JP2024024501A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、イソソルビド構造を有する化合物を含有する基材上に、ほこりなどの異物の付着を防止する等の特性を付与した積層体を提供する。【解決手段】イソソルビド構造を有する化合物を含有する基材上に、高分子タイプの帯電防止剤を含有する帯電防止層を有する積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、イソソルビド構造を有する化合物を含有する基材を有する積層体に関する。
ディスプレイ部材、電気・電子部品、自動車用部品、建築用資材、レンズ、容器、包装材など種々の用途でポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック材料が使用されている。それらの中で例えば、ポリカーボネートは耐衝撃性や耐熱性に優れており適用される範囲が広い樹脂の1つである。
ポリカーボネートを始め、多くのプラスチック製品は一般的に石油資源から誘導される材料を用いて製造される。しかしながら石油資源の枯渇に繋がることから植物由来の原料を用いたプラスチック製品の提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化も課題として挙げられており、カーボンニュートラルの観点からも植物由来の原料を用いることが求められている。
植物由来化合物としてイソソルビドを用いたポリカーボネートが提案されている(特許文献1)。ポリカーボネート基材中に帯電防止剤を添加する提案もされているが具体的な材料系や添加量の開示はなく、また基材中への添加となると帯電防止剤を表面に偏析させることが難しく十分な帯電防止性を出せない。そのためほこりなどの異物の付着や、基材の貼りつきによる取扱い性の悪化が懸念される。また、多量の帯電防止剤を使用することで帯電防止性を出そうとするとポリカーボネート基材自体がもろくなり用途によっては適さない場合もある。
特開2016-150990
本発明は、イソソルビド構造を有する化合物を含有する基材上に、高分子タイプの帯電防止剤を含有する帯電防止層を積層することで、ほこりなどの異物の付着を防止する等の特性を付与した積層体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の[1]~[8]の手段により解決できる。
[1]イソソルビド構造を有する化合物を含有する基材上に、高分子タイプの帯電防止剤を含有する帯電防止層を有する積層体。
[2]前記基材を構成する樹脂がポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂である[1]に記載の積層体。
[3]前記基材を構成する樹脂のガラス転移点が40~180℃である[2]に記載の積層体。
[4]前記高分子タイプの帯電防止剤がアンモニウム基を有する化合物または導電性有機高分子である[1]に記載の積層体。
[5]前記帯電防止層の表面抵抗値が1×1013Ω以下である[4]に記載の積層体。
[6]前記帯電防止層が硬化層である[5]に記載の積層体。
[7]前記基材がフィルムである[3]または[5]に記載の積層フィルム。
[8]イソソルビド構造を有する化合物を含有する基材上に、帯電防止剤を含有する塗布液を塗布することにより帯電防止層を形成する積層体の製造方法。
本発明の積層体は、ほこりなどの異物の付着を防止する特性を有する。
<基材>
基材はイソソルビド構造を有する化合物を含有するものであれば任意のものを使用することができる。特にイソソルビドをジヒドロキシ成分としてポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂に組み込む形態が挙げられ、多くのイソソルビド構造を含有させることができるため植物由来の量を高くすることができ好ましい形態である。
基材としてイソソルビドをジヒドロキシ成分としたポリカーボネート樹脂を使用する場合、ポリカーボネート樹脂の原料としての炭酸ジエステルは従来公知の材料を使用することができる。例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のフェニルカーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-t-ブチルカーボネート等のアルキルカーボネート類等が挙げられる。これらの中でもフェニルカーボネート類が好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは単体で用いてもよいし2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ジヒドロキシ成分としてイソソルビド以外の化合物も使用することが好ましい形態でもある。すなわちイソソルビドの共重合成分として使用する共重合ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。ジヒドロキシ成分としては、例えば、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、芳香族ビスフェノール化合物、またはイソソルビド以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化合物が好ましい化合物として挙げられ、イソソルビド構造よりも柔軟な分子構造を導入することができ、ポリカーボネート樹脂の靭性を向上させることができる。また、耐衝撃性をより向上させる観点において、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、または芳香族ビスフェノール化合物を使用することが好ましい。さらに、耐候性が向上するという観点からは、分子構造内に芳香環構造を有しない化合物、すなわち、脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂環式ジヒドロキシ化合物であることがより好ましく、さらに耐熱性の向上も考慮すると、脂環式ジヒドロキシ化合物がさらに好ましい。これらのジヒドロキシ成分は1種類でもよいし2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。また、ジヒドロキシ構造に限らず、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシのように3つ以上のヒドロキシル基を有する化合物を使用することもできる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6-デカリンジメタノール、1,5-デカリンジメタノール、2,3-デカリンジメタノール、2,3-ノルボルナンジメタノール、2,5-ノルボルナンジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、リモネン等が挙げられる。これらの中でも耐衝撃性や柔軟性のバランス、および製造のしやすさを考慮すると1,4-シクロヘキサンジメタノールまたはトリシクロデカンジメタノールがより好ましく、特に柔軟性も重視する用途においては1,4-シクロヘキサンジメタノールがさらに好ましい。
