JP2024031129A - 非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法 - Google Patents

非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温下における直流抵抗の低減効果が優れる非水電解質蓄電素子、及びこのような非水電解質蓄電素子の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、正極活物質を含有する正極と、負極と、非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質とを備えており、上記正極活物質の表面にホウ素元素が存在し、上記正極活物質の表面における上記ホウ素元素の含有量が、上記正極活物質に含まれるリチウム元素以外の金属元素の含有量に対して0.05mol%以上1.50mol%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ等も広く普及している。
このような非水電解質蓄電素子に用いられる正極活物質として、正極活物質の表面を金属酸化物により被覆することで、内部抵抗を低減するとともに、サイクル特性を向上できる正極活物質が提案されている(特許文献1参照)。
特開2009-076279号公報
近年、非水電解質蓄電素子においては、使用環境や用途等に応じた様々な性能が求められ、例えば低温環境下での使用を考慮すると、低温下でより良好な出入力性能が発揮されることが望まれる。
本発明の目的は、低温下における直流抵抗の低減効果が優れる非水電解質蓄電素子、及びこのような非水電解質蓄電素子の製造方法を提供することである。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、正極活物質を含有する正極と、負極と、非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質とを備えており、上記正極活物質の表面にホウ素元素が存在し、上記正極活物質の表面における上記ホウ素元素の含有量が、上記正極活物質に含まれるリチウム元素以外の金属元素の含有量に対して0.05mol%以上1.50mol%以下である。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、表面にホウ素元素が存在する正極活物質を用いて正極を作製することと、非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質を準備することとを備える。
本発明の一側面によれば、低温下における直流抵抗の低減効果が優れる非水電解質蓄電素子を提供することができる。本発明の他の一側面によれば、低温下における直流抵抗の低減効果が優れる非水電解質蓄電素子を製造することができる。
図1は、非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。
初めに、本明細書によって開示される非水電解質蓄電素子の概要について説明する。
(1)本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、正極活物質を含有する正極と、負極と、非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質とを備えており、上記正極活物質の表面にホウ素元素が存在し、上記正極活物質の表面における上記ホウ素元素の含有量が、上記正極活物質に含まれるリチウム元素以外の金属元素の含有量に対して0.05mol%以上1.50mol%以下である。
上記(1)に記載の非水電解質蓄電素子は、低温下における直流抵抗の低減効果が優れる。この理由は定かではないが、以下のような理由が推測される。上記(1)に記載の非水電解質蓄電素子においては、非水電解質が添加剤としてプロピオン酸アルキルエステルを含有する。非水電解質は、低粘度のプロピオン酸アルキルエステルを含有することで、非水電解質の粘度が下がり、イオン伝導度が向上する。一方、プロピオン酸アルキルエステルは酸化分解されやすく、プロピオン酸アルキルエステルが酸化分解されると、非水電解質のイオン伝導度の向上効果が低下してしまう。これに対し、上記(1)に記載の非水電解質蓄電素子においては、正極活物質の表面にホウ素元素が存在し、正極活物質の表面におけるホウ素元素の含有量が正極活物質に含まれる金属元素の含有量に対して0.05mol%以上1.50mol%以下であることで、正極活物質表面におけるプロピオン酸アルキルエステルの酸化分解が抑制されるため、非水電解質のイオン伝導度の向上効果を維持することができる。従って、上記(1)に記載の非水電解質蓄電素子は、低温下における直流抵抗の低減効果が優れると推測される。ここで、本発明における非水電解質の「非水溶媒」とは、非水電解質における電解質塩を溶かすための実質的に水を含有しない40℃1気圧下において液体である物質であって、非水電解質における含有量が10質量%以上のものをいう。
(2)上記(1)に記載の非水電解質蓄電素子は、上記非水電解質における上記プロピオン酸アルキルエステルの含有量が0.5質量%以上6.0質量%以下であることが好ましい。上記プロピオン酸アルキルエステルの含有量が0.5質量%以上6.0質量%以下であることで、上記(2)に記載の非水電解質蓄電素子は低温下における直流抵抗をより低減できる。
(3)上記(1)又は(2)に記載の非水電解質蓄電素子は、上記プロピオン酸アルキルエステルがプロピオン酸メチルであることが好ましい。上記プロピオン酸アルキルエステルがプロピオン酸メチルであることで、非水電解質の粘度の低減効果がより高まるため、上記(3)に記載の非水電解質蓄電素子は低温下における直流抵抗をより低減できる。
(4)上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の非水電解質蓄電素子は、上記非水溶媒がフッ素化環状カーボネートを含有しないことが好ましい。上記(4)に記載の非水電解質蓄電素子は、上記非水溶媒がフッ素化環状カーボネートを含有しないことで、非水電解質の分解によるフッ化リチウム由来の高抵抗層の生成量が少なく、また、非水電解質の粘度の低減効果がより発揮できるため、低温下における直流抵抗をより低減できる。
