JP2024025761A - 変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、延伸体 - Google Patents

変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、延伸体 Download PDF

Info

Publication number
JP2024025761A
JP2024025761A JP2023131021A JP2023131021A JP2024025761A JP 2024025761 A JP2024025761 A JP 2024025761A JP 2023131021 A JP2023131021 A JP 2023131021A JP 2023131021 A JP2023131021 A JP 2023131021A JP 2024025761 A JP2024025761 A JP 2024025761A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
polymerization
ptfe
modified
mpa
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023131021A
Other languages
English (en)
Inventor
幸平 安田
義典 難波
賢治 市川
丈人 加藤
拓 山中
賢汰 西村
亮太 宇佐美
絵美 山本
洋之 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Publication of JP2024025761A publication Critical patent/JP2024025761A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C55/00Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor
    • B29C55/02Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F14/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen
    • C08F14/18Monomers containing fluorine
    • C08F14/26Tetrafluoroethene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F214/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen
    • C08F214/18Monomers containing fluorine
    • C08F214/26Tetrafluoroethene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/18Manufacture of films or sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof
    • C08J9/28Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof by elimination of a liquid phase from a macromolecular composition or article, e.g. drying of coagulum

Abstract

【課題】破断強度が高いにもかかわらず、押出圧力が低い変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、それを用いた延伸体を提供する。【解決手段】テトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位を含み、前記ヘキサフルオロプロピレン単位の量が、全重合単位に対し1.0質量%以下であり、破断強度が20.0N以上であり、熱不安定指数が40未満である変性ポリテトラフルオロエチレン。【選択図】 なし

Description

本開示は、変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、延伸体に関する。
ポリテトラフルオロエチレンは、成形し未焼成状態で高度に延伸すると多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムが得られる。この多孔質フィルムは、水蒸気等の気体を通すが、ポリテトラフルオロエチレンの強い撥水性のため水滴は通さない。このユニークな性質を利用して、衣類や分離膜等に応用されている。
特許文献1には、CH=CH-(CFF等のコモノマーに基づく単位を有するポリテトラフルオロエチレンファインパウダーが記載されている。
特許文献2には、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)に基づく単位を有する変性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーが記載されている。
特許文献3には、テトラフルオロエチレン単独重合体、又は、ヘキサフルオロプロピレンに基づく単位を有するポリテトラフルオロエチレンの粉末が記載されている。
国際公開第2011/055824号 特開2015-127411号公報 国際公開第2020/022355号
本開示は、破断強度が高いにもかかわらず、押出圧力が低い変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、それを用いた延伸体を提供することを目的とする。
本開示(1)は、テトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位を含み、前記ヘキサフルオロプロピレン単位の量が、全重合単位に対し1.0質量%以下であり、破断強度が20.0N以上であり、熱不安定指数が40未満である変性ポリテトラフルオロエチレンである。
本開示(2)は、破断強度(N)/押出圧力(MPa)で表される強度比が1.80N/MPa以上である本開示(1)に記載の変性ポリテトラフルオロエチレンである。
本開示(3)は、応力緩和時間が500秒以上である本開示(1)又は(2)に記載の変性ポリテトラフルオロエチレンである。
本開示(4)は、押出圧力が17.0MPa未満である本開示(1)~(3)のいずれかとの任意の組合せの変性ポリテトラフルオロエチレンである。
本開示(5)は、押出圧力が16.0MPa未満である本開示(1)~(4)のいずれかとの任意の組合せの変性ポリテトラフルオロエチレンである。
本開示(6)は、テトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位を含み、前記ヘキサフルオロプロピレン単位の量が、全重合単位に対し0.1質量%未満である変性ポリテトラフルオロエチレンである。
