JP2024034304A - エアバッグドアおよびインパネロアの連結構造 - Google Patents

エアバッグドアおよびインパネロアの連結構造 Download PDF

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友明 安田
Tomoaki Yasuda
亘 篠田
Wataru Shinoda
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Abstract

【課題】インパネロアの破壊を効果的に防止できる、エアバッグドアおよびインパネロアの連結構造を提供する。【解決手段】連結構造は、ニーエアバッグ30を覆って隠すエアバッグドア10と、前記エアバッグドア10と連結されるインパネロア20と、を備え、前記エアバッグドア10の上縁近傍には、上下方向に長尺な係合スリット18が形成され、前記インパネロア20は、前記係合スリット18に挿し込まれる係合アーム22と、前記係合アーム22の末端から上方に突出する係止爪24と、を備える。【選択図】図2

Description

本明細書では、ニーエアバッグを覆って隠すエアバッグドアと、インパネロアと、の連結構造を開示する。
一般に、乗員の安全性を高めるために、座席の前方かつ乗員の膝付近には、ニーエアバッグが配置されている。平常時、ニーエアバッグは、エアバッグドアにより覆って隠されている。エアバッグドアには、ティアラインが形成されており、バッグ本体が膨張して展開する際には、このティアラインに沿って、エアバッグドアが破断し、開放される。
エアバッグドアの周囲は、さらに、別のパネル材が配置されている。従来から、こうした別のパネル材と、エアバッグドアと、を連結するための技術が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、エアバッグドアと、エアバッグドアの側方に位置する隣接部材と、を連結する技術が開示されている。特許文献1では、エアバッグドアに孔を形成し、隣接部材に、孔に挿入されて嵌合される突起を設けている。
特許第5915340号公報
ここで、エアバッグドアの側部には、インパネロアと呼ばれるパネル材が配置されている。車両の種類によっては、このインパネロアが、エアバッグドアの上側まで回り込むことがある。かかる形状の場合に、インパネロアは、エアバッグドアの上縁近傍において、ニーエアバッグと連結される。ところが、こうした連結構造の場合、バッグ本体が膨張する際、インパネロアとエアバッグドアとの連結が解除されてしまうことがあった。この場合、エアバッグドア上端とインパネロアとの間に大きな隙間が形成され、当該隙間にバッグ本体の一部が入り込むことがあった。そして、この場合、バッグ本体の一部は、インパネロアの裏側で膨張を継続するため、このバッグ本体の膨張圧力を受けて、インパネロアが破壊されることがあった。
そこで、本明細書では、インパネロアの破壊を効果的に防止できる、エアバッグドアおよびインパネロアの連結構造を開示する。
本明細書で開示する連結構造は、ニーエアバッグを覆って隠すエアバッグドアと、前記エアバッグドアと連結されるインパネロアと、を備え、前記エアバッグドアの上縁近傍には、上下方向に長尺な係合スリットが形成され、前記インパネロアは、前記係合スリットに挿し込まれる係合アームと、前記係合アームの末端から上方に突出する係止爪と、を備える、ことを特徴とする。
この場合、前記インパネロアは、さらに、前記係合アームに取り付けられ、前記係合アームとともに前記係合スリットに挿し込まれて前記係合スリットに係合する係合クリップを備えてもよい。
また、前記エアバッグドアは、車内に露出する本体部と、本体部の周縁から外側に張り出すフランジ部と、を有し、前記係合スリットは、前記フランジ部に形成され、前記インパネロアは、前記フランジ部を車室内側から覆っており、前記係合アームは、前記インパネロアの裏面から車両前方に延びていてもよい。
本明細書で開示する連結構造によれば、バッグ本体が膨張しても、エアバッグドアとインパネロアとの連結が維持できる。その結果、バッグ本体の一部がインパネロアの裏側に回り込むことを効果的に防止でき、ひいては、インパネロアの破壊を効果的に防止できる。
車室側から見たエアバッグドア周辺の模式図である。 図1のA-A断面図である。 係合アーム周辺におけるインパネロアの斜視図である。 インパネロアをエアバッグドアに連結した際の、係合アーム周辺の斜視図である。 バッグ本体の膨張展開の初期段階における連結状態を示す図である。 図5から膨張展開がさらに進行した際の連結状態を示す図である。 図6から膨張展開がさらに進行した際の連結状態を示す図である。 従来例での連結状態を示す図である。
以下、図面を参照してエアバッグドア10とインパネロア20との連結構造を説明する。なお、以下で説明するニーエアバッグ30は、車両の運転席に着座する乗員を保護対象としている。以下の説明における前後左右上下は、いずれも、この乗員から見ての前後左右上下を示している。また、以下の各図において、「Fr」、「Up」、「Rh」は、それぞれ、車両前方、車両上方、車両右側方を示している。
