JP2024028452A - セリアックスプルー病を治療するための組成物および方法 - Google Patents

セリアックスプルー病を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セリアックスプルーを治療するための組成物を提供する。【解決手段】配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドであって、(a)pH4でPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解し;(b)残基278はSerであり、残基78はGluであり、残基82はAspであり;かつ(c)残基73、102、103、104、130、165、168、169、172および179で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号67と比較してアミノ酸の変更を含んでなる。【選択図】図3

Description

本開示は、セリアックスプルー病を治療するための組成物および方法に関する。
セリアックスプルーは、「グルテン」として知られている小麦、大麦、およびライ麦製品中に見出される食事タンパク質が、遺伝的素因を有する個体の小腸内において免疫応答を喚起する、非常によく見られる疾患である。該疾患から生じる炎症は、小腸の絨毛の破壊をもたらして栄養素の吸収を妨害する可能性がある。症状は、幼児期に現われることもあればそれより後に現われる場合もあり、重症度については下痢、疲労および体重減少から腹部膨満、貧血および神経症状まで広範囲に及びうる。現時点では、食事からのグルテンの完全排除を除いてこの終生にわたる疾患の有効な治療法はない。セリアックスプルーは大部分が十分に診断されないままであるが、該疾患の米国および欧州における有病率は人口の0.5~1.0%と見積もられている。セリアック病の経口療法として適切な天然に存在する酵素を同定することは、ヒト消化管の過酷かつ酸性度の高い環境においてグルテン由来ペプチドを特異的かつ効率的に分解するための厳格な物理化学的要件ゆえに、困難である。
セリアック病の治療における酵素治療薬の役割を示す概略図。グルテンはα‐グリアジンを含む多数の糖タンパク質で構成されている。α‐グリアジン(配列番号71)の部分的なタンパク質分解は、炎症および疾患に結びつく可能性のあるPQジペプチドモチーフに富むプロテアーゼ耐性ペプチドを生じる。胃において機能し、かつ該免疫原性ペプチドを特異的に分解することができる経口酵素治療薬が加われば、この疾患の治療薬として作用する可能性がある。 KumaWTおよびKumaMaxに関するペプチド結合部位のコンピュータ計算モデル。A)PRジペプチドモチーフと複合したKumaWT。B)設計されたPQジペプチドモチーフと複合したKumaMax。活性部位内のコンピュータ計算で設計された残基にはラベルが記され、スティック表示で強調されている。モデル化されたペプチドはクマモリシン‐AS(Kumamolisin-AS)(PDB ID:1T1E)の結合型を基にしており、最終的な構造はロゼッタ分子モデリングパッケージソフト(Rosetta Molecular Modeling Suite)を使用して生成された。画像はPyMol v1.5を使用して生成された。 ペプシンまたはトリプシンとのインキュベーション後のタンパク質の安定性について示す図。安定性は、記載されたpHでペプシンまたはトリプシンの存在下または非存在下において30分間インキュベーションした後にSDS‐PAGEゲル上で観察される完全なタンパク質の相対的残存率を定量化することにより測定された。タンパク質はそれぞれ3連で測定され、エラーバーは標準偏差を表わしている。定量化はImageJ(商標)で実施された。 免疫原性のα9‐グリアジンペプチドはKumaMaxによって分解されることを示す図。A)酵素なし、SC PEP、またはKumaMax(商標)とともに50分間インキュベーションした後の、元のα9‐グリアジンペプチドのM+Hイオンの存在量を測定する反応クロマトグラム。B)KumaMax(商標)の存在下で残存しているα9‐グリアジンペプチドの比率をpH4におけるインキュベーション時間の関数として示す図。データは標準的な指数関数的減衰関数を使用してフィッティングされた。R値は0.9より大きかった。
発明の概要
第1の態様では、本発明は、配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを提供し、該ポリペプチドは、
(a)pH4でPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解し;
(b)残基278はSerであり、残基78はGluであり、残基82はAspであり;かつ
(c)残基73、102、103、104、130、165、168、169、172および179で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号67と比較してアミノ酸の変更を含んでなる。
第2の態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを提供し、該ポリペプチドは、
(a)pH4でPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解し;
(b)残基467はSerであり、残基267はGluであり、残基271はAspであり;かつ
(c)残基119、262、291、292、293、319、354、357、358、361および368で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号33と比較してアミノ酸の変更を含んでなる。
第1および第2の態様の様々な実施形態において、ポリペプチドは配列番号1または配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも85%、95%、または100%同一のアミノ酸配列を含んでなる。別の実施形態では、該ポリペプチドは配列番号2~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなる。
別の態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドであって、配列番号33と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を含んでなるポリペプチドを提供する。別の態様では、本発明は、配列番号35のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドであって、配列番号67と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を含んでなるポリペプチドを提供する。様々な実施形態において、ポリペプチドは配列番号2~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなる。
さらなる態様では、本発明は、本発明の任意の態様または実施形態のポリペプチドをコードする核酸を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の単離核酸を含んでなる核酸発現ベクターを提供する。さらなる実施形態では、本発明は、本発明の核酸発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞を提供する。別の態様では、本発明は、本発明のポリペプチド、核酸、核酸発現ベクターおよび組換え宿主細胞のうち少なくともいずれかと、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、セリアックスプルーを治療するための方法であって、セリアックスプルーに罹患している個体に、本発明の任意の実施形態のポリペプチドもしくは医薬組成物、または配列番号33もしくは配列番号67で構成されている群から選択されたアミノ酸を含んでなるポリペプチドを、投与することを含んでなる方法を提供する。
詳細な説明
引用された参照文献はすべて参照により全体が本願に援用される。本願においては、特に記載のない限り、利用される技術はいくつかの良く知られた参照文献、例えば:サムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験の手引き(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、1989年、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版社(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、「遺伝子発現技術(Gene Expression Technology)」(D.ゴッデル(D. Goeddel)編、「酵素学実験法(Methods in Enzymology)」、1991年、第185巻、米国カリフォルニア州サンディエゴ、アカデミックプレス(Academic Press))、「タンパク質精製のガイド(Guide to Protein Purification)」(M.P.ドイツァー(M.P. Deutshcer)編、「酵素学実験法(Methods in Enzymology)」、1990年、アカデミックプレス社(Academic Press, Inc.);イニス(Innis)ら、「PCRプロトコール:方法および応用のガイド(PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications)」、1990年、米国カリフォルニア州サンディエゴ、アカデミックプレス(Academic Press)、R.I.フレシュニー(R.I. Freshney)、「動物細胞の培養:基本技法の手引き(Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique)」第2版、1987年、米国ニューヨーク州ニューヨーク、Liss社(Liss, Inc.)、E.J.マレー編、「遺伝子導入および発現のプロトコール(Gene Transfer and Expression Protocols)」、p.109-128、米国ニュージャージー州クリフトン、ヒューマナ出版社(The Humana Press Inc.)、ならびに、アンビオン(Ambion)1998年カタログ、米国テキサス州オースティン、アンビオン(Ambion)、のうち任意の文献中に見出されうる。
本明細書中で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを述べていない限り、複数の指示物を含む。本明細書中で使用される「および、ならびに(and)」は、明示的にそうでないことが定められた場合を除き、「または、もしくは(or)」と互換的に使用される。
本明細書中で使用されるように、アミノ酸残基は以下すなわち:アラニン(Ala;A)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、アルギニン(Arg;R)、システイン(Cys;C)、グルタミン酸(Glu;E)、グルタミン(Gln;Q)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;I)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、トレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)、およびバリン(Val;V)、のように短縮される。
本発明の任意の態様のすべての実施形態は、文脈が明らかにそうでないことを述べていない限り、組み合わせて使用されうる。
第1の態様では、本発明は、配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを提供し、該ポリペプチドは、
(a)pH4でPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解し;