本開示(7)は、粉末である本開示(1)~(6)のいずれかとの任意の組合せの変性ポリテトラフルオロエチレンである。
本開示(8)は、ファインパウダーである本開示(1)~(7)のいずれかとの任意の組合せの変性ポリテトラフルオロエチレンである。
本開示(9)は、本開示(1)~(8)のいずれかとの任意の組合せの変性ポリテトラフルオロエチレンから形成された延伸体である。
本開示によれば、破断強度が高いにもかかわらず、押出圧力が低い変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、それを用いた延伸体を提供することができる。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、一般に、押出圧力を高くすると破断強度を高くすることが出来るが、ペースト押出物が硬くなり、押出物の成形性が悪化する傾向がある。
しかし、鋭意検討の結果、ヘキサフルオロプロピレンを変性モノマーとする変性PTFEにおいて、重合時のテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの組成を特定の範囲に調整することにより、技術常識に反して、破断強度が高いにもかかわらず、押出圧力が低いPTFEが得られることが見出された。
以下、本開示を具体的に説明する。
本開示は、テトラフルオロエチレン(TFE)単位及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位を含み、上記HFP単位の量が、全重合単位に対し1.0質量%以下であり、破断強度が20.0N以上であり、熱不安定指数が40未満である変性PTFE(以下、第1の変性PTFEともいう。)を提供する。
第1の変性PTFEは、上記構成を有するので、破断強度が高いにもかかわらず、押出圧力が低く、成形性に優れる。その理由は明確ではないが、HFPはTFEとの反応性が低いために重合終期まで反応系中にHFPが存在していることが、得られる変性PTFEの物性に影響していると推測される。
第1の変性PTFEは、また、耐熱性にも優れる。
第1の変性PTFEは、TFE単位(TFEに基づく重合単位)と、HFP単位(HFPに基づく重合単位)とを含み、HFP単位の量が、全重合単位に対し1.0質量%以下である。
上記変性PTFEにおけるTFE単位の含有量は99.0質量%以上であってよい。
上記変性PTFEは、TFE及びHFP以外の変性モノマーに基づく重合単位(他の変性モノマー単位)を更に含むものであってもよい。
上記他の変性モノマーとしては、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等のパーハロオレフィン;パーフルオロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;パーフルオロアリルエーテル;(パーフルオロアルキル)エチレン、エチレン等が挙げられる。また、用いる上記他の変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
上記他の変性モノマー単位の含有量は、全重合単位に対して、1.0質量%未満であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
また、HFP単位と上記他の変性モノマー単位との合計量が、全重合単位に対し1.0質量%以下であることが好ましい。
上記HFP単位の含有量は、全重合単位に対し1.0質量%以下であるが、押出圧力が一層低く、破断強度が一層高くなる点で、全重合単位に対し0.50質量%以下であることが好ましく、0.30質量%以下であることがより好ましく、0.10質量%以下であることが更に好ましく、0.05質量%以下であることが更により好ましく、0.02質量%以下であることが殊更に好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましい。
上記HFP単位の含有量は、また、全重合単位に対し0.0001質量%以上であってよく、0.001質量%以上であってもよい。
本明細書において、上記HFP単位とは、変性PTFEの分子構造の一部分であってHFPに由来する部分を意味する。
上述した各重合単位の含有量は、NMR、FT-IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
第1の変性PTFEは、破断強度が20.0N以上である。上記破断強度は25.0N以上であることが好ましく、28.0N以上であることがより好ましく、30.0N以上であることが更に好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、100.0N以下であってよく、80.0N以下であってもよく、50.0N以下であってもよい。
上記破断強度は、下記方法で求めた値である。
後述のストレッチ速度100%/秒で実施した延伸試験で得られた延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度として測定する。
第1の変性PTFEは、熱不安定指数(TII)が40未満である。押出圧力が一層低く、破断強度が一層高くなる点、及び、耐熱性が一層向上する点で、上記熱不安定指数は15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5未満であることが特に好ましい。
上記熱不安定指数は、また、-10以上であることが好ましく、0以上であることがより好ましい。
上記熱不安定指数は、ASTM D 4895に準拠して測定する。
第1の変性PTFEは、押出圧力が20.0MPa以下であることが好ましく、18.0MPa未満であることがより好ましく、17.0MPa未満であることが更に好ましく、16.0MPa未満であることが更により好ましい。押出圧力は、5.0MPa以上であってよく、10.0MPa以上であってもよい。
上記押出圧力は、下記方法で求めた値である。
変性PTFE粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にて3分間混合してPTFEファインパウダー混合物を得る。次いで、得られたPTFEファインパウダー混合物を、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置した後にオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比(ダイスの入り口の断面積と出口の断面積の比)でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。押出圧力は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値とする。
第1の変性PTFEは、破断強度(N)/押出圧力(MPa)で表される強度比が1.80N/MPa以上であることが好ましく、1.85N/MPa以上であることがより好ましく、1.90N/MPa以上であることが更により好ましく、1.95N/MPa以上であることが更により好ましく、2.00N/MPa以上であることが更により好ましい。強度比は高ければ高いほどよいが、5.00N/MPa以下であってよく、4.00N/MPa以下であってもよく、3.00N/MPa以下であってもよい。
