JP2024038166A - 新規抗pad4抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】活性型PAD4に結合する抗PAD4抗体、又は活性型PAD4の機能を阻害する抗PAD4抗体を提供する。【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗PAD4抗体、又はヒトPAD4の633~645位に特異的に結合する抗PAD4抗体が、活性型PAD4に結合し、その機能を阻害する。この抗PAD4抗体は、PAD4のシトルリン化活性を阻害する抗PAD4抗体であってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、抗PAD4抗体に関する。
PAD4(Peptidylarginine deiminase 4)は、蛋白質中のアルギニンのシトルリン化に関与する酵素として知られている。このシトルリン化は、蛋白質を構成するアミノ酸の中で最も塩基性の強いアルギニンが中性のシトルリンに変換される反応であるため、蛋白質の構造と反応にとって重要である。
PAD4が関節リウマチ(RA)や関節炎の病態に関与することを示す報告がいくつか存在する。例えば、非特許文献1には、RAの発症とPAD4遺伝子の一塩基多型との間に相関があることが報告されている。非特許文献2には、RAを診断するために抗PAD4抗体を使用したことが報告されている。特許文献1には、4種類の抗PAD4抗体の混合物をマウスに投与することによって、RAを抑制する試みが記載されている。特許文献2には、特定のエピトープに結合する抗PAD4抗体をマウスに投与することによって、RA又は関節炎を抑制したことが記載されている。
PAD4には、「活性型PAD4」と「非活性型PAD4」が存在する。活性型はCa2+を結合しており、Ca2+結合型PAD4とも呼ばれる。非活性型はCa2+を結合しておらず、Ca2+非結合型PAD4とも呼ばれる。
PAD4とCa2+に関する報告としては、例えば、特許文献3が存在する。この特許文献3には、健常者及び関節リウマチ患者の血清中のPAD4量を、抗PAD4抗体を用いたELISAで測定する試みが記載されている。特許文献3の実施例には、ELISAを行うに当たり、未処理の血清を用いると適切な測定値が得られなかったが、EDTA処理した血清を用いると適切な測定値が得られたことが記載されている。このとき、EDTAにCa2+がトラップされた結果、非活性型PAD4が抗PAD4抗体と反応したと考えられる。
WO/2012/026309 WO/2016/143753 JP5252339 (B2)
従来、非活性型PAD4に結合する抗体は得られていたが、活性型PAD4に結合する抗体は得られていなかった。また、活性型PAD4の機能を阻害する抗体は得られていなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、活性型PAD4に結合する抗PAD4抗体、又は活性型PAD4の機能を阻害する抗PAD4抗体を提供すること等を目的とする。
本願発明者らは、後述する実施例に記載の通り、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチド(PAD4の633~645位に相当)に特異的に結合する抗PAD4抗体が、驚くべきことに、活性型PAD4に結合し、機能を阻害することを見いだした。そして、その結果に基づき本発明を完成させた。
即ち本発明の一態様によれば、活性型PAD4に結合する、抗PAD4抗体が提供される。この抗体を用いれば、活性型PAD4を検出することができる。この抗体は、活性型PAD4の機能阻害抗体であってもよい。
また本発明の一態様によれば、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗PAD4抗体、又はヒトPAD4の633~645位に特異的に結合する抗PAD4抗体が提供される。この抗体を用いれば、活性型PAD4の検出又は機能阻害をすることができる。
また本発明の一態様によれば、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドが提供される。このペプチドを用いれば、活性型PAD4に対する結合性抗体又は機能阻害抗体を生産することができる。
図1は、実施例に係る抗体の可変領域のアミノ酸配列を表した図である。 図2は、実施例に係る抗体の可変領域の塩基配列を表した図である。 図3は、実施例に係る抗体の可変領域の塩基配列を表した図である。 図4は、実施例に係る抗体使用時のシトルリン化率を調べた結果を表したグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑を避けるために、適宜説明を省略する。
本発明の一実施形態は、新規の抗PAD4抗体である。この抗体は、例えば、活性型PAD4に結合する抗PAD4抗体であってもよい。この抗体を用いれば、例えば、活性型PAD4を検出することができる。この抗体は、例えば、活性型PAD4の機能阻害抗体であってもよい。この抗体を用いれば、例えば、活性型PAD4のシトルリン化活性を阻害することができる。またこの抗体を用いれば、例えば、関節リウマチ(RA)又は関節炎の治療を行うことができる。この治療方法は、抗体を使用するため副作用が小さく、安全性の観点から優れている。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、例えば、配列番号1で示されるペプチドに特異的に結合する抗PAD4抗体、又はヒトPAD4の633~645位に特異的に結合する抗PAD4抗体であってもよい。この抗体を用いれば、例えば、活性型PAD4を検出することができる。またこの抗体を用いれば、例えば、活性型PAD4のシトルリン化活性を阻害することができる。またこの抗体を用いれば、例えば、RA又は関節炎の治療を行うことができる。この治療方法は、抗体を使用するため副作用が小さく、安全性の観点から優れている。
PAD4は、一般的に、蛋白質中のアルギニンのシトルリン化に関与する酵素として知られている。PAD4のアミノ酸配列等の詳細は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)、又はHGNC(HUGO Gene Nomenclature Committee)等のWEBサイトから見ることができる。NCBIに記載されているPAD4のアクセッションナンバーは、例えば、NP_036519.2である。ヒトPAD4のアミノ酸配列は、例えば、配列番号2である。PAD4は、PAD4活性を有していれば、その生物由来は限定されない。本願明細書において、PAD4は、活性型PAD4又は非活性型PAD4であってもよい。本願明細書において、活性型PAD4はCa2+結合型PAD4であってもよく、非活性型PAD4はCa2+非結合型PAD4であってもよい。活性型PAD4はCa2+が結合したことにより活性化したPAD4を含む。
