JP2024042770A - 積層体 - Google Patents

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JP2024042770A JP2022147569A JP2022147569A JP2024042770A JP 2024042770 A JP2024042770 A JP 2024042770A JP 2022147569 A JP2022147569 A JP 2022147569A JP 2022147569 A JP2022147569 A JP 2022147569A JP 2024042770 A JP2024042770 A JP 2024042770A
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泰史 川崎
Yasushi Kawasaki
敏郎 野田
Toshiro Noda
嘉秀 佐藤
Yoshihide Sato
愛璃彩 早川
Arisa Hayakawa
清徳 黒田
Kiyonori Kuroda
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】 本発明は、面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~1.55の範囲であるポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面にハードコート層を有する積層体とすることで、虹ムラや干渉ムラの発生が抑制された耐擦傷性に優れた積層体を提供する。【解決手段】 面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~1.55の範囲であるポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面にハードコート層を有する積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~
1.55の範囲であるポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面にハードコート層
を有する積層体に関する。
ディスプレイ部材、電気・電子部品、自動車用部品、建築用資材、レンズ、容器、包装
材など種々の用途でポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、トリ
アセチルセルロース、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック材料が使用され
ている。それらの中でもポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、
トリアセチルセルロースはその機械的特性や透明性などに優れており様々な用途に適用さ
れている。またポリカーボネートは耐衝撃性や耐熱性にも優れており適用範囲が広い樹脂
の1つである。
用途の一例として液晶ディスプレイにおいては、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、
携帯電話、ゲーム機、タブレット等の表示装置として広く用いられている。液晶ディスプ
レイは、表示側を前面側、その反対側(バックライト側)を後面側とするとき、前面側偏
光板//液晶//後面側偏光板の構成を有する。偏光板は通常、染色一軸延伸されたポリ
ビニルアルコール膜の偏光膜に、保護フィルム等を貼り合わせた構成である(保護フィル
ム/偏光膜/保護フィルム)。保護フィルムとしては、高い透明性や光学等方性を有する
ことから、トリアセチルセルロースフィルム(以下、TACフィルムと略記することがあ
る)が多く使用されている。しかし、寸法安定性に劣ることや、透湿性が高いことから偏
光膜が劣化しやすいという欠点があった。
これら欠点を補うために二軸延伸ポリエステルフィルムが提案されている。しかしなが
ら複屈折性を有するため、これを偏光膜の保護フィルムとして用いた場合に光学的な歪み
により画質が低下するという問題があった。すなわち、複屈折性を有するポリエステルフ
ィルムは所定の光学異方性(リターデーション)を有することから、偏光膜の保護フィル
ムとして用いた場合、観察の仕方によっては虹ムラが発生してしまい画質が低下する。そ
のためリターデーションを低くする手法が提案されている(特許文献1)。しかし十分に
リターデーションを低くすることができないため虹ムラの発生を十分に抑えることができ
ない。
また二軸延伸ポリエステルフィルムは機械的強度や透明性には優れるが、耐擦傷性には
劣るため使用する用途によってはハードコート層を設けることが好ましい。しかしながら
二軸延伸ポリエステルは屈折率が高いため(一般的なポリエステルである二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと略記することがある)の場合な
ら1.65~1.66)の上にハードコート層(一般的な屈折率は1.50~1.53)
を積層するとその屈折率差から外光反射による干渉ムラ(虹模様)が発生してしまい視認
性に劣るものとなる。それを改善するためにハードコート層の屈折率を二軸延伸ポリエス
テルと同等程度に高くする方法や(特許文献2)、ポリエステル層とハードコート層の間
に屈折率が高い易接着層を配置して干渉ムラを抑える方法が提案されている(特許文献3
)。しかしながらこれらの方法はハードコート層に金属酸化物微粒子を多比率で導入する
必要があるため基材であるポリエステル層との密着性に劣る場合や、金属酸化物粒子によ
る光散乱で透明性が劣る場合がある。また易接着層を配置する場合も、屈折率を調整する
ために用いる金属キレート化合物は密着性を低下させる懸念や、塗布液の安定性などに懸
念がある。またそもそも易接着層で屈折率の調整をしないといけないという技術的制約が
大きくなってしまい自由に他の性能を付与することが難しくなる。
特開2016-200835号公報 特開2009-269174号公報 特開2005-97571号公報
本発明は、面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~
1.55の範囲であるポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面にハードコート層
を有する積層体であって、視認性、耐擦傷性、密着性に優れた積層体を提供することを目
的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の[1]~[13]の手段により解決できる。
[1]面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~1.5
5の範囲であるポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面にハードコート層を有す
る積層体。
[2]前記ハードコート層が(メタ)アクリレート由来の化合物を含有する[1]に記載
の積層体。
[3]前記ハードコート層の屈折率が1.46~1.57である[2]に記載の積層体。
[4]前記基材の屈折率と前記ハードコート層の屈折率の差(絶対値)が0.05以下で
ある[3]に記載の積層体。
[5]表面抵抗値が1×1013Ω以下である[1]に記載の積層体。
[6]前記ハードコート層中に帯電防止剤を含有する[5]に記載の積層体。
[7]前記基材と前記ハードコート層の間に機能層を有し、当該機能層中に帯電防止剤を
含有する[5]に記載の積層体。
[8]前記基材を構成するポリカーボネート樹脂のガラス転移点が40~180℃である
[1]に記載の積層体。
[9]前記基材を構成するポリカーボネート樹脂に複素ビシクロ環構造を含有する[8]
に記載の積層体。
[10]前記基材を構成するポリカーボネート樹脂が共重合ポリカーボネート樹脂である
[9]に記載の積層体。
[11]前記基材がフィルムである請求項[1]~[10]に記載の積層フィルム。
[12]光学用途に使用される請求項[1]~[10]に記載の積層体。
[13]面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~1.
55の範囲であるポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面に塗布液を塗布するこ
とによりハードコート層を形成する積層体の製造方法。
本発明の積層体は、虹ムラや干渉ムラの発生が抑制された耐擦傷性に優れた特性を有す
る。
<基材>
基材は面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~1.
55の範囲を満たすことができるポリカーボネート樹脂であれば従来公知のポリカーボネ
ート樹脂を使用することが可能である。それらポリカーボネート樹脂の中でも複素ビシク
ロ環構造を構成要素として含有するポリカーボネート樹脂が好ましく、複素環の中でも酸
素を含有するビシクロ環構造(環状エーテルを有するビシクロ環構造)が耐候性の観点か
ら好ましい。それら中でも特に下記式(1)で示される構造を含有させることで一般的な
ポリカーボネート樹脂に比べて複屈折率などの光学特性、耐候性、耐傷付き性を向上させ
ることができる。
Figure 2024042770000001
式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にあるイソソルビ
ド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これら立体異性体の中でも植物由来化合
物として、デンプンから得られるD-グルコースを水添してから脱水することで容易に製
造可能であり、また、資源として入手しやすいことからイソソルビドがより好ましい。
特に近年においては石油資源の枯渇に繋がる懸念があることから植物由来の原料を用い
たプラスチック製品の提供が求められており、かつ、二酸化炭素排出量の増加による地球
温暖化も課題として挙げられているため、カーボンニュートラルの観点からも植物由来の
原料を用いることが求められているためイソソルビドを使用することは理想的である。
また、イソソルビドをポリカーボネート樹脂のジヒドロキシ成分とすることで多くのイ
ソソルビド構造をポリカーボネート樹脂に組み込むことができるため植物由来の量を高く
することができ好ましい形態となる。
基材としてイソソルビドをジヒドロキシ成分としたポリカーボネート樹脂を使用する場
合、ポリカーボネート樹脂の原料としての炭酸ジエステルは従来公知の材料を使用するこ
とができる。例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のフェニルカー
ボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-t-ブチルカーボネー
ト等のアルキルカーボネート類等が挙げられる。これらの中でもフェニルカーボネート類
が好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは単体で
用いてもよいし2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ジヒドロキシ成分としてイソソルビド以外の化合物をイソソルビドと併用するこ
とも好ましい形態である。すなわちイソソルビドとの共重合成分として使用する共重合ポ
リカーボネート樹脂であることが好ましい。ジヒドロキシ成分としては、例えば、脂肪族
ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、芳香族ビスフェノール化合物、または
イソソルビド以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化合物が好ましい化合物として挙げられ
、イソソルビド構造よりも柔軟な分子構造を導入することにより、ポリカーボネート樹脂
の靭性を調整することができる。また、耐衝撃性をより向上させる観点において、脂肪族
ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、または芳香族ビスフェノール化合物を
使用することが好ましい。さらに、耐候性が向上するという観点からは、分子構造内に芳
香環構造を有しない化合物、すなわち、脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂環式ジヒドロ
キシ化合物であることがより好ましく、さらに耐熱性の向上も考慮すると、脂環式ジヒド
ロキシ化合物がさらに好ましい。これらのジヒドロキシ成分は1種類でもよいし2種類以
上を組み合わせて使用することも可能である。また、ジヒドロキシ構造に限らず、トリヒ
ドロキシ、テトラヒドロキシのように3つ以上のヒドロキシル基を有する化合物を使用す
ることもできる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシク
ロデカンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール
、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、ペンタ
シクロペンタデカンジメタノール、2,6-デカリンジメタノール、1,5-デカリンジ
メタノール、2,3-デカリンジメタノール、2,3-ノルボルナンジメタノール、2,
5-ノルボルナンジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、リモネン等が挙げ
られる。これらの中でも耐衝撃性や柔軟性のバランス、および製造のしやすさを考慮する
と1,4-シクロヘキサンジメタノールまたはトリシクロデカンジメタノールがより好ま
しく、特に柔軟性や高い曲げ性・伸び性を重視する用途においては1,4-シクロヘキサ
ンジメタノールがさらに好ましい。
脂肪族ジヒドロキシ化合物は、直鎖脂肪族であっても、分岐鎖脂肪族であってもよい。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパ
ンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオ
ール、1,2-ブタンジオール、1,5-ヘプタンジオール、1,6-ヘキサンジオール
、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1
,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール
などが挙げられる。
芳香族ビスフェノール化合物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロ
パン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル
)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン、2
,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3,5-ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2-ビ
ス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)ペンタン、2,4’-ジヒドロキシ-ジフェニルメタン、ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)メタン、1,1
-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペ
ンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキ
シフェニル)スルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)スルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジ
ヒドロキシ-3,3’-ジクロロジフェニルエーテル、9,9-ビス(4-(2-ヒドロ
キシエトキシ-2-メチル)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)フルオレンが
挙げられる。これらの中でも性能のバランスを考慮するとビスフェノールAがより好まし
い。
エーテル基含有ジヒドロキシ化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリ-1,3-プロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコールなどが挙げられる。ポリエチレングルコールとしては、分子量が、例
えば150~2,000のものを用いることができる。
基材としてイソソルビド構造を有する共重合ポリカーボネート樹脂を使用する場合、全
ジヒドロキシ化合物由来の構造単位100モル%中のイソソルビド由来の構造単位の割合
は好ましくは1モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル
%以上、特に好ましくは45モル%以上、最も好ましくは55モル%以上の範囲である。
また上限に関しては特に制限はなく全てがイソソルビド由来の構造単位でもよいが、好ま
しくは99モル%以下、より好ましくは95モル%以下、さらに好ましくは90モル%以
下、特に好ましくは85モル%以下の範囲である。上記範囲で使用することで、耐熱性や
剛性の向上、また成形加工性や機械強度のバランスが取れた特性を調整しやすくなる。
共重合ポリカーボネート樹脂として、上述したジヒドロキシ化合物以外の構造単位を含
有していてもよい。例えば芳香族炭化水素のジヒドロキシ化合物等を例示できるが、芳香
環を含有する化合物は太陽光や紫外線に曝されると、紫外線を吸収して構造劣化すること
で黄変等の不具合を生じることが多い。そのため、芳香族炭化水素のジヒドロキシ化合物
等を用いる場合には、成形加工性、耐候性、表面特性など要求される製品特性を損なわな
い範囲で使用することが望まれる。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度としては耐熱性および靭性を考慮すると好まし
くは40~180℃、より好ましくは60~160℃、さらに好ましくは80~150℃
、特に好ましくは90~140℃の範囲である。また成形加工する場合においては成形加
工温度との兼ね合いも考慮に入れる必要があり、成形加工温度以下であることが好ましい
ポリカーボネート樹脂は、前述のジヒドロキシ化合物と前述の炭酸ジエステルとのエス
テル交換反応により重縮合させることで合成できる。より詳細には、エステル交換反応に
おいて副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に留去させることで重縮合反応を進行させ
ることができる。エステル交換反応は、エステル交換反応触媒の存在下で促進する。当該
触媒としては、長周期型周期表における第1族または第2族の金属化合物、並びに塩基性
ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、およびアミン系化合物等
の塩基性化合物を使用することができ、中でも第1族金属化合物または第2族金属化合物
の少なくとも一方を使用することが好ましい。触媒の使用量は、反応に供される全ジヒド
ロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1~300μモル、より好ましくは0.5~
100μモル、特には1~50μモルである。
ジヒドロキシ化合物に対する炭酸ジエステルの混合モル比率は、好ましくは0.90~
1.20の範囲がよい。この場合には、ポリカーボネート樹脂のヒドロキシル基末端量の
増加を抑制することができるため、樹脂の熱安定性の向上が可能になる。そのため、成形
時の着色を低減することができる。また、エステル交換反応の速度が低下を抑制すること
ができ、所望の分子量の共重合体のより確実な製造が可能になる。また、この場合には、
反応時の熱履歴の増大を抑制することができるという観点からも、ポリカーボネート樹脂
の着色を低減することができる。さらにこの場合には、ポリカーボネート樹脂中の残存炭
酸ジエステル量を減少させることができ、かかる観点からも樹脂の着色を低減することが
できる。さらに臭気の発生を回避又は緩和することができる。これらの効果をより高める
という観点から、ジヒドロキシ化合物に対する炭酸ジエステルの混合モル比率は、特に好
ましくは0.95~1.10の範囲である。
重合反応の方法としては、バッチ式、連続式、またはそれらの組合せ等の方法を例示で