脂肪族ジヒドロキシ化合物は、直鎖脂肪族であっても、分岐鎖脂肪族であってもよい。脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ヘプタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどが挙げられる。
芳香族ビスフェノール化合物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3,5-ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’-ジヒドロキシ-ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジクロロジフェニルエーテル、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ-2-メチル)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)フルオレンが挙げられる。これらの中でも性能のバランスを考慮するとビスフェノールAがより好ましい。
エーテル基含有ジヒドロキシ化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ-1,3-プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエチレングルコールとしては、分子量が、例えば150~2,000のものを用いることができる。
基材として共重合ポリカーボネート樹脂を使用する場合、全ジヒドロキシ化合物由来の構造単位100モル%中のイソソルビド由来の構造単位の割合は好ましくは1モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、特に好ましくは45モル%以上、最も好ましくは55モル%以上の範囲である。また上限に関しては特に制限はなく全てがイソソルビド由来の構造単位でもよいが、好ましくは99モル%以下、より好ましくは95モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下、特に好ましくは85モル%以下の範囲である。上記範囲で使用することで、耐熱性や剛性の向上、また成形加工性や機械強度のバランスが取れた特性を調整しやすくなる。
共重合ポリカーボネート樹脂として、上述したジヒドロキシ化合物以外の構造単位を含有していてもよい。例えば芳香族炭化水素のジヒドロキシ化合物等を例示できるが、芳香環を含有する化合物は太陽光や紫外線に曝されると、紫外線を吸収して構造劣化することで黄変等の不具合を生じることが多い。そのため、芳香族炭化水素のジヒドロキシ化合物等を用いる場合には、成形加工性、耐候性、表面特性など要求される製品特性を損なわない範囲で使用することが望まれる。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度としては耐熱性および靭性を考慮すると好ましくは40~180℃、より好ましくは60~160℃、さらに好ましくは80~150℃、特に好ましくは90~140℃の範囲である。また成形加工する場合においては成形加工温度との兼ね合いも考慮に入れる必要があり、成形加工温度以下であることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、前述のジヒドロキシ化合物と前述の炭酸ジエステルとのエステル交換反応により重縮合させることで合成できる。より詳細には、エステル交換反応において副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に留去させることで重縮合反応を進行させることができる。エステル交換反応は、エステル交換反応触媒の存在下で促進する。当該触媒としては、長周期型周期表における第1族または第2族の金属化合物、並びに塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、またはアミン系化合物等の塩基性化合物を使用することができ、中でも第1族金属化合物または第2族金属化合物の少なくとも一方を使用することが好ましい。触媒の使用量は、反応に供される全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1~300μモル、より好ましくは0.5~100μモル、特には1~50μモルである。
ジヒドロキシ化合物に対する炭酸ジエステルの混合モル比率は、好ましくは0.90~1.20の範囲がよい。この場合には、ポリカーボネート樹脂のヒドロキシル基末端量の増加を抑制することができるため、樹脂の熱安定性の向上が可能になる。そのため、成形時の着色を低減することができる。また、エステル交換反応の速度が低下を抑制することができ、所望の分子量の共重合体のより確実な製造が可能になる。また、この場合には、反応時の熱履歴の増大を抑制することができるという観点からも、ポリカーボネート樹脂の着色を低減することができる。さらにこの場合には、ポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量を減少させることができ、かかる観点からも樹脂の着色を低減することができる。さらに臭気の発生を回避又は緩和することができる。これらの効果をより高めるという観点から、ジヒドロキシ化合物に対する炭酸ジエステルの混合モル比率は、特に好ましくは0.95~1.10の範囲である。
重合反応の方法としては、バッチ式、連続式、またはそれらの組合せ等の方法を例示できる。中でも、前記触媒の存在下で、複数の反応器を用いて多段階で実施される連続式が、生産性や熱履歴管理のしやすさの観点で好ましい。
また基材として用いるポリカーボネート樹脂には、種々の添加剤を含有させることも可能である。添加剤としては例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、触媒失活剤、染顔料、難燃剤、難燃助剤、充填剤、衝撃改良剤、加水分解抑制剤、核剤、可塑剤等が挙げられる。
基材としてイソソルビドをジヒドロキシ成分としたポリエステル樹脂を使用する場合、重合させる酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2,5-ジクロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、4,4-スチルベンジカルボン酸、4,4-ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4-ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、エチレン-ビス-p-安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステル誘導体から誘導される化合物が挙げられる。これらの酸成分は、1種類を単独で含有していてもよいし、2種類以上を含有していてもよい。
