JP2024027343A - 設計変更確認方法、プログラム、および設計変更確認装置 - Google Patents

設計変更確認方法、プログラム、および設計変更確認装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ワイヤハーネスの設計において、設計変更内容の確認を容易にできるようにする。【解決手段】S127では、最新の編成に適用される配線情報を新配線情報として取得する。S126では、PNリスト(履歴情報)を用いて、ワイヤハーネス単位で、最後に設計変更が行われた編成である最終変更編成を特定し、編成別ファイル(編成別記憶部)から、最終変更編成のワイヤハーネスの設計に用いられた配線情報を旧配線情報として取得する。S128では、新配線情報と旧配線情報とを、該電線単位で比較する。S129では、S128での比較結果に従って、ワイヤハーネス単位での設計変更の有無を判定する。【選択図】図13

Description

本開示は、ワイヤハーネスの設計を支援する方法に関する。
車両や航空機などの移動体には、電力や電気信号などを伝える電線を束ねたハーネスが配線されている。従来のワイヤハーネスを設計および製造し、製造したワイヤハーネスを移動体の所望の位置に配線する作業(例えば、特許文献1参照。)は熟練が必要な難しい作業であり、時間を要する作業であった。
特開2010-137649号公報
ワイヤハーネスの設計では、ワイヤハーネスに含まれる電線に関する複数の情報がリスト化された配線情報(または「From to リスト」とも表記する。)などに基づいて設計が行われる。配線情報には、例えば、電線が接続される相手である機器に関する情報等が含まれる。
ワイヤハーネスの設計では、最初から完成した配線情報が得られるわけではなく、設計と並行して配線情報が順次追加される場合がある。また、配線情報は、設計が終了した後でも、電線やコネクタの仕様変更など、種々の理由によって変更され、更新される場合がある。
配線情報が変更されると、変更された配線情報に関連する全てのワイヤハーネスについて、設計やり直しの要否を確認する必要がある。特に、複数の車両が連結される列車では、連結する車両の組み合わせが異なる編成毎に使用するワイヤハーネスも異なるため、確認対象となるワイヤハーネスの数が数千に上ることがあり、膨大な手間を要するという問題があった。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、ワイヤハーネスの設計において、設計変更内容の確認を容易にできるようにすることを目的とする。
本開示の一態様は、列車に配線される複数の電線に関する情報である配線情報を用いた、複数の電線からなるワイヤハーネスの設計において、列車の編成に応じて変更される配線情報の変更内容を確認する設計変更確認方法であって、第1取得工程と、第2取得工程と、比較工程と、判定工程と、出力工程と、を備える。第1取得工程では、最新の編成に適用される配線情報を新配線情報として取得する。第2取得工程では、ワイヤハーネス単位での設計変更の有無が編成毎に記録された履歴情報を用いて、ワイヤハーネス単位で、最後に設計変更が行われた編成である最終変更編成を特定する。さらに、第2取得工程では、編成に対応づけて該編成でのワイヤハーネスの設計に用いた配線情報が記憶されている編成別記憶部から、最終変更編成のワイヤハーネスの設計に用いられた配線情報を旧配線情報として取得する。比較工程では、新配線情報と旧配線情報とを、該電線単位で比較する。判定工程では、比較工程での比較結果に従って、ワイヤハーネス単位での設計変更の有無を判定する。出力工程では、比較工程での比較結果、および判定工程での判定結果を出力する。
本開示の一態様は、列車に配線される複数の電線に関する情報である配線情報を用いた、複数の電線からなるワイヤハーネスの設計において、列車の編成に応じて変更される配線情報の変更内容を確認するプログラムであって、コンピュータに、第1取得工程と、第2取得工程と、比較工程と、判定工程と、出力工程と、を実行させる。
本開示の一態様は、列車に配線される複数の電線に関する情報である配線情報を用いた、複数の電線からなるワイヤハーネスの設計において、列車の編成に応じて変更される配線情報の変更内容を確認する設計変更確認装置であって、第1取得部と、編成別記憶部と、第2取得部と、比較部と、判定部と、出力部と、を備える。第1取得部は、第1取得工程の機能を実現する。編成別記憶部は、編成に対応づけて該編成でのワイヤハーネスの設計に用いた配線情報が記憶される。第2取得部は、第2取得工程の機能を実現する。比較部は、比較工程の機能を実現する。判定部は、判定工程の機能を実現する。出力部は、出力工程の機能を実現する。
本開示によれば、ワイヤハーネスの設計において、設計変更内容の確認を容易にできる。
本発明の一実施形態に係る配線支援システムの構成を説明するブロック図である。 設計支援装置の構成を説明するブロック図である。 ワイヤハーネスの構成を説明する模式図である。 3次元CADデータに基づいて生成される車両のモデルを説明する図である。 仮想空間情報に基づいて生成される仮想空間を説明する図である。 仮想空間に配置されるガイド部の構成を説明する模式図である。 公差ゲージが表示される態様を説明する模式図である。 製造支援装置の構成を説明する模式図である。 ワイヤハーネス配線情報を例示する説明図である。 配線支援システムによるワイヤハーネスの配線支援方法を説明するフローチャートである。 設計準備の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 PNリストを例示する説明図である。 差分確認の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 確認用プログラムの設定シートを例示する説明図である。 フォルダアドレス一覧を例示する説明図である。 確認対象ハーネスリストを例示する説明図である。 確認用プログラムの出力結果である電線単位の差分確認シートを例示する説明図である。 確認用プログラムの出力結果であるハーネス単位の差分確認シートである。 リスト作成の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 仮想空間作成の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 電線ルーティング作業の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 重量チェックの方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 寸法調整の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 ハーネス設計図作成の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 座標変換の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 ハーネスボード図面作成の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 レシピの確認の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 ワイヤハーネス製造の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。 ワイヤハーネス配線の方法を説明するサブルーチンのフローチャートである。
本開示の一実施形態に係るトータル支援システム1について、図1から図29を参照しながら説明する。本実施形態では、本開示のトータル支援システム1が、複数の鉄道車両(移動体)を連結した列車の車体に配線されるワイヤハーネス500の設計、製造、および、配線を支援するシステムである例に適用して説明する。列車には、列車を組成する車両の組み合わせ方、ワイヤハーネス500の仕様が異なる複数の編成が存在する。ワイヤハーネス500は、編成毎に設計される。
ワイヤハーネス500は、図3に示すように、列車を構成する鉄道車両の車体に搭載された機器の間をつなぐ電線501が複数束ねられたものである。電線501は、接続された機器の間で電力や電気信号などを伝えるものである。電線501の端部には、接続される機器に対応した形状を有するコネクタ502が取り付けられている。
ワイヤハーネス500には、複数の電線501を束ねて拘束する拘束部材503が設けられている。拘束部材503としては、粘着テープや、チューブ、結束バンドなどの樹脂製の結束部材や、金属製の結束部材や、ロウ引き紐などを例示することができる。なお、結束部材には、貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔は、結束部材により束ねられたワイヤハーネス500を、鉄道車両の車体に固定する際に用いられるボルトなどの固定部材が挿通されるものである。
本実施形態では、拘束部材503が粘着テープである例に適用して説明する。ワイヤハーネス500における複数の電線501が束ねられた部分を幹線511、幹線511から電線501が分かれる位置を分岐点512、幹線511から分かれた先の部分を枝線513とも表記する。
トータル支援システム1には、図1に示すように、ワイヤハーネス500の設計支援を行う設計支援装置100と、ワイヤハーネス500の製造支援を行う製造支援装置200と、ワイヤハーネス500の配線作業を支援する情報処理端末300と、が設けられている。設計支援装置100および製造支援装置200の間と、設計支援装置100および情報処理端末300の間は、専用の情報通信回線または公知の情報通信網を介して情報通信可能に接続されている。
設計支援装置100は、仮想の空間である設計空間の中でワイヤハーネス500の設計を行うものである。設計支援装置100は、HMI部100aと、外部IF部100bと、制御用コンピュータ100cとを備える。
HMI部100aは、設計支援装置100と使用者との間で情報をやり取りするための各種機器であり、キーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置、液晶画面、ランプ等の表示装置、マイク、スピーカ等の音響装置等を含む。HMIは、Human Machine Interfaceの略である。
外部IF部100bは、USBメモリ等の外部機器が接続されるインタフェースである。
本実施形態では、制御用コンピュータ100cが、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェースなどを有するパーソナルコンピュータやサーバなどの情報処理機器である例に適用して説明する。
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、図2に示すように、CPU、ROM,RAM、入出力インタフェースを協働させた配線情報部101、PN情報部103、差分情報部105、ハーネス単位定義部107、仮想電線設定部109、径算出部111、空間配置部113、ガイド配置部115、ルーティング部117、整線部119、ワイヤハーネス定義部121(以後「ハーネス定義部121」とも表記する。)、ワイヤハーネス情報部123(以後「ハーネス情報部123」とも表記する。)、拘束部材情報部125、重量算出部127、寸法調整部129、ハーネス用デジタルボード調整部131(以後「ボード情報部131」とも表記する。)、座標変換部133、サイズ情報部135、製造用情報部137、ゲージ情報部139、レシピ作成部141、および、工程情報部143として機能させるものである。
