JP2024044729A - 電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動系の異常の誤検出を抑制する。【解決手段】駆動輪に連結されたモータと、モータを駆動するインバータと、インバータに電力ラインを介して接続された蓄電装置と、走行要求トルクにより走行するようにインバータを制御すると共に、モータおよびインバータを含む駆動系の異常診断を実行する制御装置と、を備える電動車両であって、制御装置は、車速が一定の要求車速に基づく目標車速となるように走行要求トルクを設定しているときに、モータの電気周期と異常診断の判定周期との差分が所定差分よりも大きいときには、要求車速を目標車速に設定し、差分が所定差分以下のときには、車両挙動に影響を与えずに且つ平均車速を変更しないように定められた変動成分を要求車速に重畳させて目標車速を設定する。【選択図】図2
Description
本開示は、電動車両に関する。
従来、車両のECUが、異常診断(ダイアグ)の項目についてレート達成度が向上するように、自動運転の制御中に動力源の制御を行なうものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このECUは、自動運転中に、異常診断のレート達成度が低いものから優先順位をつけて異常診断を行なう。
駆動輪に連結されたモータと、モータを駆動するインバータと、を備える電動車両において、略一定車速で走行しているときにモータの電気周期と異常診断の周期とが略一致し続けると、モータおよびインバータを含む駆動系の異常診断の周期的なタイミングのそれぞれで、モータの出力トルクなどが脈動のピーク付近となって異常閾値を超えて、異常を誤検出する場合が生じ得る。
本開示の電動車両は、駆動系の異常の誤検出を抑制することを主目的とする。
本開示の電動車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本開示の電動車両は、駆動輪に連結されたモータと、前記モータを駆動するインバータと、走行要求トルクにより走行するように前記インバータを制御すると共に、前記モータおよび前記インバータを含む駆動系の異常診断を実行する制御装置と、を備える電動車両であって、前記制御装置は、車速が一定の要求車速に基づく目標車速となるように前記走行要求トルクを設定しているときに、前記モータの電気周期と前記異常診断の判定周期との差分が所定差分よりも大きいときには、前記要求車速を前記目標車速に設定し、前記差分が前記所定差分以下のときには、車両挙動に影響を与えずに且つ平均車速を変更しないように定められた変動成分を前記要求車速に重畳させて前記目標車速を設定する、ことを要旨とする。
本開示の電動車両では、車速が一定の要求車速に基づく目標車速となるように走行要求トルクを設定しているときに、モータの電気周期と異常診断の判定周期との差分が所定差分よりも大きいときには、要求車速を目標車速に設定し、差分が所定差分以下のときには、車両挙動に影響を与えずに且つ平均車速を変更しないように定められた変動成分を要求車速に重畳させて目標車速を設定する。これにより、車速を変動させて、モータの回転数(電気周波数)すなわち電気周期を変動させることができる。この結果、モータの電気周期と異常診断の判定周期とが略一致し続けるのを抑制し、駆動系の異常を誤検出するのを抑制することができる。
次に、本開示を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本開示の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。図示するように、実施例の電気自動車20は、走行用のモータ32と、インバータ34と、バッテリ36と、電子制御ユニット50とを備える。
モータ32は、三相交流電動機として構成されており、回転子コアに永久磁石が埋め込まれた回転子と、固定子コアに三相コイルが巻回された固定子とを備える。モータ32の回転子は、駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。
インバータ34は、モータ32の駆動に用いられる。インバータ34は、電力ライン38を介してバッテリ36に接続されており、6つのスイッチング素子としてのトランジスタT11~T16と、6つのトランジスタT11~T16のそれぞれに並列に接続された6つのダイオードD11~D16とを有する。トランジスタT11~T16は、それぞれ、電力ライン38の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2つずつペアで配置されている。各ペアの2つのトランジスタの接続点は、それぞれ、モータ32の対応する相(U相、V相、W相)のコイルに接続されている。したがって、インバータ34に電圧が作用しているときに、電子制御ユニット50によって、対となるトランジスタT11~T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。
バッテリ36は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン38を介してインバータ34に接続されている。電力ライン38には、平滑用のコンデンサ39が取り付けられている。
電子制御ユニット50は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポートを有するマイクロコンピュータを備える。電子制御ユニット50は、回転位置センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θm、電流センサ32u,32vからのモータ32のU相、V相の相電流Iu,Iv、電圧センサ36aからのバッテリ36の電圧Vb、電流センサ36bからのバッテリ36の電流Ib、電圧センサ39aからの電力ライン38(コンデンサ39)の電圧VLを入力する。スタートスイッチ60からのスタート信号、シフトポジションセンサ62からのシフトレバー61の操作位置であるシフトポジションSP、アクセルペダルセンサ64からのアクセルペダル63の踏込量であるアクセル開度Acc、ブレーキペダルセンサ66からのブレーキペダル65の踏込量であるブレーキペダルポジションBPも入力する。車速センサ67からの車速V、クルーズコントロールスイッチ68からのスイッチ信号も入力する。なお、クルーズコントロールスイッチ68は、クルーズコントロールのオンオフに加えて、要求車速Vrqも設定できるように構成されている。