ジヒドロキシ成分としてイソソルビドを単体で形成されたホモポリマーでもよいが柔軟性などを考慮すると他のポリヒドロキシ成分を使用した共重合ポリエステル樹脂がより好ましい。使用できるポリヒドロキシ成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール等の化合物が挙げられる。これらの中でも特に各種の性能のバランスが取れるという観点においてエチレングリコールや1,4-シクロヘキサンジメタノールを用いることが好ましい。
上述の方法等で得られたイソソルビド構造を有する化合物を含有する樹脂は従来公知の各種の方法で加工することが可能である。下記の方法に限定されるものではないが、例えば、樹脂を押出機に導入し、添加剤等を連続的に供給しながら混練し、減圧設備を介して副生ガスや低分子揮発分を脱揮除去し、押出機先端からストランド状に溶融物を押し出して冷却固化させながらペレット状にカットする方法が挙げられる。押出機は十分な脱揮能力や、添加物の均一分散を得るために減圧装置をベント口に備えた二軸押出機が好ましい。
押出機の運転条件としては、脱揮効率を高めるためには樹脂の溶融粘度が低い方が好ましく、押出機系内での溶融混練温度は高い方が好ましい。しかし温度が高過ぎると着色や熱分解が生じる恐れがあるため、できるだけ高くかつ適切な温度で加工することが必要である。適切な溶融温度は、樹脂の種類、樹脂のガラス転移温度、分子量、溶融粘度等に依存するが、熱分解が急激に起こり始める温度を考慮して、200℃~320℃が好ましい。この場合には、押出機の可塑化負荷が小さくなり、生産性を向上させることができると共に、樹脂の熱分解を抑制するこができ、着色、分子量低下による機械強度の低下、熱分解ガスの発生等をより防止することができる。この効果をより高めるという観点から、溶融温度は、210℃~300℃がより好ましく、220℃~290℃が特に好ましい。
押出機で溶融され、好ましくはギアポンプを経由して、必要に応じてフィルタで濾過を行った樹脂は、例えばダイヘッドからストランド状に吐出され、冷却固化の後に、回転式カッター等でペレット状に切断される。ストランドの冷却方法は、通常は空冷または水冷等で行われ、空冷の場合に使用する空気は、ヘパフィルタ等で空気中の異物を濾過した清浄な空気を用いて、空気中の異物の混入を防ぐことが好ましい。また水冷の場合に使用する水は、イオン交換樹脂等で水中の金属成分を除去したのち、水用フィルタで水中の異物を除去した清浄な水を用いることが好ましい。
得られたペレット状の樹脂はさらに従来公知の方法で加工をすることができる。例えばフィルムへの加工や、金型を用いた成形加工による方法が挙げれられる。以下の方法に限定するものではないが、例えばフィルムとする場合、一般的な製造方法としては、樹脂を溶融し、シート化し、必要に応じて、強度を上げる等の目的で延伸を行う方法が挙げられる。
例えば、上述の樹脂を、押出機を用いてダイから溶融押し出しし、溶融フィルムを冷却ロールで冷却固化して未延伸フィルムを得る。この場合、フィルムの平面性を向上させるため、溶融シートと冷却ロールとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法や液体塗布密着法を使用することもできる。そのまま未延伸フィルムとする場合は、ロール温度や押出速度などを調整して厚み振れを低減することができる。また、生産効率性や厚み振れ、粗さ低減などのために得られた未延伸フィルムを延伸することも可能である。例えばフィルム長手方向への延伸はロールの周速差を利用すること等で実現できるし、フィルム横手方向へはテンター方式の延伸機等で実現することができる。またその両者を組み合わせて二軸延伸フィルムとすることも可能である。また同時二軸延伸の方法を取ることも可能である。延伸温度や延伸倍率は、樹脂の種類などにより様々であるが、好ましくは70~200℃、より好ましくは80~160℃の範囲であり、延伸倍率は一方向において7倍以下、より好ましくは5倍以下の範囲である。下限は特にないが1倍である。その後、樹脂の種類に応じて適宜熱処理などを施し延伸フィルムを得ることが可能である。
上述の樹脂の加工の任意の段階で各種の添加剤を使用することも可能である。例えばペレット作成時やフィルム作成時などの溶融押出の前あるいはその途中段階で添加すると分散効率がよいため好ましい。添加剤としては例えば、樹脂製造時の触媒失活剤、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粒子、離型剤、染料、顔料、滑剤、可塑剤、潤滑剤、相溶化剤、難燃剤等が挙げられる。
基材の形態としては任意のものを採用することが可能であり、例えば、フィルム、シート、板、成形体等が挙げられる。厚みに関しても任意であるが、例えばフィルムなら取扱い性、生産性や加工性の観点から1~500μm、好ましくは10~300μm、より好ましくは20~250μmの範囲である。また、成形体であれば軽量の観点からすると0.05~10mm、好ましくは0.1~6mm、より好ましくは0.2~4mmの範囲である。
<帯電防止層>
基材上には高分子タイプの帯電防止剤を含有する帯電防止層を有する。高分子タイプの帯電防止剤は従来公知の材料を使用することができる。界面活性剤のような低分子タイプの帯電防止剤の場合、ブリードアウトによる帯電防止性の消失、外観の悪化、あるいは耐久性の観点から長期の帯電防止性の維持が難しくなる。また耐熱性や耐湿熱性も考慮すると低分子タイプでは用途が限定されてしまう。そのため高分子タイプの帯電防止剤を使用することが必要となる。なお、高分子タイプとは数平均分子量として1,000以上の化合物のことを指す。
高分子タイプの帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基を有する化合物、導電性有機高分子、ポリエーテル化合物、スルホン酸基を有する化合物、ベタイン化合物等が挙げられる。これらの中でも帯電防止層中に併用する他の化合物との相溶性、帯電防止性能の観点からアンモニウム基を有する化合物や導電性有機高分子がより好ましい。また透明性の観点からはアンモニウム基を有する化合物がより好ましく、より高い帯電防止性能を必要とする用途においては導電性有機高分子がより好ましい。
アンモニウム基を有する化合物とは、分子内にアンモニウム基を有する化合物であり、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンのアンモニウム化物等が挙げられる。高分子タイプのアンモニウム基を有する化合物において、アンモニウム基は、カウンターイオンとしてではなく、高分子の主鎖や側鎖中に組み込まれていることが好ましい。このような化合物としては、例えば、アンモニウム基又はアミン等のアンモニウム基の前駆体基を有する付加重合性のモノマーを重合し、必要に応じて、アンモニウム基の前駆体基をアンモニウム基に変換し、アンモニウム基を有する高分子化合物としたものが挙げられる。アンモニウム基又はアンモニウム基の前駆体基を含有する付加重合性のモノマーは、1種を単独で重合してもよいし、2種以上を共重合してもよいし、他のモノマーと共重合してもよい。
