JP2024049205A - 高分子分散型液晶フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の領域のみにおいて透明状態と散乱状態とを切り替え可能な高分子分散型液晶フィルム、および、耐光性が向上された高分子分散型液晶フィルムを提供すること。【解決手段】第1導電性基材と、高分子マトリクスと高分子マトリクス中に分散した液晶液滴および光重合開始剤とを含む高分子分散型液晶層と、第2導電性基材と、をこの順に含み、高分子分散型液晶層が、平面視において、電圧の印加によるヘイズの変化量が異なる第1領域と第2領域とを有し、第1領域における電圧の印加によるヘイズの変化量が、第2領域における電圧の印加によるヘイズの変化量よりも小さく、第2領域における液晶液滴が、重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含み、第1領域における液晶液滴が、重合性液晶化合物の重合体である液晶ポリマーと非重合性液晶化合物とを含み、第1導電性基材が、紫外線カット層を含む、高分子分散型液晶フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、高分子分散型液晶フィルムに関する。
近年、電圧の印加状態に応じて異なる外観を呈する調光フィルムが、広告、案内板等の表示体、スマートウインドウ等の種々の用途に適用されている。
一対の透明電極層の間に高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal;以下、「PDLC」と称する場合がある)層を有するPDLCフィルムは、調光フィルムの一種であり、電圧印加状態と無印加状態とを切り替えることにより、光を散乱させる状態(散乱状態)と光を透過させる状態(非散乱状態または透明状態)とを切り替えることができる。具体的には、PDLC層は、高分子マトリクスと該高分子マトリクス中に分散した液晶化合物の液滴(液晶液滴)とを含み、液晶液滴中の液晶化合物と高分子マトリクスとの屈折率差等に起因して液晶液滴が散乱粒子となって光散乱を生じさせ得る。
上記PDLCフィルムは、一般に、散乱状態において白濁した外観を呈することから、白濁(散乱状態)と透明(非散乱状態)との2つの外観を呈し得るが、意匠性を考慮すると、他の外観を呈することができる調光フィルムへの要望が存在する。
上記要望に関連して、特許文献1には、全体入射光量の調節が可能な調光フィルムとして、液晶化合物ではなく、二色性物質を用いることにより、非散乱状態において透明な外観を呈し、散乱状態において着色した外観を呈する調光フィルムが提案されている。
特開2002-189123号公報
従来の調光フィルムにおいては、透明状態と散乱状態との切り替えは、フィルム全面に関して行われ、所定の領域のみにおいて当該切り替えを行うことはできなかった。
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、所定の領域のみにおいて透明状態と散乱状態とを切り替え可能な高分子分散型液晶フィルムを提供することにあり、このような高分子分散型液晶フィルムにおいて耐光性を向上させることをさらなる目的とする。
[1]本発明の実施形態による高分子分散型液晶フィルムは、第1導電性基材と、高分子マトリクスと上記高分子マトリクス中に分散した液晶液滴および光重合開始剤とを含む高分子分散型液晶層と、第2導電性基材と、をこの順に含み、上記高分子分散型液晶層が、平面視において、電圧の印加によるヘイズの変化量が異なる第1領域と第2領域とを有し、上記第1領域における電圧の印加によるヘイズの変化量が、上記第2領域における電圧の印加によるヘイズの変化量よりも小さく、上記第2領域における上記液晶液滴が、重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含み、上記第1領域における上記液晶液滴が、上記重合性液晶化合物の重合体である液晶ポリマーと上記非重合性液晶化合物とを含み、上記第1導電性基材が、紫外線カット層を含む。
[2]上記[1]に記載の高分子分散型液晶フィルムにおいて、上記紫外線カット層の波長350nmにおける吸光度が、2以上であってよい。
[3]上記[1]または[2]に記載の高分子分散型液晶フィルムにおいて、上記光重合開始剤の最も長波長側の極大吸収波長をAnmとした場合に、上記紫外線カット層のA-30nm~A+50nmの波長範囲における吸光度が、5以上であってよい。
[4]上記[1]から[3]のいずれかに記載の高分子分散型液晶フィルムにおいて、上記光重合開始剤の最も長波長側の極大吸収波長をAnmとした場合に、上記紫外線カット層のA+70nmの波長における吸光度が、1.8以上であってよい。
[5]上記[1]から[4]のいずれかに記載の高分子分散型液晶フィルムにおいて、上記光重合開始剤が、300nm~340nmの範囲に極大吸収波長を有してよい。
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載の高分子分散型液晶フィルムにおいて、上記第2導電性基材が、紫外線カット層または反射層を含んでよい。
[7]上記[1]から[6]のいずれかに記載の高分子分散型液晶フィルムにおいて、上記第2領域における上記非重合性液晶化合物と上記重合性液晶化合物との含有重量比(非重合性液晶化合物:重合性液晶化合物)が、99:1~70:30であってよい。
[8]上記[1]から[7]のいずれかに記載の高分子分散型液晶フィルムにおいて、上記第1領域のヘイズと上記第2領域のヘイズとの差が、電圧の印加によって増大してもよい。
[9]上記[1]から[7]のいずれかに記載の高分子分散型液晶フィルムにおいて、上記第1領域のヘイズと上記第2領域のヘイズとの差が、電圧の印加によって減少してもよい。
本発明の実施形態によれば、第1領域の液晶液滴内では液晶ポリマーによって液晶化合物が配向規制を受ける結果、電圧の印加状態の変化に起因するヘイズの変化が抑制される。一方、第2領域の液晶液滴内では、液晶化合物の配向状態が電圧の印加状態に応じて変化し、ヘイズを大きく変化させることができる。よって、第1領域および第2領域を所望のパターンで形成することにより、電圧印加時と無印加時とのいずれか一方の場合において所定のパターンを有する外観を呈し、他方の場合には均一性の高い外観を呈する調光フィルムが提供され得る。さらに、PDLC層を挟持する一対の導電性基材の少なくとも一方が紫外線カット層を含むことにより、太陽光の曝露等によって第2領域の液晶液滴内に液晶ポリマーが生成して、第2領域のヘイズの変化量が小さくなるという問題を防止し、耐光性を向上することができる。
(a)は、本発明の第1の実施形態のPDLCフィルムの一例の概略平面図であり、(b)は、(a)で示すPDLCフィルムの電圧無印加時の状態を説明する概略断面図であり、(c)は、(a)で示すPDLCフィルムの電圧印加時の状態を説明する概略断面図である。 本発明の実施形態によるPDLCフィルムで用いられ得る第1導電性基材の一例の概略断面図である。 (a)は、本発明の第2の実施形態のPDLCフィルムの一例の概略平面図であり、(b)は、(a)で示すPDLCフィルムの電圧無印加時の状態を説明する概略断面図であり、(c)は、(a)で示すPDLCフィルムの電圧印加時の状態を説明する概略断面図である。 本発明のPDLCフィルムの製造方法の一例を説明する概略図である。 本発明のPDLCフィルムの製造方法の一例を説明する概略図である。 本発明の実施形態によるPDLCフィルムの変形例の概略断面図である。 本発明の実施形態によるPDLCフィルムの変形例の概略断面図である。 本発明の実施形態によるPDLCフィルムで用いられ得る反射層の一例の概略断面図である。 比較例1のPDLCフィルムの耐光性評価結果を表すグラフである。 実施例1~3のPDLCフィルムの耐光性評価結果および当該PDLCフィルムに用いた紫外線カット層の吸収スペクトルを表すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各実施形態は、文脈からそのような理解が明らかに不適切である場合を除いて適宜組み合わせることができる。また、本明細書中で、数値範囲を表す「~」は、その上限および下限の数値を含む。
A.高分子分散型液晶フィルム
本発明の実施形態による高分子分散型液晶(PDLC)フィルムは、第1導電性基材と、高分子マトリクスと上記高分子マトリクス中に分散した液晶液滴および光重合開始剤とを含む高分子分散型液晶層と、第2導電性基材と、をこの順に含む。上記第1導電性基材は、紫外線カット層を含む。上記高分子分散型液晶層は、平面視において、電圧の印加によるヘイズの変化量が異なる第1領域と第2領域とを有し、上記第1領域における電圧の印加によるヘイズの変化量は、上記第2領域における電圧の印加によるヘイズの変化量よりも小さい。上記第2領域における上記液晶液滴は、重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含む。上記第1領域における上記液晶液滴は、上記重合性液晶化合物の重合体である液晶ポリマーと上記非重合性液晶化合物とを含む。
A-1.第1の実施形態のPDLCフィルム
図1(a)は、本発明の第1の実施形態のPDLCフィルムの一例の概略平面図であり、(b)は、(a)で示すPDLCフィルムの電圧無印加時の状態を説明する概略断面図であり、(c)は、(a)で示すPDLCフィルムの電圧印加時の状態を説明する概略断面図である。PDLCフィルム100aは、紫外線カット層16を含む第1導電性基材10と、高分子マトリクス22と高分子マトリクス22中に分散した液晶液滴24および光重合開始剤26とを含むPDLC層20と、第2導電性基材30と、をこの順に含む。PDLC層20は、平面視において、電圧の印加によるヘイズの変化量が異なる第1領域Aと第2領域Bとを有する。第2領域Bにおける液晶液滴24は、重合性液晶化合物24aと非重合性液晶化合物24bとを含む。第1領域Aにおける液晶液滴24は、液晶ポリマー24cと非重合性液晶化合物24bとを含む。代表的には、液晶ポリマー24cは非配向状態で存在する。光重合開始剤26は、高分子マトリクス22中に分散しており、その少なくとも一部は液晶液滴24にも含まれている。なお、本明細書において、ある化合物が「非配向状態にある」とは、当該化合物が、一定の規則性をもって配列していない状態であることを意味する。