本発明の一実施形態において「抗PAD4抗体」は、PAD4に結合性を有する抗体を含む。この抗PAD4抗体の生産方法は特に限定されないが、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを哺乳類又は鳥類に免疫することによって生産してもよい。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、PAD4の機能を阻害する抗体であってもよい。機能は、例えば、シトルリン化活性を含む。本発明の一実施形態において、活性型PAD4に結合する抗PAD4抗体は、非活性型PAD4に結合性を有する抗体を含む。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体であれば、ポリクローナル抗体に比べて、効率的にPAD4に対して作用させることができる。所望の効果を有する抗PAD4モノクローナル抗体を効率的に生産する観点からは、PAD4をニワトリに免疫することが好ましい。抗原として使用するPAD4は、特に指定しない限り、PAD4全長又はPAD4ペプチド断片を含む。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、全長抗体に限定されず、PAD4結合活性を有する抗体断片(以下、「抗原結合性抗体断片」と称することもある)を含む。抗原結合性抗体断片は、安定性又は抗体の生産効率が上昇する等の効果がある。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、融合蛋白質であってもよい。この融合蛋白質は、PAD4のN又はC末端に、ポリペプチド又はオリゴペプチドが結合したものであってもよい。ここで、オリゴペプチドは、Hisタグであってもよい。また融合蛋白質は、マウス、ヒト、又はニワトリの抗体部分配列を融合したものであってもよい。それらのような融合蛋白質も、本実施形態に係る抗PAD4抗体の一形態に含まれる。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、PAD4をニワトリに免疫する工程を経て得られる抗体であってもよい。また、PAD4をニワトリに免疫する工程を経て得られる抗体のCDRセットを有する抗体であってもよい。CDRセットとは、重鎖CDR1、2、3、軽鎖CDR1、2、及び3のセットである。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、KD(M)が、例えば、9.9×10-8、9.0×10-8、8.0×10-8、7.0×10-8、6.0×10-8、5.0×10-8、4.0×10-8、3.0×10-8、2.0×10-8、又は1.0×10-8以下であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。抗体による治療効果を高める観点からは、KD(M)は9.0×10-8以下が好ましい。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、PAD4の野生型又は変異型に結合する抗体であってもよい。変異型は、SNPsのように、個体間のDNA配列の差異に起因するものを含む。野生型又は変異型のPAD4のアミノ酸配列は、配列番号2に示すアミノ酸配列に対し、633~645位は保存され、且つ好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の相同性を有していてもよい。本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、マウスPAD4に結合性を有する抗体又は有さない抗体であってもよい。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、野生型PAD4に対して結合性を有し、且つヒトPAD4の633~645位に変異を有する変異型PAD4に対して結合性を有さない抗体であってもよい。「結合性を有さない」は、実質的に結合性を有さなければよい。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、野生型のPAD4に有意な反応性を示す抗体を選抜する工程、又はヒトPAD4の633~645位に変異を有する変異型PAD4に対して結合性を示さない抗体を選抜する工程、を含む生産方法によって得られる抗体であってもよい。
本発明の一実施形態において、ヒトPAD4の633~645位に特異的に結合する抗体は、ヒトPAD4の633~645位に対する結合性がある限り、他のアミノ酸残基に結合性を有する抗体又は有さない抗体を含む。特定の部位に特異的に結合する抗体は、特定の部位を認識する抗体であってもよい。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドの2、6、7、及び8位を含むエピトープに特異的に結合する抗体であってもよい。本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、ヒトPAD4の634、638、639、及び640位を含むエピトープに特異的に結合する抗体であってもよい。
本発明の一実施形態において「抗体」は、抗原上の特定のエピトープに特異的に結合することができる分子又はその集団を含む。また抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であってもよい。抗体の形態は特に限定されず、例えば、全長抗体(Fab領域とFc領域を有する抗体)、Fv抗体、Fab抗体、F(ab')2抗体、Fab'抗体、一本鎖抗体(例えば、scFv)、dsFv、抗原結合性ペプチド、抗体様分子、キメラ抗体、マウス抗体、ニワトリ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、又はそれらの同等物(又は等価物)からなる群から選ばれる1種以上の形態を含む。また抗体は、抗体修飾物又は抗体非修飾物を含む。抗体修飾物は、抗体と、例えばポリエチレングリコール等の各種分子が結合していてもよい。抗体修飾物は、抗体に公知の手法を用いて化学的な修飾を施すことによって得ることができる。抗体のアミノ酸配列、クラス、又はサブクラスは、例えば、ヒト、ヒトを除く哺乳類(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ウシ、サル等)、又は鳥類(例えば、ニワトリ)等由来であってもよい。抗体クラスは特に限定されないが、例えばIgM、IgD、IgG、IgA、IgE、又はIgYであってもよい。抗体サブクラスは特に限定されないが、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、又はIgA2であってもよい。また抗体は、例えば、単離抗体、精製抗体、又は組換抗体を含む。また抗体は、例えば、in vitro又はin vivoで使用できる。
本発明の一実施形態において「ポリクローナル抗体」は、例えば、哺乳類(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ウシ、サル等)又は鳥類(例えば、ニワトリ)等に、目的の抗原を含む免疫原を投与することによって生成することが可能である。免疫原の投与は、1つ以上の免疫剤、又はアジュバントを注入してもよい。アジュバントは、免疫応答を増加させるために使用されることもあり、フロイントアジュバント(完全又は不完全)、ミネラルゲル(水酸化アルミニウム等)、又は界面活性物質(リゾレシチン等)等を含んでいてもよい。免疫プロトコルは、当該技術分野で公知であり、選択する宿主生物に合わせて、免疫応答を誘発する任意の方法によって実施される場合がある(タンパク質実験ハンドブック, 羊土社(2003):86-91.)。