アンモニウム基を有する化合物として、帯電防止性、耐熱安定性が優れているという点で、ピロリジニウム環を有する化合物も好ましい。ピロリジニウム環を有する化合物の窒素原子に結合している2つの置換基は、それぞれ独立してアルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲンである。また、窒素原子に結合している2つの置換基は化学的に結合していてもよく、2つの置換基が化学的に結合した基としては、例えば、-(CH-(m=2~5の整数)、-CH(CH)CH(CH)-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=N-、-CH=CH-N=C-、-CHOCH-、-(CHO(CH-等が挙げられる。
ピロリジニウム環を有するポリマーは、例えば、ジアリルアミン誘導体を、ラジカル重合触媒を用いて環化重合させることにより得られる。ジアリルアミン誘導体と重合性のある炭素-炭素不飽和結合を有する化合物を共重合成分としてもよい。重合は、極性溶媒(水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトニトリル等)中で過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、第3級ブチルパーオキサイド等の重合開始剤を用い、公知の方法で実施できるが、これに限定するものではない。
上述したアンモニウム基を有する化合物のアンモニウム基の対イオン(カウンターイオン)となるアニオンとしては例えば、ハロゲンイオン、スルホナート、ホスファート、ニトラート、アルキルスルホナート、カルボキシラート等のイオンが挙げられる。
アンモニウム基を有する化合物の数平均分子量は、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~350,000、さらに好ましくは5,000~200,000である。数平均分子量が1,000以上であれば、塗膜の強度、耐熱安定性がより優れる。数平均分子量が500,000以下であれば、帯電防止層を形成するための塗布液の粘度が低く、取扱い性や塗布性が良好である。
導電性有機高分子としては、公知の材料を使用することができるが、例えば、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリアセチレン系、ポリフェニレンサルファイド系等が挙げられる。これらの中でもポリチオフェン系(ポリチオフェン又はポリチオフェン誘導体)が、高い透明性と高い導電性の両立や、着色し難さ、コーティングによる性能の発現が出しやすいため好ましい。ポリチオフェン系の中でもポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)をポリスチレンスルホン酸と複合させた化合物が、導電性能の観点から特に好ましい。導電性有機高分子は、高い導電性を示し、湿度依存性が少なく、かつ様々な用途展開が期待できるという点において好ましい。
ポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエチレングリコールを側鎖に有するアクリル樹脂等が挙げられる。
スルホン酸基を有する化合物において、スルホン酸基は、中和剤で中和されて塩の形態となっていてもよい。スルホン酸基を有する化合物としては、ポリスチレンスルホン酸及びその塩等、分子内に複数のスルホン酸基を有する化合物が好ましい。
帯電防止層には帯電防止剤以外に帯電防止剤の保持などの特性付与のために各種の従来公知の樹脂を使用することができる。樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂(ポリビニルアルコール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等)等が挙げられる。その中でも、帯電防止剤との相性を考慮するとアクリル樹脂やポリビニル樹脂が好ましい。また、基材との密着性を考慮するとポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。
アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル系モノマーを含む重合性モノマーの重合体である。アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体及び共重合体、(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。
アクリル樹脂は、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体であってもよい。このような共重合体は、例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。又は、ポリエステルの溶液又は分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、ポリウレタンの溶液又は分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、他のポリマーの溶液又は分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」、また「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の一方または双方を含むことを意味する。
上記重合性モノマーとしては、特に限定されないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有モノマー及びそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネート等の水酸基含有モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等の窒素含有モノマー;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等のスチレン系化合物、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の珪素含有モノマー;燐含有ビニル系モノマー;塩化ビニル、塩化ビリデン等のハロゲン化ビニル;ブタジエン等の共役ジエンが挙げられる。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことであり、典型的には、ポリオールとポリイソシアネート化合物との反応により合成される。ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用してもよい。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールは、多価アルコールとカーボネート化合物との反応(脱アルコール反応)により得られる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコールとの反応により得られるもの、ポリカプロラクトン等のラクトン化合物の誘導体ユニットを有するもの等が挙げられる。多価カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等が挙げられる。