(5)上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の非水電解質蓄電素子は、上記正極活物質の平均粒径が0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。上記正極活物質の平均粒径が上記範囲内であることで、正極活物質表面での副反応を抑えることができ、また、正極活物質層の充填密度をより高めることができるので、リチウムイオン等の電荷輸送イオンの伝導性を向上させることができる。ここで、「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
(6)本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、表面にホウ素元素が存在する正極活物質を用いて正極を作製することと、非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質を準備することとを備える。
上記(6)に記載の非水電解質蓄電素子の製造方法によれば、低温下における直流抵抗の低減効果が優れる非水電解質蓄電素子を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の構成、蓄電装置の構成、及び非水電解質蓄電素子の製造方法、並びにその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<非水電解質蓄電素子の構成>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、正極、負極及びセパレータを有する電極体と、非水電解質と、上記電極体及び非水電解質を収容する容器と、を備える。電極体は、通常、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して重ねられた積層型、又は、正極及び負極がセパレータを介して重ねられた状態で巻回された巻回型である。非水電解質は、正極、負極及びセパレータに含浸した状態で存在する。非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1970年)に準拠して測定される体積抵抗率が10-2Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H-4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、非水電解質蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径の下限としては、0.1μmが好ましく、1μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極での副反応を抑え、リチウムイオン等の電荷輸送イオンの伝導性を向上させることができる。一方、正極活物質の平均粒径の上限としては、20μmが好ましく、9μmがより好ましく、4μmがさらに好ましい。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の充填密度をより高めることができるので、正極活物質同士の導電経路を良好に維持できる。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の非水溶媒を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
当該非水電解質蓄電素子においては、上記正極活物質の表面にホウ素元素が存在することで、低粘度によりイオン伝導度の向上効果を有するプロピオン酸アルキルエステルの正極活物質表面における酸化分解が抑制できる。これにより、非水電解質のイオン伝導度の向上効果を維持することができる。従って、当該非水電解質蓄電素子は、低温下における直流抵抗の低減効果が優れる。
上記ホウ素元素は、正極活物質の一次粒子の粒界に存在することがさらに好ましい。ホウ素元素が上記一次粒子の粒界に存在することで、プロピオン酸アルキルエステルの正極活物質表面における酸化分解をより抑制できるので、当該非水電解質蓄電素子は低温下における直流抵抗をより低減できる。ホウ素元素の存在形態としては、正極活物質の表面に層を形成していてもよく、点在していてもよい。
上記正極活物質の表面における上記ホウ素元素の含有量としては、上記正極活物質に含まれるリチウム元素以外の金属元素の含有量に対して0.05mol%以上1.50mol%以下であり、0.10mol%以上1.20mol%が好ましく、0.20mol%以上1.00mol%以下がより好ましい。上記ホウ素元素の含有量が、上記正極活物質に含まれるリチウム元素以外の金属元素の含有量に対して上記下限以上上記上限以下であることで、当該非水電解質蓄電素子は、低温下における直流抵抗をより低減できる。
本発明において、上記ホウ素元素及び正極活物質に含まれる金属元素の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)により求めることができる。上記ホウ素元素及び正極活物質に含まれる金属元素の含有量の測定は、以下の手順で行う。初めに、非水電解質蓄電素子を、0.05Cの電流値で通常使用時の下限電圧まで定電流放電する。ここで、通常使用時とは、当該非水電解質蓄電素子について推奨され、又は指定される放電条件を採用して当該非水電解質蓄電素子を使用する場合をいう。次に、非水電解質蓄電素子を解体し、完全放電状態とした正極から、正極活物質を採取する。そして、採取した正極活物質をマイクロ波分解法により、正極活物質に含まれる金属元素及びホウ素元素を溶解可能な酸に正極活物質を全溶解させる。次に、この溶液を純水で一定量に希釈し、測定溶液とする。そして、マルチ型ICP発光分光分析装置ICPE-9820(島津製作所社製)を用い、ICP発光分光分析により上記測定溶液のホウ素元素及び正極活物質に含まれる金属元素の濃度を測定する。得られたホウ素元素及び正極活物質に含まれる金属元素の濃度から、正極活物質中の元素含有量を定量する。なお、上記測定溶液のホウ素元素及び正極活物質に含まれる金属元素の濃度の算出においては、例えば既知の濃度のホウ素元素及び正極活物質に含まれる金属元素の溶液から検量線を作成し、上記測定溶液のホウ素元素及び正極活物質に含まれる金属元素の濃度を求める検量線法を用いることができる。