本発明の一実施形態において「モノクローナル抗体」は、集団を構成する個々の抗体が、実質的に同じエピトープに反応する場合の抗体を含む。又は、集団を構成する個々の抗体が、実質的に同一(自然発生可能な突然変異は許容される)である場合の抗体であってもよい。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、異なるエピトープに対応する異なる抗体を典型的に含むような、通常のポリクローナル抗体とは異なる。モノクローナル抗体の作製方法は特に限定されないが、例えば、"Kohler G, Milstein C., Nature. 1975 Aug 7;256(5517):495-497."に掲載されているようなハイブリドーマ法と同様の方法によって作製してもよい。あるいは、モノクローナル抗体は、米国特許第4816567号に記載されているような組換え法と同様の方法によって作製してもよい。又は、モノクローナル抗体は、"Clackson et al., Nature. 1991 Aug 15;352(6336):624-628."、又は"Marks et al., J Mol Biol. 1991 Dec 5;222(3):581-597."に記載されているような技術と同様の方法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。又は、"タンパク質実験ハンドブック, 羊土社(2003):92-96."に掲載されている方法によって作製してもよい。
本発明の一実施形態において「Fv抗体」は、抗原認識部位を含む抗体である。この領域は、非共有結合による1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体を含む。この構成において、各可変ドメインの3つのCDRは相互に作用してVH-VL二量体の表面に抗原結合部位を形成することができる。本発明の一実施形態において「Fab抗体」は、例えば、Fab領域及びFc領域を含む抗体を蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体が一部のジスルフィド結合を介して結合した抗体である。Fabは、例えば、Fab領域及びFc領域を含む上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を、蛋白質分解酵素パパインで処理して得ることができる。
本発明の一実施形態において「F(ab')2抗体」は、例えば、Fab領域及びFc領域を含む抗体を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち、Fabに相当する部位を2つ含む抗体である。F(ab')2は、例えば、Fab領域及びFc領域を含む上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を、蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得ることができる。また、例えば、下記のFab'をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結合させることで、作製することができる。本発明の一実施形態において「Fab'抗体」は、例えば、F(ab')2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断して得られる抗体である。例えば、F(ab')2を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。
本発明の一実施形態において「scFv抗体」は、VHとVLとが適当なペプチドリンカーを介して連結した抗体である。scFv抗体は、例えば、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、VH-ペプチドリンカー-VLをコードするポリヌクレオチドを構築し、そのポリヌクレオチドをベクターに組み込み、発現用の細胞を用いて生産できる。本発明の一実施形態において「dsFv」は、VH及びVL中にシステイン残基を導入したポリペプチドを、上記システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させた抗体である。システイン残基に導入する位置はReiterらにより示された方法(Reiter et al., Protein Eng. 1994 May;7(5):697-704.)に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。
本発明の一実施形態において「抗原結合性ペプチド」は、例えば、抗体のVH及びVL、又はそれらのCDR1、2、及び3を含んで構成され、且つPAD4に対する結合性を有するペプチドを含む。複数のCDRを含むペプチドは、直接又は適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。本発明の一実施形態において「抗体様分子」は、PAD4に対する結合性を有する分子であって、例えば、アフィボディ、DARPins、アンチカリン、モノボディ、アドネクチン、サロボディ、アビマー、又はアフィリンを含む。抗体様分子の特性及び作製法等の詳細は、"Helma et al., J Cell Biol. 2015 Jun 8;209(5):633-44."や"Angeline et al., Future Med Chem. 2017 Aug;9(12):1301-1304."及びそれらの文献に記載された引用文献等に記載されている。
上記のFv抗体、Fab抗体、F(ab')2抗体、Fab' 抗体、scFv抗体、dsFv抗体、抗原結合性ペプチド(以下、「Fv抗体等」と称することもある)の生産方法は特に限定しない。例えば、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体におけるFv抗体等の領域をコードするDNAを発現用ベクターに組み込み、発現用細胞を用いて生産できる。又は、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBOC法(t-ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によって生産してもよい。なお上記の本発明の実施形態に係る抗原結合性抗体断片は、上記Fv抗体等の1種以上を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態において「キメラ抗体」は、例えば、異種生物間における抗体の可変領域と、抗体の定常領域とを連結したもので、遺伝子組換え技術によって構築できる。例えば、マウス-ヒトキメラ抗体、ニワトリ-ヒトキメラ抗体、ニワトリ-マウスキメラ抗体等が挙げられる。マウス-ヒトキメラ抗体は、例えば、"Roguska et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Feb 1;91(3):969-973."に記載の方法で作製できる。マウス-ヒトキメラ抗体を作製するための基本的な方法は、例えば、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列及び可変領域配列を、哺乳類細胞の発現ベクター中にすでに存在するヒト抗体定常領域をコードする配列に連結する。又は、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列及び可変領域配列をヒト抗体定常領域をコードする配列に連結した後、哺乳類細胞発現ベクターに連結してもよい。ヒト抗体定常領域の断片は、任意のヒト抗体のH鎖定常領域及びヒト抗体のL鎖定常領域のものとすることができ、例えばヒトH鎖のものについてはCγ1、Cγ2、Cγ3又はCγ4を、L鎖のものについてはCλ又はCκを各々挙げることができる。
本発明の一実施形態において「ヒト化抗体」は、例えば、非ヒト種由来の1つ以上のCDR、及びヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域、さらにヒト免疫グロブリン由来の定常領域を有し、所望の抗原に結合する抗体である。抗体のヒト化には、当該技術分野で既知の種々の手法を使用してもよい。本発明の一実施形態において「ヒト抗体」は、例えば、抗体を構成する重鎖の可変領域及び定常領域、軽鎖の可変領域及び定常領域を含む領域が、ヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由来する抗体である。ヒト抗体の作製には、当該技術分野で既知の種々の手法を使用してもよい。