図1(b)に示すように、電圧無印加時のPDLCフィルム100aにおいては、第1領域Aにおける液晶液滴24中の非重合性液晶化合物24bおよび液晶ポリマー24cが共に非配向状態であり、第2領域Bにおける液晶液滴24中の重合性液晶化合物24aおよび非重合性液晶化合物24bが共に非配向状態であることから、いずれの領域においても透過光の散乱が生じる。よって、第1領域Aおよび第2領域Bは共に散乱状態であり得、結果として、PDLCフィルム100aは、主面全体が散乱状態であり得る。
一方、図1(c)に示すように、電圧印加時のPDLCフィルム100aにおいては、第2領域Bにおける液晶液滴24中の重合性液晶化合物24aおよび非重合性液晶化合物24bは共に第1導電性基材10および第2導電性基材30の主面に対して垂直方向に配向しており、透過光の散乱が抑制されることから、当該領域のヘイズは低下する。一方、第1領域Aにおいては、非配向状態の液晶ポリマー24cの存在によって非重合性液晶化合物24bの配向が妨げられて非配向状態が維持されることから、依然として透過光の散乱が生じる。よって、第1領域における電圧の印加によるヘイズの変化量は、第2領域における該変化量よりも小さく、また、第1領域のヘイズと第2領域のヘイズとの差は、電圧の印加によって増大する。
以上のように、PDLCフィルム100aは、電圧無印加時には主面全体が散乱状態であり、白濁した外観を呈する一方で、電圧の印加により第2領域のヘイズのみが大きく低下して、第1領域が白濁、第2領域が透明な外観を呈し得る。よって、PDLCフィルム100aは、電圧の印加と無印加との切り替えによって、異なる外観を呈することができる。
電圧印加時にPDLCフィルムに印加される電圧は、PDLCフィルムを動作させ得る電圧(動作電圧)であり、例えば5V~200V、好ましくは10V~100Vであり得る。本明細書において、「電圧印加時におけるヘイズ」とは、PDLCフィルムに動作電圧が印加されたときのヘイズを意味し、例えば5V以上、10V以上または20V以上の電圧が印加されたときのヘイズであり得る。
電圧無印加時におけるPDLCフィルムの上記第1領域に対応する領域のヘイズ(以下、単に「第1領域のヘイズ」と称する場合がある)は、例えば50%~100%、好ましくは70%~100%である。電圧印加時における第1領域のヘイズは、例えば40%~100%、好ましくは60%~100%である。電圧の印加による第1領域のヘイズの変化量(|電圧無印加時のヘイズ-電圧印加時のヘイズ|)は、例えば0%~40%、好ましくは0%~30%である。
電圧無印加時におけるPDLCフィルムの上記第2領域に対応する領域のヘイズ(以下、単に「第2領域のヘイズ」と称する場合がある)は、例えば50%~100%、好ましくは70%~100%である。電圧印加時における第2領域のヘイズは、例えば1%~20%、好ましくは1%~10%である。電圧の印加による第2領域のヘイズの変化量(|電圧無印加時のヘイズ-電圧印加時のヘイズ|)は、例えば30%~99%、好ましくは60%~99%である。
電圧の印加による第1領域のヘイズの変化量は、電圧の印加による第2領域のヘイズの変化量よりも小さく、その差は、例えば10%~99%、好ましくは30%~99%である。
電圧無印加時におけるPDLCフィルムの上記第1領域に対応する領域の全光線透過率(以下、単に「第1領域の全光線透過率」と称する場合がある)は、例えば50%~95%、好ましくは60%~90%である。電圧印加時における第1領域の全光線透過率は、例えば50%~95%、好ましくは60%~90%である。全光線透過率は、JIS K 7361に従って測定され得る。
電圧無印加時におけるPDLCフィルムの上記第2領域に対応する領域の全光線透過率(以下、単に「第2領域の全光線透過率」と称する場合がある)は、例えば50%~95%、好ましくは60%~90%である。電圧印加時における第2領域の全光線透過率は、例えば70%~95%、好ましくは80%~90%である。
30℃55%RHの条件下、キセノン光を120W/m(300nm-400nm)で125時間照射後の第2領域における電圧印加(例えば50V)によるヘイズの変化量Va(|電圧印加時のヘイズ-電圧無印加時のヘイズ|)および照射前の第2領域における電圧印加(例えば50V)によるヘイズの変化量Vbは、例えば例えば(Vb-Va)/Vb×100≦5の関係を満たし、好ましくは(Vb-Va)/Vb×100≦3の関係を満たす。
PDLCフィルムの厚みは、例えば30μm~250μm、好ましくは50μm~150μmである。
A-1-1.第1導電性基材
第1導電性基材10は、第1透明基材12とその一方の側に設けられた第1透明電極層14と他方の側に設けられた紫外線カット層16とを含む。第1導電性基材10は、必要に応じて、任意の適切な機能層をさらに有していてもよい。例えば、第1導電性基材10は、紫外線カット層16の片側または両側にハードコート層を有していてもよく、また、第1透明基材12と第1透明電極層14との間に屈折率調整層を有していてもよい。第1導電性基材は、PDLCフィルムの紫外線を含む光(例えば、太陽光、種々の光源からの出射光)に曝露される側に配置される。
第1導電性基材の第1透明電極層側表面の表面抵抗値は、好ましくは1Ω/□~1000Ω/□であり、より好ましくは5Ω/□~300Ω/□であり、さらに好ましくは10Ω/□~200Ω/□である。
第1導電性基材のヘイズ値は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは0.1%~10%である。
第1導電性基材の全光線透過率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。
第1透明基材12は、任意の適切な材料を用いて形成され得る。具体的には、例えば、フィルムやプラスチック基材等の高分子基材が好ましく用いられる。平滑性および透明電極層形成用組成物に対する濡れ性に優れ、また、ロールによる連続生産により生産性を大幅に向上させ得るからである。
第1透明基材を構成する材料は、代表的には熱可塑性樹脂を主成分とする高分子フィルムである。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂;ポリノルボルネン等のシクロオレフィン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;セルロース系樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくは、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂またはアクリル系樹脂である。これらの樹脂は、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優れる。上記熱可塑性樹脂は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。また、偏光板に用いられるような光学フィルム、例えば、低位相差基材、高位相差基材、位相差板、吸収型偏光フィルム、偏光選択反射フィルム等を第1透明基材として用いることも可能である。
第1透明基材の厚みは、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは3μm~100μmであり、さらに好ましくは5μm~70μmである。第1透明基材の厚みを200μm以下とすることにより、PDLC層の機能を十分に発揮させることができる。
第1透明基材の全光線透過率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。
第1透明電極層14は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)等の金属酸化物を用いて形成され得る。好ましくはITOを含む透明電極層が形成される。ITOを含む透明電極層は透明性に優れる。第1透明電極層は、目的に応じて、所望の形状にパターニングされ得る。
第1透明電極層の光透過率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは87%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。このような範囲の光透過率を有する透明電極層を用いることにより、透明状態において高い光透過率を有する。当該光透過率は高いほど好ましいが、その上限は、例えば、99%である。
好ましくは、第1透明電極層は、結晶粒を含有する。結晶粒を含有することで光透過率を向上することができる。結晶粒の形成方法に限定はないが、例えば、大気下で加熱することで好適に結晶粒を形成することができる。透明電極層における結晶粒の面積占有率は、例えば30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上である。当該面積占有率の上限は、例えば100%である。結晶粒の面積占有率が上記範囲であれば、光透過率を向上することができる。なお、結晶粒の面積占有率は透過型電子顕微鏡(TEM)で透明電極層の表面を観察し、結晶粒領域と非結晶領域の面積比から算出することができる。
