JP2024043444A - 磁性楔及び回転電機 - Google Patents

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Naoyuki Sanada
倫浩 末綱
Tomohiro Suetsuna
宏彰 木内
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Abstract

【課題】優れた磁気特性および機械特性を有する、磁性楔、回転電機を提供する。【解決手段】実施の形態の磁性楔は、回転電機の磁性楔であって、複数の扁平磁性金属粒子と介在相とを備え、扁平磁性金属粒子が磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、厚さ方向の表面部に占める割合が大きい。【選択図】図8

Description

本発明の実施の形態は、磁性楔及び回転電機に関する。
通常、回転電機のコイル巻線は、鉄心スロットの中に収納され、スロット開口部に設けた楔によって支持固定されている。この楔の材質には非磁性体が一般的に採用されるが、固定子鉄心及び回転子鉄心間の空隙における磁気抵抗値が不連続になるため、楔に空隙を介して対向する鉄心表面部の磁束分布に脈動が生じ、高調波損失が大きくなる。この高調波損失を低減する目的で、兼ねてより、適度に磁性をもった楔(磁性楔)が供されている。磁性楔を適用する事によって、高調波損失が低減し、回転電機の効率が向上する。図1は、磁性楔の使用状態及び磁性楔の効果の模式図である。図1では、ラジアルギャップ型回転電機を例として示している。図1では、磁性楔100、コイル230、鉄心ティース250、鉄心スロット260が記載されている。
磁性楔にあたっては、磁性楔の透磁率が高いほど高調波損失を低減できることは言うまでもない。しかしながら、磁性楔は、図1に示すように、隣接する鉄心ティース間を橋絡するように配置されるため、磁性楔を介して鉄心ティース間を流れる漏れ磁束が増加してしまうという欠点がある。また、既存の磁性楔は、飽和磁化が低いため磁気飽和を起こしやすく、更には損失が低いため、回転電機の効率向上幅が限定的である。その他、既存の磁性楔は、透磁率が低いため、回転電機の効率向上幅が限定的であり、熱的安定性や機械特性(強度、靱性)の点で、不十分である。そのため、磁性楔の飽和磁化、透磁率、損失、強度、靱性などの点で特性を向上させる事が望まれる。特に、磁性楔の透磁率、損失、強度、などの点で特性を向上させる事が望まれる。
実開昭58-6572号公報
本発明が解決しようとする課題は、優れた磁気特性と機械特性を有する、磁性楔、及び、回転電機を提供する事にある。
実施の形態の磁性楔は、回転電機の磁性楔であって、複数の扁平磁性金属粒子と介在相とを備え、扁平磁性金属粒子が磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、厚さ方向の表面部に占める割合が大きい。
磁性楔の使用状態及び磁性楔の効果の模式図である。 第1の実施の形態の磁性楔において、扁平磁性金属粒子の厚さの求め方の一例を示す概念図である。 第1の実施の形態の磁性楔において、扁平磁性金属粒子の扁平面内の最大長さ、最小長さの求め方を説明するための概念図である。 第1の実施の形態の磁性楔において、扁平磁性金属粒子の扁平面内の最大長さ、最小長さの他の一例における求め方を説明するための概念図である。 第1の実施の形態の磁性楔において、扁平磁性金属粒子の扁平面内の360度の角度に対して、22.5度おきに方向を変えて保磁力を測定した際の方向を示す模式図である。 第1の実施の形態の磁性楔における扁平磁性金属粒子の模式図である。 第1の実施の形態の磁性楔の模式図である。 第1の実施の形態の磁性楔の模式図である。 第1の実施の形態の磁性楔の模式図である。 第1の実施の形態の磁性楔の製造方法における第5の工程の模式図である。 第2の実施形態のラジアルギャップ型回転電機の一例を示す模式図である。 第2の実施形態のアキシャルギャップ型回転電機の一例を示す模式図である。 第2の実施形態の発電機の一例を示す模式図である。 第2の実施形態のリニアモータの一例を示す模式図である。
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。なお、図面中、同一又は類似の箇所には、同一又は類似の符号を付している。なお、本明細書において、特に断りがなければ、測定は25℃でおこなっている。
本明細書において、「軸方向」、「回転方向」及び「径方向」の各方向は、回転電機の回転子を基準として定めるものとする。即ち、「軸方向」は回転子の回転軸に沿った方向を意味し、「回転方向」は回転子の回転軸まわりの周回方向(又は、その接線方向)を意味する。そして、「径方向」は回転子の回転軸に直交(垂直に交差)する方向を意味する。
(第1の実施の形態)
実施の形態の磁性楔は、回転電機の磁性楔であって、複数の扁平磁性金属粒子と介在相とを備え、扁平磁性金属粒子が磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、厚さ方向の表面部に占める割合が大きい磁性楔である。
また、実施の形態の磁性楔は、回転子に対して径方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたラジアルギャップ型の回転電機の磁性楔であって、厚さ方向は、径方向である。また、実施の形態の磁性楔は、回転子に対して軸方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたアキシャルギャップ型の回転電機に用いられる磁性楔であって、厚さ方向は、軸方向である。また、複数の扁平磁性金属粒子は、平均厚さが10nm以上100μm以下であり、扁平面と、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素を含む磁性金属相と、を有し、厚さに対する扁平面内の平均長さの比の平均値が5以上10000以下であり、介在相は、複数の扁平磁性金属粒子間に存在し、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む。
扁平磁性金属粒子は、扁平状(flaky、flattened)の形状(flaky shape、flattened shape)をした、扁平粒子(flaky particle、flattened particle)である。
厚さとは、1つの扁平磁性金属粒子における平均的な厚さのことをいう。厚さを求める方法としては、1つの扁平磁性金属粒子における平均的な厚さを求めることができる方法であれば、その方法は問わない。例えば、扁平磁性金属粒子の扁平面に垂直な断面を透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)又は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)又は光学顕微鏡などで観察し、観察した扁平磁性金属粒子の断面において、扁平面内の方向に任意の10箇所以上を選び、選んだ各箇所における厚さを測定し、その平均値を採用する方法を用いても良い。また、観察した扁平磁性金属粒子の断面において、扁平面内の方向で、端部から別の端部に向かって等間隔に10箇所以上を選び(この時、端部及び別の端部は特殊な場所であるため選ばない方が好ましい)、選んだ各箇所における厚さを測定し、その平均値を採用する方法を用いても良い。図2は、第1の実施の形態の磁性楔において、扁平磁性金属粒子の厚さの求め方の一例を示す概念図である。図2に、この場合の厚さの求め方を具体的に示す。扁平面内の方向で端部から別の端部に向かって等間隔に10箇所選び(端部を除く)、各箇所での厚さをt、t、・・・、t10とした場合、扁平磁性金属粒子の厚さは、(t+t+・・・+t10)/10となる。なお、測定においては、できるだけ多くの箇所を測定することが平均的な情報を取得できるため、好ましい。なお、断面の輪郭線が凹凸の激しい、又は表面の荒れた輪郭線を有し、そのままの状態では平均的な厚さを求めることが難しい場合、輪郭線を平均的な直線又は曲線で、状況に応じて適宜、平滑化した上で、上記の方法を行うことが好ましい。
また、平均厚さとは、複数の扁平磁性金属粒子における厚さの平均値のことを言い、上述の単なる「厚さ」とは区別される。平均厚さを求める際は、20個以上の扁平磁性金属粒子に対して平均した値を採用することが好ましい。また、できるだけ多くの扁平磁性金属粒子を対象として求めることが平均的な情報を取得できるため、好ましい。また、20個以上の扁平磁性金属粒子を観察することが出来ない場合は、できる限り多くの扁平磁性金属粒子観察し、それらに対して平均した値を採用することが好ましい。扁平磁性金属粒子の平均厚さは、10nm以上100μm以下が好ましい。より好ましくは10nm以上1μm以下、更に好ましくは10nm以上100nm以下である。また、扁平磁性金属粒子は、厚さ10nm以上100μm以下、より好ましくは10nm以上1μm以下、更に好ましくは10nm以上100nm以下のものを含むことが好ましい。これによって扁平面に平行な方向に磁界が印加された際に、渦電流損失を十分に小さく出来て好ましい。また、厚さが小さい方が、磁気モーメントが扁平面に平行な方向に閉じ込められ、回転磁化で磁化が進行しやすくなり好ましい。回転磁化で磁化が進行する場合は、磁化が可逆的に進行しやすいため、保磁力が小さくなり、これによってヒステリシス損失が低減出来好ましい。