図1は、車室側から見たエアバッグドア10周辺の模式図である。また、図2は、図1のA-A断面図である。図1に示すように、乗員の前方には、ステアリングホイール50が配置されている。ステアリングホイール50の裏側にはステアリングシャフト(図示せず)が接続されている。ステアリングシャフトは、ステアリングホイール50から前下方向に延びている。
コラムカバー52は、ステアリングシャフトの周囲を覆うように設置されている。このコラムカバー52の下端近傍には、エアバッグドア10が連結されている。図2に示す通り、エアバッグドア10の前側には、ニーエアバッグ30が配置されている。したがって、エアバッグドア10は、ニーエアバッグ30を覆って隠すパネル材であると言える。
ニーエアバッグ30は、車両衝突時に、乗員の膝付近において膨張展開することで、乗員の動きを規制し、乗員を保護するエアバッグである。このニーエアバッグ30は、バッグ本体32と、インフレータ33と、保持ブラケット34と、を有する。インフレータ33は、衝撃感知センサが衝撃を感知した場合、多量のガスを発生させ、バッグ本体32へ供給する。バッグ本体32は、平常時には折りたたまれた状態で収容されているが、インフレータ33からガスの供給を受けると、膨張し、展開する。保持ブラケット34は、インフレータ33およびバッグ本体32を保持する。かかる保持ブラケット34は、車両の骨格部材等(図示せず)に取り付けられている。
図1に示す通り、エアバッグドア10には、略H状のティアライン16が形成されている。ティアライン16は、膨張するバッグ本体32から圧力を受けた際に、優先的に破断するように脆弱に構成されたラインである。かかるティアライン16は、例えば、周辺より局所的に厚みを小さくして構成される溝線である。エアバッグドア10がティアライン16に沿って破断することで、エアバッグドア10に大きな開口が形成される。バッグ本体32が膨張展開する際、バッグ本体32は、この開口を通じて、車室側に進出する。開口から車室内に進出したバッグ本体32は、図7、図8に示すように、上方かつ後方に向かって膨らんでいく。
エアバッグドア10は、車室に露出する本体部12と、本体部12の周縁から外側に張り出すフランジ部14と、を有する。図2に示す通り、フランジ部14と本体部12との間には、段差があり、フランジ部14は、本体部12より、車両前方(乗員からみて奥側)に位置している。そして、乗員からみてフランジ部14の手前側には、インパネロア20が、重ねられる。
インパネロア20は、インスツルメントパネルの一部を構成するパネル材である。図1に示す通り、本例において、インパネロア20は、エアバッグドア10の左右両側に一つずつ設けられている。各インパネロア20は、エアバッグドア10の側方から上方に回り込むような形状であり、全体としては、上下逆にしたL字のような形状である。したがって、インパネロア20の一部は、エアバッグドア10の上側に隣接している。
かかるインパネロア20の組み付けは、エアバッグドア10の組み付けの後に行われる。具体的には、作業者は、エアバッグドア10をコラムカバー52に連結した後、インパネロア20をエアバッグドア10に連結する。
インパネロア20とエアバッグドア10とを連結するために、図2に示すように、インパネロア20のうち、エアバッグドア10の上縁と隣接する部位には、係合アーム22が設けられている。この係合アーム22について、図2~図4を参照して説明する。
図3、図4は、係合アーム22周辺の斜視図である。なお、図3では、係合アーム22の形状を見やすくするために、エアバッグドア10の図示を省略している。図2、図3に示す通り、係合アーム22は、インパネロア20の裏面から車両前方に向かって突出する部材である。係合アーム22は、その板厚が左右方向と略平行になる姿勢で、インパネロア20から突出している。
係合アーム22の途中には、係合クリップ26が、取り付けられている。係合クリップ26は、段差を形成するカエシ26aを有している。このカエシ26aは、左右方向に弾性変形可能である。この係合クリップ26は、係合アーム22とともに、後述する係合スリット18に挿し込まれる。係合クリップ26を係合スリット18に挿し込むことで、インパネロア20のエアバッグドア10に対する左右方向の動きが規制される。また、係合クリップ26を係合スリット18に挿し込むと、係合クリップ26のカエシ26aが、係合スリット18の周縁に引っ掛かる。これにより、インパネロア20がエアバッグドア10から離脱する動き、すなわち、インパネロア20がエアバッグドア10に対して車両後方(車室側)に移動する動きが規制される。
なお、係合クリップ26は、係合アーム22とは別体であり、係合クリップ26は、係合アーム22に後付けされる。係合アーム22には、この係合クリップ26の後付け作業を容易にするために、作業用開口28が形成されている。
係合アーム22の先端には、上方に向かって突出する係止爪24が設けられている。係止爪24は、係合アーム22の上面から略垂直上側に立ち上がる辺を有しており、係止爪24全体としては、側方視で略直角三角形状である。かかる係止爪24は、バッグ本体32が膨張展開する際、インパネロア20の離脱を防止するために設けられているが、これについては後述する。
