JP2024041701A - 建物架構 - Google Patents

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剛 平松
和敬 大附
康平 西羅
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Abstract

【課題】鋼製の梁と木製の柱とを有する建物架構に関し、地震時に建物架構が塑性変形した際の残留変形量を低減できる、建物架構を提供すること。【解決手段】鋼製の上梁10Aと、複数の木製の壁柱20とを有する、建物架構50であり、壁柱20は基礎40の上に載置され、柱脚金物28を介して基礎40に固定され、壁柱20にはその長手方向に貫通孔23が設けられており、貫通孔23に挿通された緊張材30が緊張された状態で、上梁10Aと柱脚金物28に定着されている。【選択図】図1

Description

本発明は、建物架構に関する。
建物を構成する架構(建物架構)には、木製の柱と木製の梁とにより形成される木製架構や、鉄骨柱と鉄骨梁とにより形成される鉄骨架構といった同種材料の柱と梁からなる架構の他に、木製の柱と鉄骨梁とにより形成される、ハイブリッド構造の架構(ハイブリッド架構)も存在する。柱と梁の双方を鉄骨造とする代わりに、柱に木材を適用することにより、鉄骨による高い剛性と、木材により奏される様々な作用を備えた建物架構を形成できる。また、木製の柱と木製の梁とにより形成される木製架構と比べて、地震時における建物架構の塑性変形能力が高くなる。
ここで、木材を適用した際の作用効果の具体例を挙げると、木材は鉄骨やコンクリート等に比べて軽量であり、比強度が高く、加工性に優れており、その他、断熱性が高く、調湿作用がある。また、自然素材の醸し出す外観意匠性を有しており、さらには、自然素材故に二酸化炭素排出量が少なく、環境影響負荷への低減効果が高い。
ここで、特許文献1には、木造の柱と鋼製の梁とにより形成される柱梁の接合構造が提案されている。具体的には、柱のうち、梁と接する接合端部より中央側において、梁荷重負担部が設けられ、柱と梁を接合する接合金物により、梁の荷重の一部が梁荷重負担部に伝達され、梁の荷重を、柱の接合端部と梁荷重負担部で支持する、柱梁接合構造である。
この柱梁接合構造において、柱における梁と接する接合端部側の外周には、炭素繊維からなる柱補強材が貼付されている。さらに、梁と柱には、双方を接合するL型接合金物が少なくとも1つ以上取り付けられており、このL型接合金物には、柱と当接する当接面の一部が補強材と干渉しないように段差が設けられている。
特開2011-256616号公報
上記するように、既存の木製の柱と木製の梁とにより形成される木製架構と比べて、特許文献1に記載の木造の柱と鋼製の梁とにより形成される柱梁接合構造(ハイブリッド架構)によれば、地震時における建物架構の塑性変形能力が高くなる。ところで、特許文献1に記載の木造の柱と鋼製の梁とにより形成される柱梁接合構造では、L型接合金物を木造の柱と鋼製の梁の双方にボルト接合することにより、柱と梁の接合が図られている。また、その他のハイブリッド架構においても、ラグスクリューボルトをはじめとする各種のボルトにより、柱と梁の接合が図られている接合構造が一般的である。しかしながら、このようにボルトにて鋼製の梁と木製の柱が接合される構造では、地震時に建物架構が塑性変形した際の残留変形量が大きくなり得るといった課題がある。
残留変形量が大きな場合は、地震後に、建物の床面傾斜等に起因して、扉や窓といった各種開口の開閉が阻害され、以後の居住性に大きな影響が及ぼされる可能性が高くなることから、大規模な修理や修繕、メンテナンスが余儀なくされることとなる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、鋼製の梁と木製の柱とを有する建物架構に関し、地震時に建物架構が塑性変形した際の残留変形量を低減できる、建物架構を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による建物架構の一態様は、
鋼製の上梁と、複数の木製の壁柱とを有する、建物架構であって、
前記壁柱は基礎の上に載置され、柱脚金物を介して該基礎に固定され、
前記壁柱にはその長手方向に貫通孔が設けられており、
前記貫通孔に挿通された緊張材が緊張された状態で、前記上梁と前記柱脚金物に定着されていることを特徴とする。
