JP2024039880A - ゲル粒子分散液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲル化物中のゲル製造時に使用した溶媒の残存量や副生成物量が低減されたゲル粒子分散液を効率的に得ることができる方法を提供する。【解決手段】ゲル粒子分散液を製造する方法であって、上記製造方法は、ゲルスラリーをクロスフロー濾過する工程を含むことを特徴とするゲル粒子分散液の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ゲル粒子分散液の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、ゲルの製造時に使用した溶媒の残存量や副生成物量を効率的に低減することができるゲル粒子分散液の製造方法に関する。
ゲルは様々な分野で使用されており、例えば、ケイ素化合物のゲル化物は、断熱性、低誘電率特性、低屈折率性等の機能特性を有し、光学材料や電子材料等の種々の用途に使用されている。このようなゲル化物を使用する場合、例えば、粉砕したゲル化物と溶媒を含む塗料を調製し、これを基材に塗工乾燥させて、上記ゲル化物からなる膜を形成する方法等が知られている。
そのようなゲル化物を使用した物を製造する方法として、これまでに種々の方法が知られている。
例えば、特許文献1には、ゲルの材料をゲル製造用溶媒中でゲル化し、ゲル中の溶媒を、他の溶媒に置換し、上記溶媒置換工程を複数の溶媒置換段階に分けて行い、上記溶媒置換段階において、後段階の方が先の段階よりも親水性が低い溶媒を使用することにより、ゲル中のゲル製造用溶媒の残存量が少なく、空隙率が高い空隙構造フィルムを製造することができるゲルの製造方法が記載されている。
また特許文献2には、有機修飾シリカを溶媒に分散させる工程と、有機修飾シリカを含む分散液によって膜を形成する工程とを含むシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記分散の工程においてケトン系溶媒に上記有機修飾シリカを分散させることにより、優れた疎水性を有する有機修飾シリカエアロゲル膜を製造する方法が記載されている。
特開2017-100100号公報 特開2006-151800号公報
このようにゲル化物を用いる場合、ゲル化物を溶媒に分散させたゲル粒子分散液を用いるが、ゲル化物にはゲル製造時に使用した溶媒やゲル製造時に生成するメタノール等の副生成物が含まれる。このようなゲル製造時に使用した溶媒や触媒、製造中に生成した副生成物が残存したゲル化物を使用してゲル粒子分散液を調製すると、ゲル化物の機能を充分に発揮できない等の不都合が生じる可能性がある。そのため、ゲル製造時に使用した溶媒や触媒の残存量や、副生成物量を極力低減させる必要がある。しかしながら、従来の方法では、それらの量を効率的に低減させることはできなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ゲル化物中のゲル製造時に使用した溶媒の残存量や副生成物量が低減されたゲル粒子分散液を効率的に得ることができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ゲル粒子分散液を製造する方法について種々検討したところ、ゲルスラリーをクロスフロー形式で濾過することにより、ゲル中のゲル製造時に使用した溶媒の残存量や副生成物量を効率的に低減できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記の態様の発明を提供する。
[1]ゲル粒子分散液を製造する方法であって、該製造方法は、ゲルスラリーをクロスフロー濾過する工程を含むことを特徴とするゲル粒子分散液の製造方法。
[2]上記クロスフロー濾過工程において、濾過圧力は0.05~1.0MPaであることを特徴とする上記[1]に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
[3]上記クロスフロー濾過工程において、処理温度は10~100℃であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
[4]上記クロスフロー濾過工程において、循環液の線速は0.5~5.0m/秒であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれかに記載のゲル粒子分散液の製造方法。
[5]上記クロスフロー濾過工程において、溶媒置換を行うことを特徴とする上記[1]~[4]のいずれかに記載のゲル粒子分散液の製造方法。
[6]上記ゲルスラリーは、上記クロスフロー濾過工程の前に、ゲルを攪拌熟成して得られる攪拌熟成ゲルスラリーであることを特徴とする上記[1]~[5]のいずれかに記載のゲル粒子分散液の製造方法。
[7]上記攪拌熟成は、前記ゲルを10~80℃で1~40時間攪拌する工程であることを特徴とする上記[6]に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
[8]上記ゲル粒子分散液は、有機ケイ素化合物ゲル粒子分散液であることを特徴とする上記[1]~[7]のいずれかに記載のゲル粒子分散液の製造方法。
