JP2024035140A - ヒューズ合金および保護素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐リフロー性を有し、かつ、リフロー後も低い電気抵抗を維持でき、単一合金からなる鉛フリー・ヒューズエレメントを備えた保護素子を提供する。【解決手段】絶縁基板と、前記絶縁基板に設けた第1電極および第2電極と、少なくとも前記第1電極および前記第2電極の間を電気接続したヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスとを備え、前記ヒューズエレメントは、Sn-Ag-Cuの3元合金からなり、その銀含有量が20から30質量%、銅含有量が2から10質量%、残部がSnで構成された保護素子。【選択図】図1

Description

本発明は、ヒューズ合金および電気・電子機器の保護素子に関する。
近年、モバイル機器など小型電子機器の急速な普及に伴い、搭載する電源の保護回路に実装される保護素子も小型薄型のものが使用されている。二次電池パックの保護回路には、例えば特許文献1に記載されるような表面実装部品(SMD)の保護素子が好適に利用される。これらの保護素子には、被保護機器の過電流により生ずる過大発熱や過電圧などの異常状態を検知し、または周囲温度の異常過熱に感応して、所定条件でヒューズを作動させ電気回路を遮断する非復帰型保護素子がある。該保護素子は、機器の安全を図るために、保護回路が機器に生ずる異常を検知すると信号電流により抵抗素子を発熱させ、その発熱で可融性の合金材からなるヒューズエレメントを溶断させて回路を遮断するか、あるいは過電流によってヒューズエレメントを溶断させて回路を遮断する。
例えば、特許文献1などに記載されるように、はんだ付け温度で溶融する低融点金属材と、低融点金属材に溶解性の金属構造材を積層して成るヒューズエレメントを用いた保護素子がある。この保護素子のヒューズエレメントは、はんだ付け作業で液相化した低融点金属材を、その温度で固相の金属構造材に界面張力で付着させて一定時間溶断しないように支えて保持することで、少なくともはんだ付け作業の間、ヒューズエレメントの形状を維持してヒューズエレメントがリフローはんだ付けで誤動作するのを防止する。はんだ付けが完了し回路保護素子が被保護回路に実装されると、ヒューズエレメントの金属構造材は、はんだ付けの熱で媒質である低融点金属材中に拡散または溶解されて薄層化しているので、設置環境の異常過熱や内蔵する抵抗発熱素子のヒータ加熱により容易に消失し、以後溶断を妨げることなく動作するようになる。
特開2015-079608号公報
二次電池に使用される保護素子は表面実装部品となっている。このため、前記保護素子に用いられるヒューズエレメントは、リフローはんだ付けで溶断しないようにする必要があり、特に両面実装のため2回の高温リフローはんだ付けも耐える必要がある。従来の鉛フリーはんだ合金を用いた耐リフロー性のヒューズエレメントは、ヒューズエレメントが完全に液相となる温度に達する前に、固相と液相が共存する固液共存温度帯を経て溶断するが、保護素子を回路基板にリフローはんだ付けによって表面実装する際、固液共存温度帯でヒューズエレメントが変形してしまう不具合があった。ヒューズエレメントには溶断動作を保証するフラックスが塗布されている。通常、動作温度付近ではフラックスは液状化して流動し易くなるが、ヒューズ動作が完了するまでヒューズエレメント上に必要量のフラックスを保持することが重要となる。しかしながら、変形したヒューズエレメントは、ヒューズが動作する前にヒューズエレメントの変形箇所を起点にフラックスが流失してしまうことがあり、安定した動作を妨げることがあった。
また、一般に保護素子に用いられるヒューズエレメントは、高電流化への対応や充電池の待機エネルギーロス等の観点から、なるべく電気抵抗値の低い材料を用いることが好ましい。しかしながら、鉛フリー組成のヒューズエレメントに利用できるはんだ合金や金属元素は限られており、従来、単一組成の易融合金や金属材で耐リフロー性を有しかつ所望する低電気抵抗値を同時に満足し、環境や人体への影響が軽少なものは極めて少なく、実用を満足するものがなかった。