上記強度比が高いほど、破断強度が高く、かつ押出圧力が低いことを意味する。
上記破断強度及び押出圧力は、上述の方法で求めた値である。
第1の変性PTFEは、延伸可能なものであることが好ましい。本明細書において「延伸可能」とは、下記の基準で判断する。
上記のペースト押出により得られたビードを230℃で30分加熱することにより、潤滑剤をビードから除去する。次に、ビード(押出成形体)を適当な長さに切断し、クランプ間隔が2.0インチ(51mm)の間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを所望のストレッチ(総ストレッチ)に相当する分離距離となるまで所望の速度(ストレッチ速度)で離し、ストレッチ試験を実施する。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さと関連して表される。上記作製方法において、上記ストレッチ速度は、1000%/秒であり、上記総ストレッチは2400%である。上記ストレッチ完了までに破断しないものを延伸可能であると判断する。
本開示の変性PTFEは、上記作製方法において、ストレッチ速度が100%/秒、総ストレッチが2400%の条件でストレッチ試験を行い、上記ストレッチ完了までに破断しないことも好ましい。
第1の変性PTFEは、耐熱性が一層向上する点で、応力緩和時間が500秒以上であることが好ましく、550秒以上であることがより好ましく、600秒以上であることが更に好ましく、650秒以上であることが特に好ましい。
応力緩和時間は、長ければ長いほどよいが、2000秒以下であってよく、1000秒以下であってもよい。
上記応力緩和時間は、下記方法で求めた値である。
クランプ間隔1.5インチ(38mm)とする以外は、ストレッチ速度1000%/秒で実施した上記延伸評価試験と同様にして得られた延伸ビードの両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間として測定する。
第1の変性PTFEは、延伸性に優れる点で、標準比重(SSG)が2.200以下であることが好ましく、2.180以下であることがより好ましく、2.170以下であることが更に好ましく、2.160以下であることが更により好ましく、2.155以下であることが殊更に好ましく、2.150以下であることが特に好ましい。
上記標準比重は、また、2.130以上であることが好ましい。
上記標準比重は、ASTM D 4895に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定する。
第1の変性PTFEは、通常、非溶融二次加工性を有する。上記非溶融二次加工性とは、ASTM D-1238及びD-2116に準拠して、融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質、言い換えると、溶融温度領域でも容易に流動しない性質を意味する。
第1の変性PTFEは、コアシェル構造を有していてもよい。コアシェル構造を有するPTFEとしては、例えば、粒子中に高分子量のPTFEのコアと、より低分子量のPTFE又は変性のPTFEのシェルとを含む変性PTFEが挙げられる。このような変性PTFEとしては、例えば、特公昭64-8022号公報に記載されるPTFEが挙げられる。
第1の変性PTFEは、例えば、TFEとHFP(及び必要に応じて他の変性モノマー)とを乳化重合する工程を含む製造方法により製造することができる。
上記乳化重合は、例えば、アニオン性含フッ素界面活性剤及び重合開始剤の存在下、水性媒体中で行うことができる。
上記乳化重合は、重合反応器に、水性媒体、上記アニオン性含フッ素界面活性剤、モノマー及び必要に応じて他の添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の重合開始剤を加え、重合反応を開始することにより行うことができる。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤及び上記界面活性剤等を追加添加してもよい。界面活性剤を重合反応が開始した後に添加してもよい。
上記重合開始剤としては、重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。上記重合開始剤の濃度は、モノマーの種類、目的とする変性PTFEの分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤、又は水溶性ラジカル重合開始剤を使用できる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジsec-ブチルパーオキシジカーボネート等のジアルキルパーオキシカーボネート類、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジt-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等が、また、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル-ω-ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル-パーオキサイド、ω-クロロ-ヘキサフルオロブチリル-ω-クロ-デカフルオロヘキサノイル-パーオキサイド、ω-ハイドロドデカフルオロヘプタノイル-パーフルオロブチリル-パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(又はフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類等が代表的なものとして挙げられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸等のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t-ブチルパーマレエート、t-ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。サルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤も併せて含んでもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1~20倍であってよい。
水溶性ラジカル重合開始剤の添加量は、特に限定はないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(例えば、数ppm対水濃度)以上を重合の初期に一括して、又は逐次的に、又は連続して添加すればよい。上限は、装置面から重合反応熱で除熱を行いながら、反応温度を上昇させてもよい範囲であり、より好ましい上限は、装置面から重合反応熱を除熱できる範囲である。