[9]上記有機ケイ素化合物は、シロキサン化合物であることを特徴とする上記[8]に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
[10]更に、粉砕工程を有することを特徴とする上記[1]~[9]のいずれかに記載のゲル粒子分散液の製造方法。
本発明のゲル粒子分散液の製造方法は、ゲル製造時に使用した溶媒の残存量や副生成物の量が低減されたゲル粒子分散液を効率的に得ることができる。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明は、ゲル粒子分散液を製造する方法であって、上記製造方法は、ゲルスラリーをクロスフロー濾過する工程を含むことを特徴とする。ゲルスラリーをクロスフロー濾過することにより、ゲル中のゲル製造時に使用した溶媒(ゲル製造用溶媒)の残存量や副生成物量を効率的に低減することができる。
(クロスフロー濾過工程)
上記クロスフロー濾過は、濾過面に対して液を平行に流し、供給液と濾過液の流れが直交する形式で濾過する方法であり、そのようなクロスフロー形式の濾過方法であれば特に限定されず、公知の方法で行うことができる。クロスフロー濾過では、濾過する液を循環させて濾過膜に接触させるようにすることで効率的に濾過を行うことができる。従って、ゲルスラリーを循環液として用い、連続的にクロスフロー濾過することで、ゲルスラリーに含まれるゲル製造用溶媒の残存量や副生成物量を効率的に低減できる。
上記クロスフロー濾過に使用する濾過膜は、特に限定されず、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、4フッ化エチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、ステンレス、ガラス、セラミック、金属メッシュ等の公知の材質からなる濾過膜を使用することができる。なかでも、高耐食性、高耐熱性、高強度である点で、セラミックからなる濾過膜が好ましい。
上記濾過膜の孔径は、ゲルのサイズに応じて適宜選択すればよいが、0.005~10μmであることが好ましく、0.01~5μmであることがより好ましく、0.05~3μmであることが更に好ましい。
上記濾過膜は市販品を使用してもよく、本発明において使用できる濾過膜としては、例えば、日本ガイシ社製のセラミック膜フィルター、ノリタケカンパニー社製のセラミックフィルター、日本ポール社製のセラミック膜フィルター等が挙げられる。
上記クロスフロー濾過の濾過圧力は、0.05~1.0MPaであることが好ましい。
上記濾過圧力とは、濾過膜の流通路側と濾過側との差圧である。濾過膜の流通路入口と流通路出口とで圧力差がある場合は、下記の式で流通路側圧力を計算して求めることができる。
流通路側圧力(MPa)=(流通路入口圧力(MPa)+流通路出口圧力(MPa))/2
濾過圧力が上記の範囲であると、効率的に濾過することができる。上記濾過圧力は、0.06~0.8MPaであることがより好ましく、0.08~0.5MPaであることが更に好ましい。
上記クロスフロー濾過の処理温度は、10~100℃であることが好ましい。処理温度が上記の範囲であると、効率良く濾過できる。上記処理温度は、ゲルの熱劣化抑制や加熱コストを低減する点で、80℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。また、ゲル溶液の粘度上昇抑制や冷却コストを低減する点で、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。
上記クロスフロー濾過の循環液の線速は、0.5~5.0m/秒であることが好ましい。ここで線速は、下記式で算出される。
循環液の線速(m/秒)=循環液流速(m/秒)/濾過膜流通路入口面積(m
なお、濾過膜が複数の流通路を有する場合、あるいは濾過膜を複数使用する場合、濾過膜流通路内での循環液の線速は、全流通路の総断面積に対する平均の循環液の線速とする。
循環液の線速が上記の範囲であると、効率的に濾過できる。上記循環液の線速は大きい方が濾過膜表面に堆積するゲルを除去する効果が高く、濾過抵抗が低減して濾過速度が大きくなることから、上記線速は1.0m/秒以上であることがより好ましい。一方、上記線速が大きすぎると循環ポンプに過大な能力が必要となり経済的観点(設備投資額やランニングコスト)で欠点となることや、上記線速に応じて濾過膜流通路入口と出口との圧力損失が大きくなることで濾過膜が破損する可能性が高まるため、上記線速は4.0m/秒以下であることがより好ましい。
本発明のゲル粒子分散液の製造方法では、上記クロスフロー濾過工程において、溶媒置換を行うことが好ましい。溶媒置換を行うことにより、ゲル製造用溶媒の残存量や副生成物量を効率的に低減させると同時に、目的、用途に応じた溶媒を含むゲル粒子分散液を製造することができる。
従来は、例えば、バルクゲルを塊に分割して、デカンテーションにより分割したゲルと溶媒を接触させて溶媒置換を行っていた。しかしながら、この方法で溶媒置換を充分に行うには必要に応じて複数種類の溶媒を用いてデカンテーションを数回繰り返す必要があり、時間が長くかかったり、使用する溶媒量が増大したりする等の問題があった。