ポリオールとしては、密着性能を考慮すると、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールが好ましい。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂としては、主な構成成分が多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸及び、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム等が挙げられる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
ポリビニル樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールが挙げられ、ポリビニルアルコール部位を有するものであり、例えば、ポリビニルアルコールに対し、部分的にアセタール化やブチラール化等された変性化合物も含め、従来公知のポリビニルアルコールを使用することができる。ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300~40,000の範囲のものが用いられる。重合度が100未満の場合、帯電防止層の耐水性が低下する場合がある。また、ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されるものではないが、70mol%以上、好ましくは70~99.9mol%の範囲であるポリ酢酸ビニルケン化物である。
帯電防止層を強固にするために架橋剤由来の化合物を含有させることも可能である。架橋剤としては、公知の材料を使用することができ、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物等が挙げられる。それらの中でも、メラミン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物が好ましく、耐久性をさらに向上させる観点からは、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物やエポキシ化合物がより好ましい。これらの架橋剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用することでさらに基材密着性や耐久性が向上して良好となる場合もある。
帯電防止層にはさらに、ブロッキングや滑り性改良のために粒子を含有していてもよい。また本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。
また帯電防止層は上述のような樹脂を主体とする層のみならず、耐擦傷性を向上させて各種の用途に展開するために硬化層、例えばハードコート層であってもよい。ハードコート層であっても上述の帯電防止剤を使用することが可能である。
ハードコート層としては活性エネルギー線硬化や熱硬化など従来公知の手法で設けることが可能である。短時間で硬化させることができ基材へのダメージが少ないことから活性エネルギー線硬化によるハードコート層が好ましい。
活性エネルギー線硬化性化合物としては、従来公知の材料を使用することができるが、例えば、(メタ)アクリレートが好適な材料として挙げられる。(メタ)アクリレートは特に限定はなく、単官能(メタ)アクリレート、二官能(メタ)アクリレート、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートのいずれであってもよい。(メタ)アクリレートは、硬化性樹脂材として市販されているものも使用できる。(メタ)アクリレートは本発明の目的を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。これらの中でも特に耐摩耗性に優れることから二官能または三官能以上の多官能(メタ)アクリレートであることが好ましく、特に三官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。また、(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を使用することも可能である。特に成形性や伸び性などを考慮した場合には(メタ)アクリル(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、モルフォリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ-ルモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート、無水フタル酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物等のモノ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
二官能の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ-ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも特に耐摩耗性が良好であることから、四官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく、さらに六官能以上の(メタ)アクリレートがより好ましい。さらに成形加工時の伸び性との両立も考慮すると、アルキル鎖を延長した多官能(メタ)アクリレート、特にアルキル鎖を延長した四官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル鎖を延長した六官能以上の(メタ)アクリレートがさらに好ましい。例えば、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ-トは最適な材料である。特に(メタ)アクリレートの1分子に対してカプロラクトンによる変性が2個以上であると伸び性に好ましく、特に伸び性を重視したい用途には6個以上であることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化性化合物の硬化性促進として、光重合開始剤を使用することも可能である。