鉛フリー組成のはんだ合金としてはSn基合金、特にSn-Ag-Cu系の3元合金が代表的であるが、このSn-Ag-Cu系の3元合金において高温リフローのはんだ付けにも耐え得る耐リフロー性を発揮させることは、NEDO等の鉛フリー産学官共同プロジェクト等においても実現できておらず、国内外のはんだメーカの努力にも関わらず、その実現が非常に困難であった。
本発明は、上述の問題点を解消するために提案されたものであり、回路保護素子において、耐リフロー性を有しかつリフロー後も低い電気抵抗を維持でき、同時に環境や人体への影響が極めて少ない単一合金からなる新規ヒューズエレメントおよびそのヒューズエレメントを備えた保護素子を提供することを目的とする。
本発明によると、絶縁基板と、この絶縁基板に設けた第1電極および第2電極と、少なくとも前記第1電極および前記第2電極の間を電気接続したヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスとを備え、前記ヒューズエレメントは、Sn-Ag-Cuの3元合金からなり、その銀含有量が20から30質量%、銅含有量が2から10質量%、残部がSnで構成されたことを特徴とする保護素子が提供される。前記ヒューズエレメントは、冶金上不可避な微量元素(不可避不純物)を含有してもよい。一方でヒューズエレメントは、例えばリン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、コバルト等の還元性元素を微量含んでいてもよく、例えば0.001質量%未満(0質量%を含む)含んでいてもよい。ヒューズエレメントは、還元性元素を含まないのが好ましい。またヒューズエレメントは、還元性元素以外の元素を微量含んでいてもよく、例えば、1質量%未満で含んでいてもよい。
本発明の保護素子は、必要に応じて前記絶縁基板に発熱素子をさらに設けて、この発熱素子に通電できるようにして、前記ヒューズエレメントを加熱して必要なときに溶断動作できるようにしてもよい。すなわち、絶縁基板と、この絶縁基板に設けた第1電極および第2電極と、通電により発熱する発熱素子と、この発熱素子に通電するために設けた通電電極と、前記第1電極、前記第2電極、前記通電電極の間を電気接続したヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスとを備え、前記ヒューズエレメントは、Sn-Ag-Cuの3元合金からなり、その銀含有量が20から30質量%、銅含有量が2から10質量%、残部がSnで構成されたことを特徴とする保護素子が提供される。同保護素子は、必要に応じて絶縁基板の発熱素子に通電でき、前記ヒューズエレメントを加熱して必要なときに溶断動作できるように構成されている。
本発明のヒューズエレメントは、上述した合金組成範囲のものを使うことで、固液共存温度帯を有する合金であるにもかかわらず単一合金材で耐リフロー性のヒューズエレメントとして利用でき、リフロー後もヒューズエレメントの変形を抑止することで、低電気抵抗を維持しかつヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスの流失を防止しフラックスを保持することができる。Sn-Ag-Cu3元系合金自体は周知の合金系であるが、前記ヒューズエレメントとして特定組成のSn-Ag-Cu3元合金を適用したときに顕著な効果がある。前記ヒューズエレメントは、固相線温度が217℃と、一般的なリフロー温度より低いが、液相線温度が380℃付近で有りリフロー耐性を満足できる。銀含有量を20から30質量%とし、銅を6±4質量%添加し残部を錫とすることにより、リフロー時の固相残存率が上昇することで、従来よりもリフロー耐性が向上する。また前記ヒューズエレメントを構成するSn-Ag-Cuの3元合金は、銀含有量が22質量%以上、25質量%以下であることが好ましく、また銅含有量が4質量%以上、8質量%以下であることが好ましい。このような好ましい構成であれば、リフロー時の固相残存率をより向上させて耐リフロー性をより向上させ、その一方で液相線が上がり過ぎないためより優れた溶断特性を発揮できるようになる。ここで固相残存率とは、該当温度における液相に対する固相の割合のことをいう。前記ヒューズエレメントの場合、固相残存率は上昇するが、液相線は上昇しないため耐変形性と溶断性が極めて良好となる。その理由については充分に解明できていないが、ヒューズエレメントに組成範囲内の上記合金材を利用することで、該合金を構成する金属元素の錫、銀、銅いずれかの金属間化合物等の析出強化または晶出強化により、耐熱形状安定性が向上しているものと推定される。前記ヒューズエレメントは、必要に応じて前記ヒューズエレメントを前記絶縁基板に設けた所望の電極に接合する目的ため、接合する電極面と対向する側の面の一部または全部に、接合金属層を設けてもよい。接合金属層は、その溶融温度がヒューズエレメントより低い金属ならば何れの合金材、はんだ材、ろう材または金属材を用いてもよい。