上記クロスフロー濾過工程において、溶媒置換を行うと、使用する溶媒量を低減したり、時間を短縮することができ、ゲル製造用溶媒の残存量や副生成物量が低減し、かつ目的とする溶媒を含むゲル粒子分散液を効率良く製造することができる。また、本発明では、濾液の回収も容易に行うことができる。
上記溶媒置換は、ゲル製造用溶媒から目的とする溶媒に直接置換してもよいし、多段階で置換してもよい。なかでも、製造効率の点で、1段階で溶媒置換を行うことが好ましい。
上記クロスフロー濾過により溶媒置換を行う場合は、循環液として、上記ゲルスラリーと置換用溶媒を含む混合液を使用することになる。
上記ゲルスラリーと置換用溶媒を含む混合液をクロスフロー濾過する場合、予めゲルスラリーと置換用溶媒を混合したものをクロスフロー濾過してもよいし、クロスフロー濾過しながらゲルスラリーに置換用溶媒を添加して混合しながらクロスフロー濾過してもよい。
上記ゲル製造用溶媒としては、特に限定されず、一般にゲルの製造に使用される公知の溶媒が挙げられ、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、γ-ブチルラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル(EGEE)等の非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n-ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、水等のプロトン性極性溶媒が挙げられる。
なかでも、上記ゲル製造用溶媒としては、ゲルの一次粒子の安定性や透明性確保の点で、非プロトン性極性溶媒が好ましく、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、γ-ブチルラクトン(GBL)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)がより好ましく、ジメチルスルホキシドが更に好ましい。
上記ゲル製造用溶媒は、1種のみ使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上記ゲル製造用溶媒として、水を使用する場合は、乳化剤を添加していてもよい。
上記乳化剤としては、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤等が挙げられる。なかでも、ゲルの安定性の点で、アニオン性乳化剤が好ましい。
上記乳化剤は、1種のみ使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記乳化剤の添加量は、ケイ素化合物100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、0.2~10質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが更に好ましい。
上記置換用溶媒としては、特に限定されず、ゲル粒子分散液の目的、用途に応じて適宜選択すればよく、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。なかでも、ゲルの透明性を維持しやすい点で、アルコール系溶媒が好ましい。
上記置換用溶媒は、1種のみ使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記溶媒置換を多段階で行う場合、例えば、ゲル製造用溶媒の方が置換用溶媒より親水性が低い場合は、親水性の低い溶媒から、前段階で使用した溶媒よりも親水性の高い溶媒を順に使用して溶媒置換を行う方法や、ゲル製造用溶媒の方が置換用溶媒より親水性が高い場合は、親水性の高い溶媒から、前段階で使用した溶媒よりも親水性の低い溶媒を順に使用して溶媒置換を行う方法であってもよい。親水性の差が大きく異なる溶媒を置換すると、相分離による置換不良やゲルの安定性が低下するおそれがあるので、親水性が近い順に置換していくことが好ましい。なかでも、親水性の高い溶媒から、前段階で使用した溶媒よりも親水性の低い溶媒を順に使用して溶媒置換を行う方法が好ましい。
また、上記溶媒置換は、低沸点溶媒から高沸点溶媒へ置換するのであってもよいし、高沸点溶媒から低沸点溶媒へ置換するのであってもよい。
上記多段階は、特に限定されないが、回数が多いと製造効率が低下する点で、1~4段階で行うのが好ましく、1~3段階で行うのがより好ましい。
上記クロスフロー濾過において使用する置換用溶媒の量は、目的とする溶媒に充分に置換できる量であれば特に限定されないが、従来と比べ置換用溶媒の使用量を低減できることから、上記ゲルスラリー100質量部に対して、100~5000質量部であることが好ましく、300~4000質量部であることがより好ましく、500~3000質量部であることが更に好ましい。
上記クロスフロー濾過に供するゲルスラリーは、固体状のゲルがゲル製造用溶媒に分散した分散液である。なお、本発明では、クロスフロー濾過工程前のゲル製造用溶媒を含む分散液を「ゲルスラリー」と称する。また、クロスフロー濾過工程後のゲル分散液を「ゲル粒子分散液」と称する。クロスフロー濾過工程で溶媒置換を行った場合は、「ゲル粒子分散液」は、ゲルが置換用溶媒に分散している分散液である。
