JP2024039206A - 表示装置の製造方法および表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光ダイオードと基板との間が銅配線で接続された構造を備える表示装置において、銅配線の酸化を抑えること。【解決手段】発光ダイオードと回路基板との間が銅配線で接続された構造を備え、発光ダイオードと回路基板との間には絶縁層が設けられている表示装置の製造方法。絶縁層は、樹脂組成物の硬化物で構成されている。そして、樹脂組成物の硬化物の厚み10μmあたりの酸素透過度は、0.5~20cc・mm/(m2・day)である。【選択図】図3

Description

本発明は、表示装置の製造方法および表示装置に関する。より具体的には、樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備える表示装置の製造方法、および、好ましくはその表示装置の製造方法により製造可能な表示装置に関する。
電子デバイスや表示装置内の絶縁層を形成するために、光照射により硬化する性質を有する樹脂組成物を用いることが知られている。
特許文献1には、半導体装置の表面保護膜または層間絶縁膜の形成のため、ビフェノール構造を有するフェノール樹脂などを含む感光性樹脂組成物を用いることが記載されている。
特許文献2には、半導体チップの表面上に設けられた再配線層中の絶縁層を設けることを目的として、エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、光酸発生剤とを含み、フェノール樹脂を含まないネガ型感光性樹脂組成物を用いることが記載されている。
国際公開第2018/088469号 国際公開第2020/045311号
本発明者らは、発光ダイオードと基板との間が銅配線で接続された構造を備える表示装置(液晶ディスプレイ等)の製造において、発光ダイオードと基板との間に絶縁層を設けるために、樹脂組成物を適用した。しかし、用いる樹脂組成物によっては、銅配線が酸化してしまう問題があることを本発明者らは見出した。
特に近年、マイクロLEDの採用などにより、表示装置内の銅配線の細線化が進んでいる。このため、これまでは銅配線自体が太かったために大きな問題とならなかった銅配線の酸化が、解決すべき課題としてクローズアップされつつある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の1つは、発光ダイオードと基板との間が銅配線で接続された構造を備える表示装置において、銅配線の酸化を抑えることである。
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
1.
表示装置の製造方法であって、
前記表示装置は、発光ダイオードと回路基板との間が銅配線で接続された構造を備え、前記発光ダイオードと前記回路基板との間には絶縁層が設けられており、
前記絶縁層は、樹脂組成物の硬化物で構成されており、
前記硬化物の厚み10μmあたりの酸素透過度が、0.5~20cc・mm/(m・day)である、表示装置の製造方法。
2.
1.に記載の表示装置の製造方法であって、
前記樹脂組成物は、感光性樹脂組成物である、表示装置の製造方法。
3.
1.または2.に記載の表示装置の製造方法であって、
前記発光ダイオードは、ミニLEDまたはマイクロLEDである、表示装置の製造方法。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の表示装置の製造方法であって、
前記発光ダイオードは、赤色光、緑色光または青色光を発する発光ダイオードである、表示装置の製造方法。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の表示装置の製造方法であって、
前記絶縁層の厚みは1~200μmの範囲内にある、表示装置の製造方法。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の表示装置の製造方法であって、
前記樹脂組成物が、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選ばれるいずれかの樹脂を含む、表示装置の製造方法。
7.
1.~5.のいずれか1つに記載の表示装置の製造方法であって、
前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂を含む、表示装置の製造方法。
8.
1.~5.のいずれか1つに記載の表示装置の製造方法であって、
前記樹脂組成物が、フェノール樹脂を含む、表示装置の製造方法。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の表示装置の製造方法であって、
前記硬化物の厚み10μmあたりの水蒸気透過度が、0.1~5g・mm/(m・day)である、表示装置の製造方法。
10.
発光ダイオードと回路基板との間が銅配線で接続された構造を備え、前記発光ダイオードと前記回路基板との間には絶縁層が設けられており、
前記絶縁層は、樹脂組成物の硬化物で構成されており、
前記硬化物の厚み10μmあたりの酸素透過度が、0.5~20cc・mm/(m・day)である、表示装置。
11.
10.に記載の表示装置であって、
前記発光ダイオードは、ミニLEDまたはマイクロLEDである、表示装置。
12.
10.または11.に記載の表示装置であって、
前記発光ダイオードは、赤色光、緑色光または青色光を発する発光ダイオードである、表示装置。
13.
10.~12.のいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記絶縁層の厚みは1~200μmの範囲内にある、表示装置。
14.
10.~13.のいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記樹脂組成物が、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選ばれるいずれかの樹脂を含む、表示装置。
15.
10.~13.のいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂を含む、表示装置。
16.
10.~13.のいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記樹脂組成物が、フェノール樹脂を含む、表示装置。
17.
10.~16.のいずれか1つに記載の表示装置であって、
前記硬化物の厚み10μmあたりの水蒸気透過度が、0.1~5g・mm/(m・day)である、表示装置
本発明によれば、発光ダイオードと基板との間が銅配線で接続された構造を備える表示装置において、銅配線の酸化を抑えることができる。
表示装置の製造方法について説明するための図である。 表示装置の製造方法について説明するための図である。 表示装置の製造方法および表示装置の構造について説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「X~Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
<表示装置の製造方法および表示装置>
本実施形態の表示装置の製造方法で製造することができる表示装置は、発光ダイオードと回路基板との間が銅配線で接続された構造を備え、発光ダイオードと回路基板との間には絶縁層が設けられている。ここで、絶縁層は、樹脂組成物の硬化物で構成されている。この硬化物の厚み10μmあたりの酸素透過度は、0.5~20cc・mm/(m・day)である。
前述のように、発光ダイオードと基板との間が銅配線で接続された構造を備える表示装置において、発光ダイオードと基板との間に絶縁層を設けるために用いる樹脂組成物によっては、銅配線が酸化してしまう問題が生じうる。この銅配線の酸化は、マイクロLEDの採用などにより表示装置内の銅配線の細線化が進んでいる昨今、特に問題となりつつある。
銅の「酸化」は、通常、銅が空気中の酸素に触れることで引き起こされる。よって、本発明者らは、表示装置中の絶縁層として、酸素透過度が小さいものを採用することで、銅配線の酸化を抑制できないかと考えた。
そして、具体的には、本発明者らは、厚み10μmあたりの酸素透過度が0.5~20cc・mm/(m・day)である、つまり、酸素透過度が比較的小さい絶縁層を、発光ダイオードと回路基板との間に設けて、銅配線が空気中の酸素に触れにくいようにした。このようにして、銅配線の酸化を抑制することができた。
銅配線の酸化の一層の抑制の観点で、絶縁層の厚み10μmあたりの酸素透過度は、好ましくは0.5~15cc・mm/(m・day)、より好ましくは0.5~10cc・mm/(m・day)である。
ちなみに、酸素透過度の下限値の0.5cc・mm/(m・day)という数値は、ひとつには現実的に実現可能な酸素透過度の数値を規定したものである。また、絶縁層が気体をある程度透過することで、絶縁層そのものが含んでいた気体の排出や、表示装置の製造の際に取り込んでしまった気体の排出が促される側面もある。
酸素透過度は、JIS K 7126-2の電解センサ法で測定することができる。
絶縁層の「厚み10μmあたりの」酸素透過度については、表示装置を分解して上記電解センサ法に適用可能なサンプル(厚み10μmで、測定に十分な面積を有するサンプル)を得ることができる場合には、そのサンプルを用いて測定することができる。表示装置を分解しても測定に十分な面積を有する適切なサンプルを得ることができない場合は、表示装置中の絶縁層を形成するために用いた樹脂組成物と同じ樹脂組成物を、表示装置中の絶縁層形成と同じ条件(露光、加熱などの条件が同じということを意味する)で硬化させて得られた膜厚10μmのサンプルを用いて、「厚み10μmあたりの」酸素透過度を測定することができる。
銅配線の酸化の一層の抑制の観点で、絶縁層は、酸素透過度が小さいことに加え、水蒸気透過度も小さいことが好ましい。具体的には、絶縁層を構成する樹脂組成物の硬化物の、厚み10μmあたりの水蒸気透過度は、好ましくは0.1~5g・mm/(m・day)、より好ましくは0.1~4g・mm/(m・day)、さらに好ましくは0.1~3g・mm/(m・day)である。
水蒸気透過度は、JIS K 7129-2の赤外線センサ法で測定することができる。「硬化物の厚み10μmあたりの水蒸気透過度」の測定の具体的方法については、前述の酸素透過度の測定法と同様である。つまり、表示装置を分解してサンプルを得るか、または、表示装置中の絶縁層形成と同じ条件で硬化させて得られた膜厚10μmのサンプルを用いて測定することができる。