(b)残基278はSerであり、残基78はGluであり、残基82はAspであり;かつ
(c)残基73、102、103、104、130、165、168、169、172および179で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号67と比較してアミノ酸の変更を含んでなる。
以下の実施例において開示されるように、本発明のこの態様のポリペプチドは、例えばセリアックスプルーを治療するために使用することができる。該ポリペプチドは、プロセシング後の(processed version of)クマモリシン‐As(配列番号67)またはプロセシング前の(preprocessed version of)クマモリシン‐As(配列番号33)のうちいずれかの改変型であって、クマモリシン‐Asはセリン‐カルボキシルペプチダーゼのセドリシンファミリーに属することが知られており、その基質を加水分解するためにプロセシング後の形態において重要な触媒三残基Ser278‐Glu78‐Asp82(プロセシング前の形態ではSer467‐Glu267‐Asp271)を用いる。その最大活性はpH~4.0にある。クマモリシン‐Asの天然基質は未知であるが、酸性条件下でコラーゲンを分解することが過去に示されている(4)。加えて、この酵素は、熱に安定であって、理想的な温度は60℃であるが37℃でもなおかなりの活性を呈することが示されている。
本発明の発明者らは、クマモリシン‐Asが、ほとんどのセリアックスプルー患者において免疫応答の主体を担っていると考えられている「グリアジン」として知られるグルテンのプロリン(P)およびグルタミン(Q)に富んだ成分を分解することができることを、思いがけず発見した。本発明のポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較して、オリゴペプチドPQPQLP(グリアジンを代表する基質)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を示す。
本発明のこの態様のポリペプチドはpH4においてPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解する。そのような分解は以下の実施例において開示される条件下で生じる。
この態様のポリペプチドは、残基73、102、103、104、130、165、168、169、172および179(番号付けは野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asアミノ酸配列に基づいている)で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号67(野生型のプロセシング後のクマモリシン‐As)と比較して1つ以上のアミノ酸の変更を含んでなる。非限定的実施形態において、野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asアミノ酸配列(配列番号67)と比較して1つ以上の変更は、以下すなわち:

で構成されている群から選択される。
様々なさらなる非限定的実施形態では、野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN102Dを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN102DおよびD169NまたはD169Gを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN102D、D169G、およびD179Hを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともS73K、D104T、N102D、G130S、D169G、およびD179Hを含む。
本明細書中で使用されるように、「少なくとも75%同一」とは、そのポリペプチドが、その完全長アミノ酸配列において、配列番号35によって定義されたポリペプチドと比較して差異(任意のアミノ酸置換、欠失、付加、または挿入を含む)が25%以下であることを意味する。
様々な好ましい実施形態において、ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは配列番号35のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
様々なさらなる実施形態において、ポリペプチドは、配列番号36~66のうちいずれか1つに少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。これらの配列番号で表わされるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)(グリアジンを代表する基質)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を備えたポリペプチドの具体例である。様々な好ましい実施形態において、ポリペプチドは、配列番号36~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは、配列番号36~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
この第1の態様の好ましい実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1(プロセシング前のクマモリシン‐Asのバリアントに基づいている)のアミノ酸配列に少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなり、
(a)pH4でPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解し;
(b)残基467はSerであり、残基267はGluであり、残基271はAspであり;かつ
(c)残基119、262、291、292、293、319、354、357、358、361、および368で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号33と比較してアミノ酸の変更を含んでなる。
この実施形態のポリペプチドは、残基119、262、291、292、293、319、354、357、358、361、および368(番号付けは野生型のプロセシング前のクマモリシン‐Asアミノ酸配列に基づいている)で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号33(野生型のプロセシング前のクマモリシン‐As)と比較して1つ以上のアミノ酸の変更を含んでなる。非限定的実施形態において、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、以下すなわち:

で構成されている群から選択される。
様々なさらなる非限定的実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN291Dを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN291Dおよび358Nまたは358Gを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN291D、358G、および368Hを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともV119D、S262K、D293T、N291D、G319S、D358G、およびD368Hを含む。
本明細書中で使用されるように、「少なくとも75%同一」とは、そのポリペプチドが、その完全長アミノ酸配列において、配列番号1によって定義されたポリペプチドと比較して差異(任意のアミノ酸置換、欠失、付加、または挿入を含む)が25%以下であることを意味する。
様々な好ましい実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
様々なさらなる実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2~32のうちいずれか1つに少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。これらの配列番号で表わされるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)(グリアジンを代表する基質)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を備えたポリペプチドの具体例である。様々な好ましい実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2~32のうちいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2~32のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
第2の態様では、本発明は、配列番号35のアミノ酸配列を含んでなるかまたは該アミノ酸配列で構成されているポリペプチドであって、配列番号67と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を含んでなるポリペプチドを提供する。以下の実施例において開示されるように、本発明のこの態様のポリペプチドは、例えばセリアックスプルーを治療するために使用することができる。該ポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)(グリアジンを代表する基質)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を示す、プロセシング後のクマモリシン‐As(配列番号67)の改変型である。1つの実施形態では、ポリペプチドは配列番号36のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号36のポリペプチドは野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asと比較してN102D変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも10倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは配列番号37のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号37のポリペプチドは、野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asと比較してN102D変異およびD169NまたはD169G変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも20倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは配列番号38のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号38のポリペプチドは、野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asと比較してN102D変異、D169G、およびD179H変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも50倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様のさらなる実施形態では、ポリペプチドは配列番号39~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。これらの実施形態のポリペプチドはすべて、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を示すことが実証されている。好ましい実施形態では、ポリペプチドは配列番号66のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