上記ゲルスラリーに含まれるゲルの形状は、特に限定されず、球状であっても、非球状であってもよい。また、不定形であってもよい。
上記ゲルスラリーに含まれるゲル粒子の個数平均粒子径は、0.2~300μmであることが好ましい。上記個数平均粒子径が上述の範囲であると、ゲル粒子が濾過膜の孔を閉塞したり、濾過膜を透過したりせず、クロスフロー濾過を効率的に行うことができる。上記個数平均粒子径は、0.5~200μmであることがより好ましく、1~100μmであることが更に好ましい。
上記個数平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて求めることができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記ゲルスラリーの固形分濃度は、特に限定されないが、クロスフロー濾過効率がより良好となる点で、0.5~20質量%であることが好ましく、0.8~10質量%であることがより好ましく、1~5質量%であることが更に好ましい。
上記ゲルスラリーとしては、特に限定されず、公知のゲル化物の分散液が挙げられる。
なかでも、有機ケイ素化合物ゲルスラリーが好ましく挙げられる。以下に本発明の好ましい一形態である有機ケイ素化合物ゲルスラリーについて説明する。
(有機ケイ素化合物ゲルスラリー)
上記有機ケイ素化合物ゲルスラリーは、有機ケイ素化合物ゲルがゲル製造用溶媒中に分散した分散液である。
上記有機ケイ素化合物ゲルスラリーは、ケイ素化合物を加水分解し、その加水分解物を縮合・熟成することにより製造することができる。
(1)ケイ素化合物の加水分解
ケイ素化合物の加水分解は、ケイ素化合物を、ゲル製造用溶媒と、水と、酸触媒とを混合することにより行うことができる。上記加水分解は、混合物を攪拌して行ってもよい。
上記ケイ素化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
(R4-aSi(OR (1)
(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は、炭化水素基を表す。複数あるR及びRは、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。aは、1~4の整数を表す。)
上記R及びRで表される炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。なかでも、上記炭化水素基は、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、直鎖状がより好ましい。
上記飽和炭化水素基としては、好ましくは脂肪族炭化水素基が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基等の分岐状アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;等が挙げられる。
上記不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、n-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基等の直鎖状アルケニル基;イソプロペニル基等の分岐状アルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基や、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
上記炭化水素基の炭素数は、1~6であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1~2であることが更に好ましく、1であることが更により好ましい。
なかでも、上記Rは、膜強度やゲル内での一次粒子の安定性の観点より、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~3の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
上記Rは、水素原子、又は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、水素原子、又は、炭素数1~3の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、水素原子、又は、炭素数1~2の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
上記式(1)中のaは、1~4の整数を表し、2~4であることが好ましく、2~3であることがより好ましい。なお、上記式(1)において、それぞれ、aが1である場合は「1官能」、aが2である場合は「2官能」、aが3である場合は「3官能」ケイ素化合物となる。
なかでも、上記ケイ素化合物は、膜強度が高く柔軟性を維持できる点で、2~4官能であることが好ましく、3官能であることが更に好ましい。