配線情報部101は、編成毎に設けられる編成別ファイルを備える。各編成別ファイルには、配線情報等、ワイヤハーネス500の設計に関する情報が記憶される。配線情報は、予め定められたルールに従って、ワイヤハーネス500の構成要素となる電線501に関する各種情報が書き込まれたリストである。
PN情報部103は、どの編成のどのワイヤハーネス500にて設計変更が行われたかを示す履歴情報であるPNリストを生成する処理を行うものである。具体的な処理内容については後述する。また、PNリストの内容についても後述する。
差分情報部105は、編成別ファイルに記録されている既存の編成の配線情報(旧配線情報)と、新たに取得された新編成の配線情報(新配線情報)とを比較して、ワイヤハーネス500毎および該ワイヤハーネス500に属する電線501毎に、設計変更の有無を確認する処理などを行うものである。具体的な処理内容については後述する。
ハーネス単位定義部107は、原配線情報に含まれるエリア情報、および、用途情報の少なくとも一方に基づいて、原配線情報に含まれる複数の電線501からワイヤハーネス500としてまとめる電線501の組み合わせを判定する処理を行うものである。具体的な処理内容については後述する。原配線情報とは、ハーネス設計の依頼元から提供されるフリーフォーマットで記載された配線情報である。
仮想電線設定部109は、複数の電線501を1つにまとめた仮想的な電線である仮想電線を作成する処理を行うものである。仮想電線を作成する処理の内容は、作成単位が機器単位であるか、コネクタ単位かにより異なる。具体的な処理内容については後述する。
径算出部111は、仮想電線の径(具体的には直径)を算出する処理を行うものである。仮想電線の直径は、仮想電線に含まれる複数の電線501を、1本の電線と見立てることにより算出される。具体的な処理内容については後述する。
空間配置部113は、仮想の3次元空間である設計空間の中に生成された車体のモデル601(図4参照。)に対して、電線501が配置される仮想空間611(図5参照。)を配置する演算処理を行うものである。空間配置部113における演算処理の内容については後述する。
車体のモデル601は、3次元CAD(Computer Aided Design)データ(3D設計データ)に基づいて生成されるものである。3次元CADデータには、部品形状情報、部品位置情報、機器位置情報、および、接続位置情報が少なくとも含まれている。部品形状情報は、車体を構成する構造部品の形状の情報である。部品位置情報は、車体における構造部品が配置される位置の情報である。機器位置情報は、車体に配置される機器が配置される位置の情報である。接続位置情報は、当該機器における電線501が接続される位置である。
仮想空間611は、仮想空間情報に基づいて生成されるものである。仮想空間611は、設計空間の中に設定される仮想上の空間であって、車体を構成する構造部品の間に設定される空間である。図5では、仮想空間611にドットでハッチングして表示している。
仮想空間情報には、仮想空間611の形状に関する情報である空間形状情報、および、当該仮想空間611が配置される位置の情報である空間位置情報が少なくとも含まれている。
ガイド配置部115は、ガイド部621を仮想空間611内に配置する演算処理を行うものである。ガイド配置部115における演算処理の内容については後述する。ガイド部621は、図6に示すように、仮想空間611内に配置される仮想上の板状部材である。ガイド部621には、電線501が挿通されるガイド孔622が設けられている。ガイド孔622に電線501を挿通させることにより、電線501が配置される位置が定められる。ガイド孔622に挿通させる電線501は、例えば、電線501の配置時に定められる。
なお、ガイド部621の形状は、図6に示す形状に限定されるものではなく、ガイド部621が配置される仮想空間611の断面形状に基づいて定めることができる。同様に、ガイド孔622の大きさは、挿通させる電線501の径に基づいて定めることができる。ガイド部621におけるガイド孔622が設けられる位置も、後述するワイヤハーネス500を形成する複数の電線501が隣接するように定めることができる。
ルーティング部117は、配線情報に基づいて電線501が仮想空間611に配置される経路の情報である配線経路情報を作成するものである。ルーティング部117における演算処理の内容については後述する。配線経路情報は、ハーネスルーティングデータとも表記される。配線経路情報には、設計空間の中で配置された電線501の3次元形状を表示する図形情報も含まれている。
配線情報は、From To リストとも表記される。配線情報には、機器特定情報、電線種類情報、電線長情報、公差情報、径情報、および、ラベル文字情報が少なくとも含まれている。機器特定情報は、電線501が接続される機器(図示せず。)を特定する情報である。電線種類情報は、当該電線501の種類を特定する情報である。電線長情報は、当該電線501の長さを表す情報である。公差情報は、当該電線501について定められた長さの値に対して予め定められた誤差の範囲を示す情報である。径情報は、当該電線501の径を表す情報である。ラベル文字情報は、当該電線501に付与するラベル文字を示す情報である。
なお、上述の長さ情報は、初期状態において配線情報に含まれていなくてもよいし、上述の長さ情報の代わりとして電線501の目安としての長さの情報が含まれていてもよい。
上述の長さ情報が配線情報に含まれていない場合には、後述するハーネス情報部123により求められる電線501の長さ情報が、上述の長さ情報として配線情報に含められる。また、目安としての長さ情報が配線情報に含まれている場合には、ハーネス情報部123により求められる電線501の長さ情報が上書きされる。
なお初期状態とは、配線情報が作成されてから、ハーネス情報部123により求められる電線501の長さ情報が、配線情報に含められるまで、または、上書きされるまでの状態をいう。
以下では、各電線501が有する二つの端部を、Fサイド、Tサイドともいう。また、Fサイドの端部が接続される機器の配置されている車両内の領域をFエリア、Tサイドの端部が接続される機器の配置されている車両内の領域をTエリアともいう。
配線情報は、ワイヤハーネス500毎にまとめて記憶される。図9は、一つのワイヤハーネス500についての配線情報の一部を例示する。配線情報には、ワイヤハーネス500を構成するすべての電線501についての情報が列挙される。すなわち、配線情報には、電線501を識別する「ユニーク番号」に対応づけて記憶される「Fサイド」「Fエリアラベル文字」「ケーブルP/N」「Tエリアラベル文字」「Tサイド」等が含まれる。「Fサイド」は、電線501の一端であるFサイドが接続される車両内領域(すなわち、Fエリア)を表すエリア情報である。「Tサイド」は、電線501の他端であるTサイドが接続される車両内領域(すなわち、Tエリア)を表すエリア情報である。「Fエリアラベル文字」は、電線501のFサイド端に印刷されるラベル文字であり、例えば、Fエリアの名称が用いられる。「Tエリアラベル文字」は、電線501のTサイドに記入するラベル文字であり、例えば、Tエリアの名称が用いられる。「ケーブルP/N」は、電線501の用途種別を表す情報である。つまり、図9に示す配線情報は、1~4で識別されるFサイドと5~8で識別されるTサイドとを接続する10本の電線501によって、1つのワイヤハーネス500が構成されることを示す。
整線部119は、仮想空間611内に配置されている電線501を整理する演算処理を行うものである。整線部119における演算処理の内容は後述する。
ハーネス定義部121は、仮想空間611に配置された電線501を束ねてワイヤハーネス500を定義する演算処理を行うものである。ハーネス定義部121における演算処理の内容は後述する。
ハーネス情報部123は、定義されたワイヤハーネス500についてワイヤハーネス情報(2D設計データ)を作成する演算処理を行うものである。ハーネス情報部123における演算処理の内容は後述する。作成されたワイヤハーネス情報は、設計したワイヤハーネス500の承認手続きや、ワイヤハーネス500の製造に用いられる。
拘束部材情報部125は、3次元CADデータおよびワイヤハーネス情報に基づいてワイヤハーネス500に用いられる拘束部材503の長さ、言い換えると使用量を含む拘束部材情報を作成する演算処理を行うものである。本実施形態では、拘束部材503が粘着テープである例に適用して説明する。作成された拘束部材情報は、リスト形式のデータとして出力可能な情報である。拘束部材情報部125における演算処理の内容は後述する。
重量算出部127は、電線501の種別ごとに重量を計算する処理や、算出された種別ごとの電線501の重量に基づいてワイヤハーネス500における総重量を計算する処理を行うものである。具体的な処理内容については後述する。
寸法調整部129は、ルーティング部117にて作成される配線経路情報に余長、公差、丸めを加えた新配線経路情報を作成する処理などを行うものである。丸めとは、数値の端数などを処理することを意味する。具体的な処理内容については後述する。
ボード情報部131は、ワイヤハーネス情報および新配線経路情報に基づいてハーネス用デジタルボード情報を作成する演算処理を行うものである。ハーネス用デジタルボード情報は、後述するハーネス用デジタルボード201に表示される図面情報を含む情報である。
座標変換部133は、枝線513が幹線511に対して斜め方向に延びている情報を、幹線511に対して枝線513が直交する方向へ延びるように情報を変換する処理を行うものである。具体的な処理内容については後述する。
サイズ情報部135は、後述するボード表示部202の大きさに関するサイズ情報を設定する演算処理を行うものである。ボード表示部202は、ハーネス用デジタルボード201におけるワイヤハーネス500を作成する際に電線501が置かれる配置面でもある。
製造用情報部137は、ハーネス用デジタルボード情報およびサイズ情報に基づいて、ワイヤハーネス500の製造に用いられる図面情報を含む製造用情報(製造方法を示す情報)を作成する演算処理を行うものである。図面情報は、ハーネス用デジタルボード201におけるボード表示部202に表示される情報である。
ゲージ情報部139は、配線情報に含まれる公差情報に基づいて、公差ゲージ631の情報であるゲージ情報を作成する演算処理を行うものである。ゲージ情報は、ボード表示部202に公差ゲージ631を表示させる情報であり、作成されたゲージ情報は図面情報に含まれる。
公差ゲージ631は、図7に示すように、電線501をハーネス用デジタルボード201のボード表示部202に配置した際に、当該電線501のFサイドの端部およびTサイドの端部が配置される位置の許容範囲を表すものである。
レシピ作成部141は、配線情報に基づいて製造レシピを作成する処理を行うものである。製造レシピは、ワイヤハーネス500の生産に用いられる情報であって、ワイヤハーネス500を製造する工程の内容や順序などの情報を含むものである。
