JP2024030716A - フッ素含有炭素粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶媒中における分散安定性に優れており、非水電解質二次電池の放電容量の増大に貢献する炭素粒子およびその製造方法、炭素粒子の分散安定性に優れている前記炭素粒子の有機溶媒分散体、前記炭素粒子を含有する非水電解質二次電池用電極、ならびに前記非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池を提供する。【解決手段】フッ素原子および炭素粒子を有するフッ素含有炭素粒子であって、前記炭素粒子の表面に前記炭素粒子の炭素原子と結合しているフッ素原子が存在しており、前記炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素含有炭素粒子に関する。さらに詳しくは、本発明は、フッ素含有炭素粒子およびその製造方法、当該フッ素含有炭素粒子を含有する有機溶媒分散体、当該フッ素含有炭素粒子を含有する非水電解質二次電池用電極、ならびに当該非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池に使用される非水電解質二次電池用電極には、一般に集電体の表面に電極合材層が形成されている電極が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
前記電極合材層は、活物質、導電剤、結着剤および有機溶媒を含有するペーストを集電体の一方表面に塗布し、乾燥させることによって形成されており、導電剤としてカーボンブラックに代表される炭素材料が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、前記炭素材料は、ペースト中での分散安定性、換言すれば有機溶媒中におけるに分散安定性に劣ることから、当該炭素材料の分散安定性の向上が望まれている。また、前記炭素材料を含有する電極合材層を有する電極が使用されている非水電解質二次電池には放電容量の増大が望まれている。
特開2017-183256号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、有機溶媒中における分散安定性に優れており、非水電解質二次電池の放電容量の増大に貢献する炭素粒子およびその製造方法、炭素粒子の分散安定性に優れている前記炭素粒子の有機溶媒分散体、前記炭素粒子を含有する非水電解質二次電池用電極、ならびに前記非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
本発明は、
(1) フッ素原子および炭素粒子を有するフッ素含有炭素粒子であって、前記炭素粒子の表面に前記炭素粒子の炭素原子と結合しているフッ素原子が存在しており、前記炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%であることを特徴とするフッ素含有炭素粒子、
(2) 前記(1)に記載のフッ素含有炭素粒子を製造する方法であって、120kPa以下の絶対圧下で炭素粒子とフッ素ガスとを炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%となるまで接触させることを特徴とするフッ素含有炭素粒子の製造方法、
(3) フッ素含有炭素粒子および有機溶媒を含有するフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体であって、前記フッ素含有炭素粒子として前記(1)に記載のフッ素含有炭素粒子が有機溶媒中で分散されていることを特徴とするフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体、
(4) 集電体の表面に電極合材層が形成されてなる電極であって、前記電極合材層が前記(1)に記載のフッ素含有炭素粒子を含有する電極合材層であることを特徴とする非水電解質二次電池用電極、および
(5) 非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池であって、前記非水電解質二次電池用電極として前記(4)に記載の非水電解質二次電池用電極が用いられていることを特徴とする非水電解質二次電池
に関する。
本発明によれば、有機溶媒中における分散安定性に優れており、非水電解質二次電池の放電容量の増大に貢献する炭素粒子およびその製造方法、炭素粒子の分散安定性に優れている前記炭素粒子の有機溶媒分散体、前記炭素粒子を含有する非水電解質二次電池用電極、ならびに前記非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池が提供される。
(A)は各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子および比較例1のアセチレンブラック粒子のC1s結合エネルギー強度の測定結果を示すグラフであり、(B)は各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子および比較例1のアセチレンブラック粒子のF1s結合エネルギー強度の測定結果を示すグラフである。 (A)は実施例1で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子、実施例3で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子または比較例1のアセチレンブラック粒子の電気化学インピーダンスの測定結果を示すグラフであり、(B)は実施例1で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子、実施例3で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子または比較例1のアセチレンブラック粒子が用いられている電極合材層の電気化学インピーダンスの測定結果を示すグラフである。 実施例1で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子、実施例3で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子または比較例1のアセチレンブラック粒子を含有する電極合材層を有する電極が使用されている電池の放電容量の測定結果を示すグラフである。 実施例2で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子または比較例1のアセチレンブラック粒子を含有する塗工液を用いてせん断速度依存性を調べた結果を示すグラフである。
(1)フッ素含有炭素粒子
本発明のフッ素含有炭素粒子は、有機溶媒、ひいては電極合材層を形成するスラリー中における分散安定性に優れており、電池の放電容量を高めるという性質を有する。したがって、本発明のフッ素含有炭素粒子は、非水電解質二次電池の電極用フッ素含有炭素粒子として好適に用いることができる。
本発明のフッ素含有炭素粒子は、フッ素原子および炭素粒子を含有するフッ素含有炭素粒子であり、前記炭素粒子の表面に前記炭素粒子の炭素原子と結合しているフッ素原子が存在しており、前記炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%であることを特徴とする。
本発明のフッ素含有炭素粒子は、例えば、120kPa以下の絶対圧下で炭素粒子とフッ素ガスとを炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%となるまで接触させることによって調製することができる。