扁平磁性金属粒子の平均長さは、扁平面内の最大長さa、最小長さbを用いて、(a+b)/2で定義される。最大長さa及び最小長さbに関しては、次のようにして求めることができる。例えば、扁平面に外接する長方形の中で最も面積の小さな長方形を考える。そして、その長方形の長辺の長さを最大長さa、短辺の長さを最小長さbとする。図3は、第1の実施の形態の磁性楔において、扁平磁性金属粒子の扁平面内の最大長さ、最小長さの求め方を説明するための概念図である。図3は、いくつかの扁平磁性金属粒子を例として、前記方法で求めた最大長さaと最小長さbを示した模式図である。最大長さa及び最小長さbは、平均厚さ同様、扁平磁性金属粒子をTEM又はSEM又は光学顕微鏡などで観察することにより求めることができる。また、計算機上で顕微鏡写真の画像解析を行い、最大長さa及び最小長さbを求めることも可能である。いずれにおいても、20個以上の扁平磁性金属粒子を対象として求めることが好ましい。また、できるだけ多くの扁平磁性金属粒子を対象として求めることが平均的な情報を取得できるため、好ましい。また、20個以上の扁平磁性金属粒子を観察することが出来ない場合は、できる限り多くの扁平磁性金属粒子観察し、それらに対して平均した値を採用することが好ましい。また、この際できるだけ平均的な値として求めることが好ましいため、扁平磁性金属粒子を均一に分散した状態で(最大長さ、最小長さが異なる複数の扁平磁性金属粒子ができるだけランダムに分散した状態で)、観察又は画像解析を行うことが好ましい。たとえば、複数の扁平磁性金属粒子を十分にかき混ぜた状態で、テープの上に貼り付けたり、又は、複数の扁平磁性金属粒子を上から落下させて下に落としてテープの上に貼り付けたり、することによって観察又は画像解析を行うことが好ましい。
ただし、扁平磁性金属粒子によっては、上記の方法で最大長さa、最小長さbを求めた場合、本質を捉えていない求め方になる場合もある。図4は、第1の実施の形態の磁性楔において、扁平磁性金属粒子の扁平面内の最大長さ、最小長さの他の一例における求め方を説明するための概念図である。例えば、図4の様な場合においては、扁平磁性金属粒子が細長く湾曲した状態になっているが、この場合は、本質的には、扁平磁性金属粒子の最大長さ、最小長さは図4に示したa、bの長さである。このように、最大長さa、bの求め方としては完全に一義的に決められる訳ではなく、基本的には「扁平面に外接する長方形の中で最も面積の小さな長方形を考えて、その長方形の長辺の長さを最大長さa、短辺の長さを最小長さbとする」方法で問題ないが、粒子の形状に応じて、この方法では本質を捉えない場合は、臨機応変に、本質を捉える最大長さa、最小長さbとして求める。厚さtは、扁平面に垂直方向の長さで定義される。厚さに対する扁平面内の平均長さの比Aは、最大長さa、最小長さb、厚さtを用いて、A=((a+b)/2)/tで定義される。
扁平磁性金属粒子の厚さに対する扁平面内の平均長さの比の平均値は、5以上10000以下が好ましい。これによって透磁率が大きくなるためである。また、強磁性共鳴周波数を高くできるため、強磁性共鳴損失を小さくできるためである。
厚さに対する扁平面内の平均長さの比は、平均値を採用する。好ましくは、20個以上の扁平磁性金属粒子に対して平均した値を採用することが好ましい。また、できるだけ多くの扁平磁性金属粒子を対象として求めることが平均的な情報を取得できるため、好ましい。また、20個以上の扁平磁性金属粒子を観察することが出来ない場合は、できる限り多くの扁平磁性金属粒子観察し、それらに対して平均した値を採用することが好ましい。なお、たとえば、粒子Pa、粒子Pb、粒子Pcがあり、それぞれの厚さTa、Tb、Tc、扁平面内の平均長さLa、Lb、Lcという場合に、平均厚さは(Ta+Tb+Tc)/3で計算され、厚さに対する扁平面内の平均長さの比の平均値は(La/Ta+Lb/Tb+Lc/Tc)/3で計算される。
前記扁平磁性金属粒子は、前記扁平面内において方向による保磁力差を有することが好ましい。方向による保磁力差の割合は大きければ大きいほど好ましく、1%以上であることが好ましい。より好ましくは、保磁力差の割合が10%以上、更に好ましくは保磁力差の割合が50%以上、更に好ましくは保磁力差の割合が100%以上である。ここでいう保磁力差の割合とは、扁平面内において、最大となる保磁力Hc(max)と最小となる保磁力Hc(min)を用いて、(Hc(max)-Hc(min))/Hc(min)×100(%)で定義される。なお、保磁力は、振動試料型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetometer)等を用いて評価できる。保磁力が低い場合は、低磁界ユニットを用いることによって、0.1Oe以下の保磁力も測定することができる。測定磁界の方向に対して、扁平面内の方向を変えて測定を行う。
なお、「保磁力差を有する」というのは、扁平面内の360度方向に磁界を印加して保磁力を測定した際に、保磁力が最大になる方向と、保磁力が最小になる方向とが存在する、ことを表している。例えば、扁平面内の360度の角度に対して、22.5度おきに方向を変えて保磁力を測定した際に、保磁力差が表れる、すなわち保磁力がより大きくなる角度と、保磁力がより小さくなる角度があらわれる場合、「保磁力差を有する」ものとする。図5は、第1の実施の形態の磁性楔において、扁平磁性金属粒子の扁平面内の360度の角度に対して、22.5度おきに方向を変えて保磁力を測定した際の方向を示す模式図である。なお、図5においては、扁平磁性金属粒子の扁平面を、上から見たものとして、図示を行っている。扁平面内において保磁力差を有することによって、保磁力差がほとんどない等方性の場合に比べて、最小となる保磁力値が小さくなり好ましい。扁平面内で磁気異方性を有する材料においては、扁平面内の方向によって保磁力に差を有し、磁気的に等方性の材料に比べて、最小となる保磁力値が小さくなる。これによってヒステリシス損失は低減し、透磁率は向上し、好ましい。図5では、扁平磁性金属粒子10及び扁平面6が示されている。
また、扁平磁性金属粒子は、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素を含む磁性金属相を有する。なお、扁平磁性金属粒子は、Fe、Coを含み、Coの量はFeとCoの合計量に対して10原子%以上60原子%以下であることが好ましく、10原子%以上40原子%以下含まれることが更に好ましい。これによって磁気異方性が適度に大きく付与されやすく、上記の磁気特性が向上するため好ましい。また、Fe-Co系は高飽和磁化を実現し易いため好ましい。更にFeとCoの組成範囲が上記の範囲に入る事によって、より高い飽和磁化が実現出来好ましい。また、扁平磁性金属粒子と付着金属の組成は同等である方が、熱的安定性や、強度、硬度などの機械的特性が向上し易く好ましい。
元素は、EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy:エネルギー分散型X線分析)やICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分光分析等によって簡単に分析可能である。
扁平磁性金属粒子は、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含む事が好ましい。これによって、前記扁平磁性金属粒子の熱的安定性や耐酸化性を高める事が出来る。中でも、Al、Siは、扁平磁性金属粒子の主成分であるFe、Co、Niと固溶し易く、熱的安定性や耐酸化性の向上に寄与するために特に好ましい。
尚、磁気異方性を誘起させるためには、扁平磁性金属粒子の結晶性を出来るだけ非晶質化させ、磁場や歪みによって面内一方向に磁気異方性を誘起させる方法もある。この場合においては、扁平磁性金属粒子を出来る限り非晶質化させやすい組成にすることが望ましい。このような観点においては、扁平磁性金属粒子に含まれる磁性金属が、B(ホウ素)、Si(シリコン)、Al(アルミニウム)、C(炭素)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、Cu(銅)、W(タングステン)、P(リン)、N(窒素)、Ga(ガリウム)、Y(イットリウム)から選ばれる少なくとも1つの添加元素を含む事が好ましい。Fe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素の原子半径との差が大きい添加元素が好ましい。また、Fe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素と添加元素との混合エンタルピーが負に大きくなるような添加元素が好ましい。また、第1の元素と添加元素を含めて、合計3種類以上の元素からなる多元系であることが好ましい。また、B、Siなどの半金属の添加元素は、結晶化速度が遅く非晶質化しやすいため、系に混合すると有利である。以上の様な観点から、B、Si、P、Ti、Zr、Hf、Nb、Y、Cu等が好ましく、中でも前記添加元素がB、Si、Zr、Hf、Yのいずれか1つを含む事がより好ましい。例として、前記磁性金属相の第1の元素としてFeとCoを含み、前記添加元素としてSiとBを含む事が好ましい。また、前記添加元素の合計量が、前記第1の元素と前記添加元素の合計量に対していずれも0.001at%以上80at%以下含まれることが好ましい。より好ましくは、5at%以上80at%以下、更に好ましくは、10at%以上40at%以下である。尚、前記添加元素の合計量は多ければ多いほど、非晶質化が進行し、磁気的な異方性を付与し易くなるため好ましいが(すなわち、低損失、高透磁率の観点からは好ましいが)、一方で磁性金属相の割合が少なくなるため、飽和磁化が小さくなる、という点では好ましくない。以上の事から、高飽和磁化、低損失、高透磁率等、総合的に考えて、組成及び添加元素量を選定する事が重要である。
扁平磁性金属粒子は、扁平磁性金属粒子の表面の少なくとも一部が、厚さ0.1nm以上1μm以下で、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む被覆層で覆われている事が好ましい。