具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジフェニルジスルフィド、ジベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、p,p’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ピバロインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1-ジクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレート、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベンゾスパロン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリレート以外の活性エネルギー線硬化性の官能基を有する各種化合物も使用することができるし、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、染料、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、防曇剤等の各種の添加剤を使用してもよい。
また、帯電防止層を形成する場合において、基材上への塗布の方法による場合、
各種の溶媒を必要に応じて使用することもできる。溶媒としては水や、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;等が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらの溶媒のうち、環境面を考慮すると水が好ましく、また塗布における作業性を向上させやすい点で、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤およびケトン系溶剤が好ましい。
帯電防止層を形成する組成物中の不揮発成分(固形分)の含有量は、使用する材料系にも依存するので一概にはいえないが、例えば0.1~100質量%の範囲である。
なお、不揮発分とは、溶剤等の溶媒以外の成分の合計質量である。帯電防止層を形成する組成物の不揮発分は、従来公知の方法で測定することができ、例えば、1gの組成物を広げて、100℃で1時間加熱することで溶媒を揮発させたときの重さの変化により測定される。
帯電防止層の形成に関しては従来公知の方法を用いることができ、例えば塗布や転写などが挙げられる。工程数が少ない、また簡便に付与ができるという観点において塗布による方法が好ましい。帯電防止層を形成する際の塗布方法としては、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート、ディップコート、スピンコート等の公知のコーティング方式を用いることができる。
また、基材は帯電防止層との密着性を向上させる、塗布性をよくする等のために、コロナ処理やプラズマ処理を施すことも可能である。
帯電防止層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるものではないが、塗布液に使用している水や有機溶剤等の媒体の乾燥に関しては、通常30~200℃、好ましくは50~150℃、さらに好ましくは70~120℃の範囲である。乾燥時間は、0.01~30分が好ましく、0.1~10分がより好ましい。また熱硬化による帯電防止層の場合、乾燥と熱硬化を同時あるいは連続で行うことも可能である。
活性エネルギー線による硬化の場合において用いる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、赤外線、X線等が挙げられる。それらの中でも硬化性と樹脂劣化防止の観点から紫外線や電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。また、活性エネルギー線の照射量は、照射する活性エネルギー線に応じて適宜選定できる。
例えば、紫外線を用いる場合、照射の積算光量は20~5000mJ/cmが好ましく、100~3000mJ/cmがより好ましく、200~2000mJ/cmがさらに好ましい。また、照度としては、50~600mW/cmが好ましく、75~450mW/cmがより好ましく、100~300mW/cmがさらに好ましい。光源としては、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、又は走査型、カーテン型電子線加速路による電子線等高圧水銀灯、超高圧水銀灯等、低圧水銀灯等を用いることができる。
また、電子線照射で硬化させる場合は、種々の電子線照射装置を使用することができる。電子線の照射量(Mrad)は、好ましくは0.5~20Mradであり、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性、硬化物の可撓性、基材の損傷防止等の観点から より好ましくは1~15Mradである。
帯電防止層100質量%中の帯電防止剤の割合は、帯電防止剤の種類にも依存するので一概ではないが、例えば0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上の範囲であり、上限は特になく100質量%である。基材との密着性向上や、さらに帯電防止層の上に機能層を設けるなどの場合には併用する他材料の割合を多くすることもよく、その場合においては好ましくは0.1~90質量%、より好ましくは1~80質量%、さらに好ましくは3~70質量%の範囲である。帯電防止剤の割合が上記範囲内であれば、帯電防止層に十分な帯電防止機能を付与しやすく、耐久性も良好なものとなる。
帯電防止層の厚みは、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.05~10μm、さらに好ましくは0.1~7μmの範囲である。帯電防止層の厚みが上記範囲内であれば、所望の帯電防止性の特性を実現しやすい。
なお帯電防止層の厚みは、電子顕微鏡等による断面観察により求められる。
帯電防止層の表面抵抗値としては、好ましくは1×1013Ω以下、より好ましくは1×1012Ω以下、さらに好ましくは1×1011Ω以下、特に好ましくは1×1010Ω以下の範囲である。また下限は特に制限はないが100Ω以上である。上記範囲にすることでほこりなどの異物の付着が抑えられる。
基材および帯電防止層中の成分の分析は、例えば、TOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)、ESCA(X線光電分光法)、蛍光X線、IR(赤外分光法)等によって行うことができる。
また、本発明の帯電防止層の上にさらに機能層を設けることも可能である。機能層としては従来公知のものが挙げられ、例えば反射防止層、低反射層、高反射層、アンチグレア層、アンチブロッキング層、防汚層、防曇層、粘着層等が挙げられる。さらに基材の帯電防止層がある側と反対面側に各種の機能層を設けることも可能である。基材の両面ともに帯電防止層を設けることも可能である。