第1透明電極層の表面粗さRaは、例えば、0.1nm以上である。第1透明電極層の表面粗さRaが0.1nm未満の場合、基材との密着性が悪化するおそれがある。第1透明電極層の表面粗さRaの上限は、好ましくは1.2nm未満であり、より好ましくは1.0nm以下であり、さらに好ましくは1.0nm未満であり、特に好ましくは0.8nm以下である。第1透明電極層の表面粗さRaが大きすぎる場合、好適に結晶粒を形成することが難しくなるおそれがある。なお、本明細書における表面粗さRaとは、AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)により測定される、算術平均粗さRaを意味する。
第1透明電極層の厚みは、例えば、10nm以上であり、好ましくは15nm以上である。第1透明電極層の厚みが10nm未満の場合、結晶粒の面積占有率が低下するおそれがある。第1透明電極層の厚みの上限は、例えば、50nm以下であり、好ましくは35nm以下であり、より好ましくは30nm未満であり、さらに好ましくは27nm以下である。第1透明電極層の厚みが50nmを超える場合、透過率が悪化するおそれがあり、また、第1透明電極層の表面粗さが大きくなるおそれがある。
第1透明電極層は、例えば、スパッタリングによって、第1透明基材の一方の面に設けられる。スパッタリングによって金属酸化物層を形成後、アニーリングすることにより結晶化することができる。アニーリングは、例えば120℃~300℃、10分~120分熱処理することにより行われる。
紫外線カット層16は、紫外線の少なくとも一部、例えば、波長300nm~380nmの光の少なくとも一部を遮光する。紫外線カット層の波長350nmにおける吸光度は、例えば2以上であり、好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上であり、さらに好ましくは5以上であり、例えば8以下である。
1つの実施形態において、PDLC層に含まれる光重合開始剤の最も長波長側の極大吸収波長をAnmとした場合に、A-30nm~A+50nmの波長範囲全体にわたって、紫外線カット層の吸光度は、例えば4.5以上であり、好ましくは5以上であり、より好ましくは5.5以上であり、さらに好ましくは6以上であり、例えば8以下である。紫外線カット層が光重合開始剤の最も長波長側の極大吸収波長を含む所定の範囲にわたって高い吸光度を有することにより、PDLCフィルムの耐光性を好適に向上することができる。
1つの実施形態において、PDLC層に含まれる光重合開始剤の最も長波長側の極大吸収波長をAnmとした場合に、波長A+70nmにおける紫外線カット層の吸光度は、例えば1.8以上であり、好ましくは2以上であり、例えば5以下である。紫外線カット層が光重合開始剤の最も長波長側の極大吸収波長よりも70nm大きい波長において所定以上の吸光度を有することにより、PDLCフィルムの耐光性を好適に向上することができる。
紫外線カット層は、可視光線を透過させる。紫外線カット層の波長450nm~600nmの範囲における透過率の最小値は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
紫外線カット層は、任意の適切な構成を有する。紫外線カット層は、例えば、紫外線カット能を有する塗工層、紫外線カット能を有する樹脂フィルム、紫外線カット能を有する粘着剤層等を含み、これらから選択される1つを単独で含むものであってもよく、全体として所望の光学特性を有するようにこれらから選択される2つ以上を含むものであってもよい。
紫外線カット能を有する塗工層(紫外線カット塗工層)は、例えば、紫外線吸収剤および/または紫外線反射剤を含む紫外線カット層形成用塗工液を第1透明基材に塗工することにより、第1透明基材表面に直接形成され得る。また例えば、紫外線カット塗工層は、別の基材表面に紫外線カット層形成用塗工液を塗工することにより形成され、紫外線カット塗工層付基材として第1透明基材に貼り合わせられてもよい。
紫外線カット能を有する樹脂フィルム(紫外線カット樹脂フィルム)としては、紫外線吸収剤および/または紫外線反射剤を含む樹脂フィルム、ナノ積層技術を利用した樹脂フィルム等が挙げられる。
紫外線カット能を有する粘着剤層(紫外線カット粘着剤層)は、代表的には、紫外線吸収剤および/または紫外線反射剤を含む粘着剤層である。
紫外線吸収剤および紫外線反射剤としてはそれぞれ、任意の適切なものを用いることができる。紫外線吸収剤としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン-5-スルホン酸等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-ドデシル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等のアクリレート系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、4-t-ブチルフェニルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤、2-エトキシ-2’-エチルオキザリックアシドビスアニリド、2-エトキシン-5-t-ブチル-2’-エチルオキザリックアシドビスアニリド等のオキザニリド系紫外線吸収剤、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリ[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線反射剤としては、アルミニウム、亜鉛、銅、真鋳、ステンレス、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。紫外線吸収剤および紫外線反射剤はそれぞれ、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
紫外線カット層としては、市販品を用いることができる。紫外線カット層として使用可能な市販のフィルム製品としては、例えば、富士フィルム社製「TJ25UL」、コニカミノルタ社製「KC8UA」、Nexfil社製「U4-400CL」等が挙げられる。
屈折率調整層は、PDLCフィルムの色相および/または透過率を制御し得る。屈折率調整層は、単層からなってもよく、2層以上の積層体であってもよい。
屈折率調整層の屈折率は、1.3~1.8であることが好ましく、1.35~1.7であることがより好ましく、1.38~1.68であることがさらに好ましい。単層の場合は、例えば透明電極層がITOの場合、ITOの屈折率を光学的に緩和できるようむしろ低い屈折率が望ましく、例えば1.38~1.46が好ましい。これにより、透明基材-透明電極層間における界面反射を好適に低減できる。
屈折率調整層は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。屈折率調整層を形成する材料としては、NaF、NaAlF、LiF、MgF、CaF2、SiO、LaF、CeF、Al、TiO、Ta、ZrO、ZnO、ZnS、SiO(xは1.5以上2未満)等の無機物や、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー等の有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。
屈折率調整層は、平均粒子径が1nm~100nmのナノ微粒子を含んでいてもよい。屈折率調整層中にナノ微粒子を含有することによって、屈折率調整層自体の屈折率の調整を容易に行うことができる。
屈折率調整層中のナノ微粒子の含有割合は、0.1重量%~90重量%であることが好ましい。また、屈折率調整層中のナノ微粒子の含有割合は、10重量%~80重量%であることがより好ましく、20重量%~70重量%であることがさらに好ましい。
ナノ微粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、中空ナノシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が挙げられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化ニオブが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
屈折率調整層の厚みは、10nm~200nmであることが好ましく、20nm~150nmであることがより好ましく、30nm~130nmであることがさらに好ましい。屈折率調整層の厚みが過度に小さいと連続被膜となりにくい。また、屈折率調整層の厚みが過度に大きいと、透明状態における透明性が低下したり、クラックが生じ易くなったりする傾向がある。
屈折率調整層は、上記の材料を用いて、ウエット法、グラビアコート法やバーコート法等の塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成できる。
第1導電性基材は、図示例の構成に限定されない。例えば、図2に示すように、紫外線カット層16を兼ねる第1透明基材12とその一方の側に配置された第1透明電極層14とを含む第1導電性基材10aを用いることができる。第1透明基材12aは、例えば、紫外線吸収剤を含む高分子フィルムであり、紫外線吸収剤および高分子フィルムについては上述のとおりである。
A-1-2.PDLC層
PDLC層20は、高分子マトリクス22と高分子マトリクス22中に分散した液晶化合物の液滴(液晶液滴)24および光重合開始剤26とを含む。図1に示すように、PDLC層20は、第1領域Aと第2領域Bとを有し、第1領域Aにおける液晶液滴24は、非配向状態の液晶ポリマー24cと非重合性液晶化合物24bとを含み、第2領域Bにおける液晶液滴24は、重合性液晶化合物24aと非重合性液晶化合物24bとを含む。第1領域Aおよび第2領域Bは、PDLCフィルムに所望される意匠に応じて、任意の適切なパターンで形成され得る。