きる。中でも、前記触媒の存在下で、複数の反応器を用いて多段階で実施される連続式が
、生産性や熱履歴管理のしやすさの観点で好ましい。
また基材として用いるポリカーボネート樹脂には、種々の添加剤を含有させることも可
能である。添加剤としては例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、触媒失活剤、
染顔料、難燃剤、難燃助剤、充填剤、衝撃改良剤、加水分解抑制剤、核剤、可塑剤等が挙
げられる。
基材としてポリカーボネート樹脂は従来公知の各種の方法で加工することが可能である
。下記の方法に限定されるものではないが、例えば、樹脂を押出機に導入し、添加剤等を
連続的に供給しながら混練し、減圧設備を介して副生ガスや低分子揮発分を脱揮除去し、
押出機先端からストランド状に溶融物を押し出して冷却固化させながらペレット状にカッ
トする方法が挙げられる。押出機は十分な脱揮能力や、添加物の均一分散を得るために減
圧装置をベント口に備えた二軸押出機が好ましい。
押出機の運転条件としては、脱揮効率を高めるためには樹脂の溶融粘度が低い方が好ま
しく、押出機系内での溶融混練温度は高い方が好ましい。しかし温度が高過ぎると着色や
熱分解が生じる恐れがあるため、できるだけ高くかつ適切な温度で加工することが必要で
ある。適切な溶融温度は、樹脂の種類、樹脂のガラス転移温度、分子量、溶融粘度等に依
存するが、熱分解が急激に起こり始める温度を考慮して、200℃~320℃が好ましい
。この場合には、押出機の可塑化負荷が小さくなり、生産性を向上させることができると
共に、樹脂の熱分解を抑制するこができ、着色、分子量低下による機械強度の低下、熱分
解ガスの発生等をより防止することができる。この効果をより高めるという観点から、溶
融温度は、210℃~300℃がより好ましく、220℃~290℃が特に好ましい。
押出機で溶融され、好ましくはギアポンプを経由して、必要に応じてフィルタで濾過を
行った樹脂は、例えばダイヘッドからストランド状に吐出され、冷却固化の後に、回転式
カッター等でペレット状に切断される。ストランドの冷却方法は、通常は空冷または水冷
等で行われ、空冷の場合に使用する空気は、ヘパフィルタ等で空気中の異物を濾過した清
浄な空気を用いて、空気中の異物の混入を防ぐことが好ましい。また水冷の場合に使用す
る水は、イオン交換樹脂等で水中の金属成分を除去したのち、水用フィルタで水中の異物
を除去した清浄な水を用いることが好ましい。
得られたペレット状の樹脂はさらに従来公知の方法で加工をすることができる。例えば
フィルムへの加工や、金型を用いた成形加工による方法が挙げれられる。以下の方法に限
定するものではないが、例えばフィルムとする場合、一般的な製造方法としては、樹脂を
溶融し、シート化し、必要に応じて、強度を上げる等の目的で延伸を行う方法が挙げられ
る。
例えば、上述の樹脂を、押出機を用いてダイから溶融押し出しし、溶融フィルムを冷却
ロールで冷却固化して未延伸フィルムを得る。この場合、フィルムの平面性を向上させる
ため、溶融シートと冷却ロールとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法や液
体塗布密着法を使用するもできる。そのまま未延伸フィルムとする場合は、ロール温度や
押出速度などを調整して厚み振れを低減することができる。また、生産効率性や厚み振れ
、粗さ低減などのために得られた未延伸フィルムを延伸することも可能である。例えばフ
ィルム長手方向への延伸はロールの周速差を利用すること等で実現できるし、フィルム横
手方向へはテンター方式の延伸機等で実現することができる。またその両者を組み合わせ
て二軸延伸フィルムとすることも可能である。また同時二軸延伸の方法を取ることも可能
である。延伸温度や延伸倍率は、樹脂の種類などにより様々であるが、好ましくは70~
200℃、より好ましくは80~160℃の範囲であり、延伸倍率は一方向において7倍
以下、より好ましくは5倍以下の範囲である。下限は特にないが1倍である。その後、樹
脂の種類に応じて適宜熱処理などを施し延伸フィルムを得ることが可能である。
上述の樹脂の加工の任意の段階で各種の添加剤を使用することも可能である。例えばペ
レット作成時やフィルム作成時などの溶融押出の前あるいはその途中段階で添加すると分
散効率がよいため好ましい。添加剤としては例えば、樹脂製造時の触媒失活剤、熱安定剤
、中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粒子、離型剤、染料、顔料、滑剤、可塑剤、潤滑剤
、相溶化剤、難燃剤等が挙げられる。
基材の形態としては任意のものを採用することが可能であり、例えば、フィルム、シー
ト、板、成形体等が挙げられる。厚みに関しても任意であるが、例えばフィルムなら取扱
い性、生産性や加工性の観点から1~500μm、好ましくは10~300μm、より好
ましくは20~250μmの範囲である。また、成形体であれば軽量の観点からすると0
.05~10mm、好ましくは0.1~6mm、より好ましくは0.2~4mmの範囲で
ある。
基材であるポリカーボネート樹脂は面内リターデーションが300nm以下であること
が必須である。これは例えば偏光膜の保護フィルムとして用いた場合の虹ムラが発生し視
認性が悪化することを防止するためであり、上述の材料を使用することで達成することが
可能である。また好ましい範囲としては200nm以下、より好ましくは100nm以下
、さらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下、最も好ましくは15n
m以下の範囲である。また下限については特に制限はなく0nmである。
さらに基材であるポリカーボネート樹脂は面方向の屈折率が1.48~1.55の範囲
であることが必須である。これは上に設けるハードコート層の屈折率が一般的に1.50
~1.53に由来するためである。基材の屈折率とハードコート層の屈折率の差を小さく
することで外光反射による干渉ムラを抑えることができる。もし基材の屈折率が高い場合
は、一般的にはハードコート層の屈折率を高くしないと干渉ムラを抑えることができない
。しかしながらハードコート層の屈折率を高くしようとすると一般的な樹脂以外に金属微
粒子などの無機物や、芳香族を多くする有機物などを使用しなければならず、それらの化
合物の使用により基材との密着性の悪化や、透明性の悪化など別な特性の悪化を引き起こ
す懸念があり、ハードコート層の設計のハードルが上がってしまう。また基材の屈折率が
低い場合も同様な課題が発生する。また、ハードコート層の屈折率を一般的な範囲で扱え
ることで、使用できる材料種が広がることで、より高い耐擦傷性や、別な性能を付与する
ことが容易となる。
加えて、基材とハードコート層の間に機能層(密着性を向上させるための易接着層や、
帯電防止性能を付与するための帯電防止層など)を設ける場合も同様な設計の優位性があ
る。具体的には、機能層の屈折率も同様な範囲にする必要があるが、一般的な材料は上記
範囲の屈折率の材料となるため、屈折率をあまり気にすることなく設計することができる
ようになる。
基材であるポリカーボネート樹脂は、面方向の屈折率が1.48~1.55、好ましく
は1.49~1.54、より好ましくは1.50~1.53の範囲である。当該範囲とす
ることで、より一般的なハードコート層の屈折率付近になるため外光反射による干渉ムラ
を抑えるには最適な設計となる。
また、後述するハードコート層の屈折率としては、好ましくは1.46~1.57、よ
り好ましくは1.47~1.56、さらに好ましくは1.48~1.55、特に好ましく
は1.49~1.54、最も好ましくは1.50~1.53の範囲である。当該範囲で使
用することで外光反射による干渉ムラを低減することが可能である。
また基材であるポリカーボネート樹脂は面方向の屈折率とハードコート層の屈折率の差
(絶対値)は好ましくは0.05以下、より好ましくは0.04以下、さらに好ましくは
0.03以下、特に好ましくは0.02以下の範囲であり、下限は0.00、すなわち屈
折率差がないことである。屈折率差が小さくなることで界面反射が抑えられ、外光反射に
よる干渉ムラを低減することができ、視認性が良好な積層体となる。
<ハードコート層>
ポリカーボネート樹脂基材のみでは用途によっては耐擦傷性などの特性が足りない場合
があり、それらを補うためにハードコート層を設ける。ハードコート層としては活性エネ
ルギー線硬化や熱硬化など従来公知の手法で設けることが可能である。短時間で硬化させ
ることができ基材へのダメージが少ないことから活性エネルギー線硬化によるハードコー
ト層が好ましい。
活性エネルギー線硬化性化合物としては、従来公知の材料を使用することができるが、
例えば、(メタ)アクリレートが好適な材料として挙げられる。(メタ)アクリレートは
特に限定はなく、単官能(メタ)アクリレート、二官能(メタ)アクリレート、三官能以
上の多官能(メタ)アクリレートのいずれであってもよい。(メタ)アクリレートは、硬
化性樹脂材として市販されているものも使用できる。(メタ)アクリレートは本発明の目
的を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。これらの中でも特に耐
摩耗性に優れることから二官能または三官能以上の多官能(メタ)アクリレートであるこ
とが好ましく、特に三官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。また、(メタ)アク
リレートとしては、(メタ)アクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレ
ート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を使用するこ
とも可能である。これらの中でも(メタ)アクリル(メタ)アクリレートやウレタン(メ
タ)アクリレートが硬度の調整などもできることから好ましい。また、特に成形性や伸び
性などを考慮した場合には(メタ)アクリル(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」、また
「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の一方または双方
を含むことを意味する。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチ
ル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリ
レート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、モルフォリル(メタ)
アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(
メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)
アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ-ルモ
ノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリ
ル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニ
ル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレ
ート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェ
ノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)ア
クリレート、無水フタル酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物等の
モノ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
二官能の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(
メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)
アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビス
フェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(
メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カ
プロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ-ト、ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサ
イド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)
アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-
カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変
性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジ
イソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエン
ジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘ
キサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のウレタン(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
これらの中でも特に耐摩耗性が良好であることから、四官能以上の(メタ)アクリレー
トが好ましく、さらに六官能以上の(メタ)アクリレートがより好ましい。さらに成形加
工時の伸び性との両立も考慮すると、アルキル鎖を延長した多官能(メタ)アクリレート
、特にアルキル鎖を延長した四官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル鎖
を延長した六官能以上の(メタ)アクリレートがさらに好ましい。例えば、カプロラクト
ン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ-トは最適な材料である。特に(
メタ)アクリレートの1分子に対してカプロラクトンによる変性が2個以上であると伸び
性に好ましく、特に伸び性を重視したい用途には6個以上であることがより好ましい。
さらに三官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを使用することも可能である。特に
耐摩耗性が良好であることから、四官能以上のウレタン(メタ)アクリレートが好ましく
、さらに六官能以上のウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル(メタ)アクリレートとは(メタ)アクリレート基を有する(メタ)
アクリル樹脂である。(メタ)アクリル樹脂に(メタ)アクリレート基を導入する方法と
しては、エポキシ基を有するアクリル樹脂に(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基
を有する化合物を反応させる方法(方法1)、カルボキシル基を有するアクリル樹脂に(
メタ)アクリレート基及びエポキシ基を有する化合物を反応させる方法(方法2)、水酸
基を有するアクリル樹脂に(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基を有する化合物を
反応させる方法(方法3)、カルボキシル基を有するアクリル樹脂に(メタ)アクリレー
ト基及び水酸基を有する化合物を反応させる方法(方法4)、イソシアネート基を有する
アクリル樹脂に(メタ)アクリレート基及び水酸基を有する化合物を反応させる方法(方
法5)、水酸基を有するアクリル樹脂に(メタ)アクリレート基及びイソシアネート基を
有する化合物を反応させる方法(方法6)等が挙げられる。また、以上の方法は組み合わ
せて使用してもよい。なお、以下において、(メタ)アクリレート基(ラジカル重合性二
重結合)を有するモノマーをビニルモノマーと称することがある。
前記方法1において、エポキシ基を有するアクリル樹脂を得るために用いられるエポキ
シ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,
4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメ
チル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特に反応性の良好性、材料
の使用のしやすさを考慮するとグリシジル(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジル
メタクリレートが特に好ましい。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合
わせてもよい。
また、前記方法1における(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基を有する化合物
としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、グリ
セリンジ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ
ートと無水フタル酸の付加物等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物が好ましく、(メ
タ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。なお、(メタ)アクリレ
ート基及びカルボキシル基を有する化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み
合わせてもよい。
前記方法2において、カルボキシル基を有するアクリル樹脂を得るために用いられるカ
ルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキ
シエチル(メタ)アクリレート、多塩基酸変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。こ
れらの中でも(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。これらは1種
のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
また、前記方法2において、(メタ)アクリレート基及びエポキシ基を有する化合物と
しては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレートグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でもグリシジル(メタ)アクリ
レートが好ましい。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい
前記方法3において、水酸基を有するアクリル樹脂を得るために用いられる水酸基を有
するビニルモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4
-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
また、前記方法3において、(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基を有する化合
物としては、前記方法1における化合物と同様のものを用いることができる。
前記方法4において、カルボキシル基を有するアクリル樹脂としては、前記方法2と同
様のものを用いることができる。
また、前記方法4において、(メタ)アクリレート基及び水酸基を有する化合物として
は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ
)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1
種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
前記方法5において、イソシアネート基を有するアクリル樹脂を得るために用いられる
