JP6349866B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
合したポリカーボネートが多数提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。上記特
許文献には、イソソルビドを用いたポリカーボネート樹脂の提案がなされている。
さらに、イソソルビドに由来する構造単位を有するカーボネートと酸化防止剤を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物をシート状に射出成形し、少なくとも1つの表面にハードコート処理を施した樹脂成形品(特許文献6参照)が提案されている。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、上記特許文献のようなイソソルビドを含むポリカーボネート樹脂単体よりも硬度が向上され、密着性が良好であり、耐衝撃性に優れる積層体を提供することである。
[1] 下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有するポリカーボネート樹脂を含有する層(A層)および多官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる層(B層)を有し、
該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、アクリル系共重合体(α)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
アクリル系共重合体(α)が、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものである活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる層である、積層体。
共重合体(β):構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A)、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)およびその他共重合可能なモノマー(C)の共重合体
化合物(γ):分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
[2]前記A層と前記B層とが直接隣接するように形成されていることを特徴とする[1]に記載の積層体。
[3]前記ポリカーボネート樹脂中の構造単位(b)が、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構成単位であることを特徴とする[1]又は[2]のいずれかに記載の積層体。
[4]一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の積層体。
[6]前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、前記アクリル系共重合体(α)を0.05重量%〜10重量%含有することを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の積層体。
[7]前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のアクリル共重合体(α)が共重合可能なモノマー(C)として、炭素数4〜22の直鎖または分岐型アルキル(メタ)アクリレートから少なくとも一つ選ばれる(メタ)アクリレートを含む、[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の積層体。
[8][1]乃至[7]のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とするディスプレイの前面板。
[9][1]乃至[7]のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とするタブレット型パーソナルコンピュータの前面板。
[10][1]乃至[7]のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とする車載用ディスプレイの前面板。
ズや、光ディスク、光学材料、光学部品などの光学用途などの幅広い分野へ適用可能な樹脂成形品を提供することが可能になる。
なお、本明細書において(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基とメタクリロイル基との総称である。(メタ)アクリル、(メタ)アクリレートについても同様である。
また、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の積層体は、以下のとおりである。
下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有するポリカーボネート樹脂を含有する層(A層)
および多官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる層(B層)を有する積層体。
本発明のA層は、成形体が軽量である事を重視する場合、厚さ0.05mm以上であることが好ましく、0.075mm以上であることがより好ましく、0.1mm以上であることが最も好ましい。また、例えば表示体として用いる際の薄型化のため、8mm以下であることが好ましく、6mm以下であることがより好ましく、4mm以下であることが最も好ましい。
0μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが最も好ましい。
本発明のA層は、下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有す
るポリカーボネート樹脂を含有する層であることを特徴としている。
以下、本発明の成形品を得るためのポリカーボネート樹脂及びそれに基づく樹脂組成物について詳述する。
<原料>
(ジヒドロキシ化合物)
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(以下、「本発明に用いる樹脂」と称することがある。)は、構造の一部に下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物(以下、「本発明に用いるジヒドロキシ化合物」と称することがある。)に由来する構造単位(a)を少なくとも含有する。即ち、本発明に用いるジヒドロキシ化合物は、2つのヒドロキシル基と、更に構造の一部に下記一般式(1)で表される構造を少なくとも含むものである。
これらは得られる樹脂の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることが樹脂の耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
ニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類を使用することもできる。
、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、上述した本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いる樹脂は上記特定の構造単位(a)を有するポリカーボネート樹脂であり、該樹脂は本発明の要旨を損なわない範囲でその他の添加物を加えて、ポリカーボネート樹脂組成物として使用してもよい。