なお、正極活物質の表面にホウ素元素が存在していることは、例えば、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型エックス線分析装置(SEM-EDX)、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)等で正極活物質表面を観察することにより確認することができる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解質蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層は、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、非水電解質蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電された状態において、エックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。入出力特性に優れるという観点で、天然黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電された状態においてエックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、黒鉛等の炭素材料の「放電された状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオン等の電荷輸送イオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、リチウム金属(Li)を対極として用いた半電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態である。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び分級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。負極活物質が金属Li等の金属である場合、負極活物質は、箔状であってもよい。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
(非水電解質)
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩と、添加剤としてのプロピオン酸アルキルエステルとを含有する。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。
非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
上記非水溶媒はフッ素化環状カーボネートを含有しないことが好ましい。上記非水溶媒がフッ素化環状カーボネートを含有しないことで、非水電解質の分解によるフッ化リチウム(LiF)由来の高抵抗層の生成量が少なく、また、非水電解質の粘度の低減効果をより発揮できるため、当該非水電解質蓄電素子は低温下における直流抵抗をより低減できる。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解質のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解質の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解質における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解質のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解質は、非水溶媒及び電解質塩以外に、添加剤としてプロピオン酸アルキルエステルを含有する。非水電解質が低粘度のプロピオン酸アルキルエステルを含有することで、非水電解質の粘度が下がり、イオン伝導度を向上できる。プロピオン酸アルキルエステルとしては、例えばプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等を挙げることができる。上記プロピオン酸アルキルエステルとしては、プロピオン酸メチルであることが好ましい。上記プロピオン酸アルキルエステルがプロピオン酸メチルであることで、非水電解質の粘度の低減効果がより高まるため、当該非水電解質蓄電素子は低温下における直流抵抗をより低減できる。
上記非水電解質における上記プロピオン酸アルキルエステルの含有量としては、0.5質量%以上6.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。上記プロピオン酸アルキルエステルの含有量が上記下限以上上記上限以下であることで、当該非水電解質蓄電素子は低温下における直流抵抗をより低減できるとともに、安全性をより向上できる。
非水電解質は、プロピオン酸アルキルエステル以外のその他の添加剤を含有していてもよい。上記その他の添加剤としては、例えば、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート(VC)、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム(LiDFP)、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル等が挙げられる。これらその他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解質に含まれるその他の添加剤の含有量は、その他の添加剤の合計量として、非水電解質の総量に対して0.3質量%以上9.0質量%以下であると好ましく、0.4質量%以上5.0質量%以下であるとより好ましく、0.5質量%以上6.0質量%以下であると特に好ましい。その他の添加剤の合計量として、その他の添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又は充放電サイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
