[m/N]であった。さらに、得られたポリエステルカーボネートと、添加剤としてのアクリル系樹脂BR80(PMMA)の押出混錬を行った。ポリカーボネートのペレット(99.3質量部)とBR80の粉末(0.7質量部)を混ぜ合わせたものを定量フィーダーを用いて、(株)日本製鋼所製の二軸押出機TEX30HSSに投入した。押出機シリンダー温度は250℃に設定し、処理量12kg/hr、スクリュー回転数120rpmで押出を行った。また、押出機には真空ベントが具備されており、溶融樹脂を減圧脱揮しながら押出して樹脂組成物のペレットを得た。
(位相差フィルムの作製)
得られたポリエステルカーボネート系樹脂(ペレット)を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み50μmの長尺状の樹脂フィルムを作製した。得られた長尺状の樹脂フィルムを、幅方向(TD方向)に、延伸温度137℃、延伸倍率2.8倍で延伸し、厚み18μmの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムのRe(550)は144nmであり、Re(450)/Re(550)は0.856であった。
[製造例2:ポジティブCプレートの作製]
下記化学式(I)(式中の数字65および35はモノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロックポリマー体で表している:重量平均分子量5000)で示される側鎖型液晶ポリマー20重量部、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)80重量部および光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)5重量部をシクロペンタノン200重量部に溶解して液晶塗工液を調製した。そして、垂直配向処理を施したPET基材に当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、80℃で4分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に紫外線を照射し、液晶層を硬化させることにより、nz>nx=nyの屈折率特性を示すポジティブCプレート(厚み4μm)を基材上に形成した。ポジティブCプレートは、積層位相差フィルムの所定の位置に転写して用いた。
Figure 2024051244000006
[製造例3:紫外線硬化型接着剤の調製]
エポキシ系モノマー(ダイセル社製、セロキサイド2021P)45重量部、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(第一工業製薬社製、エポゴーセーNPG(D))40重量部、エポキシ樹脂(ADEKA社製、アデカレジンEP-4088S)15重量部、および、光カチオン重合開始剤(サンアプロ社製、CPI-100P)7重量部を混合して、紫外線硬化型接着剤Aを調製した。紫外線硬化型接着剤Aの硬化後の貯蔵弾性率は1500MPaであった。
[製造例4:紫外線硬化型接着剤の調製]
アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ社製、ACMO)20重量部、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(ダイセル社製、プラクセルFA1DDM)50重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学社製、ライトアクリレート9EG-A)10重量部、アクリル系オリゴマー(東亞合成社製、ARUFON UP-1190)15重量部、ならびに、重合開始剤(IGM Resins社製、Omnirad907)3重量部および光重合促進剤(日本化薬社製、KAYACURE DETX-S)2重量部を混合して、紫外線硬化型接着剤Bを調製した。紫外線硬化型接着剤Bの硬化後の貯蔵弾性率は2.6MPaであった。
[製造例5:紫外線硬化型接着剤の調製]
アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ社製、ACMO)30重量部、1、9-ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学社製、ライトアクリレート1、9ND-A)40重量部、アクリル系オリゴマー(東亞合成社製、ARUFON UP-1190)10重量部、ならびに、重合開始剤(IGM Resins社製、Omnirad907)3重量部および光重合促進剤(日本化薬社製、KAYACURE DETX-S)2重量部を混合して、紫外線硬化型接着剤Cを調製した。紫外線硬化型接着剤Cの硬化後の貯蔵弾性率は18MPaであった。
[実施例1]