本態様によれば、建物架構を構成する鋼製の上梁(梁)に木製の壁柱を適用することにより、木製の柱を適用しながらも壁柱が耐力壁として機能することから、耐震性に優れたハイブリッド架構を形成することができる。そして、このようにハイブリッド架構であることにより、例えば木製架構に比べて、大地震時における建物架構の柱梁接合部における塑性変形能力が高くなる。さらに、壁柱の長手方向に貫通孔が設けられ、貫通孔に挿通された緊張材が緊張された状態で、鋼製の上梁と柱脚金物に定着されていることにより、従来構造のように柱と梁がボルトにより接合される形態に比べて、残留変形量を低減することができる。
ここで、「壁柱」とは、柱の軸方向に直交する断面寸法に関し、壁厚方向の幅(第1幅)が壁厚と例えば略同一もしくは壁厚よりも大きなの幅(断熱材と外装材の厚みを加えると壁厚方向の幅は一般に壁厚よりも大きな幅となり得る)を有し、壁厚に直交する方向の幅(第2幅)が第1幅の2倍乃至数倍程度の矩形断面の柱を意味している。
本態様の建物架構は、建物の1階に設けられている建物架構である。また、緊張材には、PC(Prestressed Concrete)鋼棒やPC鋼線等が適用できる。また、貫通孔の内部にはシース管が設けられてもよい。さらに、緊張材は、貫通孔(やシース管)の内部に充填されたグラウトを介して緊張材が圧着されたボンドPC圧着工法によるボンドPC圧着材や、グラウト充填を不要とした、アンボンドPC圧着工法によるアンボンドPC圧着材を適用できる。
また、木製の壁柱をアンボンドPC圧着工法にて上梁と柱脚金物に定着することにより、木製の壁柱と鋼製の梁(上梁)の接合部の挙動に関して、一般的なアンボンドPC圧着工法が適用された鉄筋コンクリート造と同様に原点指向型の挙動を示すことが期待できる。すなわち、大地震の際に木製の壁柱が塑性変形した場合でも、建物の残留変形量を低減することが可能になる。
横長の壁柱を梁に圧着することから、例えば壁柱の横長の断面の両端部近傍に貫通孔が設けられ、壁柱の両端部近傍を梁に対して緊張材を介して固定するのが好ましく、横長の壁柱の長さに応じて、さらに断面の中央にも貫通孔が設けられて、中央と両端部近傍の3箇所にて緊張材を介して梁に固定されてもよい。さらに、導入される緊張力に応じて、複数の貫通孔が近接位置に設けられて、複数の緊張材にて壁柱が梁に固定されてもよい。例えば、壁柱の左右の両端近傍にそれぞれ、2つの貫通孔が設けられ、左右2本の緊張材(計4本の緊張材)にて壁柱を梁に固定する例を挙げることができる。
また、本発明による建物架構の他の態様は、
鋼製の上梁と、複数の木製の壁柱とを有する、建物架構であって、
前記壁柱は下梁の上に載置され、
前記壁柱にはその長手方向に貫通孔が設けられており、
前記貫通孔に挿通された緊張材が緊張された状態で、前記上梁と前記下梁に定着されていることを特徴とする。
本態様によれば、建物の2階以上の上階に設けられている建物架構に関し、耐震性に優れたハイブリッド架構を形成することができ、地震時に建物架構が塑性変形した際の残留変形量を低減することができる。
また、本発明による建物架構の他の態様は、
前記緊張材が、アンボンドPC圧着材であることを特徴とする。
本態様によれば、緊張材が、アンボンドPC圧着工法によるアンボンドPC圧着材であることにより、貫通孔に対するシース管の配置やグラウトの充填を不要にして、施工性に優れた圧着工法にて建物架構を形成できる。
また、本発明による建物架構の他の態様において、
木製の前記壁柱は、複数の角材のユニット、集成材、無垢材、構造用合板、単板積層材、直交集成板のいずれか一種により形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、壁柱が、複数の角材(ログ材)のユニットや集成材、無垢材、構造用合板、単板積層材(LVL:Laminated Veneer Lumber)、直交集成板(CLT:Cross Laminated Timber)のいずれか一種であることにより、様々なバリエーションの壁柱を備えた建物架構を形成できる。例えば、壁柱が複数の角材のユニットである場合、隣接する角材同士が接着剤や釘等によって接続されることにより、強固に一体とされたユニットが形成される。また、角材の数を調整したり、LVLやCLT等の幅を調整することにより、所望の剛性(耐震性)を備えた壁柱を形成できる。