本開示の一実施形態に係る保護素子によれば、ヒューズエレメントは、環境や人体への影響が軽少な単一合金からなり、耐リフロー性を有し、リフロー後も同ヒューズエレメントの変形を抑止することで、低電気抵抗を維持しかつヒューズエレメント上に塗布したフラックスの流失を防止しフラックスを保持する。
本発明に係る保護素子10であり、(a)は(b)のd-d線に沿って蓋体を切断した平面図を示し、(b)は(a)のD-D線に沿って切断した断面図を示し、(c)はその下面図を示す。 本発明に係る保護素子20であり、(a)は(b)のd-d線に沿って蓋体を切断した平面図を示し、(b)は(a)のD-D線に沿って切断した断面図を示し、(c)はその下面図を示す。 本発明に係る保護素子30であり、(a)は(b)のd-d線に沿って蓋体を切断した平面図を示し、(b)は(a)のD-D線に沿って切断した断面図を示し、(c)はその下面図を示す。 本発明に係る保護素子40であり、(a)は(b)のd-d線に沿って蓋体を切断した平面図を示し、(b)は(a)のD-D線に沿って切断した断面図を示し、(c)はその下面図を示す。 本発明に係る保護素子50であり、(a)は(b)のd-d線に沿って蓋体を切断した平面図を示し、(b)は(a)のD-D線に沿って切断した断面図を示し、(c)はその下面図を示す。 本発明に係る保護素子60であり、(a)は(b)のd-d線に沿って蓋体を切断した平面図を示し、(b)は(a)のD-D線に沿って切断した断面図を示し、(c)はその下面図を示す。 本発明に係る保護素子70であり、(a)は(b)のd-d線に沿って蓋体を切断した平面図を示し、(b)は(a)のD-D線に沿って切断した断面図を示し、(c)はその下面図を示す。 本発明にかかる様々な組成のSn-Ag-Cu系合金の固相残存率と液相線温度との関係を示すグラフである。
本発明の一態様によると、絶縁基板と、この絶縁基板に設けた第1電極および第2電極と、少なくとも前記第1電極および前記第2電極の間を電気接続したヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスとを備え、前記ヒューズエレメントは、Sn-Ag-Cuの3元合金からなり、その銀含有量が20から30質量%、銅含有量が2から10質量%、残部がSnで構成されたことを特徴とする保護素子が提供される。同保護素子は、表面実装に適用可能な保護素子であって、前記ヒューズエレメントは、上述した合金組成範囲のものを使うことで、単一合金材で耐リフロー性のヒューズエレメントとして利用でき、リフロー後もヒューズエレメントの変形を抑止することで、低電気抵抗を維持しかつヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスの流失を防止しフラックスを保持することができる。前記ヒューズエレメントは、必要に応じて前記ヒューズエレメントを前記絶縁基板に設けた第1電極および第2電極に接合する目的ため、前記ヒューズエレメントを接合する電極面と対向する側のヒューズエレメント平面の一部または全部に、接合金属層を設けてもよい。この接合金属層は、その溶融温度がヒューズエレメントより低い金属ならば何れの合金材、はんだ材、ろう材または金属材を用いてもよい。例えば、半田合金としてBal.Sn-3.0Ag-0.5Cu(数値は質量%、Bal.は残部)のはんだ合金、Bal.Sn-0.75Cu(数値は質量%、Bal.は残部)のはんだ合金等がある。これらの接合合金層は、冶金上不可避な微量元素(不可避不純物)を含有してもよい。また接合合金層は、例えばリン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、コバルト等の還元性元素を微量含んでいてもよく、例えば0.001質量%未満(0質量%を含む)含んでいてもよい。接合合金層は、還元性元素を含まないのが好ましい。また接合合金層は、還元性元素以外の元素を微量含んでいてもよく、例えば、1質量%未満で含んでいてもよい。