工程情報部143は、ワイヤハーネス情報および配線情報に基づいて、ワイヤハーネス500の配線工程に応じた配線工程情報を作成する演算処理を行うものである。配線工程情報は、情報処理端末300の端末表示部321に、ワイヤハーネス500の配線工程に応じた表示を可能とする情報である。例えば、配線作業を行うワイヤハーネス500の枝線513またはコネクタ502の順序を表示したり、ワイヤハーネス500の3次元図面を表示するとともに配線作業を行う枝線513をハイライト表示したりすることが可能な情報である。また、工程情報部143は、配線経路情報に基づいて、配線工程情報を作成する演算処理を行うものであってもよい。また、工程情報部143は、配線経路情報および後述するハーネス3次元情報に基づいて、配線工程情報を作成する演算処理を行うものであってもよい。
なお、本実施形態では1つの設計支援装置100が、配線情報部101、PN情報部103、差分情報部105、ハーネス単位定義部107、仮想電線設定部109、径算出部111、空間配置部113、ガイド配置部115、ルーティング部117、整線部119、ハーネス定義部121、ハーネス情報部123、拘束部材情報部125、重量算出部127、寸法調整部129、ボード情報部131、座標変換部133、サイズ情報部135、製造用情報部137、ゲージ情報部139、レシピ作成部141、および、工程情報部143として機能する例に適用して説明するが、これらを複数の設計支援装置100に分散させてもよい。
例えば、一の設計支援装置100が配線情報部101、PN情報部103、差分情報部105、ハーネス単位定義部107、仮想電線設定部109、径算出部111、空間配置部113、ガイド配置部115、ルーティング部117、整線部119、ハーネス定義部121、ハーネス情報部123、拘束部材情報部125、重量算出部127、および、寸法調整部129、として機能し、他の設計支援装置100がボード情報部131、座標変換部133、サイズ情報部135、製造用情報部137、ゲージ情報部139、レシピ作成部141、および、工程情報部143として機能するように分散させる方法を挙げることができる。一の設計支援装置100および他の設計支援装置100の間は、情報通信可能に直接接続されていてもよいし、サーバを介して情報通信可能に接続されていてもよい。
製造支援装置200はワイヤハーネス500を製造するものである。製造支援装置200には、図3および図8に示すように、ハーネス用デジタルボード201と、制御用コンピュータ211と、データサーバ221と、が主に設けられている。更に、製造支援装置200には、読み取り部231、電線切断機241および印刷機251を含むワイヤハーネス500の製造に用いられる機器も設けられている。
ハーネス用デジタルボード201は、ワイヤハーネス500の製造に用いられる机状に形成されたものである。ハーネス用デジタルボード201には、ワイヤハーネス500が製造される作業台でもあるボード表示部202が設けられている。
ボード表示部202は、ワイヤハーネス500の製造に必要な広さおよび長さを有する面である。ボード表示部202は、ワイヤハーネス500が製造される面であるとともに、デジタル情報である図面情報が表示される表示面でもある。ボード表示部202は制御用コンピュータ211と情報通信可能に接続され、表示する図面情報に関する情報が制御用コンピュータ211から送られている。なお、制御用コンピュータ211は、図面情報を含む製造用情報をデータサーバ221から読み込んでもよい。
本実施形態では、ボード表示部202の表示面が液晶ディスプレイである例に適用して説明する。なお、ボード表示部202の表示面は、上述の液晶ディスプレイに限られるものではなく、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイであってもよいし、プロジェクターにより図面情報が投影される投影面であってもよい。
読み取り部231は、ボード表示部202の表示面に表示されるバーコードなどの識別子を光学的に読み取るものである。読み取り部231は、制御用コンピュータ211と情報通信可能に接続され、読み取った識別子の情報を制御用コンピュータ211に出力するものである。
本実施形態では、読み取り部231は、携帯可能な大きさおよび重さであり、制御用コンピュータ211と公知の無線通信技術を用いて情報通信可能に接続されている例に適用して説明する。また、識別子としては、公知の方式や形式のものを用いることができる。
電線切断機241は、ワイヤハーネス500の製造に用いられる電線501を、予め定められた所望の長さに切断するものである。電線切断機241は、制御用コンピュータ211と情報通信可能に接続され、制御用コンピュータ211から入力される制御信号に基づいて電線501の切断を行うものである。なお、切断される電線501は、供給リール(図示せず)から繰り出されたものである。
印刷機251は、切断された電線501やワイヤハーネス500に取り付けられるラベルを印刷するものである。ラベルは、電線501の識別等に用いられるものである。印刷機251は、制御用コンピュータ211と情報通信可能に接続され、制御用コンピュータ211から入力される情報に基づいてラベルに印刷を行うものである。
制御用コンピュータ211は、ハーネス用デジタルボード201における図面情報の表示を制御するものである。また、ワイヤハーネス500の製造に用いられる電線切断機241や印刷機251などの他の機器の制御や、作業履歴や検査結果などのワイヤハーネス500の製造に関する情報を取得するものでもある。
本実施形態では制御用コンピュータ211が、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するパーソナルコンピュータなどの情報処理機器である例に適用して説明する。
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、図8に示すように、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて入出力部212、制御部213として機能させるものである。
入出力部212は、設計支援装置100、ボード表示部202、読み取り部231、電線切断機241、印刷機251、およびデータサーバ221と情報通信可能に接続されるものである。本実施形態では、ボード表示部202、電線切断機241、印刷機251およびデータサーバ221との間は、LAN(Local Area Network)ケーブル等を用いた公知の方式による有線情報通信が可能に接続され、読み取り部231との間で無線LAN等の公知の方式による無線情報通信が可能に接続される例に適用して説明する。設計支援装置100との間は、公知の情報通信網を用いた情報通信が可能に接続される例に適用して説明する。
制御部213は、ボード表示部202、電線切断機241および印刷機251の動作を制御する制御信号を生成するものである。また、データサーバ221に作業履歴や検査結果などのワイヤハーネス500の製造に関する情報を記憶させるものである。
データサーバ221は、LANケーブル等で構成された情報通信網を介して制御用コンピュータ211と情報通信可能に接続されたサーバである。本実施形態ではデータサーバ221が、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するサーバなどの情報処理機器である例に適用して説明する。
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、図8に示すように、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて記憶部222として機能させるものである。記憶部222は、制御用コンピュータ211が取得した作業履歴や検査結果などのワイヤハーネス500の製造に関する情報を記憶するものである。また、記憶部222は、図面情報を含む製造用情報を記憶するものであってもよい。
情報処理端末300は、ワイヤハーネス500の配線作業を支援する情報を表示するものである。本実施形態では、情報処理端末300がCPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有する作業者が携帯して移動可能なタブレット型やノート型の情報処理機器である例に適用して説明する。
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、図1に示すように、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等を協働させて端末記憶部301、端末制御部311、および、端末表示部321として機能させるものである。
端末記憶部301は、設計支援装置100から取得した配線工程情報および配線経路情報を記憶するものである。端末制御部311は、ワイヤハーネス500の配線工程に応じた配線工程情報および配線経路情報を表示させる制御を行うものである。端末制御部311による制御内容については後述する。
端末表示部321は、配線作業を行う作業者に対して配線工程情報および配線経路情報を表示するものである。また端末表示部321は、作業者による情報処理端末300への操作が入力されるタッチスクリーン等の入力部でもある。本実施形態では、端末表示部321が液晶ディプレイとタッチスクリーンが組み合わされたものである例に適用して説明する。
次に、上記の構成を備えるトータル支援システム1におけるワイヤハーネス500のトータル支援方法について図9から図29を参照しながら説明する。本実施形態のトータル支援システム1においてワイヤハーネス500の配線支援が開始されると、図10に示すように、設計支援装置100は設計準備の処理を行う(S100)。この設計準備の処理を実行する設計支援装置100が設計変更確認装置に相当し、また、設計準備の処理によって設計変更確認方法が実現される。
ここで設計準備の処理を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、設計支援装置100は、図11に示すように、設計に用いる原配線情報を取得し、取得した原配線情報にワイヤハーネス単位(以下、ハーネス単位ともいう)を表す情報が含まれているか否かを判定する(S111)。設計支援装置100は、原配線情報を、外部IF部100bを介して取得する。具体的には、例えば、持ち運び可能な記憶装置から読み取ることで取得してもよいし、原配線情報が保存されている外部サーバにアクセスすることで取得してもよい。原配線情報は、図9に示された情報が、フリーフォーマットで記載されたものである。設計支援装置100は、例えば、原配線情報がハーネス別に作成されている場合、ハーネス単位を表す情報が含まれていると判定し、ハーネスによらず一括して作成されている場合、ハーネス単位を表す情報が含まれていないと判定してもよい。
設計支援装置100は、原配線情報にハーネス単位を表す情報が含まれていないと判定した場合(NOの場合)、ハーネス単位定義の処理(S112)を行った後、S113に進む。また、設計支援装置100は、原配線情報にハーネス単位を表す情報が含まれていると判定した場合(YESの場合)、ハーネス単位定義の処理を行うことなく、S113に進む。