上述した各物性、特に優れた延伸特性が容易に得られる点で、重合開始剤の添加量は、水性媒体に対して0.1ppm以上に相当する量が好ましく、1.0ppm以上に相当する量がより好ましく、また、100ppm以下に相当する量が好ましく、10ppm以下に相当する量がより好ましい。
例えば、30℃以下の低温で重合を実施する場合等では、重合開始剤として、酸化剤と還元剤を組み合わせるレドックス開始剤を用いるのが好ましい。酸化剤としては、過硫酸塩、有機過酸化物、過マンガン酸カリウム、三酢酸マンガン、セリウム硝酸アンモニウム、臭素酸塩等が挙げられる。還元剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、臭素酸塩、ジイミン、シュウ酸等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウムが挙げられる。開始剤の分解速度を上げるため、レドックス開始剤の組み合わせには、銅塩、鉄塩を加えることも好ましい。銅塩としては、硫酸銅(II)、鉄塩としては硫酸鉄(II)が挙げられる。
上記レドックス開始剤としては、酸化剤が、過マンガン酸又はその塩、過硫酸塩、三酢酸マンガン、セリウム(IV)塩、若しくは、臭素酸又はその塩であり、還元剤が、ジカルボン酸又はその塩、若しくは、ジイミンであることが好ましい。
より好ましくは、酸化剤が、過マンガン酸又はその塩、過硫酸塩、若しくは、臭素酸又はその塩であり、還元剤が、ジカルボン酸又はその塩である。
上記レドックス開始剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウム等の組合せが挙げられる。
レドックス開始剤を用いる場合は、酸化剤又は還元剤のいずれかをあらかじめ重合槽に仕込み、ついでもう一方を連続的又は断続的に加えて重合を開始させてもよい。例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウムを用いる場合、重合槽にシュウ酸アンモニウムを仕込み、そこへ過マンガン酸カリウムを連続的に添加することが好ましい。
なお、本明細書のレドックス開始剤において、「過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム」と記載した場合、過マンガン酸カリウムとシュウ酸アンモニウムとの組合せを意味する。他の化合物においても同じである。
上記レドックス開始剤は特に、塩である酸化剤と塩である還元剤との組み合わせであることが好ましい。
例えば、上記塩である酸化剤は、過硫酸塩、過マンガン酸塩、セリウム(IV)塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、過マンガン酸塩が更に好ましく、過マンガン酸カリウムが特に好ましい。
また、上記塩である還元剤は、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、シュウ酸塩が更に好ましく、シュウ酸アンモニウムが特に好ましい。
上記レドックス開始剤として具体的には、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、過マンガン酸カリウム/シュウ酸であることが更に好ましい。
レドックス開始剤を使用する場合、重合初期に酸化剤と還元剤を一括で添加してもよいし、重合初期に還元剤を一括で添加し、酸化剤を連続して添加してもよいし、重合初期に酸化剤を一括で添加し、還元剤を連続して添加してもよいし、酸化剤と還元剤の両方を連続して添加してもよい。
上記レドックス重合開始剤は、重合初期に一方を添加し、残る一方を連続的に添加する場合、SSGが低いPTFEを得る点で、徐々に添加する速度を減速させることが好ましく、さらに重合途中で中止することが好ましく、該添加中止時期としては、重合反応に消費される全TFEの20~40質量%が消費される前が好ましい。
重合開始剤としてレドックス開始剤を使用する場合、水性媒体に対して、酸化剤の添加量が0.1ppm以上であることが好ましく、1.0ppm以上であることがより好ましく、5ppm以上であることが更に好ましく、10ppm以上であることが更により好ましく、また、10000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましい。還元剤の添加量は0.1ppm以上であることが好ましく、1.0ppm以上であることがより好ましく、5ppm以上であることが更に好ましく、10ppm以上であることが更により好ましく、また、10000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましい。
また、上記乳化重合でレドックス開始剤を用いる場合、重合温度は、100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましい。また、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。
上記重合開始剤としては、上述した各物性が容易に得られる点で、水溶性ラジカル重合開始剤、及び、レドックス開始剤が好ましい。
上記水性媒体は、重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
上記乳化重合において、必要に応じて、核形成剤、連鎖移動剤、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤、ラジカル捕捉剤、重合開始剤の分解剤等を使用してもよい。
上記乳化重合は、上述した各物性が容易に得られる点で、核形成剤を添加して行うことが好ましい。上記核形成剤は、重合反応の開始前に添加することが好ましい。
上記核形成剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、フルオロポリエーテル、非イオン性界面活性剤、及び、連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、非イオン性界面活性剤であることがより好ましい。
上記フルオロポリエーテルとしては、例えば、パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸又はその塩が挙げられる。
上記パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸又はその塩は、分子の主鎖中の酸素原子が、1~3個の炭素原子を有する飽和フッ化炭素基によって隔てられる任意の鎖構造を有してよい。また、2種以上のフッ化炭素基が、分子中に存在してよい。代表的な構造は、下式に表される繰り返し単位を有する:
(-CFCF-CF-O-)
(-CF-CF-CF-O-)
(-CF-CF-O-)-(-CF-O-)
(-CF-CFCF-O-)-(-CF-O-)