本発明の一実施形態において「重鎖」は、典型的には、全長抗体の主な構成要素である。重鎖は、通常、軽鎖とジスルフィド結合及び非共有結合によって結合している。重鎖のN末端側のドメインには、同種の同一クラスの抗体でもアミノ酸配列が一定しない可変領域(VH)と呼ばれる領域が存在し、一般的に、VHが抗原に対する特異性、親和性に大きく寄与していることが知られている。例えば、"Reiter et al., J Mol Biol. 1999 Jul 16;290(3):685-98."にはVHのみの分子を作製したところ、抗原と特異的に、高い親和性で結合したことが記載されている。さらに、"Wolfson W, Chem Biol. 2006 Dec;13(12):1243-1244."には、ラクダの抗体の中には、軽鎖を持たない重鎖のみの抗体が存在していることが記載されている。
本発明の一実施形態において「CDR(相補性決定領域)」は、抗体において、実際に抗原に接触して結合部位を形成している領域である。一般的にCDRは、抗体のFv(可変領域:重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む)上に位置している。また一般的にCDRは、5~30アミノ酸残基程度からなるCDR1、CDR2、CDR3が存在する。そして、重鎖のCDRが抗体の抗原への結合に特に寄与していることが知られている。またCDRの中でも、CDR3が抗体の抗原への結合における寄与が最も高いことが知られている。例えば、"Willy et al., Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 356, Issue 1, 27 April 2007, Pages 124-128"には、重鎖CDR3を改変させることで抗体の結合能を上昇させたことが記載されている。CDR以外のFv領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれ、FR1、FR2、FR3およびFR4からなり、抗体間で比較的よく保存されている(Kabat et al.,「Sequence of Proteins of Immunological Interest」US Dept. Health and Human Services, 1983.)。
CDRの定義およびその位置を決定する方法は複数報告されている。例えば、Kabatの定義 (Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))、又はChothiaの定義(Chothia et al., J. Mol. Biol.,1987;196:901-917)を採用してもよい。本発明の一実施形態においては、Kabatの定義を好適な例として採用するが、必ずしもこれに限定されない。また、場合によっては、Kabatの定義とChothiaの定義の両方を考慮して決定しても良く、例えば、各々の定義によるCDRの重複部分を、又は各々の定義によるCDRの両方を含んだ部分をCDRとすることもできる。そのような方法の具体例としては、Kabatの定義とChothiaの定義の折衷案である、Oxford Molecular's AbM antibody modeling softwareを用いたMartinらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989;86:9268-9272)がある。
本発明の一実施形態は、(a)重鎖CDR1~3及び軽鎖CDR1~3が、それぞれ配列番号19~24で示されるアミノ酸配列を含む抗体、(b)重鎖CDR1~3及び軽鎖CDR1~3が、それぞれ配列番号25~30で示されるアミノ酸配列を含む抗体、(c)重鎖CDR1~3及び軽鎖CDR1~3が、それぞれ配列番号31~36で示されるアミノ酸配列を含む抗体、及び(d)重鎖CDR1~3及び軽鎖CDR1~3が、それぞれ配列番号37~42で示されるアミノ酸配列を含む抗体、からなる群から選ばれる1種以上の抗PAD4抗体である。この抗体を用いれば、活性型PAD4のシトルリン化活性を阻害することができる。上記(a)~(d)の抗体のCDR配列は、後述の実施例に記載のP1~P4の抗体が有するCDR配列にそれぞれ対応している。また本発明の別の実施形態は、上に列挙した重鎖CDR1~3及び軽鎖CDR1~3のアミノ酸配列のセットのうち、少なくとも1つのセットを含む抗PAD4抗体である。
上記(a)の抗体は、重鎖FR1~4及び軽鎖FR1~4が、それぞれ配列番号43~50で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(b)の抗体は、重鎖FR1~4及び軽鎖FR1~4が、それぞれ配列番号51~58で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(c)の抗体は、重鎖FR1~4及び軽鎖FR1~4が、それぞれ配列番号59~66で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記(d)の抗体は、重鎖FR1~4及び軽鎖FR1~4が、それぞれ配列番号67~74で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。これらのFR配列は、後述の実施例に記載のP1~P4の抗体が有するFR配列にそれぞれ対応している。また本発明の別の実施形態は、上に列挙した重鎖FR1~4及び軽鎖FR1~4のアミノ酸配列のセットのうち、少なくとも1つのセットを含む抗PAD4抗体である。
本発明の一実施形態に係る抗体は、重鎖CDR1に配列番号19、25、31、又は37で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖CDR2に配列番号20、26、32、又は38で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖CDR3に配列番号21、27、33、又は39で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR1に配列番号22、28、34、又は40で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR2に配列番号23、29、35、又は41で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖CDR3に配列番号24、30、36、又は42で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る抗体は、重鎖FR1に配列番号43、51、59、又は67で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖FR2に配列番号44、52、60、又は68で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖FR3に配列番号45、53、61、又は69で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、重鎖FR4に配列番号46、54、62、又は70で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖FR1に配列番号47、55、63、又は71で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖FR2に配列番号48、56、64、又は72で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖FR3に配列番号49、57、65、又は73で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖FR4に配列番号50、58、66、又は74で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、scFvの形態であってもよく、その場合、重鎖と軽鎖間にリンカーを有していてもよい。リンカーは、例えば、代表的には、GとPからなる0~5アミノ酸の配列が挙げられるがこれに限定されない。リンカーは、例えば、配列番号75で示されるアミノ酸配列を有していてもよい。リンカーは必須ではなく、存在しなくてもよい。