表示装置の製造方法の概略は、以下のとおりである。
(i)基板上に、樹脂組成物の硬化物によるパターンを形成する。
(ii)上記パターンの間に、適当な方法(例えばめっき)により銅配線を形成する。この際、パターン表面には金属含有層が設けられていることが好ましい。また、不要な部分に銅が付着しないように、上記(i)で形成されたパターンの一部の上に剥離除去可能なパターンを形成し、銅めっき後にそのパターンを除去してもよい。
(iii)形成された銅配線にLEDを電気的に接続する。
以下、表示装置の製造方法について、図面を参照しつつより具体的に説明する。
(図1(a))
まず、基板1を準備する。基板1は、通常、ガラスなどの透明基板である。基板1には、必要に応じて回路等の構造が形成されていてもよい。つまり、基板1は回路基板であってもよい。
(図1(b))
基板1上に、樹脂組成物を用いて、感光性樹脂膜3Aを形成する。樹脂組成物の具体的態様については追って詳述する。
膜形成の方法は特に限定されない。大面積を効率よく塗布する点では、インクジェット法による膜形成が好ましい。インクジェット法のほか、スピンコート、バーコート、カーテンコートなどの各種塗布法を採用することができる。インクジェット法以外の各種印刷法を採用することもできる。
樹脂組成物を基板1上に塗布した後には、加熱処理(プリベーク)を行ってもよい。これの条件は、例えば60~140℃において30~600秒程度とすることができる。
感光性樹脂膜3Aの厚みは、通常1~20μm、具体的には3~15μmである。この厚みとなるように塗布条件や樹脂組成物の粘度を調節することが好ましい。
(図1(c))
感光性樹脂膜3Aに選択的に光を当てて(露光)、その後、現像液を用いて現像処理を行うことにより、パターン3Bを形成する。
選択的な露光を行うため、露光は、通常、フォトマスク(図示せず)を用いて行われる。
露光用の活性光線としては、例えばX線、電子線、紫外線、可視光線などが使用できる。活性光線の波長は好ましくは200~500nmである。パターンの解像度および取り扱い性の点で、光源波長は水銀ランプのg線、h線又はi線の領域であることが好ましい。
光の照射量は、樹脂組成物の感度を踏まえ、適宜調整すればよい。
露光後であって現像処理の前に、感光性樹脂膜3Aを加熱してもよい(露光後加熱)。加熱条件は、例えば80~140℃で10~300秒程度とすることができる。
現像処理は、例えば浸漬法、パドル法、回転スプレー法などの方法により行うことができる。現像により、感光性樹脂膜3Aから、露光部(ポジ型の場合)または未露光部(ネガ型の場合)が溶出除去され、パターン3Bを得ることができる。
現像液は、典型的には、(i)アルカリ水溶液であるか、(ii)有機溶剤である。現像液は、樹脂組成物の設計に応じて適宜選択することが可能である。
(i)としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類;エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩類などの水溶液;などを挙げることができる。
(ii)としては、例えばシクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、メチルアミルケトンなどを挙げることができる。
当然、ここには挙げていない現像液も、感光性樹脂膜3Aをパターニング可能である限り、使用可能である。
現像処理後、微細な残渣の除去や、残留する現像液の除去などのため、リンス処理を行ってもよい。リンス処理については公知技術を適宜参考とすることができる。
後述するスパッタリングへの耐性の点で、パターン3Bを熱硬化させることが好ましい。このときの加熱温度は150℃~500℃が好ましく、150℃~400℃がより好ましい。加熱時間は、15~300分とすることができる。この加熱処理は、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンなどにより行うことができる。加熱処理を行う際の雰囲気気体としては、空気でもよく、窒素、アルゴンなどの不活性ガスであることもできる。低温にて熱処理を行う必要がある場合には、真空ポンプなどを利用して減圧下で加熱を行ってもよい。
(図1(d))
好ましくは熱硬化したパターン3Bに対し、スパッタリング等の適当な手段により、金属含有層5を形成する。金属含有層5は、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物等であることができる。金属含有層5は、後述する銅めっきプロセスにおいて、銅が付着する「土台」「基礎」となる役割を果たす。
金属含有層5の厚みは、例えば50~1000nm、好ましくは100~500nmである。
(図1(e))
金属含有層5が設けられたパターン3Bの上に、さらにパターン7を設ける。パターン7は、パターン3Bと同様、樹脂組成物の塗布、露光、現像、熱硬化などの工程により設けることができる。パターン7を設けるための樹脂組成物としては、公知の樹脂組成物(レジスト組成物など)を適宜用いることができる。パターン7は後述の工程により剥離除去されるため、パターニングした後に除去しやすい性質を有する樹脂組成物を用いることが好ましい。
パターン3Bおよびパターン7の形状や位置を適切に制御することにより、後述する工程において、所望の銅配線を得ることができる。
(図2(f))
パターン3B、金属含有層5およびパターン7が形成された構造に対して、銅めっきを行う。これにより銅配線9を設ける。
銅めっきは、湿式めっきであっても乾式めっきであってもよい。銅めっきは、湿式めっきが好ましく、より具体的には電解めっきが好ましい。
(図2(g))
パターン7を除去する。例えば、パターン7を剥離可能な剥離液を用いることで、パターン7を除去する。
また、パターン7の除去後、金属含有層5におけるパターン7が形成されていた部分を除去する。これによりパターン3Bの一部は露出する。金属含有層5の除去については、例えば、金属含有層5を選択的にエッチング可能なガスを用いたドライエッチング法を適用することができる。
(図2(h))
再び、樹脂組成物を用いて、塗布、露光、現像などの処理により、パターンを形成する。これにより、図1(c)で形成されていたパターン3Bの上にさらにパターンが形成され、新たなパターン3Bとなる。
このとき、銅配線9の一部を露出させるようにパターン3Bを形成する。別の言い方として、銅配線9の上に、パターン3Bの開口部を設ける。これは、後述の工程で銅配線9とLED素子とを電気的に接続するためである。
ここで用いることができる樹脂組成物は、硬化膜としたときの酸素透過度が小さい限り、図1(b)で用いた樹脂組成物と同一であっても異なっていてもよい。ただし、新たに形成されるパターン全体としての物性を均質とする観点から、ここで用いる樹脂組成物と、図1(b)で用いる樹脂組成物とは、同一であることが好ましい。
ここでのパターン形成の具体的方法は、図1(c)で説明したようにして行うことができる。よって、パターン形成の具体的方法に関する説明は割愛する。
(図2(i))
パターン3Bの少なくとも開口部に、銅配線9を設ける。具体的には、図2(f)で設けられていた銅配線9の上に、さらに銅配線9を設け、新たな銅配線9とする。
ここでの銅配線9の設け方は、図1(d)から図2(g)で説明した方法を参考にすることができる。すなわち、スパッタリング等の適当な手段による金属含有層の形成、剥離除去可能な樹脂組成物によるパターン形成、銅めっき、パターンの除去、といった工程により銅配線9を設けることができる。
(図2(j))
銅配線9の上に、LED素子11を実装する。例えば、銅配線9に、はんだ付けにより、LED素子11を電気的に接続する。
LED素子11は、表示装置に使用可能なものである限り特に限定されない。表示装置の構成により、LED素子11は白色LEDであってもよいし、赤、緑、青のいずれかの光を発するLEDであってもよい。
LED素子11は、マイクロLEDやミニLEDであってもよい。マイクロLEDとは、チップサイズが100μm角未満のLEDのことをいう。ミニLEDとは、チップサイズが100μm以上(より具体的には100μm以上200μm以下)のLEDのことをいう。マイクロLEDやミニLEDは、通常、赤、緑、青のいずれかの光を発するLEDであり、これらLED素子を用いた表示装置は、いわゆる「自発光型」に分類される。
マイクロLEDやミニLEDがいかなるものかについては、以下文献にも記載されているので、参照されたい。
2019 次世代ディスプレイ技術と関連材料/プロセスの最新動向調査(富士キメラ総研)
映像情報メディア学会誌 Vol.73,No.5,pp.939~942(2019)
前述のとおり、LED素子11としてマイクロLEDやミニLEDのような小さいLED素子を用い、そしてそのために銅配線9を細線化した場合であっても、パターン3Bを形成するための組成物として、硬化物としたときの酸素透過度が小さい樹脂組成物を用いることで、銅配線9の酸化は抑えられる。
(図3(k)、図3(l)および図3(m))
保護層13、接着層15およびカバー層17を逐次設けることで、表示装置を製造することができる。これら層を設けるための材料や、これら層を設けるための具体的方法については、公知技術を適宜参考とすることができる。
以上のようにして、発光ダイオード(LED素子11)と、回路基板(基板1)との間が、銅配線(銅配線9)で電気的に接続された構造を備え、かつ、発光ダイオードと基板との間に絶縁層(パターン3B)が設けられた表示装置を製造することができる。この表示装置においては、樹脂組成物の硬化物で構成されている絶縁層(パターン3B)の厚み10μmあたりの酸素透過度が0.5~20cc・mm/(m・day)であることにより、銅配線(銅配線9)の酸化が抑制される。
ちなみに、絶縁層(パターン3B)の厚みは、通常は1~200μmの範囲内、好ましくは5~100μmの範囲内である。絶縁層(パターン3B)の厚みが十分に大きいことで、銅配線(銅配線9)の酸化が十分に抑制される。また、絶縁層(パターン3B)が厚すぎないことで、表示装置をより小型化したり薄くしたりしやすくなる。
(樹脂が非感光性である場合の補足)
図1~3では、樹脂組成物が感光性であり、露光および現像によりパターニングが可能である場合について説明した。