この第2の態様の好ましい実施形態では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成されるポリペプチドであって、配列番号33と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を含んでなるポリペプチドを提供する。以下の実施例において開示されるように、本発明のこの態様のポリペプチドは、例えばセリアックスプルーを治療するために使用することができる。該ポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)(グリアジンを代表する基質)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を示す、プロセシング前のクマモリシン‐As(配列番号33)の改変型である。1つの実施形態では、該ポリペプチドは配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号2のポリペプチドはプロセシング前の野生型クマモリシン‐Asと比較してN291D変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも10倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは配列番号3のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号3のポリペプチドは、プロセシング前の野生型クマモリシン‐Asと比較してN291D変異およびD358NまたはD358G変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも20倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様の別の実施形態では、ポリペプチドは配列番号4のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号4のポリペプチドは、プロセシング前の野生型クマモリシン‐Asと比較してN291D変異、D358G、およびD368H変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも50倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様のさらなる実施形態では、ポリペプチドは、配列番号5~32のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。これらの実施形態のポリペプチドはすべて、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を示すことが実証されている。好ましい実施形態では、ポリペプチドは配列番号32のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成され;このポリペプチドは、試験されたポリペプチドの中で、オリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において最も強力なプロテアーゼ活性を有することが以下の実施例において示される。
本願の全体にわたって使用されるように、用語「ポリペプチド」は、天然に存在するものであれ合成起源のものであれ、サブユニットであるアミノ酸の配列物を指す該用語の最も広い意味で使用される。本発明のポリペプチドは、L‐アミノ酸、D‐アミノ酸(in
vivoのL‐アミノ酸特異的プロテアーゼに対して抵抗性である)、またはD‐アミノ酸およびL‐アミノ酸の組み合わせを含んでなることができる。本明細書中に記載されたポリペプチドは化学合成されてもよいし、組換え発現されてもよい。該ポリペプチドは、in vivoにおける半減期延長を促進するために、PEG化、HESylation(登録商標)、PASylation(登録商標)、またはグリコシル化などによって他の化合物に連結されてもよい。そのような連結は、当業者には理解されるように、共有結合であってもよいし、非共有結合であってもよい。ポリペプチドは、任意の他の適切なリンカー、例えば、限定するものではないが精製または検出のために使用可能な任意のリンカー(例えばFLAGタグまたはHisタグなど)に連結されてもよい。
第3の態様では、本発明は、本発明の任意の態様または実施形態のポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。該単離核酸配列はRNAまたはDNAを含んでなることができる。本明細書中で使用されるように、「単離核酸」とは、ゲノム配列中またはcDNA配列中において正常時にその周囲にある核酸配列から取り出されている核酸である。そのような単離核酸配列は、コードされたタンパク質の発現および精製のうち少なくともいずれか一方を容易にするのに有用な追加の配列、例えば、限定するものではないが、polyA配列、修飾コザック配列、ならびに、エピトープタグ、移出シグナル、および分泌シグナル、核局在シグナル、および原形質膜局在シグナルをコードする配列、を含んでなることができる。本明細書中の教示に基づけば、どの核酸配列が本発明のポリペプチドをコードすることになるかは当業者には明白であろう。
第4の態様では、本発明は、適切な制御配列に作動可能なように連結された本発明の任意の実施形態の単離核酸を含んでなる核酸発現ベクター(nucleic acid expression vector)を提供する。「組換え発現ベクター(Recombinant expression vector)」には、核酸コード領域または遺伝子を該遺伝子産物の発現を達成することができる任意の制御配列に作動可能なように連結するベクターが含まれる。本発明の核酸配列に作動可能なように連結される「制御配列」は、核酸分子の発現を達成することができる核酸配列である。制御配列は、該制御配列が核酸配列の発現を導くように機能する限り、該核酸配列に隣接している必要はない。したがって、例えば、翻訳されないが転写される介在配列がプロモータ配列と核酸配列との間に存在することが可能であり、その場合も該プロモータ配列はコード配列に「作動可能なように連結された」とみなすことができる。他のそのような制御配列には、限定するものではないが、ポリアデニル化シグナル、終結シグナル、およびリボソーム結合部位が挙げられる。そのような発現ベクターは当分野において既知の任意の種類のものであってよく、例えば、限定するものではないが、プラスミドおよびウイルス系の発現ベクターが挙げられる。開示された核酸配列の発現を哺乳類の系において駆動するために使用される制御配列は、構成的(様々なプロモータのうち任意のもの、例えば、限定するものではないが、CMV、SV40、RSV、アクチン、EFプロモータによって駆動される)であってもよいし、誘導型(例えばいくつかの誘導プロモータのうち任意のもの、例えば、限定するものではないが、テトラサイクリン、エクジソン、ステロイド応答性のプロモータによって駆動される)であってもよい。原核細胞のトランスフェクションに使用される発現ベクターの構築も当分野においてよく知られており、よって標準的技法により達成可能である。(例えば、サムブルック(Sambrook)、フリッチュ(Fritsch)およびマニアティス(Maniatis)、「分子クローニング、実験の手引き(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」、1989年、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版社(Cold Spring Harbor Laboratory Press);E.J.マレー(Murray)編、「遺伝子導入および発現のプロトコール(Gene Transfer and Expression Protocols)」、p.109-128、米国ニュージャージー州クリフトン、ヒューマナ出版社(The Humana Press Inc.)、ならびに、アンビオン(Ambion)1998年カタログ、米国テキサス州オースティン、アンビオン(Ambion)を参照されたい)。発現ベクターは、エピソームとして、または宿主染色体DNAへの組込みにより、宿主生物体内において複製可能でなければならない。好ましい実施形態では、発現ベクターはプラスミドを含んでなる。しかしながら、本発明は、ウイルスベクターのような同等の機能を果たす他の発現ベクターを含むことも意図されている。
第5の態様では、本発明は、本発明の核酸発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞を提供する。該宿主細胞は原核生物であってもよいし真核生物であってもよい。細胞は、一過性にトランスフェクションまたは形質導入されてもよいし、安定的にトランスフェクションまたは形質導入されてもよい。原核細胞および真核細胞への発現ベクターのそのようなトランスフェクションおよび形質導入は、当分野で既知の任意の技法、例えば、限定するものではないが、標準的な細菌形質転換、リン酸カルシウム共沈法、エレクトロポレーション、またはリポソーム介在型、DEAEデキストラン介在型、ポリカチオン介在型、もしくはウイルス介在型のトランスフェクションによって行うことができる。(例えば、サムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング、実験の手引き(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」、1989年、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、R.I.フレシュニー(R.I. Freshney)、「動物細胞の培養:基本技法の手引き(Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique)」第2版、1987年、米国ニューヨーク州ニューヨーク、Liss社(Liss, Inc.)を参照されたい)。本発明のポリペプチドを生産する方法は本発明の補足部分である。該方法は、(a)本発明のこの態様の宿主を該ポリペプチドの発現の助けになる条件下で培養するステップと、(b)任意選択で、発現されたポリペプチドを回収するステップとを含んでなる。発現されたポリペプチドは、無細胞抽出物、細胞ペレットから回収されてもよいし、培地から回収されてもよい。組換え発現されたポリペプチドを精製する方法は当業者にはよく知られている。
第6の態様では、本発明は、本発明の任意の態様または実施形態のポリペプチド、核酸、核酸発現ベクター、および組換え宿主細胞のうちの少なくとも1つと、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、例えば、下記に記載された本発明の方法において使用されうる。該医薬組成物は、本発明のポリペプチド、核酸などに加えて、(a)リオプロテクタント;(b)界面活性剤;(c)増量剤;(d)等張化剤;(e)安定化剤;(f)防腐剤および(g)バッファーのうちの少なくともいずれか1つを含んでなることができる。