電子制御ユニット50は、インバータ34のトランジスタT11~T16に制御信号を出力する。電子制御ユニット50は、回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや回転数Nmを演算したり、相電流Iu,Ivと電気角θeとに基づいてモータ32の出力トルクTmを推定したりしている。出力トルクTmの推定は、例えば、モータ32の各相の電流の総和が値0とであるとして、モータ32の電気角θeを用いてU相、V相の相電流Iu,Ivをd軸、q軸の電流Id,Iqに座標変換(3相-2相変換)し、電流Id,Iqと出力トルクTmとの予め定められた関係にd軸、q軸の電流Id,Iqを適用して出力トルクTmを導出することにより行なわれる。
実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、走行に要求される(駆動軸26に要求される)走行要求トルクTd*をモータ32のトルク指令Tm*に設定し、モータ32がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ34のトランジスタT11~T16を制御する。ここで、走行要求トルクTd*は、クルーズコントロールスイッチ68がオフのときには、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて設定される。クルーズコントロールスイッチ68がオンのときには、後述の設定処理ルーチンにより設定される。インバータ34の制御は、例えば、パルス幅変調(PWM)制御により行なわれる。
PWM制御では、最初に、モータ32の各相の電流の総和が値0とであるとして、モータ32の電気角θeを用いてU相、V相の相電流Iu,Ivをd軸、q軸の電流Id,Iqに座標変換(3相-2相変換)する。続いて、トルク指令Tm*に基づいてd軸、q軸の電流指令Id*,Iq*を設定し、d軸、q軸の電流指令Id*,Iq*と電流Id,Iqとの差分が打ち消されるようにd軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*を演算する。そして、モータ32の電気角θeを用いてd軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*を各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に座標変換(2相-3相変換)し、この電圧指令Vu*,Vv*,Vwと搬送波電圧との比較によってトランジスタT11~T16のPWM信号を生成してトランジスタT11~T16のスイッチング制御を行なう。
また、電気自動車20では、電子制御ユニット50は、モータ32およびインバータ34を含む駆動系の異常診断を周期的に行なう。ここで、駆動系の異常診断としては、例えば、トルク異常診断、電圧異常診断、電流異常診断などを挙げることができる。トルク異常診断では、例えば、モータ32の出力トルクTmがトルク指令Tm*プラスマイナス閾値ΔTmrefの範囲(Tm*-ΔTmref~Tm*+ΔTmref)外であるとの判定を所定回数N1だけ連続して行なったときにトルク異常を検出(確定)する。電圧異常診断では、電力ライン38の電圧VLがバッテリ36の電圧Vbプラスマイナス閾値ΔVLrefの範囲(Vb-ΔVbref~Vb+ΔVbref)外であるとの判定を所定回数N2だけ連続して行なったときに電圧異常を検出(確定)する。電流異常診断では、モータ32のd軸、q軸の電流Id,Idqが電流指令Id*,Iq*プラスマイナス閾値ΔIdref,ΔIqrefの範囲(Id*-ΔIdref~Id*+ΔIdref、Iq*-ΔIqref~Iq*+ΔIqref)外であるとの判定を所定回数N3だけ連続して行なったときに電流異常を検出(確定)する。これらの異常は、回転位置センサ32aや電流センサ32u,32v、電圧センサ39aのオフセット誤差などに基づいて生じ得る。なお、出力トルクTmや電圧VL、電流Id,Iqは、電気1次(電気周波数)やその整数倍の変動成分を有する。
次に、実施例の電気自動車20の動作、特に、クルーズコントロールスイッチ68がオンのときの走行要求トルクTd*の設定処理について説明する。図2は、電子制御ユニット50により実行される設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、クルーズコントロールスイッチ68がオンのときに繰り返し実行される。
図2の設定処理ルーチンでは、電子制御ユニット50は、車速V、要求車速Vrqを入力する(ステップS100)。ここで、車速Vは、車速センサ67により検出された値が入力される。要求車速Vrqは、運転者によりクルーズコントロールスイッチ68が操作されて設定された値が入力される。
こうしてデータを入力すると、車速Vが所定車速範囲内であるか否かを判定する(ステップS110)。モータ32の回転子は、駆動輪22a,22bに連結されているから、モータ32の電気周波数と車速Vとは比例関係を有する。これを踏まえて、所定車速範囲は、モータ32の電気周期(電気周波数の逆数)と駆動系の異常診断の周期との差分が所定差分以下となる範囲として実験や解析、機械学習などにより定められる。