図6は、第1の実施の形態の磁性楔における扁平磁性金属粒子の模式図である。被覆層9及び扁平磁性金属粒子10が示されている。
被覆層は、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含み、かつ、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含むことがより好ましい。非磁性金属としては、Al、Siが熱的安定性の観点から特に好ましい。扁平磁性金属粒子がMg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含む場合は、被覆層は、扁平磁性金属粒子の構成成分の1つである非磁性金属と同じ非磁性金属を少なくとも1つ含むことがより好ましい。酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)の中では、酸素(O)を含むことが好ましく、酸化物、複合酸化物であることが好ましい。以上は、被覆層形成の容易性、耐酸化性、熱的安定性の観点からである。以上によって、扁平磁性金属粒子と被覆層の密着性を向上出来、後述する磁性楔の熱的安定性及び耐酸化性を向上させることが可能となる。被覆層は、扁平磁性金属粒子の熱的安定性や耐酸化性を向上させるのみならず、扁平磁性金属粒子の電気抵抗を向上させることができる。電気抵抗を高くすることによって、渦電流損失を抑制し、透磁率の周波数特性を向上することが可能になる。このため、被覆層は電気的に高抵抗であることが好ましく、例えば1mΩ・cm以上の抵抗値を有することが好ましい。
また、被覆層の存在は、磁気的な観点からも好ましい。扁平磁性金属粒子は、扁平面のサイズに対して厚さのサイズが小さいため、疑似的な薄膜と見なすことができる。この時、扁平磁性金属粒子の表面に被覆層を形成させて一体化させたものは、疑似的な積層薄膜構造と見なすことが出来、磁区構造がエネルギー的に安定化する。これによって、保磁力を低減させること(これによってヒステリシス損失が低減)が可能になり、好ましい。この時、透磁率も大きくなり好ましい。このような観点においては、被覆層は非磁性であることがより好ましい(磁区構造が安定化しやすくなる)。
被覆層の厚みは、熱的安定性・耐酸化性・電気抵抗の観点からは、厚ければ厚い程好ましい。しかしながら、被覆層の厚さが厚くなりすぎると、飽和磁化が小さくなるため透磁率も小さくなり好ましくない。また、磁気的な観点からも、厚さが厚くなりすぎると、「磁区構造が安定化して低保磁力化・低損失化・高透磁率化する効果」は低減する。以上を考慮して、好ましい被覆層の厚さは、0.1nm以上1μm以下、より好ましくは0.1nm以上100m以下である。
図7は、本実施の形態の磁性楔の模式図である。磁性楔は図7のように、単純な直方体形状だけでなく、断面が台形型や六角形型や凸型など様々な形状のものが考えられる。ここで、どのような形状であれ、互いに直交又は垂直に交差する3軸方向を、幅方向、厚さ方向、長手方向と定義する。例えば、磁性楔の長手方向とは、磁性楔の長さが長い方向である。磁性楔の厚さ方向及び幅方向とは、磁性楔の長手方向に直交する方向である。また、磁性楔の厚さ方向と幅方向は、後述する扁平磁性金属粒子の配向状態から区別することができる。
図8は、本実施の形態の磁性楔の模式図である。磁性楔は、回転子に対して径方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたラジアルギャップ型の回転電機の磁性楔であり、前記扁平面が回転方向と軸方向の少なくとも1つの方向に配向している。扁平面が配向していればよいので、磁性楔を長手方向と幅方向からなる断面で観察した際に、磁性金属粒子が分散するように配置されてもよい。また、磁性楔を長手方向と幅方向からなる断面で観察した際に、回転方向又は軸方向に隣り合う磁性金属粒子により層を成すように配置されることが好ましい。より好ましくは、前記扁平面が回転方向と軸方向の両方に配向している。ラジアルギャップ型の回転電機の磁性楔の場合、磁性楔の長手方向は回転電機の軸方向であり、磁性楔の幅方向は回転電機の回転方向であり、磁性楔の厚さ方向は回転電機の径方向である。このとき、扁平面の回転方向に対する配向角度は45度以下であり、好ましくは1度以上45度以下であり、好ましくは、1度以上30度以下、より好ましくは1度以上20度以下、更に好ましくは1度以上10度以下である。
扁平磁性金属粒子の配向角度は次の様にして算出する。まず、対象となる磁性楔が回転電機内に設けられている場合は、対象となる磁性楔を当該回転電機の内部から取り出す。ここで当該回転電機の回転方向が、対象となる磁性楔の幅方向となる。次に、対象となる磁性楔の外寸を測定する。これにより、当該磁性楔の長手方向(磁性楔の長さがもっとも長い方向)を決定する。例えば対象となる磁性楔の形状が略直方体状の形状を有する場合には、当概略直方体状の形状の最も長い辺に沿う方向を、対象となる磁性楔の長手方向と決定する。次に、対象となる磁性楔の長手方向に垂直な断面を決定する。かかる断面については、対象となる磁性楔の端面を用いることを避ける。かかる断面については、対象となる磁性楔の長手方向の長さの10分の1以上の長さを有するように、対象となる磁性楔の長手方向に垂直に、対象となる磁性楔を切断する。
切断により形成された断面は、幅方向と厚さ方向を含む断面又は長手方向に垂直な断面である。次に、切断により形成された断面の中心を求める。切断により形成された断面の中心としては、例えば、その断面の幾何中心を用いる。次に、対象となる磁性楔において、切断により形成された断面を、光学顕微鏡又はSEM又はTEMを用いて観察する。次に、切断により形成された断面で観察されたそれぞれの扁平磁性金属粒子について、それぞれの扁平磁性金属粒子に外接する長方形の中で最も面積の小さな長方形を考え、その長方形の長辺方向が、対象となる磁性楔が設けられていた回転電機の回転方向を基準としてなす角度を、その扁平磁性金属粒子の配向角度と定義する。なお、配向角度は、回転方向と扁平磁性金属粒子の扁平面がなす角度で正負の区別はしない。観察範囲の領域内に、1つの扁平磁性金属粒子が完全に含まれていなくても(領域からはみ出ていても評価する)、その粒子の配向角度を評価する。ただし、扁平磁性金属粒子の中には、観察時に粒子の輪郭が不明瞭で評価が難い粒子も含まれることもある。つまり、画像解析で粒子の輪郭を明確に特定できない場合があり、そのような場合は観察対象から外す。この様にして観察範囲の領域内に含まれる全ての扁平磁性金属粒子の配向角度を求め、その平均値を配向角度として採用する。また、観察する断面は、複数の断面、例えば3つの断面以上で評価を行い、その平均値を採用する。
また、前記扁平磁性金属粒子が径方向の中心部に占める割合よりも、径方向の表面部に占める割合が大きい事が好ましい。より好ましくは、前記扁平磁性金属粒子が径方向の中心部に占める割合に対する、径方向の表面部に占める割合の比率が1より大きい事が好ましく、より好ましくは1より大きく2以下である事が好ましく、更に好ましくは1.1以上2以下、更に好ましくは1.2以上2以下である。比率が2より大きくなると、表面と中心とで組織的なバランスが悪くなり、強度などの面であまり好ましくない。ここで、径方向の中心部とは、磁性楔の径方向の中心において、径方向の中心を含む、「扁平磁性金属粒子の平均長さ分」の範囲の領域を指す。径方向の表面部とは、径方向の端から、「扁平磁性金属粒子の平均長さ分」の範囲の領域を指す。そして、表面部と中心部の間には中間部が設けられている。また、扁平磁性金属粒子が占める割合は、光学顕微鏡、SEM、TEMなどで観察した断面の面積あたりの扁平磁性金属粒子の充填率を指す。扁平磁性金属粒子が占める割合は、磁性楔の幅方向と厚さ方向を含む断面において、観察する上記中心部及び表面部の範囲の領域において、個々の扁平磁性金属粒子の面積(Am)を全て足した和(SAm)が、観察する上記の範囲の領域の面積(At)に対して、どの程度の割合(面積割合)を示すのかで表す(SAm/At)。また、観察する断面は、少なくとも3つ以上の複数の断面で評価を行い、その平均値を磁性楔の中心部及び表面部に占める磁性金属粒子の割合として採用する。この際、個々の扁平粒子の面積は、ImageJ等の画像処理ソフトウェアを用いて求める。観察領域全体の面積についても、ImageJ等の画像処理ソフトウェアを用いて求める。
このように、扁平磁性金属粒子が径方向の中心部に占める割合に対する、径方向の表面部に占める割合の比率が1より大きく2以下であるように扁平磁性金属粒子の占める割合が表面部で多いと、材料表面からの熱分解の進行が抑制することができ、扁平磁性金属粒子が均一な分布状態を示す場合よりも、高耐熱性を実現できる。また、表面に扁平磁性金属粒子が多く存在する事によって、亀裂の進行が抑制され、均一な分布状態の場合よりも、高強度などの優れた機械強度を実現できる。更には、表面部に扁平磁性金属粒子を集める事によって、表面部での透磁率を高める事ができるので、全体として実効的な透磁率を高める事ができ好ましい。これによって、回転電機としての効率が向上するため好ましい。扁平磁性金属粒子が径方向の中心部に占める割合に対する、径方向の表面部に占める割合の比率がより好ましくは1.1以上2以下、更に好ましくは1.2以上2以下であることで、さらに上記高耐熱性、高強度及び全体として実効的な透磁率を高める事ができる。図8では、扁平磁性金属粒子10、介在相20、磁性楔100が示されている。
なお、対象となる磁性楔が回転電機内に設けられていなかった場合には、まず磁性楔の長手方向を決定する。次に、長手方向に垂直な面内において、厚さ方向をいったん仮決めする。次に、仮決めした厚さ方向に対して、中心部を求め、中心部における扁平磁性金属粒子の配向角度を求める。この時、配向角度は、磁性金属粒子に外接する長方形の中で最も面積の小さな長方形を考え、その長方形の長辺方向が、「仮決めした厚さ方向に対して垂直な方向」に対してなす角度として定義する。次に、長手方向に垂直な断面内において、厚さ方向を変化させながら、同様の手順で、中心部における配向角度を求める。このとき、回転電機内に設ける事を想定して、現実的な配置となるように変化させる。その後、中心部における配向角度が最も小さい時の「仮決めした厚さ方向」を「正式な厚さ方向」として決定する。