本発明の別の一形態によると、絶縁基板と、この絶縁基板に設けた第1電極および第2電極と、通電により発熱する発熱素子と、この発熱素子に通電するために設けた通電電極と、前記第1電極、前記第2電極、前記通電電極の間を電気接続したヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスとを備え、前記ヒューズエレメントは、Sn-Ag-Cuの3元合金からなり、その銀含有量が20から30質量%、銅含有量が2から10質量%、残部がSnで構成されたことを特徴とする保護素子が提供される。同保護素子は、必要に応じて絶縁基板の発熱素子に通電でき、前記ヒューズエレメントを加熱して必要なときに溶断動作できるように構成されている。本発明のヒューズエレメントは、上述した合金組成範囲のものを使うことで、単一合金材で耐リフロー性のヒューズエレメントとして利用でき、リフロー後もヒューズエレメントの変形を抑止することで、低電気抵抗を維持しかつヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスの流失を防止しフラックスを保持することができる。前記ヒューズエレメントは、必要に応じて前記ヒューズエレメントを前記絶縁基板に設けた第1電極および第2電極と通電電極とに接合する目的ため、前記ヒューズエレメントを接合する電極面と対向する側のヒューズエレメント平面の一部または全部に、接合金属層を設けてもよい。前記接合金属層は、その溶融温度がヒューズエレメントより低い金属ならば何れの合金材、はんだ材、ろう材または金属材を用いてもよい。例えば、半田合金としてBal.Sn-3.0Ag-0.5Cu(数値は質量%、Bal.は残部)のはんだ合金がある。
本発明の一実施形態に係わる保護素子は、ヒューズエレメントとフラックスとを覆って絶縁基板に固着したキャップ状蓋体を取り付けてもよい。第1電極および第2電極または通電電極は、外部部品と接続するために絶縁基板を挟んで同基板の反対側に設けたパッド電極と電気接続してもよい。前記電気接続の手段は、電気的に接続できれば何れの方法を用いてもよく、例えば表面配線、スルーホール(ビア、ハーフ・スルーホールを含む)などを用いてもよい。
本発明の一実施形態に係わる接合金属層は、予めヒューズエレメントとクラッドなどで一体に張り合わせて設けてもよい。左記の場合は、接合作業に際してヒューズエレメントの接合金属層面と電極表面が対向するように直に電極上に載置し、そのまま加熱して接合金属層を溶融させることでヒューズエレメントと電極材とを容易に接合できる。また、接合作業時にヒューズエレメントの必要箇所にはんだペーストを塗布し、前記はんだペーストを溶融させて接合金属層を形成させると同時にヒューズエレメントと電極材とを接合させてもよい。換言すると、本発明のヒューズエレメントは、外部の電極に接合して使用されるが、前記電極を接合する側の面に前記ヒューズエレメントよりも液相線温度が低い金属材からなる接合金属層をさらに設けてもよい。または、本発明のヒューズエレメントは、該ヒューズエレメントと電極とを接合する接合部分のみに前記ヒューズエレメントよりも液相線温度が低い金属材からなる接合金属層をさらに設けてもよい。前記接合金属層は前記ヒューズエレメントを電極に接合できればよく、前記ヒューズエレメントの厚さ(または体積ないし断面積)に比べて、より小さい膜厚(または体積ないし断面積)でよい。接合金属層としては、ヒューズエレメントを構成する合金材と構成元素が同じである合金材(すなわち、Sn-Ag-Cu合金)により構成されているのが好ましい。
本発明の一実施形態にかかる単一合金材であるヒューズエレメントと、絶縁基板上の各電極とを接合する方法の例について説明する。なおヒューズエレメントと各電極との接合方法は、これらに限定されるものではない。
例えばヒューズエレメントと各電極とは、リフロー炉に通すことで、液相化した金属層、はんだペースト又ははんだレベラーにより互いに接合させてよい。この場合、リフロー炉のピーク温度は220℃~240℃であるのが好ましい。