高分子マトリクスは、任意の適切な樹脂で構成され得る。高分子マトリクス形成用樹脂は、光透過率、液晶化合物の屈折率、導電性基材との密着力等に応じて適切に選択され得る。例えば、ウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂等の水溶性樹脂または水分散性樹脂が好ましく用いられ得る。高分子マトリクス形成用樹脂は、単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
PDLC層中における高分子マトリクスの含有割合は、第1領域および第2領域の両方において、例えば30重量%~69.9重量%、好ましくは35重量%~65重量%、より好ましくは40重量%~60重量%である。高分子マトリクスの含有割合が当該範囲内であれば、適度な動作電圧で良好な調光機能が発揮される、良好な機械的強度が得られる、端部からの液晶漏れが防止される、等の効果が得られ得る。
非重合性液晶化合物としては、任意の適切な液晶化合物が用いられ得る。好ましくは波長589nmにおいて0.05~0.50の複屈折Δn(=ne-no;neは液晶化合物分子の長軸方向の屈折率、noは液晶化合物分子の短軸方向の屈折率)、より好ましくは0.10~0.45の複屈折Δnを有する液晶化合物が用いられる。
非重合性液晶化合物の誘電異方性は、正でも負でもよい。非重合性液晶化合物は、例えば、ネマティック型、スメクティック型、コレステリック型液晶化合物であり得る。透明状態において優れた透明性を実現できることから、ネマティック型液晶化合物を用いることが好ましい。
ネマティック型液晶化合物としては、ビフェニル系化合物、フェニルベンゾエート系化合物、シクロヘキシルベンゼン系化合物、アゾキシベンゼン系化合物、アゾベンゼン系化合物、アゾメチン系化合物、ターフェニル系化合物、ビフェニルベンゾエート系化合物、シクロヘキシルビフェニル系化合物、フェニルピリジン系化合物、シクロヘキシルピリミジン系化合物、コレステロール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。これらの低分子液晶化合物は、単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
重合性液晶化合物は、光透過率、非重合性液晶化合物との相溶性等に応じて適切に選択され得る。重合性液晶化合物は、2官能以上の架橋型であってもよい。重合性液晶化合物としては、例えば、特表2002-533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合型メソゲン化合物等が使用できる。このような重合型メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242が挙げられる。重合性液晶化合物としては、例えばネマティック型液晶モノマーが好ましい。
液晶ポリマーは、代表的には、上記重合性液晶化合物の重合体である。重合性液晶化合物の重合によりポリマーが形成され、また、架橋によりネットワーク構造が形成され得るが、これらは非液晶性である。したがって、液晶ポリマーにおいては、例えば、液晶性の化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。
液晶ポリマーは、液晶液滴中、代表的には、非配向状態で存在する。液晶液滴中の液晶ポリマーが非配向状態であることにより、電圧印加時であっても、第1領域は、高いヘイズ(例えば40%~100%、好ましくは60%~100%)を維持し得る。
第1領域における非重合性液晶化合物と液晶ポリマーとの合計含有割合は、例えば30重量%~69.9重量%、好ましくは35重量%~65重量%、より好ましくは40重量%~60重量%である。また、第1領域における非重合性液晶化合物と液晶ポリマーとの重量含有比(非重合性液晶化合物:液晶ポリマー)は、例えば99:1~70:30、好ましくは95:5~80:20である。また、第1領域における高分子マトリクスと非重合性液晶化合物と液晶ポリマーとの合計含有割合は、例えば90重量%~99.9重量%、好ましくは95重量%~99.9重量%であり得る。
第2領域における非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物との合計含有割合は、例えば30重量%~69.9重量%、好ましくは35重量%~65重量%、より好ましくは40重量%~60重量%である。また、第2領域における非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物との重量含有比(非重合性液晶化合物:重合性液晶化合物)は、例えば99:1~70:30、好ましくは95:5~80:20である。また、第2領域における高分子マトリクスと非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物との合計含有割合は、例えば90重量%~99.9重量%、好ましくは95重量%~99.9重量%であり得る。
光重合開始剤としては、例えば、紫外線照射によって上記重合性液晶化合物の重合を開始させ得るものが用いられる。具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等が挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
光重合開始剤は、例えば300nm~340nm、好ましくは320nm~340nmの範囲に極大吸収波長を有する。このような光重合開始剤を用いることにより、本発明の実施形態によるPDLCフィルムを容易に作製できるとともに、紫外線カット層による意図しない液晶ポリマーの生成を防止する効果が好適に得られ得る。
PDLC層における光重合開始剤の含有割合は、重合性液晶化合物および液晶ポリマーの合計100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~10重量部であり、より好ましくは0.5重量部~5重量部である。
B項で詳述するように、第1領域と第2領域とを有するPDLC層は、重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含む液晶液滴を含むPDLC層の所定の領域において、重合性液晶化合物を重合させて液晶ポリマーを形成させることによって形成され得、この場合、当該所定の領域が第1領域となり、他の領域が第2領域となる。このとき、第1領域における液晶液滴には、未反応の重合性液晶化合物が残存し得る。第1領域における未反応の重合性液晶化合物の含有割合は、例えば3重量%以下、好ましくは1重量%以下である。また、第2領域における液晶液滴には、実質的に液晶ポリマーが存在しないことが好ましい。第2領域における液晶ポリマーの含有割合は、例えば3重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
液晶液滴の平均粒子径は、例えば0.3μm~9μm、好ましくは0.4μm~8μmであり得る。液晶液滴の平均粒子径が小さすぎると、光の波長よりも液晶液滴サイズが小さいために、光が散乱することなく液晶液滴を透過してしまい、結果として、十分なヘイズを得られないという問題が生じ得る。また、該平均粒子径が大きすぎると、光の波長よりも液晶液滴サイズが大きすぎるために、十分なヘイズを得られないという問題が生じ得る。なお、上記PDLC層中における液晶液滴の平均粒子径は、PDLCフィルムの主面に対して垂直な方向から見た場合の液晶液滴の体積平均粒子径である。
PDLC層の厚みは、代表的には2μm~40μmであり、好ましくは3μm~35μm、より好ましくは4μm~30μmである。
A-1-3.第2導電性基材
第2導電性基材30は、代表的には、第2透明基材32とその一方の側に設けられた第2透明電極層34とを有する。第2導電性基材30は、必要に応じて、第2透明基材32の片側または両側にハードコート層を有していてもよく、また、第2透明基材32と第2透明電極層34との間に屈折率調整層を有していてもよい。
第2導電性基材の第2透明電極層側表面の表面抵抗値は、好ましくは1Ω/□~1000Ω/□であり、より好ましくは5Ω/□~300Ω/□であり、さらに好ましくは10Ω/□~200Ω/□である。
第2導電性基材のヘイズ値は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは0.1%~10%である。
第2導電性基材の全光線透過率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。
第2透明基材および第2透明電極層については、第1透明基材および第1透明電極層と同様の説明をそれぞれ適用することができる。
A-2.第2の実施形態のPDLCフィルム
図3(a)は、本発明の第2の実施形態のPDLCフィルムの一例の概略平面図であり、(b)は、(a)で示すPDLCフィルムの電圧無印加時の状態を説明する概略断面図であり、(c)は、(a)で示すPDLCフィルムの電圧印加時の状態を説明する概略断面図である。PDLCフィルム100bは、紫外線カット層16を含む第1導電性基材10と、高分子マトリクス22と高分子マトリクス22中に分散した液晶液滴24および光重合開始剤26とを含むPDLC層20と、第2導電性基材30と、をこの順に含む。PDLC層20は、平面視において、電圧の印加によるヘイズの変化量が異なる第1領域Aと第2領域Bとを有する。第2領域Bにおける液晶液滴24は、重合性液晶化合物24aと非重合性液晶化合物24bとを含む。第1領域Aにおける液晶液滴24は液晶ポリマー24cと非重合性液晶化合物24bとを含む。代表的には、液晶ポリマー24cは所定の方向(図示例では、第1導電性基材10および第2導電性基材30の主面に対して垂直方向)に配向している。光重合開始剤26は、PDLC層20中に分散しており、その少なくとも一部は液晶液滴24にも含まれている。
図3(b)に示すように、電圧無印加時のPDLCフィルム100bにおいては、第2領域Bにおける液晶液滴24中の重合性液晶化合物24aおよび非重合性液晶化合物24bが共に非配向状態であることから、透過光の散乱が生じる。一方、第1領域Aにおいては、液晶ポリマー24cの配向方向に沿って非重合性液晶化合物24bが配向する結果、透過光の散乱が抑制される。よって、PDLCフィルム100bにおいて、第1領域Aは透明状態であり得、また、第2領域Bは散乱状態であり得る。