図9は、アキシャルギャップ型の回転電機の場合の磁性楔の模式図である。磁性楔は、回転子に対して軸方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたアキシャルギャップ型の回転電機に用いられる磁性楔であり、前記扁平面が径方向と回転方向の少なくとも1つの方向に配向している。より好ましくは、前記扁平面が径方向と回転方向の両方に配向している。アキシャルギャップ型の回転電機に用いられる磁性楔の場合、磁性楔の長手方向は回転電機の径方向であり、磁性楔の幅方向は回転電機の回転方向であり、磁性楔の厚さ方向は回転電機の軸方向である。この時、配向角度は45度以下であり、好ましくは1度以上45度以下であり、好ましくは、1度以上30度以下、より好ましくは1度以上20度以下、更に好ましくは1度以上10度以下である。なお、配向角度は、回転方向と扁平磁性金属粒子の扁平面がなす角度で正負の区別はしない。また、前記扁平磁性金属粒子が軸方向の中心部に占める割合よりも、軸方向の表面部に占める割合が大きい事が好ましい。より好ましくは、前記扁平磁性金属粒子が軸方向の中心部に占める割合に対する、軸方向の表面部に占める割合の比率が1より大きく2以下である事が好ましく、より好ましくは1.1以上2以下、更に好ましくは1.2以上2以下である。得られる優れた機械特性、優れた磁気特性、回転電機の効率向上は前述のラジアルギャップ型の回転電機の場合と同じであるため、ここでは省略する。図9では、磁性楔100が示されている。
本実施の形態の磁性楔の製造方法について説明する。尚、製造方法に関しては、特に限定されず、あくまで一例として説明する。
第1の工程は、Fe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素を含む磁性金属リボンを製造する工程である。本工程は、たとえば、ロール急冷装置やスパッタ装置などの成膜装置を用いて、リボン若しくは薄膜を作製する工程である。この際、成膜装置を用いて作製する成膜法においては磁場中成膜や回転成膜等によって膜面内に一軸異方性を付与させた膜を成膜することが望ましい。尚、成膜装置を用いた場合は、厚さを薄く出来、且つ、組織が洗練されたものになりやすく、回転磁化を起こしやすいため、回転磁化型のものを作る場合は成膜法を用いるのが望ましい。ロール急冷装置は、大量合成に適しているため、バルク材料を合成する際に望ましい。ロール急冷装置の場合は、単ロール急冷装置が簡便で好ましい。
第2の工程は、磁性金属リボンを50℃以上800℃以下の温度で熱処理する工程である。本工程では、熱処理するための電気炉に入れやすくするため、適当なサイズにリボンを切断しても良い。例えば、ミキサー装置等を用いて適当な大きさに切断しても良い。本工程を行う事によって、次の第3の工程である粉砕の工程において、粉砕性が向上しやすくなり望ましい。尚、熱処理の雰囲気は、低酸素濃度の真空雰囲気下、不活性雰囲気下、還元性雰囲気下が望ましく、更に望ましくは、H(水素)、CO(一酸化炭素)、CH(メタン)等の還元雰囲気下が好ましい。この理由としては、磁性金属リボンが酸化していても還元雰囲気で熱処理を施す事によって、酸化してしまった金属を還元して、金属に戻す事が可能となるためである。これによって、酸化し飽和磁化が減少した磁性金属リボンを還元して、飽和磁化を回復させる事も出来る。尚、熱処理によって、前記磁性金属リボンの結晶化が著しく進行してしまうと特性が劣化(保磁力が増加、透磁率が低下)してしまうため、過剰な結晶化を抑制するように条件を選定することが好ましい。また、より好ましくは、磁場中で熱処理を施す事がより望ましい。印加する磁場は大きければ大きいほど好ましいが、1kOe以上印加する事が好ましく、更に好ましくは10kOe以上印加する事がより好ましい。これによって磁性金属リボンの面内に磁気異方性を発現させる事が出来、優れた磁気特性を実現出来るため、好ましい。
第3の工程は、熱処理された磁性金属リボンを粉砕して扁平磁性金属粒子を製造する工程である。尚、本工程においては、本粉砕の前に、磁性金属リボンもしくは薄膜を、ミキサー装置等を用いて適当な大きさに切断しても良い。本工程においては、例えばビーズミルや遊星型ミル等の粉砕装置によって粉砕を行う。尚、粉砕装置は、特に種類を選ばない。例えば、遊星ミル、ビーズミル、回転ボールミル、振動ボールミル、撹拌ボールミル(アトライター)、ジェットミル、遠心分離機、又はミルと遠心分離を組み合わせた手法などが挙げられる。粉砕時においては、0℃以下の温度で冷却しながら粉砕を行うと、粉砕が進行しやすく好ましい。特に、液体窒素温度(77K)、ドライアイス温度(194K)などで冷却する事が望ましく、その中でも特に、液体窒素温度に冷却する事がより望ましい。これによって、磁性金属リボンが低温脆性を起こしやすく、粉砕が容易に行われる。つまり、磁性金属リボンに過度な応力や歪みを印加させずに、効率よく粉砕が出来るため好ましい。ただし、冷却なしでも十分粉砕される場合も多く、その場合は冷却は行わなくても良い。
尚、第3の工程においては、単純に粉砕するだけでなく、圧延を組み合わせて、扁平磁性金属粒子の厚さを薄くする事が出来る。尚、第2の工程までで所定の厚さになっている場合は圧延のための処理は省略できる。ここで圧延は、同時に行っても良いし、粉砕後に圧延、若しくは圧延後に粉砕しても良い。この場合は、強い重力加速度を印加出来る装置が好ましいが、例えば、遊星ミル、ビーズミル、回転ボールミル、振動ボールミル、撹拌ボールミル(アトライター)、ジェットミル、遠心分離機、又はミルと遠心分離を組み合わせた手法などで行う事が出来る。例えば、ハイパワー遊星ミル装置では、数十Gの重力加速度が簡単に印加出来るため好ましい。ハイパワー遊星ミル装置の場合は、自転重力加速度の方向と公転重力加速度の方向が同一直線上の方向ではなく角度を持った方向になる、傾斜型遊星ミル装置がより好ましい。通常の遊星ミル装置では、自転重力加速度の方向と公転重力加速度の方向が同一直線上の方向であるが、傾斜型遊星ミル装置では容器が傾斜した状態で回転運動を行うため、自転重力加速度の方向と公転重力加速度の方向が同一直線上ではなく角度を持った方向になる。これによって、試料にパワーが効率よく伝達し、粉砕・圧延化が効率良く進行するため好ましい。また、量産性を考慮すると、大量処理が容易なビーズミル装置が好ましい。
以上の切断と粉砕・圧延化を行い(圧延は必要に応じて行う。不要の場合は行わない)、場合によっては切断と粉砕・圧延化を繰り返し、所定の厚さ及びアスペクト比の扁平磁性金属粒子になるように処理を行う事が望ましい。この時、厚さが10nm以上100μm以下、より好ましくは10nm以上1μm以下、更に好ましくは10nm以上100nm以下になるように粉砕・圧延を行うと、回転磁化を起こしやすい粒子になり、好ましい。なお、本実施の形態のような扁平磁性金属粒子の配向度を実現するためには、扁平磁性金属粒子の滑りを良くして、流動性を高める事が効果的だが、そのためには、扁平磁性金属粒子の平均厚さを10μm以上30μm、より好ましくは10μm以上20μm以下にする事が好ましく、前記扁平磁性金属粒子の厚さに対する前記平均長さの比の平均値は10以上100以下、より好ましくは10以上50以下である事が好ましい。
また得られた扁平磁性金属粒子は熱処理によって格子歪みを適度に除去する事が望ましい。このときの熱処理は、第2の工程と同じように、50℃以上800℃以下の温度で行う事が好ましく、熱処理の雰囲気は、低酸素濃度の真空雰囲気下、不活性雰囲気下、還元性雰囲気下が望ましく、更に望ましくは、H、CO、CH等の還元雰囲気下が好ましい。また、より好ましくは、磁場中で熱処理を施す事がより望ましい。これらの理由や詳細については、第2の工程の場合と同じであるためここでは説明を割愛する。
次に、第4の工程として、上述の介在相と磁性金属粒子を混合し、介在相と扁平磁性金属粒子の混合粉を形成する。次に、第5の工程として、介在相と磁性金属粒子の混合粉を成型する。また、適宜上記の工程の前後に熱処理を行っても良い。つまり、成型前後、もしくは成型と同時に熱処理を行なっても良い。また、加工前後に熱処理を行なっても良い。熱処理条件は上述の通りである。また、より好ましくは、磁場中で熱処理を施す事がより望ましい。これらの理由や詳細については、第2の工程の場合と同じであるためここでは説明を割愛する。
なお、本実施の形態の磁性楔を得るためには、この第5の工程が非常に重要となってくる。この工程では、一軸プレス成型や、ホットプレス成型、などの一軸方向にプレス圧を印加する方法を用いる事が好ましい。図10に本実施の形態の磁性楔の製造方法における第5の工程の模式図を示す。一軸方向にプレス圧を印加すると、扁平磁性金属粒子は、プレス圧の印加方向に積層配向しやすい。しかしながら、単純な一軸プレス成型だと、扁平磁性金属粒子が均一に積層配向した組織となり、本実施の形態の磁性楔は得られない。そこで、一軸方向にプレス圧を印加する際、成型用の金型は、プレス圧の印加方向と交差する方向に磁化をさせる。つまり、プレス圧の印加方向と垂直な方向に、磁化している事が好ましい。
なお、一般的には、金型ダイと金型パンチの間の距離(隙間)は、例えば5μm程度と非常に狭い状態である。この場合には、扁平磁性金属粒子が、金型の内部で移動し難くなり、本実施の形態の組織は得られない。そこで、金型ダイと金型パンチの間の距離を適度に調節する。例えば、平均厚さが10~20μmで、厚さに対する扁平面内の平均長さの比の平均値が10~50程度の扁平磁性金属粒子の場合は、50μm程度の隙間を設ける。このような隙間が設けられることにより、介在相の流動性が高まり、隙間から適度に流出していき、磁性材料に含まれる空隙を吐き出していく。また、この時、扁平磁性金属粒子が、金型の内部で移動しながら配向し、磁化した金型パンチに扁平磁性金属粒子が引き付けられ局所的な偏析を起こす。