エアバッグドア10のフランジ部14のうち、係合アーム22に対応する箇所には、係合スリット18が形成されている。係合スリット18は、図4に示すとおり、上下方向に長尺な長孔である。この係合スリット18の左右寸法は、係合アーム22の左右寸法(すなわち係合アーム22の板厚)より僅かに大きく、無負荷状態における係合クリップ26のカエシ26aの左右寸法より小さい。また、係合スリット18の上下寸法は、係止爪24を含む係合アーム22全体の上下寸法より大きい。さらに、係合スリット18は、その下端が、係合アーム22の下端とほぼ同じとなる位置に形成されている。そのため、インパネロア20をエアバッグドア10に連結した際、係合アーム22は、図4に示すとおり、係合スリット18の下部に位置している。
次に、係合アーム22に係止爪24を設ける理由について、従来例と比較して説明する。図5~図7は、バッグ本体32が膨張展開する際の様子を示す図である。また、図8は、バッグ本体32が膨張展開する際における、従来例のインパネロア20*の挙動を説明する図である。なお、図5~図8において、二点鎖線は、平常時(すなわちバッグ本体32が膨張展開する前)におけるエアバッグドア10およびインパネロア20の形状を示している。図8に示す通り、従来例のインパネロア20*は、係合アーム22の先端に、係止爪24を有さない点で、本例のインパネロア20と相違する。
バッグ本体32が膨張展開する初期段階における挙動は、本例および従来例のいずれでも同じである。すなわち、バッグ本体32の膨張が開始されると、エアバッグドア10の中央付近が車室側に膨らむように変形する。この変形に伴い、エアバッグドア10の左右端部は、図5に示すように、下方に移動する。
続いて、バッグ本体32がさらに膨張すると、図6に示す通り、エアバッグドア10が、その上端が車室側に進出するように、車室側に倒れ込む。これに伴い、エアバッグドア10と連結されたインパネロア20も、その下部が車室側に進出するように、傾く。
さらに、バッグ本体32が膨張すると、図7、図8に示すとおり、エアバッグドア10が、ティアライン16に沿って破断する。この破断の反動を受けて、エアバッグドア10の上端は、車両前方側に大きく傾く。このとき、エアバッグドア10が受ける反動は、非常に勢いが強いため、係合スリット18は、係合クリップ26を乗り越え、フランジ部14は、係合クリップ26より車両前方側へと移動する。
ここで、従来例のインパネロア20*のように、係合アーム22の先端に係止爪24が存在しない場合、フランジ部14の前方移動に伴い、係合アーム22が、係合スリット18から完全に抜け出る。その結果、エアバッグドア10上端およびインパネロア20*下端が、車両前後方向に大きく離れ、両者の間には、大きな隙間が形成される。この場合、膨張過程のバッグ本体32の一部が当該隙間に入り込むおそれがあった。そして、バッグ本体32の一部がインパネロア20*の裏側で膨張し続けることで、インパネロア20が、当該バッグ本体32の一部に押圧されて破壊されるおそれがあった。
一方、本例のインパネロア20の場合、上述したとおり、また、図7に示すとおり、係合アーム22の先端に、上向きに突出する係止爪24が形成されている。この係止爪24は、図7に示すとおり、エアバッグドア10の上部が車両前方に大きく傾いた際、係合スリット18の上縁に引っ掛かる。その結果、エアバッグドア10が前側に大きく傾いたとしても、係合アーム22が係合スリット18から離脱することが効果的に防止される。そして、これにより、エアバッグドア10上端と、インパネロア20の下端と、の隙間が過度に広がることを効果的に防止できる。結果として、バッグ本体32の一部がインパネロア20の裏側に回り込むこと、ひいては、インパネロア20が破壊されることを効果的に防止できる。
以上の説明から明らかな通り、係合アーム22の先端に上向きの係止爪24を設けることで、バッグ本体32の膨張展開時にインパネロア20が破壊されることを効果的に防止できる。ここで、これまでの説明で明らかな通り、本例において、係止爪24は、係合クリップ26が取り付けられた係合アーム22の先端に設けられている。一方で、本例によれば、エアバッグドア10は、従来のものをそのまま利用できる。
また、これまで説明した構成は一例であり、少なくとも、インパネロア20が、係合スリット18に挿し込まれる係合アーム22と、係合アーム22の末端から上方に突出する係止爪24と、を有するのであれば、その他の構成は、変更されてもよい。例えば、上述の例では、係合アーム22に、係合クリップ26を取り付けているが、係合クリップ26は、他の箇所に設けられてもよい。例えば、係合アーム22のすぐ横側に係合クリップ26を設けてもよい。この場合、エアバッグドア10のフランジ部14のうち、係合スリット18のすぐ横側に、係合クリップ26が挿し込まれる追加のスリットを形成すればよい。また、係止爪24は、係合アーム22の係合スリット18からの離脱を防止できるのであれば、その形状は適宜変更されてもよい。また、上述の説明は、運転席用のニーエアバッグ30を例に挙げて説明したが、本明細書で開示する技術は、助手席用のニーエアバッグ30に適用されてもよい。
10 エアバッグドア、12 本体部、14 フランジ部、16 ティアライン、18 係合スリット、20,20* インパネロア、22 係合アーム、24 係止爪、26 係合クリップ、28 作業用開口、30 ニーエアバッグ、32 バッグ本体、33 インフレータ、34 保持ブラケット、50 ステアリングホイール、52 コラムカバー。