またヒューズエレメントと各電極とは、超音波ホーンを利用した超音波接合、半導体レーザ、グリーンレーザ、YAGレーザ又はUVレーザを利用したレーザ接合、抵抗溶接、又は導電性接着剤により接合されてもよい。
また溶融状態のヒューズエレメントを、ディスペンサを用いて電極上に射出又は滴下することで、ヒューズエレメントと各電極とを接合してもよい。
また、メタルマスク印刷を用いて、ペーストを電極上に印刷したのち、リフロー炉に通すことで、ヒューズエレメントを形成してもよい。
本発明の一実施形態に係わるヒューズエレメントは、環境や人体への影響が軽微な低電気抵抗の単一合金からなり、数回のリフローはんだ付けに耐え、リフロー後も同ヒューズエレメントの変形を防止でき、以ってヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスの流失を防止しフラックスを保持する。
本発明に係る実施例1の保護素子10は、図1に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板11と、絶縁基板11に設けた銀合金製の第1電極12および第2電極13と、少なくとも第1電極12および第2電極13の間を電気接続したヒューズエレメント16と、ヒューズエレメント16の溶断動作を補助するフラックスを備え、前記ヒューズエレメント16は、フラックス(図示せず)を表面に塗布したBal.Sn-30Ag-10Cu(数値は質量%、Bal.は残部)の3元合金の平板で構成されたことを特徴とする。前記ヒューズエレメント16には、必要に応じてヒューズエレメント16を絶縁基板11に設けた第1電極12および第2電極13にはんだ接合する目的ため、ヒューズエレメント16を接合する第1電極12および第2電極13の電極面と対向する側のヒューズエレメント平面の一部または全部に、接合金属層(図示せず)を設けてもよい。この接合金属層は、その溶融温度がヒューズエレメントより低い半田合金のBal.Sn-3.0Ag-0.5Cu(数値は質量%、Bal.は残部)からなる。保護素子10には、ヒューズエレメント16とフラックスとを覆って絶縁基板11に固着した液晶ポリマー製のキャップ状蓋体100が取り付けられている。第1電極12および第2電極13は、外部部品と接続するために絶縁基板11を挟んで反対面に設けられたパッド電極110にスルーホールで接続されている。
本発明に係る実施例2の保護素子20は、図2に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板21と、絶縁基板21に設けた銀合金製の第1電極21および第2電極23と、絶縁基板21に設けられ必要なときにヒューズを動作できるように通電により発熱する抵抗体からなる発熱素子24と、発熱素子24に通電するために設けた銀合金製の通電電極25と、第1電極22ならびに第2電極23および通電電極25の間を電気接続し、かつ発熱素子24の設置面とは異なる基板面に設けたヒューズエレメント26と、ヒューズエレメント26の溶断動作を補助するフラックスを備え、ヒューズエレメント26は、フラックス(図示せず)を表面に塗布したBal.Sn-30Ag-10Cu(数値は質量%、Bal.は残部)の3元合金の平板で構成されたことを特徴とする。保護素子20には、ヒューズエレメント26とフラックスとを覆って絶縁基板21に固着した液晶ポリマー製のキャップ状蓋体200が取り付けられている。第1電極22ならびに第2電極23および通電電極25は、外部部品と接続するために絶縁基板21を挟んで反対側に設けられたパッド電極210にスルーホールで接続されている。
本発明に係る実施例3の保護素子30は、図3に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板31と、絶縁基板31に設けた銀合金製の第1電極32および第2電極33と、絶縁基板31に設けられ必要なときにヒューズを動作できるように通電により発熱する抵抗体からなる発熱素子34と、発熱素子34に通電するために設けた銀合金製の通電電極35と、第1電極32ならびに第2電極33および通電電極35の間を電気接続し、かつ発熱素子34の設置面とは異なる基板面に設けたヒューズエレメント36と、ヒューズエレメント36の溶断動作を補助するフラックスを備え、ヒューズエレメント36は、フラックス(図示せず)を表面に塗布したBal.Sn-20Ag-2Cu(数値は質量%、Bal.