上記式(1)で表されるケイ素化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキリシラン等のアルキルジアルコキシシラン等のアルキルアルコキシシランや、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のアリールアルコキシシラン等が好ましく挙げられ、なかでも、膜強度が高く柔軟性を維持できる点で、アルキルアルコキシシランが好ましく、アルキルトリアルコキシシランが好ましい。
上記ケイ素化合物は、1種のみ使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ゲル製造用溶媒としては、上述したものが挙げられるが、なかでも、有機ケイ素化合物ゲルの一次粒子の安定性や透明性確保の点で、非プロトン性極性溶媒が好ましく、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、γ-ブチルラクトン(GBL)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)がより好ましく、ジメチルスルホキシドが更に好ましい。
上記ゲル製造用溶媒の添加量は、特に限定されないが、例えば、ケイ素化合物100質量部に対して、100~2000質量部であることが好ましく、200~1800質量部であることがより好ましく、300~1600質量部であることが更に好ましい。
上記水は、特に限定されず、蒸留水、イオン交換水、純水等、いずれの水であってもよい。
上記水の添加量は、特に限定されないが、例えば、ケイ素化合物100質量部に対して、50~1000質量部であることが好ましく、60~900質量部であることがより好ましく、80~800質量部であることが更に好ましい。
上記酸触媒としては、塩酸、シュウ酸、硫酸等が挙げられる。
上記酸触媒の添加量は、特に限定されないが、例えば、ケイ素化合物100質量部に対して、0.01~1.0質量部であることが好ましく、0.02~0.5質量部であることがより好ましく、0.03~0.3質量部であることが更に好ましい。
上記加水分解反応の温度は、10~60℃であることが好ましく、15~50℃であることがより好ましく、20~40℃であることが更に好ましい。また、反応時間は、0.1~40時間であることが好ましく、0.2~20時間であることがより好ましく、0.5~10時間であることが更に好ましい。
上記ケイ素化合物の加水分解工程により、上記ケイ素化合物を表す式(1)中の「(OR」が、「(OH)」となった加水分解物が生成する。
(2)加水分解物の縮合・熟成
加水分解物の縮合・熟成は、上記加水分解で得られた加水分解物に塩基触媒を混合することで行うことができる。また、塩基触媒を混合する際、ゲル製造用溶媒や水を更に添加してもよい。上記加水分解物が脱水縮合し、熟成により架橋反応が進行して、ゲル状のケイ素化合物が生成される。
上記塩基触媒としては、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
上記塩基触媒の添加量は、ケイ素化合物100質量部に対して、1~500質量部であることが好ましく、5~200質量部であることがより好ましく、10~100質量部であることが更に好ましい。
上記縮合・熟成反応の温度は、10~80℃であることが好ましく、15~70℃であることがより好ましく、20~60℃であることが更に好ましい。また、反応時間は、1~40時間であることが好ましく、2~35時間であることがより好ましく、3~30時間であることが更に好ましい。
上記縮合・熟成反応により、ゲル状のケイ素化合物が生成される。上記ゲル状のケイ素化合物は、シロキサン結合(Si-O-Si結合)を有する化合物であることが好ましい。
本発明においては、このようなシロキサン結合を有する化合物を「有機ケイ素化合物」又は「有機ケイ素化合物ゲル」と称する。
上記ゲルスラリーは、このような有機ケイ素化合物ゲルを含むことが好ましい。
上記有機ケイ素化合物は、シロキサン化合物であることが好ましい。
上記シロキサン化合物は、上述のとおり、シロキサン結合を有する化合物であり、シロキサン結合を必須とする主要骨格であるシロキサン骨格は、(SiOと表すことができる。
上記シロキサン骨格は、例えば、鎖状(直鎖状又は分岐状)、ラダー状、網状、環状、籠状、キュービック状、ランダム状等であってもよい。
上記シロキサン化合物は、ポリシルセスキオキサンであることが好ましい。
以上の方法により有機ケイ素化合物ゲルスラリーを得ることができる。本発明の製造方法において、ゲルスラリーとして上記有機ケイ素化合物ゲルスラリーを用いた場合、ゲル粒子分散液として、有機ケイ素化合物ゲル粒子分散液を得ることができる。
(熟成工程)
また、上述のように、ゲルスラリーを熟成することで、ゲル化が充分に進行し、目的とするゲルを多く含むゲルスラリーとすることができる。そのため、本発明の製造方法は、上記クロスフロー濾過工程の前に、熟成工程を有することが好ましい。
上記熟成工程の温度は、10~80℃であることが好ましく、15~70℃であることがより好ましく、20~60℃であることが更に好ましい。
上記熟成工程の時間は、1~40時間であることが好ましく、2~30時間であることがより好ましく、3~25時間であることが更に好ましい。
上記熟成工程は、静置して行うこともできるが、攪拌して行うことが好ましい。すなわち、本発明の製造方法は、上記クロスフロー濾過工程の前に、上記ゲルスラリーを攪拌熟成する工程を更に有することが好ましい。