炭素粒子としては、例えば、鱗片状黒鉛などの天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック粒子、ポリアクリロニトリルなどの有機高分子化合物の焼成体粒子、カーボンナノチューブ粒子、フラーレン粒子、ガラス状炭素粒子、活性炭粒子、コークス粒子、熱分解炭素粒子、メソカーボンマイクロビーズ、黒鉛化メソフェーズ小球体、気相成長炭素粒子、ポリ不定形炭素粒子、グラフェンナノパウダーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素粒子は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの炭素粒子のなかでは、非水電解質二次電池を作製する観点から導電性に優れている炭素粒子が好ましく、黒鉛粒子およびカーボンブラック粒子がより好ましい。
炭素粒子の平均粒子径は、特に限定されない。炭素粒子の平均粒子径は、当該炭素粒子の有機溶媒分散体において当該炭素粒子の凝集を防止し、当該有機溶媒分散体における分散安定性を向上させる観点から、10nm~30μm程度であることが好ましく、20nm~0.1μm程度であることがより好ましい。本発明において、粒子の平均粒子径は、以下の粒子の平均粒子径の測定方法に基づいて測定したときの値である。
[粒子の平均粒子径の測定方法]
溶媒として水を用い、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置〔マイクロトラック・ベル(株)製、品番:MT3300EXII〕を用いて粒子の粒度分布を測定し、当該粒度分布におけるD50(メジアン径)を当該粒子の平均粒子径とする。
炭素粒子とフッ素ガスとを接触させる方法としては、例えば、気体のフッ素化剤を用いて気相中で炭素粒子とフッ素ガスとを接触させる方法などが挙げられる。
フッ素化剤としては、例えば、フッ素(F2)ガス、三フッ化窒素ガス、三フッ化塩素ガス、三フッ化臭素ガス、五フッ化臭素ガス、七フッ化臭素ガス、二フッ化カルボニルガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのフッ素化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。フッ素化剤のなかでは、取り扱いやすさの観点から、フッ素ガス、三フッ化窒素ガス、三フッ化塩素ガス、三フッ化臭素ガス、五フッ化臭素ガスおよび七フッ化臭素ガスが好ましく、フッ素ガス、三フッ化窒素ガスおよび三フッ化塩素ガスがより好ましく、フッ素ガスがさらに好ましい。フッ素化剤は、必要により、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、キセノンガスなどの不活性ガス、四フッ化炭素ガスなどのパーフルオロ炭素化合物ガスなどの希釈ガスで希釈されていてもよい。
炭素粒子をフッ素ガスと接触させる際には、フッ素ガスが大気中に放出されることを防止する観点から、密閉式のバッチ式反応装置などの反応装置を用いることが好ましい。
反応装置を用いて炭素粒子をフッ素ガスと接触させる際には、まず反応装置内に炭素粒子を入れる。反応装置内に炭素粒子を入れた後、反応装置内に空気などの不純物ガスが存在していることから、その内部雰囲気を減圧することにより、当該不純物ガスを反応装置内から排除しておくことが好ましい。
炭素粒子をフッ素ガスと接触させる際のフッ素ガスの圧力(絶対圧)は、効率よくかつ精密に炭素粒子をフッ素化させる観点から、0.5kPa以上であることが好ましく、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体における分散安定性および操作時の安全性を高める観点から、120kPa以下である。また、炭素粒子をフッ素ガスと接触させる際のフッ素ガスの圧力(絶対圧)は、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体における分散安定性を向上させるとともに、非水電解質二次電池の放電容量を高める観点から、80kPa以下であることが好ましく、60kPa以下であることがより好ましく、40kPa以下であることがさらに好ましく、10kPa以下であることがさらに一層好ましい。
炭素粒子をフッ素ガスと接触させる際のフッ素ガスの温度は、効率よく炭素粒子をフッ素化させる観点から好ましくは0℃以上であり、操作時の安全性を高める観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは100℃以下であり、エネルギー効率を高める観点から室温であることがさらに一層好ましい。
炭素粒子をフッ素ガスと接触させるのに要する時間は、炭素粒子をフッ素ガスと接触させる際のフッ素ガスの圧力およびその温度によって異なるので一概には決定することができない。炭素粒子をフッ素ガスと接触させるのに要する時間は、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体におけるフッ素含有炭素粒子の分散安定性を向上させるとともに操作時の安全性を高める観点から、炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%となるようにするのに要する時間である。炭素粒子をフッ素ガスと接触させるのに要する時間は、特に限定されないが、通常、0.5~3時間程度である。
炭素粒子とフッ素ガスとを接触させることにより、フッ素含有炭素粒子を調製した後には、操作時の安全性を高める観点から、不活性ガスを反応装置内に導入し、反応装置内の内部雰囲気を当該不活性ガスで置換することが好ましい。不活性ガスの代表例としては、例えば、アルゴンガスなどの希ガス、窒素ガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以上の操作を行なうことにより、フッ素含有炭素粒子を得ることができる。フッ素含有炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率は、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体におけるフッ素含有炭素粒子の分散安定性を向上させるとともに、非水電解質二次電池の放電容量を高める観点から、1~40atom%、好ましくは1~35atom%、より好ましくは1~30atom%、さらに好ましくは5~20atom%、さらに一層好ましくは5~10atom%である。なお、フッ素含有炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率は、以下の実施例に記載の方法に基づいて測定したときの値であり、当該方法に用いられる光電子分光装置を用いたとき、フッ素含有炭素粒子のC1s結合エネルギー強度およびF1s結合エネルギー強度に基づいてフッ素含有炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率を容易に求めることができる。また、フッ素含有炭素粒子の表面に炭素原子と結合しているフッ素原子が存在していることは、前記光電子分光装置で確認することができる。
本発明のフッ素含有炭素粒子は、当該フッ素含有炭素粒子の表面に炭素原子と結合しているフッ素原子が存在しており、当該フッ素含有炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%であることから、当該フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体における分散安定性に優れているとともに、当該フッ素含有炭素粒子を電極の電極合材層に用いることによって非水電解質二次電池の放電容量が高められる。