本発明の一実施形態に係る抗PAD4抗体は、重鎖可変領域が配列番号3、4、5、又は6で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよく、軽鎖可変領域が配列番号11、12、13、又は14で示されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態において「アミノ酸」は、アミノ基とカルボキシル基を持つ有機化合物の総称である。本発明の実施形態に係る抗体が「特定のアミノ酸配列」を含むとき、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸が化学修飾を受けていてもよい。また、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸が塩、又は溶媒和物を形成していてもよい。また、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸がL型、又はD型であってもよい。それらのような場合でも、本発明の実施形態に係る抗体は、上記「特定のアミノ酸配列」を含むといえる。蛋白質に含まれるアミノ酸が生体内で受ける化学修飾としては、例えば、N末端修飾(例えば、アセチル化、ミリストイル化等)、C末端修飾(例えば、アミド化、グリコシルホスファチジルイノシトール付加等)、又は側鎖修飾(例えば、リン酸化、糖鎖付加等)等が知られている。
本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体をコードするポリヌクレオチド又はベクターである。このポリヌクレオチド又はベクターを細胞に導入することによって、形質転換体を作製できる。形質転換体は、ヒト又はヒトを除く哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ウシ、サル等)の細胞であってもよい。哺乳動物細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、サル細胞COS-7、ヒト胎児由来腎臓細胞(例えば、HEK293細胞)などが挙げられる。又は、形質転換体はEscherichia属菌、酵母等であってもよい。上記ポリヌクレオチド又はベクターは、抗PAD4抗体を発現可能に構築されていてもよい。上記ポリヌクレオチド又はベクターは、例えば、プロモーター、エンハンサー、複製開始点、又は抗生物質耐性遺伝子など、蛋白質発現に必要な構成要素を含んでいてもよい。上記ポリヌクレオチド又はベクターは、異種由来の塩基配列を有していてもよい。異種由来の塩基配列は、例えば、ヒト及びヒトを除く生物(例えば、細菌、古細菌、酵母、昆虫、鳥類、ウイルス、又はヒトを除く哺乳動物等)からなる群から選ばれる2種以上の生物由来の塩基配列を含んでいてもよい。
上記のベクターとしては、例えば大腸菌由来のプラスミド(例えばpET-Blue)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110)、酵母由来プラスミド(例えばpSH19)、動物細胞発現プラスミド(例えばpA1-11、pcDNA3.1-V5/His-TOPO)、λファージなどのバクテリオファージ、ウイルス由来のベクターなどを用いることができる。ベクターは発現ベクターであってもよく、環状であってもよい。
上記のポリヌクレオチド又はベクターの細胞への導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、アデノウイルスによる方法、レトロウイルスによる方法、又はマイクロインジェクションなどを使用できる(改訂第4版 新 遺伝子工学ハンドブック, 羊土社(2003):152-179.)。細胞を用いた抗体の生産方法としては、例えば、"タンパク質実験ハンドブック,羊土社(2003):128-142."に記載の方法を使用できる。
本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係るポリヌクレオチド又はベクターを含有する細胞である。本発明の一実施形態は、上記の細胞を増殖させる工程を含む、抗PAD4抗体の生産方法である。上記増殖させる工程は、培養する工程を含む。またこの生産方法は、抗PAD4抗体を回収する工程を含んでいてもよい。またこの生産方法は、細胞培養液を調製する工程を含んでいてもよい。またこの生産方法は、抗PAD4抗体を精製する工程を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態において、抗体の精製は、例えば、硫酸アンモニウム、エタノール沈殿、プロテインA、プロテインG、ゲルろ過クロマトグラフィー、陰イオン、陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、又はレクチンクロマトグラフィーなどを用いることができる(タンパク質実験ハンドブック, 羊土社(2003):27-52.)。
本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、組成物である。この組成物を用いれば、活性型PAD4を効率的に検出できる。また、活性型PAD4のシトルリン化を効率的に阻害することができる。また、RA又は関節炎を治療することができる。この組成物が含有する成分は特に限定されず、例えば、緩衝液を含んでいてもよい。この組成物に対して、後述の阻害剤及び医薬組成物に係る種々の実施形態(例えば、担体を含有可能なこと等)の1つ以上を適用してもよい。
本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、PAD4の機能阻害剤である。この阻害剤を用いれば、活性型PAD4のシトルリン化活性を効率的に阻害することができる。上記阻害剤による活性型PAD4のシトルリン化活性の低下率は、15、20、30、40、50、60、70、80%以上であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。この低下率は、例えば、TBS Bufferを用いたときの低下率を0%としたときの相対割合で表してもよい。この低下率は、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。本発明の一実施形態において「剤」は、例えば、研究又は治療に用いられる組成物を含む。上記阻害剤は、例えば、RA又は関節炎の治療剤を含む。上記阻害剤は、例えば、in vitro又はin vivoで用いることができる。上記阻害剤は、上記の本発明の実施形態に係る組成物を含んでいてもよい。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体と、PAD4とを接触させる工程を含む、PAD4の機能阻害方法である。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を患者に投与する工程を含む、PAD4の機能阻害方法である。上記阻害方法は、研究又は治療のために行われる阻害方法を含む。本発明の一実施形態は、PAD4の機能阻害剤を生産するための、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体の使用である。なお、繰り返しになるが、PAD4は活性型PAD4であってもよい。