また、本発明による建物架構の他の態様は、
前記壁柱が複数の前記角材により形成される場合に、少なくとも1つの該角材の1つの側面に、該角材の長手方向に延設する凹部が設けられており、該凹部の開口を塞ぐようにして隣接する別途の該角材が固定されることにより、前記貫通孔が形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、壁柱が複数の角材により形成される場合に、1つの角材の1つの側面にその長手方向に延設する凹部が設けられ、凹部の開口を塞ぐようにして隣接する別途の角材が固定されて貫通孔が形成されることにより、長尺で断面寸法の小さな貫通孔を木製の壁柱に加工する際の加工困難性を解消することができる。
また、本発明による建物架構の他の態様は、
前記壁柱と、前記基礎及び/又は前記上梁が、前記建物架構の変形を低減する減衰装置にて接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、1階の建物架構に関し、壁柱と基礎及び/又は上梁が、建物架構の変形を低減する減衰装置にて接続されていることにより、柱脚や柱頭の損傷を低減するとともに、建物全体の地震時の変形や応答加速度を低減することができる。ここで、壁柱の左右の側面のいずれか一方と基礎が1台の減衰装置で接続される形態、壁柱の左右の側面の双方と基礎が2台の減衰装置で接続される形態、壁柱の左右の側面のいずれか一方と上梁が1台の減衰装置で接続される形態、壁柱の左右の側面の双方と上梁が2台の減衰装置で接続される形態、壁柱と基礎及び上梁が、計4台の減衰装置で接続される形態等、様々な接続形態が含まれる。
また、本発明による建物架構の他の態様は、
前記壁柱の左右の側面と、前記基礎の天端及び/又は前記上梁の下面が、複数の前記減衰装置にて接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、壁柱の左右の側面と基礎の天端及び/又は上梁の下面が、複数の減衰装置にて接続されていることにより、より一層減衰性能に優れた建物架構を形成できる。例えば、壁柱の左右の側面と基礎の天端が2台の減衰装置で接続される形態や、壁柱の左右の側面と上梁の下面が2台の減衰装置で接続される形態、壁柱の左右の側面と基礎の天端、壁柱の左右の側面と上梁の下面が計4台の減衰装置で接続される形態などがあるが、減衰性能に加えて、取り付け性やメンテナンス性を含めて総合勘案すると、壁柱の左右の側面と基礎の天端が2台の減衰装置で接続される形態が好ましい。
また、本発明による建物架構の他の態様は、
前記壁柱と、前記上梁及び/又は前記下梁が、前記建物架構の変形を低減する減衰装置にて接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、2階以上の上階の建物架構に関し、壁柱と基礎及び/又は上梁が、建物架構の変形を低減する減衰装置にて接続されていることにより、柱脚や柱頭の損傷を低減するとともに、建物全体の地震時の変形や応答加速度を低減することができる。
また、本発明による建物架構の他の態様は、
前記壁柱の左右の側面と、前記下梁の天端及び/又は前記上梁の下面が、複数の前記減衰装置にて接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、壁柱の左右の側面と基礎の天端及び/又は上梁の下面が、複数の減衰装置にて接続されていることにより、より一層減衰性能に優れた建物架構を形成できる。
また、本発明による建物架構の他の態様は、
前記減衰装置が、中小規模の地震の際の前記建物架構の変形を低減する減衰性能を有することを特徴とする。
本態様によれば、減衰装置が、中小規模の地震(中小規模地震)の際の建物架構の変形を低減する減衰性能を有することにより、中小規模の地震においては減衰装置が建物架構の変形を低減し、大規模の地震(大地震)においては、建物架構の各所に形成される塑性ヒンジと減衰装置の双方が地震エネルギーを吸収することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の建物架構によれば、鋼製の梁と木製の柱とを有する建物架構に関し、地震時に建物架構が塑性変形した際の残留変形量を低減することができる。