本発明の積層体は、各種用途の中でも特に複屈折率などの光学特性に優れる点からディスプレイ部材や電気・電子部品に好適に用いることができ、一般的なポリカーボネート樹脂に比較すると耐傷付き性に優れる点から自動車用部品や各種レンズに好適に用いることができ、同様に一般的なポリカーボネート樹脂に比較すると加工性に優れることから各種フィルム用途、例えばディスプレイ用部材や加飾用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明で用いた測定方法及び評価方法は次のとおりである。
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量の測定
機器:東ソー株式会社製「HLC-8120GPC」、
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H1000+H2000+H3000」、
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)、
溶媒:テトラヒドロフラン、
温度:40℃、
流速:0.5mL/分、
注入量:10μL、
濃度:0.2質量%、
校正試料:単分散ポリスチレン、
校正法:ポリスチレン換算。
(2)ガラス転移温度の測定
粘弾性スペクトロメーターDVA-200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7198A法の動的粘弾性測定)を行った。損失正接(tanδ)の主分散のピークを示す温度をガラス転移温度とした。
(3)帯電防止層の表面抵抗値の測定
株式会社三菱ケミカルアナリテック製、高抵抗率計:ハイレスタ MCP-HP450を用い、印過電圧100V、23℃、50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿し、その後、帯電防止層側の表面抵抗値を測定した。
表面抵抗値がOVERと出る場合は、高抵抗率計で測定できないほど表面抵抗値が高いことを示す。
表面抵抗値がUNDERと出る場合には、高抵抗率計で測定できないほど表面抵抗値が低いので、下記の方法で測定した値を表面抵抗値とした。
株式会社三菱ケミカルアナリテック製、低抵抗率計:ロレスタGP MCP-T610に四探針型ESPプローブ(探針間隔:5mm、探針先形状:直径2mmの円筒、探針押し圧:240g/本、RCF値は4.235一定とした)を使用し、23℃、50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿し、その後、帯電防止層側の表面抵抗値を測定した。
(4)帯電防止層の耐擦傷性の評価方法
不織布(旭化成株式会社製 ベンコット(登録商標)M-3II)を用いて帯電防止層上を強く擦りキズや跡が見られない場合(耐擦傷性が良好)をA、キズや跡が見られた場合をBとして評価を行った。
実施例および比較例において使用した材料は、以下のとおりである。
(基材)
・ISB:イソソルビド
・CHDM:1,4-シクロヘキサンジメタノール
・TCDDM:トリシクロデカンジメタノール
・DPC:ジフェニルカーボネート
・Irganox1010:ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ビーエーエスエフ社製、熱安定剤)
・AS2112:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(株式会社ADEKA社製、熱安定剤)
・E-275:エチレングリコールジステアレート(日油株式会社製、離型剤)
(帯電防止層の化合物例)
・アンモニウム基を有する高分子タイプの帯電防止剤:(A1)
主鎖にピロリジニウム環を有する以下のモノマー組成から構成された数平均分子量30,000の高分子。
モノマー組成:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/ジメチルアクリルアミド/N-メチロールアクリルアミド=90/5/5(mol%)。
・アンモニウム基を有する高分子タイプの帯電防止剤:(A2)
下記に示す方法で製造した数平均分子量100,000の高分子。
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(66質量部)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(20質量部)、2-エチルヘキシルメタクリレート(30質量部)、アゾビスイソブチロニトリル(1質量部)、イソプロピルアルコール(200質量部)およびメチルエチルケトン(100質量部)を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換し、80℃に昇温し、8時間反応して共重合体の溶液を得た。
・ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)をポリスチレンスルホン酸と複合させた数平均分子量が1,000以上である導電性有機高分子化合物:(A3)。
・アクリル樹脂:(B1)
下記組成からなるアクリル樹脂
エチルアクリレート/ノルマルブチルメタクリレート/アクリル酸=25/73/2(質量%)
・ポリビニルアルコール:(B2)
ケン化度88mol%、重合度500のポリビニルアルコール
・(メタ)アクリレート:(C1)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(六官能)(日本化薬株式会社製 カヤラッド(登録商標)DPHA)
・(メタ)アクリレート:(C2)
1分子あたり12個のカプロラクトンにより変性されたジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(六官能)(日本化薬株式会社製 カヤラッド(登録商標)DPCA-120)
・(メタ)アクリル(メタ)アクリレート:(C3)
下記に示す方法で製造した(メタ)アクリル樹脂
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(178質量部)、グリシジルメタクリレート(20質量部)、メチルメタクリレート(79質量部)、エチルアクリレート(1.0質量部)、及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.6質量部)を加えて、65℃で3時間反応させた。その後、さらに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.3質量部)を加えて3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(48質量部)とp-メトキシフェノール(0.5質量部)を加え100℃まで加熱した。
次に、アクリル酸(10質量部)、及びトリフェニルホスフィン(1.6質量部)を添加して、110℃で6時間反応させることで、ラジカル重合性二重結合量(アクリロイル基濃度(アクリロイル基の導入量))615g/mmolの(メタ)アクリル樹脂(A-1)を得た。重量平均分子量は48800であった。水酸基価は91mgKOH/mgであった。