樹脂組成物が非感光性であり、樹脂組成物単独ではパターニングができない場合には、別の感光性樹脂組成物(フォトレジスト)を補助的に用いることで、図1~3に示したプロセスと類似のプロセスを実施することが可能である。具体的には、以下(i)~(v)のような工程により、非感光性の樹脂組成物で形成された樹脂膜を「パターニング」することで、上述のプロセスと実質的に同様のプロセスを実施することができる。
(i)樹脂組成物により樹脂膜を形成
(ii)その樹脂膜の上にフォトレジスト膜を形成
(iii)そのフォトレジストを露光および現像することでパターンを形成
(iv)形成されたパターンをマスクとして樹脂膜をエッチングすることで、樹脂膜をパターニング
(v)フォトレジストを剥離
<好ましく使用可能な樹脂組成物>
上述の表示装置の製造方法に好ましく適用可能な樹脂組成物の例を以下でいくつか説明する。
樹脂組成物は、好ましくは、感光性である。換言すると、樹脂組成物は、好ましくは、露光により現像液に対する溶解性が変化することによりパターニング可能なものである。ただし、樹脂組成物が非感光性であっても、上述のように、別の感光性樹脂組成物(フォトレジスト)を補助的に用いることで、表示装置の製造は可能である。
樹脂組成物は、適切な材料を選択し、かつ、適切な製造条件を選択することにより製造することができる。適切な材料や製造条件を選択することで、硬化膜としたときの酸素透過度を十分に小さくすることができる。
「適切な材料」については、好ましくは以下に説明する、樹脂組成物の例1~樹脂組成物の例3のような組成の樹脂組成物を採用することを挙げることができる。すなわち、上述の表示装置の製造方法および表示装置において、絶縁層は、好ましくは、以下の樹脂組成物の例1~樹脂組成物の例3のような組成の樹脂組成物の硬化物で構成される。
また、「適切な製造条件」については、好ましくは樹脂組成物の調製を窒素雰囲気下で行うことを挙げることができる。
(樹脂組成物の例1:ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選ばれるいずれかの樹脂を含む態様)
樹脂組成物は、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選ばれるいずれかの樹脂を含むことができる。以下、このような樹脂組成物の態様について説明する。
以下、「ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選ばれるいずれかの樹脂」を「ポリイミド等」と表記することがある。また、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体のことを「ポリアミド樹脂」と表記することがある。
ポリイミド等を含む樹脂組成物は、少なくともポリイミド等を含み、好ましくは、光開始剤、尿素誘導体、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物、有機チタン化合物、増感剤、光重合性の不飽和結合を有するモノマー、密着助剤、熱重合禁止剤、架橋剤、溶剤などのうち1または2以上を含む。
・ポリイミド等
ポリイミドは、下記一般式(PI-1)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2024039206000002
一般式(PI-1)中、
Xは2価の有機基であり、
Yは4価の有機基である。
Xの2価の有機基および/またはYの4価の有機基は、脂環構造または芳香環構造を含むことが好ましく、ベンゼン環構造を含むことがより好ましい。これにより耐熱性が一層高まる傾向がある。
有機溶剤溶解性の観点では、XおよびYの一方または両方が、フッ素原子含有基であってもよい。一方、酸素透過度を小さくする観点では、XおよびYは、フッ素原子を含まないことが好ましい。
Xの2価の有機基および/またはYの4価の有機基は、好ましくは、2~6個の脂環または芳香環が、単結合または2価の連結基を介して結合した構造を有する。ここでの2価の連結基としては、アルキレン基、フッ化アルキレン基、エーテル基などを挙げることができる。アルキレン基およびフッ化アルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
Xの2価の有機基の炭素数は、例えば6~30である。
Yの4価の有機基の炭素数は、例えば6~20である。
一般式(PI-1)中の2つのイミド環は、それぞれ、5員環であることが好ましい。
ポリイミドは、下記一般式(PI-2)で表される構造単位を含むことがより好ましい。
Figure 2024039206000003
一般式(PI-2)中、
Xは、一般式(PI-1)におけるXと同義であり、
Y'は、単結合またはアルキレン基を表す。
Xの具体的態様については、一般式(PI-1)において説明したものと同様である。
Y'のアルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。Y'のアルキレン基の炭素数は、例えば1~6、好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3である。
ポリイミドは、ポリイミド前駆体を閉環反応させることにより得ることができる。ポリイミド前駆体としては、ポリアミド樹脂(具体的には後述)を用いることができる。
ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体の重量平均分子量は、例えば5000~100000、好ましくは7000~75000、より好ましくは10000~50000である。ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体の重量平均分子量がある程度大きいことにより、例えば硬化膜の十分な耐熱性を得ることができる。また、ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体の重量平均分子量が大きすぎないことにより、ポリイミドおよび/またはポリイミド前駆体を有機溶剤に溶解させやすくなる。
重量平均分子量は、通常、ポリスチレンを標準物質として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めることができる。
ポリベンゾオキサゾールは、下記一般式(PB01)で表される構造単位を含むことが好ましい。ポリベンゾオキサゾールを用いる場合、1のみのベンゾオキサゾール樹脂を用いてもよいし、2以上のポリベンゾオキサゾールを併用してもよい。
Figure 2024039206000004
ポリベンゾオキサゾールは、ポリベンゾオキサゾール前駆体を閉環反応させることにより得ることができる。ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、ポリアミド樹脂を用いることができる。
ポリアミド樹脂は、下記一般式(PA-1)で表される構造単位を含むことが好ましい。ポリアミド樹脂を用いる場合、1のみのポリアミド樹脂を用いてもよいし、2以上のポリアミド樹脂を併用してもよい。
Figure 2024039206000005
一般式(PA-1)において、XおよびYの定義および具体的態様は、一般式(PI-1)と同様である。
ポリアミド樹脂は、下記一般式(PA-2)で表される構造単位を含むことがより好ましい。
Figure 2024039206000006
一般式(PA-2)中、
Xは、一般式(PA-1)におけるXと同義であり、
Y'は、単結合またはアルキレン基を表す。
・光開始剤
樹脂組成物を感光性とする場合には、樹脂組成物は光開始剤を含むことができる。
光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体、2,2'-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタールなどのベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾイン誘導体、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシムなどのオキシム類、N-フェニルグリシン等のN-アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類などが好ましく挙げられる。使用可能な光開始剤は当然これらのみに限定されるものではない。1のみの光開始剤をもちいてもよいし2以上の光開始剤を併用してもよい。上光感度の点では、光開始剤としてはオキシム類が好ましい。
光開始剤を用いる場合、その量は、ポリイミド等100質量部に対し、通常1~20質量部であり、光感度特性の観点から2~15質量部が好ましい。
・尿素誘導体
尿素誘導体の使用により、組成物の感度や安定性の向上、銅の変色抑制、などの効果を得ることができる場合がある。