本発明に用いる樹脂は、上述のように本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応させて製造できる。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行う。
用いられる触媒としては、耐光性を満足させ得る、即ち上記した波長350nmにおける光線透過率や、イエローインデックスを所定の値にし得るものであれば限定されないが、長周期型周期表における第1族または第2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
ナトリウム、ナトリウムのアルコレート若しくはフェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩等のナトリウム化合物、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸カリウム、水素化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素カリウム、安息香酸カリウム、リン酸水素2カリウム、フェニルリン酸2カリウム、カリウムのアルコレート若しくはフェノレート、ビスフェノールAの2カリウム塩等のカリウム化合物、水酸化リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素リチウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2リチウム、リチウムのアルコレート若しくはフェノレート、ビスフェノールAの2リチウム塩等のリチウム化合物、水酸化セシウム、炭酸水素セシウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2セシウム、セシウムのアルコレート若しくはフェノレート、ビスフェノールAの2セシウム塩等のセシウム化合物等が挙げられ、中でもリチウム化合物が好ましい。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
樹脂中の金属量は、湿式灰化などの方法で樹脂中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に原料調製槽等において、均一に混合することが好ましい。又、原料調製槽等において均一に混合された原料は、原料貯槽等に貯め置いた後に、エステル交換反応に供してもよい。
い。
このモル比率が小さくなると、製造された樹脂の末端水酸基量が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、成形時に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望する高分子量体が得られない可能性がある。
更には、本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含む全ジヒドロキシ化合物に対して、前記一般式(4)で表される炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られる樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収して樹脂の耐光性を悪化させる場合があり、好ましくない。本発明に用いる樹脂に残存する前記一般式(4)で表される炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは60重量ppm以下、更に好ましくは50重量ppm以下、特に好ましくは40重量ppm以下が好適である。現実的に樹脂は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、濃度の下限値は通常1重量ppmである。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比率を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本願発明の目的を達成することができない可能性がある。
本発明に用いる樹脂は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制することが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせ
るために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去することが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するためには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
反応器が2基以上あれば、その反応器内で、更に条件の異なる反応段階を複数設定したり、連続的に温度・圧力を変えたりしてもよい。
重合反応の温度は、低すぎると反応速度の低下や反応時間の延長などにより生産性が低下し、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。
また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジフェニルやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂は、重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
押出機中の、溶融混練温度は、樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150℃〜300℃、好ましくは200℃〜270℃、更に好ましくは230℃〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
また、押し出された樹脂を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
更に本発明に用いる樹脂の下記一般式(5)で表される末端基の濃度(「末端フェニル基濃度」という)の下限量は、好ましくは20μeq/g、更に好ましくは40μeq/g、特に好ましくは50μeq/gであり、一方、上限量は好ましくは160μeq/g、更に好ましくは140μeq/g、特に好ましくは100μeq/gである。
下記一般式(5)で表される末端基の濃度を制御するには、原料である本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記一般式(4)で表される炭酸ジエステルのモル比率を制御する他、エステル交換反応時の触媒の種類や量、重合圧力や重合温度を制御する方法等が挙げられる。
また、本発明に用いる樹脂の芳香環に結合した水素原子(H)の当量数を(A)、芳香環以外に結合した水素原子(H)の当量数を(B)とした場合、芳香環に結合した水素原子(H)の当量数の全水素原子(H)の当量数に対する比率は、A/(A+B)で表されるが、耐光性には上述のように、紫外線吸収能を有する芳香族環が影響を及ぼす可能性があるため、A/(A+B)の値は0.05以下であることが好ましく、更に好ましくは0.03以下、特に好ましくは0.02以下、好適には0.01以下である。A/(A+B)は、1H−NMRで定量することができる。
前述の通り、本発明において用いるポリカーボネート樹脂には、本発明の要旨を損なわない範囲でその他の添加物を加えて、ポリカーボネート樹脂組成物として使用されることが一般的である。
このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、酸性化合物、紫外線吸収剤、光安定剤、無機充填剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、フェノール系酸化防止剤及び/またはホスファイト系酸化防止剤が更に好ましい。
ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の化合物が挙げられる。
における金型への付着物が多くなったり、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観が損なわれるおそれがある。
これらの酸性化合物は、上述した樹脂の重縮合反応において使用される塩基性エステル交換触媒を中和する化合物として、樹脂組成物の製造工程において添加することができる。
無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、シリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、ワラストナイト等の珪酸カルシウム;カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、チタン酸カリウム繊維、ウィスカー等が挙げられる。これらの中でも、ガラスの繊維状充填材、ガラスの粉状充填材、ガラスのフレーク状充填材;炭素の繊維状充填材、炭素の粉状充填材、炭素のフレーク状充填材;各種ウィスカー、マイカ、タルクが好ましい。より好ましくは、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、ワラストナイト、マイカ、タルクが挙げられる。
また、本発明で用いる樹脂組成物は例えば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
の混合機により混合して製造することができる。更に、本発明の目的を損なわない範囲で、樹脂組成物に通常用いられる核剤、難燃剤、無機充填剤、衝撃改良剤、発泡剤、染顔料等が含まれても差し支えない。
また、この樹脂組成物は、リチウム化合物及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有することが好ましく、該金属化合物の含有量は、金属量として、好ましくは0.1重量ppm以上、更に好ましくは0.5重量ppm以上、特に好ましくは0.7重量ppm以上とする。また上限としては、好ましくは20重量ppm、更に好ましくは10重量ppm、特に好ましくは3重量ppm、最も好ましくは1.5重量ppm、中でも1.0ppm重量が好適である。
<物性・特性>
本発明の樹脂成形品は、本発明に用いる樹脂組成物を常法に従って成形して得られる。
本発明の成形品の製造は、種々の方法で行うことができる。
本発明の成形品の製造は、射出成形法によって行うこともできる。射出成形の場合、成形品の形状に応じた金型を使用することにより、複雑な形状の樹脂成形品を製造することができる。射出成形は射出成形機によって行われ、使用する樹脂組成物および製品形状に応じて適宜好適な成形条件が設定される。成形条件としては、シリンダー温度、金型温度、射出圧、保圧、スクリュー回転数、クッション量、射出速度、射出時間、保圧時間、冷却時間などが挙げられる。
ましくは60℃〜80℃である。金型温度が高すぎると、成形品の生産性が低下する傾向にあり、一方、低すぎると、光学歪みが大きくなる傾向にある。
本発明のB層は、活性エネルギー線硬化性化合物である多官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる層であることを特徴としている。
<活性エネルギー線硬化性化合物>
本願発明の多官能(メタ)アクリレートは、アクリル系共重合体(α)と反応する多官能(メタ)アクリレートであることが鉛筆硬度および密着性の点から好ましい。さらに、本願発明の多官能(メタ)アクリレートは、後述する本願発明のアクリル系共重合体(α)以外 の化合物である。また分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化
合物であることが好ましい。また、硬化膜の硬度・耐擦傷性が良好であり、また硬化時の反応性も高い点から、前記多官能(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリロイル基の官能基数は、3個以上が好ましく、4個以上が特に好ましい。また、硬化前の樹脂粘度が塗工するのに適する点から、9個以下が好ましく、6個以下が特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、アクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることが、鉛筆高度および密着性の点から好ましい。また、アクリル系共重合体(α)が、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものであることを特徴とする活性エネルギー線硬
化性樹脂組成物であることがさらに好ましい。
化合物(γ):分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
アクリル系共重合体と、前記活性エネルギー線硬化性化合物について説明する。
本発明のアクリル系共重合体(α)は、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものであることを特徴とする。
本発明の共重合体(β)は、構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A)、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)およびその他共重合可能なモノマー(C)の共重合体である。
(構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A))
本発明のシリコーンモノマー(A)としては、以下の構造式(I)で表される化合物である。
びR4はそれぞれメチル基又はフェニル基、nは10〜100の整数を表し、R3およびR4は、相互に同一でも異なっていてもよい。また、R5は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
R1は水素原子又はメチル基であることを特徴としており、共重合体のガラス転移温度(以下、Tgと略記することがある)が高くなり、硬化膜表面の硬度が高くなる点から、メチル基であることが好ましい。
R3およびR4はそれぞれメチル基又はフェニル基であることを特徴としており、原料の入手および製造(反応)が比較的容易である点から、メチル基であることが好ましい。また、nは10以上の整数であることを特徴としており、硬化膜において表面易滑性が十分に発現し、滑り性が良好である点から、25以上が好ましく、50以上が特に好ましい。また、100以下の整数であることを特徴としており、原料および前記アクリル系共重合体の溶媒への溶解性および前記光硬化性化合物との相溶性が良好である点から、90以下が好ましく、80以下が特に好ましい。