製造例1で得られた位相差フィルム原反から2枚の位相差フィルムを所定サイズに切り出した。これらの位相差フィルムを、互いの軸ずれ方向(ボウイング方向)が反対方向となるようにして、アクリル系粘着剤(厚み5μm)を介して貼り合わせ、第1位相差層/第1接着層(粘着剤層)/第2位相差層の構成を有する積層位相差フィルムを得た。得られた積層位相差フィルムを上記(1)~(6)の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2]
アクリル系粘着剤の代わりに製造例3の紫外線硬化型接着剤A(硬化後の厚み1μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、第1位相差層/第1接着層(接着剤層)/第2位相差層の構成を有する積層位相差フィルムを得た。得られた積層位相差フィルムを上記(1)~(6)の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例3]
製造例1で得られた位相差フィルム原反から2枚の位相差フィルムを所定サイズに切り出した。そのうちの1枚の位相差フィルムに、紫外線硬化型接着剤A(硬化後の厚み1μm)を介して製造例2のポジティブCプレートを転写し、第1位相差層/第1接着層/ポジティブCプレートの積層体を得た。当該積層体のポジティブCプレート表面に、紫外線硬化型接着剤A(硬化後の厚み1μm)を介してもう1枚の位相差フィルムを貼り合わせた。このとき、2枚の位相差フィルムは、互いの軸ずれ方向(ボウイング方向)が反対方向となるようにして貼り合わせた。このようにして、第1位相差層/第1接着層/ポジティブCプレート/第2接着層/第2位相差層の構成を有する積層位相差フィルムを得た。得られた積層位相差フィルムを上記(1)~(6)の評価に供した。結果を表1に示す。なお、表中、ポジティブCプレートは「ポジC」と略記されている。
[実施例4]
実施例2と同様にして、第1位相差層/第1接着層/第2位相差層の積層体を得た。当該積層体の第2位相差層の表面に、紫外線硬化型接着剤A(硬化後の厚み1μm)を介して製造例2のポジティブCプレートを転写し、第1位相差層/第1接着層/第2位相差層/第2接着層/ポジティブCプレートの構成を有する積層位相差フィルムを得た。得られた積層位相差フィルムを上記(1)~(6)の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例4と同様にして、第1位相差層/第1接着層/第2位相差層/第2接着層/ポジティブCプレートの積層体を得た。当該積層体の第1位相差層の表面に、紫外線硬化型接着剤A(硬化後の厚み1μm)を介して製造例2のポジティブCプレートを転写し、ポジティブCプレート/第3接着層/第1位相差層/第1接着層/第2位相差層/第2接着層/ポジティブCプレートの構成を有する積層位相差フィルムを得た。得られた積層位相差フィルムを上記(1)~(6)の評価に供した。
[比較例1]
Tダイのクリアランスを変更したこと以外は製造例1と同様にして、厚み37μmの位相差フィルムを得た。位相差フィルムのRe(550)は144nmであった。得られた位相差フィルムを上記(1)~(6)の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例1の位相差フィルムに、紫外線硬化型接着剤A(硬化後の厚み1μm)を介して製造例2のポジティブCプレートを転写し、単一位相差層/接着層(接着剤層)/ポジティブCプレートの構成を有する積層位相差フィルムを得た。得られた積層位相差フィルムを上記(1)~(6)の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例1の位相差フィルムに、アクリル系粘着剤(厚み5μm)を介して製造例2のポジティブCプレートを転写し、単一位相差層/接着層(粘着剤層)/ポジティブCプレートの構成を有する積層位相差フィルムを得た。得られた積層位相差フィルムを上記(1)~(6)の評価に供した。結果を表1に示す。
Figure 2024051244000007
[実施例6~9]
第1接着層および第2接着層を表2のように変更したこと以外は実施例4と同様にして、第1位相差層/第1接着層/第2位相差層/第2接着層/ポジティブCプレートの構成を有する積層位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの初期密着性、加熱信頼性、加湿信頼性およびHASTを実施例4と比較した。結果を表2に示す。
Figure 2024051244000008
[評価]