これらの構造は、Kasaiによって、J.Appl.Polymer Sci.57,797(1995)に記載されている。この文献に開示されているように、上記PFPE酸又はその塩は、一方の末端又は両方の末端にカルボン酸基又はその塩を有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、また、一方の末端又は両方の末端に、スルホン酸、ホスホン酸基又はこれらの塩を有してよい。また、上記PFPE酸又はその塩は、各末端に異なる基を有してよい。単官能性のPFPEについては、分子の他方の末端は、通常、過フッ素化されているが、水素又は塩素原子を含有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、少なくとも2つのエーテル酸素、好ましくは少なくとも4つのエーテル酸素、更により好ましくは少なくとも6つのエーテル酸素を有する。好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも1つ、より好ましくは、このようなフッ化炭素基の少なくとも2つは、2又は3個の炭素原子を有する。更により好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも50%は、2又は3個の炭素原子を有する。また、好ましくは、上記PFPE酸又はその塩は、合計で少なくとも15個の炭素原子を有し、例えば、上記の繰返し単位構造中のn又はn+mの好ましい最小値は、少なくとも5である。1つの末端又は両方の末端に酸基を有する2つ以上の上記PFPE酸又はその塩が、本開示の製造方法に使用され得る。上記PFPE酸又はその塩は、好ましくは、6000g/モル未満の数平均分子量を有する。
変性PTFEを一層高分子量化することができ、延伸性を向上させることができる点で、上記乳化重合は、ラジカル捕捉剤又は重合開始剤の分解剤を添加して行うことが好ましい。上記ラジカル捕捉剤又は重合開始剤の分解剤は、重合反応の開始後、好ましくは、重合反応に消費される全TFEの10質量%以上、好ましくは20質量%以上が重合される前に添加することが好ましく、また、50質量%以下、好ましくは40質量%以下が重合される前に添加することが好ましい。後述する脱圧及び再昇圧を行う場合は、その後に添加することが好ましい。
上記ラジカル捕捉剤としては、重合系内の遊離基に付加もしくは連鎖移動した後に再開始能力を有しない化合物が用いられる。具体的には、一次ラジカルまたは成長ラジカルと容易に連鎖移動反応を起こし、その後単量体と反応しない安定ラジカルを生成するか、あるいは、一次ラジカルまたは成長ラジカルと容易に付加反応を起こして安定ラジカルを生成するような機能を有する化合物が用いられる。
一般的に連鎖移動剤と呼ばれるものは、その活性は連鎖移動定数と再開始効率で特徴づけられるが連鎖移動剤の中でも再開始効率がほとんど0%のものがラジカル捕捉剤と称される。
上記ラジカル捕捉剤は、例えば、重合温度におけるTFEとの連鎖移動定数が重合速度定数より大きく、かつ、再開始効率が実質的にゼロ%の化合物ということもできる。「再開始効率が実質的にゼロ%」とは、発生したラジカルがラジカル捕捉剤を安定ラジカルにすることを意味する。
好ましくは、重合温度におけるTFEとの連鎖移動定数(Cs)(=連鎖移動速度定数(kc)/重合速度定数(kp))が0.1より大きい化合物であり、上記化合物は、連鎖移動定数(Cs)が0.5以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましく、5.0以上であることが更により好ましく、10以上であることが特に好ましい。
上記ラジカル捕捉剤としては、例えば、芳香族ヒドロキシ化合物、芳香族アミン類、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、キノン化合物、テルペン、チオシアン酸塩、及び、塩化第二銅(CuCl)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
芳香族ヒドロキシ化合物としては、非置換フェノール、多価フェノール、サリチル酸、m-又はp-のサリチル酸、没食子酸、ナフトール等が挙げられる。
上記非置換フェノールとしては、о-、m-又はp-のニトロフェノール、о-、m-又はp-のアミノフェノール、p-ニトロソフェノール等が挙げられる。多価フェノールとしては、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシン、ナフトレゾルシノール等が挙げられる。
芳香族アミン類としては、о-、m-又はp-のフェニレンジアミン、ベンジジン等が挙げられる。
上記キノン化合物としては、о-、m-又はp-のベンゾキノン、1,4-ナフトキノン、アリザリン等が挙げられる。
チオシアン酸塩としては、チオシアン酸アンモン(NHSCN)、チオシアン酸カリ(KSCN)、チオシアン酸ソーダ(NaSCN)等が挙げられる。
上記ラジカル捕捉剤としては、なかでも、芳香族ヒドロキシ化合物が好ましく、非置換フェノール又は多価フェノールがより好ましく、ヒドロキノンが更に好ましい。
上記ラジカル捕捉剤の添加量は、標準比重を小さくする観点から、重合開始剤濃度の3~500%(モル基準)に相当する量が好ましい。より好ましい下限は10%(モル基準)であり、更に好ましくは15%(モル基準)である。より好ましい上限は400%(モル基準)であり、更に好ましくは300%(モル基準)である。
上記重合開始剤の分解剤としては、使用する重合開始剤を分解できる化合物であればよく、例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、臭素酸塩、ジイミン、ジイミン塩、シュウ酸、シュウ酸塩、銅塩、及び鉄塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウムが挙げられる。銅塩としては、硫酸銅(II)、鉄塩としては硫酸鉄(II)が挙げられる。
上記分解剤の添加量は、標準比重を小さくする観点から、開始剤濃度の3~500%(モル基準)に相当する量が好ましい。より好ましい下限は10%(モル基準)であり、更に好ましくは15%(モル基準)である。より好ましい上限は400%(モル基準)であり、更に好ましくは300%(モル基準)である。
上記乳化重合において、重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とする変性PTFEの分子量、反応速度によって適宜決定される。通常、重合温度は、5~150℃であり、10℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。
重合圧力は、通常、0.05~10MPaGである。破断強度を一層高くすることができる点で、重合圧力は、0.3MPaG以上がより好ましく、0.5MPaG以上が更に好ましい。また、5.0MPaG以下がより好ましく、3.0MPaG以下が更に好ましい。
上記乳化重合においては、上述した各物性が容易に得られる点で、重合開始時(開始剤添加時)の反応器内のガス中HFP濃度を0.01~3.0モル%とすることが好ましい。更に、重合反応に消費される全TFEの40質量%が重合される時点での反応器内のガス中HFP濃度が0モル%より大きく0.2モル%以下であることが好ましい。上記HFP濃度は、その後、重合反応の終了まで維持することが好ましい。HFPは重合開始前に一括で仕込んでもよく、一部を重合開始前に仕込み、重合開始後に連続的又は断続的に添加してもよい。HFPが重合反応の最後まで残るようにすることで、得られる変性PTFEの破断強度が高くなるにも関わらず、押出圧力が低下する。