尿素誘導体としては、例えば、1,3-ジメチル尿素、1,3-ジメチルチオ尿素、1,3-ジメチロール尿素、1,3-ジメチロールチオ尿素、1,3-ジメトキシメチル尿素、1,3-ジメトキシメチルチオ尿素、1,3-ジエチル尿素、1,3-ジエチルチオ尿素、1,3-ジイソプロピル尿素、1,3-ジイソプロピルチオ尿素、1,3-ジ-n-プロピル尿素、1,3-ジ-n-プロピルチオ尿素、1,3-ジブチル尿素、1,3-ジブチルチオ尿素、1,3-ビス(2-メチルプロピル)尿素、1,3-ビス(2-メチルプロピル)チオ尿素、1,3-ビス(1-メチルプロピル)尿素、1,3-ビス(1-メチルプロピル)チオ尿素、1,3-ジシクロペンチル尿素、1,3-ジシクロペンチルチオ尿素、1,3-ジ-n-ペンチル尿素、1,3-ジ-n-ペンチルチオ尿素、1,3-ビス(1-メチルブチル)尿素、1,3-ビス(1-メチルブチル)チオ尿素、1,3-ビス(2-メチルブチル)尿素、1,3-ビス(2-メチルブチル)チオ尿素、1,3-ビス(3-メチルブチル)尿素、1,3-ビス(3-メチルブチル)チオ尿素、1,3-ビス(1-エチルプロピル)尿素、1,3-ビス(1-エチルプロピル)チオ尿素、1,3-ジシクロヘキシル尿素、1,3-ジシクロヘキシルチオ尿素、1,3-ジフェニル尿素、1,3-ジフェニルチオ尿素、1,3-ジヒドロキシエチル尿素、1,3-ジヒドロキシエチルチオ尿素、1,3-ジ(4-ピリジル)尿素、1,3-ジ(4-ピリジル)チオ尿素、1,3-ジ(3-ピリジル)尿素、1,3-ジ(3-ピリジル)チオ尿素、1,3-ジ(2-ピリジル)尿素、1,3-ジ(2-ピリジル)チオ尿素、1-アダマンチル-3-フェニル尿素、1-アダマンチル-3-フェニルチオ尿素、1,3-ジ(o-トリル)尿素、1,3-ジ(o-トリル)チオ尿素、1,3-ジ(p-トリル)尿素、1,3-ジ(p-トリル)チオ尿素、1-メチル-3-エチル尿素、1-メチル-3-エチルチオ尿素、1-メチル-3-n-プロピル尿素、1-メチル-3-n-プロピルチオ尿素、1-メチル-3-イソプロピル尿素、1-メチル-3-イソプロピルチオ尿素、1-メチル-3-(2-メチルブチル)尿素、1-メチル-3-(2-メチルブチル)チオ尿素、1-メチル-3-(1-メチルブチル)尿素、1-メチル-3-(1-メチルブチル)チオ尿素、1-メチル-3-n-ペンチル尿素、1-メチル-3-n-ペンチルチオ尿素、1-メチル-3-n-ブチル尿素、1-メチル-3-n-ブチルチオ尿素、1-メチル-3-n-ヘキシル尿素、1-メチル-3-n-ヘキシルチオ尿素、1-メチル-3-シクロヘキシル尿素、1-メチル-3-シクロヘキシルチオ尿素、1,3-ビス(3,5-ジメチルフェニル)尿素、1,3-ビス(3,5-ジメチルフェニル)チオ尿素、1,3-ビス(3-メトキシプロピル)尿素、1,3-ビス(3-メトキシプロピル)チオ尿素、1-メチル-3-ベンジル尿素、1-メチル-3-ベンジルチオ尿素、1,3-ジベンジル尿素、1,3-ジベンジルチオ尿素、1-エチル-3-n-プロピル尿素、1-エチル-3-n-プロピルチオ尿素、1-エチル-3-イソプロピル尿素、1-エチル-3-イソプロピルチオ尿素、1-エチル-3-(2-メチルブチル)尿素、1-エチル-3-(2-メチルブチル)チオ尿素、1-エチル-3-(1-メチルブチル)尿素、1-エチル-3-(1-メチルブチル)チオ尿素、1-エチル-3-n-ペンチル尿素、1-エチル-3-n-ペンチルチオ尿素、1-エチル-3-n-ブチル尿素、1-エチル-3-n-ブチルチオ尿素、1-エチル-3-n-ヘキシル尿素、1-エチル-3-n-ヘキシルチオ尿素、1-エチル-3-シクロヘキシル尿素、1-エチル-3-シクロヘキシルチオ尿素、1-メチル-3-(3,5-ジメチルフェニル)尿素、1-メチル-3-(3,5-ジメチルフェニル)チオ尿素、1-エチル-3-(3,5-ジメチルフェニル)尿素、1-エチル-3-(3,5-ジメチルフェニル)チオ尿素、1-メチル-3-アセチル尿素、1-メチル-3-アセチルチオ尿素などを挙げることができる。
諸性能のバランスを考慮し、尿素誘導体を用いる場合の量は、ポリイミド等100質量部に対し、通常0.1~30質量部、好ましくは0.1~20質量部である。
・アゾール化合物
アゾール化合物の使用により、銅の酸化や変色を一層抑えることができる場合がある。アゾール化合物としては、トリアゾール構造を有する化合物またはテトラゾール構造を有する化合物が好ましく、トリアゾール構造を有する化合物がより好ましい。
アゾール化合物の具体例としては、1H-トリアゾール、5-メチル-1H-トリアゾール、5-エチル-1H-トリアゾール、4,5-ジメチル-1H-トリアゾール、5-フェニル-1H-トリアゾール、4-t-ブチル-5-フェニル-1H-トリアゾール、5-ヒドロキシフェニル-1H-トリアゾール、フェニルトリアゾール、p-エトキシフェニルトリアゾール、5-フェニル-1-(2-ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5-ベンジル-1H-トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5-ジメチルトリアゾール、4,5-ジエチル-1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-メチル-1H-テトラゾールなどが挙げられる。
アゾール化合物の添加量は、ポリイミド等100質量部に対し、通常0.1~20質量部であり、光感度特性の観点から0.5~5質量部が好ましい。
・ヒンダードフェノール化合物
ヒンダードフェノール化合物を用いることで、銅の変色や酸化を一層抑えることができる場合がある。 ヒンダードフェノール化合物とは、フェノール化合物の芳香環中、ヒドロキシ基の酸素原子が結合している炭素原子に隣接する炭素原子が、t-ブチル基などの嵩高い置換基を有する化合物のことをいう。
ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4'-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N'ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられる。もちろん、使用可能なヒンダードフェノール化合物はこれらのみに限定されない。
中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオンなどが特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物を用いる場合の量は、ポリイミド等100質量部に対し、通常0.1~20質量部であり、光感度特性の観点から0.5~10質量部が好ましい。
・有機チタン化合物
有機チタン化合物の使用により、耐薬品性などの向上が図れる場合がある。
有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものであれば特に制限はない。
有機チタン化合物の具体例を以下のI)~VII)に示す。
I)チタンキレート化合物:中でも、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートが、組成物の安定性及び良好なパターンが得られることからより好ましく、具体的には、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス( エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルフォネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルフォニルチタネート等である。
中でも、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが、より耐薬品性を奏するという観点から好ましい。
有機チタン化合物を用いる場合の量は、ポリイミド等100質量部に対し、0.05~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~2重量部である。
・増感剤
光感度を向上させるために増感剤を任意に添加することができる。増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4'-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4'-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4'-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4'-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4'-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3'-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N'-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独用いてもよいし、2以上を併用することもできる。
増感剤を用いる場合、その量は、ポリイミド等100質量部に対し、0.1~25質量部が好ましい。
・光重合性の不飽和結合を有するモノマー
パターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に添加することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。これらは1のみを用いてもよいし、2以上を併用してもよい。
光重合性の不飽和結合を有するモノマーを用いる場合、その量は、ポリイミド等100質量部に対し、1~50質量部が好ましい。
・密着助剤
基板との密着性向上のため、密着助剤を任意に添加することができる。具体的には、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3'-ビス(N-〔3-トリエトキシシリル〕プロピルアミド)-4,4'-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-〔3-トリエトキシシリル〕プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を挙げることができる。
また、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤も挙げられる。
密着助剤を用いる場合、1のみの密着助剤を用いてもよいし、2以上の密着助剤を用いてもよい。
良好な密着性の観点から、密着助剤としてはシランカップリング剤を用いることがより好ましい。
密着助剤を用いる場合、その量は、ポリイミド等100質量部に対し、0.5~25質量部が好ましい。
・熱重合禁止剤
熱重合禁止剤を用いることにより、保存時の樹脂組成物溶液の粘度や光感度の安定性向上を図ることができる場合がある。
熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルフォプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。熱重合禁止剤を用いる場合、1のみの熱重合禁止剤を用いてもよいし、2以上の熱重合禁止剤を用いてもよい。
熱重合禁止剤を用いる場合、その量は、ポリイミド等100質量部に対し、0.005~12質量部が好ましい。
・架橋剤
パターンを加熱硬化する際に、ポリイミド等を架橋しうるか、またはそれ自身が架橋ネットワークを形成しうる架橋剤を添加し、硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