なお、本発明においては、熟成したゲルスラリーを「熟成ゲルスラリー」と称し、攪拌熟成したゲルスラリーを「攪拌熟成ゲルスラリー」と称する。従って、上記クロスフロー濾過工程に供するゲルスラリーは、上記クロスフロー濾過工程の前にゲルを攪拌熟成して得られる攪拌熟成ゲルスラリーであることが好ましい。
上記攪拌熟成は、ゲルを攪拌しながら熟成する工程であり、具体的には、ゲルを10~80℃で1~40時間攪拌する工程であることが好ましい。ゲルの製造において、通常の熟成のみであると、溶媒を内包したバルクゲルが製造されるが、攪拌しながら熟成を行うことで、温度がゲルに均一にかかり、ゲルの熟成が良好となり架橋反応が進行して、ネットワークを保ちつつ空隙を有するゲルが形成されやすくなる。また、粗粉砕されたゲルを含むゲルスラリーが製造され、そのような粗粉砕された攪拌熟成ゲルスラリーをクロスフロー濾過に供することで、ゲルと置換用溶媒等との接触面積が大きくなり、置換をより効率的に行うことができる。また、攪拌熟成ゲルスラリーの粘度が低くなり、取り扱い易くなる。
攪拌方法としては、一定の粒度に攪拌できる方法であれば特に限定されず、攪拌翼を有する撹拌機を用いた公知の攪拌方法が挙げられる。
上記攪拌熟成の温度は、20~65℃であることがより好ましい。
上記攪拌熟成における攪拌時間は、3~25時間であることがより好ましい。
(粉砕工程)
本発明のゲル粒子分散液の製造方法は、更に、粉砕工程を有していてもよい。ゲルを粉砕する工程を有することで、ゲル粒子の粒度を調製し、ゲル製造用溶媒の残存量や副生成物量をより効率的に低減したり、目的とするゲル粒子分散液を効率的に製造することができる。
上記粉砕工程は、クロスフロー濾過工程前に行ってもよいし、クロスフロー濾過工程後に行ってもよく、また、クロスフロー濾過工程前後に行ってもよい。
すなわち、(攪拌)熟成ゲルスラリーを粉砕した後に、粉砕後ゲルスラリーをクロスフロー濾過してもよいし、クロスフロー濾過後のゲル粒子分散液を粉砕してもよいし、その両方を行ってもよい。
なかでも、より効率的にクロスフロー濾過工程を行うことができる点で、上記攪拌熟成工程後、クロスフロー濾過工程前に粉砕工程を行うことが好ましい。
上記粉砕工程は、溶媒中で行ってもよい。粉砕に使用する溶媒は、上述したゲル製造用溶媒又は置換用溶媒と同じ溶媒であってよいし、これらの混合液であってもよい。またこれらの溶媒を適宜添加して、粉砕を行ってもよい。
上記粉砕方法としては、目的とするゲル粒子の粒度に粉砕することができるのであれば特に限定されず、ホモミクサー、マイルダー、超音波ホモジナイザー、高速回転ホモジナイザー等の乳化分散機、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等のメディア粉砕機等の公知の粉砕方法が挙げられる。なかでも、ホモミクサー、マイルダーが好ましい。
上記粉砕工程の後、濃縮工程、精製工程、洗浄工程等、通常行われる公知の工程を行ってもよい。
本発明の製造方法により得られるゲル粒子分散液中のゲル粒子の個数平均粒子径は、ゲル粒子分散液の目的、用途に応じて適宜選択すれがよいが、0.2~300μmであることが好ましく、0.5~200μmであることがより好ましく、1~100μmであることが更に好ましい。
上記個数平均粒子径は、上述した方法と同様の方法により求めることができる。
上記ゲル粒子分散液の粘度は、10~10000mPa・sであることが好ましく、15~5000mPa・sであることがより好ましく、20~2000mPa・sであることが更に好ましい。
上記粘度は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記ゲル粒子分散液の固形分濃度は、特に限定されないが、0.5~20質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、0.5~10質量%であることが更に好ましい。
上記ゲル粒子分散液のゲル製造用溶媒の残存量は、10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましく、1000ppm以下であることが更に好ましく、500ppm以下であることが更により好ましく、200ppm以下であることが特に好ましい。
上記溶媒残存量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記ゲル粒子分散液のメタノールの残存量は、10000ppm以下であることが好ましい。上記有機ケイ素化合物を合成する際に副生成物としてメタノールが生成する。そのため、ゲルスラリーは副生成物としてメタノールを含むが、本発明の製造方法により、メタノールの残存量も効率良く低減することができる。
上記メタノールの残存量は、5000ppm以下であることがより好ましく、1000ppm以下であることが更に好ましい。
上記メタノールの残存量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記ゲル粒子分散液は、そのゲルの特性に応じて、様々な用途に使用することができる。