上記乳化重合においては、破断強度が一層向上する点で、重合反応に消費される全TFEの5~40質量%が重合される前に脱圧し、その後TFEのみにより再昇圧することが好ましい。
上記脱圧は、反応器内の圧力が0.2MPaG以下となるように行うことが好ましく、0.1MPaG以下となるように行うことがより好ましく、0.05MPaG以下となるように行うことが更に好ましい。また、0.0MPaG以上となるように行うことが好ましい。
また、上記脱圧、再昇圧は複数回行ってもよい。脱圧は真空ポンプを用いて減圧下まで行ってもよい。
上記製造方法は、上記水性分散液を凝析して上記変性PTFEの湿潤粉末を得る工程を含んでもよい。上記凝析は、公知の方法により行うことができる。
上記製造方法は、上記湿潤粉末を乾燥させる工程を含んでもよい。上記乾燥は、通常、上記湿潤粉末をあまり流動させない状態、好ましくは静置の状態を保ちながら、真空、高周波、熱風等の手段を用いて行う。粉末同士の、特に高温での摩擦は、一般にファインパウダー型のPTFEに好ましくない影響を与える。これは、この種のPTFEからなる粒子が小さな剪断力によっても簡単にフィブリル化して、元の安定な粒子構造の状態を失う性質を持っているからである。
上記乾燥の温度は、押出圧力が低下する観点では、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、230℃以下が更に好ましく、210℃以下が更により好ましく、190℃以下が更により好ましく、170℃以下が特に好ましい。破断強度が向上する観点では、10℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましく、170℃以上が更により好ましく、190℃以上が更により好ましく、210℃以上が特に好ましい。上記強度比を一層高くするために、この温度範囲で適宜調整することが好ましい。
本開示は、TFE単位及びHFP単位を含み、上記HFP単位の量が、全重合単位に対し0.1質量%未満である変性PTFE(以下、第2の変性PTFEともいう。)も提供する。
第2の変性PTFEにおけるHFP単位の含有量は、全重合単位に対し0.1質量%未満であるが、0.05質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましい。
上記HFP単位の含有量は、また、全重合単位に対し0.0001質量%以上であってよく、0.001質量%以上であってもよい。
第2の変性PTFEにおけるTFE単位の含有量は99.0質量%以上であってよい。
第2の変性PTFEは、TFE及びHFP以外の変性モノマーに基づく重合単位(他の変性モノマー単位)を更に含むものであってもよい。
上記他の変性モノマーとしては、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等のパーハロオレフィン;パーフルオロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;パーフルオロアリルエーテル;(パーフルオロアルキル)エチレン、エチレン等が挙げられる。
上記他の変性モノマー単位の含有量は、全重合単位に対して、0.1質量%未満であることが好ましい。
また、HFP単位と上記他の変性モノマー単位との合計量が、全重合単位に対し0.1質量%未満であることが好ましい。
第2の変性PTFEは、破断強度が20.0N以上であることが好ましく、25.0N以上であることがより好ましく、28.0N以上であることが更に好ましく、30.0N以上であることが更により好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、100.0N以下であってよく、80.0N以下であってもよく、50.0N以下であってもよい。
第2の変性PTFEは、熱不安定指数(TII)が40未満であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましく、5未満であることが特に好ましい。
上記熱不安定指数は、また、-10以上であることが好ましく、0以上であることがより好ましい。
第2の変性PTFEは、押出圧力が20.0MPa以下であることが好ましく、18.0MPa未満であることがより好ましく、17.0MPa未満であることが更に好ましく、16.0MPa未満であることが更により好ましい。押出圧力は、5.0MPa以上であってよく、10.0MPa以上であってもよい。
第2の変性PTFEは、破断強度(N)/押出圧力(MPa)で表される強度比が1.80N/MPa以上であることが好ましく、1.85N/MPa以上であることがより好ましく、1.90N/MPa以上であることが更に好ましく、1.95N/MPa以上であることが更により好ましく、2.00N/MPa以上であることが更により好ましい。強度比は高ければ高いほどよいが、5.00N/MPa以下であってよく、4.00N/MPa以下であってもよく、3.00N/MPa以下であってもよい。
第2の変性PTFEは、延伸可能なものであることが好ましい。
第2の変性PTFEは、応力緩和時間が450秒以上であることが好ましく、500秒以上であることがより好ましく、550秒以上であることが更に好ましく、600秒以上であることが特に好ましい。
応力緩和時間は、長ければ長いほどよいが、2000秒以下であってよく、1000秒以下であってもよい。
第2の変性PTFEは、標準比重(SSG)が2.200以下であることが好ましく、2.180以下であることがより好ましく、2.170以下であることが更に好ましく、2.160以下であることが更により好ましく、2.155以下であることが殊更に好ましく、2.150以下であることが特に好ましい。
上記標準比重は、また、2.130以上であることが好ましい。
第2の変性PTFEは、第1の変性PTFEと同様の物性を有するものであってもよい。
第2の変性PTFEは、第1の変性PTFEについて説明した製造方法により、好適に製造することができる。
第1及び第2の変性PTFEは、粉末であることが好ましく、ファインパウダーであることがより好ましい。
第1及び第2の変性PTFEは、水性分散液の形態で提供することもできる。第1及び第2の変性PTFEのいずれかの粒子を含む水性分散液も、本開示の好適な態様である。
第1及び第2の変性PTFEは、平均一次粒子径が500nm以下であることが好ましく、350nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることが更に好ましく、280nm以下であることが特に好ましく、また、100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがより好ましく、170nm以上であることが更に好ましく、200nm以上であることが特に好ましい。
上記平均一次粒子径は、以下の方法により測定する。
変性PTFE水性分散液を水で固形分濃度0.15質量%になるまで希釈し、得られた希釈ラテックスの単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向を測定して決定した数基準長さ平均粒子径とを測定して、検量線を作成する。この検量線を用いて、各試料の550nmの投射光の実測透過率から数平均粒子径を決定し、平均一次粒子径とする。