は残部)の3元合金の平板で構成され、第1電極32ならびに第2電極33および通電電極35と対向した前記平板の平面にヒューズエレメント36よりも液相線温度が低く、かつ厚みがより薄いはんだ合金のBal.Sn-3.0Ag-0.5Cu(数値は質量%、Bal.は残部)からなる接合金属層37をクラッドでさらに設け、この接合金属層37を挟んで第1電極32ならびに第2電極33および通電電極35の間を電気接続したことを特徴とする。保護素子30には、ヒューズエレメント36とフラックスとを覆って絶縁基板31に固着した液晶ポリマー製のキャップ状蓋体300が取り付けられている。第1電極32ならびに第2電極33および通電電極35は、外部部品と接続するために絶縁基板31を挟んで反対側に設けられたパッド電極310にスルーホールで接続されている。
本発明に係る実施例4の保護素子40は、図4に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板41と、絶縁基板41に設けた銀合金製の第1電極42および第2電極43と、絶縁基板41に設けられ必要なときにヒューズを動作できるように通電により発熱する抵抗体からなる発熱素子44と、発熱素子44に通電するために設けた銀合金製の通電電極45と、第1電極42ならびに第2電極43および通電電極45の間を電気接続し、かつ発熱素子44の設置面とは異なる基板面に設けたヒューズエレメント46と、ヒューズエレメント46の溶断動作を補助するフラックスを備え、ヒューズエレメント46は、フラックス(図示せず)を表面に塗布したBal.Sn-20Ag-10Cu(数値は質量%、Bal.は残部)の3元合金の平板で構成され、第1電極42ならびに第2電極43および通電電極45との各接合面にヒューズエレメント46よりも液相線温度が低いはんだ合金のBal.Sn-3.0Ag-0.5Cu(数値は質量%、Bal.は残部)からなる接合用半田合金47層をさらに設け、接合金属層47を挟んで第1電極42ならびに第2電極43および通電電極45の間を電気接続したことを特徴とする。保護素子40には、ヒューズエレメント46とフラックスとを覆って絶縁基板41に固着した液晶ポリマー製のキャップ状蓋体400が取り付けられている。第1電極42ならびに第2電極43および通電電極45は、外部部品と接続するために絶縁基板41を挟んで反対側に設けられたパッド電極410にスルーホールで接続されている。
本発明に係る実施例5の保護素子50は、図5に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板51と、絶縁基板51に設けた銀合金製の第1電極52および第2電極53と、絶縁基板51に設けられ必要なときにヒューズを動作できるように通電により発熱する抵抗体からなる発熱素子54と、発熱素子54に通電するために設けた銀合金製の通電電極55と、第1電極52ならびに第2電極53および通電電極55の間を電気接続し、かつ発熱素子54の設置面と同じ基板面に設けたヒューズエレメント56とを備え、ヒューズエレメント56は、フラックス(図示せず)を表面に塗布したBal.Sn-30Ag-10Cu(数値は質量%、Bal.は残部)の3元合金の平板で構成されたことを特徴とする。保護素子50には、ヒューズエレメント56とフラックスとを覆って絶縁基板51に固着した液晶ポリマー製のキャップ状蓋体500が取り付けられている。第1電極52ならびに第2電極53および通電電極55は、外部部品と接続するために絶縁基板51を挟んで反対側に設けられたパッド電極510にスルーホールで接続されている。