一方で、ホットプレスの金型ダイと金型パンチの間の隙間が大きすぎると、介在相の流出が多くなりすぎてしまい、磁性材料に含まれる介在相の量が少なくなり好ましくない。このため、金型ダイと金型パンチの間の距離(隙間)を適切に設定することが重要である。平均厚さが10~20μmで、厚さに対する扁平面内の平均長さの比の平均値が10~50程度の扁平磁性金属粒子の場合は、隙間を5より大きく100μm以下にする事が好ましく、更に好ましくは、10以上80μm以下にすることが好ましい(50μm前後がより好ましい)。ただし、扁平磁性金属粒子のサイズ(平均厚さ、厚さに対する扁平面内の平均長さの比の平均値)が変わると最適な隙間範囲が変わる可能性があり、また介在相の種類や、温度、圧力、時間などの成型条件によっても最適な隙間範囲が変わる可能性があるため、あくまで目安であり、実際の扁平磁性金属粒子のサイズ、介在相の種類、温度、圧力、時間などの成型条件に応じて適切に設定することが重要である。
また、本実施の形態の組織を実現するために、プレス圧の印加方向と垂直な方向に、磁場を印加する。これらによって、成型後の磁性楔の表面部では、中心部よりも扁平磁性金属粒子が多く分布する組織が得られる。なお、「プレス圧の印加方向と垂直な方向に磁化した金型を用いる事」と、「プレス圧の印加方向と垂直な方向に磁場を印加する事」は、少なくともいずれか1つは必須であり、より好ましくは両方を行なう事が好ましい。また、このような配向を実現するためには、磁場を印加しながらホットプレス成型などを行なう事がより好ましい。つまり、熱、磁場、プレス圧を同時に加えながら成型する事が、好ましい。以上によって、より本実施の形態の組織を実現できる。
磁性楔が有する平面内(扁平磁性金属粒子の扁平面に平行な平面内)において、方向による保磁力を測定する場合は、例えば、前記平面内の360度の角度に対して、22.5度おきに方向を変えて保磁力を測定する。
磁性楔の前記平面内において保磁力差を有することによって、保磁力差がほとんどない等方性の場合に比べて、最小となる保磁力値が小さくなり好ましい。平面内で磁気異方性を有する材料においては、平面内の方向によって保磁力に差を有し、磁気的に等方性の材料に比べて、最小となる保磁力値が小さくなる。これによってヒステリシス損失は低減、透磁率は向上するため、好ましい。
磁性楔が有する前記平面内(扁平磁性金属粒子の扁平面に平行な平面内)において、方向による保磁力差の割合は大きければ大きいほど好ましく、1%以上であることが好ましい。より好ましくは、保磁力差の割合が10%以上、更に好ましくは保磁力差の割合が50%以上、更に好ましくは保磁力差の割合が100%以上である。ここでいう保磁力差の割合とは、扁平面内において、最大となる保磁力Hc(max)と最小となる保磁力Hc(min)を用いて、(Hc(max)-Hc(min))/Hc(min)×100(%)で定義される。
なお、保磁力は、振動試料型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetometer)等を用いて、簡単に評価できる。保磁力が低い場合は、低磁界ユニットを用いることによって、0.1Oe以下の保磁力も測定することができる。測定磁界の方向に対して、磁性楔の前記平面内(扁平磁性金属粒子の扁平面に平行な平面内)において方向を変えて測定を行う。
保磁力を算出する際は、横軸と交わる2つの点(磁化がゼロになる磁界H1、H2)の磁界の差分を2で割った値を採用することができる(つまり保磁力=|H2-H1|/2で算出できる)。
介在相は、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む。これにより、抵抗を高くすることができるためである。介在相の電気抵抗率は、扁平磁性金属粒子の電気抵抗率よりも高い方が好ましい。これによって扁平磁性金属粒子の渦電流損失を低減できるためである。介在相は、扁平磁性金属粒子を取り囲んで存在するため、扁平磁性金属粒子の耐酸化性、熱的安定性を向上させることが出来好ましい。この中で酸素を含むものは、高い耐酸化性、高い熱的安定性の観点からより好ましい。介在相は、扁平磁性金属粒子同士を機械的に接着する役割も担っているため、高い強度の観点からも好ましい。
介在相は、樹脂を含む事が好ましい。樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン系樹脂、テフロン(登録商標)系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル-ブタジエン系ゴム、スチレン-ブタジエン系ゴム、シリコーン樹脂、その他の合成ゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アリル樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ビスマレイミド系樹脂、或いはそれらの共重合体が用いられる。特に、高い熱的安定性を実現するためには、耐熱性の高いシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、イミド系樹脂を含む事が好ましい。エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂は、比較的高耐熱かつ高強度で汎用的な樹脂であり、好ましい。また、強度を高くするために、ガラス繊維、アラミド繊維(ケブラー繊維)、カーボン繊維、ザイロン繊維、ポリエチレン繊維(ダイニーマ)、ボロン繊維 などの繊維を混合したFRP(Fiber-Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)等の材料も好ましい。以上によって、扁平磁性金属粒子と介在相との接合が強固になり、熱的な安定性や強度や靱性などの機械的特性が向上しやすくなる。また、扁平磁性粒子の周りを介在相が取り囲む事によって、耐酸化性に優れ、扁平磁性金属粒子の酸化による磁気特性の劣化も起こり難く、好ましい。なお、樹脂は、IR(Infrared Spectroscopy:赤外分光法)、NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴分光法)等によって、種類を同定する事が可能である。
介在相の分子量は100以上1000以下である事が好ましい。これによって、熱的な安定性や強度などが高くなり好ましくなる。
ポリイミド樹脂としては、下記化学式(1)で表される繰り返し単位を含む事が好ましい。
(1)
化学式(1)中、Rはビフェニル、トリフェニル、テトラフェニルのいずれかの構造を含む事が好ましい。R’は構造内に少なくとも1つ以上の芳香環を有する構造を示す事が好ましい。
また、ポリイミド樹脂としては下記(2)もしくは(3)の構造式を有する事がより好ましい。
Figure 2024043444000003
(2)
Figure 2024043444000004
(3)
以上、本実施形態の磁性楔は、回転電機の磁性楔であって、磁性楔は複数の扁平磁性金属粒子と介在相とを備え、扁平磁性金属粒子が磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、厚さ方向の表面部に占める割合が大きい。また、本実施形態の磁性楔は、回転子に対して径方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたラジアルギャップ型の回転電機の磁性楔であって、厚さ方向は、径方向である。また、本実施形態の磁性楔は、回転子に対して軸方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたアキシャルギャップ型の回転電機に用いられる磁性楔であって、厚さ方向は、軸方向である。本実施形態の磁性楔によれば、低い磁気損失等の優れた磁気特性および高強度などの優れた機械特性を有する磁性楔の提供が可能になる。
(第2の実施の形態)
本実施形態の回転電機は、第1の実施形態の磁性楔を備えることを特徴とする。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記載を省略する。本明細書において、回転電機とは、電動機(モータ)、発電機(ジェネレータ)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータの何れをも含む概念を意味する。
図11は、本実施形態のラジアルギャップ型モータの一例である。ラジアルギャップ型モータは、回転子と、この回転子に対して径方向に所定の空隙をもって対向配置される固定子を有する。図11では、回転子は固定子の内側に配置されているが、外側に配置されていても構わない。回転子は、回転子鉄心と軸を備えており、回転できるように支持されている。一方、固定子は、固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに挿置した界磁コイルと、スロット開口部の楔溝に保持された磁性楔を備える。図11では、第1の実施の形態の磁性楔が配置されている例を示しているがこれに限定されない。ラジアルギャップ型回転電機の場合、回転子に対して径方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されるため、「空隙面」は回転子の回転軸を中心とする円筒面に平行な面である。したがって、径方向が空隙面に対し垂直な方向となり、軸方向と回転方向が空隙面に対し平行な方向となる。「空隙面」は、回転子と固定子の間の空隙を通る面である。図11では、扁平磁性金属粒子10、介在相20、磁性楔100、回転電機200、回転子210、固定子220、コイル230、空隙面240及び鉄心ティース250が示されている。