イソシアネート基を有するビニルモノマーとしては、例えば、イソシアネートエチル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
また、前記方法5において、(メタ)アクリレート基及び水酸基を有する化合物として
は、例えば、前記方法4において挙げた化合物と同様のものを用いることができる。
前記方法6において、水酸基を有するアクリル樹脂としては、前記方法3における化合
物と同様のものを用いることができる。
また、前記方法6において、(メタ)アクリレート基及びイソシアネート基を有する化
合物としては、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。こ
れらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
以上の方法の中でも、同時に水酸基も導入できることから方法1または方法2が好まし
い。また、反応を制御しやすいので方法1がより好ましい。方法1では、(メタ)アクリ
レート基は、エポキシ基を有するアクリル樹脂のエポキシ基と、(メタ)アクリレート基
及びカルボキシル基を有する化合物におけるカルボキシル基との間の開環・付加反応によ
り導入される。
前記方法1において、エポキシ基を有するアクリル樹脂中の、エポキシ基を有するモノ
マーは、エポキシ基を有するアクリル樹脂を構成するモノマー全量のうち、好ましくは2
重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ま
しくは15重量%以上の範囲である。また上限としては特に制限はないが、好ましくは9
9.9重量%以下の範囲である。当該範囲で使用することで、ハードコート層の機能層と
の密着性、耐擦傷性、硬度の向上が期待できる。ただし、曲面のある筐体用途、加飾成形
用途など、曲げ加工や折り加工、あるいは延伸加工をする用途に使用する場合においては
、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下、特に好ましくは5
0重量%以下の範囲である。当該範囲で使用することで、例えば、加飾成型時の応力によ
ってクラックを発生させない延伸性を達成することができる。
また、前記方法1において、(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基を有する化合
物は、エポキシ基を有するアクリル樹脂中のエポキシ基に対する、(メタ)アクリレート
基及びカルボキシル基を有する化合物の割合として、好ましくは10~150モル%であ
り、より好ましくは30~130モル%、さらに好ましくは50~120モル%、特に好
ましくは反応を過不足なく進行させる量となる100~110モル%である。当該範囲で
使用することで、効果的に(メタ)アクリレート基を導入することができる。
さらに、上述したエポキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂など、(メタ)アクリル樹
脂は、上述した以外の(メタ)アクリレートやその他のビニルモノマーを共重合したもの
であってもよい。なお、これらの原料の重合反応は通常、ラジカル重合であり、従来公知
の条件で重合することができる。
原料として併用することのできるモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(
メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレー
ト、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリ
レート、オクトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポ
リ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシテトラメチレングリコール
(メタ)アクリレート、ラウロキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、
ステアロキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレー
ト;エチル(メタ)アクリルアミド、n-ブチル(メタ)アクリルアミド、i-ブチル(
メタ)アクリルアミド、t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒド
ロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド;スチレン、p-クロロスチレ
ン、p-ブロモスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられる。これらは1種のみを用
いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
(メタ)アクリル樹脂は、上記の原料ビニルモノマーを用いてラジカル重合反応により
製造することができる。ラジカル重合反応は、有機溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下
で実施することが好ましい。
ラジカル重合に用いる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(M
EK)等のケトン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)
、イソブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート、2-エトキシエチルアセタート等のエステル系溶媒
;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種のみを用い
ても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイ
ド、ジ-t-ブチルパーオキシド等の有機過酸化物;2,2’-アゾビスブチロニトリル
、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-
メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらのラ
ジカル重合開始剤は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。ラジカル
重合開始剤は原料のビニルモノマーの合計100重量部に対して0.01~5重量部の範
囲で用いることが好ましい。
また、ラジカル重合の際には、(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量を制御するなど
の目的で、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、ブタンチオ
ール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、
オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール
酸オクチル、2-メルカプトプロピオン酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチ
ル、メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシルエステル、チオグリコール酸2-エチル
へキシル、ブチル-3-メルカプトプロピオネート、メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2,2-(エチレンジオキシ)ジエタン
チオール、エタンチオール、4-メチルベンゼンチオール、オクタン酸2-メルカプトエ
チルエステル、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン、デカントリチオール
、ドデシルメルカプタン、ジフェニルスルホキシド、ジベンジルスルフィド、2,3-ジ
メチルカプト-1-プロパノ-ル、メルカプトエタノール、チオサリチル酸、チオグリセ
ロール、チオグリコール酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、メルカプト酢
酸、メルカプト琥珀酸、2-メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系化合物等が挙げ
られる。これらは、1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤の使用量は、原料のビニルモノマーの合計100重量部に対して0.1~2
5重量部が好ましく、0.5~20重量部がより好ましく、1.0~15重量部がさらに
好ましい。
ラジカル重合の反応時間は、1~20時間が好ましく、3~12時間がより好ましい。
また、反応温度は、40~120℃が好ましく、50~100℃がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂に(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基を有する化合物等
を反応させるには、上記のようにして得られた(メタ)アクリル樹脂に、(メタ)アクリ
レート基及びカルボキシル基を有する化合物等を添加して、トリフェニルホスフィン、テ
トラブチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチル
アミン等の触媒の1種又は2種以上存在下に通常90~140℃、好ましくは100~1
20℃の温度で、通常3~9時間程度反応されればよい。ここで、触媒は、原料の(メタ
)アクリル酸エステル系重合体と(メタ)アクリレート基及びカルボキシル基を有する化
合物等の化合物との合計100重量部に対して0.5~3重量部程度の割合で用いること
が好ましい。この反応は、(メタ)アクリル樹脂を重合反応で製造した後、引き続き行っ
てもよく、反応系から(メタ)アクリル樹脂を一旦分取した後、(メタ)アクリレート基
及びカルボキシル基を有する化合物等の化合物等を添加して行ってもよい。
(メタ)アクリル(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、硬化性組成物の用途に応
じて適宜選択されるべきであるが、好ましくは1,000~200,000、より好まし
くは5,000~100,000、さらに好ましくは8,000~80,000、特に好
ましくは10,000~60,000の範囲である。当該範囲で使用することで、耐摩耗
性の向上や、機能層との密着性が向上し、用途によって必要とされる成形加工時の伸び性
も良好なものとすることができる。また組成物の粘度も適切な範囲としやすく、塗布性も
優れたものとすることができる。なお、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミ
エーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン標準による換算値と
して決定することができる。
ハードコート層中の、(メタ)アクリレート由来の化合物の含有量は、用途や必要なハ
ードコート層の特性に応じて変化させるため一概にはいえないが、好ましくは10質量%
以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましく
は50質量%以上、最も好ましくは70質量%以上の範囲である。上限は特に制限はなく
100質量%でもよく、他の添加剤を入れて性能を付与する場合においては、好ましくは
99質量%以下、より好ましくは95質量%以下の範囲である。上記範囲で使用すること
で耐擦傷性や硬度が良好なものとなる。
またハードコート層中には、耐摩耗性や硬度を向上させる、あるいは調整するために上
述した化合物以外の活性エネルギー線硬化性化合物を使用することも可能である。さらに
機能層との密着性の向上などのために、(メタ)アクリレート基を有しない従来公知の樹
脂を含有することも可能である。
ハードコート層中には、耐擦傷性の向上、硬度の向上、アンチブロッキング性の付与等
の目的で粒子を使用することも可能である。従来公知の粒子を使用することができ、上述
した機能層で使用可能な粒子を使用することも可能である。これらの粒子の中でも特に耐
擦傷性が向上できるという観点においてシリカ粒子やアルミナ粒子が好ましく、シリカ粒
子がより好ましい。
ハードコート層中には耐擦傷性の向上、あるいは塗布により形成する場合には塗布液の
組成物としてレベリング剤を使用することができる。レベリング剤としては、アクリル系
レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤等が挙げられる。これ
らの中で本発明の課題の1つである耐摩耗性も向上することができるという観点において
、シリコーン系レベリング剤がより好ましく、さらには各種の後続する加工時などにおい
て、ハードコート層形成後にレベリング剤のブリードアウトを防ぐという観点も加えられ
ることから、ラジカル重合性官能基を有するシリコーン系レベリング剤が特に好ましい。
シリコーン系レベリング剤は硬化物にスリップ性を付与し、高い耐摩耗性を達成できる。
ラジカル重合性官能基を有するシリコーン系レベリング剤は活性エネルギー線硬化性組成
物と反応することで硬化物中に取り込まれ、長期にわたってスリップ性、耐摩耗性および
耐薬品性を達成することができるため非常に有用である。
ハードコート層中の、レベリング剤由来の化合物の含有量は、好ましくは20質量%以
下、より好ましくは0.01~10質量%、さらに好ましくは0.1~5質量%、特に好
ましくは0.2~4質量%、最も好ましくは0.3~3質量%の範囲である。当該範囲で
使用することで、ハードコート層の外観向上の観点のみならず、耐摩耗性の向上も達成で
きる。
積層体の耐候性を向上させるため、ハードコート層中に紫外線吸収剤を含有することも
好ましい形態である。耐熱性の観点から分子量500以上のものが好ましい。紫外線吸収
剤は、組成物に対する良好な溶解性および耐候性改善の観点から、トリアジン系、ベンゾ
フェノン系、ベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系、サリチル酸エステル系、ま
たは、シアノアクリレート系の化合物から誘導されたものであって、最大吸収波長が24
0~380nmの範囲内である紫外線吸収剤が好ましい。これらの中でも特に紫外線吸収
性が良いまたハードコート層としたときの外観に優れるという観点において、トリアジン
系、ベンゾトリアゾール系がより好ましく、トリアジン系がさらに好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、下記に限定されるものではないが、例えば、2-
[4-([2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル]オキシ)-2-ヒドロキシフ
ェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと2-
[4-([2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル]オキシ)-2-ヒドロキシ
フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(T
inuvin(登録商標)(登録商標)400 BASF社製)、2-[4,6-ビス(
2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデ
シルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール)、2-(2,4-ジヒドロキシ
フェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと
(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物(Tinuvin(登録商標
)405、BASF社製)、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-
6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン(Tinuvin(登録
商標)460、BASF社製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-
2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(Tinuvin(登録商標)1
577、BASF社製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イ
ル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール(ADK
STAB LA46、ADEKA社製)、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオ
キシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3
,5-トリアジン(Tinuvin(登録商標)479、BASF社製)等が挙げられる
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、下記に限定されるものではないが、例え
ば、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]-2H
-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル
)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリ
ロイルオキシプロピル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキ
シ-5’-(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、
2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(メタクリロイルオキシエチ
ル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-tert
-ブチル-3’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾー
ル、2-[2’-ヒドロキシ-5'-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-
クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイル
オキシエチル)フェニル]-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒ
ドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-シアノ-2H-ベン
ゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェ
ニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-
5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-ニトロ-2H-ベンゾトリアゾ
ール等が挙げられる。
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、下記に限定されるものではないが、例え
ば、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオ
キサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(1-
又は2-ナフチル)-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(4-ビフェニル)-
3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン、2-m-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-
p-ベンゾイルフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-メトキシフェ
ニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-o-メトキシフェニル-3,1-ベン
ゾオキサジン-4-オン、2-シクロヘキシル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、
2-p-(又はm-)フタルイミドフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、N
-フェニル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フタルイミド、N
-ベンゾイル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニリン、N-
ベンゾイル-N-メチル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニ
リン、2-(p-(N-メチルカルボニル)フェニル)-3,1-ベンゾオキサジン-4
-オン、2,2’-ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-エチレン
ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1
-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-デカメチレンビス(3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン 、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オ
ン)、2,2’-m-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2
’-(4,4’-ジフェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2
’-(2,6-又は1,5-ナフチレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)
、2,2’-(2-メチル-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オ
ン)、2,2’-(2-ニトロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4
-オン)、2,2’-(2-クロロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン
-4-オン)、2,2’-(1,4-シクロヘキシレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジ
ン-4-オン)、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)
ベンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタ
レン、2,4,6-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレン
、2,8-ジメチル-4H,6H-ベンゾ(1,2-d;5,4-d’)ビス(1,3)
-オキサジン-4,6-ジオン、2,7-ジメチル-4H,9H-ベンゾ(1,2-d;
4,5-d’)ビス(1,3 )-オキサジン-4,9-ジオン、2,8-ジフェニル-
4H,8H-ベンゾ(1,2-d;5,4-d’)ビス(1,3)-オキサジン-4,6
-ジオン、2,7-ジフェニル-4H,9H-ベンゾ(1,2-d;4,5-d’)ビス
(1,3)-オキサジン-4,6-ジオン、6,6’-ビス(2-メチル-4H,3,1
-ベンゾオキサジン-4-オン)、6,6’-ビス(2-エチル-4H,3,1-ベンゾ
オキサジン-4-オン)、6,6’-ビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン)、6,6’-メチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン)、6,6’-メチレンビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキ
サジン-4-オン)、6,6’-エチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキ
サジン-4-オン)、6,6’-エチレンビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオ
キサジン-4-オン)、6,6’-ブチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオ
キサジン-4-オン)、6,6’-ブチレンビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾ
オキサジン-4-オン)、6,6’-オキシビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオ
キサジン-4-オン)、6,6’-オキシビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオ
キサジン-4-オン)、6,6’-スルホニルビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾ
オキサジン-4-オン)、6,6’-スルホニルビス(2-フェニル-4H,3,1-ベ
ンゾオキサジン-4-オン)、6,6’-カルボニルビス(2-メチル-4H,3,1-
ベンゾオキサジン-4-オン)、6,6’-カルボニルビス(2-フェニル-4H,3,
1-ベンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-メチレンビス(2-メチル-4H,3,
1-ベンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-メチレンビス(2-フェニル-4H,3
,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-ビス(2-メチル-4H,3,1-ベ
ンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-エチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベ
ンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-オキシビス(2-メチル-4H,3,1-ベン
ゾオキサジン-4-オン)、7,7’-スルホニルビス(2-メチル-4H,3,1-ベ
ンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-カルボニルビス(2-メチル-4H,3,1-
ベンゾオキサジン-4-オン)、6,7’-ビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオ
キサジン-4-オン)、6,7’-ビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサジ
ン-4-オン 、6,7’-メチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキサジ
ン-4-オン)、6,7’-メチレンビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン)等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物)、オキシベンゾフェノン系
紫外線吸収剤(オキシベンゾフェノン系化合物)としては、例えば、2,4-ジヒドロキ
シベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4
-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸(無水及び三水塩)、2-ヒドロキシ-4-
オクチルオキシベンゾフェノン、4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メ
トキシベンゾフェノン(商品名「KEMISORB111」、ケミプロ化成株式会社製)
、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン(商品名「SEESORB10
6」、シプロ化成株式会社製)、2,2’-ジヒドロキシ-4,4-ジメトキシベンゾフ
ェノン等が挙げられる。
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤(サリチル酸エステル系化合物)としては、例えば
、フェニル-2-アクリロイルオキシベンゾエ-ト、フェニル-2-アクロリイルオキシ
-3-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-4-メチルベンゾエ-
ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-5-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アク
リロイルオキシ-3-メトキシベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシベンゾエ-ト、
フェニル-2-ヒドロキシ-3-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-4メ
チルベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンゾエ-ト、フェニル2-
ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエ-ト、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,
5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(Tinuvin(登録商標)
120、BASF社製)等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤(シアノアクリレート系化合物)としては、例えば
、アルキル-2-シアノアクリレート、シクロアルキル-2-シアノアクリレート、アル
コキシアルキル-2-シアノアクリレート、アルケニル-2-シアノアクリレート、アル
キニル-2-シアノアクリレート等が挙げられる。
また、これらの化合物は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ハードコート層中の、紫外線吸収剤の含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ま
しくは0.01~15質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%、特に好ましくは0
.5~8質量%、最も好ましくは1~5質量%の範囲である。当該範囲で使用することで
、効果的にハードコート層の形成ができ、積層体の耐候性が向上する。
積層体の耐候性をさらに向上させるため、ハードコート層中に光安定剤を含有すること
も好ましい形態である。光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤であれば特に限定され
ない。光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ
ル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケー
ト、ビス(1-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
、ビス(1-エトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、
ビス(1-プロポキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、
ビス(1-ブトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビ
ス(1-ペンチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、
ビス(1-ヘキシロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
、ビス(1-ヘプチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケー
ト、ビス(1-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケー
ト、ビス(1-ノニロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケー
ト、ビス(1-デカニロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケ
ート、ビス(1-ドデシロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバ
ケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-(4-メト
キシ-ベンジリデン)マロネート、テトラキス(2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピ
ペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,
6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラー
ト等のアミノメチル基含有化合物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,
2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β,β-テトラメチル-3,
9-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5])ウンデカン)ジエタノールと
の縮合物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-ペンタメチル-
4-ピペリジノールとβ,β,β,β-テトラメチル-3,9-(2,4,8,10-テ
トラオキサスピロ[5,5])ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、デカンジカルボン
酸と2,2,6,6-テトラメチル-1-オクトキシ-4-ピペリジノールとのジエステ
ル化合物と1,1-ジメチルエチルヒドロパーオキシドとオクタンとの反応生成物(BA
SF製、商品名チヌビン123)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペ
リジニル)-[[3,5-ビス(1,1、ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]
メチル](BASF社製、商品名チヌビン144)等のアミノエーテル基含有化合物が挙
げられる。この中でもアミノエーテル基含有化合物は硬化物の耐候性の観点から好ましく
、特にビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビ
ス(1,1、ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]が特に好ましい。ま
た、これらの化合物は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ハードコート層中の、光安定剤の含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましく
は0.01~15質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%、特に好ましくは0.5
~8質量%、最も好ましくは1~5質量%の範囲である。当該範囲で使用することで、効
果的にハードコート層の形成ができ、積層体の耐候性が向上する。
ハードコート層を形成する際の硬化性促進として、光重合開始剤を使用してもよい。光
重合開始剤の分子量は1,000以下が好ましい。具体例としては、ベンゾイン、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベ
ンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジフェニルジス
ルフィド、ジベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3’-ジメチ
ル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、p,p’-ビス(ジメチルアミノ)
ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ピバロインエチル
エーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1-ジクロロアセトフェノン、p-t-ブチ
ルジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-クロロ
チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,2
-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,
2-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレート、α-ヒドロ
キシイソブチルフェノン、ジベンゾスパロン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-
ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル
]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチ
ルフェニルスルホン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は1種を単独で用いても2種
以上を併用してもよい。
ハードコート層中の、光重合開始剤由来の化合物の含有量は、好ましくは20質量%以
下、より好ましくは0.1~15質量%、さらに好ましくは0.3~10質量%、特に好
ましくは0.5~8質量%、最も好ましくは1~7質量%の範囲である。当該範囲で使用
することで、効果的にハードコート層の形成が促進できる。
ハードコート層中には、さらに必要に応じて、帯電防止剤、酸化防止剤、黄変防止剤、
ブルーイング剤、顔料、染料、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、防曇剤等の各種の添加剤を
配合してもよい。
特にディスプレイ部材用途等、光学用途などの精密な加工が必要とされる用途において
は、ほこりや異物の付着を防止しクリーンな積層体とするためにハードコート層に帯電防
止剤を含有していることが好ましい。帯電防止剤としては後述の機能層で使用される材料
を使用することができるが、それらの中でも特にハードコート層の透明性や各種材料との
組み合わせを考慮した場合、アンモニウム基を有する化合物であることが好ましく、さら
に帯電防止性能の耐久性を考慮した場合、高分子タイプであることが好ましい。
ハートコート層の厚みは、好ましくは0.1~20μm、より好ましくは1~10μm
、さらに好ましくは2~7μmの範囲である。ハードコート層の厚みが上記範囲内であれ
ば、所望の耐摩耗性や硬度等の特性を実現しやすい。
なおハードコート層の厚みは、電子顕微鏡等による断面観察により求められる。
<機能層>
ポリカーボネート樹脂基材とハードコート層の間に中間層として機能層を設けることも
可能である。機能層とは構成する積層体に機能を付与する層であり、例えば、基材とハー
ドコート層を強固に密着させるための密着付与層、帯電防止性能を付与するための帯電防
止層等が挙げられる。
検討をする中で、面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.