・光重合開始剤:(D)
1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.社製 Omnirad 184)
[実施例1]
竪型撹拌反応器3基、横型撹拌反応器1基、減圧ベント付き二軸押出機の順に連結された連続重合設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。ISB、CHDM、DPCをそれぞれ原料調製タンクで溶融させ、モル%でISB/CHDM/DPC=70/30/101の割合で第一竪型撹拌反応器へ連続的に供給した。併せて重合触媒として酢酸カルシウム一水和物水溶液を全ヒドロキシ化合物1モルに対して1.5μモルとなるように第一竪型撹拌反応器へ供給した。
各反応器の温度、圧力、滞留時間はそれぞれおよそ、第一竪型:190℃、25kPa、90分、第二竪型:195℃、10kPa、45分、第三竪型:210℃、3kPa、45分、第四横型:225℃、0.5kPa、90分とした。
得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度がおよそ0.38~0.39dL/gとなるように、第四横型撹拌反応器の内圧を調整しながら運転した。
第四横型撹拌反応器よりおよそ60kg/時の流速で重合反応物を抜き出して、溶融状態のまま減圧ベント付き二軸押出機(TEX30α、L/D=42、日本製鋼所社製)へ供給した。
この押出機は3箇所に減圧ベント口を備えており、第二ベントの手前で溶融樹脂に対しおよそ2000質量ppmの比率で連続的に注水し、いわゆる注水脱揮を行った。次いで第三ベントの手前で熱安定剤等Irganox1010、AS2112、E-275を0.1質量部、0.05質量部、0.3質量部の比率で連続的に供給して溶融混練した。押出機を通過した溶融樹脂は、目開き10μmのキャンドル型フィルタを通して異物を濾過し、ダイスからストランド状に排出させ、水冷固化させ、回転式カッターでペレット化し、ガラス転移点が120℃の共重合ポリカーボネート樹脂を得た。
押出機に共重合ポリカーボネート樹脂を供給し、240℃で溶融した後、Tダイを用いて120℃に設定した冷却ロール上に、冷却固化させて、厚さ50μmのフィルム(基材S1)を得た。
得られたフィルム上に、下記表1に示す塗布液F1を塗布し、80℃で1分間乾燥し、厚さ0.1μmの帯電防止層を形成し積層体を得た。
得られた積層体は帯電防止層の表面抵抗値も低く、ほこりなどの異物の付着を防止できるものであった。この積層体の特性を下記表2に示す。
[実施例2、3]
実施例1において、帯電防止層の塗布液組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表2に示す。
[実施例4]
実施例1において、帯電防止層の塗布液組成を表1に示す塗布液F4に変更し、80℃で1分間乾燥後、高圧水銀灯で300mJ/cm、200mWの光を塗膜に照射し硬化させて、厚さ5μmの帯電防止層を形成すること以外は実施例1と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性は下記表2に示すとおり、良好な帯電防止層の表面抵抗値であった。
[実施例5、6]
実施例4において、帯電防止層の塗布液組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例4と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表2に示す。
[実施例7]
実施例1において、基材の樹脂原料をCHDMからTCDDMに変更(基材S2)する以外は実施例1と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性は下記表2に示すとおり、良好な帯電防止層の表面抵抗値であった。なお実施例7の共重合ポリカーボネート樹脂のガラス転移点は130℃であった。
[実施例8]
実施例7において、帯電防止層の塗布液組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例7と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表2に示す。
[実施例9、10]
実施例7において、帯電防止層の塗布液組成を表1に示す塗布液に変更し、80℃で1分間乾燥後、高圧水銀灯で300mJ/cm、200mWの光を塗膜に照射し硬化させて、厚さ5μmの帯電防止層を形成すること以外は実施例7と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性は下記表2に示すとおり、良好な帯電防止層の表面抵抗値であった。
[比較例1]
実施例1において、帯電防止層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして製造し、フィルムを得た。得られたフィルムは表2に示すとおり、表面抵抗値は悪いものであった。なお、表面抵抗値は、帯電防止層の表面抵抗値と同様の方法で測定した。
[比較例2]
実施例1において、塗布液組成を表1に示す塗布液に変更し、帯電防止剤を含有しない塗布層を形成すること以外は実施例1と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体は表2に示すとおり、帯電防止層の表面抵抗値は悪いものであった。
[比較例3]
実施例4において、塗布液組成を表1に示す塗布剤に変更し、帯電防止剤を含有しない塗布層を形成すること以外は実施例4と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体は表2に示すとおり、帯電防止層の表面抵抗値は悪いものであった。
Figure 2024024501000001
Figure 2024024501000002

Claims (8)

  1. イソソルビド構造を有する化合物を含有する基材上に、高分子タイプの帯電防止剤を含有する帯電防止層を有する積層体。
  2. 前記基材を構成する樹脂がポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材を構成する樹脂のガラス転移点が40~180℃である請求項2に記載の積層体。
  4. 前記高分子タイプの帯電防止剤がアンモニウム基を有する化合物または導電性有機高分子である請求項1に記載の積層体。
  5. 前記帯電防止層の表面抵抗値が1×1013Ω以下である請求項4に記載の積層体。
  6. 前記帯電防止層が硬化層である請求項5に記載の積層体。
  7. 前記積層体がフィルムである請求項3または請求項5に記載の積層フィルム。
  8. イソソルビド構造を有する化合物を含有する基材上に、帯電防止剤を含有する塗布液を塗布することにより帯電防止層を形成する積層体の製造方法。
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