第1の実施の形態の磁性楔が配置される事によって、漏れ磁束を抑制しながら、回転子の表面部に生じる高調波損失の低減を図ることが可能となる。また、空隙を通過する磁束が増加するため、ラジアルギャップ型モータのトルクは増大される。以上の損失低減効果とトルク増加効果のいずれかもしくは両方によって、高効率化を実現することができる。
なお、ラジアルギャップ型モータとしては、回転子に導体を備えたもの(誘導モータ)、永久磁石を備えたもの(永久磁石モータ)、磁性体を備えたもの(リラクタンスモータ)の何れであっても構わない。
図12は、本実施形態のアキシャルギャップ型モータの一例である。アキシャルギャップ型モータは、回転子と、この回転子に対して軸方向に所定の空隙を隔てて対向配置される固定子を有し、固定子に、固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに挿置した界磁コイルと、スロット開口部の楔溝に保持された磁性楔を備える。本実施の形態の磁性楔が配置される事によって、漏れ磁束の増加を抑えながら、回転子の表面部に生じる高調波損失の低減を図ることが可能となる。又、空隙を通過する磁束が増加するため、アキシャルギャップ型モータのトルクは増大される。以上により、高効率化を実現することができる。図12では、回転子は2つの固定子の間に配置されているが、1つの固定子の片側もしくは両側に配置されていても構わない。アキシャルギャップ型回転電機の場合、回転子に対して軸方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されるため、「空隙面」は回転子の回転軸に直交する面である。したがって、軸方向が空隙面に対し垂直な方向となり、回転方向と径方向が空隙面に対し平行な方向となる。「空隙面」は、回転子と固定子の間の空隙を通る面である。図12では、扁平磁性金属粒子10、介在相20、磁性楔100、回転電機200、回転子210、コイル230、空隙面240、鉄心ティース250、固定子270、軸280が示されている。
図13は、本実施形態の発電機の一例を示す模式図である。発電機は、通常、回転子鉄心のスロットに励磁コイルを収納する回転子(この他、永久磁石を励磁源とした回転子を採用しても良い)と、固定子鉄心のスロットに電機子コイルを収納する固定子を有し、回転子を回転させて、且つ、前記励磁コイルに励磁電流を流すことで、前記電機子コイルに電力を発電する。回転子は、回転子鉄心と、回転子鉄心のスロットに挿置した界磁コイルと、スロット開口部の楔溝に保持された磁性楔を備え、軸受によって回転できるように支持される。本実施の形態の磁性楔が配置される事によって、漏れ磁束の増加を抑えながら、固定子の表面部に生じる高調波損失を低減することが可能となる。また、空隙を通過し電機子コイルと鎖交する磁束が増加するため、電機子コイルに誘起される発電電圧は増大する。以上により、高効率化を実現することができる。図13では、回転子鉄心のスロット開口部に磁性楔が配置されているが、固定子鉄心のスロット開口部に配置されていても構わない。また、図では、回転子に励磁コイルを備えた巻線式の発電機を示したが、回転子に永久磁石を備えた永久磁石式の発電機であっても良い。この場合、磁性楔は固定子鉄心のスロット開口部に配置される。図13では、扁平磁性金属粒子10、介在相20、磁性楔100、回転電機200、回転子210、固定子鉄心222、励磁コイル232、電機子コイル234、空隙面240、鉄心ティース250が示されている。
リニアモータはラジアルギャップ型モータを展開し平板状の構造としたものであるため、本発明の磁性楔をリニアモータに適用することも可能である。即ち、固定子は固定子鉄心と、固定子鉄心のスロットに挿置した界磁コイルを備え、スロット開口部に磁性楔を設けても良い。図14は、本実施形態のリニアモータの一例を示す模式図である。リニアモータにおいては、可動子の進行方向、可動子の進行方向に直角な方向、固定子に対し鉛直な方向が、ラジアルギャップ型モータの回転方向、軸方向、径方向にそれぞれ対応している。本実施の形態の磁性楔が配置される事によって、漏れ磁束の増加を抑えながら、可動子の表面部に生じる高調波損失の低減を図ることが可能となる。また、空隙を通過する磁束が増加するため、リニアモータの推力は向上される。以上により、高効率化を実現することができる。図14では、扁平磁性金属粒子10、介在相20、磁性楔100、固定子220、コイル230、空隙面240、鉄心ティース250、可動子290が示されている。
以上、本実施の形態の回転電機によれば、磁性楔使用による漏れ磁束の増加を抑えて、鉄心の表面部における磁束分布の脈動を効果的に緩和できるため、高効率化を実現することができる。なお、本実施形態の回転電機のスロット形状は、半閉スロット(もしくはセミクローズドスロット)であっても良いが、好ましくは開放スロット(もしくは開口スロット、オープンスロット)である。この時、高調波損失を大幅に低減でき好ましい。
本実施形態の回転電機は、鉄道、電気自動車、ハイブリッドカーなどの交通システム、エレベータ、空調機などの社会システム、ロボット、ポンプ、圧縮機、送風機などの産業システム、火力発電機、水力発電機、風力発電機、原子力発電機、地熱発電機などのエネルギーシステム、洗濯機などの家電に応用でき、システムの高効率化を図ることができる。特に産業用の大容量機では、スロット形状に開放スロットが一般的に採用されるため、第1の実施形態の磁性楔を備えることが好ましい。また、鉄道用の主電動機では、高電圧と振動に耐える必要性から型巻コイルを使用しており、スロット形状に開放スロットが採用されるため、第1の実施形態の磁性楔を備えることが好ましい。
鉄道では、鉄道走行時の消費電力量の約半分を回転電機の損失が占めているため、回転電機の損失低減による高効率化の効果が大きい。また、電気自動車、ハイブリッドカーでは、第1の実施形態の磁性楔を用いることによって主電動機の効率を向上できるため、航続距離を伸ばすことができる。
発電機では、水力発電機、特に、可変速揚水発電機に対して大きな効果が期待される。また風力発電機においても大きな効果が期待される。
(実施例)
以下に、実施例1を、比較例1と対比しながらより詳細に説明する。
(実施例1)
まず、単ロール急冷装置を用いて、Fe-Co-Si-B(Fe70Co30B25(at%)-4wt%Si)のリボンを作製する。次に得られたリボンをH雰囲気中300℃で熱処理を行う。次に、このリボンを、ミキサー装置を用いて粉砕し、扁平磁性金属粒子を得る(平均厚さは約15μm、厚さに対する扁平面内の平均長さの比の平均値は約30であった)。その後、得られた扁平磁性金属粒子をイミド系樹脂とともに混合し、成型を行う。成型は、図10に従って実施する。すなわち、成型用の金型は、プレス圧の印加方向と垂直な方向に、磁化しているものを用いた。金型ダイと金型パンチの間の隙間は約50μmであった。また、一軸方向にプレス圧を印加する際、プレス圧の印加方向と垂直な方向に、磁場を印加する。その後、磁場を印加しながらホットプレス成型を行い、磁性楔を作製した。作製した磁性楔においては、磁性楔の幅方向と厚さ方向を含む断面において、観察する上記中心部及び表面部の範囲の領域において、個々の扁平磁性金属粒子の面積(Am)を全て足した和(SAm)を求めた。観察する上記の範囲の領域の面積(At)を求め、どの程度の割合(面積割合:SAm/At)を示すのかを求めた。観察する断面は、3つの断面で評価を行った。この平均値を磁性楔の中心部及び表面部に占める磁性金属粒子の割合とした。個々の扁平粒子の面積、および、観察領域全体の面積は、SEM観察による画像から、画像処理ソフトウェアImageJを用いて求めた。その結果扁平磁性金属粒子が中心部に占める割合に対する、表面部に占める割合の比率が1.7である事を確認した。
(比較例1)
成型方法をプレス圧の印加方向と垂直な方向に、磁化していない、単純なホットプレス成型にして、切り出し加工を行なう事によって、扁平磁性金属粒子が均一に積層配向した磁性楔にすること以外は、実施例1と同じである。作製した磁性楔においては、扁平磁性金属粒子が中心部に占める割合に対する、表面部に占める割合の比率が約1である事を確認した。
表1に、本実施の形態の磁性楔の磁気特性、回転電機としての効率向上度合い、機械特性(例として抗折強度を示す)を、比較例1とともに示す。
(1)透磁率:100Hzでの透磁率を測定する。透磁率は、比較例1の鉄損を基準にした比として示す。
(2)回転電機としての効率向上度合い:標準的なラジアルギャップ型モータをモチーフにして、非磁性楔を用いた時の効率を基準として、効率向上幅を算出する。効率向上度合いとしては、比較例1での効率向上幅を基準にした比として示す。
(3)強度:評価用試料の25℃での抗折強度を測定し、比較例1の試料の25℃での抗折強度との比(=評価用試料の25℃での抗折強度/比較例1の試料の25℃での抗折強度)で示す。
(4)強度の経時変化割合:評価用試料を温度100℃、大気中で100時間加熱した後、25℃での抗折強度を測定し、経時変化(100時間放置後の抗折強度/放置前の抗折強度)を求める。
Figure 2024043444000005
表1から、実施例1は、比較例1に対して、透磁率、回転電機としての効率向上度合い、強度、強度の経時変化割合が向上している事が分かる。実施例1のように、扁平磁性金属粒の占める割合が表面部で多いと、材料表面からの熱分解の進行が抑制され、均一な分布状態の場合よりも、高耐熱性を実現でき、強度の経時変化割合が大きく向上したのだと思われる。また、表面に扁平磁性金属粒子が多く存在する事によって、亀裂の進行が抑制され、均一な分布状態の場合(比較例1)よりも、高強度を実現できる事が分かった。更には、表面部に扁平磁性金属粒子を集める事によって、表面部での透磁率を高める事ができるので、全体として実効的な透磁率が高まることが分かった。これによって、回転電機としての効率が向上する事が分かった。