いくつかの実施形態では、医薬組成物中のバッファーは、トリスバッファー、ヒスチジンバッファー、リン酸バッファー、クエン酸バッファーまたは酢酸バッファーである。医薬組成物は、リオプロテクタント、例えばスクロース、ソルビトールまたはトレハロースを含むこともできる。ある実施形態では、医薬組成物は、防腐剤、例えば塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロルヘキシジン(chlorohexidine)、フェノール、m‐クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、o‐クレゾール、p‐クレゾール、クロロクレゾール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、安息香酸、およびこれらの様々な混合物を含む。他の実施形態では、該医薬組成物は、グリシンのような増量剤を含む。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、界面活性剤、例えばポリソルベート‐20、ポリソルベート‐40、ポリソルベート‐60、ポリソルベート‐65、ポリソルベート‐80 ポリソルベート‐85、ポロキサマー‐188、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリステアラート、ソルビタントリオレアート(sorbitan trioleaste)、またはこれらの組み合わせを含む。医薬組成物はさらに、等張化剤、例えば調合物をヒト血液とほぼ等張または等浸透圧にする化合物も含むことができる。典型的な等張化剤には、スクロース、ソルビトール、グリシン、メチオニン、マンニトール、デキストロース、イノシトール、塩化ナトリウム、アルギニンおよび塩酸アルギニンが挙げられる。他の実施形態では、医薬組成物はさらに、安定化剤、例えば、対象とするタンパク質と組み合わされたときに、凍結乾燥形態または液体形態における該対象タンパク質の化学的および/または物理学的不安定性を実質的に防止または低減する分子を含む。典型的な安定化剤には、スクロース、ソルビトール、グリシン、イノシトール、塩化ナトリウム、メチオニン、アルギニンおよび塩酸アルギニンが挙げられる。
本発明のポリペプチド、核酸などは医薬組成物中の唯一の活性作用薬であってもよいし、または該組成物が用途に適した1つ以上の他の活性作用薬をさらに含んでなることもできる。
本明細書中に記載された医薬組成物は一般に、本明細書中に記載された化合物と薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤との組み合わせを含んでなる。そのような組成物は、薬学的に許容不可能な成分をほとんど含まない、すなわち、本願の出願時点での米国の規制上の要件によって許容されるよりも低い量の薬学的に許容不可能な成分しか含んでいない。この態様のいくつかの実施形態では、化合物が水に溶解または懸濁される場合、組成物はさらに任意選択で追加の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含んでなる。他の実施形態では、本明細書中に記載された医薬組成物は固体の医薬組成物(例えば錠剤、カプセル剤など)である。
これらの組成物は製薬分野においてよく知られた方式で調製可能であり、かつ任意の適切な経路によって投与されうる。好ましい実施形態では、医薬組成物および製剤は経口投与のために設計される。従来の製薬用の担体、水性、粉末もしくは油性の基材、増粘剤などが、必要であるかまたは望ましい場合もある。
医薬組成物は、任意の適切な形態、例えば、限定するものではないが錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液、シロップ剤、エアロゾル剤(固体として、または液体媒体に含めて)、軟膏剤であって例えば重量比で最大10%の活性化合物を含有するもの、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセル、無菌注射用溶液、ならびに無菌包装された散剤であってよい。
第7の態様では、本発明は、セリアックスプルーを治療する方法であって、セリアックスプルーに罹患している個体に、セリアックスプルーを治療するのに有効な量の、本発明の第1または第2の態様のポリペプチド、配列番号33のポリペプチド、および配列番号67のポリペプチドで構成されている群から選択された1つ以上のポリペプチドを投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明の発明者らは、クマモリシン‐Asが、ほとんどのセリアックスプルー患者において免疫応答の主体を担っていると考えられている「グリアジン」として知られるグルテンのプロリン(P)およびグルタミン(Q)に富んだ成分を分解することができることを、思いがけず発見した。本発明のポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較して、オリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)(グリアジンを代表する基質)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を示す。
1つの実施形態では、1つ以上のポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなり、
(a)該ポリペプチドはpH4でPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解し;
(b)残基278はSerであり、残基78はGluであり、残基82はAspである。
さらなる実施形態において、1つ以上のポリペプチドは、残基73、102、103、104、130、165、168、169、172および179(番号付けは野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asアミノ酸配列に基づいている)で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号67(野生型のプロセシング後のクマモリシン‐As)と比較して1つ以上のアミノ酸の変更を含んでなる。非限定的実施形態において、野生型のプロセシング後の クマモリシン‐Asアミノ酸配列(配列番号67)と比較して1つ以上の変更は、以下すなわち:

で構成されている群から選択される。
様々なさらなる非限定的実施形態では、野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN102Dを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN102DおよびD169NまたはD169Gを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN102D、D169G、およびD179Hを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともS73K、D104T、N102D、G130S、D169G、およびD179Hを含む。
様々な好ましい実施形態において、1つ以上のポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは配列番号35のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
様々なさらなる実施形態において、1つ以上のポリペプチドは、配列番号36~66のうちいずれか1つに少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。これらの配列番号で表わされるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)(グリアジンを代表する基質)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を備えたポリペプチドの具体例である。様々な好ましい実施形態において、ポリペプチドは、配列番号36~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは、配列番号36~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
好ましい実施形態において、本発明のこの態様の方法で使用されるポリペプチドは、配列番号33のアミノ酸を含んでなるか、または残基119、262、291、292、293、319、354、357、358、361、および368(番号付けは野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列に基づいている)で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号33(野生型のプロセシング前のクマモリシン‐As)と比較して1つ以上のアミノ酸の変更を含んでなるポリペプチドを含んでなる。非限定的実施形態において、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、以下すなわち:

で構成されている群から選択される。
様々なさらなる好ましい非限定的実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN291Dを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN291Dおよび358Nまたは358Gを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともN291D、358G、および368Hを含む。別の実施形態では、野生型クマモリシン‐Asアミノ酸配列と比較して1つ以上の変更は、少なくともV119D、S262K、D293T、N291D、G319S、D358G、およびD368Hを含む。
様々な好ましい実施形態において、本発明のこの態様の方法で使用されるポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
様々なさらなる実施形態において、本発明のこの態様の方法で使用されるポリペプチドは、配列番号2~32のうちいずれか1つに少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。これらの配列番号で表わされるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)(グリアジンを代表する基質)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を備えたポリペプチドの具体例である。様々な好ましい実施形態において、本発明のこの態様の方法で使用されるポリペプチドは、配列番号2~32のうちいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。さらなる実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2~32のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
第8の態様では、本発明は、セリアックスプルーを治療する方法であって、セリアックスプルーに罹患している個体に、セリアックスプルーを治療するために有効な量の配列番号1~67のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを投与することを含んでなる方法を提供する。
1つの実施形態では、投与されるポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号2のポリペプチドは野生型クマモリシン‐Asと比較してN291D変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも10倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様の別の実施形態では、投与されるポリペプチドは配列番号3のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号3のポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してN291D変異およびD358NまたはD358G変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも20倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様の別の実施形態では、投与されるポリペプチドは配列番号4のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。配列番号4のポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してN291D変異、D358G、およびD368H変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも50倍高いプロテアーゼ活性を有する。