第1及び第2の変性PTFEは、一次粒子の平均アスペクト比が2.0以下であってよく、1.8以下であることが好ましく、1.7以下であることがより好ましく、1.6以下であることが更に好ましく、1.5以下であることが更により好ましく、1.4以下であることが更により好ましく、1.3以下であることが殊更に好ましく、1.2以下であることが特に好ましく、1.1以下であることが最も好ましい。上記平均アスペクト比は、また、1.0以上であってよい。
上記平均アスペクト比は、フッ素樹脂粉末、又は、固形分濃度が約1質量%となるように希釈したフッ素樹脂水性分散液を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に抽出した200個以上の粒子について画像処理を行い、その長径と短径の比の平均より求める。
第1及び第2の変性PTFEは、平均二次粒子径が100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが更に好ましく、また、2000μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましく、800μm以下であることが更に好ましく、700μm以下であることが特に好ましい。
上記平均二次粒子径は、JIS K 6891に準拠して測定する。
第1及び第2の変性PTFEは、延伸体の原料として特に有用である。本開示は、第1及び第2の変性PTFEのいずれかから形成された延伸体も提供する。
本開示の延伸体は、第1又は第2の変性PTFEを延伸することで得ることができる。
上記延伸体は、その形状が膜、チューブ、繊維、ロッドであることも好ましい。
上記延伸体が膜(延伸膜又は多孔膜)である場合、公知のPTFE延伸方法によって延伸することができる。
好ましくは、シート状又は棒状のペースト押出物を押出方向にロール延伸することで、一軸延伸膜を得ることができる。
更に、テンター等により幅方向に延伸して、二軸延伸膜も得ることができる。
延伸前に半焼成処理を行うことも好ましい。
上記延伸体は、高い空孔率を持つ多孔体とすることができ、エアフィルター、薬液フィルター等の各種精密濾過フィルターの濾材、高分子電解質膜の支持材等として好適に利用できる。
また、繊維分野、医療分野、エレクトロケミカル分野、シール材分野、空気濾過分野、換気/内圧調整分野、液濾過分野、一般消費材分野等で使用する製品の素材としても有用である。
以下に、具体的な用途を例示する。
エレクトロケミカル分野
誘電材料プリプレグ、EMI遮蔽材料、伝熱材料等。より詳細には、プリント配線基板、電磁遮蔽シールド材、絶縁伝熱材料、絶縁材料等。
シール材分野
ガスケット、パッキン、ポンプダイアフラム、ポンプチューブ、航空機用シール材等。
空気濾過分野
ULPAフィルター(半導体製造用)、HEPAフィルター(病院・半導体製造用)、円筒カートリッジフィルター(産業用)、バグフィルター(産業用)、耐熱バグフィルター(排ガス処理用)、耐熱プリーツフィルター(排ガス処理用)、SINBRANフィルター(産業用)、触媒フィルター(排ガス処理用)、吸着剤付フィルター(HDD組込み)、吸着剤付ベントフィルター(HDD組込み用)、ベントフィルター(HDD組込み用他)、掃除機用フィルター(掃除機用)、汎用複層フェルト材、GT用カートリッジフィルター(GT向け互換品用)、クーリングフィルター(電子機器筐体用)等。
換気/内圧調整分野
凍結乾燥用の容器等の凍結乾燥用材料、電子回路やランプ向けの自動車用換気材料、容器キャップ向け等の容器用途、タブレット端末や携帯電話端末等の小型端末を含む電子機器向け等の保護換気用途、医療用換気用途等。
液濾過分野
半導体液ろ過フィルター(半導体製造用)、親水性PTFEフィルター(半導体製造用)、化学薬品向けフィルター(薬液処理用)、純水製造ライン用フィルター(純水製造用)、逆洗型液ろ過フィルター(産業排水処理用)等。
一般消費材分野
衣類、ケーブルガイド(バイク向け可動ワイヤ)、バイク用衣服、キャストライナー(医療サポーター)、掃除機フィルター、バグパイプ(楽器)、ケーブル(ギター用信号ケーブル等)、弦(弦楽器用)等。
繊維分野
PTFE繊維(繊維材料)、ミシン糸(テキスタイル)、織糸(テキスタイル)、ロープ等。
医療分野
体内埋設物(延伸品)、人工血管、カテーテル、一般手術(組織補強材料)、頭頸部製品(硬膜代替)、口内健康(組織再生医療)、整形外科(包帯)等。
第1及び第2の変性PTFEは、防塵用添加剤、ドリップ防止剤、電池用結着剤等の各種添加剤、塗装用途、ガラスクロス含浸加工用途にも好適に利用できる。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
次に実施例を挙げて本開示を更に詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
各種物性は下記方法にて測定した。
変性モノマー単位の含有量
PTFE粉末を19F-NMR測定を行い得られる官能基に由来するシグナルから下記式に基づいて算出した。
HFP含有量(質量%)=(50A/(50A+25B))×100
(A:-65ppm付近に現れるCFシグナルの積分値、B:-120ppm付近に現れるCFシグナルの積分値)
ケミカルシフト値はポリマー主鎖由来のCFシグナルのピークトップを-120ppmとした際のものを用いた。
標準比重(SSG)
ASTM D 4895に準拠して形成されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定した。
平均一次粒子径
変性PTFE水性分散液を水で固形分濃度0.15質量%になるまで希釈し、得られた希釈ラテックスの単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向を測定して決定した数基準長さ平均粒子径とを測定して、検量線を作成した。この検量線を用いて、各試料の550nmの投射光の実測透過率から数平均粒子径を決定し、平均一次粒子径とした。
平均アスペクト比
固形分濃度が約1質量%となるように希釈したフッ素樹脂水性分散液を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に抽出した200個以上の粒子について画像処理を行い、その長径と短径の比の平均より求めた。
押出圧力
変性PTFE粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にて3分間混合してPTFEファインパウダー混合物を得た。次いで、得られたPTFEファインパウダー混合物を、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置した後にオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比(ダイスの入り口の断面積と出口の断面積の比)でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得た。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とした。押出圧力は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値とした。