一方、図3(c)に示すように、電圧印加時のPDLCフィルム100bにおいては、第2領域Bにおける液晶液滴24中の重合性液晶化合物24aおよび非重合性液晶化合物24bが共に第1導電性基材10および第2導電性基材30の主面に対して垂直方向に配向し、透過光の散乱が抑制される結果、ヘイズが低下する。一方、第1領域Aにおいては、液晶ポリマー24cによる配向規制を受けて重合性液晶化合物24bの配向が大きく変化しないことから、依然として透過光の散乱が抑制される。よって、第1領域における電圧の印加によるヘイズの変化量は、第2領域における該変化量よりも小さく、また、第1領域のヘイズと第2領域のヘイズとの差は、電圧の印加によって減少する。
以上のように、PDLCフィルム100bは、電圧無印加時には第1領域が透明、第2領域が白濁した外観を呈し、電圧印加により第2領域のヘイズが大きく低下して、両方の領域が透明状態となり、結果として、主面全体が透明な外観を呈し得る。よって、PDLCフィルム100bは、電圧の印加と無印加との切り替えによって、異なる外観を呈することができる。
電圧印加時にPDLCフィルムに印加される電圧は、PDLCフィルムを動作させ得る電圧(動作電圧)であり、例えば5V~200V、好ましくは10V~100Vであり得る。
電圧無印加時における第1領域のヘイズは、例えば1%~20%、好ましくは1%~10%である。電圧印加時における第1領域のヘイズは、例えば1%~20%、好ましくは1%~10%である。電圧の印加による第1領域のヘイズの変化量(|電圧無印加時のヘイズ-電圧印加時のヘイズ|)は、例えば0%~20%、好ましくは0%~10%である。
電圧無印加時における第2領域のヘイズは、例えば50%~100%、好ましくは70%~100%である。電圧印加時における第2領域のヘイズは、例えば1%~20%、好ましくは1%~10%である。電圧の印加による第2領域のヘイズの変化量(|電圧無印加時のヘイズ-電圧印加時のヘイズ|)は、例えば30%~99%、好ましくは60%~99%である。
電圧の印加による第1領域のヘイズの変化量は、電圧の印加による第2領域のヘイズの変化量よりも小さく、その差は、例えば10%~99%、好ましくは30%~99%である。
電圧無印加時における第1領域の全光線透過率は、例えば70%~95%、好ましくは80%~90%である。電圧印加時における第1領域の全光線透過率は、例えば70%~95%、好ましくは80%~90%である。
電圧無印加時における第2領域の全光線透過率は、例えば50%~95%、好ましくは60%~90%である。電圧印加時における第2領域の全光線透過率は、例えば70%~95%、好ましくは80%~90%である。
30℃55%RHの条件下、キセノン光を120W/m(300nm-400nm)で125時間照射後の第2領域における電圧印加(例えば50V)によるヘイズの変化量Va(|電圧印加時のヘイズ-電圧無印加時のヘイズ|)および照射前の第2領域における電圧印加(例えば50V)によるヘイズの変化量Vbは、例えば(Vb-Va)/Vb×100≦5の関係を満たし、好ましくは(Vb-Va)/Vb×100≦3の関係を満たす。
PDLCフィルムの厚みは、例えば30μm~250μm、好ましくは50μm~150μmである。
第2の実施形態のPDLCフィルムに関して、第1導電性基材および第2導電性基材については、第1の実施形態のPDLCフィルムにおける第1導電性基材および第2導電性基材と同様の説明をそれぞれ適用することができる。また、PDLC層については、第1領域における液晶液滴に含まれる液晶ポリマーが所定の方向に配向していること以外は、第1の実施形態のPDLCフィルムにおけるPDLC層と同様の説明を適用することができる。
PDLC層の第1領域において、液晶液滴に含まれる液晶ポリマーは、所定の方向に配向している。液晶ポリマーは、好ましくは第1導電性基材および第2導電性基材の主面に対して略垂直方向に、例えば90°±5°、好ましくは90°±3°の角度をなすように配向している。液晶液滴中の液晶ポリマーが所定の方向に配向していることにより、電圧無印加時であっても、第1領域は、低いヘイズ(例えば1%~20%、好ましくは1%~10%)を維持し得る。
B.高分子分散型液晶フィルムの製造方法
A項に記載のPDLCフィルムは、任意の適切な製造方法によって製造され得る。
例えば、上記PDLCフィルムは、
(工程A1)第1導電性基材と;高分子マトリクスと、上記高分子マトリクス中に分散した非重合性液晶化合物と上記重合性液晶化合物とを含む液晶液滴および光重合開始剤と、を含むPDLC層と;第2導電性基材と;をこの順に含む未パターン化PDLCフィルムを作成すること、および
(工程A2)未パターン化PDLCフィルムの第2導電性基材側から所定のパターンで活性エネルギー線を照射して、上記重合性液晶化合物を重合させて、その重合体である液晶ポリマーと上記非重合性液晶化合物とを含む液晶液滴を含む第1領域を形成すること、
を含む製造方法(製造方法A)によって製造され得る。
上記PDLCフィルムの製造方法によれば、液晶液滴が液晶ポリマーと非重合性液晶化合物とを含む第1領域と、液晶液滴が重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含む第2領域と、を有するPDLC層を形成することができ、結果として、A項に記載のPDLCフィルムが好適に得られ得る。なお、PDLCフィルムの製造方法の説明において、第1領域と第2領域とが形成されたPDLC層またはPDLCフィルムをパターン化PDLC層またはパターン化PDLCフィルムと称し、第1領域と第2領域とが未形成のPDLC層またはPDLCフィルムを未パターン化PDLC層または未パターン化PDLCフィルムと称する場合がある。
1つの実施形態において、工程A2の活性エネルギー線照射は、第1導電性基材と第2導電性基材との間に電圧を印加しない状態で行われる。別の実施形態において、工程A2の活性エネルギー線照射は、第1導電性基材と第2導電性基材との間に電圧を印加した状態で行われる。
B-1.工程A1
工程A1においては、第1導電性基材と;高分子マトリクスと、上記高分子マトリクス中に分散した非重合性液晶化合物と上記重合性液晶化合物とを含む液晶液滴および光重合開始剤と、を含むPDLC層と;第2導電性基材と;をこの順に含む未パターン化PDLCフィルムを作成する。
工程A1は、例えば、
(工程A1-1)第1導電性基材または第2導電性基材のいずれか一方の基材に、高分子マトリクス形成用樹脂と非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物と光重合開始剤と溶媒とを含む塗工液を塗工して、塗布層を得ること、
(工程A1-2)該塗布層を乾燥させて、高分子マトリクスと、該高分子マトリクス中に分散した上記非重合性液晶化合物と上記重合性液晶化合物とを含む液晶液滴および光重合開始剤と、を含む未パターン化PDLC層を得ること、および
(工程A1-3)上記未パターン化PDLC層の上に他方の基材を積層すること、
を含む。
工程A1-1においては、第1導電性基材または第2導電性基材のいずれか一方の基材に、高分子マトリクス形成用樹脂と非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物と光重合開始剤と溶媒とを含む塗工液を塗工して、塗布層を得る。
上記塗工液は、好ましくは、非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物とを含む液晶粒子が溶媒中に分散したエマルション(以下、「エマルション塗工液」と称する場合がある)である。1つの実施形態において、塗工液は、高分子マトリクス形成用樹脂粒子と、非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物とを含む液晶粒子とが溶媒中に分散したエマルション塗工液である。エマルション塗工液は、光重合開始剤をさらに含み、目的に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。
溶媒としては、水または水と水混和性有機溶媒との混合溶媒が好ましく用いられ得る。水混和性有機溶媒としては、C1-3アルコール、アセトン、DMSO等が挙げられる。非重合性液晶化合物、重合性液晶化合物および高分子マトリクス形成用樹脂については、A項に記載した通りである。任意の添加剤としては、分散剤、レベリング剤、架橋剤等が挙げられる。
塗工液の固形分における液晶化合物の含有割合(非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物との合計含有割合)は、例えば30重量%~69.9重量%、好ましくは35重量%~65重量%、より好ましくは40重量%~60重量%であり得る。
塗工液における非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物との含有重量比(非重合性液晶化合物:重合性液晶化合物)は、好ましくは99:1~70:30、より好ましくは95:5~80:20であり得る。
塗工液の固形分における高分子マトリクス形成用樹脂の含有割合は、例えば30重量%~69.9重量%、好ましくは35重量%~65重量%、より好ましくは40重量%~60重量%であり得る。
塗工液における液晶化合物の含有量(非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物との合計含有量)と高分子マトリクス形成用樹脂の含有量との重量比(液晶化合物:高分子マトリクス形成用樹脂)は、例えば30:70~70:30、好ましくは35:65~65:35、より好ましくは40:60~60:40であり得る。また、塗工液の固形分における高分子マトリクス形成用樹脂と非重合性液晶化合物と重合性液晶化合物との合計含有割合は、例えば90重量%~99.9重量%、好ましくは95重量%~99.9重量%であり得る。