ハーネス単位定義の処理(S112)では、設計支援装置100は、原配線情報に含まれるエリア情報、および、ケーブルP/Nの少なくとも一方に基づいて、原配線情報に含まれる複数の電線501からワイヤハーネス500としてまとめる電線501の組み合わせを判定し、ハーネス単位の定義を行う。
ここでエリア情報は、電線501が接続される機器が設置されるエリアを特定する情報であり、ケーブルP/Nは、電線501の用途種別(例えば、交流用電線、直流用電線、シールド回線)を特定する情報である。
エリア情報に基づくことにより、ワイヤハーネス500が配線される場所、例えば、鉄道車両における号車、車両の右側、左側などを考慮してワイヤハーネス500としてまとめる電線501の組み合わせの判定が可能となる。また、電線501のケーブルP/Nに基づくことにより、ワイヤハーネス500に交流用電線のみをまとめる、直流用電線のみをまとめる、シールド回線のみをまとめることが可能となる。
つまり、S113以降の処理で用いられる原配線情報には、必ずハーネス単位を表す情報が含まれていることになる。
設計支援装置100は、取得した原配線情報が初回編成に用いられるものであるか否かを判定する処理を行う(S113)。具体的には、例えば、設計支援装置100の使用者によってHMI部100aから入力される判定結果に従ってもよい。
設計支援装置100は、原配線情報は初回編成に用いられる情報であると判定した場合(YESの場合)、新規PNリスト作成の処理(S114)、および配線情報作成の処理(S115)を実行して、設計準備の処理を終了する。
設計支援装置100は、取得した原配線情報は2回目以降の編成に用いられる情報であると判定した場合(NOの場合)、対象ハーネス確認の処理(S116)、PNリスト更新の処理(S117)、配線情報作成の処理(S118)を実行して、設計準備の処理を終了する。
新規PNリスト作成の処理(S114)によって作成される新規のPNリストとしては、図12に示されたリストの左側端第1列~第4列に示すように、「PNナンバー」と「ハーネス名称」と「編成Tiの変更適用情報」とを対応づけたリストを例示することができる。編成Tiのiは、i回目の編成であることを示す。ここでは、初回の編成であるため、i=1となる。
「PNナンバー」は、配線情報に含まれる個々のワイヤハーネス500を識別する番号である。「ハーネス名称」は、各ワイヤハーネス500に付与される名称である。「変更適用情報」は、該当する編成において、それ以前の編成と比較して変更があったか否かを示す情報である。但し、編成T1では、以前の編成が存在しないため、設計支援装置100は、変更適用編成列として追加された編成T1の列における全てのワイヤハーネス500に、設計変更があることを示す情報(PNリスト中では、〇印で示す)を設定する。
配線情報作成の処理(S115)では、設計支援装置100は、原配線情報を、ハーネス単位に分割し、分割したハーネス単位ごとに、図9に示す所定フォーマットに書き換えることで、初回の編成T1で用いる配線情報を生成する。
対象ハーネス確認の処理(S116)では、設計支援装置100は、原配線情報に含まれるハーネス単位を表す情報と、PNリストに列挙されているワイヤハーネス500とを比較して、ワイヤハーネス500の追加、削除を確認する。そして、設計支援装置100は、追加、削除されたワイヤハーネス500以外を、差分確認の対象となる対象ハーネスとして抽出する。
PNリスト更新の処理(S117:更新工程)では、設計支援装置100は、ハーネス追加削除、変更適用編成列追加、key割当を行う。
ハーネス追加削除では、設計支援装置100は、対象ハーネス確認の処理で確認された追加ハーネスの行をPNリストに追加すると共に、確認された削除ハーネスの行をPNリストから削除する。なお、削除ハーネスの行をPNリストから削除する代わりに、PNリスト上で、削除の対象となるハーネスが廃番となっていることを明記するようにしてもよい。この場合、PNリストを画面表示する際には、廃番となったハーネスの行をグレーハッチングする等して廃番であることを視覚的に明示してもよい。
変更適用編成列追加では、設計支援装置100は、現在のPNリストの最後列の編成をi-1番目(iは2以上の整数)の編成Ti-1として、PNリストの最後列にi番目の編成Tiに対応づけられる変更適用編成列を追加する。このとき、設計支援装置100は、追加された変更適用編成列における追加ハーネスの欄に、設計変更があることを示す情報(すなわち、〇印)を設定してもよい。
key割当では、設計支援装置100は、変更適用編成列追加の処理で追加された編成T1またはTiにkeyを割り当てる。keyは、編成毎に設けられる編成別フォルダのアドレスに対応づけられる識別番号である。編成別フォルダは、編成毎に用意され、該編成でのワイヤハーネスの設計に関する各種情報(PNリスト、配線情報等)を保存するため用意されるフォルダである。編成別フォルダを保存する記憶領域は、例えば、制御用コンピュータ100cが有するRAMまたは制御用コンピュータ100cに接続される記憶装置に設けられる。この編成別フォルダを保存する記憶領域が編成別記憶部に相当する。なお、keyは、後述するフォルダアドレス一覧(図15参照)によって、編成別フォルダのアドレスとの対応関係が設定される。
配線情報作成の処理(S118)では、設計支援装置100は、原配線情報を、ハーネス単位に分割し、分割したハーネス単位ごとに、図9に示す所定フォーマットに書き換えることで、今回の編成Tiで用いる新たな配線情報を生成する。
なお、S115およびS118の処理が配線情報部101に相当し、S112の処理がハーネス単位定義部107に相当し、S114,S117の処理がPN情報部103に相当する。
図11に示す設計準備の処理が終了すると、トータル支援システム1の設計支援装置100は、図10に戻り、新たな配線情報と、これまでの編成で用いられた古い配線情報との差分を確認する差分確認の処理を行う(S120)。S120の処理が差分情報部105に相当する。
ここで、設計支援装置100が、実行する差分確認の処理を、図13のフローチャートを用いて説明する。
図13に示すように、設計支援装置100は、まず、処理の対象となる原配線情報が初回編成に用いられるものであるか否かを判定する処理を行う(S121)。この処理での判定結果は、先のS113での判定結果と同一である。
設計支援装置100は、原配線情報は2回目以降の編成に用いられる情報であると判定した場合(NOの場合)、比較対象となる古い配線情報が存在しないため、処理を終了する。 設計支援装置100は、原配線情報は初回編成に用いられる情報であると判定した場合(YESの場合)、確認用プログラムの設定シートへの情報書込の処理(S122)を行う。
確認用プログラムの設定シートは、図14に示すように、「データ保存先」「PNリストデータ選択」「現変更編成」を入力する欄と、確認用プログラムを開始する際に操作される「setting」ボタンとを備える。確認用プログラムの設定シートの表示および書込は、例えば、HMI部100aを介して行われる。以下、差分確認の処理で説明する各種シートやリストの表示および書込は、確認用プログラムの設定シートの場合と同様に、例えば、HMI部100aを介して行われる。
「データ保存先」欄には、確認用プログラムにより生成される差分確認リストの保存先が設定される。差分確認リストの保存先は、差分確認リストのファイル名称および該ファイルを保存するフォルダのアドレスによって表されてもよい。「PNリストデータ選択」欄には、PNリストの保存先が設定される。PNリストの保存先は、PNリストのファイル名称および該ファイルを保存する編成別フォルダのアドレスによって表されてもよい。「現変更編成」欄には、確認の対象となる編成、すなわち、PNリストの最後列に対応する編成(現変更編成)をi-1番目の編成Ti-1として、新たなi番目の編成Tiが設定される。
設定シートへの情報書込が行われると、設計支援装置100は、編成別フォルダのアドレスをkeyに対応づけてフォルダ毎(すなわち、編成毎)に設定するフォルダアドレス設定の処理を行う(S123)。フォルダアドレス設定の処理によって生成されるフォルダアドレス一覧には、図15に示すように、各編成Tiに割り当てられる編成別フォルダの名称と、S117にて編成Tiに割り当てられるkeyと、編成別フォルダのアドレスとが対応づけて記録される。なお、編成別フォルダの名称であるフォルダTiは、編成Tiのフォルダであることを示す。フォルダアドレス一覧の設定は、手動および自動のいずれで行われてもよい。フォルダアドレス一覧には、実アドレスの設定を自動で行う場合に操作される「アドレス設定」ボタンが用意される。
設計支援装置100は、確認用プログラムの設定シートへの情報書込およびフォルダアドレス設定が行われた後、確認用プログラムの設定シートに設けられた「setting」ボタンの操作を受け付けると、確認対象情報入力の処理(S124)を行う。確認対象情報入力の処理は、設計変更の有無の確認対象となるワイヤハーネスの情報を確認対象ハーネスリストに書き込む処理である。
確認対象ハーネスリストには、図16に示すように、確認対象となるワイヤハーネス500の「PNナンバー」および「対象ハーネス」が列挙される。通常は、PNリストに列挙されているワイヤハーネス500のうち、S116にて追加や削除が確認されたワイヤハーネス500は確認対象外であり、これらのワイヤハーネス500以外が確認対象となる。また、確認対象ハーネスリストには、確認処理を開始する際に操作される「start」ボタンが用意される。確認処理は、確認対象ハーネスリストにリストアップされたすべての確認対象ハーネスについて、旧配線情報と新配線情報とを比較して変更の有無を確認する処理である。
設計支援装置100は、確認対象ハーネスリストに確認対象情報入力が行われた後、このリストに設けられた「start」ボタンの操作を受け付けると、確認プログラムを実行する。確認処理が実行されると、以下のS125~S130で説明する確認処理が、確認対象ハーネス単位で繰り返し実行される。
設計支援装置100は、確認対象ハーネスリストにリストアップされた確認対象ハーネス(複数のハーネス単位)の1つを選択ハーネスとして選択する(S125)。
設計支援装置100は、選択ハーネスの選択が行われると、選択ハーネスに関する旧配線情報を取得し、取得した旧配線情報を電線単位差分確認シート(図17参照)に書き込む処理を行う(S126:第2取得工程/第2取得部)。旧配線情報は、選択ハーネスの最終変更編成Teに対応づけられた編成別ファイルから取得する。最終変更編成Teは、PNリストにおいて、選択ハーネスについて設計変更ありが記録されている最後の編成のことをいう。なお、図17に示すA0001~A0012は、ワイヤハーネス500の1つであるWH0001_HarnessAに属する電線501の一例である。
続けて、設計支援装置100は、選択ハーネスに関する新配線情報を取得し、取得した新配線情報を電線単位差分確認シートに書き込む処理を行う(S127:第1取得工程/第1取得部)。新配線情報は、S118で作成された最新の配線情報である。
S126およびS127の処理により、電線単位差分確認シート(図17参照)には、選択ハーネスに属するすべての電線501について、変更前の情報である旧配線情報と変更後の情報である新配線情報とが対比された状態で示される。