実施形態に係る建物架構の一例の正面図である。 図1のII-II矢視図である。 壁柱の他の例の斜視図である。 壁柱と基礎を接続する減衰装置を備えた建物架構の一部の正面図である。 実施形態に係る建物架構を備えた2階建て建物の模式図であって、塑性ヒンジ形成位置をともに示す図である。
以下、実施形態に係る建物架構の一例を、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る建物架構]
図1乃至図5を参照して、実施形態に係る建物架構の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る建物架構の一例の正面図であり、図2は、図1のII-II矢視図である。また、図3は、壁柱の他の例の斜視図である。また、図4は、壁柱と基礎を接続する減衰装置を備えた建物架構の一部の正面図である。さらに、図5は、実施形態に係る建物架構を備えた2階建て建物の模式図であって、塑性ヒンジ形成位置をともに示す図である。
図1に示す建物架構50は、建物の1階を構成する架構である。尚、以下、図4を参照して、2階(上階)の建物架構を説明するが、1階と上階のそれぞれの建物架構では、当該建物架構を支持する下方部材が基礎と下梁の相違があるのみであり、1階と上階の各建物架構の実質的な構成は同一である。
建物架構50は、鋼製の上梁10Aと、複数(図示例は2つ)の木製の壁柱20とを有する。図示例の上梁10Aは、H形鋼により形成されている。ここで、上梁は、H形鋼以外の形鋼材や角形鋼管等により形成されてもよい。
木製の壁柱20は、複数(図示例は8本)の角材21が接着剤や釘等により相互に接続された角材ユニットにより形成される。壁柱20は、その壁厚方向の幅が、壁厚と例えば略同一もしくは壁厚よりも大きなの幅であるのに対して、壁厚に直交する構面内方向の幅がその数倍程度(図示例は8倍)の横長の矩形断面を有する。
ここで、壁柱20を構成する角材21の断面寸法や数は、壁柱20に要求される剛性等により設定される。一例として、上梁10AがH-250×125×6×9のH形鋼により形成される場合に、例えば105mm角の角材からなる壁柱20を適用できる。また、その他、105mm×100.6mmの角材を8本と、その左右に150mm角の計10本の角材からなる角材ユニットにより、左右端の角材の芯間幅(壁柱の幅)が910mm(1P:Pはモジュール)の壁柱を適用することもできる。
構面内方向に長い壁柱20を適用することにより、壁柱20が耐力壁として機能する。ここで、壁柱20は、図示例の角材ユニットの他にも、集成材や無垢材、構造用合板、単板積層材(LVL)、直交集成板(CLT)等により形成されてもよい。
図1と図2に示すように、壁柱20を構成する左右端の角材21にはそれぞれ、その長手方向に延びる2つの貫通孔23が開設されており、各貫通孔23にはPC鋼棒(緊張材の一例)30が挿通されている。ここで、緊張材には、PC鋼棒の他にも、PC鋼線やPC鋼より線等を適用できる。
左右端の角材21のうち、下方には柱脚金物28が固定されている。また、柱脚金物28に固定されているアンカーボルト29は、鉄筋コンクリート製の基礎40に定着している。
上梁10Aのうち、壁柱20の左右端にある各角材21に対応する位置には、H形鋼の下フランジ11とウエブ13と上フランジ12に跨がる一対の補強リブ15が溶接接合されており、一対の補強リブ15の間に、PC鋼棒30を下フランジ11に定着する定着具35が配設されている。
貫通孔23に挿通されているPC鋼棒30は、アンボンドPC圧着工法により緊張された状態で、上梁10Aの下フランジ11と柱脚金物28の双方に対して、定着具35を介して定着されている。すなわち、図示例のPC鋼棒30は、アンボンドPC圧着材である。尚、図示例の壁柱20は、左右端においてそれぞれ2本のPC鋼棒30により上梁10Aに定着されているが、壁柱の構面内方向の幅がより大きな形態では、壁柱のさらに中央位置等にある角材にも貫通孔が開設され、挿通されたPC鋼棒にて上梁に定着されてもよい。
ここで、角材21の貫通孔23にシース管が内装され、シース管にPC鋼棒が挿通され、緊張された状態で、シース管の内部にグラウトが充填された、ボンドPC圧着が適用されてもよい。
建物架構50によれば、架構を構成する鋼製の梁10に対して木製の壁柱20を適用することにより、木製の柱を適用しながらも壁柱20が耐力壁として機能することにより、耐震性に優れたハイブリッド架構を形成することができ、このようにハイブリッド架構であることによって、例えば木製架構に比べて、大地震時における建物架構の柱梁接合部における塑性変形能力が高くなる。