液晶粒子の平均粒子径は、好ましくは0.3μm以上であり、より好ましくは0.4μm以上である。また、液晶粒子の平均粒子径は、好ましくは9μm以下であり、より好ましくは8μm以下である。液晶粒子の平均粒子径が当該範囲内であれば、PDLC層における液晶液滴の平均粒子径を所望の範囲とすることができる。なお、上記液晶粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径である。
液晶粒子の平均粒子径は、比較的狭い粒度分布を有することが好ましい。液晶粒子の平均粒子径の変動係数(CV値)は、例えば0.40未満であり得、好ましくは0.35以下、より好ましくは0.30以下であり得る。1つの実施形態において、粒子径が0.3μm未満または9μm超である液晶粒子を実質的に含まないエマルション塗工液(例えば、液晶粒子の総体積に対する粒子径が0.3μm未満または9μm超である液晶粒子の体積の割合が10%以下であるエマルション塗工液)が用いられ得る。
高分子マトリクス形成用樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm~500nmであり、より好ましくは30nm~300nm、さらに好ましくは50nm~200nmである。樹脂の種類および/または平均粒子径の異なる2種以上の樹脂粒子を用いてもよい。高分子マトリクス形成用樹脂粒子の平均粒子径は、体積平均のメジアン径を意味し、動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて測定され得る。
光重合開始剤およびその含有量はA項で記載したとおりである。
分散剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等を挙げることができる。分散剤の含有割合は、エマルション塗工液100重量部に対して、好ましくは0.05重量部~10重量部であり、より好ましくは0.1重量部~1重量部である。
レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤等を挙げることができる。レベリング剤の含有割合は、エマルション塗工液100重量部に対して、好ましくは0.05重量部~10重量部であり、より好ましくは0.1重量部~1重量部である。
架橋剤としては、例えば、アジリジン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤等を挙げることができる。架橋剤の含有割合は、エマルション塗工液100重量部に対して、好ましくは0.5重量部~10重量部であり、より好ましくは0.8重量部~5重量部である。
エマルション塗工液は、例えば、高分子マトリクス形成用樹脂粒子を含む樹脂エマルションまたは樹脂粒子分散体と、液晶粒子を含む液晶エマルションと、光重合開始剤と、任意の添加剤(例えば、分散剤、レベリング剤、架橋剤)と、を混合することによって調製され得る。必要に応じて、混合時に、溶媒をさらに添加してもよい。あるいは、エマルション塗工液は、溶媒中に非重合性液晶化合物、重合性液晶化合物、水分散性樹脂、光重合開始剤、および任意の添加剤を添加し、機械的に分散させること等によっても調製され得る。
上記樹脂エマルションおよび液晶エマルションは、例えば、機械的乳化法、マイクロチャネル法、膜乳化法等によって調製され得る。なかでも、液晶エマルションは膜乳化法で調製されることが好ましい。膜乳化法によれば、粒度分布が揃ったエマルションが好適に得られ得る。膜乳化法の詳細については、特開平4-355719号公報、特開2015-40994号公報(これらは、本明細書に参考として援用される)等の開示を参照することができる。
エマルション塗工液の固形分濃度は、例えば20重量%~60重量%、好ましくは30重量%~50重量%であり得る。
エマルション塗工液の粘度は、基材への塗布が好適に行われるように適切に調整され得る。塗布時におけるエマルション塗工液の粘度は、好ましくは20mPas~400mPasであり、より好ましくは30mPas~300mPasであり、さらに好ましくは40mPas~200mPasである。粘度が20mPas未満の場合、溶媒を乾燥させる際に溶媒の対流が顕著となり、PDLC層の厚みが不安定となるおそれがある。また、粘度が400mPasを超える場合、エマルション塗工液のビードが安定しないおそれがある。エマルション塗工液の粘度は、例えば、アントンパール社製レオメーターMCR302により測定することができる。ここでの粘度は、20℃、せん断速度1000(1/s)の条件でのせん断粘度の値を用いている。
エマルション塗工液は、代表的には、第1導電性基材または第2導電性基材の透明電極層側表面に塗布される。これらの基材については、A項に記載した通りである。
塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。なかでも、ロールコート法が好ましい。例えば、スロットダイを用いたロールコート法による塗布に関しては、特開2019-5698号公報の記載を参照することができる。
塗布層の厚みは、好ましくは3μm~40μmであり、より好ましくは4μm~30μmであり、さらに好ましくは5μm~20μmである。このような範囲であれば、厚みの均一性に優れるPDLC層を得ることができる。
工程A1-2においては、上記塗布層を乾燥させて、高分子マトリクスと、高分子マトリクス中に分散した液晶液滴および光重合開始剤と、を含む未パターン化PDLC層を得る。乾燥により塗布層から溶媒が除去されて、高分子マトリクス形成用樹脂粒子が互いに融着し合うことにより、高分子マトリクス中に重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含む液晶液滴と、光重合開始剤と、が分散した構造を有するPDLC層が形成される。
塗布層の乾燥は、任意の適切な方法によって行われ得る。乾燥方法の具体例としては、加熱乾燥、熱風乾燥等が挙げられる。エマルション塗工液が架橋剤を含む場合、乾燥時において、高分子マトリクスの架橋構造が形成され得る。
乾燥温度は、好ましくは20℃~150℃であり、より好ましくは25℃~80℃である。乾燥時間は、好ましくは1分~100分であり、より好ましくは2分~10分である。
工程A1-3においては、未パターン化PDLC層の上に他方の基材を積層する。これにより、第1導電性基材と、未パターン化PDLC層と、第2導電性基材と、をこの順に有する未パターン化PDLCフィルムが得られる。
PDLC層上への第1導電性基材または第2導電性基材の積層は、透明電極層側がPDLC層と対向するように行われる。当該積層は、十分な密着性を得る観点から、好ましくはラミネーターを用いて、0.006MPa/m~7MPa/mのラミネート圧、より好ましくは0.06MPa/m~0.7MPa/mのラミネート圧をかけながら行われ得る。
B-2.工程A2
工程A2においては、未パターン化PDLCフィルムの第2導電性基材側から所定のパターンで活性エネルギー線を照射して、上記重合性液晶化合物を重合させて、その重合体である液晶ポリマーと上記非重合性液晶化合物とを含む液晶液滴を含む第1領域を形成する。具体的には、活性エネルギー線が照射された領域(照射領域)においては、液晶液滴中の重合性液晶化合物が重合して液晶ポリマーが生成する結果、液晶ポリマーと非重合性液晶化合物とを含む液晶液滴が形成される。一方、活性エネルギー線が照射されない領域(非照射領域)においては、重合性液晶化合物が未反応のまま存在する結果、液晶液滴は、重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含む。よって、PDLC層の照射領域が、液晶ポリマーと非重合性液晶化合物とを含む液晶液滴を含む第1領域Aとなり、非照射領域が、重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含む液晶液滴を含む第2領域Bとなる。なお、非照射領域における液滴中の重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物との含有量比は、液晶液滴の形成当初の含有量比、すなわち、塗工液における重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物との含有量比に概ね対応し得る。
活性エネルギー線の照射は、所定のパターンのフォトマスクを介して行われる。活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線および電子線等が用いられる。なかでも、紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線は照射源からの直進性が高いコリメート光であることが好ましい。
紫外線の照射条件は、重合性液晶化合物の種類、第2導電性基材の透過率、光重合開始剤の吸収波長等に応じて適切に設定され得る。照射強度は、例えば0.1mW/cm~1000mW/cm、好ましくは1mW/cm~100mW/cmであり得る。照射量は、例えば10mJ/cm~10000mJ/cm、好ましくは100mJ/cm~5000mJ/cmであり得る。照射温度は、例えば-20℃~80℃、好ましくは-20℃~60℃であり得る。
図4および図5はそれぞれ、本発明の実施形態によるPDLCフィルムの製造方法における活性エネルギー線照射の一例を説明する概略図である。図4に示す実施形態において、活性エネルギー線照射は、フォトマスク40を介して、第1導電性基材10と第2導電性基材30との間に電圧を印加しない状態で行われる。本実施形態によれば、PDLC層20の照射領域の液晶液滴24において、重合性液晶化合物24aが非配向状態で重合することから、形成される液晶ポリマー24cもまた非配向状態となる。よって、本実施形態によれば、A-1項に記載の第1の実施形態のPDLCフィルムが好適に得られ得る。