48~1.55の範囲であるポリカーボネート樹脂基材は一般的な基材、例えばトリアセ
チルセルロース基材や二軸延伸ポリエステル基材よりも密着性が良好であることを見出し
た。そのため密着付与層としての機能層を設ける必要性は低いが、より強固な密着性を必
要とする場合などに適宜適用することは問題ない。
密着付与を目的とした機能層(密着付与層)としては、従来公知の樹脂を使用して構成
することができる。樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン
樹脂、ポリビニル樹脂(ポリビニルアルコール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等)等
が挙げられる。その中でも、特に密着性が向上するという観点からアクリル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂やポリエステル樹脂が好ましい
。これらの樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル系モノマーを含む重合性モノマーの重合体である
。アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体及び共重合
体、(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル系モノマー以外の重合性モノマーと
の共重合体等が挙げられる。
アクリル樹脂は、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等
)との共重合体であってもよい。このような共重合体は、例えば、ブロック共重合体、グ
ラフト共重合体である。又は、ポリエステルの溶液又は分散液中で重合性モノマーを重合
して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、ポリウ
レタンの溶液又は分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によって
はポリマーの混合物)も含まれる。同様に、他のポリマーの溶液又は分散液中で重合性モ
ノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
上記重合性モノマーとしては、特に限定されないが、特に代表的な化合物としては、例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シ
トラコン酸等のカルボキシル基含有モノマー及びそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタ
コネート等の水酸基含有モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリ
レート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキ
シル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリ
レート;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリル
アミド、(メタ)アクリロニトリル等の窒素含有モノマー;スチレン、α-メチルスチレ
ン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等のスチレン系化合物、プロピオン酸ビニル、酢
酸ビニル等のビニルエステル;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン等の珪素含有モノマー;燐含有ビニル系モノマー;塩化ビニル、塩化
ビリデン等のハロゲン化ビニル;ブタジエン等の共役ジエンが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、主な構成成分が多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物
からなるものが挙げられる。多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オ
ルトフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、
1,5-ナフタレンジカルボン酸及び、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフ
タレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフ
タル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリ
ット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれら
のエステル形成性誘導体等が挙げられる。多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリ
コール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロ
パンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,
5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール
、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメ
チロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスル
ホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム等が挙げられる。これらの化合物
の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を
合成すればよい。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことであり、典型的
には、ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応により合成される。ウレタン樹脂
を合成する際に鎖延長剤を使用してもよい。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリオールとしては、ポリカーボネートポリオー
ル、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ア
クリルポリオール等が挙げられる。これらの中でも密着性の観点からポリカーボネートポ
リオールやポリエステルポリオールが好ましく、ポリカーボネートポリオールがより好ま
しい。これらの化合物は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールは、多価アルコールとカーボネート化合物との反応(脱ア
ルコール反応)により得られる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2
-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1
,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-
ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノ
ール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール
、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタン
ジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては
、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカ
ーボネート等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネ
ート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ
ヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコー
ルとの反応により得られるもの、ポリカプロラクトン等のラクトン化合物の誘導体ユニッ
トを有するもの等が挙げられる。多価カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール
、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、
1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオ
ール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール
、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2
-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,
2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオー
ル、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチ
ル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、
2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビス
ヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベン
ゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等が挙げられる。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、
フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート
等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシア
ネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピ
レンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン
ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイ
ソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いて
も2種以上を併用してもよい。
ポリビニル樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールが挙げられ、ポリビニルアル
コール部位を有するものであり、例えば、ポリビニルアルコールに対し、部分的にアセタ
ール化やブチラール化等された変性化合物も含め、従来公知のポリビニルアルコールを使
用することができる。ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されるものではないが、
通常100以上、好ましくは300~40,000の範囲のものが用いられる。重合度が
100未満の場合、帯電防止層の耐水性が低下する場合がある。また、ポリビニルアルコ
ールのケン化度は特に限定されるものではないが、70モル%以上、好ましくは70~9
9.9モル%の範囲であるポリ酢酸ビニルケン化物である。
帯電防止性能の付与を目的とした機能層(帯電防止層)としては、帯電防止剤を含有さ
せて表面抵抗値を下げるものであり、ほこりなどの異物の付着を防止することができる。
帯電防止剤としては従来公知の材料を使用することができる。例えば、高分子タイプの帯
電防止剤、界面活性剤系の低分子タイプの帯電防止剤、炭素系の帯電防止剤、金属系の帯
電防止剤等が挙げられる。これらの中でも耐久性の観点からすると、低分子タイプの帯電
防止剤の場合、ブリードアウトによる帯電防止性の消失、外観の悪化、あるいは耐久性の
観点から長期の帯電防止性の維持が難しくなる、また、耐熱性や耐湿熱性も考慮すると低
分子タイプでは用途が限定されてしまうため、高分子タイプの帯電防止剤、炭素系の帯電
防止剤、金属系の帯電防止剤が好ましい。密着付与も考慮に入れる場合、他の併用する樹
脂との相溶性の関係もあり、高分子タイプの帯電防止剤がより好ましい。さらに加工後(
曲げ加工、折り加工、延伸加工等)でも帯電防止性を発現できるという観点においては高
分子タイプの帯電防止剤あるいは炭素系の帯電防止剤が好ましく、加えて透明性を重視す
るのであれば高分子タイプの帯電防止剤がより好ましい。なお、高分子タイプとは数平均
分子量として1,000以上の化合物のことを指す。
高分子タイプの帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基を有する化合物、導電性
有機高分子、ポリエーテル化合物、スルホン酸基を有する化合物、ベタイン化合物等が挙
げられる。これらの中でも帯電防止層中に併用する他の化合物との相溶性、帯電防止性能
の観点からアンモニウム基を有する化合物や導電性有機高分子がより好ましい。また透明
性や、ハードコート層を設けた後でも帯電防止性が変化しにくいという観点からはアンモ
ニウム基を有する化合物がより好ましい。
アンモニウム基を有する化合物とは、分子内にアンモニウム基を有する化合物であり、
脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンのアンモニウム化物等が挙げられる。高分子
タイプのアンモニウム基を有する化合物において、アンモニウム基は、カウンターイオン
としてではなく、高分子の主鎖や側鎖中に組み込まれていることが好ましい。このような
化合物としては、例えば、アンモニウム基又はアミン等のアンモニウム基の前駆体基を有
する付加重合性のモノマーを重合し、必要に応じて、アンモニウム基の前駆体基をアンモ
ニウム基に変換し、アンモニウム基を有する高分子化合物としたものが挙げられる。アン
モニウム基又はアンモニウム基の前駆体基を含有する付加重合性のモノマーは、1種を単
独で重合してもよいし、2種以上を共重合してもよいし、他のモノマーと共重合してもよ
い。
アンモニウム基を有する化合物として、帯電防止性、耐熱安定性が優れているという点
で、ピロリジニウム環を有する化合物も好ましい。ピロリジニウム環を有する化合物の窒
素原子に結合している2つの置換基は、それぞれ独立してアルキル基、フェニル基等であ
り、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能
な基は、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基
、ナフトキシ基、チオアルコキシ、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキル
アンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲンである。また、窒素原子に結合している2
つの置換基は化学的に結合していてもよく、2つの置換基が化学的に結合した基としては
、例えば、-(CH-(m=2~5の整数)、-CH(CH)CH(CH)-
、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=N-、-CH=CH-N=C-、
-CHOCH-、-(CHO(CH-等が挙げられる。
ピロリジニウム環を有するポリマーは、例えば、ジアリルアミン誘導体を、ラジカル重
合触媒を用いて環化重合させることにより得られる。ジアリルアミン誘導体と重合性のあ
る炭素-炭素不飽和結合を有する化合物を共重合成分としてもよい。重合は、極性溶媒(
水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド
、ジオキサン、アセトニトリル等)中で過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、第3級
ブチルパーオキサイド等の重合開始剤を用い、公知の方法で実施できるが、これに限定す
るものではない。