また、壁柱20は基礎40の上に載置されて柱脚金物28を介して基礎40に固定されるとともに、壁柱20の長手方向に貫通孔23が設けられ、貫通孔23に挿通されたPC鋼棒30が緊張された状態で、鋼製の上梁10Aと柱脚金物28に定着されている、アンボンドPC圧着工法が適用されることにより、従来構造のように柱と梁がボルトにより接合される形態に比べて、大地震時における残留変形量を低減することができる。
次に、図3を参照して、壁柱の他の例について説明する。図示例の壁柱20Aも、複数の角材21からなる角材ユニットである。
木製の壁柱に対して、小断面寸法で長尺な貫通孔を切削加工することは一般には極めて難しい。そこで、壁柱20Aでは、左右端の角材21の側面21aに角材21の長手方向に延びる凹部24を開設し、この凹部24の開口を塞ぐようにして隣接する別途の角材21を固定することにより、比較的容易に小断面で長尺の貫通孔を形成することが可能になる。
次に、図4を参照して、減衰装置を備える建物架構の他の例について説明する。図4に示す例では、壁柱20の左右の側面20aと、基礎40の天端40aが、2台の減衰装置25にて接続されている。ここで、図示例の他にも、壁柱20の左右の側面20aのいずれか一方と、基礎40の天端40aが1台の減衰装置25にて接続されている形態であってもよいし、壁柱20の左右の側面20aと、上梁10Aの下面11aが2台の減衰装置25にて接続されている形態であってもよいし、壁柱20の左右の側面20aのいずれか一方と、上梁10Aの下面11aが1台の減衰装置25にて接続されている形態であってもよい。また、壁柱20の左右の側面20aと、基礎40の天端40a及び上梁10Aの下面11aが計4台の減衰装置25にて接続されている形態であってもよい。尚、図示例は、1階の建物架構50を例示するものであるが、2階以上の上階の建物架構においても、同様に様々な取り付け態様の減衰装置25が適用されてよい。
減衰装置25としては、粘弾性装置(ダンパー)や粘性装置、弾塑性装置、オイルダンパーなどの他、断面形状がΣ形の鋼材からなるΣ形デバイス(大和ハウス工業株式会社製)が適用される。
地震時の水平力Qが建物架構50に作用した際に、壁柱20の左右の柱脚のうち、一方は引抜方向(上向き)であるX1方向に変位し、他方は圧縮方向(下向き)であるX2方向に変位し、水平力Qが左右方向に繰り返されることで、左右の柱脚には図示例のX1方向とX2方向の変位が交互に生じ得る。この際、壁柱20の左右の側面20aと基礎40の天端40aが、2台の減衰装置25にて接続されていることにより、X1方向とX2方向の双方の変位をそれぞれの減衰装置25が軽減することにより、建物架構50の変形を低減することができる。
ここで、減衰装置25は、中小規模の地震の際の建物架構50の変形を低減する減衰性能を有する形態であってよい。この形態では、中小規模の地震の際に減衰装置25が有効に機能し、建物架構50の変形を低減することとなる。一方、大規模の地震の際は、以下、図5を参照して説明するように、建物60の各所で塑性ヒンジが形成されることにより、この塑性ヒンジと減衰装置25の双方によって地震エネルギーを吸収することができる。
図示例のように、壁柱20の左右の側面20aと基礎40の天端40aが、2台の減衰装置25にて接続されていることにより、例えば、1台の減衰装置25のみを有する形態に比べて、より一層優れた減衰性能が奏されることに加えて、例えば、壁柱20の側面20aと上梁10Aの下面11aが減衰装置25にて接続される形態に比べて、減衰装置25の取り付け性やメンテナンス性が良好であることから好ましい。
次に、図5を参照して、実施形態に係る建物架構50を備えた2階建て建物の一例について説明する。
2階建て建物60は、1階と2階のいずれにも建物架構50を備えている。1階の建物架構50では、2階の床梁が上梁10Aとなり、2階の建物架構50では、天井梁が上梁10Aとなり、2階の床梁が下梁10Bとなる。層せん断力が相対的に大きな1階には、正面視で3つの壁柱20を適用し、層せん断力が相対的に小さな2階には、正面視で2つの壁柱20を適用する。図示例では、2階の2つの壁柱20の間のスパンが長くなり過ぎることから、2つの壁柱20の間に一般の木製の柱20Bを設けている。