図5に示す実施形態において、活性エネルギー線照射は、フォトマスク40を介して、第1導電性基材10と第2導電性基材30との間に電圧を印加した状態で行われる。本実施形態によれば、PDLC層20の照射領域の液晶液滴24において、重合性液晶化合物24aが電界に沿って所定の方向(図示例では、第1導電性基材10および第2導電性基材30の主面に対して垂直方向)に配向した状態で重合することから、当該配向が固定化された液晶ポリマー24cが形成される。よって、本実施形態によれば、A-2項に記載の第2の実施形態のPDLCフィルムが好適に得られ得る。なお、活性エネルギー線照射時に印加する電圧は、所望の配向(換言すれば、第1領域に所望されるヘイズ)が実現される限りにおいて制限はなく、例えば10V~200V、好ましくは20V~100Vであり得る。
1つの実施形態において、開口率が異なる複数の透光部を有するフォトマスクを用いて活性エネルギー線照射を行うことにより、各透光部に対応する領域において、その開口率に対応した割合で第1領域を形成することができる。よって、得られるPDLCフィルムにおいて、各透光部に対応する領域は、全体視において、その開口率に対応したヘイズを示し得る。
例えば、開口率が右端部から左端部に向かって連続的に増大するフォトマスクを用い、電圧を印加しない状態で活性エネルギー線照射を行うことにより、電圧無印加時には全面が散乱状態であり、電圧印加時には右端部から左端部に向かってヘイズが連続的に増大する外観を呈するPDLCフィルムが得られ得る。また例えば、開口率が右端部から左端部に向かって連続的に増大するフォトマスクを用い、電圧を印加した状態で活性エネルギー線照射を行うことにより、電圧印加時には全面が透明状態であり、電圧無印加時には右端部から左端部に向かってヘイズが連続的に低下する外観を呈するPDLCフィルムが得られ得る。
上記PDLCフィルムの製造方法Aでは、第1導電性基材と未パターン化PDLC層と第2導電性基材とをこの順に含む未パターン化PDLCフィルムを作製し、未パターン化PDLCフィルムの第2導電性基材側から活性エネルギー線照射を行ったが、上記PDLCフィルムの製造方法は、当該実施形態に限定されない。
例えば、上記PDLCフィルムは、第2導電性基材と未パターン化PDLC層と第2導電性基材とをこの順に含む未パターン化PDLCフィルムを作製すること、未パターン化PDLCフィルムのいずれか一方の側から所定のパターンで活性エネルギー線照射を行うこと、およびいずれか一方の第2導電性基材の外側に紫外線カット層を設けること、をこの順に含む製造方法(製造方法B)によって製造され得る。活性エネルギー線照射は、両基材間に電圧を印加しない状態または印加した状態で行われる。
また例えば、上記PDLCフィルムは、第2導電性基材と未パターン化PDLC層と第2導電性基材とをこの順に含む未パターン化PDLCフィルムを作製すること、いずれか一方の第2導電性基材の外側に紫外線カット層を設けること、および紫外線カット層が設けられていない第2導電性基材側から所定のパターンで活性エネルギー線照射を行うこと、をこの順に含む製造方法(製造方法C)によって製造され得る。活性エネルギー線照射は、両基材間に電圧を印加しない状態または印加した状態で行われる。
紫外線カット層が設けられた第2導電性基材は第1導電性基材に相当し得ることから、製造方法Bおよび製造方法Cによっても、紫外線カット層を含む第1導電性基材とパターン化PDLC層と第2導電性基材とをこの順に含むパターン化PDLCフィルムを得ることができる。
C.変形例
C-1.変形例1
図6は、本発明の実施形態によるPDLCフィルムの変形例の構成を説明する概略断面図である。PDLCフィルム100cは、第1紫外線カット層16を含む第1導電性基材10と、高分子マトリクス(図示せず)と高分子マトリクス中に分散した液晶液滴(図示せず)および光重合開始剤(図示せず)とを含むPDLC層20と、第2紫外線カット層36を含む第2導電性基材30と、をこの順に含む。PDLC層20は、図1または図3に示すような第1領域および第2領域を有するパターン化PDLC層である。すなわち、PDLCフィルム100cは、第2導電性基材30が第2紫外線カット層36を含む点において、PDLCフィルム100aまたは100bと異なっている。PDLCフィルム100cは、パターン化PDLC層の両側に紫外線カット層が設けられていることから、耐光性をより好適に向上することができる。
C-2.変形例2
図7は、本発明の実施形態によるPDLCフィルムの別の変形例の構成を説明する概略断面図である。PDLCフィルム100dは、第1紫外線カット層16を含む第1導電性基材10と、高分子マトリクス(図示せず)と高分子マトリクス中に分散した液晶液滴(図示せず)および光重合開始剤(図示せず)とを含むPDLC層20と、反射層38を含む第2導電性基材30と、をこの順に含む。PDLC層20は、図1または図3に示すような第1領域および第2領域を有するパターン化PDLC層である。すなわち、PDLCフィルム100dは、第2導電性基材30が反射層38を含む点において、PDLCフィルム100aまたは100bと異なっている。
PDLCフィルム100dによれば、第1導電性基材10側から散乱状態のPDLC層20に入射した光は、反射層38で反射されると共にPDLC層20で散乱される結果、散乱反射成分を多く含む光として第1導電性基材10側から出射する。一方、第1導電性基材10側から透明状態(非散乱状態)のPDLC層20に入射した光は、PDLC層20での散乱が抑制されつつ反射層38で反射される結果、正反射成分を多く含む光として導電性透明基材10側から出射する。その結果、散乱状態の領域は光沢が少ない外観(マットな外観)を呈し、透明状態の領域は光沢がある外観(金属調の外観)を呈し得る。よって、第1領域と第2領域とを所望のパターンで形成し、電圧の印加状態を切り替えることにより、主面全体が光沢がある外観または光沢が少ない外観である状態と、一部の領域のみ光沢がある外観または光沢が少ない外観である状態と、と切り替えることができる。
図示例において、第2導電性基材30は、第2透明電極層34と第2透明基材32と反射層38とをこの順に有する。反射層38を含む第2導電性基材30の構成は当該図示例に限定されない。例えば、図8(a)に例示するように、反射層38と第2透明電極層34と第2透明基材32とをこの順に有する第2導電性基材30aであってもよい。また例えば、図8(b)に例示するように、第2透明基材32とその一方の側(PDLC層側)に設けられた導電性反射層35とを有する第2導電性基材30bであってもよい。ここで、導電性反射層とは、反射層の機能と電極層の機能との両方を発揮し得る層を意味する。反射層はその一方または両方の表面に保護層が設けられた反射フィルムの形態で用いられてもよい。
反射層38は、好ましくは鏡面反射性を有する。鏡面反射性を有する反射層としては、例えば、アルミニウム、スズ、金、銀、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、またはこれらの合金等から構成される金属反射層、種類の異なるポリマーを数百から一千層、数ナノメートルの薄さで多層積層した金属光沢調のナノ積層フィルム(例えば、東レ社製「ピカサス」)等が好ましく例示できる。金属反射層は、導電性反射層として、反射層の機能と電極層の機能とを兼ねることができる。
反射層の厚みは、金属反射層の場合、例えば0.01μm~0.10μm、好ましくは0.01μm~0.45μm、ナノ積層フィルムの場合、例えば20μm~300μm、好ましくは30μm~250μmであり得る。
反射層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法によって形成することができる。
PDLCフィルム100dは、例えば、反射層を含まない第2導電性基材と未パターン化PDLC層と反射層を含む第2導電性基材とをこの順に含む未パターン化PDLCフィルムを作製すること、反射層を含まない第2導電性基材側から未パターン化PDLCフィルムに活性エネルギー線照射を行うこと、および反射層を含まない第2導電性基材の外側に紫外線カット層を設けること、を含む製造方法によって得ることができる。活性エネルギー線照射は、両基材間に電圧を印加しない状態または印加した状態で行われる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。また、特に明記しない限り、実施例および比較例における「部」および「%」は重量基準である。
(1)厚み
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
(2)液晶エマルション中の液晶粒子の体積平均粒子径
電解質水溶液(コールター社製、「アイソトンII」)200mlに液晶エマルションを0.1重量%添加し、得られた混合液を測定試料としてマルチサイザー3(コールター社製、アパーチャーサイズ=20μm)を用いて、0.4μmから12μmまで対数基準で等間隔に256分割し離散化した粒子径ごとの体積の統計を取り、体積平均粒子径を算出した。なお、12μm以上の粒子が存在している場合は、アパーチャーサイズを30μmとし、0.6μmから18μmまで対数基準で等間隔に256分割し離散化した粒子径ごとの体積の統計を取ることで、体積平均粒子径を算出した。
(3)樹脂粒子の平均粒子径
100mLの水に樹脂分散体を数滴加えて測定試料を調製した。動的光散乱式粒子径分布測定装置(Microtrac社製、装置名「Nanotrac150」)を用いて、装置の測定ホルダに測定試料をセットし、測定可能な濃度であることを装置のモニタにて確認後に測定を行った。
(4)ヘイズ
日本電色社製 製品名「NDH4000」を用い、JIS K 7136に基づいて測定した。紫外線カット層を含むPDLCフィルムについては、紫外線カット層を剥離して測定した。