この第2の態様のさらなる実施形態では、投与されるポリペプチドは配列番号5~32のいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。これらの実施形態のポリペプチドはすべて、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を示すことが実証されている。好ましい実施形態では、投与されるポリペプチドは配列番号32のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成され;このポリペプチドは、試験されたポリペプチドの中で、オリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において最も強力なプロテアーゼ活性を有することが以下の実施例において示される。
別の実施形態では、1つ以上のポリペプチドは配列番号36のアミノ酸配列を含んでなる。配列番号36のポリペプチドは野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asと比較してN102D変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも10倍高いプロテアーゼ活性を有する。別の実施形態では、1つ以上のポリペプチドは配列番号37のアミノ酸配列を含んでなる。配列番号37のポリペプチドは、野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asと比較してN102D変異およびD169NまたはD169G変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも20倍高いプロテアーゼ活性を有する。別の実施形態では、1つ以上のポリペプチドは配列番号38のアミノ酸配列を含んでなる。配列番号38のポリペプチドは野生型のプロセシング後のクマモリシン‐Asと比較してN102D変異、D169G、およびD179H変異を有する。以下の実施例において示されるように、この変異を含んでいるポリペプチドは、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において少なくとも50倍高いプロテアーゼ活性を有する。さらなる実施形態では、1つ以上のポリペプチドは配列番号39~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなる。これらの実施形態のポリペプチドはすべて、野生型クマモリシン‐Asと比較してオリゴペプチドPQPQLP(配列番号34)に対してpH4において高いプロテアーゼ活性を示すことが実証されている。好ましい実施形態では、ポリペプチドは配列番号66のアミノ酸配列を含んでなるか、または該アミノ酸配列で構成される。
セリアックスプルー(セリアック病またはグルテン不耐症としても知られている)は、「グルテン」として知られている小麦、大麦、およびライ麦製品中に見出される食事タンパク質が、遺伝的素因を有する個体の小腸内において免疫応答を喚起する、非常によく見られる疾患である。該疾患から生じる炎症は、小腸の絨毛の破壊をもたらして栄養素の吸収を妨害する可能性がある。症状は、幼児期に現われることもあればそれより後に現われる場合もあり、重症度については下痢、疲労、体重減量、腹痛、腫脹、ガス過多、消化障害、便秘、腹部膨満、悪心/嘔吐、貧血、紫斑の易形成(bruising easily)、抑うつ、不安、小児期の成長遅延、毛髪脱落、皮膚炎、月経停止、口腔内潰瘍、筋痙攣、関節痛、鼻出血、てんかん発作(seizure)、手足の刺痛またはしびれ、思春期遅発症、歯牙エナメル質の欠損症、および運動失調または感覚異常のような神経症状まで広範囲に及びうる。現時点では、食事からのグルテンの完全排除を除いてこの終生にわたる疾患の有効な治療法はない。セリアックスプルーは大部分が十分に診断されないままであるが、該疾患の米国および欧州における有病率は人口の0.5~1.0%と見積もられている。
本明細書中で使用されるように、「セリアックスプルーを治療する」とは下記すなわち:(a)セリアックスプルーの重症度を低減すること;(b)セリアックスプルーに特徴的な症状の発現を制限または防止すること;(c)セリアックスプルーに特徴的な症状の悪化を抑制すること;(d)かつてセリアックスプルーに罹患していた患者においてセリアックスプルーの再発を制限または防止すること;(e)かつてセリアックスプルーの症状を有していた患者において症状の再発を制限または防止すること;および(f)セリアックスプルーを発症するリスクを有しているが未だセリアックスプルーの臨床的作用を示していない対象者において、セリアックスプルーの発症を制限すること、のうち1つ以上を遂行することを意味する。
本発明の方法に従って治療される個体は、セリアックスプルーに罹患している任意の個体、例えばヒト対象者であってよい。該個体は、すでに症状を発症している個体であってもよいし、無症状の個体であってもよい。
本明細書中で使用されるように、「有効な量」とはセリアックスプルーの治療を行うのに有効なポリペプチドの量を指す。ポリペプチドは、典型的には上記に開示されたもののような医薬組成物として製剤化され、かつ、従来の薬学的に許容可能な担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する投与量単位製剤に含めて任意の適切な経路を介して、例えば、経口的に、非経口的に(parentally)、吸入噴霧により、または局所的に、投与可能である。好ましい実施形態では、医薬組成物および製剤は、例えば錠剤、丸剤、ロゼンジ、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液、またはシロップ剤などによって、経口投与される。
投薬レジメンは最適な所望の応答(例えば治療的または予防的応答)を提供するために調節可能である。適切な投薬量域は、例えば体重1kgあたり0.1ug~100mgとなりうるが;別例として、適切な投薬量域は体重1kgあたり0.5ug~50mg;1ug~25mg、または5ug~10mgであってもよい。ポリペプチドは単回ボーラス投与で送達されることも可能であるし、主治医の決定により2回以上(例えば2、3、4、5回またはそれ以上)投与されてもよい。
実施例
セリアック病は、人口のおよそ1%が罹患する自己免疫疾患である1,2。この疾患は、小麦粉中の主要タンパク質であるグルテン、ならびに大麦およびライ麦中の関連タンパク質に対する炎症反応を特徴とする。グルテンは、糖タンパク質であるグリアジンおよびグルテニンの不均質な混合物で構成されている。摂取されると、α‐グリアジンは胃および腸のプロテアーゼによって部分的に分解されてオリゴペプチドとなるが、該オリゴペプチドはその並外れて高いプロリンおよびグルタミンの含量が原因でそれ以上のタンパク質分解に抵抗性を有する(図1)。不完全なタンパク質分解から生じる、セリアック病の人々の腸内で炎症および損傷を刺激する免疫原性のオリゴペプチドは、PQモチーフに富んでいる4,5(図1)。現在、この疾患の唯一の治療は食事からグルテンを完全に排除することであるが、これは、現代の食物製品中にこのタンパク質が遍在するため為し遂げることは困難である
免疫原性ペプチドが炎症を引き起こす能力を有する前に該ペプチドを加水分解するために経口投与型プロテアーゼが使用される、経口酵素療法(OET、oral enzyme therapy)について、現在、グルテン不耐症の治療法としての探求がなされている。この目的のため、いくつかの異なるプロテアーゼは、該プロテアーゼがプロリンまたはグルタミン残基のいずれかの後ろを切断する特異性ゆえに検討されてきた4,7-9。しかしながらこれらの酵素は、グルテンを分解するためのOETにおいて該酵素を使用する妨げとなる特徴を示すことが多い。これらのペプチダーゼのほとんどは中性のpHで最適な触媒活性を示すが;ヒトの胃のpHは2~4の範囲にある。したがってこれらの酵素はpHが中性の小腸に達したときに最も活性が高いが、これではセリアック病の有効な予防には間に合わない。というのも小腸はグルテンに由来する病理が発症する部位であるからである2,10。加えて、これらの酵素のうちいくつかはヒトの胃の低いpHにおける不安定性を示すか、消化プロテアーゼによるタンパク質分解を受けやすいか、または該酵素の精製時に大規模なリフォールディング手順を必要とし7,11、これらはいずれも臨床的に使用するための努力の妨げとなる特徴である。
グルテン不耐症の治療におけるOETの適用のための理想的なプロテアーゼは、次の特性すなわち:低pHにおいて最適活性であること、精製が容易であること、ヒトの胃の条件下で安定であること、およびグルテン由来の免疫原性オリゴペプチドに見出されるアミノ酸モチーフに対して特異性が高いこと、を兼ね備えることになろう。ここで本発明者らは、これらの特性を示すエンドペプチダーゼの工学的設計について報告する。本発明者らは、好酸性細菌アリシクロバチルス・センダイエンシス(Alicyclobacillus sendaiensis)から酸性条件において活性の高いプロテアーゼ、クマモリシン‐As(KumaWT)を同定し、該プロテアーゼを所望のオリゴペプチド特異性に向けて工学的に設計するためにコンピュータ計算によるモデリング手法を使用した。コンピュータ計算により設計された、KumaMax(商標)と呼ばれる酵素は、野生型のKumaWTと比較して、100倍を超える高いタンパク質分解活性を示し、また標的のPQモチーフに対する基質特異性においては800倍の変化を示した。加えて、KumaMax(商標)は、通常の胃内プロテアーゼに対する抵抗性を示し、かつリフォールディングの必要を伴わずに大腸菌にて高収率で生産される。したがって、このプロテアーゼおよび本明細書中で報告されるその他のプロテアーゼは、セリアック病の有望な治療薬候補に相当する。
結果
α‐グリアジンエンドペプチダーゼの選択およびコンピュータ計算による設計
胃内の条件下でグルテンペプチドを分解することができる新規なプロテアーゼを工学的に設計するために、本発明者らは最初に、我々の工学的設計努力の出発点として適切なプロテアーゼを同定することに焦点を置いた。理想的には、この鋳型プロテアーゼは低いpHにおいて安定性および活性を兼ね備えたうえでジペプチドアミノ酸モチーフに対する特異性も実証されるものとなろう。本発明者らは、酵素クマモリシン‐As(KumaWT)を鋳型として同定したが、これはこのプロテアーゼが元来pH範囲2~4にわたって最適活性を有するからであり12、このpH範囲は食事が摂取される前後のヒト胃内のおよそのpH範囲(それぞれpH2および4)と一致している13。KumaWTはさらに、生理学的に妥当な温度37℃において高い安定性および活性を示す14。加えて、この酵素の精製は容易であって大腸菌における標準的な組換えタンパク質生産方法を使用してかなりの収量を生じ14、このことは突然変異体ライブラリのスクリーニングにとっても、またOETで使用するための大規模バッチにおける最終的な生成にとっても重要な特性である。最後に、KumaWTは元来、単一アミノ酸特異性とは対照的に特定のジペプチドモチーフを認識する14。これは消化時に摂取される必要のある経口プロテアーゼ治療薬にとって重要な特性である、というのも、ジペプチド特異性は胃の中の他の食物由来ペプチドによる競合的阻害の低減をもたらすはずであるからである。