架橋剤としては、アミノ樹脂又はその誘導体が好適に用いられる。中でも、グリコール尿素樹脂、ヒドロキシエチレン尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、又はこれらの誘導体が好適に用いられる。特に好ましくは、アルコキシメチル化メラミン化合物であり、例として、ヘキサメトキシメチルメラミンが挙げられる。
架橋剤を用いる場合、その量は、ポリイミド等100質量部に対し、2~40質量部であることが好ましく、より好ましくは5~30質量部である。
・溶剤
樹脂組成物は、通常、上述のポリイミド等が溶剤に溶解または分散したものである。溶剤としては、通常、有機溶剤が用いられる。
ポリイミド等に対する溶解性の点から、溶剤としては極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン等が挙げられる。
溶剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶剤の使用量は、樹脂組成物の所望の塗布膜厚や粘度に応じて適宜調節すればよい。一例として、溶剤は、ポリイミド等100質量部に対し、例えば30~1500質量部の範囲で用いることができる。
(樹脂組成物の例2:エポキシ樹脂を含む態様)
上記の樹脂組成物の例1とは別の態様として、樹脂組成物は、好ましくは、エポキシ樹脂を含むことができる。以下、樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む態様について説明する。
エポキシ樹脂を含む樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂を含み、その他、好ましくはフェノキシ樹脂、光酸発生剤、界面活性剤、その他の添加剤、溶剤などを含む。
・エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する固形エポキシ樹脂を含むことができる。上記固形エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有しており、25℃(室温)において固形であるものを使用することができる。これにより、樹脂組成物の樹脂膜における機械的特性を高めることができる。
また、エポキシ樹脂としては、分子内に3官能以上の多官能エポキシ樹脂(つまり、1分子中にエポキシ基が3個以上を有する多官能エポキシ樹脂)を含むことができる。
3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、およびテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましく、ノボラック型エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。これにより、樹脂膜の耐熱性を高めつつ、適切な熱膨張係数を実現できる。
また、エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂を含むことができる。当該液状エポキシ樹脂は、フィルム化剤として機能し、樹脂組成物の樹脂膜の脆性を改善することができる。
液状エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有しており、室温25℃において液状であるエポキシ化合物を用いることができる。この液状エポキシ樹脂の25℃における粘度は、例えば、1mPa・s~8000mPa・sであり、好ましくは5mPa・s~1500mPa・sであり、より好ましくは10mPa・s~1400mPa・sとすることができる。
液状エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、アルキルジグリシジルエーテルおよび脂環式エポキシからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、現像後のクラック低減の観点から、アルキルジグリシジルエーテルを用いることができる。
液状エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、100g/eq以上200g/eq以下であり、好ましくは105g/eq以上180g/eq以下であり、さらに好ましくは110g/eq以上170g/eq以下である。これにより、樹脂膜の脆性を改善することができる。
液状エポキシ樹脂の含有量の下限値は、樹脂組成物の不揮発成分全体中、例えば、5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上である。これにより、最終的に得られる硬化膜の脆性を改善することができる。一方、液状エポキシ樹脂の含有量の上限値は、樹脂組成物の不揮発成分全体中、例えば、40質量%以下であり、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。これにより、硬化膜の膜特性のバランスを図ることができる。
エポキシ樹脂の含有量の下限値は、樹脂組成物の不揮発成分全体中、例えば、40質量%以上であり、好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。これにより、最終的に得られる硬化膜の耐熱性や機械的強度を向上させることができる。一方、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、樹脂組成物の不揮発成分全体中、例えば、90質量%以下であり、好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは82質量%以下である。これにより、パターニング性を向上させることができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、300~9000であるのが好ましく、500~8000であるのがより好ましい。比較的低分子量のエポキシ樹脂を使用することで、露光時における反応性を高めることができる。
・フェノキシ樹脂
樹脂組成物がフェノキシ樹脂を含むことにより、樹脂組成物の樹脂膜の可撓性を高めることができる。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、10000~100000であるのが好ましく、20000~80000であるのがより好ましい。このような比較的高分子量のフェノキシ樹脂が用いられることにより、樹脂膜に対して良好な可撓性を付与するとともに、溶媒への十分な溶解性を付与することができる。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法のポリスチレン換算値として測定される。
また、フェノキシ樹脂としては、分子鎖両末端または分子鎖内部にエポキシ基等の反応性基を有してもよい。フェノキシ樹脂中の反応性基は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と架橋反応可能なものである。このようなフェノキシ樹脂を使用することにより、樹脂膜中の耐溶剤性や耐熱性を高めることができる。
また、フェノキシ樹脂としては、25℃で固形であるものが好ましく用いられる。具体的には、不揮発分が90質量%以上であるフェノキシ樹脂が好ましく用いられる。このようなフェノキシ樹脂を用いることにより、硬化物の機械的特性を良好にすることができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂とビスフェノールS型フェノキシ樹脂との共重合フェノキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。この中でも、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂が好ましく用いられる。
フェノキシ樹脂の含有量の下限値は、エポキシ樹脂の含有量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは13質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。これにより、パターニング性を高めることができる。また、可撓性を高めることができる。一方で、上記フェノキシ樹脂の含有量の上限値は、エポキシ樹脂の含有量100質量部に対して、例えば、60質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。これにより、吸湿率の上昇を抑制し耐熱信頼性を向上できる。また、フェノキシ樹脂の溶解性を高め、塗布性に優れた樹脂組成物を実現できる。なお、基準となるエポキシ樹脂を3官能以上の多官能エポキシ樹脂としてもよい。
・光酸発生剤
樹脂組成物は光酸発生剤を含むことができる。樹脂組成物が光酸発生剤を含むことにより、樹脂組成物は感光性となる。そして、選択的な露光とその後の現像処理によりパターニングが可能となる。樹脂組成物は、好ましくは、光酸発生剤から発生した酸を触媒として利用する化学増幅型感光性樹脂組成物であり、ネガ型感光性樹脂組成物であることができる。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物が挙げられる。より具体的には、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩等のヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩のようなスルホニウム塩、トリアリールビリリウム塩、ベンジルピリジニウムチオシアネート、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキルヒドロキシフェニルホスホニウム塩のようなカチオン型光重合開始剤等が挙げられる。この中でも、パターニング性の観点から、トリアリールスルホニウム塩を用いることができる。
オニウム塩化合物の対アニオンとしては、ボレートアニオン、スルホネートアニオン、ガレートアニオン、リン系アニオン、アンチモン系アニオン等が用いられる。
光酸発生剤を用いる場合、その量は、樹脂組成物の固形分全体中、例えば、0.3~5.0質量%、好ましくは0.5~4.5質量%、より好ましくは1.0~4.0質量%である。上記下限値以上とすることにより、パターニング性を高めることができる。一方、上記下限値以下とすることにより、絶縁信頼性を高めることができる。
・界面活性剤