1階、2階ともに、耐力壁として機能する複数の壁柱20が適所に配置されていること、及び、各壁柱20が緊張状態のPC鋼棒30(図1参照)にて上梁10Aや下梁10Bに定着されていることにより、大地震後においても残留変形量の少ない、もしくは残留変形のない2階建て建物を形成することが可能になる。
尚、2階建て建物60は、大地震時において、各梁10における壁柱20の側方位置に塑性ヒンジHが形成される崩壊機構を備えており(このような崩壊機構を備えるように設計されており)、このように、全体崩壊形として各階の梁10に塑性ヒンジHを発生させることで、エネルギー吸収性に優れた2階建て建物となる。
ここで、1階及び/又は2階にある各建物架構50が図4に示す減衰装置25を有する場合は、上記するように、大地震時において、建物60の各所に形成される塑性ヒンジHに加えて、減衰装置25の減衰作用(塑性化を含む)により、より一層エネルギー吸収性に優れた2階建て建物となる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:梁
10A:上梁
10B:下梁
11:下フランジ
11a:下面
12:上フランジ
13:ウエブ
15:補強リブ
20,20A:壁柱(角材ユニット)
20B:柱
20a:側面
21:角材
21a:側面
23:貫通孔
24:凹部
25:減衰装置
28:柱脚金物
29:アンカーボルト
30:緊張材(PC鋼棒)
35:定着具
40:基礎
40a:天端
50:建物架構
60:2階建て建物
H:塑性ヒンジ
Q:水平力

Claims (10)

  1. 鋼製の上梁と、複数の木製の壁柱とを有する、建物架構であって、
    前記壁柱は基礎の上に載置され、柱脚金物を介して該基礎に固定され、
    前記壁柱にはその長手方向に貫通孔が設けられており、
    前記貫通孔に挿通された緊張材が緊張された状態で、前記上梁と前記柱脚金物に定着されていることを特徴とする、建物架構。
  2. 鋼製の上梁と、複数の木製の壁柱とを有する、建物架構であって、
    前記壁柱は下梁の上に載置され、
    前記壁柱にはその長手方向に貫通孔が設けられており、
    前記貫通孔に挿通された緊張材が緊張された状態で、前記上梁と前記下梁に定着されていることを特徴とする、建物架構。
  3. 前記緊張材が、アンボンドPC圧着材であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建物架構。
  4. 木製の前記壁柱は、複数の角材のユニット、集成材、無垢材、構造用合板、単板積層材、直交集成板のいずれか一種により形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建物架構。
  5. 前記壁柱が複数の前記角材により形成される場合に、少なくとも1つの該角材の1つの側面に、該角材の長手方向に延設する凹部が設けられており、該凹部の開口を塞ぐようにして隣接する別途の該角材が固定されることにより、前記貫通孔が形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の建物架構。
  6. 前記壁柱と、前記基礎及び/又は前記上梁が、前記建物架構の変形を低減する減衰装置にて接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の建物架構。
  7. 前記壁柱の左右の側面と、前記基礎の天端及び/又は前記上梁の下面が、複数の前記減衰装置にて接続されていることを特徴とする、請求項6に記載の建物架構。
  8. 前記壁柱と、前記上梁及び/又は前記下梁が、前記建物架構の変形を低減する減衰装置にて接続されていることを特徴とする、請求項2に記載の建物架構。
  9. 前記壁柱の左右の側面と、前記下梁の天端及び/又は前記上梁の下面が、複数の前記減衰装置にて接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の建物架構。
  10. 前記減衰装置が、中小規模の地震の際の前記建物架構の変形を低減する減衰性能を有することを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の建物架構。
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