本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、医薬組成物である。この医薬組成物を用いれば、RA又は関節炎を治療することができる。上記医薬組成物は、薬理学的に許容される1つ以上の担体を含んでいてもよい。上記医薬組成物は、例えば、RA又は関節炎の治療用医薬組成物を含む。上記医薬組成物は、上記の本発明の実施形態に係る組成物を含んでいてもよい。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体(又は抗PAD4抗体を含む医薬組成物)を患者に投与する工程を含む、疾患の治療方法である。上記疾患は、例えば、RA又は関節炎を含む。本発明の一実施形態は、医薬組成物を生産するための、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体の使用である。
RA発症患者数は全世界で7000万人にも上ると報告されている。現在いくつかの治療薬が市販されているが、既存薬の効かない患者が一定割合存在しており、患者の60~80%は満足のいく治療を受けられていないともいわれている。また、既存薬には、副作用の問題も指摘されている。上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を用いれば、新規のメカニズムでRAを治療することができる。
本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、RA又は関節炎の診断薬である。この診断薬を用いれば、効率的にRA又は関節炎を診断できる。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体と、患者サンプルを接触させる工程を含む、RA又は関節炎の診断方法である。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、PAD4の検出試薬である。この試薬を用いれば、効率的にPAD4を検出できる。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体と、試験サンプルを接触させる工程を含む、PAD4の検出方法である。この方法は、上記特許文献3に記載されているようなEDTA処理をしない場合でも、PAD4を適切に検出できる。本発明の一実施形態は、上記の本発明の実施形態に係る抗PAD4抗体を含む、キットである。このキットを用いれば、例えば、疾患の治療、診断、又はPAD4の検出ができる。このキットは、例えば、上記の本発明の実施形態に係る組成物、阻害剤、医薬組成物、診断薬、又は検出試薬を含んでいてもよく、取扱説明書、緩衝液、容器(例えば、バイアル、又はシリンジ)、又は包装を含んでいてもよい。本明細書において、患者サンプル又は試験サンプルは、血液、血清、又は血漿であってもよい。
本発明の一実施形態において「治療」は、患者の疾患、もしくは疾患に伴う1つ以上の症状の、症状改善効果、抑制効果、又は予防効果を発揮しうることを含む。本発明の一実施形態において「治療薬」は、有効成分と、薬理学的に許容される1つ以上の担体とを含む医薬組成物であってもよい。本発明の一実施形態において「医薬組成物」は、例えば有効成分と上記担体とを混合し、製剤学の技術分野において知られる任意の方法により製造してもよい。また医薬組成物は、治療のために用いられる物であれば使用形態は限定されず、有効成分単独であってもよいし、有効成分と任意の成分との混合物であってもよい。また上記担体の形状は特に限定されず、例えば、固体又は液体(例えば、緩衝液)であってもよい。上記担体の含有量は、例えば、製剤学上有効量であってもよい。この有効量は、例えば、有効成分の製剤学的な安定性又は送達のために十分量であってもよい。例えば、緩衝液は、バイアル中における有効成分の安定化に有効である。
医薬組成物の投与経路は、治療に際して効果的なものを使用するのが好ましく、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、又は経口投与等であってもよい。投与形態としては、例えば、注射剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤等であってもよい。抗体を投与する場合には、注射剤として用いることが効果的である。注射用の水溶液は、例えば、バイアル、又はステンレス容器で保存してもよい。また注射用の水溶液は、例えば生理食塩水、糖(例えばトレハロース)、NaCl、又はNaOH等を配合してもよい。また医薬組成物は、例えば、有効量の緩衝剤(例えばリン酸塩緩衝液)、pH調整剤、安定剤等を配合してもよい。
投与量、投与間隔、投与方法は、特に限定されず、患者の年齢や体重、症状、対象臓器等により、適宜選択してもよい。また医薬組成物は、治療有効量、又は所望の作用を発揮する有効量の有効成分を含むことが好ましい。
医薬組成物の治療効果は、例えば、関節炎スコア、RAスコア、腫脹幅、画像診断、modified Total Sharpスコア、又は疾患マーカーにより評価してもよい。腫脹幅で評価する場合、例えば、医薬組成物投与時の患部の腫脹幅が、非投与時の腫脹幅に比べて有意に減少した場合に、治療効果があったと判断してもよい。又は、医薬組成物投与時の患部の腫脹幅が、ネガティブコントロール物質投与時の患部の腫脹幅に比べて、有意に減少した場合に、治療効果があったと判断してもよい。上記減少の量は、例えば、40、50、60、70、80、90、又は100%であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。
本発明の一実施形態において「患者」は、ヒト、又はヒトを除く哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、ハムスター、ラット、ネズミ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、マーモセット、サル、又はチンパンジー等の1種以上)を含む。また患者は、RA又は関節炎を発症していると診断された患者であってもよい。また患者は、シトルリン化の抑制によって治療可能な疾患を発症していると診断された患者であってもよい。
本発明の一実施形態は、組成物中の、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗PAD4抗体、又はヒトPAD4の633~645位に特異的に結合する抗PAD4抗体の割合を増加させる工程を含む、組成物のシトルリン化活性阻害能又は治療効果を促進させる方法である。本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体を含有する組成物であって、組成物中の抗PAD4抗体分子の90%以上が、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗PAD4抗体、又はヒトPAD4の633~645位に特異的に結合する抗PAD4抗体である、組成物である。本発明の一実施形態は、抗PAD4抗体を含有する抗体集団であって、抗体集団中の抗PAD4抗体分子の90%以上が、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗PAD4抗体、又はヒトPAD4の633~645位に特異的に結合する抗PAD4抗体である、抗体集団である。上記90%以上は、例えば、90、95、96、97、98、99%以上、又は100%であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。