設計支援装置100は、電線単位差分確認シートへの書込が終了すると、電線単位差分確認シートに書き込まれた新配線情報と旧配線情報とを比較し、比較結果を電線単位差分確認シートに記録する処理(S128:比較工程/比較部)を行う。図17は、電線単位差分確認シートの一部を示した説明図である。電線単位差分確認シートには、「ユニーク番号」に対応づけて「Fサイド」「Fエリアラベル文字」「ケーブルP/N」「Tエリアラベル文字」「Tサイド」の変更前の情報と変更後の情報が並べて表示される。図17では、出力結果リストに示す項目として、「Fサイド」「Fエリアラベル文字」「Tサイド」「Tエリアラベル文字」「ケーブルP/N」が例示されている。但し、出力結果リストに示す項目は、これら例示された項目に限定されるものではなく、電線501やコネクタ502の材質や形状等に関する項目が含まれていてもよい。
電線単位差分確認シートには、比較の結果、変更前(すなわち、旧配線情報)と変更後(すなわち、新配線情報)とで内容が異なると判定された項目を特定する変更情報が記録される。また、電線単位差分確認シートには、削除された電線501(以下、削除電線)および新たに追加された電線501(以下、追加電線)を特定する削除情報および追加情報も記録される。
続けて、設計支援装置100は、ハーネス単位の比較結果を、ハーネス単位差分確認シートに書き込む処理を行う(S129:判定工程/判定部)。具体的には、ハーネス単位差分確認シートは、図18に示すように、「対象ハーネス」と「比較結果」とを対応づけて記録するシートである。「対象ハーネス」は、確認対象ハーネスのハーネス名称を表す。「比較結果」の欄には、選択ハーネスについて作成された電線単位差分確認シートにおいて、変更箇所が一つでも検出された場合、NGが書き込まれ、変更箇所が一つも検出されなかった場合は、OKが書き込まれる。つまり、ハーネス単位差分確認シートにおいて、「比較結果」の欄にNGが書き込まれた行に対応するワイヤハーネス500は、設計変更されており、再設計が必要であることを示す。
設計支援装置100は、ハーネス単位の比較結果の記録が行われると、ハーネス単位差分確認シートおよび電線単位差分確認シートを出力する確認結果出力の処理を行う(S130:出力工程/出力部)。確認結果出力の処理によって出力されるハーネス単位差分確認シートが、判定工程での判定結果に相当し、電線単位差分確認シートが、比較工程での比較結果に相当する。
設計支援装置100は、確認結果出力として、ハーネス単位差分確認シート(図18参照)および電線単位差分確認シート(図17参照)を、データ保存先に設定された、変更適用編成に対応する編成別フォルダに記録する。また、設計支援装置100は、確認結果出力として、ハーネス単位差分確認シート(図18参照)および電線単位差分確認シート(図17参照)を、HMI部100aが備える表示画面等に出力表示してもよい。
電線単位差分確認シートを表示画面に表示する場合、図17中ハッチングにて示すように、設計変更された箇所を強調表示してもよい。図17では、変更後の新配線情報が強調表示されている。また、図17では、削除された電線501および新たに追加された電線501については、その電線501に対応する行全体が強調表示されている。強調表示は、変更の種類(例えば、内容変更、削除、追加等)に応じて表示態様(例えば、色、ハッチングのパターン、強調する範囲等)を異ならせてもよい。
設計支援装置100は、確認結果出力が行われると、確認対象ハーネスリストに列挙された全ての確認対象ハーネスについて、S125~S130の確認処理が実施済であるか否かを判定する処理を行う(S131)。
確認処理が実施されていない対象ハーネスが存在する場合(NOの場合)、設計支援装置100は、処理をS125に戻して、未処理の対象ハーネスについて、確認処理を実施する。
全ての対象ハーネスについて確認処理が実施されている場合(YESの場合)、確認結果をPNリストに反映させる処理(S132:反映工程)を行って、差分確認処理を終了する。
確認結果をPNリストに反映させる処理(S132)では、設計支援装置100は、PNリスト(図12参照)の現変更編成Tiの変更適用編成列における対象ハーネスの欄に、設計変更があることを示す情報を設定する。ここでの対象ハーネスは、ハーネス単位差分確認シートにて、比較結果がNGとなったワイヤハーネス500である。また、比較結果がOKとなったワイヤハーネス500に対応する欄に、設計変更がないことを示す情報(PNリスト中では、空欄で示す)を設定する。
なお、設計準備の処理(S100)および差分確認の処理(S120)を実行する設計支援装置100が、設計変更確認装置に相当する。
図12に示す差分確認の処理が終了すると、トータル支援システム1の設計支援装置100は、図10に戻り、3次元CAD上で自動配線を行う際に用いられるリストの作成の処理を行う(S200)。ここで自動配線とは、電線501の一方の端部である起点(From)と他方の端部である終点(To)とをつなぐことを意味する。また、自動配線の対象は、ハーネス単位差分確認シートの「比較結果」欄にNGが示されたすべてワイヤハーネス500である。
設計支援装置100は、図19に示すように、リストのフォーマットを取得する処理を行う(S201)。次いで、対象とするワイヤハーネス500に関する配線情報を取得する処理を行う(S202)。
その後、設計支援装置100は、付加情報を付加する処理を行う(S203)。ここで、付加情報は、電線501の被覆に関する情報や、断面タイプに関する情報や、色に関する情報や、直径に関する情報や、許容曲率に関する情報などを含むものである。
さらに設計支援装置100は、配線対象が取得した配線情報に含まれる複数の電線501の一部であるか否かを判定する処理を行う(S204)。
配線対象は一部であると判定された場合(YESの場合)には、設計支援装置100は、仮想電線の作成単位が機器単位か、コネクタ単位かを判定する処理を行う(S205)。
ここで仮想電線とは、まとめて配線を行う単位で電線501をまとめたものである。例えば、機器単位で仮想電線を作成する場合、一の機器Aと他の機器Gを結ぶ複数の電線501をまとめて1つの仮想電線として作成する。
仮想電線の作成単位が機器単位であると判定された場合には、設計支援装置100は、同じ機器名称同士の配線情報を認識する処理を行う(S206)。その一方で、仮想電線の作成単位がコネクタ単位であると判定された場合には、設計支援装置100は、同じ機器上のコネクタ同士の配線情報を認識する処理を行う(S207)。
次いで設計支援装置100は、仮想電線の作成を行う適応範囲を定義する処理を行う(S208)。言い換えると、仮想電線の作成を行う電線501のグループを定義する処理を行う。この際に、適応範囲の修正が必要か否かの判定を行い、修正が必要な場合には、適応範囲に対して修正を行う処理を行う。修正が不要な場合には次の処理に移る。
仮想電線の適応範囲が定義されると、設計支援装置100の仮想電線設定部109は、仮想電線を作成する処理を行う(S209)。具体的には、S205の判定処理において、仮想電線の作成単位が機器単位であると判定された場合には、一の機器AのBコネクタから他の機器GのHコネクタに接続される電線501と、一の機器AのCコネクタから他の機器GのJコネクタに接続される電線501とは、まとめられて1つの仮想電線として作成する処理が行われる。
また、S205の判定処理において、仮想電線の作成単位がコネクタ単位であると判定された場合には、一の機器AのBコネクタから他の機器GのHコネクタに接続される電線501と、一の機器AのCコネクタから他の機器GのHコネクタに接続される電線501とは、別々の仮想電線として作成する処理が行われる。
仮想電線を作成する処理が行われた後、設計支援装置100の径算出部111は、仮想電線の径を算出する処理を行う(S210)。具体的には、電線501の径(直径または半径)であるサイズ情報を配線情報から取得する処理を行い、取得したサイズ情報に基づいて仮想電線の直径を算出する処理を行う。仮想電線の直径は、仮想電線に含まれる複数の電線501を、1本の電線と見立てることにより算出される。
仮想電線の径が算出されると、設計支援装置100は、仮想電線の配線情報を作成する処理を行う(S211)。当該配線情報は、S201で取得したフォーマットに従って作成される。
その一方で、S204の判定処理において配線対象が一部ではない(全体である)と判定された場合(NOの場合)には、S203で取得した付加情報を加えた配線情報を使用する処理を行う(S212)。
その後、設計支援装置100は、コネクタを自動生成する処理を行う(S213)。具体的には、仮想電線の作成単位が機器単位の場合には、仮想電線の一方の端部である起点(From)のコネクタファイル名を、接続対象である機器の名称を含む名称とし、他方の端部である終点(To)のコネクタファイル名を、接続対象である機器の名称を含む名称としたコネクタファイルを自動生成する処理を行う。その一方で、仮想電線の作成単位がコネクタ単位の場合には、仮想電線の一方の端部である起点(From)のコネクタファイル名を、接続対象である機器の名称およびコネクタの名称を含む名称とし、他方の端部である終点(To)のコネクタファイル名を、接続対象である機器の名称およびコネクタの名称を含む名称としたコネクタファイルを自動生成する処理を行う。
なお、仮想電線を作成しない場合には、電線501の一方の端部である起点(From)のコネクタファイル名を、接続対象である機器の名称およびコネクタの名称を含む名称とし、他方の端部である終点(To)のコネクタファイル名を、接続対象である機器の名称およびコネクタの名称を含む名称としたコネクタファイルが生成される。
図19に示すリスト作成の処理が終了すると、設計支援装置100は、図10に戻り、仮想空間作成の処理を行う(S300)。
設計支援装置100は、仮想空間作成の処理として以下に説明する処理を行う。まず、設計支援装置100は、図20に示すように、3次元CADデータおよび配線情報を入手する処理を行う(S301)。設計支援装置100は、予め3次元CADデータおよび配線情報を保存しているサーバ等に対して3次元CADデータおよび配線情報の出力を要請する信号を送信する。出力の要請信号に応じて出力された3次元CADデータおよび配線情報は、設計支援装置100に入力され記憶される。
3次元CADデータおよび配線情報を入手すると、設計支援装置100は、車体のモデル601の部品情報に基づいて仮想空間611を作成する処理を行う(S302)。仮想空間611の形状は、車両のモデル601を参照しながら定められる。例えば、仮想空間611は、車両の車体を構成する構造部品の間に配置される。さらに、車体に配置される機器に電線501が接続可能な位置に仮想空間611が配置される。
設計支援装置100は、仮想空間611の形状に関する情報である空間形状情報、仮想空間611が配置される位置の情報である空間位置情報を含む仮想空間情報を作成する。
作成された仮想空間611は、車体との干渉有無などが確認される。干渉が無いことが確認されると、仮想空間作成の処理は終了する。トータル支援システム1の設計支援装置100は、図10に戻り、電線ルーティング作業の処理を行う(S400)。
設計支援装置100は、図21に示すように、電線ルーティング作業の処理として以下に説明する処理を行う。まず、設計支援装置100の空間配置部113は、設計空間の中に車両のモデル601および仮想空間611を配置する処理を行う(S401)。車体のモデル601は、3次元CADデータに基づいて設計空間の中に生成されるものである。仮想空間611は、S300の仮想空間作成の処理で承認されたものであり、仮想空間情報に基づいて設計空間の中に生成されるものである。