樹脂組成物が界面活性剤を含むことにより、塗工時における濡れ性を向上させ、均一な樹脂膜そして硬化膜を得ることができる。界面活性剤としては、たとえば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アルキル系界面活性剤、およびアクリル系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤は、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含む界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、均一な樹脂膜を得られること(塗布性の向上)や、現像性の向上に加え、接着強度の向上にも寄与する。このような界面活性剤としては、例えば、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤として使用可能な市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、樹脂組成物の不揮発性成分の全量中、例えば、0.001~1質量%、好ましくは0.005~0.5質量%とすることができる。
・密着助剤
樹脂組成物が密着助剤を含むことにより、基板などの無機材料との密着性を一層向上させることができる。
密着助剤は、とくに限定されないが、たとえばアミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、ウレイドシラン、スルフィドシラン、酸無水物含有シラン等のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エポキシシラン
(すなわち、1分子中に、エポキシ部位と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)を用いることがより好ましい。
アミノ基含有カップリング剤としては、例えばビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基含有カップリング剤としては、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アクリル基含有カップリング剤またはメタクリル基含有カップリング剤としては、例えばγ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基含有カップリング剤としては、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニル基含有カップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基含有カップリング剤としては、例えば3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
スルフィド基含有カップリング剤としては、例えばビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
酸無水物含有カップリング剤としては、例えば3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。
ここではシランカップリング剤を列挙したが、チタンカップリング剤やジルコニウムカップリング剤等であってもよい。
密着助剤の含有量は、樹脂組成物の不揮発性成分の全量中、0.3~5質量%であるのが好ましく、0.4~4%であるのがより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
・添加剤
樹脂組成物には、上記の成分に加えて、必要に応じて、その他の添加剤が添加されていてもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、シリカ等の充填材、増感剤、フィルム化剤等が挙げられる。
・溶剤
樹脂組成物は、溶剤を含むことができる。溶剤として、有機溶剤を含むことができる。有機溶剤としては、樹脂組成物の各成分を溶解可能なもので、且つ、各構成成分と化学反応しないものであれば特に制限なく用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロプレングリコールメチルーn-プロピルエーテル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
溶剤は、樹脂組成物中の不揮発成分全量の濃度が、例えば、30~75質量%となるように用いられることが好ましい。この範囲とすることで、各成分を十分に溶解させることができ、また、良好な塗布性を担保することができる。また、不揮発成分の含有量を調整することにより、樹脂組成物の粘度を適切に制御できる。
樹脂組成物の25℃における粘度は、例えば、10~6000cP、好ましくは20~5000cP、より好ましくは30~4000cPである。粘度を上記数値範囲内とすることにより、塗布膜の厚みを適切に制御できる。
(樹脂組成物の例3:フェノール樹脂を含む態様)
上記の樹脂組成物の例1および樹脂組成物の例2とは別の態様として、樹脂組成物は、好ましくは、フェノール樹脂を含むことができる。以下、樹脂組成物がフェノール樹脂を含む態様について説明する。
フェノール樹脂を含む樹脂組成物は、少なくともフェノール樹脂を含み、その他、好ましくは光酸発生剤、溶剤、架橋剤、シランカップリング剤、界面活性剤、反応促進剤などを含む。
・フェノール樹脂
フェノール樹脂は、通常、フェノール化合物と、アルデヒド化合物、ジメチロール化合物、ジメトキシメチル化合物およびジハロアルキル化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とに由来する構造単位を有する。換言すると、フェノール樹脂は、フェノール化合物と、アルデヒド化合物、ジメチロール化合物、ジメトキシメチル化合物およびジハロアルキル化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との反応により得られる。
樹脂組成物においては、フェノール化合物として、ビフェノール化合物を用いることが好ましい。これにより、フェノール樹脂は、ビフェノール構造を有することとなる。ビフェノール化合物としては、2,2'-ビフェノールおよび4,4'-ビフェノール、ならびにこれらの異性体が挙げられる。これらのビフェノール化合物は、置換基を有してもよく、この置換基としては、水酸基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1~20の飽和または不飽和のアルキル基、炭素数1~20のアルキルエーテル基、炭素数3~20の飽和または不飽和の脂環式基、または炭素数6~20の芳香族構造を有する有機基等が挙げられる。
フェノール樹脂は、任意の公知の方法によって製造することができる。製造方法としては、例えば、フェノール化合物と、アルデヒド化合物、ジメチロール化合物、ジメトキシメチル化合物またはジハロアルキル化合物との縮合反応が挙げられる。
フェノール樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、例えば1000~100000の範囲であり、好ましくは2000~50000の範囲であり、更に好ましくは3000~30000の範囲である。上記範囲の重量平均分子量を有するフェノール樹脂は、溶剤への溶解性が優れるとともに、得られる樹脂膜の機械特性が優れる。
・光酸発生剤
樹脂組成物を感光性とする場合には、光酸発生剤を用いることができる。
光酸発生剤は、照射された放射線に感応して酸を発生する化合物である。光酸発生剤は、好ましくは、200~500nmの波長、特に好ましくは350~450nmの波長の放射線の照射により酸を発生する化合物である。具体例としては、感光性ジアゾキノン化合物、感光性ジアゾナフトキノン化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2-ニトロベンジルエステル化合物、N-イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン化合物、ジヒドロピリジン化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、感度や溶剤溶解性に優れる感光性ジアゾキノン化合物や感光性ジアゾナフトキノン化合物が好ましい。これらの具体例としては、フェノール化合物の1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステルなどが挙げられる。
光酸発生剤を用いる場合、その量は、フェノール樹脂100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは3~50質量部の量で使用される。
・溶剤
樹脂組成物は、通常、上記成分を溶剤に溶解して得られるワニスの形態で使用される。用いられる溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル-1,3-ブチレングリコールアセテート、1,3-ブチレングリコール-3-モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びメチル-3-メトキシプロピオネート等の有機溶剤が挙げられる。
溶剤は単独で用いてもよいし、2以上の溶剤を混合して用いてもよい。
溶剤の使用量は、フェノール樹脂100質量部に対して、通常50~1000質量部、好ましくは100~500質量部である。上記範囲で溶剤を用いることにより、樹脂が十分に溶解された、取扱い性の優れたワニスを作製することができる。
・架橋剤
架橋剤は、フェノール樹脂と反応可能な基を有する。架橋剤を含む樹脂組成物を用いて樹脂膜を作製し、これを露光、現像によりパターニングした後に加熱硬化する場合、架橋剤は、光酸発生剤から発生した酸、または熱の作用により、フェノール樹脂と架橋する。
架橋剤としては、フェノール樹脂と熱架橋可能な化合物を用いることが好ましい。用いられ得る架橋剤としては、以下の化合物が挙げられる:
(1)メチロール基、及びアルコキシメチル基から成る群より選択される1種以上の架橋性基を含有する化合物。
(2)エポキシ基を有する化合物。
(3)イソシアネート基を有する化合物。
(4)ビスマレイミド基を有する化合物。
架橋剤を用いる場合、その量は、フェノール樹脂100質量部に対して、通常1~100質量部であり、好ましくは5~50質量部である。
・シランカップリング剤