上述したアンモニウム基を有する化合物のアンモニウム基の対イオン(カウンターイオ
ン)となるアニオンとしては例えば、ハロゲンイオン、スルホナート、ホスファート、ニ
トラート、アルキルスルホナート、カルボキシラート等のイオンが挙げられる。
アンモニウム基を有する化合物の数平均分子量は、好ましくは1,000~500,0
00、より好ましくは2,000~350,000、さらに好ましくは5,000~20
0,000である。数平均分子量が1,000以上であれば、塗膜の強度、耐熱安定性が
より優れる。数平均分子量が500,000以下であれば、帯電防止層を形成するための
塗布液の粘度が低く、取扱い性や塗布性が良好である。
導電性有機高分子としては、公知の材料を使用することができるが、例えば、ポリチオ
フェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリアセチレン系、ポリフェニレンサルフ
ァイド系等が挙げられる。これらの中でもポリチオフェン系(ポリチオフェン又はポリチ
オフェン誘導体)が、高い透明性と高い導電性の両立や、着色し難さ、コーティングによ
る性能の発現が出しやすいため好ましい。ポリチオフェン系の中でもポリ(3,4-エチ
レンジオキシチオフェン)をポリスチレンスルホン酸と複合させた化合物が、導電性能の
観点から特に好ましい。導電性有機高分子は、高い導電性を示し、湿度依存性が少なく、
かつ様々な用途展開が期待できるという点において好ましい。
ポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエステル
アミド、ポリエチレングリコールを側鎖に有するアクリル樹脂等が挙げられる。
スルホン酸基を有する化合物において、スルホン酸基は、中和剤で中和されて塩の形態
となっていてもよい。スルホン酸基を有する化合物としては、ポリスチレンスルホン酸及
びその塩等、分子内に複数のスルホン酸基を有する化合物が好ましい。
界面活性剤系の低分子タイプの帯電防止剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン
系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられる。これらの
中でも、帯電防止性が良好になるという観点、帯電防止層中で併用する各種の樹脂との相
溶性という観点において、アニオン系界面活性剤や非イオン系界面活性剤が好ましく、特
にアニオン系界面活性剤が好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールス
ルホン酸塩、エステルスルホン酸塩等のスルホン酸型、アルキルリン酸エステルまたはそ
の塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルまたはその塩等のリン酸型
、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル型、アル
キル脂肪酸塩等のカルボン酸塩型等が挙げられる。これらの中でも、帯電防止性に優れる
という観点から、スルホン酸型が好ましい。
スルホン酸型アニオン系界面活性剤としては、例えば、デシルスルホン酸塩、ドデシル
スルホン酸塩、テトラデシルスルホン酸塩、ヘキサデシルスルホン酸塩、オクタデシルス
ルホン酸塩等のアルキルスルホン酸塩、ブチルベンゼンスルホン酸塩、ヘキシルベンゼン
スルホン酸塩、オクチルベンゼンスルホン酸塩、デシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシル
ベンゼンスルホン酸塩、テトラデシルベンゼンスルホン酸塩、ヘキサデシルベンゼンスル
ホン酸塩、オクタデシルベンゼンスルホン酸塩、ジブチルナフタレンスルホン酸塩、トリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸塩等のアルキルアリールスルホン酸塩、ジブチルスル
ホコハク酸エスエル塩、ジオクチルスルホコハク酸エステル塩、ドデシルスルホ酢酸エス
テル塩、ノニルフェノキシポリエチレングリコールスルホ酢酸エステル塩等のエステルス
ルホン酸塩が挙げられる。これらの中でも帯電防止性に優れるという観点において、アル
キル基の炭素数は8以上、好ましくは10~22、さらに好ましくは12~18の範囲の
ものである。また、塩としては金属塩が好ましく、特にリチウム、ナトリウム、カリウム
等のアルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。種類としては、帯
電防止性の観点から、アルキルスルホン酸塩が好ましい。
リン酸型アニオン系界面活性剤としては、例えば、ブチルリン酸エステル、ブチルリン
酸エステル塩、ヘキシルリン酸エステル、ヘキシルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エ
ステル、オクチルリン酸エステル塩、デシルリン酸エステル、デシルリン酸エステル塩、
ラウリルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル塩、テトラデシルリン酸エステル、テ
トラデシルリン酸エステル塩、ヘキサデシルリン酸エステル、ヘキサデシルリン酸エステ
ル塩、ステアリルリン酸エステル、ステアリルリン酸エステル塩等のアルキルリン酸エス
テルまたはその塩、ポリオキシエチレンブチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチ
レンブチルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンヘキシルエーテルリン酸エス
テル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンオク
チルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル塩、
ポリオキシエチレンデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンデシルエーテル
リン酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエ
チレンラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテルリ
ン酸エステル、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシ
エチレンヘキサデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテ
ルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル、ポリオキ
シエチレンステアリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシプロピレンオクチルエーテ
ルリン酸エステル、ポリオキシプロピレンオクチルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキ
シプロピレンデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシプロピレンデシルエーテルリン
酸エステル塩、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシプロ
ピレンラウリルエーテルリン酸エステル塩等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリ
ン酸エステルまたはその塩等が挙げられる。
これらの中でも、界面活性剤としての性能、帯電防止性能の観点から、アルキルリン酸
エステル塩やポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルまたはその塩が好ま
しい。
また、アルキルリン酸エステル塩に関しては、アルキル基の炭素数は4以上、好ましく
は4~22、さらに好ましくは6~12の範囲のものであり、ポリオキシアルキレンアル
キルエーテルリン酸エステルまたはその塩に関しては、アルキル基の炭素数は4以上、好
ましくは6~22、さらに好ましくは8~18の範囲のものである。また、塩としては金
属塩やアミン塩が好ましく、特にリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、
アルキルアミン塩、アルコールアミン塩がより好ましく、ナトリウム塩やモノエタノール
アミン塩がさらに好ましい。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジル
アンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩型、N-メチルビスヒドロキシエチルアミン脂
肪酸エステル・塩酸塩等のアミン塩型等が挙げられる。これらの中でも帯電防止性に優れ
るという観点から、第4級アンモニウム塩型が好ましい。
第4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤としては、例えば、オクチルトリメチル
アンモニウム塩、デシルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩
、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ス
テアリルトリメチルアンモニウム塩、オクチルジメチルエチルアンモニウム塩、デシルジ
メチルエチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、テトラデシルジ
メチルエチルアンモニウム塩、ヘキサデシルジメチルエチルアンモニウム塩、オクチルト
リエチルアンモニウム塩、ラウリルトリエチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリエチル
アンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩等のアルキルアンモニウム塩、オクチ
ルジメチルベンジルアンモニウム塩、デシルジメチルベンジルアンモニウム塩、ラウリル
ジメチルベンジルアンモニウム塩、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、ヘキ
サデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩
、トリブチルベンジルアンモニウム塩、トリヘキシルベンジルアンモニウム塩等のアルキ
ルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
これらの中でも、界面活性剤としての性能、帯電防止性能の観点から、アルキルアンモ
ニウム塩が好ましい。
また、アルキル基の炭素数は一番長いもので、通常4以上、好ましくは6~22、さら
に好ましくは8~18の範囲である。また、アンモニウム基の対イオン(カウンターイオ
ン)としては、例えば、ハロゲンイオン、スルホネート、サルフェート、ホスファート、
ニトラート、カルボキシラート等のイオンが挙げられ、これらの中でも、帯電防止性が良
いという観点から、クロライド、スルホネート、サルフェートが好ましい。
両性イオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン等のベタイン型、アルキ
ルアミノ脂肪酸塩等のアミノ酸型、アルキルアミンオキシド等のアミンオキシド型等が挙
げられる。これらの中でも、帯電防止性能に優れるという観点において、ベタイン型が好
ましい。
ベタイン型両性イオン系界面活性剤としては、例えば、オクチルジメチルアミノ酢酸ベ
タイン、デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、テ
トラデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヘキサデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ス
テアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オクタン酸アミドプロピルベタイン、デカン酸ア
ミドプロピルベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン、テトラデカン酸アミドプロ
ピルベタイン、ヘキサデカン酸アミドプロピルベタイン、ステアリン酸アミドプロピルベ
タイン等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、グリセリンや糖類などの多価アルコールと脂
肪酸がエステル結合したエステル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル等のエーテル型、脂肪酸や多価アルコール脂肪酸エス
テルにアルキレンオキサイドを付加させたエステル・エーテル型、疎水基と親水基がアミ
ド結合を介している、脂肪酸アルカノールアミド等のアミド型等が挙げられる。これらの
中でも、耐熱性を考慮すると、エステル型、エーテル型、およびエステル・エーテル型が
好ましく、帯電防止性能を考慮するとエーテル型が好ましい。
エステル型やエステル・エーテル型非イオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロ
ールモノ(ジ)ラウレート、グリセロールモノ(ジ)ステアレート、グリセロール、グリ
セロールモノ(ジ)オレエート、ジグリセロールモノ(ジ)ステアレート、トリグリセロ
ールモノ(ジ)ステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセ
ロールモノ(ジ)ラウレート、ポリオキシエチレングリセロールモノ(ジ)ステアレート
、ポリオキシプロピレングリセロールモノ(ジ)ラウレート、ポリオキシプロピレングリ
セロールモノ(ジ)ステアレート、ポリオキシブチレングリセロールモノ(ジ)ラウレー
ト、ポリオキシブチレングリセロールモノ(ジ)ステアレート等のポリオキシアルキレン
グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノ(ジ)ラウレート、ポリオキシエチ
レンモノ(ジ)ステアレート、ポリオキシエチレンモノ(ジ)オレート、ポリオキシプロ
ピレンモノ(ジ)ラウレート、ポリオキシプロピレンモノ(ジ)ステアレート等のポリオ
キシアルキレン脂肪酸エステル、ソルビタンモノ(ジ)ラウレート、ソルビタンモノ(ジ
)パルミテート、ソルビタンモノ(ジ)ステアレート、ソルビタンモノ(ジ)オレート等
のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシプロピレンソルビ
タンモノラウレート、ポリオキシプロピレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシ
アルキレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも帯電防止層中で併用する各種の樹脂との相溶性や帯電防止性の観点から
、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオ
キシアルキレン脂肪酸エステルが好ましく、グリセリン骨格を有する脂肪酸エステルであ
る、グリセリン脂肪酸エステルやポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルがより
好ましい。
また、これらの中でも帯電防止性や相溶性に優れるという観点において、アルキル基の
炭素数は8以上、好ましくは10~22、さらに好ましくは12~18の範囲のものであ
る。
エーテル型非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポ
リオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキ
シエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオ
キシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシ
プロピレンオレイルエーテル、ポリオキシブチレンラウリルエーテル、ポリオキシブチレ
ンセチルエーテル、ポリオキシブチレンステアリルエーテル、ポリオキシブチレンオレイ
ルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレントリフェニ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンジスチレンフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンフェニルエーテル等が挙げ
られる。
これらの中でも帯電防止性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ま
しい。また、帯電防止性や相溶性に優れるという観点において、アルキル基の炭素数は8
以上、好ましくは10~22、さらに好ましくは12~18の範囲のものである。
上述の界面活性剤系の低分子タイプの帯電防止剤は単独で用いても良いし、2種類以上
を併用しても良い。2種類の組み合わせとしては、例えば、アニオン系界面活性剤と非イ
オン系界面活性剤が好ましい例として挙げられるが、アニオン系界面活性剤の中で2種類
使用してもかまわない。
炭素系の帯電防止剤としては、従来公知の材料を使用することができるが、例えば、カ
ーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも
透明性を保持しやすいことからカーボンナノチューブが好ましく、単層カーボンナノチュ
ーブでも多層カーボンナノチューブでもよい。導電性が高くなるという観点においては単
層カーボンナノチューブがより好ましい。
金属系の帯電防止剤としては、従来公知の材料を使用することができるが、例えば、銀
、銅、ニッケルなどの金属粉末や金属繊維、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化
インジウムスズ、酸化アンチモンスズ等の金属酸化物等が挙げられる。これらの中でも帯
電防止層を塗工により形成する場合、塗料へのしやすさの観点から金属酸化物が好ましい
機能層が帯電防止層である場合においても、密着付与層で用いる各種の樹脂を併用する
ことも好ましい形態である。各種の樹脂を併用することで外観の向上、基材やハードコー
ト層との密着性の向上等が得られる。上述の樹脂の中でもアクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、ウレタン樹脂が好ましく、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂が特に好ましい。
機能層を強固にするために架橋剤由来の化合物を含有させることも可能である。架橋剤
としては、公知の材料を使用することができ、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン化
合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、シランカッ
プリング化合物、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物等が挙げられる。それらの中でも
、メラミン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カ
ルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物が好ましく、耐久性をさらに向上させ
る観点からは、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物やエポキ
シ化合物がより好ましい。また密着性を向上させる観点からはオキサゾリン化合物やエポ
キシ化合物がより好ましい。これらの架橋剤は1種を単独で用いても2種以上を併用して
もよい。2種以上を併用することでさらに密着性や耐久性が向上して良好となる場合もあ
る。
機能層中には滑り性やブロッキング防止性の付与、硬度の向上のために粒子を含有させ
ることができる。粒子としては、従来公知の各種の粒子を使用することができ、例えば、
シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カ
ルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化
チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキ
シ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。その中でも、硬さを付与で
きるという点において無機粒子が好ましく、機能層を塗布により形成する場合の塗布液の
状態での安定性も考慮するとシリカ粒子がより好ましい。粒子は1種類でも良いが、2種
類以上を併用しても良い。
機能層にはさらに、本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じて、消泡剤、
塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料
等の添加剤を含有していてもよい。
機能層が密着付与層である場合において、機能層100質量%中の樹脂の割合は、使用
する種類にも依存するので一概ではないが、例えば1質量%以上、好ましくは10質量%
以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上の範囲であり、
上限は特になく100質量%である。帯電防止層も兼ねる場合には好ましくは99質量%
以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下の範囲である。
上記範囲内で使用することで、基材とハードコート層の密着性が良好なものとなり、ハー
ドコート層を強固に保持できる。
機能層が帯電防止層である場合において、機能層100質量%中の帯電防止剤の割合は
、帯電防止剤の種類にも依存するので一概ではないが、例えば0.1質量%以上、好まし
くは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上の範囲であり、上限は特になく100質
量%である。基材との密着性向上のためや、機能層の外観向上のために併用する他材料の
割合を多くすることもよく、その場合においては好ましくは0.1~90質量%、より好
ましくは1~80質量%、さらに好ましくは3~70質量%、特に好ましくは10~60
質量%の範囲である。帯電防止剤の割合が上記範囲内であれば、帯電防止層に十分な帯電
防止機能を付与しやすく、耐久性も良好なものとなる。
機能層の厚みは、特に制限はないが、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは
0.05~5μm、さらに好ましくは0.1~3μmの範囲、特に好ましくは0.1~0
.8μmの範囲である。機能層の厚みが上記範囲内であれば、所望の密着付与性、あるい
は帯電防止性の特性を実現しやすい。
なお機能層の厚みは、電子顕微鏡等による断面観察により求められる。
また、ハードコート層や機能層を形成する場合において、基材上あるいは機能層上への
塗布の方法による場合、各種の溶媒を必要に応じて使用することもできる。溶媒としては
水や、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、イソプロピル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エ
チレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール
、フェネトール等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチ
レングリコールジアセテート等のエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジエチルホル
ムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等
のハロゲン系溶剤;等が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく2種以
上を併用してもよい。これらの溶媒のうち、環境面を考慮すると水が好ましく、また塗布
における作業性を向上させやすい点で、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系
溶剤およびケトン系溶剤が好ましい。
ハードコート層や機能層を形成する組成物中の不揮発成分(固形分)の含有量は、使用
する材料系にも依存するので一概にはいえないが、例えば0.1~100質量%の範囲、
好ましくは1~80%の範囲である。
なお、不揮発分とは、溶剤等の溶媒以外の成分の合計質量である。機能層やハードコー
ト層を形成する組成物の不揮発分は、従来公知の方法で測定することができ、例えば、1
gの組成物を広げて、100℃で1時間加熱することで溶媒を揮発させたときの重さの変
化により測定される。
ハードコート層や機能層の形成に関しては従来公知の方法を用いることができ、例えば
塗布や転写などが挙げられる。工程数が少ない、また簡便に付与ができるという観点にお
いて塗布による方法が好ましい。機能層やハードコート層を形成する際の塗布方法として
は、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレー
ドコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロ
ールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコー
ト、押出コート、ディップコート、スピンコート等の公知のコーティング方式を用いるこ
とができる。
また、基材あるいは機能層は、それぞれ機能層やハードコート層との密着性を向上させ
る、塗布性をよくする等のために、コロナ処理やプラズマ処理を施すことも可能である。
ハードコート層や機能層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定される
ものではないが、塗布液に使用している水や有機溶剤等の媒体の乾燥に関しては、通常3
0~200℃、好ましくは50~150℃、さらに好ましくは70~120℃の範囲であ
る。乾燥時間は、0.01~30分が好ましく、0.1~10分がより好ましい。また熱
硬化によるハードコート層の場合、乾燥と熱硬化を同時あるいは連続で行うことも可能で
ある。
ハードコート層の形成において、活性エネルギー線による硬化の場合において用いる活
性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、赤外線、X線等が挙げられる。そ
れらの中でも硬化性と樹脂劣化防止の観点から紫外線や電子線が好ましく、紫外線がより
好ましい。また、活性エネルギー線の照射量は、照射する活性エネルギー線に応じて適宜
選定できる。
例えば、紫外線を用いる場合、照射の積算光量は20~5000mJ/cmが好まし
く、100~3000mJ/cmがより好ましく、200~2000mJ/cmがさ
らに好ましい。また、照度としては、50~600mW/cmが好ましく、75~45
0mW/cmがより好ましく、100~300mW/cmがさらに好ましい。光源と
しては、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ
、又は走査型、カーテン型電子線加速路による電子線等高圧水銀灯、超高圧水銀灯等、低
圧水銀灯等を用いることができる。
また、電子線照射で硬化させる場合は、種々の電子線照射装置を使用することができる
。電子線の照射量(Mrad)は、好ましくは0.5~20Mradであり、本発明の活
性エネルギー線硬化性組成物の硬化性、硬化物の可撓性、基材の損傷防止等の観点から
より好ましくは1~15Mradである。
帯電防止性能が必要な用途に使用する場合において、積層体の表面抵抗値としては、通
常1×1013Ω以下、好ましくは1×1012Ω以下、より好ましくは5×1011Ω
以下、さらに好ましくは1×1011Ω以下、特に好ましくは5×1010Ω以下、最も
好ましくは1×1010Ω以下の範囲である。また下限は特に制限はないが100Ω以上
である。上記範囲にすることでほこりなどの異物の付着が抑えられる。
基材、機能層およびハードコート層中の成分の分析は、例えば、TOF-SIMS(飛
行時間型二次イオン質量分析法)、ESCA(X線光電分光法)、蛍光X線、IR(赤外
分光法)等によって行うことができる。
また、本発明のハードコート層の上にさらに各種の特性層を設けることも可能である。
特性層としては従来公知のものが挙げられ、例えば反射防止層、低反射層、高反射層、ア
ンチグレア層、アンチブロッキング層、防汚層、防曇層、粘着層等が挙げられる。さらに
基材のハードコート層がある側と反対面側に各種の機能層、ハードコート層、特性層を設
けることも可能である。基材の両面ともにハードコート層や、あるいは機能層およびハー
ドコート層を設けることも可能である。
本発明の積層体は、各種用途の中でも特に複屈折率などの光学特性に優れる点からディ
スプレイ部材や電気・電子部品に好適に用いることができ、一般的なポリカーボネート樹
脂に比較すると耐傷付き性に優れる点から自動車用部品や各種レンズに好適に用いること
ができ、同様に一般的なポリカーボネート樹脂に比較すると加工性に優れることから各種
フィルム用途、例えばディスプレイ用部材や加飾用途に好適に用いることができる。それ
らの中でも特に屈折率の設計も加味されて虹ムラや干渉ムラが軽減されていることから各
種の光学用途に適しており、特にディスプレイ部材用途に最適であり、さらに偏光板部材
用途、例えば偏光膜の保護フィルム用途等に好ましく適用可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明で用いた測定方法及び評価方法は次のとおりである。
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量の測定
機器:東ソー株式会社製「HLC-8120GPC」、
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H1000+H2000+H
3000」、
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)、
溶媒:テトラヒドロフラン、
温度:40℃、
流速:0.5mL/分、
注入量:10μL、
濃度:0.2質量%、
校正試料:単分散ポリスチレン、
校正法:ポリスチレン換算。
(2)ガラス転移温度の測定
粘弾性スペクトロメーターDVA-200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、
歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定(JI
S K7198A法の動的粘弾性測定)を行った。損失正接(tanδ)の主分散のピー
クを示す温度をガラス転移温度とした。
(3)面内リターデーションの測定
王子計測機器株式会社製 位相差測定装置(KOBRA-21ADH)を用いて、サン
プルをフィルム横手方向中央部から3.5cm×3.5cmで切り出し、横手方向が本測
定装置にて定義されている角度0°となるように装置に設置し、入射角0°設定における
波長590nmの面内リターデーションを測定した。
(4)面方向の屈折率の測定
ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、測定液としてヨウ化メチレンを用い、
25℃にて株式会社アッべ製の多波長アッベ屈折計 DR-M2を用いてフィルム長手方
向および横手方向の屈折率を測定し、その平均値を算出した。
(5)表面抵抗値の測定
株式会社三菱ケミカルアナリテック製、高抵抗率計:ハイレスタ MCP-HP450
を用い、印過電圧100V、23℃、50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿
し、その後、ハードコート層側の表面抵抗値を測定した。
表面抵抗値がOVERと出る場合は、高抵抗率計で測定できないほど表面抵抗値が高い
ことを示す。
表面抵抗値がUNDERと出る場合には、高抵抗率計で測定できないほど表面抵抗値が
低いので、下記の方法で測定した値を表面抵抗値とした。
株式会社三菱ケミカルアナリテック製、低抵抗率計:ロレスタGP MCP-T610
に四探針型ESPプローブ(探針間隔:5mm、探針先形状:直径2mmの円筒、探針押
し圧:240g/本、RCF値は4.235一定とした)を使用し、23℃、50%RH
の測定雰囲気でサンプルを30分間調湿し、その後、ハードコート層側の表面抵抗値を測
定した。
(6)視認性(虹ムラ)の評価方法
偏光板/積層体/偏光板と重ねて偏光板をクロスニコル状態とし、LED光源を透過で