車両のモデル601および仮想空間611が配置されると、設計支援装置100のガイド配置部115は、仮想空間611にガイド部621を配置する処理を行う(S402)。ガイド部621が配置される位置は、仮想空間611の曲がり角や、仮想空間611が枝分かれする分岐点や、仮想空間611の断面積が拡大または減少するテ―パ部の近傍を例示することができる。
ガイド部621の形状や、ガイド孔622の大きさ、および配置位置を設定する処理は、ガイド部621を配置する処理と同時に行ってもよいし、S402の処理よりも前に行ってもよい。S402の処理よりも前にガイド部621の形状等を設定する処理を行う場合、設計支援装置100とは別のコンピュータにおいて当該設定処理を行ってもよい。この場合、当該設定処理により設定されたガイド部621の形状等は、S402の処理を行う際に設計支援装置100に入力される。
ガイド部621が配置されると、設計支援装置100のルーティング部117は、仮想空間611に電線501を配線する処理であるルーティング作業を行う(S403)。ルーティング作業は、3次元配線設計とも表記する。ルーティング作業および後述する整線処理により、電線501の3次元形状を表示する図形情報を含む配線経路情報が作成される。
電線501を配線する処理は、配線情報に含まれる機器特定情報や、3次元CADデータに含まれる機器位置情報および接続位置情報等に基づいて行われる。つまり、配線情報に基づいて、所定の電線501の一方の端部である起点(From)に接続される機器および他方の端部である終点(To)に接続される機器が特定される。特定された起点側の機器および終点側の機器が配置される位置、および、当該機器における電線501が接続される位置が特定される。ルーティング部117は、当該電線501が仮想空間611を経由して特定された機器に接続するように配線する処理を行う。この際に電線501は、ガイド部621の設定されたガイド孔622に挿通される。
ルーティング作業が行われると、設計支援装置100の整線部119は、整線処理を行う(S404)。整線処理では、仮想空間611に電線501が入りきらない場合の調整処理と、仮想空間611が曲げられている箇所や、直線状に延びている箇所に配置された電線501を整理する処理が行われる。まず、仮想空間611に電線501が入りきらない場合の調整処理について説明する。
整線部119は、仮想空間611に電線501が入るか否かの判定を次のように行う。まず、仮想空間情報に基づいて、仮想空間611の判定を行う箇所である所定領域における形状である配置部形状と、配線情報に基づいて当該所定領域に配置された電線501の形状である電線形状を取得する。次いで、配置部形状および電線形状に基づいて、当該所定領域において、電線501が仮想空間611の内側と外側の境である境界面と干渉するか否かを判定する。干渉する場合には、仮想空間611に電線501が入らないと判定される。干渉しない場合には、仮想空間611に電線501が入らないと判定される。
整線部119は、仮想空間611に電線501が入らないと判定した場合には、以下に説明する整線処理の少なくとも1つを行う。仮想空間611に電線501が入ると判定された場合には、これらの整線処理を行わない。
第1の整線処理では、電線501が入らないと判定された仮想空間611を広げる処理が行われる。車体のモデル601と仮想空間611との間には、予め定められた余裕空間が確保されており、当該余裕空間に仮想空間611を広げる処理が行われる。
第2の整線処理では、仮想空間611に入らないと判定された一部の電線501を、別の配線ルートに迂回させる処理が行われる。言い換えると、電線501が入らないと判定された仮想空間611とは異なる他の仮想空間611へ迂回させる処理が行われる。
第3の整線処理では、判定された仮想空間611の中で、配置された電線501の配置位置を変更する処理が行われる。径の異なる複数の電線501が仮想空間611に配置されている場合、間に隙間が多いことにより仮想空間611に全ての電線501が入らないと判定されることがある。この場合に、電線501の配置位置を変更して電線501の間の隙間を減らすことにより、全ての電線501を仮想空間611に入れることが可能になることがある。
第4の整線処理は、第1の整線処理から第3の整線処理を行った後も仮想空間611に電線501が入らないと判定された際に行われる処理である。本整線処理では、車両の車体を構成する構造部品の形状や、電線501が接続される機器の配置を変更する処理が行われる。構造部品の形状の変更により仮想空間611を広げる変更が可能となり、全ての電線501を仮想空間611に入れることが可能になる。また、機器の配置の変更により電線501が配置されるルートが変更され、全ての電線501を仮想空間611に入れることが可能になる。
また上述のように、整線部119が仮想空間611に電線501が入らないと判定した場合に、第1の整線処理から第4の整線処理を行ってもよいし、作業者が処理の実行を入力した場合に行ってもよい。
次に、仮想空間611が曲げられている箇所や、直線状に延びている箇所に配置された電線501を整理する処理について説明する。本実施形態では、作業者が実行を入力した場合に当該処理が行われる例に適用して説明するが、整線部119が当該処理の実行可否を判定してもよい。
作業者により当該処理の実行が入力されると、整線部119は、電線501の配置状態を整理する処理を行う。例えば、仮想空間611の中心線と並行に電線501を配置させる処理や、隣接する電線501との距離を所望の範囲内とする処理などが行われる。
整線処理が行われると、設計支援装置100は、ワイヤハーネス情報および拘束部材情報を作成する処理を行う(S405)。まず、設計支援装置100のハーネス定義部121により行われるワイヤハーネス500を定義する処理が行われる。その後、ハーネス情報部123によるワイヤハーネス情報の作成処理、および、拘束部材情報部125による拘束部材情報の作成処理が行われる。
ハーネス定義部121は、所定数の電線501を束ねてワイヤハーネス500を定義する演算処理を行う。所定数の電線501は、仮想空間611に配置された複数の電線501から、所定の規則に従い選択されたものである。
所定の規則としては、1つのワイヤハーネス500にまとめる電線501の本数を例えば100本までとする、同じ機器に接続される電線501をワイヤハーネス500にまとめる、電気種類に基づいてワイヤハーネス500にまとめる電線501を選択する、などを例示することができる。なお電気種類に基づく選択方法としては、電線501の種類(例えば、交流用電線、直流用電線、シールド回線)が同じものを選択する方法を例示することができる。
ワイヤハーネス500を定義する処理が行われると、ハーネス情報部123は、ワイヤハーネス500の3次元形状の情報であるハーネス3次元情報に基づいてワイヤハーネス情報を作成する処理を行う。ここで、ハーネス3次元情報は、ワイヤハーネス500を構成する電線501の配線経路情報に基づく情報である。
ワイヤハーネス情報は、当該ワイヤハーネス500の幹線511の長さ情報や、分岐点512の位置情報や、枝線513の長さ情報などのワイヤハーネス500の形状に関する情報である。またワイヤハーネス情報は、当該ワイヤハーネス500を2次元図面として表示可能な情報も含む。
さらにワイヤハーネス情報には、当該ワイヤハーネス500を構成する電線501を特定する情報や、当該電線501の長さ情報や、当該電線501の径情報や、枝線513を構成する電線501を特定する情報など、ワイヤハーネス500を構成する電線501に関する情報が含まれる。
拘束部材情報部125は、3次元CADデータやワイヤハーネス情報等に基づいて拘束部材情報を作成する演算処理を行う。拘束部材情報は、ワイヤハーネス500に用いられる拘束部材503である粘着テープの長さ、言い換えると使用量を含む情報である。
まず、拘束部材情報部125は、複数の電線501を束ねて拘束する拘束位置、拘束に用いる拘束部材503の種類、および、拘束する位置において拘束部材503を巻き付ける回数である巻き数の情報である拘束部材配置情報を取得する。これらの情報は、作業者により入力されてもよいし、予め記憶されていたものを取得してもよい。
拘束部材情報部125は、拘束位置の情報、および、電線501の径情報に基づいて、拘束位置における電線501の束(ワイヤハーネス500)の外径を算出する処理を行う。
外径の値を算出した後、拘束部材情報部125は、外径の値と巻き数とを乗算する処理を行う。当該乗算により、当該拘束位置において使用される拘束部材503の長さ(使用量)が求められる。使用量を求める処理は、拘束位置毎に行われる。
ワイヤハーネス500における全ての拘束位置について拘束部材503の使用量が求められると、拘束部材情報部125は、ワイヤハーネス500を特定する情報、拘束位置、拘束部材503の種類、巻き数、および、使用量などの情報を含む拘束部材情報を作成する。拘束部材情報は、公知のフォーマット形式を有する出力可能なデータとして作成される。
拘束部材情報が作成されると、設計支援装置100は、ハーネス配線図情報(2D設計データ)を作成する処理を行う(S406)。ハーネス配線図情報は、ワイヤハーネス500に関する2次元図面の情報であり、車体に対してどのようにワイヤハーネス500を配線するかを示す図面の情報である。
図21に示す電線ルーティング作業の処理が終了すると、設計支援装置100は、図10に戻り、重量チェックの処理を行う(S500)。
設計支援装置100は、図22に示すように、配線経路情報(ハーネスルーティングデータ)を取得する処理を行う(S501)。具体的には、配線経路情報に含まれる配線長さの情報を少なくとも取得する処理を行う。
配線経路情報を取得する処理が行われると、設計支援装置100は、合成情報を取得する処理を行う(S502)。ここで合成情報とは、仮想電線の作成において算出された仮想電線の直径、仮想電線に含まれる電線501の直径などの情報である。
次いで設計支援装置100の重量算出部127は、電線501の種別ごとに重量を計算する処理を行う(S503)。具体的には、電線501の重量に関する情報(単位長さ当たりの重量など)を取得し、取得した当該情報およびS501で取得した配線長さの情報に基づいて重量を算出する処理が行われる。
電線501の種別ごとに重量が算出されると、重量算出部127は、ワイヤハーネス500における総重量を計算する処理を行う(S504)。その後、設計支援装置100は、算出した総重量が、予め定められた閾値以下か否かを判定する処理を行う(S505)。閾値は、ワイヤハーネス500の配線を行う作業者の作業負担を考慮して決められる。閾値としては、例えば20kg以下を挙げることができる。
総重量が閾値以下でないと判定された場合(NOの場合)には、設計支援装置100は、エラー表示を行う処理を行う(S506)。
エラー表示を行った後、または、総重量が閾値以下であると判定された場合(YESの場合)には、設計支援装置100は、配線情報に重量を書き込む処理を行う(S507)。
図22に示す重量チェックの処理が終了すると、設計支援装置100は、図10に戻り、寸法調整の処理を行う(S600)。