ステップS110で車速Vが所定車速範囲外であると判定したときには、ステップS100で入力した(運転者により設定された)要求車速Vrqを目標車速V*に設定し(ステップS120)、設定した目標車速V*と車速Vとの差分が小さくなるように走行要求トルクTd*を設定して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。
ステップS110で車速Vが所定車速範囲内であると判定したときには、ステップS100で入力した要求車速Vrqに車速変動成分Δを重畳させて目標車速V*を設定し(ステップS130)、再設定した目標車速V*と車速Vとの差分が小さくなるように走行要求トルクTd*を設定して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。ここで、変動成分ΔVは、車両挙動に影響を与えず(運転者に感じさせず)に且つ平均車速を変更しないように設定され、例えば、正弦波状の成分として設定される。なお、変動成分ΔVは、正弦波状の成分に限定されない。このようにして目標車速V*を設定することにより、車速Vを変動させて、モータ32の回転数Nm(電気周波数)すなわち電気周期を変動させることができる。この結果、モータの電気周期と異常診断の判定周期とが略一致し続けるのを抑制し、駆動系の異常(例えば、トルク異常、電圧異常、電流異常など)を誤検出するのを抑制することができる。
図3は、実施例および比較例の、クルーズコントロールスイッチ68がオンで且つ車速Vが所定車速範囲内のときのモータ32のトルク指令Tm*および出力トルクTmの様子の一例を示す説明図である。図3中、時刻t11~t15は、トルク異常診断の診断タイミングである。比較例では、車速Vが所定車速範囲内であるか否かに拘わらずに、要求車速Vrqを目標車速V*に設定するものとした。比較例では、目標車速V*が一定であることにより、モータ32の電気周波数およびトルク指令Tm*が略一定である場合、モータ32の電気周期(電気周波数の逆数)とトルク異常診断の診断周期とが略一致し続けて、トルク異常診断で、出力トルクTmがトルク指令Tm*プラス閾値ΔTmrefよりも大きいと判定する連続回数(図3の例では、時刻t11~t15の5回)が多くなり、トルク異常を誤検出してしまう可能性がある。これに対して、実施例では、要求車速Vrqに車速変動成分Δを重畳させて目標車速V*を設定することにより、要求トルクTd*やトルク指令Tm*が変動して車速Vが変動してモータ32の回転数Nm(電気周波数)が変動するから、モータ32の電気周期とトルク異常診断の診断周期とが略一致し続けるのを抑制することができる。これにより、トルク異常診断で、出力トルクTmがトルク指令Tm*プラス閾値ΔTmrefよりも大きいと判定する連続回数(図3の例では、時刻t11~t13の3回)が多くなるのを抑制し、トルク異常を誤検出するのを抑制することができる。
以上説明した実施例の電気自動車20では、クルーズコントロールスイッチ68がオンのときにおいて、車速Vが所定車速範囲外のときには、要求車速Vrqを目標車速V*に設定し、車速Vが所定車速範囲内のときには、要求車速Vrqに、車両挙動に影響を与えず(運転者に感じさせず)に且つ平均車速を変更しないように定められた変動成分ΔVを重畳させて目標車速V*を設定する。これにより、車速Vが所定車速範囲内のときに、車速Vを変動させて、モータ32の回転数Nm(電気周波数)すなわち電気周期を変動させることができる。この結果、モータ32の電気周期と異常診断の判定周期とが略一致し続けるのを抑制し、駆動系の異常を誤検出するのを抑制することができる。
実施例では、電子制御ユニット50は、クルーズコントロールスイッチ68がオンのときにおいて、車速Vが所定車速範囲外のときには、要求車速Vrqを目標車速V*に設定し、車速Vが所定車速範囲内のときには、要求車速Vrqに変動成分ΔVを重畳させて目標車速V*を設定するものとした。しかし、自動運転中に、車速が一定の要求車速Vrqに基づく目標車速V*となるように走行要求トルクTd*を設定する際において、車速Vが所定車速範囲外のときには、要求車速Vrqを目標車速V*に設定し、車速Vが所定車速範囲内のときには、要求車速Vrqに変動成分ΔVを重畳させて目標車速V*を設定するものとしてもよい。
実施例では、モータ32を駆動するインバータ34とバッテリ36とが共に電力ライン38に接続されるものとしたが、電力ライン38のインバータ34とバッテリ36との間に昇圧コンバータが設けられるものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当し、バッテリ36が「蓄電装置」に相当し、電子制御ユニット50が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本開示を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本開示はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本開示は、電動車両の製造産業などに利用可能である。
20 電気自動車、22a,22b 駆動輪、32 モータ、34 インバータ、36 バッテリ、50 電子制御ユニット。
Claims (1)
- 駆動輪に連結されたモータと、
前記モータを駆動するインバータと、
走行要求トルクにより走行するように前記インバータを制御すると共に、前記モータおよび前記インバータを含む駆動系の異常診断を実行する制御装置と、
を備える電動車両であって、
前記制御装置は、車速が一定の要求車速に基づく目標車速となるように前記走行要求トルクを設定しているときに、前記モータの電気周期と前記異常診断の判定周期との差分が所定差分よりも大きいときには、前記要求車速を前記目標車速に設定し、前記差分が前記所定差分以下のときには、車両挙動に影響を与えずに且つ平均車速を変更しないように定められた変動成分を前記要求車速に重畳させて前記目標車速を設定する、
電動車両。
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