樹脂組成物がシランカップリング剤を含むことにより、樹脂膜の基板への密着性が向上する。シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、及びアミノ基を有するケイ素化合物と酸二無水物または酸無水物とを反応することにより得られるケイ素化合物などが挙げられ。もちろん、シランカップリング剤はこれらのみに限定されない。シランカップリング剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤を用いる場合、その量は、フェノール樹脂100質量部に対して、通常0.1~30質量部であり、好ましくは1~20質量部である。シランカップリング剤を上記範囲内で使用することにより、基板との密着性と、樹脂組成物の保存性とを両立することができる。
・界面活性剤
界面活性剤を用いることで、樹脂組成物を基材上に塗布して樹脂膜を得る際の塗布性が良好となる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましい。特に、非イオン性界面活性剤として、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤がより好ましく、フッ素系界面活性剤がさらに好ましい。フッ素系界面活性剤としては例えば、DIC社製のメガファックF-171、F-173、F-444、F-470、F-471、F-475、F-482、F-477、F-554、F-556、およびF-557、スリーエム社製のノベックFC4430、FC4432等が挙げられる。もちろん使用可能な界面活性剤はこれらに限定されない。
界面活性剤を使用する場合の界面活性剤の配合量は、フェノール樹脂100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましい。
・反応促進剤
反応促進剤を用いることにより、樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂と架橋剤との熱架橋を促進することができる。反応促進剤としては、たとえば窒素を含む複素五員環化合物、または熱により酸を発生する化合物を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。反応促進剤として用いられる窒素を含む複素五員環化合物としては、たとえばピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、および1,2,4-トリアゾールが挙げられる。また、反応促進剤として用いられる熱により酸を発生する化合物としては、たとえばスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、およびサリチル酸塩が挙げられる。低温における硬化性をより効果的に向上させる観点からは、熱により酸を発生する化合物のうち、スルホン酸塩およびホウ酸塩の一方または双方を含むことがより好ましく、硬化膜特性の耐熱性を考慮した場合、ホウ酸塩を含むことがとくに好ましい。
・その他の添加剤
上記成分のほか、必要に応じて、溶解促進剤、酸化防止剤、フィラー、光重合開始剤、末端封止剤、増感剤等の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに用いてもよい。
(樹脂組成物の製造方法について)
樹脂組成物は、好ましくは、窒素雰囲気下で調製される。具体的には、樹脂や感光剤などの各成分を有機溶剤で溶解または分散させる工程を、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。詳細は不明であるが、樹脂組成物を窒素雰囲気下で調製することで、組成物中の窒素の量が比較的多くなり、また組成物中の酸素の量が比較的少なくなる。組成物中の酸素の量が少なくなることにより、組成物を加熱して硬化させる際の組成物中の成分の酸化や分解が抑えられて、結果として酸素透過度が0.5~20cc・mm/(m・day)である硬化膜を得やすくなると考えられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
以下では、実際の表示装置を製造する代わりに、銅めっきウェハに樹脂組成物を塗布して、酸素透過度が小さい硬化膜を設けたサンプルを作成した。そして、このサンプルを加熱することで、銅めっきがどの程度酸化されるかを評価した。この評価により銅めっきの酸化が抑えられているならば、実際の表示装置においても、酸素透過度が小さい絶縁層を採用することで、銅配線の酸化が抑えられると言える。
<樹脂組成物の調製例1:ポリイミド前駆体を含む樹脂組成物(非感光性)の調製>
以下手順により、ポリイミド前駆体を含む樹脂組成物(非感光性)を調製した。以下手順は、全て窒素雰囲気下で行った。
(1)4,4′-ジアミノジフェニルエーテル0.93molと、APDS(3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート)0.07molとを、N-メチル-2-ピロリドン3310gに撹拌しつつ溶かして、溶液を調製した。
(2)上記溶液に、ピロメリット酸二無水物0.71molおよびベンゾフェノンテトラカルボン酸0.31molを加えた後、80℃で3時間反応させた。
(3)後掲の評価(膜厚10μmの膜形成を行う)を踏まえ、溶剤量を適宜調整することで、粘度を調整した。
<樹脂組成物の調製例2:フェノール樹脂を含む感光性樹脂組成物の調製>
(樹脂合成)
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製丸底フラスコ内に、4,4'-ビフェノール186.2g(1.00mol)と、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾール134.6g(0.8mol)と、シュウ酸・二水和物6.3g(0.05mol)と、327gのγ-ブチロラクトンとを仕込んだ。
その後、窒素を流しつつ、上記丸底フラスコを油浴中で反応液を還流させながら100℃で6時間の重縮合反応を行った。
次に、得られた反応液を室温まで冷却した。
その後、436gのアセトンを添加し均一になるまで撹拌混合した。
その後、丸底フラスコ内にある反応液を水10Lに滴下混合することにより、樹脂成分を析出させた。
次に、析出した樹脂成分を濾別して回収した。
その後、60℃での真空乾燥を行い、下記式(A-1)で表されるフェノール樹脂を得た。式(A-1)において、ビフェノール構造に結合する結合手は、2つのベンゼン環のうちいずれか一方に結合している。得られたフェノール樹脂(A-1)の重量平均分子量は、9,800であった。
Figure 2024039206000007
(感光性樹脂組成物の調製)
以下成分を窒素雰囲気下で均一に混合することで、感光性樹脂組成物を調製した。
・上記フェノール樹脂:100質量部
・添加剤 Crolin-318(ダイトーケミックス社製):15質量部
・添加剤 YX7105(三菱ケミカル社製):15質量部
・感光剤 DS-427(ダイトーケミックス社製):27質量部
・熱酸発生剤 SI-B5(三新化学社製):5質量部
・溶剤 γ-ブチロラクトン:205質量部
・界面活性剤 スリーエム社製のフッ素系界面活性剤 FC4432:組成物全体に対して200ppm
<樹脂組成物の調製例3:ポリイミド前駆体を含む感光性樹脂組成物の調製>
(樹脂合成)
2Lのセパラブルフラスコに、γ-ブチロラクトン428g、4,4'-オキシジフタル酸二無水物155.11gおよび2-ヒドロキシエチルメタクリレート130.14gを入れ、室温でフラスコ内の成分を撹拌し完全に溶解させた。続いて室温下で攪拌しながらピリジン79.1gを加えて、更に室温で16時間撹拌した。
上記のようにして得られた溶液を氷冷下で冷却攪拌しながら、その溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド206.3gをγ-ブチロラクトン206gに溶解した溶液を、30分かけて加えた。続いて4,4'-ジアミノジフェニルエーテル120.1gおよびγ-ブチロラクトン240gを加え、更に室温で2時間攪拌を継続した。
反応終了後、エタノール30gを加えて1時間攪拌した。その後、γ-ブチロラクトン400gを加え更に撹拌し、生じた沈殿物をろ過により取り除いた。これによりポリアミド酸エステルの反応液を得た。
得られた反応液を、室温下で、大量の30質量%メタノール水溶液に撹拌しながら滴下し、樹脂を沈殿させた。得られた沈殿物を濾取し、真空乾燥することにより、ポリイミド前駆体を得た。
(感光性樹脂組成物の調製)
以下成分を窒素雰囲気下で均一に混合することで、感光性樹脂組成物を調製した。
・上記のポリイミド前駆体 100質量部
・1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム(光開始剤)
6質量部
・1,3-ジメチロール尿素 1質量部
・ベンゾトリアゾール 1質量部
・1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(ヒンダードフェノール化合物) 1質量部
・N-フェニルジエタノールアミン 10質量部
・テトラエチレングリコールジメタクリレート 8質量部
・N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸 1.5質量部
・N-メチル-2-ピロリドン(NMP)80質量部と乳酸エチル20質量部からなる混合溶媒
上記を混合して得られた組成物の粘度については、少量の上記混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズに調整した。
<樹脂組成物の調製例4:エポキシ樹脂を含む感光性樹脂組成物の調製>
(感光性樹脂組成物の調製)
以下成分を窒素雰囲気下で均一に混合することで、感光性樹脂組成物を調製した。
・エポキシ樹脂:以下構造で表される多官能エポキシ樹脂(日本化薬社製 EPPN201、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、25℃で固形、nは約5) 80.8質量部
Figure 2024039206000008
・フェノキシ樹脂:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(jER1256 三菱化学株式会社製、Mw:約50,000)) 16.0質量部