設計支援装置100は、図23に示すように、配線経路情報(ハーネスルーティングデータ)を取得する処理を行う(S601)。具体的には、配線経路情報に含まれる分岐に関する情報や、区間長に関する情報などを少なくとも取得する処理を行う。
次いで、設計支援装置100は、編集後の配線経路情報を取得する処理を行う(S602)。編集後の配線経路情報とは、分岐に関する情報、区間長に関する情報、座標情報に関する情報の編集が行われた配線経路情報である。編集とは、公差や、余長や、数値の端数などを処理する丸め処理などを意味する。
その後、設計支援装置100の寸法調整部129は、電線501の線分が枝線513であるか否かを判定する処理を行う(S603)。具体的には、各線分の始点座標、終点座標を取得して、当該座標に基づいて判定処理を行う。
線分が枝線513であると判定された場合(YESの場合)には、寸法調整部129は、S601で取得した配線経路情報に対して、余長、公差を加算する処理を行う(S604)。加算する余長、公差の値は、外部から取得する公差ルールや、予め設定されている余長の値に基づいて定められる。
S604の処理が行われた後、または、線分が枝線513でないと判定された場合(NOの場合)には、寸法調整部129は、S601で取得した配線経路情報に余長、公差、丸めを加えた新配線経路情報を作成する処理を行う(S605)。
その後寸法調整部129は、全データに対して処理を行ったか否かを判定する処理を行う(S606)。全データに対して処理が行われていないと判定された場合(NOの場合)には、S603に戻り上述の処理を繰り返し行う。
全データに対して処理が行われたと判定された場合(YESの場合)には、編集前と後の配線経路情報の間における差が、予め定められた所定値以内であるか否かを判定する処理を行う(S607)。
編集前と後の配線経路情報の間における差が所定閾値を超えると判定された場合(NOの場合)には、設計支援装置100は、エラーを表示する処理を行う(S608)。その後の処理(S700~S1200)がキャンセルされる。図示しない、リセットボタンを押すまたは所定のリセット信号を送信する処理により、エラー表示は消される。
その一方で、編集前と後の配線経路情報の間における差が所定閾値以内と判定された場合(YESの場合)には、設計支援装置100は、編集後の配線経路情報を出力する処理を行う(S609)。
図23に示す寸法調整の処理が終了するとトータル支援システム1の設計支援装置100は、図10に戻り、ハーネス設計図作成の処理を行う(S700)。
設計支援装置100は、図24に示すように、ハーネス設計図作成の処理として以下に説明する処理を行う。まず、設計支援装置100は、配線情報およびワイヤハーネス情報に基づいてハーネス設計図(2D設計データ)を作成する処理を行う(S701)。なお、ハーネス設計図は、ワイヤハーネス情報の代わりにハーネス配線図情報に基づいて作成されてもよい。
ハーネス設計図はワイヤハーネス単位で作成され、予め定められた大きさ(例えばA3サイズ)に作成される。1つのワイヤハーネス500は、1図面(1品番の図面)で記載される。ただし、大きなワイヤハーネス500の場合には、複数の図面(複数品番の図面)に分割して記載される。
ハーネス設計図は、ワイヤハーネス500の形状が実際のワイヤハーネス500と同じ大きさである実寸大(1/1スケール)で記載される。但し、予め定められた用紙サイズ(例えばA3サイズ)の枠内にワイヤハーネス500の形状を記載するために、形状はデフォルメ(変形・縮尺)される。
設計支援装置100は、ワイヤハーネス500の実際の長さや、予め定められた用紙サイズ等に基づいて、ハーネス設計図の縮尺や、幹線511に対する分岐した枝線513の角度等を求める演算を行い、ハーネス設計図として出力する。
また、ハーネス設計図が複数の図面に分割される場合には、設計支援装置100は、更に分割される図面数にも基づいて、縮尺や、幹線511に対する分岐した枝線513の角度等を求める演算を行う。
ハーネス設計図が作成されると、設計支援装置100のボード情報部131は、ハーネス用デジタルボード情報(ハーネスボード図面データ)を作成する処理を行う(S702)。ハーネス用デジタルボード情報には、例えば、ワイヤハーネス情報に基づき作成されたワイヤハーネス500の2次元図面の情報や、ワイヤハーネス500を構成する電線501を特定する情報や、電線501に取り付けられるコネクタ502を特定する情報が含まれる。
図24に示すハーネス設計図作成の処理が終了すると、設計支援装置100は、図10に戻り、座標変換の処理を行う(S800)。設計支援装置100は、図25に示すように、対象とするワイヤハーネス500のワイヤハーネス情報を取得する処理を行う。(S801)。
次いで設計支援装置100は、幹線511、枝線513を区別する処理を行い(S802)、枝線513が存在するか否かを判定する処理を行う(S803)。枝線513が存在すると判定された場合(YESの場合)には、設計支援装置100は、幹線511を固定する処理を行う(S804)。幹線511を固定する処理では、幹線511の区間長を固定する処理も行われる。次いで設計支援装置100は、枝線513の位置を設定する処理を行う(S805)。
その一方で、S803の判定処理において枝線513が存在しないと判定された場合(NOの場合)には、設計支援装置100は、ワイヤハーネス500を単線ハーネスとして扱う処理を行う(S806)。
枝線513の位置を設定する処理を行った後、または、ワイヤハーネス500を単線ハーネスとして扱う処理を行った後、設計支援装置100の座標変換部133は、端末情報を設定する処理を行う(S807)。具体的には、幹線511に対して枝線513が直交する方向へ延びるように情報を変換する処理を行う。
次いで設計支援装置100は、バンドル位置を設定する処理を行う(S808)。言い換えると剥き出し寸法を設定する処理を行い、長さと座標点の整合を確認する処理を行う(S809)。
図25に示す座標変換の処理が終了すると、設計支援装置100は、図10に戻り、ハーネスボード図面作成の処理を行う(S900)。
設計支援装置100は、図26に示すように、ハーネスボード図面作成の処理として以下に説明する処理を行う。まず、設計支援装置100のサイズ情報部135は、ボードサイズを検討する処理を行う(S901)。
サイズ情報部135は、ボード表示部202の大きさに関するサイズ情報を設定する演算処理を行う。ボード表示部202は、後述する図面情報が表示される表示面であり、ハーネス用デジタルボード201におけるワイヤハーネス500を作成する際に電線501が置かれる配置面でもある。
サイズ情報が設定されると、設計支援装置100の製造用情報部137は、図面情報を含む製造用情報を作成する処理を行う(S902)。図面情報は、ハーネス用デジタルボード201のボード表示部202に表示される情報である。
図面情報により表示されるワイヤハーネス500は、ワイヤハーネス500の長さ方向において、実物のワイヤハーネス500と同じ長さ(実寸大または1/1スケール)で表示される。
ワイヤハーネス500の径方向または幅方向については、実物のワイヤハーネス500と同じ太さ、または、同じ径でボード表示部202に表示されてもよい。この場合には、ワイヤハーネス500が、どの程度の太さのケーブルから構成されるか視覚的に認識することが可能となる。
また、同じ太さ、または、同じ径で表示されない場合と比較して、ワイヤハーネス500を製作する際に、ボード表示部202上に配置した電線501の本数が多すぎること、または、少なすぎることに作業者が気付きやすくなる。その結果、ワイヤハーネス500を製作する際の作業ミスを低減しやすくなる。
その一方で、ワイヤハーネス500の径方向または幅方向について、実物のワイヤハーネス500に基づかない大きさの表示であってもよい。この場合は特に、ボード表示部202に表示されるすべての幹線511および枝線513における径方向(幅方向)の大きさを同一にすると、図面情報の作成が容易なる。
表示されるワイヤハーネス500の太さD2が大きく表示される場合は、ボード表示部202に電線501を配置しても、表示されたワイヤハーネス500が配置した電線501に隠れにくくなる。そのため、ワイヤハーネス500を製作する際の作業性を向上させやすくなる。
但し、サイズ情報で定められた大きさの枠内にワイヤハーネス500を表示するために、幹線511や、枝線513の形状が変形される。なお、複数のワイヤハーネス500が同時にボード表示部202に表示される場合もある。
製造用情報が作成されると、設計支援装置100のゲージ情報部139は、公差ゲージ631の情報であるゲージ情報を作成する演算処理を行う。ゲージ情報は、ボード表示部202に公差ゲージ631を表示させる情報である。作成されたゲージ情報は図面情報に含まれる。
公差ゲージ631は、図7に示すように、電線501をハーネス用デジタルボード201のボード表示部202に配置した際に、当該電線501の一方の端部である起点および他方の端部である終点が配置される位置の許容範囲を表すものである。公差ゲージ631を表示する位置は、ゲージ情報部139により指定されてもよいし、作業者が表示する位置を変更または指定してもよい。
本実施形態では、公差ゲージ631が所定のピッチの枠で構成された格子として表示される例に適用して説明する。所定のピッチとしては5mmピッチを例示することができる。図7に示す公差ゲージ631は、プラス公差およびマイナス公差を表示している。この他に、プラス公差のみ、または、マイナス公差のみを表示させてもよい。
また、公差ゲージ631の表示態様は、公差範囲が明確になればよく、本実施形態の公差ゲージ631のように格子としての表示態様に限定されるものではない。例えば、線分の組み合わせであってもよいし、格子の外枠である大枠のみの表示態様であってもよい。
製造用情報が作成されると、設計支援装置100はアウトプット情報の作成処理を行う(S903)。アウトプット情報は、製造用情報に基づいて作成される情報である。アウトプット情報には、図面情報から作成されたCADデータおよび各種の情報端末で図面情報を表示可能な電子データ(例えば、PDF(Portable Document Format))と、材料表情報と、製造用の配線情報とが含まれる。
アウトプット情報が作成されると、設計支援装置100はアウトプット情報の出力処理を行う(S904)。作成されたアウトプット情報は、製造支援装置200が設けられた生産拠点に配信される。
図26に示すハーネスボード図面作成の処理が終了すると、設計支援装置100は、出力編集前後の配線情報が一致するかの確認および、製造レシピの自動作成の処理を行う(S1000)。まず、設計支援装置100は、図27に示すように、製造レシピのフォーマットを取得する処理を行う(S1001)。
次いで設計支援装置100は、編集前後の配線情報を取得する処理を行い(S1002)、編集前後の配線情報を比較する処理を行う(S1003)。設計支援装置100は、比較の結果に基づいて、編集前後の配線情報が一致しているか否かを判定する処理を行う(S1004)。
編集前後の配線情報が一致していると判定された場合(YESの場合)には、設計支援装置100のレシピ作成部141は、配線情報に基づいて製造レシピを作成する処理を行う(S1005)。