本発明の一実施形態は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドである。このペプチドを用いれば、活性型PAD4に結合する抗体を生産することができる。また、活性型PAD4に結合する抗体を検出することができる。配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、化学修飾(例えば、KLH修飾)を受けていてもよく、そのような化学修飾ペプチドも配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドの一形態に含まれる。配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、単離、精製、又は濃縮されたペプチドであってもよい。
本発明の一実施形態は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを含む抗原組成物である。この抗原組成物は、例えば、緩衝液を含んでいてもよい。本発明の一実施形態は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを哺乳類又は鳥類に免疫する工程を含む、抗PAD4抗体の生産方法である。本発明の一実施形態は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドと、抗体又は抗体ライブラリーを接触させる工程を含む、抗PAD4抗体の生産方法である。本発明の一実施形態は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドと、抗PAD4抗体を含む試験サンプルと、を接触させる工程を含む、活性型PAD4に結合する抗体の検出方法である。本発明の一実施形態は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを含む、活性型PAD4に結合する抗体の検出用組成物である。
本発明の一実施形態において「結合」は、共有結合又は非共有結合のいずれであってもよく、例えば、イオン結合、水素結合、疎水性相互作用、又は親水性相互作用であってもよい。
本発明の一実施形態において「有意に」は、例えば、統計学的有意差をスチューデントのt検定(片側又は両側)を使用して評価し、p<0.05又はp<0.01である状態であってもよい。又は、実質的に差異が生じている状態であってもよい。
本明細書において引用しているあらゆる刊行物、公報類(特許、又は特許出願)は、その全体を参照により援用する。
本明細書において「又は」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。本明細書において「A~B」は、A以上B以下を意味するものとする。本明細書において「それぞれに」は、「それぞれ順に」と同義である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上記実施形態に記載の構成を組み合わせて採用することもできる。
以下、実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>抗PAD4抗体の作製
KLH修飾されたFFTYHIRHGEVHC(配列番号1)のペプチドを、3ヵ月齢のボリスブラウン3羽に対して、1羽当たり333μgずつ腹腔に免疫した。使用したペプチドはPAD4(配列番号2)の633~645位に対応するペプチド抗原である。1次免疫には完全フロイントアジュバンド(Wako、014-09541)、2次及び3次免疫には不完全フロイントアジュバンド(Wako、011-09551)を用いて抗原を免疫した。四次免疫はPBS(phosphate buffered saline)に希釈した抗原を静脈注射した。隔週で翼下静脈より採血を行い、ELISAによって抗体価の確認を行った。3羽に対して3次免疫まで実施し、最も抗体価の上昇が見られた個体1羽に対して、4次免疫を実施し、4次免疫を最終免疫とした。最終免疫から3日後、ニワトリの脾臓を回収し、Ficoll paque PLUS(GE Healthcare、17-1440-03)を用いた密度勾配遠心によりリンパ球を単離し、TRIzole Reagent(Life Technologies、15596026)を用いてRNAを抽出した。抽出したRNAからPrimeScript II 1st Strand cDNA Synthesis Kit(TAKARA、6210A)を用いたRT-PCRによりcDNAの合成を行い、scFvファージライブラリーを作製した。発現ベクターはpPDSのマウスκ鎖の代わりにニワトリλ鎖を挿入したタイプの発現ベクターを使用した。scFvファージライブラリーの作製は、参考文献:"Nakamura et al., J Vet Med Sci. 2004 Ju;66 (7): 807-814"に記載の方法に従って行った。
scFvファージ抗体ライブラリーを用いて、上記のペプチド抗原を固相化したプレートによるパニングを行った。パニングは参考文献"Nakamura et al., J Vet Med Sci. 2004 Ju;66 (7): 807-814"に記載の方法に従って行った。5回パニングを行った後、ライブラリーの反応性を、BSA修飾ペプチド抗原を固相化したプレートを用いたELISAによって確認し、反応性が上昇し始めたライブラリーからファージのスクリーニングを行った。スクリーニングでは、ファージを大腸菌に感染させ、アンピシリン50 μg/ml(nacalai、02739-32)を含む2×YT Agar plateにプレーティングし、得られたコロニーをアンピシリン含有2×YT液体培地中で培養した。ヘルパーファージを感染させた後、アンピシリン50 μg/ml、カナマイシン25 μg/ml(明治製菓株式会社、GS1-RSS)、IPTG100 μg/ml(nacalai、19742-94)含有2×YT液体培地中でファージの誘導を行った。得られた培養上清中のscFvファージ抗体の反応性を、抗原固相化プレートを用いたELISAによって確認した。得られた陽性クローンはDNAシークエンサー(Applied Biosystems、ABI PRISM 3100-Genetic Analyzer)を用いてシークエンスを行い、配列を決定した。
配列の異なるクローンについて、scFv抗体をコードするDNA鎖を鋳型にして、ニワトリ由来抗体遺伝子H鎖可変領域及びL鎖可変領域の増幅をPCRで行った後、PCR産物をSacII(BioLabs社, Cat#R0157S)及びNheI(BioLabs社, Cat#R0131S)制限酵素処理した。次に、H鎖可変領域及びL鎖可変領域のそれぞれについて、同じように制限酵素処理したマウスキメラ抗体(IgG1)発現ベクター(H鎖用発現ベクター:pcDNA4/myc-His、L鎖用発現ベクター:pcDNA3/myc-His、Invitrogen)に組換えた。作製したH鎖及びL鎖のコンストラクトをCHO細胞にトランスフェクトした後、培養上清をBSA修飾ペプチド抗原、及び完全長の組換えヒトPAD4タンパク質を固相したELISAで反応性の確認を行った。使用したマウスキメラ発現ベクターはTateishi et al., J Vet Med Sci. 2008 Apr;70(4): 397-400に記載されているベクターを使用した。以上により、P1、P2、P3、及びP4の抗体クローンを得た。P1、P2、P3、及びP4の重鎖可変領域のアミノ酸配列は順に配列番号3~6、DNA配列は順に配列番号7~10、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は順に配列番号11~14、DNA配列は順に配列番号15~18である(図1~3)。以下ではこれらの抗体を纏めて「P1等」と称することもある。