したがって、本発明のフッ素含有炭素粒子は、非水電解質二次電池用電極の電極合材層の原料として用いられる有機溶媒分散体に好適に使用することができる。
(2)フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体
本発明のフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体は、フッ素含有炭素粒子および有機溶媒を含有し、フッ素含有炭素粒子として前記フッ素含有炭素粒子が有機溶媒中で分散されていることを特徴とする。本発明のフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体を長期間静置すると当該有機溶媒分散体に含まれているフッ素含有炭素粒子が沈降することがある。しかし、前記フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体に振盪、攪拌などの外的応力を加えることによってフッ素含有炭素粒子が当該有機溶媒分散体中で容易に分散する。したがって、本発明のフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体の概念には、フッ素含有炭素粒子が有機溶媒中で分散している有機溶媒分散体のみならず、フッ素含有炭素粒子が沈降している有機溶媒分散体が包含される。
本発明のフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体は、フッ素含有炭素粒子を有機溶媒中に分散させることによって容易に調製することができる。
前記有機溶媒は、フッ素含有炭素粒子の分散安定性を向上させるとともに、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体を非水電解質二次電池用活物質の原料として用いる観点から、極性有機溶媒であることが好ましい。
極性有機溶媒としては、例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性有機溶媒;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどのカーボネート;γ-ブチロラクトンなどのγ-ラクトン化合物;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのカルボン酸エステル;アセトニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテル化合物;ジオキソランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。極性有機溶媒のなかでは、フッ素含有炭素粒子を非水電解質二次電池の電極に用いる観点から、非プロトン性極性有機溶媒が好ましく、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミドおよびN,N-ジメチルアセトアミドがより好ましく、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドがさらに好ましい。
フッ素含有炭素粒子を有機溶媒中に分散させる方法には特に限定がない。フッ素含有炭素粒子を有機溶媒中に分散させる方法としては、例えば、有機溶媒の攪拌下でフッ素含有炭素粒子を当該有機溶媒に徐々に添加することによってフッ素含有炭素粒子を有機溶媒中に均一に分散させる方法などが挙げられる。フッ素含有炭素粒子を有機溶媒中に分散させる際の雰囲気は、通常、大気であるが、例えば、酸素ガス、脱水した乾燥空気、脱二酸化炭素処理を施した乾燥空気、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスなどであってもよい。フッ素含有炭素粒子を有機溶媒中に分散させる際の有機溶媒の温度および得られるフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体の温度には特に限定がなく、これらの温度は、エネルギー効率を高める観点から、室温であることが好ましい。
以上のようにしてフッ素含有炭素粒子を有機溶媒中に分散させることにより、本発明のフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体が得られる。
本発明のフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体1リットル(L)におけるフッ素含有炭素粒子の含有量(g)は、使用される有機溶媒の量を低減させる観点から、好ましくは3g/L以上、より好ましくは5g/L以上であり、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体の温度にもよるが、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体におけるフッ素含有炭素粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは40g/L以下、より好ましくは30g/L以下、さらに好ましくは20g/L以下である。
本発明のフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体は、本発明のフッ素含有炭素粒子が用いられているので、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体における有機溶媒の含有率が低くても有機溶媒分散体におけるフッ素含有炭素粒子の分散安定性に優れている。
本発明のフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体は、例えば、非水電解質二次電池用電極の原料として好適に用いることができる。
(3)非水電解質二次電池用電極
本発明の非水電解質二次電池用電極は、集電体の表面に電極合材層が形成されている電極である。本発明の非水電解質二次電池用電極の電極合材層が前記フッ素含有炭素粒子を含有していることから、本発明の非水電解質二次電池用電極は、従来の炭素粒子が用いられている非水電解質二次電池用電極と対比して放電容量が高いという利点を有する。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池用負極のいずれに用いられていてもよく、非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池用負極の双方に用いられていてもよい。
〔正極〕
正極は、集電体および電極合材層を有し、集電体の表面に電極合材層が形成されている。
集電体は、電池内で化学変化を起こしがたい電子伝導体であれば特に制限されない。集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素などをはじめ、アルミニウムまたはステンレス鋼からなるプレートの表面に炭素、ニッケル、チタンまたは銀が付着している複合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。集電体を構成する材料のなかでは、非水電解質二次電池の軽量化の観点からアルミニウムおよびアルミニウム合金が好ましい。集電体の表面は、必要により酸化されておいてもよく、凹凸形状を有していてもよい。