例えば、上記ゲル粒子分散液が、有機ケイ素化合物ゲル粒子分散液である場合、断熱性膜形成用組成物、低誘電率膜形成用組成物、又は、低屈折率膜形成用組成物として好適に使用することができる。
また、上記ゲル粒子分散液を含むゲル組成物とすることができる。
上記ゲル組成物は、その目的、用途に応じて、触媒等、他の添加剤を含んでいてもよい。
以上のとおり、本発明のゲル粒子分散液の製造方法は、ゲル製造用溶媒の残存量を効率的に低減することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
本実施例で使用した各種評価方法は、下記の通りである。
<残存DMSO量、残存メタノール量>
ゲルスラリー約1gと内部標準物質としてジエチレングリコールジエチルエーテル0.1gをアセトニトリル1gと混合した。混合液をフィルターで濾過し、濾液中のジメチルスルホキシドの量を、ガスクロマトグラフィーを用いて検量線法(内部標準)によって決定した。ガスクロマトグラフィーの条件は以下の通りとした。
装置:GC-2014(島津製作所製)
カラム:DB-WAX(アジレント・テクノロジー製、カラム長:30m、カラム内径:0.25mm、キャピラリー内膜厚:0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム
カラム温度 :50℃で5分間保持、10℃/分で昇温、240℃で6分間保持
注入口温度 :280℃
検出器温度 :320℃(FID)
検出される物質と保持時間:メタノール(2分)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(12分)、ジメチルスルホキシド(14分)
<粘度>
E型粘度計(東機産業製:TV-20L、低粘度領域:1°34’×R24ローター又は高粘度領域:3°×R9.7ローター)を用いて、測定温度25℃、回転速度5rpmで測定を行い、測定開始から2.5分後の値を採用した。
<固形分>
固形分を以下の方法で測定した。
1.アルミ皿を精秤した。
2.精秤したアルミ皿に固形分を測定する試料をのせ、精秤した。
3.180℃に調温したホットプレートに、2.で精秤した試料をアルミ皿ごと1時間入れた。
4.1時間後、アルミ皿および固形分を測定する成分をホットプレートから取り出し、放冷した。
5.放冷後、アルミ皿および固形分を測定する試料(乾燥後)を精秤した。
6.上記で測定した重量を用いて、以下の式により、固形分を算出した。
固形分(%)=(上記5の精秤で得られた重量(g)-上記1の精秤で得られたアルミ皿の重量(g))/(上記2の精秤で得られた重量(g)-上記1の精秤で得られたアルミ皿の重量(g))×100
<個数平均粒子径>
ゲル粒子分散液をイソブチルアルコールで3~10倍に希釈した分散液を測定試料として、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製「マスターサイザー3000」)により、個数平均粒子径を求めた。
(実施例1)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、ジメチルスルホキシド208部と、イオン交換水23部、メチルトリメトキシシラン(商品名KBM-13:信越化学社製)100部を仕込み、スリーワンモーター(新東科学社製)で撹拌しながら、内温を30℃に調整した。調温した混合液に撹拌継続下、滴下口から0.015Mシュウ酸水溶液53部を滴下した後、内温30℃で45分保持することでメチルトリメトキシシランを加水分解させた。得られた加水分解液に、別途ジメチルスルホキシド1335部と、イオン交換水210部、25%アンモニア水溶液58部を混合した液を添加し、撹拌継続下内温40℃で20時間保持することで、攪拌熟成して、ゲル化を行った。
得られたゲルスラリー(固形分3.6質量%)100部にイソブチルアルコール100部を加え、プライミクス製ホモミクサーMARKII 2.5型で、25℃、8000rpmで5分間、粉砕することで、個数平均粒子径76.8μmのゲル粒子を含む攪拌熟成ゲルスラリーを得た。そして、得られた攪拌熟成ゲルスラリーを、流路径3mm、長さ250mm、穴数7、孔径0.1μm、濾過面積が0.016mのセラミック製精密濾過膜(日本ガイシ製)を備えたクロスフロー型濾過装置に入れ、濾過圧力0.1MPa、処理温度40℃、循環液の線速3m/秒の条件で、1900部のイソブチルアルコールを連続的に添加して、11.5時間溶媒置換後濃縮処理を行うことで、固形分3.18質量%、個数平均粒子径が37.0μmのイソブチルアルコール置換ゲル粒子分散液を得た。得られたゲル粒子分散液の残存DMSO量は54ppm、残存メタノール量は2ppm、粘度は95.9mPa・sであった。
(実施例2)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、ジメチルスルホキシド208部と、イオン交換水23部、メチルトリメトキシシラン(商品名KBM-13:信越化学社製)100部を仕込み、スリーワンモーター(新東科学社製)を用いて撹拌しながら内温を30℃に調整した。調温した混合液に撹拌継続下、滴下口から0.015Mシュウ酸水溶液53部を滴下した後、内温30℃で45分保持することでメチルトリメトキシシランを加水分解させた。得られた加水分解液に、別途ジメチルスルホキシド918部と、イオン交換水121部、25%アンモニア水溶液58部を混合した液を添加した後、攪拌を停止し内温40℃で20時間保持することでゲル化を行った。