本発明のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートの例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを;3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等の脂環構造に直接エポキシ基が結合している(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明に用いる「その他共重合可能なモノマー(C)」としては、本願の効果が得られるものであれば特に限定されないが、好ましくはエポキシ基との反応性が低く、生成ポリマーの安定性を低下させないモノマー、または骨格が剛直で、硬度を下げないモノマー由来の構造である。前記モノマーの例としては、炭素数1〜22の直鎖状または分岐状のアルキルを有する(メタ)アクリレート、スチレン、またはスチレンの低級アルキル基(例えば、炭素数1〜4のアルキル基)若しくは低級アルケニル基(例えば、炭素数2〜4のアルケニル基)の置換誘導体、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数5〜20の(ポリ)シクロアルキル側鎖を有するシクロアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類などを挙げることができ、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそのカチオン化剤による変性体、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそのカチオン化剤による変性体、シアノエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、(メタ)アクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリメトキシシラン、及び3−(メタ
)アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−トリフルオロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、及びシアノ化ビニリデン等のアクリロニトリル化合物、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、及びN,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物が挙げられる。
B)の重量比(%)を乗じた値を調整するためには、シリコーンモノマー(A)の数平均分子量(g/mol)を選択したり、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を選択することで、調整できる。
本発明の化合物(γ)は、分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸の他、水酸基含有多官能アクリレートと酸無水物との反応物が挙げられ、その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートマレイン酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートマレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートフタル酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤としては、公知のものを広く採用できるが、好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン(α−ヒドロキシフェニルケトン)系、α−アミノアセトフェノン系、ベンジルケタール系などのアルキルフェノン型化合物;アシルホスフィンオキシド型化合物;オキシムエステル化合物;オキシフェニル酢酸エステル類;ベンゾインエ−テル類;芳香族ケトン類(ベンゾフェノン類);ケトン/アミン化合物;ベンゾイルギ酸およびそのエステル誘導体等である。
2種以上を適宜に併用することもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、無機粒子を含有することができる。前記無機粒子と架橋密度の高い(メタ)アクリロイル共重合体とを含有させることで、より高い硬度を有するハードコートを形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供できる。
本発明における無機粒子の平均一次粒子径は、TEMなどの電子顕微鏡により観察され
る粒子の大きさを平均した径をいう。
コロイド状シリカの修飾には、加水分解性ケイ素基を有する化合物又は水酸基が結合したケイ素基を有する化合物を用いることができる。これらの化合物は、それぞれ、一種でも二種以上でもよい。加水分解性ケイ素基を有する化合物では、加水分解によりシラノール基が生成し、それらのシラノール基がコロイド状シリカ表面に存在するシラノール基と反応して結合することにより表面修飾コロイド状シリカが生成する。
コロイド状シリカの表面修飾は、コロイド状シリカと加水分解性ケイ素基を含有する化合物、触媒、水を20〜100℃にて1〜40時間反応させることにより行うことができる。
ことがより好ましい。
本発明に用いられる無機粒子は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(I)100重量部に対し、5重量部以上含有させることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましく、20重量部以上であることが更に好ましい。また、70重量部以下であることが好ましく、50重量部以下であることがより好ましく、40重量部以下であることが更に好ましい。
本発明の活活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(I)の調製方法は特段限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル共重合体と多官能(メタ)アクリレートを、必要に応じて、溶媒、重合開始剤、添加剤などと併せて混合することにより調製することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(I)の調製で用いられる溶媒は、特に限定されるものではなく、(メタ)アクリロイル共重合体、多官能(メタ)アクリレート、塗布の下地となる基材の材質、および組成物の塗布方法などを考慮して適宜選択される。用いることができる溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(I)は、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。このような添加剤として、レベリング剤、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤などの常用の添加剤が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、スピンコート、デイップコート、フローコート、スプレーコート、バーコート、グラビ
アコート、ロールコート、ブレードコート、エアナイフコート等を好ましく挙げることができる。
硬化膜を得る際に活性エネルギー線を用いる場合、その照射法としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線、または通常20〜2000kVの粒子加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線、等の活性エネルギー線(エレクトロンビーム、EB)が挙げられる。このような活性エネルギー線で硬化した硬化膜は生産性・物性のバランスに優れ、特に好ましい。
本発明の積層体は、例えば、A層の上に本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(I)を硬化してなるB層を形成し、ロール状に巻き付けていくことにより製造することができる。
<本願発明が効果を奏する理由>
本願発明が効果を奏する理由としては、以下のように推察される。