集電体の形状は、一般に電池に使用されている形状であればよい。集電体の形状の具体例として、箔、フィルム、シート、ネット、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維、織布、不織布などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。集電体の厚さは、特に限定されないが、通常、1~50μm程度であることが好ましい。
電極合材層は、正極活物質、前記フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体および結着剤を混合し、得られたペーストを集電体に塗布し、乾燥することによって形成することができる。電極合材層は、前記フッ素含有炭素粒子を含有しているので、フッ素化されていない当該炭素粒子と対比して、非水電解質二次電池の放電容量を高めることができる。
正極活物質の種類には、特に限定がなく、従来、非水電解質二次電池用に用いられる正極活物質を用いることができる。当該リチウムイオン二次電池用の正極活物質として、例えば、リチウムに対して4.3V以下の電圧で使用されるコバルト酸リチウムおよびニッケル酸リチウム、リチウムに対して4.4V以上の電圧で使用されるLiCoO2のCoの一部がTi、Zr、Mg、Alなどの金属元素で置換されているリチウム複合酸化物、リチウムに対して5V以上の電圧で使用される一般式:LiNixyMn2-x-y4(式中、MはCr、Fe、Co、Cu、Zn、Ti、Al、Mg、CaおよびBaからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を示し、0.4≦x≦0.6、0≦y≦0.1である)で表されるリチウム複合酸化物などが挙げられる。
正極活物質100質量部あたりのフッ素含有炭素粒子の量は、特に限定されないが、通常、0.3~20質量部程度であることが好ましく、0.5~10質量部程度であることがより好ましく、0.5~1質量部程度であることがさらに好ましい。
なお、前記フッ素含有炭素粒子には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、前記フッ素含有炭素粒子以外の他の導電剤が含まれていてもよい。前記他の導電剤は、電池内で化学変化を起こさない電子伝導性材料であればよく、特に限定されない。前記他の導電剤としては、例えば、鱗片状黒鉛などの天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属繊維などの導電性繊維;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属の粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの導電剤は、それぞれ単独で用いてもよく、本発明の目的が損なわれない範囲内で任意に2種類以上を混合して用いてもよい。
結着剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、スチレン-ブタジエンゴムなどのゴムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの結着剤は、それぞれ単独で用いてもよく、本発明の目的が損なわれない範囲内で任意に2種類以上を混合して用いてもよい。これらの結着剤のなかでは、ポリフッ化ビニリデンおよびポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
正極活物質100質量部あたりの結着剤の量は、特に限定されないが、通常、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
電極合材層は、正極活物質、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体および結着剤を混合することによって得られたペーストを集電体に塗布した後、当該ペーストが塗布された集電体を常法で乾燥させ、必要によりロールプレス法、平板プレス法などによってプレスすることにより、当該集電体上に形成させることができる。電極合材層の密度は、特に限定されないが、通常、0.1~4g/mL程度であることが好ましい。
以上のようにして非水電解質二次電池用正極を作製することができる。非水電解質二次電池用正極は、前記フッ素含有炭素粒子を含有しているので、フッ素化されていない当該炭素粒子が含有されている非水電解質二次電池用正極と対比して、非水電解質二次電池の放電容量を高めることができる。
〔負極〕
負極は、集電体および電極合材層を有し、集電体の表面に電極合材層が形成されている。集電体は、正極に用いられる集電体と同様であればよい。
負極に用いられる電極合材層の原料には、負極活物質、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体および結着剤を含有するペーストを用いることができる。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、炭素繊維、活性炭などの炭素質材料、錫酸化物、リチウムイオンを挿入または脱離しうる材料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの負極活物質は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。リチウムイオンを挿入または脱離しうる材料としては、例えば、リチウム、リチウム合金、チタニウムを含むリチウム複合酸化物、金属間化合物、炭素材料などが挙げられる。リチウム合金としては、例えば、Li-Al系合金、Li-Al-Mn系合金、Li-Al-Mg系合金、Li-Al-Sn系合金、Li-Al-In系合金、Li-Al-Cd系合金、Li-Al-Te系合金、Li-Ga系合金、Li-Cd系合金、Li-In系合金、Li-Pb系合金、Li-Bi系合金、Li-Mg系合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。金属間化合物としては、例えば、遷移金属とケイ素の化合物、遷移金属とスズの化合物などが挙げられる。
負極活物質100質量部あたりのフッ素含有炭素粒子の量は、負極活物質の種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、1~30質量部程度であることが好ましい。
なお、前記フッ素含有炭素粒子には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該フッ素含有炭素粒子以外の他の導電剤が含まれていてもよい。前記他の導電剤は、電池内で化学変化を起こさない電子伝導性材料であればよく、特に限定されない。前記他の導電剤としては、前記正極で用いることができる他の導電剤と同様のものを挙げることができる。
負極に用いられる結着剤としては、正極に用いられる導電剤と同様のものを例示することができる。負極活物質100質量部あたりの結着剤の量は、特に限定されないが、通常、1~30質量部であることが好ましい。
負極の電極合材層は、例えば、負極活物質、フッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体および結着剤を含有するペーストを集電体に塗布し、乾燥させることによって容易に形成させることができる。形成された負極の電極合材層には、必要により、プレス処理を施してもよい。負極の電極活物質層の密度は、1.0~1.9g/cm3程度であることが好ましい。