セリアック病のための有効なOETは、免疫原性のグルテン由来オリゴペプチド中にプロリン‐グルタミン(PQ)ジペプチドが高頻度で出現することから(図1)、恐らくはこのジペプチドに対する特異性を示すことになろう。KumaWTはそのペプチド基質のP2位のプロリンに対して強い特異性を有するが、該プロリンは免疫原性のα‐グリアジンペプチドの分解に関して対象となるアミノ酸残基のうちの1つと一致している。P1の部位では、KumaWTは正に荷電したアミノ酸であるアルギニンまたはリジンを選好することが立証されている14。このような選好性にもかかわらず、KumaWTは、アルギニンまたはリジンの認識と比較して著しく低いレベルとはいえ、P1位のグルタミンを認識することも可能である14。P1位のグルタミンを認識するというこの軽微な固有の傾向は、KumaWTがこの部位のグルタミンを選好するための工学的再設計に適している可能性を示唆している。P1’の部位ではKumaWTは広範な特異性を示すが、これは、図1に示されるようにPQモチーフの後ろの部位の残基が免疫原性ペプチドによって様々であるので望ましいことである。
KumaWTのこれらの特徴を前提として、本発明者らの第1の目的は、KumaWTのS1結合ポケットが本来のPRまたはPK基質よりもPQジペプチドモチーフを選好するように、該ポケットをコンピュータ計算により再設計することであった。ロゼッタ分子モデリングパッケージソフトを使用して、本発明者らは、KumaWTのS1結合ポケット内のPRジペプチドを、この酵素の解析済み結晶構造(PDB ID:1T1E)を用いてモデル化した。その結果、2つの負に荷電したアミノ酸D358およびD368がP1位の正に荷電したアミノ酸の結合を促進する可能性が高いことが明らかとなった(図2A)。P2のプロリンに対する元来の特異性は、このアミノ酸残基と酵素のS2ポケット内のW318の芳香環との疎水的相互作用に主に由来するようである。P1位はプロリンに関して特異的であることが本発明者らの酵素バリアントにおいては望ましいので、本発明者らはS1ポケットの設計の際にこの天然のトリプトファンを維持した。
S1ポケットがP1位にグルタミンを選好するKumaWT基質特異性を再設計するために、本発明者らは、ロゼッタ分子モデリングパッケージソフトに対してFolditインタフェースを使用してKumaWT結合ポケット内の理論上の突然変異を生成した。α‐グリアジン全体にわたって見出される共通の免疫原性モチーフに相当するテトラペプチド、PQLP(配列番号68)がP2~P2’活性部位の位置へとモデル化された。この構造は既に活性部位に結合したポリペプチドを包含しており、よってこのポリペプチドの残基がロゼッタを使用してPQLP(配列番号68)テトラペプチドモチーフへと変異せしめられた。該テトラペプチドの0.8nm(8Å)半径以内の合計75個の残基が、S1ポケット内でのグルタミンの結合を促進する突然変異を見出すために、天然に存在する20種のアミノ酸のうちいずれかへと無作為化された。これらの突然変異は、新たな酵素‐PQLP基質複合体の全体エネルギーが天然基質と比較して低減されるか、または5ロゼッタエネルギー単位を越えて増加しなかった場合に、許容された。より小さな中性アミノ酸であるグルタミンを受け入れるために、本発明者らは我々のコンピュータ計算による取り組みを、1)設計過程においてS1ポケットの負電荷を除去すること、2)大きなアミノ酸であるアルギニンのグルタミンへの置換から生じた空間を埋めること、および3)グルタミンのアミド官能基に水素結合を供給すること、に注力した。このコンピュータ計算によるモデル化から、1~7個の同時突然変異を含有する107個の新規設計物が得られた。これらの設計タンパク質はその後構築されて、PQLP(配列番号68)ペプチドに対するその触媒活性が評価された。
これらの設計プロテアーゼ各々の、PQLP(配列番号68)モチーフに対する活性を試験するために、部位特異的突然変異導入法を使用して所望の突然変異が天然のヌクレオチド配列に組み入れられ、変異型酵素バリアントが大腸菌BL21(DE3)細胞で生産された。これらの酵素バリアントは次に、蛍光消光性のα‐グリアジンヘキサペプチドアナログQXL520‐PQPQLP‐K(5‐FAM)‐NH2(FQ)(配列番号69)を基質として使用して、清澄化された全細胞溶解物中の酵素活性についてpH4でスクリーニングされた。このアッセイで試験された107個の酵素バリアントのうち、13%は酵素機能を喪失しており、32%はKumaWTと比較して活性の有意差を示さず、55%はこの基質に対して観察される活性が増大した。その後、細胞溶解物中に著しい活性増大を示した最も有望な28個の酵素バリアントが、KumaWTの酵素活性との精密な比較を行うために精製された。精製およびタンパク質濃度の補正後、これらの酵素の活性はKumaWTよりも2倍から120倍の範囲にわたって高活性であった(テーブル1)。最も高活性のバリアントはKumaMax(商標)と命名され、さらなる特徴解析のために選出された。

テーブル1 精製および配列決定が行われたすべての突然変異体のPQモチーフに対する加水分解活性を野生型クマモリシン‐Asと比較した変化倍率。これらは、精製、配列決定、および純粋タンパク質のアッセイにおいて野生型クマモリシンと比較する試験が行われたすべての突然変異体についての変化倍率の結果である(補足テーブル1に記載のようにして計算された)。アッセイは、0.0125mg/mLの酵素終濃度および5μΜの基質濃度を用いてpH4で行われた。
KumaMax(商標)は、野生型アミノ酸配列と比較して7個の突然変異すなわち:V119D、S262K、N291D、D293T、G319S、D358G、D368Hを含んでいる(図2B)。これらのうち変異G319S、D358G、およびD368Hは、P1位の所望のグルタミン残基との新たな水素結合を相乗的に導入するようである。モデル化されるように、G319S変異は、P1ポケット内のグルタミンと相互作用する新たな水素結合に寄与する可能性の高い、グルタミンのアミドのカルボニル酸素から0.25nm(2.5Å)に位置するヒドロキシル基を導入するようである。D368H変異は該セリンヒドロキシル基を安定させることが予測され、活性部位内への該セリンヒドロキシル基の配置はひいてはD358G変異によって立体的に許容される。モデル化されたようなグルタミンとの新規な所望の相互作用を提供することに加えて、これら3つの突然変異はさらに、天然のKumaWT基質の正に荷電したアルギニン残基を安定させると予想される2つの酸性残基の除去も行う(図2)。部位特異的突然変異導入の際に偶然に組込まれたV119Dはプロペプチドドメイン内に位置し、したがって成熟型酵素の触媒活性には影響を及ぼさない。その他の3つの変異はP2‐P2’ポケット内の残基と直接接触せず、したがって、ヘキサペプチドの他の構成成分、発蛍光団、または消光物質との相互作用を導入する可能性が高い。G319S/D358G/D368Hの三重変異体だけではKumaWTと比較して7倍しか触媒活性の上昇を示さず;KumaMax(商標)について測定されるよりも概算で17倍低いので、観察された全体的な触媒反応増大にとって上記の突然変異が重要であることは明らかである。
速度論的特徴および基質特異性
免疫原性グルテン基質アナログFQに対するKumaMax(商標)およびKumaWTの触媒反応効率は、6~100μΜの基質について速度対基質曲線をフィッティングすることにより計算されたように、それぞれ568M-1-1および4.9M-1-1であることが分かった(テーブル2)。これらの値は、KumaMax(商標)が上述の初期活性スクリーニングにおいてFQ基質に対する酵素活性の120倍の増大を示したという観察と一致している。残念ながらこれらの基質濃度では速度の有意な飽和は観察されず、したがって個々の反応速度定数kcatおよびKは測定できなかった。これは驚くべきことではない、というのも、KumaWTの反応速度定数の過去の分析からは40μΜのKmが報告されている。したがって、有意な飽和は100μΜ未満の基質濃度では予想されないであろう。

テーブル2.KumaMax(商標)およびKumaWTについてのペプチド基質の反応速度定数。基質100μΜまで飽和は観察されなかったので、蛍光(Fl)消光性(Qu)のPQPQLP(配列番号34)ペプチドに関するKumaWTおよびKumaMa(商標)についての触媒反応効率(kcat/K-1-1)はいずれも直線に対してフィッティングされた。蛍光シグナルは、生成物の蛍光の基質クエンチングの説明となる標準曲線を用いて、「材料および方法」に記載されているようにして定量化された。pNAが連結されたペプチドについての触媒反応効率も同様の方式で決定され、「材料および方法」に記載されている。全てのフィッティングについて少なくとも6回独立に測定された速度が用いられ、Rは0.9より大きかった。n.d.は未検出。
蛍光消光性のPQPQLP(配列番号34)ヘキサペプチド基質に対してKumaMax(商標)がKumaWTと比較して活性が高いということは、KumaMaxがPQジペプチドモチーフに対してより高い選好性を有することを示唆している一方で、基質特異性について直接的には情報をもたらしていない。KumaMax(商標)の特異性がKumaWTの天然のPRジペプチドよりもPQジペプチドを選好するように確かに変化したことを確認するために、スクシニル‐アラニン‐P2‐P1‐P1’の形の4つのペプチドが、P2およびP1特異性を評価するべく両酵素に対する基質として提供された。これらのペプチドはP1’位にリポーターであるp‐ニトロアニリン(pNA)を含有しており、ペプチド切断を分光計で読取ることが可能となっている。4つのペプチドはそれぞれP2位およびP1位に次のアミノ酸すなわち:プロリン‐グルタミン(PQ)、プロリン‐アルギニン(PR)、グルタミン‐プロリン(QP)、およびプロリン‐グルタミン酸(PE)を有するものであった。触媒反応効率が各基質について計算され、テーブル2に報告されている。FQ基質に対する触媒活性の測定と同じように、KumaWTまたはKumaMax(商標)によるこれらのペプチドに対する活性の飽和は観察されなかった。これは、pNA基がΡ1’ポケットにおける結合を部分的に妨害することを示唆している、というのも、代替KumaWT基質について過去に報告された飽和レベルを十分に越える1mMまでの基質濃度について試験が行われたからである。
この特異性アッセイでは、KumaMax(商標)は、KumaMaxが選好するように設計された対象のジペプチドであるPQ基質に対し、その最高レベルの活性を実証した。KumaMax(商標)はPRモチーフまたは他のモチーフに対する特異性の低下を示すように明確に設計されはしなかったが、PQに対するその特異性の増大が、標的とされていないモチーフに対するその活性を低下させた可能性がある。実際、KumaMax(商標)は、このアッセイではQPまたはPR基質に対する有意な触媒活性を示さなかった(テーブル2)。過去の報告14と一致して、KumaWTはPRモチーフに対してその最高レベルの活性を示した。KumaWTは、3つの他のペプチド基質に対しては有意に低い活性レベルを示した。PQジペプチドモチーフに対するKumaWTの触媒活性は以前に報告されている14一方で、本アッセイではPQジペプチド基質に対して際立った活性は観察されなかったが、これは、酵素活性部位へのこのペプチドの結合に対するpNAの妨害作用に起因する可能性がある。いずれの酵素も、pH4で中性の電荷を有することが予測される立体的に同等の(isosteric)基質PEに対する活性を示したが;KumaMax(商標)はPEペプチド基質に対してはPQ基質に対する活性と比較しておよそ5倍の活性低下を示し、このことはPQジペプチドモチーフに対するKumaMax(商標)の非常に強い選択性を示している。