本発明に係る実施例6の保護素子60は、図6に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板61と、絶縁基板61に設けた銀合金製の第1電極62および第2電極63と、絶縁基板61に設けられ必要なときにヒューズを動作できるように通電により発熱する抵抗体からなる発熱素子64と、発熱素子64に通電するために設けた銀合金製の通電電極65と、第1電極62ならびに第2電極63および通電電極65の間を電気接続し、かつ発熱素子64の設置面と同じ基板面に設けたヒューズエレメント66とを備え、ヒューズエレメント66は、フラックス(図示せず)を表面に塗布したBal.Sn-20Ag-2Cu(数値は質量%、Bal.は残部)の3元合金の平板で構成され、第1電極62ならびに第2電極63および通電電極65と対向した前記平板の平面にヒューズエレメント66よりも液相線温度が低く、かつ厚みがより薄いはんだ合金のBal.Sn-3.0Ag-0.5Cu(数値は質量%、Bal.は残部)からなる接合金属層67をクラッドでさらに設け、接合金属層67を挟んで第1電極62ならびに第2電極63および通電電極65の間を電気接続したことを特徴とする。保護素子60には、ヒューズエレメント66とフラックスとを覆って絶縁基板61に固着した液晶ポリマー製のキャップ状蓋体600が取り付けられている。第1電極62ならびに第2電極63および通電電極65は、外部部品と接続するために絶縁基板61を挟んで反対側に設けられたパッド電極610にスルーホールで接続されている。
本発明に係る実施例7の保護素子70は、図7に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板71と、絶縁基板71に設けた銀合金製の第1電極72および第2電極73と、絶縁基板71に設けられ必要なときにヒューズを動作できるように通電により発熱する抵抗体からなる発熱素子74と、発熱素子74に通電するために設けた銀合金製の通電電極75と、第1電極72ならびに第2電極73および通電電極75の間を電気接続し、かつ発熱素子74の設置面と同じ基板面に設けたヒューズエレメント76とを備え、ヒューズエレメント76は、フラックス(図示せず)を表面に塗布したBal.Sn-20Ag-10Cu(数値は質量%、Bal.は残部)の3元合金の平板で構成され、第1電極72ならびに第2電極73および通電電極75との各接合面にヒューズエレメント76よりも液相線温度が低いはんだ合金のBal.Sn-3.0Ag-0.5Cu(数値は質量%、Bal.は残部)からなる接合金属層77をさらに設け、接合金属層77を挟んで第1電極72ならびに第2電極73および通電電極75の間を電気接続したことを特徴とする。保護素子70には、ヒューズエレメント76とフラックスとを覆って絶縁基板71に固着した液晶ポリマー製のキャップ状蓋体700が取り付けられている。第1電極72ならびに第2電極73および通電電極75は、外部部品と接続するために絶縁基板71を挟んで反対側に設けられたパッド電極710にスルーホールで接続されている。
また、本発明のヒューズエレメントを構成するSn-Ag-Cu系合金が、耐リフロー性に優れていることを、シミュレーションを用いた実験により確認した。具体的には、Ag含有量(20質量%、21質量%、22質量%、23質量%、24質量%、25質量%)及びCu含有量(2質量%、4質量%、6質量%、8質量%、10質量%)が異なる複数のSn-Ag-Cu系合金について、多元系状態図計算用のソフトウェアを用いて解析し、一般的なリフロー温度である260℃における固相残存率と液相線温度とを算出した。その結果を図8に示す。
図8に示すように、Ag含有量が20質量%~25質量%であり、Cu含有量が2質量%~10質量%であるSn-Ag-Cu系合金はいずれも、液相線温度が260℃よりも高く、かつ260℃における固相残存率が、0.2以上(20%以上)であり、優れた耐リフロー性を発揮できることを確認できた。特に、Ag含有量が22質量%~25質量%であり、Cu含有量が4質量%~8質量%であるSn-Ag-Cu系合金は、液相線温度が低く、かつ固相残存率も高く、特に優れた耐リフロー性を発揮することを確認できた。
本発明の電極充填材付き保護素子は、他の表面実装部品と共に被保護回路板にマウントでき、リフロー工法などで一括はんだ付け実装されて、電池パックなど2次電池の保護装置に利用できる。