単位(a)のみならず、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)を有する事により、B層との親和性を高め、高い密着性を与えることが可能となり、本願発明の効
果を奏するものと推察される。
本発明は、さらに、本発明の積層体と、光源とを含む表示装置に関する。この場合、積層体に含まれる基材は透光性基材であることが望ましい。また、光源は、基材の背面、すなわち基材の微細凹凸層とは反対側の面に配置され、そこから基材に向けて光を照射することが好ましい。
なお、透光性基材の厚さは、用途に応じて適時選択することができるが、一般に10〜2000μm程で用いられる。
matic)型液晶セル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶セル、IPS(In Plane Switching)型液晶セル、VA(Vertical Ali
gnment)型液晶セル、MVA(Multiple Vertical Alignment型液晶セル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶セルなどを挙げることができる。
なお、以下の諸例において「部」とあるのは「重量部」を意味する。
下記の実施例等で得られた積層体の物性は下記の方法により評価した。
ポリカーボネート樹脂組成物のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、相対粘度から次式より比粘度ηsp
を求めた。
ηrel=t/t0
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
ポリカーボネート樹脂組成物中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比は、ポリカーボネート樹脂組成物30mgを秤取し、重クロロホルム約0.7mLに溶解し、溶液とし、これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温で1H NMRスペクトルを測定した。各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に基づくシグナル強度比より各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比を求めた。
名機製作所(株)製の型締め力200トンの射出成形機に幅100mm、長さ100mm、肉厚1.0mmのキャビティーに、ゲート幅40mm、ゲート厚さ0.8mmのファンゲートゲートを1つ設けた金型を装着して、金型温度80℃、射出圧力180〜250MPa、保圧60〜80MPa、保圧時間2秒、冷却時間30秒でプレートを成形し、本発明における樹脂組成物層(A層)を得た。
<合成例1>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量10,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0725」)20重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)30重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)40重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さ
らにV−65を0.06重量部を添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK68.8重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.3重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製
)15.5重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌した。冷却後、MIBK253部を添加し、共重合体(F1)の溶液を得た。反応液の組成は(F1)/MIBK=20/80(重量比)であった。
合成例1で得られた共重合体(F1)の溶液、及び硬化性モノマーDPHAおよびアロニックスM313を固形分比で2:12:86になるように配合し、さらに光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure184」)を4.0重量部、α−アミノフェニルケトン系光重合開始剤(BASF社製「Irgacure907」)を0.5重量部添加した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル/メチルイソブチルケトン=1/1(重量比)の溶液で固形分が40%になるように希釈し、配合液Iを得た。
得られた配合液Iを、上記(3)で得られたたA層の上に、乾燥後の塗膜が表に記載の膜厚になるようにバーコーターにて塗布し、80℃で2分間加熱して塗膜を乾燥させた。次いで、出力120W/cmの高圧水銀灯を使用し、450mW/cm2、500mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化膜を被覆させた積層体を得た。なお、各実施例および比較例に対し、表1に記載のとおり、B層の膜厚を変更したものを作成した。
上記(3)で得られた、A層と、上記(4)で得られた硬化膜を被覆させた積層体につ
いて、JIS準拠鉛筆硬度計(太佑機材社製)を用い、JIS K−5400の条件に基
づき測定を行い、傷の入らないもっとも硬い鉛筆の番手で評価した。積層体については、ハードコート層を有する面の鉛筆硬度を測定した。積層体の鉛筆硬度は、3H以上の硬さがよく、さらに、A層の硬度に比べ、積層体の硬度が2段階以上(例えば、Fから2H等)
向上している事が好ましい。鉛筆硬度が3H未満の場合、得られる成形品が傷つきやすく
、外観が損なわれやすいという問題点を生じるおそれがある。また、基材の硬度に比べ、積層体の硬度向上が2段階未満の場合は、ハードコート層を塗工する際の費用対効果が損なわれやすいという問題点を生じるおそれがある。なお、鉛筆硬度は、硬い方から順番に7H,6H,5H,4H,3H,2H,H,F,HB,B,2B,3B,4Bの順番で表さ
れる。なお、本発明においては、2H以上を合格とした。
上記(4)の方法により活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体を得た後、JIS K−5400の碁盤目剥離試験(碁盤目数:100個)に準じて評価し、剥離しなかった碁盤目の数を 表1に記載した。
上記(4)の方法により活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体を得た後、積層体を平坦な机上に置き、4つの角(かど)部分の机面からの距離(反り量)を測定して平均値を求め、以下の基準で評価した。
○:反り量が1.5mm未満であるもの。
△:反り量が1.5mm以上、3mm未満であるもの。
×:反り量が3mm以上であるもの。
上記(4)の方法により活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体を得た後、デュポン衝撃試験機(東洋精機製作所)を用いて、100gの錘を30cmの高さから積層体に落下させ耐衝撃性を評価した。この時、硬化膜(B層)側の面を
撃芯との接触面とした。なお、評価として○は積層体が割れなかったことを示し、×は積層体が割れたことを示す。
上記(4)の方法により活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体を得た後、温度80℃、湿度90%に調整された恒温恒湿槽中の金属製棚の上に120時間静置(B層を上にし、平置き)した後に取出し、硬化膜(B層)における亀裂(クラック)の有無を確認した。 硬化膜(B層)における亀裂(クラック)が見られない樹