得られたゲル100部にイソブチルアルコール100部を加え、プライミクス製ホモミクサーMARKII 2.5型で、25℃、13000rpmで1分間、粉砕することで、個数平均粒子径75.7μmのゲル粒子を含む熟成ゲルスラリーを得た。そして、得られた熟成ゲルスラリーを、流路径3mm、長さ250mm、穴数7、孔径0.1μm、濾過面積が0.016mのセラミック製精密濾過膜(日本ガイシ製)を備えたクロスフロー型濾過装置に入れ、濾過圧力0.1MPa、処理温度33℃、循環液の線速2m/秒の条件で、1900部のイソブチルアルコールを連続的に添加して、9.7時間溶媒置換後濃縮処理を行うことで、固形分3.11質量%、個数平均粒子径が65.4μmのイソブチルアルコール置換ゲル粒子分散液を得た。得られたゲル粒子分散液の残存DMSO量は64ppm、残存メタノール量は10ppm、粘度は4250mPa・sであった。
(比較例1)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、ジメチルスルホキシド232部と、メチルトリメトキシシラン(商品名KBM-13:信越化学社製)100部を仕込み、スリーワンモーター(新東科学社製)で撹拌しながら、内温を30℃に調整した。調温した混合液に撹拌継続下、滴下口から0.01Mシュウ酸水溶液53部を滴下した後、内温30℃で45分保持することでメチルトリメトキシシランを加水分解させた。得られた加水分解液に、別途ジメチルスルホキシド812部と、イオン交換水21部、28%アンモニア水溶液40部を混合した液を添加した後、攪拌を停止し内温40℃で20時間保持することでゲル化を行った。得られたゲルを長辺が1~3cmのサイコロ状に粉砕し、ゲル100部に対し800部の水にゲルを浸漬させ、水のみ対流するようにゆっくり1時間室温で撹拌した。1時間後に水を同量の水に交換し、さらに3時間撹拌した。さらにその後、再度水を交換し、その後、60℃でゆっくり撹拌しながら3時間加熱した。その後、水を、400部のイソプロピルアルコールに交換し、同じく60℃で6時間撹拌下加熱した。さらに、イソプロピルアルコールを100部のイソブチルアルコールに交換し、同じく60℃で6時間加熱し、ゲル中に含まれる溶媒をイソブチルアルコールに置換して、イソブチルアルコール置換ゲル粒子分散液を得た。得られたゲルの残存DMSO量は180ppm、残存メタノール量は12ppmであった。
以上の結果より、実施例では、比較例と比べて、より短い溶媒置換時間で、残存DMSO量や副生成物であるメタノール量が少ないイソブチルアルコール置換ゲル粒子分散液を得ることができたことがわかる。これより、実施例のゲル粒子分散液の製造方法は、ゲル化物中のゲル製造時に使用した溶媒の残存量や副生成物量が低減したゲル粒子分散液を、非常に効率良く製造することができることがわかった。

Claims (10)

  1. ゲル粒子分散液を製造する方法であって、
    該製造方法は、ゲルスラリーをクロスフロー濾過する工程を含む
    ことを特徴とするゲル粒子分散液の製造方法。
  2. 前記クロスフロー濾過工程において、濾過圧力は0.05~1.0MPaであることを特徴とする請求項1に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
  3. 前記クロスフロー濾過工程において、処理温度は10~100℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
  4. 前記クロスフロー濾過工程において、循環液の線速は0.5~5.0m/秒であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
  5. 前記クロスフロー濾過工程において、溶媒置換を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
  6. 前記ゲルスラリーは、前記クロスフロー濾過工程の前に、ゲルを攪拌熟成して得られる攪拌熟成ゲルスラリーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
  7. 前記攪拌熟成は、前記ゲルを10~80℃で1~40時間攪拌する工程であることを特徴とする請求項6に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
  8. 前記ゲル粒子分散液は、有機ケイ素化合物ゲル粒子分散液であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
  9. 前記有機ケイ素化合物は、シロキサン化合物であることを特徴とする請求項8に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
  10. 更に、粉砕工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル粒子分散液の製造方法。
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