観察しながら積層体を回転させたときに虹ムラが観察されない、あるいは薄く小さい虹ム
ラしか観察されない場合(視認性が良好)をA、明瞭な虹ムラが観察される場合(視認性
が悪い)をBとして評価を行った。
(7)視認性(干渉ムラ)の評価方法
積層体のハードコート層とは反対側の面に黒テープ(ニチバン株式会社製ビニールテー
プVT―50)を貼り、ハードコート層側から3波長光域型蛍光灯下で目視にて、光の反
射による干渉ムラを観察し、干渉ムラが確認できないもの、あるいは薄くまばらな程度の
干渉ムラしか確認されない場合(視認性が良好)をA、明瞭な干渉ムラが確認される場合
(視認性が悪い)をBとして評価を行った。
(8)ハードコート層の耐擦傷性の評価方法
スチールウール#0000を用いて積層体のハードコート層上を軽く擦り、キズが見ら
れない場合(耐擦傷性が良好)をA、薄いキズが見られる場合をB(許容範囲)、明瞭に
キズや跡が見られる場合をCとして評価を行った。
(9)ハードコート層の密着性の評価方法
積層体のハードコート層側に23℃、50%RHの環境下にて、カッターでハードコー
ト層にキズを入れた箇所に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商
標)CT-18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後の剥離面を観察し
、剥離がない場合(密着性が良好)をA、剥離がある場合をBとした。
実施例および比較例において使用した材料は、以下のとおりである。
(基材)
・ISB:イソソルビド
・CHDM:1,4-シクロヘキサンジメタノール
・TCDDM:トリシクロデカンジメタノール
・DPC:ジフェニルカーボネート
・Irganox1010:ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-t
ert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ビーエーエスエフ社製、
熱安定剤)
・AS2112:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(株式
会社ADEKA社製、熱安定剤)
・E-275:エチレングリコールジステアレート(日油株式会社製、離型剤)
(化合物例)
・(メタ)アクリレート:(A1)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(六官能)(日本化薬株式会社製 カヤラ
ッド(登録商標)DPHA)
・ウレタン(メタ)アクリレート:(A2)
10官能のウレタン(メタ)アクリレート(三菱ケミカル株式会社製 紫光(登録商標
)UV-1700B)
・(メタ)アクリレート:(A3)
ペンタエリスリトールとアクリル酸の縮合物(三官能と四官能の混合物)(大阪有機化
学工業株式会社製 ビスコート#300)
・(メタ)アクリレート:(A4)
1分子あたり12個のカプロラクトンにより変性されたジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート(六官能)(日本化薬株式会社製 カヤラッド(登録商標)DPCA-12
0)
・(メタ)アクリル(メタ)アクリレート:(A5)
下記に示す方法で製造した(メタ)アクリル樹脂
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチル
エーテル(178質量部)、グリシジルメタクリレート(20質量部)、メチルメタクリ
レート(79質量部)、エチルアクリレート(1.0質量部)、及び2,2’-アゾビス
(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.6質量部)を加えて、65℃で3時間反応さ
せた。その後、さらに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.3
質量部)を加えて3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(48
質量部)とp-メトキシフェノール(0.5質量部)を加え100℃まで加熱した。
次に、アクリル酸(10質量部)、及びトリフェニルホスフィン(1.6質量部)を添
加して、110℃で6時間反応させることで、ラジカル重合性二重結合量(アクリロイル
基濃度(アクリロイル基の導入量))615g/mmolの(メタ)アクリル樹脂(A-
1)を得た。重量平均分子量は48,800であった。水酸基価は91mgKOH/mg
であった。
・アンモニウム基を有する高分子タイプの帯電防止剤:(B1)
下記に示す方法で製造した数平均分子量100,000の高分子。
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、N,N-ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート4級化物(66質量部)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト(20質量部)、2-エチルヘキシルメタクリレート(30質量部)、アゾビスイソブ
チロニトリル(1質量部)、イソプロピルアルコール(200質量部)およびメチルエチ
ルケトン(100質量部)を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換し、80℃に昇温し、
8時間反応して共重合体の溶液を得た。
・アンモニウム基を有する高分子タイプの帯電防止剤:(B2)
主鎖にピロリジニウム環を有する以下のモノマー組成から構成された数平均分子量30
,000の高分子。
モノマー組成:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/ジメチルアクリルアミド/
N-メチロールアクリルアミド=90/5/5(モル%)。
・アクリル樹脂:(C)
下記組成からなるアクリル樹脂
エチルアクリレート/ノルマルブチルメタクリレート/アクリル酸=25/73/2(
質量%)
・レベリング剤:(D1)
ラジカル重合性官能基を有するシリコーン系レベリング剤(BYK社製 BYK-UV
3500)
・紫外線吸収剤:(D2)
2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-
4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(BASF社製 Ti
nuvin 479)
・光安定剤:(D3)
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(
1,1、ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル](BASF社製 Tin
uvin 144)
・光重合開始剤:(D4)
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.社製
Omnirad 184)
[実施例1]
竪型撹拌反応器3基、横型撹拌反応器1基、減圧ベント付き二軸押出機の順に連結され
た連続重合設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。ISB、CHDM、D
PCをそれぞれ原料調製タンクで溶融させ、モル%でISB/CHDM/DPC=70/
30/101の割合で第一竪型撹拌反応器へ連続的に供給した。併せて重合触媒として酢
酸カルシウム一水和物水溶液を全ヒドロキシ化合物1モルに対して1.5μモルとなるよ
うに第一竪型撹拌反応器へ供給した。
各反応器の温度、圧力、滞留時間はそれぞれおよそ、第一竪型:190℃、25kPa
、90分、第二竪型:195℃、10kPa、45分、第三竪型:210℃、3kPa、
45分、第四横型:225℃、0.5kPa、90分とした。
得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度がおよそ0.38~0.39dL/gとなる
ように、第四横型撹拌反応器の内圧を調整しながら運転した。
第四横型撹拌反応器よりおよそ60kg/時の流速で重合反応物を抜き出して、溶融状
態のまま減圧ベント付き二軸押出機(TEX30α、L/D=42、日本製鋼所社製)へ
供給した。
この押出機は3箇所に減圧ベント口を備えており、第二ベントの手前で溶融樹脂に対し
およそ2000質量ppmの比率で連続的に注水し、いわゆる注水脱揮を行った。次いで
第三ベントの手前で熱安定剤等Irganox1010、AS2112、E-275を0
.1質量部、0.05質量部、0.3質量部の比率で連続的に供給して溶融混練した。押
出機を通過した溶融樹脂は、目開き10μmのキャンドル型フィルタを通して異物を濾過
し、ダイスからストランド状に排出させ、水冷固化させ、回転式カッターでペレット化し
、ガラス転移点が120℃の共重合ポリカーボネート樹脂を得た。
押出機に共重合ポリカーボネート樹脂を供給し、240℃で溶融した後、Tダイを用い
て120℃に設定した冷却ロール上に、冷却固化させて、厚さ50μm、面内リターデー
ション6nm、面方向の屈折率1.50の共重合ポリカーボネート樹脂フィルムを得た(
基材S1)。
得られたフィルム上に、下記表1に示す塗布液H1を塗布し、80℃で1分間乾燥後、
高圧水銀灯で300mJ/cm、200mWの光を塗膜に照射し硬化させて、厚さ5μ
mのハードコート層を形成し積層体を得た。得られた積層体の特性は下記表2に示すとお
り良好な視認性、耐擦傷性および密着性であった。
[実施例2~8]
実施例1において、ハードコート層の塗布液組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以
外は実施例1と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表2に示
す。
[実施例9]
実施例1と同様にして共重合ポリカーボネート樹脂フィルムを得た。得られたフィルム
上に、下記表1に示す塗布液F1を塗布し、100℃で1分間乾燥し、厚さ0.1μmの
機能層を形成した。得られた機能層上に、下記表1に示す塗布液H1を塗布し、80℃で
1分間乾燥後、高圧水銀灯で300mJ/cm、200mWの光を塗膜に照射し硬化さ
せて、厚さ3μmのハードコート層を形成し積層体を得た。得られた積層体の特性を下記
表2に示す。
[実施例10~12]
実施例9において、ハードコート層の塗布液組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以
外は実施例9と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表2に示
す。
[実施例13]
実施例1において、基材の樹脂原料をCHDMからTCDDMに変更(基材S2)する
以外は実施例1と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性は下記表2に
示すとおり、良好な視認性、耐擦傷性および密着性であった。なお実施例13の共重合ポ
リカーボネート樹脂のガラス転移点は130℃であり、共重合ポリカーボネート樹脂フィ
ルムの面内リターデーションは5nm、面方向の屈折率は1.51であった。
[実施例14~18]
実施例13において、ハードコート層の塗布液組成を表1に示す塗布剤組成に変更する
以外は実施例13と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表2
に示す。
[実施例19]
実施例13と同様にして共重合ポリカーボネート樹脂フィルムを得た。得られたフィル
ム上に、下記表1に示す塗布液F1を塗布し、100℃で1分間乾燥し、厚さ0.1μm
の機能層を形成した。得られた機能層上に、下記表1に示す塗布液H1を塗布し、80℃
で1分間乾燥後、高圧水銀灯で300mJ/cm、200mWの光を塗膜に照射し硬化
させて、厚さ3μmのハードコート層を形成し積層体を得た。得られた積層体の特性を下
記表2に示す。
[比較例1]
厚み40μmのTACフィルム(富士フイルム株式会社製 TG40UL、面内リター
デーション1nm、面方向の屈折率1.48)を評価したところ表2に示すとおり、耐擦
傷性が悪いものであった。なお、表面抵抗値および耐擦傷性は、ハードコート層の表面抵
抗値および耐擦傷性と同様の方法で測定および評価した。
[比較例2]
厚み40μmのTACフィルム(富士フイルム株式会社製 TG40UL、面内リター
デーション1nm、面方向の屈折率1.48)上に下記表1に示す塗布液H8を塗布し、
80℃で1分間乾燥後、高圧水銀灯で300mJ/cm、200mWの光を塗膜に照射
し硬化させて、厚さ5μmのハードコート層を形成し積層体を得た。得られた積層体は表
2に示すとおり密着性が悪いものであった。
[比較例3]
厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱ケミカル株式会社製 ダイアホイ
ル(登録商標) T100-50、面内リターデーション1000nm、面方向の屈折率
1.66)を評価したところ表2に示すとおり、視認性(虹ムラ)や耐擦傷性が悪いもの
であった。なお、表面抵抗値および耐擦傷性は、ハードコート層の表面抵抗値および耐擦
傷性と同様の方法で測定および評価した。
[比較例4]
厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱ケミカル株式会社製 ダイアホイ
ル(登録商標) T100-50、面内リターデーション1000nm、面方向の屈折率
1.66)上に下記表1に示す塗布液H8を塗布し、80℃で1分間乾燥後、高圧水銀灯
で300mJ/cm、200mWの光を塗膜に照射し硬化させて、厚さ5μmのハード
コート層を形成し積層体を得た。得られた積層体は表2に示すとおり視認性(虹ムラおよ
び干渉ムラ)および密着性が悪いものであった。
[比較例5]
実施例1において、ハードコート層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして製
造し、フィルムを得た。得られたフィルムは表2に示すとおり、耐擦傷性が悪いものであ
った。なお、表面抵抗値および耐擦傷性は、ハードコート層の表面抵抗値および耐擦傷性
と同様の方法で測定および評価した。
[比較例6]
実施例9において、ハードコート層を設けなかったこと以外は実施例9と同様にして製
造し、積層体を得た。得られた積層体は表2に示すとおり、耐擦傷性が悪いものであった
。なお、表面抵抗値および耐擦傷性は、ハードコート層の表面抵抗値および耐擦傷性と同
様の方法で測定および評価した。
Figure 2024042770000002
Figure 2024042770000003

Claims (13)

  1. 面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~1.55の
    範囲であるポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面にハードコート層を有する積
    層体。
  2. 前記ハードコート層が(メタ)アクリレート由来の化合物を含有する請求項1に記載の
    積層体。
  3. 前記ハードコート層の屈折率が1.46~1.57である請求項2に記載の積層体。
  4. 前記基材の屈折率と前記ハードコート層の屈折率の差(絶対値)が0.05以下である
    請求項3に記載の積層体。
  5. 表面抵抗値が1×1013Ω以下である請求項1に記載の積層体。
  6. 前記ハードコート層中に帯電防止剤を含有する請求項5に記載の積層体。
  7. 前記基材と前記ハードコート層の間に機能層を有し、当該機能層中に帯電防止剤を含有
    する請求項5に記載の積層体。
  8. 前記基材を構成するポリカーボネート樹脂のガラス転移点が40~180℃である請求
    項1に記載の積層体。
  9. 前記基材を構成するポリカーボネート樹脂に複素ビシクロ環構造を含有する請求項8に
    記載の積層体。
  10. 前記基材を構成するポリカーボネート樹脂が共重合ポリカーボネート樹脂である請求項
    9に記載の積層体。
  11. 前記基材がフィルムである請求項1~10に記載の積層フィルム。
  12. 光学用途に使用される請求項1~10に記載の積層体。
  13. 面内リターデーションが300nm以下、かつ面方向の屈折率が1.48~1.55の
    範囲であるポリカーボネート樹脂基材の少なくとも一方の面に塗布液を塗布することによ
    りハードコート層を形成する積層体の製造方法。
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