以上のようにして非水電解質二次電池用負極を作製することができる。非水電解質二次電池用負極は、前記フッ素含有炭素粒子を含有しているので、フッ素化されていない炭素粒子が含有されている場合と対比して、非水電解質二次電池の放電容量を高めることができる。
〔非水電解質二次電池〕
本発明の非水電解質二次電池は、前記非水電解質二次電池用電極を有することを特徴とする。本発明の非水電解質二次電池には、正極、負極、セパレータおよび電解質が用いられる。前記正極および/または負極には、前記非水電解質二次電池用正極および/または前記非水電解質二次電池用負極を用いることができる。
本発明の非水電解質二次電池において、負極に前記非水電解質二次電池用負極が用いられている場合、正極は、前記非水電解質二次電池用正極であってもよく、他の正極であってもよい。他の正極としては、例えば、リン酸鉄リチウム、フッ化リン酸鉄リチウム、ケイ酸鉄リチウム、ホウ酸鉄リチウムなどの化合物が活物質として使用されている正極などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の非水電解質二次電池において、正極に前記非水電解質二次電池用正極が用いられている場合、負極は、前記非水電解質二次電池用負極であってもよく、他の負極であってもよい。他の負極に用いられる負極材料としては、例えば、リチウム、リチウム合金、金属間化合物、ケイ素、ケイ素酸化物、炭素材料などのリチウムイオンを吸蔵または放出し得る化合物であればよい。これらの負極材料は、それぞれ単独で用いてもよく、本発明の目的が損なわれない範囲内で任意に組み合わせて用いてもよい。
前記リチウム合金としては、例えば、Li-Al系合金、Li-Al-Mn系合金、Li-Al-Mg系合金、Li-Al-Sn系合金、Li-Al-In系合金、Li-Al-Cd系合金、Li-Al-Te系合金、Li-Ga系合金、Li-Cd系合金、Li-In系合金、Li-Pb系合金、Li-Bi系合金、Li-Mg系合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのリチウム合金は、それぞれ単独で用いてもよく、本発明の目的が損なわれない範囲内で任意に2種類以上を組み合わせて用いてもよい。リチウム合金におけるリチウムの含有率は、10質量%以上であることが好ましい。
前記金属間化合物としては、例えば、遷移金属とケイ素との化合物、遷移金属とスズとの化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの金属間化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、本発明の目的が損なわれない範囲内で任意に2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記炭素材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、気相成長炭素系炭素繊維などの炭素繊維、コークス、熱分解炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、黒鉛化メソフェーズ小球体、気相成長炭素、ガラス状炭素、ポリ不定形炭素などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素材料は、それぞれ単独で用いてもよく、本発明の目的が損なわれない範囲内で任意に2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
セパレータは、例えば、正極と負極との間に介在させて積層体の形態で用いることができるほか、当該積層体を巻回させた渦巻き状の積層体の形態で使用することができる。
セパレータは、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス繊維などからなるシート、不織布などのイオン透過度および機械的強度が高く、絶縁性、耐有機溶媒性および疎水性を有する微多孔性薄膜であることが好ましい。セパレータの孔径は、0.1~1μm程度であることが好ましい。セパレータの厚さは、5~100μm程度であることが好ましい。また、セパレータの空孔率は、イオンの透過性などに応じて適宜決定されるが、一般的には30~80%程度であることが好ましい。
電解液は、電解質を有機溶媒に溶解させることによって得られる。有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの非環状カーボネート;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル;γ-ブチロラクトンなどのγ-ラクトン;1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタンなどの非環状エーテル;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、ジオキソラン誘導体、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、1,3-プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、本発明の目的が損なわれない範囲内で任意に2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
電解質は、非水電解質であることが好ましい。非水電解質としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO2)2、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiN(CF3SO2)(C25SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C25SO2)2、LiN(CF3SO2)(C49SO2)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの非水電解質は、それぞれ単独で用いてもよく、本発明の目的が損なわれない範囲内で任意に2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒1L(リットル)あたりの電解質の量は、特に限定されないが、好ましくは0.2~2mol、より好ましくは0.5~1.5molである。
なお、電解液には、電池特性を高める観点から、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、プロパンスルトン、2-メチルフラン、チオフェン、ピロール、アニリン、クラウンエーテル、ピリジン、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体などを溶解させてもよい。
また、電解液に不燃性を付与してもよい。不燃性は、例えば、四塩化炭素、三フッ化塩化エチレンなどの含ハロゲン有機溶媒を電解液に含有させることによって付与することができる。さらに、高温における電解液の保存安定性を向上させる観点から、電解液に炭酸ガスを吹き込んでもよい。
電解液は、通常、多孔質ポリマー、ガラスフィルタ、不織布などのセパレータに含浸させることによって用いることができる。
電池の形状としては、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられるが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。電池の形状がコイン型またはボタン型である場合、正極材料および負極材料をペレットに成形することによって用いることができる。ペレットの厚さおよび直径は、電池の用途などに応じて適宜決定すればよい。また、本発明の非水電解質二次電池は、金属を蒸着した多層ラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池(ラミネートセルまたはポーチセル)とすることもできる。