先に議論されたように、セリアック病のOETとして現在探究されているいくつかの酵素が存在する。これらの酵素のうち2つは、プロリルエンドペプチダーゼであるSC PEPおよびグルタミン特異的エンドプロテアーゼであるEP‐B2が工学的に設計されたものである15。これらのプロテアーゼの触媒反応効率をKumaMax(商標)の触媒反応効率と比較するために、天然型のSC PEPおよびEP‐B2酵素が大腸菌BL21(DE3)細胞で発現され、精製され、その触媒活性が評価された。SC‐PEPは、pH4においてFQグルテン基質アナログに対して1.6M-1-1の触媒反応効率を示したが、これは、この基質に対してのKumaMax(商標)よりおよそ350倍低いレベルの活性に相当する。pH4では、SC PEPはQPを含む4つのpNA連結ペプチド基質のうちいずれに対しても際立った活性を示さなかった。同様のpNA連結ペプチドを使用する過去の研究はこれらの基質に対するSC PEPの活性を実証したが、そのアッセイはpH4.5以上で実施されている15。他のグループと同様に、本発明者らはSC PEPがpH7ではQP基質に対して触媒反応効率2390M-1-1の際立った活性レベルを示すことを見出し、よってこの組換えSC PEPが十分に機能することを確認した(データは示さない)。これは、SC PEPが胃のpH範囲では無視できるレベルの低い触媒活性しか持たないこと、よってα‐グリアジンペプチドが小腸に達した時点では有効であると予想されるにすぎないことを報告している過去の文献と一致している15,16
EP‐B2については、pH4ではFQ基質に対して極めて低いレベルの活性しか検出されず、また4つのpNAペプチド基質のうちいずれに対する活性も観察されなかった(データは示さない)。これは、同等の基質を使用したEP‐B2活性の過去の報告11とは一致していない。EP‐B2は、大腸菌内で封入体を形成し、活性酵素を得るためにはリフォールディングを必要とするので、精製困難な酵素である。本発明者らはEP‐B2のリフォールディングのために過去に報告された方法11,17,18を使用して可溶性タンパク質を得ることができず、よって本発明者らはオンカラムリフォールディングの手法を使用し、その結果可溶性タンパク質を生産した。この可溶性EP‐B2はpH4で予測どおりの自己プロセシング活性を示したが11(データは示さない)、この酵素の活性の欠如は、該酵素が本発明者らの方法を使用しても適切にリフォールディングしなかった可能性を示唆している。これは、異なるタンパク質発現ベクターの使用に起因する別のN末端およびC末端タグが原因であることも考えられ、詳細な調査が必要である。
プロテアーゼ安定性
低いpHにおける触媒活性の実証に加えて、ヒトの消化管での使用が意図されるいかなるタンパク質治療薬も、消化プロテアーゼによる分解への抵抗性を示さなければならない。胃および小腸において最も豊富な2つのプロテアーゼは、それぞれペプシンおよびトリプシンである。ペプシンは胃の低いpH範囲で最適なタンパク質分解活性を示す一方、トリプシンは小腸のより中性側のpHにおいて主として活性を有する。これらのプロテアーゼによる分解に対するKumaMax(商標)の抵抗性を評価するために、0.01または0.1mg/mLのKumaMax(商標)が、ペプシンおよびトリプシンのいずれにとっても生理学上適切な濃度である0.1mg/mLの各プロテアーゼとともに、該プロテアーゼそれぞれの至適pH範囲でインキュベートされた。SC PEPおよびEP‐B2が対照として含められたが、これは、EP‐B2はペプシンには抵抗性であるがトリプシンには弱いことが立証されており、かつSC PEPは両プロテアーゼに対する感受性を示すからである11,15。各タンパク質はそれぞれのプロテアーゼの存在下または非存在下で30分間インキュベートされ、その後タンパク質は熱で不活性化され、残存しているタンパク質分解を受けていないものの比率がSDS‐PAGEゲルを使用して測定された(図3)。
このアッセイでは、KumaMax(商標)はペプシンおよびトリプシンの両方に対して高い安定性を示し、いずれかのプロテアーゼとともに半時間インキュベーションした後でもおよそ90%の完全なタンパク質が残存していた(図3)。過去の報告と矛盾せず、SC PEPはペプシンおよびトリプシンの両方に対して感受性を示し、これらのプロテアーゼとのインキュベーション後に残存している酵素は20%未満であった。予想通り、トリプシンはEP‐B2を効率的にタンパク質分解し、インキュベーション後の残存は10%未満であったが、ペプシンの存在下ではEP‐B2の有意な分解は観察されなかった。観察されたタンパク質分解がプロテアーゼ活性によるものであって酵素的自己プロセシングによるものではないことを確認するために、各酵素はpH4または7のいずれかでインキュベートされて見かけのタンパク質分解が他のプロテアーゼの非存在下で1時間にわたって分析された(データは示さない)。KumaMax(商標)およびEP‐B2はpH4で10分未満の間にプロペプチドから活性型の酵素への自己プロセシングを示したが、SC PEPは示さなかった。3つのタンパク質はいずれもこの1時間にわたって>90%安定したままであった。これらのタンパク質はいずれも、pH7で1時間のインキュベーション中には有意なレベルの自己プロセシングまたはタンパク質分解を示さなかった。
免疫原性α9‐グリアジンペプチドの分解
免疫原性ペプチドアナログに対してKumaMax(商標)によって示された高レベルの触媒活性は(テーブル2)、グルテン不耐症のOETにおける治療薬としてのKumaMax(商標)の使用が期待できることを実証している。しかしながら、これらのアッセイは、この酵素がグルテン由来の関連する免疫原性ペプチドを分解する能力を直接評価するものではない。したがって本発明者らは、α9‐グリアジンすなわちQLQPFPQPQLPY(配列番号70)の中に存在する免疫優勢ペプチドに対するKumaMax(商標)の直接的なタンパク質分解活性について調べた。
KumaMaxは、500μΜのα9‐グリアジンペプチドとともにおよそ1:100の酵素・ペプチドモル比にて37℃、pH4でインキュベートされたが、このモル比はヒトの胃の中におけるこのペプチドの生理学的に適切な濃度に相当する。SC PEPが比較のためにこの実験に含められたが、それはこの酵素がFQ基質に対してKumaMax(商標)よりもかなり低い活性を示すからである。インキュベーション物からの試料は、タンパク質分解反応を停止させるために10分ごとに80%アセトニトリル中で停止処理された。完全体の免疫原性ペプチドの残存率は、高速液体クロマトグラフィー質量分析法を使用して測定されたが、該方法ではα9‐グリアジンペプチドのM+H親イオンがモニタリングされた。KumaMax(商標)は、免疫原性ペプチドの95%超がKumaMax(商標)との50分間のインキュベーション後にタンパク質分解されてしまうように、このアッセイにおいて免疫原性ペプチドに対する高レベルの活性を示し、一方SC PEPの存在下またはプロテアーゼの非存在下では該ペプチドの有意な分解は観察されなかった(図4A)。KumaMax(商標)の存在下での該ペプチドの半減期は、インキュベーション時間に対して残存しているペプチドの比率をプロットすることにより決定され、8.5±0.7分であると算出された(図4B)。
考察
酵素療法はセリアック病の治療のための魅力的な方法であるが、それはこの治療形態が静脈内注射を必要としないことになるからである。しかしながら、セリアック病の有効な治療薬であるために必要なすべての特性を示す、OETで使用するための適切なプロテアーゼを同定することが課題である。具体的には、OETで使用される理想的なプロテアーゼは、37℃で2~4のpH範囲で活性を維持し、かつ一般的な消化プロテアーゼによる分解に抵抗性を有することになろう。加えて、該タンパク質治療薬は、理想的には免疫原性のグルテン由来ペプチドに見出される共通モチーフについて厳格な特異性を示すことになろう。最後に、該タンパク質は組換え法を使用して容易に生産されるべきである。単一の天然の酵素がこれらの特性をすべて包含することはなさそうであるが、本発明者らは、これらの重要な特性のうちいくつかを有しているタンパク質が、コンピュータ分析、突然変異誘発、およびスクリーニングを通じて、その欠けている性質を示すように工学的に設計されうることを実証する。
工学的に設計されたプロテアーゼであるKumaMax(商標)は、所望のPQジペプチドモチーフに対し、高レベルの活性、および特異性を示した(テーブル2)。PQモチーフに対する特異性は、本来のPRモチーフとは対照的に、モデル化されたようにこのジペプチドモチーフ内のグルタミンと直接接触する、KumaMaxのS1ポケット内における新しい水素結合の追加に由来する可能性が高い(図2B)。この特異性の変換はグルテン全体にわたって共通して見出されるモチーフに対する活性を導くだけでなく、標的とされていない基質に対する活性を大幅に低下させる(テーブル2)。経口プロテアーゼが標的ではない基質を認識する能力を持たないことは重要な特徴である、というのもこの特徴は食物の消化中に胃の中で産生される多数の他のペプチドによる競合的阻害を低減するからである。KumaMax(商標)またはKumaWTは、より高い特異性を工学的に設計するためのプラットフォームとしての役割を果たす可能性が高い、というのも、KumaWTはP2位およびP1位を越えてある程度の選択性を示しているからである14。この方法を使用して、固有の免疫原性エピトープに対して特異的な一連のカスタマイズされたプロテアーゼを生成することも考えられる。
方法
タンパク質の発現および精製
pET29bプラスミド内に組込まれた、対象の各タンパク質をコードする遺伝子は、形質転換により大腸菌BL21(DE3)細胞内に導入された。個別のコロニーが採取され、50μg/μLカナマイシンを含むTerrific Broth(商標)(TB+Kan)に接種され、37℃で終夜インキュベートされた。500uLの終夜培養物が500mLの自動誘導培地(5gトリプトン、2.5g酵母エキス、465mL ddHO)に添加され、37℃でおよそ4時間振とうされ、次に自動誘導成分が添加された(500uL MgSO、500uLの1000×微量金属、25mLの20×NPS、10mLの20×5052、500uLの50mg/mL Kan)。その後、培養物は18℃で30時間に振とうされてから遠沈された。ペレットは10mLの1×PBSに再懸濁され、次に5mLの溶解バッファー(50mM HEPES、500mM NaCl、1mM bME、2mg/mLのリゾチーム、0.2mg/mLのDNase、ddHO)とともに超音波処理することで溶解され、遠沈された。タンパク質はその後1mLのTALON(登録商標)コバルトアフィニティカラムで精製された。KumaMax、KumaWT、およびSC Pepは20mLの洗浄バッファー(10mMイミダゾール、50mM HEPES、500mM NaCl、1mM bME、ddHO)で3回洗浄され、次に15mLの溶出バッファー(200mMイミダゾール、50mM HEPES、500mM NaCl、1mM bME)中に溶出された。EP‐B2はカラム上でリフォールディングされねばならず、よって溶解後にペレットは10mLのEP‐B2バッファーに再懸濁されたが、該バッファーは、EP‐B2封入体の変性を可能にするためにddHOの代わりに塩酸グアニジン中で希釈されるという点でのみ洗浄バッファーと異なっている。この再懸濁物はペレット化され、上清(変性EP‐B2を含む)は0.8μmフィルタを用いてカラム上へ向けてろ過された。EP‐B2は20mLのEP‐B2バッファーで1回洗浄され、その後カラム上でタンパク質をリフォールディングするために20mLの洗浄バッファーで2回洗浄された。タンパク質は15mlの溶出バッファーを用いて溶出された。全てのタンパク質は15mLから~500uLまで濃縮され、次いで1Lの透析バッファー(20%グリセロール、50mM HEPES、500mM NaCl、1mM bME)の中で1回透析された。タンパク質濃度は、KumaWTおよびすべてのKumaWTバリアントについては53,985M-1cm-1、SC Pepについては152,290M-1cm-1、およびEP‐B2については58,245M-1cm-1の吸光係数を用いて分光測光法で計算された。
スクリーニング方法
KumaWTに突然変異を生成するためにキュンケル(Kunkel)の突然変異誘発法が使用された。プレートから採取された個別のコロニーは、深型の96ウェルプレートで増殖せしめられた。Triton(登録商標)バッファー(1%の100×Triton、1mg/mLのリゾチーム、0.5mg/mLのDNase、1×PBS)を用いて細胞を溶解した後、上清は100mM酢酸ナトリウムバッファーでpH4に調節された。FQ基質に対する活性について粗くスクリーニングするために、10uLの上清が96ウェル黒色プレート内の5μΜの基質90uLに添加され、蛍光が1時間にわたって30秒間隔で測定された。