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、上記の実施形態を、以下の技術案にまとめることができる。
(技術案1)
回転電機の磁性楔であって、
前記磁性楔は複数の扁平磁性金属粒子と介在相とを備え、
前記扁平磁性金属粒子が前記磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、前記厚さ方向の表面部に占める割合が大きい、
磁性楔。
(技術案2)
回転子に対して径方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたラジアルギャップ型の回転電機の前記磁性楔であって、
前記厚さ方向は、前記径方向である、
技術案1記載の磁性楔。
(技術案3)
前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の回転方向および軸方向に配向している、
技術案2記載の磁性楔。
(技術案4)
回転子に対して軸方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたアキシャルギャップ型の回転電機に用いられる磁性楔であって、
前記厚さ方向は、前記軸方向である、
技術案1記載の磁性楔。
(技術案5)
前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の回転方向および径方向に配向している、
技術案4記載の磁性楔。
(技術案6)
前記扁平磁性金属粒子が前記中心部に占める割合に対する、前記表面部に占める割合の比率が1.1以上2以下である技術案1ないし技術案5いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案7)
前記複数の扁平磁性金属粒子は、平均厚さが10nm以上100μm以下であり、前記扁平面と、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素を含む磁性金属相と、を有し、前記厚さに対する前記扁平面内の平均長さの比の平均値が5以上10000以下であり、
前記介在相は、前記複数の扁平磁性金属粒子間に存在し、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む、
技術案1ないし技術案6いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案8)
前記複数の扁平磁性金属粒子の平均厚さが10μm以上30μmであり、前記扁平磁性金属粒子の厚さに対する前記平均長さの比の平均値は10以上100以下である技術案7記載の磁性楔。
(技術案9)
前記介在相が樹脂を含む技術案1ないし技術案8いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案10)
前記扁平磁性金属粒子の表面の少なくとも一部が、厚さ0.1nm以上1μm以下で、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む被覆層で覆われている技術案1ないし技術案9いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案11)
前記扁平面に平行な平面内において、方向による保磁力差を有する技術案1ないし技術案10いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案12)
技術案1ないし技術案11いずれか一項記載の磁性楔を備える回転電機。
また、上記の実施形態を、以下の技術案にまとめることができる。
(技術案1)
複数の扁平磁性金属粒子と、
介在相と、
を備える磁性楔であって、
前記扁平磁性金属粒子が前記磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、前記厚さ方向の表面部に占める割合が大きい、
磁性楔。
(技術案2)
前記磁性楔は、
軸方向を中心に、前記軸方向に垂直に交差する回転方向に回転する回転子と、
前記回転子に対して、前記軸方向及び前記回転方向に垂直に交差する径方向に所定の間隔をもって対向配置された固定子と、
を備えるラジアルギャップ型回転電機の、前記回転子又は前記固定子に用いられ、
前記磁性楔の長手方向は、前記軸方向であり、
前記磁性楔の前記厚さ方向は、前記径方向であり、
前記磁性楔の幅方向は、前記回転方向であり、
前記扁平磁性金属粒子が前記径方向の中心部に占める割合よりも、前記径方向の表面部に占める割合が大きい、
技術案1記載の磁性楔。
(技術案3)
前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の前記回転方向および前記軸方向に配向している、
技術案2記載の磁性楔。
(技術案4)
前記磁性楔は、
軸方向を中心に、前記軸方向に垂直に交差する回転方向に回転する回転子と、
前記回転子に対して、前記軸方向に所定の間隔をもって対向配置された回転子と、
を備えるアキシャルギャップ型回転電機の、前記回転子又は前記固定子に用いられ、
前記磁性楔の長手方向は、径方向であり、
前記磁性楔の前記厚さ方向は、前記軸方向であり、
前記磁性楔の幅方向は、前記回転方向であり、
前記扁平磁性金属粒子が前記軸方向の中心部に占める割合よりも、前記軸方向の表面部に占める割合が大きい、
技術案1記載の磁性楔。
(技術案5)
前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の前記回転方向および前記径方向に配向している、
技術案4記載の磁性楔。
(技術案6)
前記扁平磁性金属粒子が前記中心部に占める割合に対する、前記表面部に占める割合の比率が1.1以上2以下である技術案1ないし技術案5いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案7)
前記複数の扁平磁性金属粒子は、平均厚さが10nm以上100μm以下であり、扁平面と、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素を含む磁性金属相と、を有し、前記厚さに対する前記扁平面内の平均長さの比の平均値が5以上10000以下であり、
前記介在相は、前記複数の扁平磁性金属粒子間に存在し、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む、
技術案1ないし技術案6いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案8)
前記複数の扁平磁性金属粒子の平均厚さが10μm以上30μmであり、前記扁平磁性金属粒子の厚さに対する前記平均長さの比の平均値は10以上100以下である技術案7記載の磁性楔。
(技術案9)
前記介在相が樹脂を含む技術案1ないし技術案8いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案10)
前記扁平磁性金属粒子の表面の少なくとも一部が、厚さ0.1nm以上1μm以下で、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む被覆層で覆われている技術案1ないし技術案9いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案11)
前記扁平面に平行な平面内において、方向による保磁力差を有する技術案1ないし技術案10いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案12)
技術案1ないし技術案11いずれか一項記載の磁性楔を備える回転電機。
6 :扁平面 9 :被覆層 10 :扁平磁性金属粒子 20 :介在相 100 :磁性楔 200 :回転電機 210 :回転子 220 :固定子 222 :固定子鉄心 230 :コイル 232 :励磁コイル 234 :電機子コイル 240 :空隙面 250 :鉄心ティース 260 :鉄心スロット 270 :固定子 280 :軸 290 :可動子
以上の切断と粉砕・圧延化を行い(圧延は必要に応じて行う。不要の場合は行わない)、場合によっては切断と粉砕・圧延化を繰り返し、所定の厚さ及びアスペクト比の扁平磁性金属粒子になるように処理を行う事が望ましい。この時、厚さが10nm以上100μm以下、より好ましくは10nm以上1μm以下、更に好ましくは10nm以上100nm以下になるように粉砕・圧延を行うと、回転磁化を起こしやすい粒子になり、好ましい。なお、本実施の形態のような扁平磁性金属粒子の配向度を実現するためには、扁平磁性金属粒子の滑りを良くして、流動性を高める事が効果的だが、そのためには、扁平磁性金属粒子の平均厚さを10μm以上30μm以下、より好ましくは10μm以上20μm以下にする事が好ましく、前記扁平磁性金属粒子の厚さに対する前記平均長さの比の平均値は10以上100以下、より好ましくは10以上50以下である事が好ましい。
なお、上記の実施形態を、以下の技術案にまとめることができる。
(技術案1)
回転電機の磁性楔であって、
前記磁性楔は複数の扁平磁性金属粒子と介在相とを備え、
前記扁平磁性金属粒子が前記磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、前記厚さ方向の表面部に占める割合が大きい、
磁性楔。
(技術案2)
回転子に対して径方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたラジアルギャップ型の回転電機の前記磁性楔であって、