以上のようにして本発明の非水電解質二次電池が得られる。本発明の非水電解質二次電池は、例えば、携帯電話、ノート型パソコンなどのポータブル電子機器、電源システム、電気自動車、電動自転車、搬送車などの車両、各種機器の電源などの幅広い用途に使用することができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
アセチレンブラック粒子(平均一次粒子径:約40nm)0.05gをニッケル製反応容器に入れ、できるだけアセチレンブラック粒子同士の重なりが小さくなるようにして広げた後、この反応容器を150mL容のステンレス鋼(SUS316L)製反応容器内に設置し、フッ素ガス導入ラインに接続した。反応容器とフッ素ガス導入ラインとの接続部の機密性を確認した後、圧力(絶対圧)が1Pa以下となるように反応容器の内部を減圧した。
次に、反応容器内の温度を25℃に調整し、フッ素ガスを絶対圧が1.3kPaとなるまで反応容器内に導入し、1時間保持した。その後、フッ素ガスを活性アルミナで吸着除去しながら、反応容器内を排気した後、アルゴンガスを大気圧となるまで反応容器内に導入した。反応容器をフッ素ガス導入ラインから切り離し、アルゴンガス雰囲気中で反応容器を開け、フッ素含有遷移金属水酸化物粒子としてフッ素含有アセチレンブラック粒子を取り出した。前記で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子のC1s結合エネルギー強度およびF1s結合エネルギー強度の測定結果をそれぞれ図1の(A)および(B)に符号Aで示す。
なお、各実施例において、フッ素含有アセチレンブラック粒子のC1s結合エネルギー強度およびF1s結合エネルギー強度の測定方法を以下に示す。
〔結合エネルギー強度の測定方法〕
フッ素含有アセチレンブラック粒子における結合エネルギー強度は、光電子分析装置〔日本電子(株)製、品番:JPS-9010MC〕を用い、以下の「X線光電子分光分析(XPS)の測定条件」の記載に基づいて測定した。
〔X線光電子分光分析(XPS)の測定条件〕
[測定条件]
・分析対象元素:4Be~92
・X線源:Mg
・電源出力:600W(12kV、50mA)
・エネルギーアナライザー:中心起動半径:100mm、静電半球形
結合エネルギー範囲:0~1458eV
到達真空度測定:10-8Paオーダー
実施例2
アセチレンブラック粒子(平均一次粒子径:約40nm)0.05gをニッケル製反応容器に入れ、できるだけアセチレンブラック粒子同士の重なりが小さくなるようにして広げた後、この反応容器を150mL容のステンレス鋼(SUS316L)製反応容器内に設置し、フッ素ガス導入ラインに接続した。反応容器とフッ素ガス導入ラインとの接続部の機密性を確認した後、圧力が1Pa以下となるように反応容器の内部を減圧した。
次に、反応容器内の温度を25℃に調整し、フッ素ガスを絶対圧が13.3kPaとなるまでフッ素ガスを反応容器内に導入し、1時間保持した。その後、フッ素ガスを活性アルミナで吸着除去しながら、反応容器内を排気した後、アルゴンガスを大気圧となるまで反応容器内に導入した。反応容器をフッ素ガス導入ラインから切り離し、アルゴンガス雰囲気中で反応容器を開け、フッ素含有遷移金属水酸化物粒子としてフッ素含有アセチレンブラック粒子を取り出した。前記で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子のC1s結合エネルギー強度およびF1s結合エネルギー強度の測定結果をそれぞれ図1の(A)および(B)に符合Bで示す。
実施例3
アセチレンブラック粒子(平均一次粒子径:約40nm)0.05gをニッケル製反応容器に入れ、できるだけアセチレンブラック粒子同士の重なりが小さくなるようにして広げた後、この反応容器を150mL容のステンレス鋼(SUS316L)製反応容器内に設置し、フッ素ガス導入ラインに接続した。反応容器とフッ素ガス導入ラインとの接続部の機密性を確認した後、圧力が1Pa以下となるように反応容器の内部を減圧した。
次に、反応容器内の温度を25℃に調整し、フッ素ガスを絶対圧が59.7kPaとなるまでフッ素ガスを反応容器内に導入し、1時間保持した。その後、フッ素ガスを活性アルミナで吸着除去しながら、反応容器内を排気した後、アルゴンガスを大気圧となるまで反応容器内に導入した。反応容器をフッ素ガス導入ラインから切り離し、アルゴンガス雰囲気中で反応容器を開け、フッ素含有遷移金属水酸化物粒子としてフッ素含有アセチレンブラック粒子を取り出した。前記で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子のC1s結合エネルギー強度およびF1s結合エネルギー強度の測定結果をそれぞれ図1の(A)および(B)に符合Cで示す。
実施例4
アセチレンブラック粒子(平均一次粒子径:約40nm)0.05gをニッケル製反応容器に入れ、できるだけアセチレンブラック粒子同士の重なりが小さくなるようにして広げた後、この反応容器を150mL容のステンレス鋼(SUS316L)製反応容器内に設置し、フッ素ガス導入ラインに接続した。反応容器とフッ素ガス導入ラインとの接続部の機密性を確認した後、圧力が1Pa以下となるように反応容器の内部を減圧した。
次に、反応容器内の温度を25℃に調整し、フッ素ガスを絶対圧が101kPaとなるまでフッ素ガスを反応容器内に導入し、1時間保持した。その後、フッ素ガスを活性アルミナで吸着除去しながら、反応容器内を排気した後、アルゴンガスを大気圧となるまで反応容器内に導入した。反応容器をフッ素ガス導入ラインから切り離し、アルゴンガス雰囲気中で反応容器を開け、フッ素含有遷移金属水酸化物粒子としてフッ素含有アセチレンブラック粒子を取り出した。前記で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子のC1s結合エネルギー強度およびF1s結合エネルギー強度の測定結果をそれぞれ図1の(A)および(B)に符合Dで示す。
実施例5
アセチレンブラック粒子(平均一次粒子径:約40nm)0.05gをニッケル製反応容器に入れ、できるだけアセチレンブラック粒子同士の重なりが小さくなるようにして広げた後、この反応容器を150mL容のステンレス鋼(SUS316L)製反応容器内に設置し、フッ素ガス導入ラインに接続した。反応容器とフッ素ガス導入ラインとの接続部の機密性を確認した後、圧力が1Pa以下となるように反応容器の内部を減圧した。
次に、反応容器内の温度を25℃に調整し、フッ素ガスを絶対圧が0.01kPaとなるまでフッ素ガスを反応容器内に導入し、1時間保持した。その後、フッ素ガスを活性アルミナで吸着除去しながら、反応容器内を排気した後、アルゴンガスを大気圧となるまで反応容器内に導入した。反応容器をフッ素ガス導入ラインから切り離し、アルゴンガス雰囲気中で反応容器を開け、フッ素含有遷移金属水酸化物粒子としてフッ素含有アセチレンブラック粒子を取り出した。
比較例1
炭素粒子としてアセチレンブラック粒子(平均一次粒子径:約40nm)を用いた。当該アセチレンブラック粒子のC1s結合エネルギー強度およびF1s結合エネルギー強度の測定結果をそれぞれ図1の(A)および(B)に符合Xで示す。
〔フッ素の被覆率〕