・光酸発生剤 トリアリールスルホニウムボレート塩(サンアプロ社製、CPI-310B):2.2質量部
・界面活性剤 含フッ素基・親油性基含有オリゴマー(R-41、DIC社製):0.2質量部
・シランカップリング剤 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学社製):0.8質量部
<樹脂組成物の比較調製例1:感光性樹脂組成物の調製>
特開2021-162834号公報の実施例1の感光性樹脂組成物を調製した。なお、この調製は大気雰囲気下にて行った。
<樹脂組成物の比較調製例2:感光性樹脂組成物の調製>
(樹脂合成)
特開2021-152634号公報の段落0157[合成例1]の記載に準じて樹脂を合成した。ただし、アミノフェノールとしては、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりに、同公報の段落0129に記載されている2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンを、32.25g(125mmol)用いた。
(感光性樹脂組成物の調製)
以下成分を均一に混合することで、感光性樹脂組成物を調製した。なお、この調製は大気雰囲気下にて行った。
・上記樹脂:100質量部
・架橋剤 A-9550(新中村化学株式会社製、アクリロイル基を5~6個有する化合物の混合物:10質量部
・感光剤 アデカアークルズ NCI-730(株式会社ADEKA製、オキシムエステル型光ラジカル発生剤):10質量部
・熱ラジカル発生剤 パーカドックスBC(化薬ヌーリオン株式会社製、有機過酸化物、クミルパーオキサイド):5質量部
・シランカップリング剤 X-12-967C(信越化学工業株式会社製):2質量部
・界面活性剤 FC4432(3M社製、フッ素系):0.05質量部
・溶剤 γ-ブチロラクトン:550質量部
<樹脂組成物の硬化膜の、酸素透過度および水蒸気透過度の測定>
酸素透過度は、以下手順で測定した。ここで、以下および後掲の表1で示される硬化条件は、各々の組成物(前述の樹脂組成物の例1~樹脂組成物の例3のいずれかに相当する)の特性、および、実際の表示装置の製造の際の樹脂組成物の硬化条件を踏まえ、通常採用しうる硬化条件の範疇で、本発明者らが決定したものである。
1.シリコンウェハに、乾燥後の厚みが10μmとなるように樹脂組成物を塗布し、樹脂膜を形成した。塗布はスピンコート法により行い、回転速度を適宜変えることで膜厚を調整した。
2.樹脂組成物としてネガ型の感光性樹脂組成物を用いた場合は、上記1.で得られた樹脂膜に対して、i線ステッパーにより、後掲の表の「露光量」に記載の露光(感光性樹脂組成物中の感光剤が十分に反応する露光量を意図)を行った。実施例4においては、この後、さらに後掲の表の「露光後加熱」に記載の温度および時間加熱した。
3.上記1.または2.の樹脂膜を、後掲の表の「硬化条件」に記載の温度および時間加熱し、その後、室温まで放冷した。加熱は窒素雰囲気下で行った。なお、後掲の表において、実施例1の「150/30+320/30」とは、150℃で30分間加熱した後、続けて320℃で30分間加熱したことを意味する。
4.上記3.で得られた硬化膜を、フッ酸に浸漬して剥離した。剥離した硬化膜は純水で十分に洗浄し、その後自然乾燥させた。
5.上記4.で得られた硬化膜を、下記条件で酸素透過度を測定した。
試験規格:JIS K 7126-2の電解センサ法
試験装置:MOCON社製 酸素透過試験機 OX-TRAN 2/21
温湿度条件:23℃、60%RH
試験室環境:23±2℃、50±5%RH
透過面積:5cm(マスク使用)
透過方向:任意
試験ガス:21%酸素含有空気
水蒸気透過度は、以下手順で測定した。
試験規格:JIS K 7129-2の赤外線センサ法
試験装置:MOCON社製 水蒸気透過試験機 PERMATRAN W3/33
温湿度条件:40℃、90%RH
試験室環境:22±1℃、55±5%RH
透過面積:5cm(マスク使用)
透過方向:任意
<評価:銅の酸化抑制能>
実際に表示装置を製造する代わりに、銅めっきウェハに樹脂組成物を塗布して硬化膜を設けたサンプルを作成した。そして、このサンプルを加熱することで、銅めっきがどの程度酸化されるかを評価した。具体的には以下手順により評価を行った。
1.メッキ厚み2μmの銅メッキウェハを準備した。
2.上記ウェハ上に、乾燥後に所定の膜厚となるように感光性樹脂組成物を塗布し、樹脂膜を形成した。塗布はスピンコート法により行い、回転速度を適宜変えることで膜厚を調整した。
3.樹脂組成物としてネガ型の感光性樹脂組成物を用いた場合は、上記2.で得られた樹脂膜に対して、i線ステッパーにより、後掲の表の「露光量」に記載の露光(感光性樹脂組成物中の感光剤が十分に反応する露光量を意図)を行った。調製例4の樹脂組成物を用いた場合には、この後、さらに後掲の表の「露光後加熱」に記載の温度および時間加熱した。
4.上記2.または3.の樹脂膜を、後掲の表に記載の温度および時間加熱し、その後、室温まで放冷した。加熱は窒素雰囲気下で行った。このようにして評価用サンプルを得た。
5.上記4.で得られた評価用サンプルを、150℃に設定されたオーブンに投入し、大気雰囲気下で500時間加熱した。その後サンプルを室温となるまで放冷した。
6.上記5.で得られたサンプルを、集束イオンビーム(FIB)を用いて断面加工し、断面を露出させた。
7.電界放出形走査電子顕微鏡で断面を観察した。そして、形成された銅酸化膜の厚みを測定した。銅酸化膜の厚みが小さいほど、銅の酸化が抑制される、つまり、表示装置における銅配線の酸化が抑制されることを表す。
各種情報をまとめて下表に示す。なお、調製例4の樹脂組成物を用いた場合の水蒸気透過度は未測定である。
Figure 2024039206000009
上表に示されるとおり、硬化膜としたときの酸素透過度が小さい樹脂組成物を用いて、銅めっきウェハに硬化膜を設けることで、銅の酸化を抑制することができた。
この結果から、発光ダイオードと基板との間が銅配線で接続された構造を備える表示装置において、発光ダイオードと基板との間に酸素透過度が小さい絶縁層を設けることで、銅配線の酸化を抑えることができると理解される。
1 基板
3A 感光性樹脂膜
3B パターン
5 金属含有層
7 パターン
9 銅配線
11 LED素子
13 保護層
15 接着層
17 カバー層

Claims (17)

  1. 表示装置の製造方法であって、
    前記表示装置は、発光ダイオードと回路基板との間が銅配線で接続された構造を備え、前記発光ダイオードと前記回路基板との間には絶縁層が設けられており、
    前記絶縁層は、樹脂組成物の硬化物で構成されており、
    前記硬化物の厚み10μmあたりの酸素透過度が、0.5~20cc・mm/(m・day)である、表示装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の表示装置の製造方法であって、
    前記樹脂組成物は、感光性樹脂組成物である、表示装置の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の表示装置の製造方法であって、
    前記発光ダイオードは、ミニLEDまたはマイクロLEDである、表示装置の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の表示装置の製造方法であって、
    前記発光ダイオードは、赤色光、緑色光または青色光を発する発光ダイオードである、表示装置の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の表示装置の製造方法であって、
    前記絶縁層の厚みは1~200μmの範囲内にある、表示装置の製造方法。
  6. 請求項1または2に記載の表示装置の製造方法であって、
    前記樹脂組成物が、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選ばれるいずれかの樹脂を含む、表示装置の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載の表示装置の製造方法であって、
    前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂を含む、表示装置の製造方法。
  8. 請求項1または2に記載の表示装置の製造方法であって、
    前記樹脂組成物が、フェノール樹脂を含む、表示装置の製造方法。
  9. 請求項1または2に記載の表示装置の製造方法であって、
    前記硬化物の厚み10μmあたりの水蒸気透過度が、0.1~5g・mm/(m・day)である、表示装置の製造方法。
  10. 発光ダイオードと回路基板との間が銅配線で接続された構造を備え、前記発光ダイオードと前記回路基板との間には絶縁層が設けられており、
    前記絶縁層は、樹脂組成物の硬化物で構成されており、
    前記硬化物の厚み10μmあたりの酸素透過度が、0.5~20cc・mm/(m・day)である、表示装置。
  11. 請求項10に記載の表示装置であって、
    前記発光ダイオードは、ミニLEDまたはマイクロLEDである、表示装置。
  12. 請求項10または11に記載の表示装置であって、
    前記発光ダイオードは、赤色光、緑色光または青色光を発する発光ダイオードである、表示装置。
  13. 請求項10または11に記載の表示装置であって、
    前記絶縁層の厚みは1~200μmの範囲内にある、表示装置。
  14. 請求項10または11に記載の表示装置であって、
    前記樹脂組成物が、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選ばれるいずれかの樹脂を含む、表示装置。
  15. 請求項10または11に記載の表示装置であって、
    前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂を含む、表示装置。
  16. 請求項10または11に記載の表示装置であって、
    前記樹脂組成物が、フェノール樹脂を含む、表示装置。
  17. 請求項10または11に記載の表示装置であって、
    前記硬化物の厚み10μmあたりの水蒸気透過度が、0.1~5g・mm/(m・day)である、表示装置。
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