Claims (3)

  1. ニーエアバッグを覆って隠すエアバッグドアと、
    前記エアバッグドアと連結されるインパネロアと、
    を備え、
    前記エアバッグドアの上縁近傍には、上下方向に長尺な係合スリットが形成され、
    前記インパネロアは、前記係合スリットに挿し込まれる係合アームと、前記係合アームの末端から上方に突出する係止爪と、を備える、
    ことを特徴とするエアバッグドアおよびインパネロアの連結構造。
  2. 請求項1に記載のエアバッグドアおよびインパネロアの連結構造であって、
    前記インパネロアは、さらに、前記係合アームに取り付けられ、前記係合アームとともに前記係合スリットに挿し込まれて前記係合スリットに係合する係合クリップを備える、ことを特徴とするエアバッグドアおよびインパネロアの連結構造。
  3. 請求項1または2に記載のエアバッグドアおよびインパネロアの連結構造であって、
    前記エアバッグドアは、車内に露出する本体部と、本体部の周縁から外側に張り出すフランジ部と、を有し、
    前記係合スリットは、前記フランジ部に形成され、
    前記インパネロアは、前記フランジ部を車室内側から覆っており、
    前記係合アームは、前記インパネロアの裏面から車両前方に延びている、
    ことを特徴とするエアバッグドアおよびインパネロアの連結構造。
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