精製酵素のアッセイ
活性スクリーニングにおいてFQ基質に対し最も高い活性を示したクマモリシン‐Asのバリアントは、配列が決定され、次いで小スケールで精製された。500uLのTB+Kan終夜培養物は50mLのTB+Kanに添加され、光学密度0.5~0.8に達するまで37℃で増殖せしめられた。IPTGが0.5mMになるように添加され、培養物は22℃で16~24時間発現せしめられた。細胞は遠沈され、500uLの洗浄バッファー(1×PBS、5mMイミダゾール、ddHO)中に再懸濁され、2mLのエッペンドルフ(登録商標)チューブに移され、1mLの溶解バッファー(1×PBS、5mMイミダゾール、2×Bug Buster(商標)、2mg/mLのリゾチーム、0.2mg/mLのDNase、ddHO)中で溶解された。遠心分離後、上清は新しいチューブへ傾瀉された。200uLのTALONコバルト樹脂を備えたカラムがエッペンドルフチューブ内に置かれ、上清が該カラムの上に注がれて20分間振り動かされた後、遠沈されて通過画分が廃棄された。タンパク質は500uLの洗浄バッファーで3回洗浄され、洗浄の間の通過画分は廃棄された。酵素は200uLの溶出バッファー(1×PBS、200mMイミダゾール、ddHO)中で溶出され、濃度は53,985M-1cm-1の吸光係数を使用して分光測光法により算出された。
アッセイについて、クマモリシン‐As突然変異体はpH4の100mM酢酸ナトリウムバッファー中で15分間インキュベートされた。酵素は、最終的なタンパク質濃度が0.0125mg/mLとなるように5μΜの基質に添加された。蛍光は1時間にわたって30秒間隔で測定された。
速度論的特徴解析
グルテン分解に関する酵素バリアントの傾向は、蛍光消光されたα‐グリアジンヘキサペプチドアナログQXL520‐PQPQLP‐K(5‐FAM)‐NH2(FQ)(配列番号69)を基質とした加水分解によって測定された。各酵素は100mMのpH4酢酸ナトリウムバッファー中で室温にて15分間インキュベートされた。15分後、50uLの蛍光基質がペプチド終濃度100、50、25、12.5、6.25、および0μΜの範囲で添加され、すべての基質濃度変動値にわたって0.05μΜのKumaMax(商標)、0.5μΜのKumaWT、0.5μΜのSC Pep、および0.5μΜのEP‐B2の濃度が維持された。プレートの読み取りは直ちに分光光度計で1時間、励起波長に455nmを使用し、485nmの発光波長を読み取って行われた。
該酵素について、加水分解されるとp‐ニトロアニリン(pNA)を放出する様々な色素形成基質すなわち:[Suc‐APQ‐pNA]、[Suc‐AQP‐pNA]、[Suc‐APE‐pNA]、および[Suc‐APR‐pNA]を使用して、様々なジペプチドモチーフに対する特異性についても試験された。この場合も、各酵素は100mMのpH4酢酸ナトリウムバッファー中で室温にて15分間インキュベートされた。15分後、20uLの基質が、基質終濃度1000、500、250、125、62.5、31.25、15.625、および0μΜの範囲となるように、かつ試験されているすべての酵素が最終的に0.5μΜの濃度になるように、酵素インキュベーション物に添加された。プレートの読み取りは直ちに分光光度計で1時間、反応物による385nmの吸収をモニタリングして行われた。
蛍光ペプチド用の標準曲線には、基質および生成物を併せてpH4のバッファー中で様々な濃度で混合することが必要であった。基質濃度は100、50、25、12.5、6.25、および0μΜであり、生成物濃度は20、5、1.25、0.3125、0.078125、0μΜであった。
吸収性ペプチドの標準曲線には、pH4バッファーで希釈された100、50、25、12.5、6.25、3.125、1.5625、0.78125、0.390625、0.1953125、0.09765625、および0μΜの生成物濃度を要した。
プロテアーゼ安定性
酵素の安定性は、消化プロテアーゼであるペプシンおよびトリプシンの存在下で測定された。KumaWT、KumaMax(商標)、SC Pep、およびEP‐B2は、各消化プロテアーゼの天然のpH環境と一致するバッファー中でインキュベートされた。ペプシン消化アッセイ用に酵素をプレインキュベートするためにはpH3.5の100mM酢酸ナトリウム、およびトリプシン消化アッセイ用にはpH7.5の透析バッファー(「タンパク質の発現および精製」を参照)が使用された。実験用の酵素はそれぞれ0.2mg/mLの濃度で各バッファー中にて37℃で15分間インキュベートされた。
適切なバッファー中でのプレインキュベーション後、0.1mg/mLの消化プロテアーゼが添加された。反応は3連で実施され、37℃で30分間インキュベートされた。SDSの添加および5分間の煮沸により確実に消化プロテアーゼを不活性化した。SDS‐PAGEゲルから、ImageJを使用して、酵素分解の定量化が可能となった。
タンパク質の自己タンパク質分解速度はペプシンまたはトリプシンの非存在下でpH4および7.5において測定された。0.2mg/mLの濃度の各酵素は、pH4の100mM酢酸ナトリウムおよびpH7.5の透析バッファー中でインキュベートされた。20、40、および60分において時間点がとられた。SDSが添加され、酵素の変性およびさらなる自己タンパク質分解の阻害を確実にするためにアリコートが5分間煮沸された。ここでもSDS‐PAGEゲルとImageJとの併用により酵素の自己タンパク質分解の定量化が可能となった。
LCMSグリアジン分解アッセイ
完全長α9‐グリアジンに対する酵素活性は高速液体クロマトグラフィー‐質量分析法を使用して測定された。各酵素について、pH4の1M酢酸ナトリウムバッファー7μLが5μΜの酵素28μLに添加され、別個の3μLのグリアジンのチューブと並んで37℃で15分間インキュベートされた。次に27μLの各酵素混合物、および対照として27μLの透析バッファーがグリアジンの各チューブに添加された。これらはもう一度37℃でインキュベートされ、10、20、30、40および50分において5μLの試料が取り出された。各時点の試料は、1%のギ酸およびおよそ33μΜのロイペプチンを含んだ95μLの80%アセトニトリル中で停止処理された。該試料は、様々なプロテアーゼによるグリアジン分解を経時的に比較するためにHPLCで分析された。
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、記載する。
[項目1]
配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドであって、
(a)pH4でPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解し;
(b)残基278はSerであり、残基78はGluであり、残基82はAspであり;かつ
(c)残基73、102、103、104、130、165、168、169、172および179で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号67と比較してアミノ酸の変更を含んでなる
ポリペプチド。
[項目2]
配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも75%同一のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドであって、
(a)pH4でPQPQLP(配列番号34)ペプチドを分解し;
(b)残基467はSerであり、残基267はGluであり、残基271はAspであり;かつ
(c)残基119、262、291、292、293、319、354、357、358、361および368で構成されている群から選択された1つ以上の残基において配列番号33と比較してアミノ酸の変更を含んでなる
ポリペプチド。
[項目3]
配列番号1または配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含んでなる、項目1または2に記載のポリペプチド。
[項目4]
配列番号1または配列番号35のアミノ酸配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含んでなる、項目1または2に記載のポリペプチド。
[項目5]
配列番号35のアミノ酸配列を含んでなる、項目1に記載のポリペプチド。
[項目6]
配列番号1のアミノ酸配列を含んでなる、項目2に記載のポリペプチド。
[項目7]
配列番号2~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなる、項目1~6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[項目8]
配列番号32または配列番号66のアミノ酸配列を含んでなる、項目1~8のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[項目9]
配列番号1のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドであって、配列番号33と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を含んでなるポリペプチド。
[項目10]
配列番号35のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドであって、配列番号67と比較して少なくとも1つのアミノ酸の変更を含んでなるポリペプチド。
[項目11]
配列番号2~66のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなる、項目9または10に記載のポリペプチド。
[項目12]
配列番号32または配列番号66のアミノ酸配列を含んでなる、項目9~11のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[項目13]
項目1~12のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
[項目14]
項目13に記載の単離核酸を含んでなる核酸発現ベクター。
[項目15]
項目14に記載の核酸発現ベクターを含んでなる組換え宿主細胞。
[項目16]
項目1~12のいずれか1項に記載のポリペプチド、項目13に記載の核酸、項目14に記載の核酸発現ベクター、および項目15に記載の組換え宿主細胞のうちの少なくとも1つと、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物。
[項目17]
セリアックスプルーを治療するための方法であって、セリアックスプルーに罹患している個体に、セリアックスプルーを治療するために有効な量の、項目1~12のいずれか1項に記載のポリペプチド、または配列番号33もしくは配列番号67で構成されている群から選択されたアミノ酸を含んでなるポリペプチドを、投与することを含んでなる方法。[項目18]
セリアックスプルーを治療するための方法であって、セリアックスプルーに罹患している個体に、セリアックスプルーを治療するために有効な量の項目16に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
[項目19]
ポリペプチドまたは医薬組成物は経口投与される、項目17または18に記載の方法。[項目20]
ポリペプチドは配列番号32または配列番号66のアミノ酸配列を含んでなる、項目17~19のいずれか1項に記載の方法。
参考文献



Figure 2024028452000008

Figure 2024028452000009

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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