保護素子10、絶縁基板11、第1電極12、第2電極13、ヒューズエレメント16、蓋体100、パッド電極110、保護素子20、絶縁基板21、第1電極22、第2電極23、発熱素子24、通電電極25、ヒューズエレメント26、蓋体200、パッド電極210、保護素子30、絶縁基板31、第1電極32、第2電極33、発熱素子34、通電電極35、ヒューズエレメント36、接合金属層37、蓋体300、パッド電極310、保護素子40、絶縁基板41、第1電極42、第2電極43、発熱素子44、通電電極45、ヒューズエレメント46、接合金属層47、蓋体400、パッド電極410、保護素子50、絶縁基板51、第1電極52、第2電極53、発熱素子54、通電電極55、ヒューズエレメント56、蓋体500、パッド電極510、保護素子60、絶縁基板61、第1電極62、第2電極63、発熱素子64、通電電極65、ヒューズエレメント66、接合金属層67、蓋体600、パッド電極610、保護素子70、絶縁基板71、第1電極72、第2電極73、発熱素子74、通電電極75、ヒューズエレメント76、接合金属層77、蓋体700、パッド電極710。

Claims (11)

  1. Sn-Ag-Cuの3元合金からなり、その銀含有量が20から30質量%、銅含有量が2から10質量%、残部がSnで構成されたことを特徴とするヒューズエレメント。
  2. 前記ヒューズエレメントは、前記ヒューズエレメントの電極と接合する面に前記ヒューズエレメントよりも液相線温度が低い金属材からなる接合金属層をさらに設けた請求項1に記載のヒューズエレメント。
  3. 前記ヒューズエレメントは、前記ヒューズエレメントの電極と接合する部分に前記ヒューズエレメントよりも液相線温度が低い金属材からなる接合金属層をさらに設け請求項1に記載のヒューズエレメント。
  4. 絶縁基板と、前記絶縁基板に設けた第1電極および第2電極と、少なくとも前記第1電極および前記第2電極の間を電気接続したヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスとを備え、前記ヒューズエレメントは、Sn-Ag-Cuの3元合金からなり、その銀含有量が20から30質量%、銅含有量が2から10質量%、残部がSnで構成されたことを特徴とする保護素子。
  5. 前記ヒューズエレメントは、平板で構成され、前記第1電極ならびに前記第2電極と対向した前記平板の平面に前記ヒューズエレメントよりも液相線温度が低い金属材からなる接合金属層をさらに設け、前記接合金属層を挟んで第1電極ならびに第2電極および通電電極の間を電気接続した請求項4に記載の保護素子。
  6. 前記ヒューズエレメントは、平板で構成され、前記第1電極ならびに第2電極および通電電極との各接合面のみに前記ヒューズエレメントよりも液相線温度が低い金属材からなる接合金属層をさらに設け、前記接合金属層を挟んで前記第1電極ならびに前記第2電極および前記通電電極の間を電気接続した請求項4に記載の保護素子。
  7. 絶縁基板と、前記絶縁基板に設けた第1電極および第2電極と、通電により発熱する発熱素子と、前記発熱素子に通電するために設けた通電電極と、前記第1電極、前記第2電極、前記通電電極の間を電気接続したヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントの溶断動作を補助するフラックスとを備え、前記ヒューズエレメントは、Sn-Ag-Cuの3元合金からなり、その銀含有量が20から30質量%、銅含有量が2から10質量%、残部がSnで構成されたことを特徴とする保護素子。
  8. 前記ヒューズエレメントは、前記発熱素子の設置面とは異なる基板面に設けた請求項7に記載の保護素子。
  9. 前記ヒューズエレメントは、前記発熱素子の設置面と同じ基板面に設けた請求項7に記載の保護素子。
  10. 前記ヒューズエレメントは、平板で構成され、前記第1電極ならびに前記第2電極および前記通電電極と対向した前記平板の平面に前記ヒューズエレメントよりも液相線温度が低い金属材からなる接合金属層をさらに設け、前記接合金属層を挟んで第1電極ならびに第2電極および通電電極の間を電気接続した請求項7ないし請求項9の何れか一つに記載の保護素子。
  11. 前記ヒューズエレメントは、平板で構成され、前記第1電極ならびに第2電極および通電電極との各接合面のみに前記ヒューズエレメントよりも液相線温度が低い金属材からなる接合金属層をさらに設け、前記接合金属層を挟んで前記第1電極ならびに前記第2電極および前記通電電極の間を電気接続した請求項7ないし請求項9の何れか一つに記載の保護素子。

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