前記厚さ方向は、前記径方向である、
技術案1記載の磁性楔。
(技術案3)
前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の回転方向および軸方向に配向している、
技術案2記載の磁性楔。
(技術案4)
回転子に対して軸方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたアキシャルギャップ型の回転電機に用いられる磁性楔であって、
前記厚さ方向は、前記軸方向である、
技術案1記載の磁性楔。
(技術案5)
前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の回転方向および径方向に配向している、
技術案4記載の磁性楔。
(技術案6)
前記扁平磁性金属粒子が前記中心部に占める割合に対する、前記表面部に占める割合の比率が1.1以上2以下である技術案1ないし技術案5いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案7)
前記複数の扁平磁性金属粒子は、平均厚さが10nm以上100μm以下であり、前記扁平面と、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素を含む磁性金属相と、を有し、前記厚さに対する前記扁平面内の平均長さの比の平均値が5以上10000以下であり、
前記介在相は、前記複数の扁平磁性金属粒子間に存在し、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む、
技術案1ないし技術案6いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案8)
前記複数の扁平磁性金属粒子の平均厚さが10μm以上30μm以下であり、前記扁平磁性金属粒子の厚さに対する前記平均長さの比の平均値は10以上100以下である技術案7記載の磁性楔。
(技術案9)
前記介在相が樹脂を含む技術案1ないし技術案8いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案10)
前記扁平磁性金属粒子の表面の少なくとも一部が、厚さ0.1nm以上1μm以下で、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む被覆層で覆われている技術案1ないし技術案9いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案11)
前記扁平面に平行な平面内において、方向による保磁力差を有する技術案1ないし技術案10いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案12)
技術案1ないし技術案11いずれか一項記載の磁性楔を備える回転電機。
また、上記の実施形態を、以下の技術案にまとめることができる。
(技術案1)
複数の扁平磁性金属粒子と、
介在相と、
を備える磁性楔であって、
前記扁平磁性金属粒子が前記磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、前記厚さ方向の表面部に占める割合が大きい、
磁性楔。
(技術案2)
前記磁性楔は、
軸方向を中心に、前記軸方向に垂直に交差する回転方向に回転する回転子と、
前記回転子に対して、前記軸方向及び前記回転方向に垂直に交差する径方向に所定の間隔をもって対向配置された固定子と、
を備えるラジアルギャップ型回転電機の、前記回転子又は前記固定子に用いられ、
前記磁性楔の長手方向は、前記軸方向であり、
前記磁性楔の前記厚さ方向は、前記径方向であり、
前記磁性楔の幅方向は、前記回転方向であり、
前記扁平磁性金属粒子が前記径方向の中心部に占める割合よりも、前記径方向の表面部に占める割合が大きい、
技術案1記載の磁性楔。
(技術案3)
前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の前記回転方向および前記軸方向に配向している、
技術案2記載の磁性楔。
(技術案4)
前記磁性楔は、
軸方向を中心に、前記軸方向に垂直に交差する回転方向に回転する回転子と、
前記回転子に対して、前記軸方向に所定の間隔をもって対向配置された回転子と、
を備えるアキシャルギャップ型回転電機の、前記回転子又は前記固定子に用いられ、
前記磁性楔の長手方向は、径方向であり、
前記磁性楔の前記厚さ方向は、前記軸方向であり、
前記磁性楔の幅方向は、前記回転方向であり、
前記扁平磁性金属粒子が前記軸方向の中心部に占める割合よりも、前記軸方向の表面部に占める割合が大きい、
技術案1記載の磁性楔。
(技術案5)
前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の前記回転方向および前記径方向に配向している、
技術案4記載の磁性楔。
(技術案6)
前記扁平磁性金属粒子が前記中心部に占める割合に対する、前記表面部に占める割合の比率が1.1以上2以下である技術案1ないし技術案5いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案7)
前記複数の扁平磁性金属粒子は、平均厚さが10nm以上100μm以下であり、扁平面と、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素を含む磁性金属相と、を有し、前記厚さに対する前記扁平面内の平均長さの比の平均値が5以上10000以下であり、
前記介在相は、前記複数の扁平磁性金属粒子間に存在し、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む、
技術案1ないし技術案6いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案8)
前記複数の扁平磁性金属粒子の平均厚さが10μm以上30μm以下であり、前記扁平磁性金属粒子の厚さに対する前記平均長さの比の平均値は10以上100以下である技術案7記載の磁性楔。
(技術案9)
前記介在相が樹脂を含む技術案1ないし技術案8いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案10)
前記扁平磁性金属粒子の表面の少なくとも一部が、厚さ0.1nm以上1μm以下で、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む被覆層で覆われている技術案1ないし技術案9いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案11)
前記扁平面に平行な平面内において、方向による保磁力差を有する技術案1ないし技術案10いずれか一項記載の磁性楔。
(技術案12)
技術案1ないし技術案11いずれか一項記載の磁性楔を備える回転電機。

Claims (12)

  1. 回転電機に用いられる磁性楔であって、
    前記磁性楔は複数の扁平磁性金属粒子と介在相とを備え、
    前記扁平磁性金属粒子が前記磁性楔の厚さ方向の中心部に占める割合よりも、前記厚さ方向の表面部に占める割合が大きい、
    磁性楔。
  2. 回転子に対して径方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたラジアルギャップ型の回転電機の前記磁性楔であって、
    前記厚さ方向は、前記径方向である、
    請求項1記載の磁性楔。
  3. 前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の回転方向と軸方向の少なくとも1つの方向に配向している、
    請求項2記載の磁性楔。
  4. 回転子に対して軸方向に所定の間隔をもって固定子が対向配置されたアキシャルギャップ型の回転電機に用いられる磁性楔であって、
    前記厚さ方向は、前記軸方向である、
    請求項1記載の磁性楔。
  5. 前記扁平磁性金属粒子の扁平面が前記回転電機の回転方向と径方向の少なくとも1つの方向に配向している、
    請求項4記載の磁性楔。
  6. 前記扁平磁性金属粒子が前記中心部に占める割合に対する、前記表面部に占める割合の比率が1.1以上2以下である請求項1記載の磁性楔。
  7. 前記複数の扁平磁性金属粒子は、平均厚さが10nm以上100μm以下であり、前記扁平面と、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの第1の元素を含む磁性金属相と、を有し、前記厚さに対する前記扁平面内の平均長さの比の平均値が5以上10000以下であり、
    前記介在相は、前記複数の扁平磁性金属粒子間に存在し、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む、
    請求項1記載の磁性楔。
  8. 前記複数の扁平磁性金属粒子の平均厚さが10μm以上30μmであり、前記扁平磁性金属粒子の厚さに対する前記平均長さの比の平均値は10以上100以下である請求項7記載の磁性楔。
  9. 前記介在相が樹脂を含む請求項1記載の磁性楔。
  10. 前記扁平磁性金属粒子の表面の少なくとも一部が、厚さ0.1nm以上1μm以下で、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)及びフッ素(F)からなる群から選ばれる少なくとも1つの第2の元素を含む被覆層で覆われている請求項1記載の磁性楔。
  11. 前記扁平面に平行な平面内において、方向による保磁力差を有する請求項1記載の磁性楔。
  12. 請求項1記載の磁性楔を備える回転電機。
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