P1等の抗体クローンを大量に製造するため、作製したH鎖およびL鎖の発現ベクターをほ乳類培養細胞にExpi293Expression system(Invitrogen、A14635)を利用しトランスフェクトした後、発現した抗体の精製をProteinG Sepharose 4 Fast Flow(GE healthcare、17-018-02)を用いて行った。
<実施例2>抗PAD4抗体の親和性評価
Biacore(GE Healthcare、Biacore T200)を行い、P1等のヒトPAD4に対する親和性を評価した。親和性の測定には、Mouse Antibody Capture Kit(GE Healthcare、BR-1008-38)を用いた。具体的には、メーカー提供の標準プロトコルに従い、NHS/EDCを使用し、CM5チップ表面のフリーカルボキシル基を利用したアミンカップリング法によって、ウサギ抗マウスポリクローナル抗体をCM5チップ表面に固定化した。次に、P1等をウサギ抗マウスポリクローナル抗体にキャプチャーした。Biacore T200に種々の濃度のヒトPAD4を供し、カイネティクスセンサーグラムを作成した。
親和性測定の結果、Kd (M)は、P1が7.3x10-8、P2が3.1x10-8、P3が2.4x10-8、P4が1.5x10-8であった。この結果からわかるように、P1等はいずれもヒトPAD4に対する高い親和性を示した。
<実施例3>活性型PAD4への結合及び阻害活性の評価
(1)プロトコル1(抗体と酵素の反応後にカルシウムを添加)
抗PAD4抗体(P1等)、マウスIgG(ネガティブコントロール)を、TBSを溶媒として、それぞれ450μg/mLに調製した。5μLの抗体溶液(反応系50μL中における終濃度は45μg/mL(300 nM))と5μLの7.5μg/mL(100 nM)ヒトPAD4を全量が40μLになるように1 mM EDTA、1 mM DTTを含む20 mM Tris-HCl緩衝液(pH.7.6)に混合した。37℃で60分間インキュベーションしたのち、5μLの100mM BAEE(ベンゾイルアルギニンエチルエステル)を加え、さらに5μLの100 mM CaCl2を加えて(全量50μL、BAEEの終濃度は10 mM、カルシウムイオンの終濃度は10 mM)インキュベーションした。コントロールとして5μLの抗体溶液の代わりに、溶媒(TBS)、抗DNP抗体(ネガティブコントロール)の溶液(終濃度は300nM)、又はL207(WO/2012/026309の実施例に記載の抗PAD4抗体L207-11)の溶液(終濃度は300nM)を添加したサンプルも同様に調製した。この溶液を37℃で3時間反応させた。
(2)プロトコル2(抗体と酵素の反応前にカルシウムを添加)
プロトコル2では、事前にカルシウムとPAD4を反応させることでPAD4を活性型にした。具体的には以下の手順で行った。5μLの7.5μg/mL(100 nM)ヒトPAD4と5μLの100 mM CaCl2を混合し、全量が40μLになるように1 mM EDTA、1mM DTTを含む20 mM Tris-HCl緩衝液(pH.7.6)とを混合した。混合後、37℃で60分間プレインキュベーションを行った。抗PAD4抗体(P1等)、マウスIgG(ネガティブコントロール)を、TBSを溶媒として、それぞれ450μg/mLに調製した。調製した5μLの抗体溶液(反応系50μL中における終濃度は45μg/mL(300 nM))と5μLの100 mM BAEEをプレインキュベーションした反応液に加え、全量50μL(BAEEの終濃度は10 mM, カルシウムイオンの終濃度は10 mM)とした。コントロールとして5μLの抗体溶液の代わりに、溶媒(TBS)、抗DNP抗体の溶液(終濃度は300nM)、又はL207の溶液(終濃度は300nM)を添加したサンプルも同様に調製した。これらの溶液を37℃で3時間反応させた。
(3)共通プロトコル
37℃で3時間反応させた後、5Mの過塩素酸を12.5μLを加えて反応を停止させた。この反応停止させた溶液40μLと反応溶液(反応液1(98% H2SO4:85% H3PO4:H2O=25:20:55、0.0416% FeCl3・6H2O):反応液2(1% 2,3-butanedione oxime:0.02% thiosemicarbazide=1:1)=2:1混合液)150μLを混合したのち、98℃で6分間反応させた。1分間氷冷下で静置後、上清に含まれるシトルリン化されたBAEEを比色定量した。抗体溶液の代わりに溶媒を用いたコントロールサンプルの測定値を100とし、各抗体使用時のシトルリン化率を算出した。
PAD4阻害活性測定の結果を図4に示す。この結果からわかるように、P1等は活性型PAD4に結合し、シトルリン化活性を強く阻害した(シトルリン化率はP1が63%、P2が62%、P3が80%、P4が82%)。一方で、抗DNP抗体及びL207は活性型PAD4のシトルリン化活性を阻害しなかった。
以上の実施例により、PAD4の633~645位に特異的に結合する抗PAD4抗体が、活性型PAD4に結合し、シトルリン化活性を阻害する特性を有していることが明らかとなった。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

Claims (9)

  1. 配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチド、又はヒトPAD4(Peptidylarginine deiminase 4)の633~645位に特異的な結合性を有し、活性型PAD4のシトルリン化活性を阻害する、抗PAD4抗体。
  2. モノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗PAD4抗体。
  3. 抗原結合性抗体断片である、請求項1又は2に記載の抗PAD4抗体。
  4. 請求項1~3いずれかに記載の抗PAD4抗体をコードする、ポリヌクレオチド又はベクター。
  5. 請求項1~3いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、前記抗PAD4抗体を活性型PAD4に結合させるための組成物。
  6. 請求項1~3いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、活性型PAD4の機能を阻害するための組成物。
  7. 請求項1~3いずれかに記載の抗PAD4抗体を含む、PAD4の機能阻害剤。
  8. 請求項4に記載のポリヌクレオチド又はベクターを含有する細胞を増殖させる工程を含む、抗PAD4抗体の生産方法。
  9. 配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチド又は化学修飾された配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドと、抗PAD4抗体を含む試験サンプルと、を接触させる工程を含む、活性型PAD4に結合する抗体のスクリーニング方法。
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