脂の耐湿熱性を○、硬化膜(B層)における亀裂(クラック)が見られる積層体の耐湿熱
性を×とした。
(ジヒドロキシ化合物)
・ISB:イソソルビド (ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(新日本理化(株)製、商品名:SKY CHDM)
・TCDDM:TCDDM:トリシクロデカンジメタノール
(炭酸ジエステル)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
(熱安定剤)
・AS2112:化合物名、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト((株)ADEKA製)
(酸化防止剤)
・IRGANOX1010:化合物名、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASFジャパン(株)製)
(離形剤)
・E−275:化合物名、ジステアリン酸エチレングリコール(日油(株)製)
(ビスフェノールA系ポリカーボネート:BPA系PC)
・NOVAREX 7022R:2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する構造のみを有する芳香族ポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量22,000(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)
(PMMA)
・アクリペット VH:ポリメタクリル酸メチル樹脂(三菱レイヨン株式会社製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISBとCHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPCおよび酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005vol%〜0.001vol%)。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
得られた樹脂組成物と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体の各種評価結果を表1に示す。
実施例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.90/0.10/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体の各種評価結果を表1に示す。
実施例1において、仕込み組成をISB/TCDDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体の各種評価結果を表1に示す。
実施例1において、仕込み組成をISB/TCDDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.80/0.20/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート共重合体樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体の各種評価結果を表1に示す。
実施例1において、仕込み組成をISB/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.10/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、実施例1と同様にカーボネート重合体樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体の各種評価結果を表1に示す。
市販のビスフェノールA系ポリカーボネート、NOVAREX 7022R(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体の各種評価結果を表1に示す。
市販のPMMA、アクリペット VH(三菱レイヨン株式会社製)と、活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物による硬化膜を被覆させた積層体の各種評価結果を表1に示す。
一方、比較例1は構造単位(a)のみに由来する構造を有する成形品であり、耐衝撃性が不十分であり、さらに密着性も悪い。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)とを有するポリカーボネート樹脂を含有する層(A層)
および多官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる層(B層)を有し、
該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、アクリル系共重合体(α)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
アクリル系共重合体(α)が、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものである活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる層である、積層体。
共重合体(β):構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A)、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)およびその他共重合可能なモノマー(C)の共重合体
化合物(γ):分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
- 前記A層と前記B層とが直接隣接するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記ポリカーボネート樹脂中の構造単位(b)が、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する構成単位であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
- B層が活性エネルギー線により硬化されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、前記アクリル系共重合体(α)を0.05重量%〜10重量%含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のアクリル共重合体(α)が共重合可能なモノマー(C)として、炭素数4〜22の直鎖または分岐型アルキル(メタ)アクリレートから少なくとも一つ選ばれる(メタ)アクリレートを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とするフラットパネルディスプレイの前面板。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とするタブレット型パーソナルコンピュータの前面板。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とする車載用ディスプレイの前面板。
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