各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子におけるフッ素の被覆率は、前記「(1)結合エネルギー強度」に記載の方法に基づいてフッ素含有アセチレンブラック粒子における炭素およびフッ素の結合エネルギーの強度を測定したときに測定されたC1sに基づくピークの積分面積およびF1sに基づくピークの積分面積の比率から求めた。より具体的には、以下の方法に基づいてフッ素含有アセチレンブラック粒子におけるフッ素の被覆率を求めた。
まず、フッ素含有アセチレンブラック粒子のX線光電子分光分析(XPS)によって測定されたC1sプロファイルおよびF1sのプロファイルにおいて、それぞれ284~292eVおよび683~694eVの信号強度を積分することにより、フッ素含有アセチレンブラック粒子の表面に存在する全炭素原子数に比例する値(AC1s)および当該フッ素含有アセチレンブラック粒子の表面に存在する全フッ素原子数に比例する値(AF1s)を求め、式:
[フッ素の被覆率(atom%)]
=[(AF1s/SF1s)/(AC1s/SC1s)]÷[(APTFE F1s/SPTFE F1s)/(APTFE C1s/SPTFE C1s)]
〔式中、AF1sは表面に存在する全フッ素原子数に比例する値、SF1sはF1sのプロファイルのスケールファクター、AC1sは表面に存在する全炭素原子数に比例する値、SC1sはC1sプロファイルのプロファイルのスケールファクター、APTFE F1s、SPTFE F1s、APTFE C1sおよびSPTFE C1sは、それぞれPTFE(ポリテトラフルオロカーボン)に対するAF1s、SF1s、AC1sおよびSC1sを前記X線光電子分光分析(XPS)の測定条件と同じ条件下で前記と同様にして測定することによって求められた値を示す〕
に基づいて被覆率を求めた。なお、規格化のために用いられるパーフルオロ化合物としてPTFE(ポリテトラフルオロカーボン)を用い、当該PTFEの炭素原子のすべての結合手がフッ素原子と結合しているとみなしたときの値を100atom%(標準)とした。また、スケールファクターは、結合エネルギー強度1000cpsあたりの画素数(ピクセル:px)である。フッ素含有アセチレンブラック粒子のフッ素の被覆率を表1に示す。
Figure 2024030716000002
図1(A)に示される各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子および比較例1のアセチレンブラック粒子のC1s結合エネルギー強度の測定結果、ならびに図1(B)に示される各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子および比較例1のアセチレンブラック粒子のF1s結合エネルギー強度の測定結果から、各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子には、フッ素に基づく結合エネルギー強度が観測され、炭素に基づく結合エネルギー強度が観測されていることから、フッ素原子がアセチレンブラックの炭素原子と結合していることがわかる。
次に、各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子3mgおよび比較例1のアセチレンブラック粒子3mgを室温下で大気中にてそれぞれN-メチルピロリドン5mLに添加し、均一な分散状態となるように攪拌棒で攪拌することにより、フッ素含有炭素粒子の分散体を得た。
〔分散安定性〕
前記で得られた各分散体約5mLを透明な試験管内に入れ、室温(約25℃)中で14日間静置した後、その外観を目視にて観察した。その結果、比較例1のアセチレンブラック粒子の分散体では、アセチレンブラック粒子が試験管の下部に沈降していたのに対し、各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子の分散体では、アセチレンブラック粒子が試験管の下部に沈降することなく、分散体中で均一に分散している状態が維持されていることが確認された。このことから、各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子の分散体は、いずれも有機溶媒中でフッ素含有アセチレンブラック粒子の分散状態を長時間にわたって維持するので、分散安定性に優れていることがわかる。
〔フッ素含有アセチレンブラック粒子の導電性〕
実施例1で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子、実施例3で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子または比較例1のアセチレンブラック粒子を用い、インピーダンス/ゲイン-位相アナライザ〔ソーラトン・アナリティカル(Solartron Analytical)社製、品番:1260A〕を用いて周波数0~0.1MHzの範囲でインピーダンスを測定した。その結果を図2の(A)に示す。
正極活物質(LiNi0.3Co0.3Mn0.32)とフッ素含有アセチレンブラック粒子またはアセチレンブラック粒子と結着剤(ポリフッ化ビニリデン)とを8:1:1の質量比で混合した後、得られた混合物1gに溶媒(N-メチル-2-ピロリドン)0.5mLを添加し、ボールミルで攪拌し、得られたペースト(正極材)を塗膜の厚さが約100μmとなるようにドクターブレードでアルミニウムシートに塗布した。
前記アルミニウムシートを乾燥機内に入れ、120℃の温度で1時間乾燥させた後、乾燥機から取り出した。当該アルミニウムシートから直径16mmの円形のサンプルを切り取り、当該サンプルに圧力2MPaで10分間プレスした後、当該サンプルを12時間減圧乾燥させることにより、電極を得た。
前記で得られた電極を用い、インピーダンス/ゲイン-位相アナライザ〔ソーラトン・アナリティカル(Solartron Analytical)社製、品番:1260A〕を用いて周波数0~0.1MHzの範囲で電気化学インピーダンスを測定した。その結果を図2の(B)に示す。
なお、図2において、実施例1で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子、実施例3で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子および比較例1のアセチレンブラック粒子を用いて電気化学インピーダンスを調べた結果をそれぞれ順にA、BおよびXで示す。
図2に示された結果から、アセチレンブラック粒子のフッ素化が進むとともにフッ素含有アセチレンブラック粒子の電気抵抗が増大することがわかる。
〔塗工性〕
各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子40mgまたは比較例1のアセチレンブラック粒子40mg、正極活物質(LiNi0.3Co0.3Mn0.32)320mgおよび結着剤(ポリフッ化ビニリデン)40mgの混合物に、室温下で大気中にてそれぞれN-メチルピロリドン1.5gを添加し、均一な分散状態となるようにボールミルで攪拌することにより、フッ素含有炭素粒子を含む正極合剤の分散体を得た。前記で得られた分散体をそれぞれ塗工液として用いた。前記塗工液をドクターブレードで塗膜の厚さが50μmとなるようにアルミニウム箔に塗工し、空気雰囲気70℃で60分間放置することによって乾燥させたところ、いずれの塗工液でもアルミニウム箔の一部が塗膜から露出した。
次に、前記の操作において、N-メチルピロリドンの量を1.5gから1.0gに変更したこと以外は前記と同様の操作を行なうことによって塗膜を形成させたところ、各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子が用いられている塗工液では、アルミニウム箔上に均一な塗膜を形成させることができた。これに対して、比較例1のアセチレンブラック粒子が用いられている塗工液では、その粘性が高く、塗膜の厚さのばらつきが大きいことが確認された。