表1から明らかなように、本発明の実施例の積層位相差フィルムは、全体として位相差ムラおよび軸ずれが抑制され、かつ、過酷な高温高湿環境下においても面内位相差の変化が抑制されている。特に、実施例4および5は、ポジティブCプレートを最外層として設けることにより、HAST試験においても良好な結果が得られている。さらに、表2から明らかなとおり、同等の構成で比較した場合、第1接着層および第2接着層の両方に貯蔵弾性率が高い(すなわち、硬い)接着剤を用いることにより、HAST試験においても良好な結果が得られることがわかる。
本発明の実施形態による積層位相差フィルムは、位相差層付偏光板および画像表示装置(代表的には、液晶表示装置、有機EL表示装置)に好適に用いられ得る。
11 第1位相差層
12 第2位相差層
31 第1接着層
32 第2接着層
33 第3接着層
100 積層位相差フィルム
101 積層位相差フィルム
102 積層位相差フィルム
103 積層位相差フィルム
120 偏光板
121 偏光子
140 別の位相差層
200 位相差層付偏光板

Claims (10)

  1. 第1位相差層と、第1接着層を介して該第1位相差層に貼り合わせられた第2位相差層と、を有し、
    該第1位相差層と該第2位相差層とは、互いの軸ずれが相殺されるように貼り合わせられており、
    該第1位相差層および該第2位相差層がそれぞれ、Re(450)<Re(550)の関係を満足し、
    該第1位相差層の面内位相差Re(550)および該第2位相差層の面内位相差Re(550)の合計が100nm~180nmである、
    積層位相差フィルム。
  2. 前記第1位相差層と前記第2位相差層との間にポジティブCプレートをさらに有し、
    該ポジティブCプレートは、前記第1接着層を介して該第1位相差層に貼り合わせられ、かつ、第2接着層を介して該第2位相差層に貼り合わせられている、
    請求項1に記載の積層位相差フィルム。
  3. 前記第1位相差層または前記第2位相差層の外側に、第2接着層を介して該第1位相差層または該第2位相差層に貼り合わせられたポジティブCプレートをさらに有する、請求項1に記載の積層位相差フィルム。
  4. 前記第1位相差層または前記第2位相差層のうち前記ポジティブCプレートが設けられていない位相差層の外側に、第3接着層を介して貼り合わせられた別のポジティブCプレートをさらに有する、請求項3に記載の積層位相差フィルム。
  5. 前記第1接着層および前記第2接着層が活性エネルギー線硬化型接着剤で構成されており、その貯蔵弾性率がそれぞれ1.0MPa以上である、請求項3に記載の積層位相差フィルム。
  6. 前記第1位相差層の遅相軸方向と前記第2位相差層の遅相軸方向とが実質的に平行である、請求項1に記載の積層位相差フィルム。
  7. 前記第1位相差層および前記第2位相差層がそれぞれ、カーボネート結合およびエステル結合からなる群から選択される少なくとも1つの結合基と、下記一般式(1)で表される構造単位および下記一般式(2)で表される構造単位からなる群から選択される少なくとも1つの構造単位とを含み、正の屈折率異方性を有する樹脂を含有する、請求項1に記載の積層位相差フィルム:
    Figure 2024051244000009
    Figure 2024051244000010
    一般式(1)および(2)中、R~Rは、それぞれ独立に、直接結合、置換または非置換の炭素数1~4のアルキレン基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数4~10のアリール基、置換または非置換の炭素数1~10のアシル基、置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~10のアリールオキシ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換の炭素数1~10のビニル基、置換または非置換の炭素数1~10のエチニル基、置換基を有する硫黄原子、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、またはシアノ基であり;ただし、R~Rは、互いに同一であっても、異なっていてもよく、 R~Rのうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
  8. 前記第1位相差層および前記第2位相差層の吸水率がそれぞれ、1.1%~2.8%である、請求項1に記載の積層位相差フィルム。
  9. 偏光子を含む偏光板と、請求項1から8のいずれかに記載の積層位相差フィルムと、を有し、
    該偏光子の吸収軸方向と前記第1位相差層および前記第2位相差層の遅相軸方向とのなす角度が40°~50°である、
    位相差層付偏光板。
  10. 請求項9に記載の位相差層付偏光板を備える、画像表示装置。
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