(5)吸光度
日立ハイテクサイエンス社製「UH-4150AD+」を用い、測定対象のフィルムを直入射検知器付属装置を用いて測定した。
[実施例1]
(導電性基材の作製)
PET基材(東洋紡社製、製品名「コスモシャイン」、厚み:50μm)の一方の面に、スパッタ法によりITO層を形成して、[透明基材/透明電極層]の構成を有する導電性基材を得た。PET基材の波長350nmにおける吸光度の0.15であった。
(エマルション塗工液の作製)
非重合性液晶化合物(JNC社製、製品名「LX-153XX」、複屈折Δn=0.149(ne=1.651,no=1.502)、粘度=48.5mPa・s)53.7部、重合性液晶化合物(Merck社製、製品名「RM257」)5.9部、光重合開始剤(IGM社製、製品名「OMNIRAD184」、極大吸収波長243nm、331nm)0.1部、純水39.8部、および分散剤(第一工業製薬社製、「ノイゲンET159」)0.5部を混合し、ホモジナイザーにて100rpmで10分攪拌することにより液晶エマルションを調製した。得られた液晶エマルション中の液晶粒子の平均粒子径は、3.4μmであった。
上記液晶エマルション38.4部、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂水性分散体(DSM社製、商品名「NeoRez R967」、ポリマー平均粒子径:80nm、CV値=0.27、固形分:40wt%)19.1部、ポリエステル系ポリウレタン樹脂水性分散体(三洋化成社製、商品名「ユーコート C-102」、ポリマー平均粒子径:168nm、CV値=0.23、固形分:45wt%)17.0部、レベリング剤(DIC社製、製品名「F-444」)0.1部、および架橋剤(トリス〔3-(2-メチルアジリジン-1-イル)プロピオン酸〕=プロピリジントリメチル)1.1部、純水24.3部を混合することにより、エマルション塗工液(固形分濃度:40wt%)を得た。
(エマルション塗工液の塗布および乾燥)
上記エマルション塗工液を、上記導電性基材のITO層面に塗布して厚み20μmの塗布層を形成した。塗布は、スロットダイを用いて行い、ライン速度は6m/minであった。次いで、該塗布層を25℃で8分乾燥させることにより、厚み8μmの未パターン化PDLC層を形成した。
(未パターン化PDLCフィルムの作製)
ラミネーターを用いて0.4MPa/mのラミネート圧を適用しながら、上記未パターン化PDLC層の上に別の導電性基材を、ITO層が未パターン化PDLC層に対向するように積層した。これにより、未パターン化PDLCフィルムを得た。
(活性エネルギー線照射)
未パターン化PDLCフィルムの両面において、導電性基材の一部を透明基材までハーフカットして透明電極層を露出させ、当該露出部を取り出し電極として用いた。電極処理を施した未パターン化PDLCフィルムに所定のパターンを有するフォトマスクを載せ、50Vの電圧を印加しながらUV-LEDランプ(浜松ホトニクス社製、製品名「C11924-101」、ピーク波長365nm)の下で10mW/cmで10分間露光処理した。これにより、PDLC層に、配向した液晶ポリマーと非重合性液晶化合物とを含む第1領域と、重合性液晶化合物とを非重合性液晶化合物とを含む第2領域と、を形成し、これにより、[導電性基材/パターン化PDLC層/導電性基材]の構成を有するパターン化PDLCフィルムを得た。
得られたパターン化PDLCフィルムは、電圧無印加時において、照射領域のヘイズが7.8%であり、非照射領域のヘイズが88.0%であり、50Vの交流電圧印加時において、照射領域のヘイズが3.7%であり、非照射領域のヘイズが3.6%であった。
(紫外線カット層の積層)
上記パターン化PDLCの一方の導電性基材側表面にアクリル系粘着剤層を介して紫外線カット層としてのUV吸収トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタ社製、「KC8UA」、厚み80μm)を貼り合せた。これにより、[第1導電性基材(KC8UA/PET基材/ITO層)/パターン化PDLC層/第2導電性基材(ITO層/PET基材)]の構成を有するパターン化PDLCフィルムを得た。
[実施例2]
紫外線カット層として、Nexfil社製のUV吸収フィルム「U4-400CL」(厚み60μm)を貼り合せたこと以外は実施例1と同様にして、[第1導電性基材(U4-400CL/PET基材/ITO層)/パターン化PDLC層/第2導電性基材(ITO層/PET基材)]の構成を有するパターン化PDLCフィルムを得た。
[実施例3]
紫外線カット層として、UV吸収フィルム「U4-400CL」と、UV吸収TACフィルム(富士フイルム社製、「TJ25UL」、厚み25μm)とをPDLC層側からこの順に貼り合せたこと以外は実施例1と同様にして、[第1導電性基材(TJ25UL/U4-400CL/PET基材/ITO層)/パターン化PDLC層/第2導電性基材(ITO層/PET基材)]の構成を有するパターン化PDLCフィルムを得た。
[比較例1]
紫外線カット層を貼り合せる前のパターン化PDLCフィルムを比較例1のパターン化PDLCフィルムとして用いた。
<耐光性評価1>
比較例1のパターン化PDLCフィルムの片側から、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機社製、30℃、55%RH条件)にて、キセノン光を120W/m(300nm-400nm)で125時間照射し、所定時間照射後のPDLCフィルムに電圧を印加し、非照射領域のヘイズを測定した。測定結果を図9に示す。
<耐光性評価2>
実施例1~3のパターン化PDLCフィルムに第1導電性基材側から、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機社製、30℃、55%RH条件)にて、キセノン光を120W/m(300nm-400nm)で125時間照射した。照射前後のPDLCフィルムに関して、0V~50Vの電圧を印加した際の非照射領域のヘイズを測定した。測定結果を用いた紫外線カット層の吸収スペクトルとともに図10に示す。
図9および図10から、パターン化PDLCフィルムの紫外線に曝露される側に紫外線カット層を設けることにより、非照射領域のヘイズ変化量の減少が抑制されることがわかる。具体的には、実施例1のパターン化PDLCフィルムの非照射領域のキセノン光照射前における50V電圧印加時および電圧無印加時のヘイズはそれぞれ、3.6%および86.5%であり、125時間照射後における50V電圧印加時および電圧無印加時のヘイズはそれぞれ、15.0%および82.0%であった。なお、比較例1のパターン化PDLCフィルムに対する耐光性評価において、非照射領域のキセノン光照射前における50V電圧印加時および電圧無印加時のヘイズはそれぞれ、3.6%および88.0%であり、125時間照射後における50V電圧印加時および電圧無印加時のヘイズはそれぞれ、52.7%および85.3%であった。また、波長300nm~380nmの全範囲および波長400nmにおいて高い吸光度を有する紫外線カット層を設けた実施例3においては、キセノン光照射前後におけるヘイズの変化量の変化率が0.3%以下であり、耐光性に極めて優れることがわかる。
本発明のPDLCフィルムは、広告、案内板等の表示体、スマートウインドウ等の種々の用途に好適に用いられる。
100 PDLCフィルム
10 第1導電性基材
20 PDLC層
22 高分子マトリクス
24 液晶液滴
24a 重合性液晶化合物
24b 非重合性液晶化合物
24c 液晶ポリマー
30 第2導電性基材

Claims (9)

  1. 第1導電性基材と、高分子マトリクスと前記高分子マトリクス中に分散した液晶液滴および光重合開始剤とを含む高分子分散型液晶層と、第2導電性基材と、をこの順に含み、
    前記高分子分散型液晶層が、平面視において、電圧の印加によるヘイズの変化量が異なる第1領域と第2領域とを有し、
    前記第1領域における電圧の印加によるヘイズの変化量が、前記第2領域における電圧の印加によるヘイズの変化量よりも小さく、
    前記第2領域における前記液晶液滴が、重合性液晶化合物と非重合性液晶化合物とを含み、
    前記第1領域における前記液晶液滴が、前記重合性液晶化合物の重合体である液晶ポリマーと前記非重合性液晶化合物とを含み、
    前記第1導電性基材が、紫外線カット層を含む、
    高分子分散型液晶フィルム。
  2. 前記紫外線カット層の波長350nmにおける吸光度が、2以上である、請求項1に記載の高分子分散型液晶フィルム。
  3. 前記光重合開始剤の最も長波長側の極大吸収波長をAnmとした場合に、前記紫外線カット層のA-30nm~A+50nmの波長範囲における吸光度が、5以上である、請求項1に記載の高分子分散型液晶フィルム。
  4. 前記光重合開始剤の最も長波長側の極大吸収波長をAnmとした場合に、前記紫外線カット層のA+70nmの波長における吸光度が、1.8以上である、請求項1に記載の高分子分散型液晶フィルム。
  5. 前記光重合開始剤が、300nm~340nmの範囲に極大吸収波長を有する、請求項1に記載の高分子分散型液晶フィルム。
  6. 前記第2導電性基材が、紫外線カット層または反射層を含む、請求項1に記載の高分子分散型液晶フィルム。
  7. 前記第2領域における前記非重合性液晶化合物と前記重合性液晶化合物との含有重量比(非重合性液晶化合物:重合性液晶化合物)が、99:1~70:30である、請求項1に記載の高分子分散型液晶フィルム。
  8. 前記第1領域のヘイズと前記第2領域のヘイズとの差が、電圧の印加によって増大する、請求項1に記載の高分子分散型液晶フィルム。
  9. 前記第1領域のヘイズと前記第2領域のヘイズとの差が、電圧の印加によって減少する、請求項1に記載の高分子分散型液晶フィルム。
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