以上の結果から、各実施例で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子が用いられている分散体によれば、当該分散体に使用されている有機溶媒の量を低減させても均一な塗膜を形成させることができることがわかる。
〔充放電試験〕
実施例1で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子、実施例3で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子または比較例1のアセチレンブラック粒子を用いて前記と同様にして電極を作製し、この電極を正極板として用いた。アルゴンガス雰囲気中で正極板と対極板(リチウム金属)との間にポリエチレン製の多孔膜セパレータ(厚さ:25μm、空孔率:45%)を介在させて正極板の電極層と対極板とを対向させて重ね合わせ、得られた積層体をトムセル〔有限会社日本トムセル製、商品名:TOMCELL(登録商標)〕内の所定の位置に入れた。
次に、アルゴンガス雰囲気中で、エチレンカーボネート30容量部およびジメチルカーボネート70容量部の割合で混合した溶液にLiPFを溶解させ、当該LiPFの濃度が1mol/Lである非水電解液を調製し、この非水電解液を前記トムセル内に注入し、トムセルを封止することにより、非水電解質二次電池を作製した。
非水電解質二次電池に終止電圧が4.3Vとなるまで0.1Cの定電流で充電し、次いで終止電圧が3.0Vとなるまで0.1Cで非水電解質二次電池の放電を行なった。なお、充放電サイクルに伴う放電容量変化が十分に小さくなった3サイクル目の放電容量を初期放電容量とした。放電容量の測定結果を図3に示す。
図3において、Aは実施例1で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子が用いられている電極が使用されているときの放電容量の測定結果を示すグラフであり、Bは実施例3で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子が用いられている電極が使用されているときの放電容量の測定結果を示すグラフであり、Xは比較例1のアセチレンブラック粒子が用いられている電極が使用されているときの放電容量の測定結果を示すグラフである。
図3に示された結果から、比較例1の従来のアセチレンブラック粒子を用いた場合と対比して、実施例1で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子および実施例3で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子を用いた場合には、電池の放電容量が高められることがわかる。
以上の結果から、本発明の非水電解質二次電池は、本発明のフッ素含有アセチレンブラック粒子を含有する電極が用いられていることによって放電容量が高められているので、電池性能に優れていることがわかる。
〔せん断速度依存性〕
実施例2で得られたフッ素含有アセチレンブラック粒子40mg、正極活物質(LiNi0.3Co0.3Mn0.32)320mgおよび結着剤(ポリフッ化ビニリデン)40mgの混合物に、室温下で大気中にてそれぞれN-メチルピロリドン1.5gを添加し、均一な分散状態となるようにボールミルで攪拌することにより、フッ素含有アセチレンブラック粒子を含む正極合剤の分散体を得た。前記で得られた分散体を塗工液Aとして用いた。
前記塗工液Aにおいて、フッ素含有アセチレンブラック粒子40mgの代わりに比較例1のアセチレンブラック粒子40mgを用いたこと以外は、前記と同様にしてアセチレンブラック粒子を含む正極合剤の分散体を得た。前記で得られた分散体を塗工液Bとして用いた。
前記塗工液Bにおいて、N-メチルピロリドンの量を1.5gから1.0gに変更したこと以外は、前記と同様にしてアセチレンブラック粒子を含む正極合剤の分散体を得た。前記で得られた分散体を塗工液Cとして用いた。
次に、直径が25mmの円錐状のコーンおよび平板状のプレートを有するコーンプレートを用い、前記で得られた塗工液A、塗工液Bまたは塗工液Cをコーンとプレートとの間に挟み、各塗工液のせん断速度依存性を粘弾性測定装置〔アントン・パール(Anton Paar)社製、品番:MCR302〕を用いて25℃の大気中で測定した。その結果を図4に示す。
図4に示された結果から、せん断速度が10-1・s-1のときのせん断粘度は、塗工液A~Cの順に大きくなることがわかる。また、図4に示される曲線の傾きは、せん断速度が10-2~103・s-1の範囲で塗工液Bおよび塗工液Cではほぼ同等であるのに対し、塗工液Aでは小さく、せん断粘度が約1Pa・s以下であることがわかる。このことから、フッ素含有アセチレンブラックが用いられている塗工液Aを用いることにより、分散性の高い塗工液を調製することができることがわかる。
次に、塗工液Aを調製する際に、N-メチルピロリドンの量を1.5gから1.0gに変更したこと以外は、前記と同様にしてフッ素含有アセチレンブラック粒子を含む正極合剤の分散体を得た。前記で得られた分散体を塗工液Dとして用い、前記と同様にしてせん断速度依存性を調べたところ、塗工液Dは、塗工液Bと同様の粘度を示した。
以上の結果から、フッ素含有アセチレンブラックに代表されるフッ素含有炭素粒子を用いることにより、溶媒量を低減させても塗工に適した粘度を有し、分散性に優れている塗工液を得ることができ、当該フッ素含有炭素粒子を用いて正極を作製することにより、当該正極の高性能化を図り、非水電解質二次電池の放電容量を増加させることができることがわかる。また、以上の実施例では、炭素粒子の代表例としてアセチレンブラックが用いられているが、当該アセチレンブラックの代わりに他の炭素粒子を用いた場合でも同様の効果が奏される。

Claims (5)

  1. フッ素原子および炭素粒子を有するフッ素含有炭素粒子であって、前記炭素粒子の表面に前記炭素粒子の炭素原子と結合しているフッ素原子が存在しており、前記炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%であることを特徴とするフッ素含有炭素粒子。
  2. 請求項1に記載のフッ素含有炭素粒子を製造する方法であって、120kPa以下の絶対圧下で炭素粒子とフッ素ガスとを炭素粒子の表面におけるフッ素の被覆率が1~40atom%となるまで接触させることを特徴とするフッ素含有炭素粒子の製造方法。
  3. フッ素含有炭素粒子および有機溶媒を含有するフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体であって、前記フッ素含有炭素粒子として請求項1に記載のフッ素含有炭素粒子が有機溶媒中で分散されていることを特徴とするフッ素含有炭素粒子の有機溶媒分散体。
  4. 集電体の表面に電極合材層が形成されてなる電極であって、前記電極合材層が請求項1に記載のフッ素含有炭素粒子を含有する電極合材層であることを特徴とする非水電解質二次電池用電極。
  5. 非水電解質二次電池用電極を有する非水電解質二次電池であって、前記非水電解質二次電池用電極として請求項4に記載の非水電解質二次電池用電極が用いられていることを特徴とする非水電解質二次電池。

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