非水電解質におけるホウ素元素の含有量としては0.028質量%以下が好ましく、0.012質量%以下がより好ましい。非水電解質におけるホウ素元素の含有量が、上記上限以下であることで、プロピオン酸アルキルエステルの酸化分解を効果的に抑制することができる。
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての非水電解質蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
<蓄電装置の構成>
本実施形態の非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の非水電解質蓄電素子を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)を備える蓄電装置として搭載することができる。この場合、蓄電装置に含まれる少なくとも一つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された二以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の非水電解質蓄電素子1の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本実施形態の非水電解質蓄電素子の製造方法は、表面にホウ素元素が存在する正極活物質を用いて正極を作製することと、非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質を準備することとを備える。当該非水電解質蓄電素子の製造方法によれば、低温下における直流抵抗の低減効果が優れる非水電解質蓄電素子を製造することができる。
正極を作製することは、例えば正極基材に直接又は中間層を介して、正極合剤ペーストを塗布し、乾燥させることにより行うことができる。乾燥後、必要に応じてプレス等を行ってもよい。正極合剤ペーストには、表面にホウ素元素が存在する正極活物質、及び任意成分である導電剤、バインダ等、正極活物質層を構成する各成分が含まれる。正極合剤ペーストには、通常さらに分散媒が含まれる。当該製造方法において準備される正極の具体的及び好適形態は、上記した当該非水電解質蓄電素子が備える正極と同様である。正極活物質の表面にホウ素元素を存在させる方法としては、例えばホウ酸(HBO)水溶液に正極活物質を混合して懸濁溶液を作製した後、上記懸濁溶液を乾燥して熱処理する方法が挙げられる。上記熱処理温度としては、例えば200℃から500℃が好ましい。
非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質を準備することは、非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質を調製することであってよい。非水電解質を調製することは、非水電解質を構成する各成分を混合することにより行うことができる。すなわち、例えば非水溶媒に、プロピオン酸アルキルエステル及び電解質塩等の成分を溶解させることにより、非水電解質が得られる。なお、非水電解質は、調製すること以外の方法によって準備してもよい。当該製造方法において準備される非水電解質の具体的及び好適形態は、上記した当該非水電解質蓄電素子が備える非水電解質と同様である。
当該製造方法は、通常、さらに負極を準備することを備える。さらに当該製造方法は、例えば、セパレータを介して正極及び負極を重ねる又は巻回することにより電極体を形成することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することと等を備えていてもよい。
非水電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、非水電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
<その他の実施形態>
尚、本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3を準備した。正極活物質の平均粒径は3μmであった。ホウ素元素は、ホウ酸(HBO)水溶液に正極活物質を混合して懸濁溶液を作製した後、上記懸濁溶液を乾燥して熱処理することで、正極活物質の表面に被覆させた。正極活物質の表面におけるホウ素元素の含有量は、上記正極活物質に含まれるリチウム元素以外の金属元素の含有量に対して0.50mol%であった。
次に、正極活物質、導電剤であるアセチレンブラック(AB)、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)及び分散媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を用いて正極合剤ペーストを調製した。なお、正極活物質、導電剤及びバインダの質量比率は93.0:4.5:2.5(固形分換算)とした。正極基材としてのアルミニウム箔の両面に正極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、正極を得た。正極活物質層の単位面積当たりの質量は8.9mg/cmであった。なお、正極活物質層の単位面積当たりの質量は、正極基材の両面にそれぞれ設けた2層の合計の値であり、負極活物質層についても同様である。
(負極の作製)
負極活物質として、黒鉛を準備した。上記負極活物質、バインダであるスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び分散媒である水を用いて負極合剤ペーストを調製した。なお、負極活物質、バインダ及び増粘剤の質量比率は98.0:1.0:1.0(固形分換算)とした。負極基材としての銅箔の両面に負極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、負極を得た。負極活物質層の単位面積当たりの質量は5.8mg/cmであった。
(非水電解質)
エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を30:35:35の体積比率で混合した非水溶媒に、電解質塩として1.2mol/dmの濃度でLiPFを溶解させることにより、非水溶液を作製した。さらに、添加剤のプロピオン酸アルキルエステルとしてプロピオン酸メチルを3.0質量%、その他の添加剤としてビニレンカーボネートを0.5質量%、ジフルオロリン酸リチウムを1.0質量%、リチウムビス(オキサレート)ボレートを0.2質量%の含有量でそれぞれ添加することにより非水電解質を調製した。
(セパレータ)
セパレータには、ポリオレフィン製微多孔膜を用いた。
(非水電解質蓄電素子の組み立て)
上記正極と負極とセパレータとを用いて巻回型の電極体を得た。電極体を容器に収納し、非水電解質を注入して封口し、実施例1の非水電解質蓄電素子を得た。
[実施例2]
正極活物質の表面に被覆させるホウ素元素の含有量を表1に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の非水電解質蓄電素子を得た。
[比較例1]
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3を表面にホウ素元素を被覆させずにそのまま用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の非水電解質蓄電素子を得た。
[低温下における直流抵抗評価の基準試料の作製]
下記の低温下における直流抵抗評価における基準試料として、実施例1、実施例2及び比較例1のそれぞれについて、非水電解質がプロピオン酸メチルを含有しない以外はそれぞれと同様にして、非水電解質蓄電素子(プロピオン酸メチル未含有試料)を作製した。
[評価]
(初期充放電)
得られた各非水電解質蓄電素子について、25℃にて、1.0Cの充電電流で4.10Vまで定電流充電を行った後、4.10Vで定電圧充電を行った。充電の終了条件は充電開始から3時間とした。10分間の休止期間を設けた後、1.0Cの放電電流で2.50Vまで定電流放電を行い、さらに10分間の休止期間を設けた。これらの充電及び放電を1サイクルとして、2サイクルの初期充放電を行った。
(低温下における直流抵抗)
各非水電解質蓄電素子について、25℃にて、1.0Cの充電電流でSOCをそれぞれ85%に調整し、65℃の恒温槽中で180日間の条件にて高温環境下で保存した。
次に、高温環境下で保存後の各非水電解質蓄電素子について、25℃の恒温槽に3時間保管した後、25℃にて、1.0Cの放電電流で2.50Vまで定電流放電を行い、10分間の休止期間を設けた後、1.0Cの充電電流で定電流充電を行い、SOCを50%に調整した。-10℃の恒温槽に3時間保管した後、-10℃にて0.2C、0.5C、又は1.0Cの定電流で、それぞれ30秒間放電した。各放電終了後には、0.2Cの電流で定電流充電を行い、SOCを50%にした。各放電における電流と放電開始後10秒目の電圧との関係をプロットし、3点のプロットから得られた直線の傾きから各非水電解質蓄電素子の高温環境下で保存後における低温下における直流抵抗[mΩ]を求めた。また、実施例1、実施例2及び比較例1のそれぞれのプロピオン酸メチル未含有試料についても、同様の手順で低温下における直流抵抗を求めた。
そして、上記各非水電解質蓄電素子の低温下における直流抵抗について、それぞれのプロピオン酸メチル未含有試料を100とした場合の相対比率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2024031129000001
表1に示されるように、非水電解質がプロピオン酸アルキルエステルを含有し、正極活物質の表面にホウ素元素が存在し、正極活物質の表面におけるホウ素元素の含有量が正極活物質に含まれるリチウム元素以外の金属元素の含有量に対して0.05mol%以上1.50mol%以下である実施例1及び実施例2は、それぞれにおいて非水電解質がプロピオン酸メチルを含有しない場合と比較すると、低温下における直流抵抗が顕著に低減されていた。
一方、正極活物質の表面がホウ素元素により被覆されていない比較例1は、非水電解質がプロピオン酸メチルを含有すると、非水電解質がプロピオン酸メチルを含有しない場合と比較して低温下における直流抵抗が増加していた。
なお、比較例1について、初期充放電後に正極活物質に含まれるホウ素元素の含有量をICP発光分光分析により測定したところ、検出限界である0.02mol%未満であった。このことから、非水電解質がその他の添加剤として0.2質量%のリチウムビス(オキサレート)ボレートを含有する場合においては、正極活物質の表面にリチウムビス(オキサレート)ボレート由来のホウ素元素がほぼ存在しないと考えられる。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等の電源として使用される非水電解質蓄電素子等に適用できる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (6)

  1. 正極活物質を含有する正極と、
    負極と、
    非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質と
    を備えており、
    上記正極活物質の表面にホウ素元素が存在し、
    上記正極活物質の表面における上記ホウ素元素の含有量が、上記正極活物質に含まれるリチウム元素以外の金属元素の含有量に対して0.05mol%以上1.50mol%以下である非水電解質蓄電素子。
  2. 上記非水電解質における上記プロピオン酸アルキルエステルの含有量が0.5質量%以上6.0質量%以下である請求項1に記載の非水電解質蓄電素子。
  3. 上記プロピオン酸アルキルエステルがプロピオン酸メチルである請求項1又は請求項2に記載の非水電解質蓄電素子。
  4. 上記非水溶媒がフッ素化環状カーボネートを含有しない請求項1又は請求項2に記載の非水電解質蓄電素子。
  5. 上記正極活物質の平均粒径が0.1μm以上20μm以下である請求項1又は請求項2に記載の非水電解質蓄電素子。
  6. 表面にホウ素元素が存在する正極活物質を用いて正極を作製することと、
    非水溶媒とプロピオン酸アルキルエステルとを含有する非水電解質を準備することと
    を備える非水電解質蓄電素子の製造方法。
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