なお、編集前後の配線が一致しているか否かの判定処理(S1004)、および、製造レシピを作成する処理(S1005)は、上述のようにS1004が先で、S1005が後であってもよいし、S1005が先で、S1004が後であってもよい。
製造レシピが作成されると、設計支援装置100は材料表情報(「BOM」とも表記する。)を作成する処理を行う(S1006)。ここで材料表情報は、ワイヤハーネス500の生産に必要な電線501やコネクタ502など部材準備に用いられる情報である。製造レシピおよび材料表情報が作成されると設計支援装置100は、製造レシピおよび材料表情報を記憶するとともに、出力する処理を行う(S1007)。
S1004の判定処理において、編集前後の配線情報が一致していないと判定された場合(NOの場合)には、設計支援装置100は、エラーを表示する処理を行う(S1008)。その後の処理(S1100、S1200)がキャンセルされる。図示しない、リセットボタンを押すまたは所定のリセット信号を送信する処理により、エラー表示は消される。
図27に示すレシピの作成処理が終了すると、トータル支援システム1は、図10に戻り、ワイヤハーネス製造の処理を行う(S1100)。
トータル支援システム1の製造支援装置200は、ワイヤハーネス製造の処理として以下に説明する処理を行う。まず、図28に示すように、製造支援装置200の制御用コンピュータ211は、配信されたアウトプット情報に基づいて、ワイヤハーネス500の製作準備であるセットアップ処理を行う(S1101)。
セットアップ処理が終了すると、制御用コンピュータ211は、ワイヤハーネス500の製作処理を行う(S1102)。製作処理において制御用コンピュータ211は、ワイヤハーネス500の製作工程に応じた図面情報、ゲージ情報、および識別子をボード表示部202に表示する処理を行う。
ゲージ情報により表示される公差ゲージ631は、制御用コンピュータ211によりボード表示部202上の所定位置に表示される。具体的には、電線501の一方の端部である起点、および、他方の端部である終点が配置される位置の近傍に表示される。
制御用コンピュータ211は、読み取り部231が読み取った識別子の情報を取得し、ワイヤハーネス500を特定する情報、製造日時、製造場所などの情報とともにデータサーバ221に記憶させる処理を行う。なお、読み取り部231が読み取る識別子としては、電線501や、電線501に取り付けられるコネクタ502を特定する情報を有するものなどを例示することができる。
さらに制御用コンピュータ211は、識別子の情報の取得に応じて、電線切断機241および印刷機251を制御し、所望の種類の電線501を所望の長さに切断して供給する。供給された電線501は、ボード表示部202の上に配置されワイヤハーネス500の製作が進められる。
なお、アウトプット情報に含まれる材料表情報は、ワイヤハーネス500の生産に必要な電線501やコネクタ502など部材準備に用いられる。製造用の配線情報は、ワイヤハーネス500の生産時における加工順に合わせて情報の配列が変更されている。製造用の配線情報はレシピとも呼ばれる。
ワイヤハーネス製造の処理が完了すると、作成されたワイヤハーネス500は鉄道車両の車体が生産されている拠点に輸送される。トータル支援システム1の情報処理端末300は、図29に示すように、ワイヤハーネス500の配線を支援する処理を行う(S1200)。
ワイヤハーネス500の配線支援の処理では、まず、設計支援装置100から情報処理端末300へ配線工程情報および配線経路情報の配信が行われる(S1201)。配信された配線工程情報および配線経路情報は、端末記憶部301に記憶される。
情報処理端末300の端末制御部311は、ワイヤハーネス500の配線工程に応じた配線工程情報および配線経路情報を表示させる制御を行う(S1202)。具体的には、ワイヤハーネス500の組み付け順序STEPとして大分類して、作業の順番に従って端末表示部321に表示する制御を行う。
情報処理端末300は、アウトプット情報に含まれる電子データ化された図面情報を端末表示部321に表示することもできる。情報処理端末300は、配線の現場での作業に使用できる。また、配線作業者への教育にも用いることができる。
設計支援装置100では、PNリストを用いることで、複数の編成が存在することによって編成毎に異なる複数の配線情報が存在する場合であっても、新配線情報の比較対象に、どの編成で使用された旧配線情報を用いればよいかを、ワイヤハーネス単位で容易に把握できる。
設計支援装置100では、原配線情報(ひいては新配線情報)が、PNリストに対して、ワイヤハーネス単位の追加または削除を示す変更内容を含む場合、旧配線情報との比較を実行する前に、変更内容に従ってPNリストを更新する。これにより、新配線情報に含まれる各ワイヤハーネスとPNリストに示される各ワイヤハーネスとを1対1に対応づけることができ、差分確認の処理を正確に行うことができる。
設計支援装置100では、ワイヤハーネス500単位で設計変更の有無が示されたハーネス単位差分確認シートおよびワイヤハーネス500毎に生成され電線単位で設計変更の内容が詳細に示された電線単位差分確認シートが出力される。したがって、ハーネス単位差分確認シートを参照することで、設計変更があるワイヤハーネス500を容易に確認でき、設計変更があったワイヤハーネス500について生成された電線単位差分確認シートを参照することで、設計変更の内容を詳細に把握できる。
電線単位差分確認シートは、着目するワイヤハーネス500に属する各電線501の旧配線情報と新配線情報とが並べて列挙され、しかも、電線単位差分確認シート上で、内容が変更された項目、追加電線、削除電線が強調表示されるため、設計変更の内容を容易に把握できる。
つまり、設計支援装置100によれば、ワイヤハーネス500の再設計に必要な情報を、無駄なく取得できるため、ワイヤハーネス500の設計変更へ対処を容易に行うことができ、また、対処に要する時間を短縮できる。
なお、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施の形態においてワイヤハーネス500が配線される対象は、自動車の車体や、航空機の機体や、船舶の船体などであってもよく、鉄道車両に限られるものではない。
100…設計支援装置(設計変更確認装置)、101…配線情報部、103…PN情報部、105…差分情報部、107…ハーネス単位定義部、S117…更新工程、S126…第2取得工程、S127…第1取得工程、S128…比較工程、S129…判定工程、S130…出力工程、S132…反映工程。

Claims (8)

  1. 列車に配線される複数の電線に関する情報である配線情報を用いた、前記複数の電線からなるワイヤハーネスの設計において、前記列車の編成に応じて変更される前記配線情報の変更内容を確認するために用いられる設計変更確認装置によって実行される設計変更確認方法であって、
    最新の前記編成に適用される前記配線情報を新配線情報として取得する第1取得工程と、
    前記ワイヤハーネス単位での設計変更の有無が前記編成毎に記録された履歴情報を用いて、前記ワイヤハーネス単位で、最後に設計変更が行われた前記編成である最終変更編成を特定し、特定された前記最終変更編成の前記ワイヤハーネスの設計に用いられた前記配線情報を旧配線情報として取得する第2取得工程と、
    前記新配線情報と前記旧配線情報とを、前記電線単位で比較する比較工程と、
    前記比較工程での比較結果に従って、前記ワイヤハーネス単位での設計変更の有無を判定する判定工程と、
    前記比較工程での比較結果、および前記判定工程での判定結果を出力する出力工程と、
    を備える設計変更確認方法。
  2. 請求項1に記載の設計変更確認方法であって、
    前記判定工程の判定結果に従って、最新編成における設計変更の有無を前記履歴情報に反映させる反映工程を更に備える、
    設計変更確認方法。
  3. 請求項2に記載の設計変更確認方法であって、
    前記第1取得工程にて取得された前記新配線情報が前記履歴情報に対して前記ワイヤハーネス単位の追加または削除を示す変更内容を含む場合、前記比較工程より前に、前記変更内容に従って前記履歴情報を更新する更新工程を更に備える、
    設計変更確認方法。
  4. 請求項1ないし請求項3までのいずれか1項に記載の設計変更確認方法であって、
    前記出力工程では、前記電線単位で前記新配線情報と前記旧配線情報とを対比して示す電線単位差分確認シートを出力すると共に、前記電線単位差分確認シート上で前記新配線情報と前記旧配線情報とで内容が異なる変更情報を強調して出力する
    設計変更確認方法。
  5. 請求項4に記載の設計変更確認方法であって、
    前記出力工程では、前記電線単位差分確認シート上で前記新配線情報にて新たに追加された前記電線の情報を追加情報として強調して出力する
    設計変更確認方法。
  6. 請求項4に記載の設計変更確認方法であって、
    前記出力工程では、前記電線単位差分確認シート上で、前記新配線情報にて削除された前記電線の情報を削除情報として強調して出力表示する
    設計変更確認方法。
  7. 列車に配線される複数の電線に関する情報である配線情報を用いた、前記複数の電線からなるワイヤハーネスの設計において、前記列車の編成に応じて変更される前記配線情報の変更内容を確認するプログラムであって、
    コンピュータに、
    最新の前記編成に適用される前記配線情報を新配線情報として取得する第1取得工程と、
    前記ワイヤハーネス単位での設計変更の有無が前記編成毎に記録された履歴情報を用いて、前記ワイヤハーネス単位で、最後に設計変更が行われた前記編成である最終変更編成を特定し、特定された前記最終変更編成の前記ワイヤハーネスの設計に用いられた前記配線情報を旧配線情報として取得する第2取得工程と、
    前記新配線情報と前記旧配線情報とを、前記電線単位で比較する比較工程と、
    前記比較工程での比較結果に従って、前記ワイヤハーネス単位での設計変更の有無を判定する判定工程と、
    前記比較工程での比較結果、および前記判定工程での判定結果を出力する出力工程と、
    を実行させるプログラム。
  8. 列車に配線される電線に関する情報である配線情報を用いたワイヤハーネスの設計において、前記列車の編成に応じて変更される前記配線情報の変更内容を確認する設計変更確認装置であって、
    最新の前記編成に適用される前記配線情報を新配線情報として取得する第1取得部と、
    前記編成に対応づけて該編成での前記ワイヤハーネスの設計に用いた前記配線情報が記憶された編成別記憶部と、
    前記ワイヤハーネス単位での設計変更の有無が前記編成毎に記録された履歴情報を用いて、前記ワイヤハーネス単位で、最後に設計変更が行われた前記編成である最終変更編成を特定し、前記編成別記憶部から、前記最終変更編成での前記ワイヤハーネスの設計に用いられた前記配線情報を旧配線情報として取得する第2取得部と、
    前記新配線情報と前記旧配線情報とを、前記電線単位で比較する比較部と、
    前記比較部での比較結果に従って、前記ワイヤハーネス単位での設計変更の有無を判定する判定部と、
    前記比較部での比較結果、および前記判定部での判定結果を出力する出力部と、
    を備える設計変更確認装置。
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