延伸試験
上記のペースト押出により得られたビードを230℃で30分加熱することにより、潤滑剤をビードから除去した。次に、ビード(押出成形体)を適当な長さに切断し、クランプ間隔が2.0インチ(51mm)の間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱した。次いでクランプを所望のストレッチ(総ストレッチ)に相当する分離距離となるまで所望の速度(ストレッチ速度)で離し、ストレッチ試験を実施した。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さと関連して表される。上記作製方法において、上記ストレッチ速度は、100%/秒であり、上記総ストレッチは2400%である。
破断強度
上記延伸試験で得られた延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度として測定した。
熱不安定指数(TII)
ASTM D 4895に準拠して測定した。
応力緩和時間
クランプ間隔1.5インチ(38mm)、延伸速度1000%/秒とする以外は、上記延伸試験と同様にして得られた延伸ビードの両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間として測定する。
合成例1
国際公開第2021/045228号の合成例1に記載された方法により白色固体Aを得た。
実施例1
ステンレススチール製攪拌翼と温度調節用ジャケットを備えた内容量6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、脱イオン水3580g、パラフィンワックス100g及び白色固体A5.4gを仕込み、70℃に加温しながらオートクレーブ内を窒素ガスで置換して酸素を除いた。HFP0.06gをTFEで圧入した後、TFEを圧入して系内圧力を0.78MPaGとし、攪拌しながら系内温度を70℃に保った。次いで、水20gに過硫酸アンモニウム15.4mgを溶解した水溶液をTFEで圧入し、重合反応を開始した。重合反応の進行に伴い系内圧力が低下するがTFEを追加して系内温度を70℃、系内圧力を0.78MPaGに維持した。
重合開始からTFEが430g消費された時点で、ラジカル捕捉剤としてヒドロキノン18.0mgを水20gに溶解した水溶液をTFEで圧入した。重合はその後も継続し、TFEの重合量が重合開始から1540gになった時点で攪拌及びTFEの供給を止め、直ちに系内のガスを放出して常圧とし、重合反応を終了した。水性分散液を取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。平均アスペクト比は、1.40であった。
得られたPTFE水性分散液を固形分濃度13質量%まで希釈し、容器内で攪拌しながらPTFEを凝固させた後、水と濾別し、PTFE湿潤粉末を得た。
得られたPTFE湿潤粉末を180℃に設定した熱風循環式乾燥機にて18時間乾燥させることにより変性PTFEファインパウダーを得た。
得られた変性PTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
乾燥温度を160℃に変更する以外は、実施例1と同様にしてPTFE水性分散液、変性PTFEファインパウダーを得た。
得られた変性PTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3
HFPの仕込み量を0.11gに変更する以外は、実施例1と同様にしてPTFE水性分散液、変性PTFEファインパウダーを得た。平均アスペクト比は、1.38であった。
得られた変性PTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例4
ハイドロキノンの添加時期をTFEが310g消費された時点にし、TFEの供給停止をTFEの重合量が1250gになった時点に変更する以外は実施例3と同様にしてPTFE水性分散液、変性PTFEファインパウダーを得た。平均アスペクト比は、1.35であった。
得られた変性PTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例5
HFPの仕込み量を0.50gに変更する以外は、実施例1と同様にしてPTFE水性分散液、変性PTFEファインパウダーを得た。平均アスペクト比は、1.25であった。
得られた変性PTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例6
重合開始からTFEが180g消費された時点でTFEの攪拌と供給を停止し、続いて反応器の圧力が0.02MPaGに達するまで反応器内のガスをゆっくりと放出し、続いて、反応器の圧力が0.78MPaGになるまでTFEを供給し、再び攪拌を開始するよう変更する以外は、実施例5と同様にしてPTFE水性分散液、変性PTFEファインパウダーを得た。平均アスペクト比は、1.34であった。
得られた変性PTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例7
ステンレススチール製攪拌翼と温度調節用ジャケットを備えた内容量6リットルの重合槽に、脱イオン水3580g、パラフィンワックス180g及び白色固体A5.4g、シュウ酸0.027gを仕込み、70℃に加温しながら重合槽内を窒素ガスで置換して酸素を除いた。攪拌しながら槽内温度を70℃に保ったのち、HFP1.88gを加えた後、TFEガスを導入し、2.7MPaGの圧力とした。内容物を攪拌しながら、開始剤として脱イオン水に過マンガン酸カリウム3.4mgを溶解した過マンガン酸カリウム水溶液を加えて、重合反応を開始した。過マンガン酸カリウム水溶液を一定速度で連続的に添加し、重合槽内の圧力が2.7MPaGに一定になるよう、TFEを連続的に供給した。TFE消費量が530gの時点で上記過マンガン酸カリウム3.4mgを溶解した脱イオン水全量を添加し終えた。TFE消費量が1440gの時点で、攪拌及びTFE供給を停止して、重合槽内のTFEをパージし、重合反応を終了した。水性分散液を取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。
得られたPTFE水性分散液を固形分濃度13質量%まで希釈し、容器内で攪拌しながらPTFEを凝固させた後、水と濾別し、PTFE湿潤粉末を得た。平均アスペクト比は、1.28であった。
得られたPTFE湿潤粉末を160℃に設定した熱風循環式乾燥機にて18時間乾燥させることにより変性PTFEファインパウダーを得た。
得られた変性PTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例8
ステンレススチール製攪拌翼と温度調節用ジャケットを備えた内容量6リットルの重合槽に、脱イオン水3550g、パラフィンワックス180g、及び白色固体A5.4gを仕込み、80℃に加温しながら重合槽内を窒素ガスで置換して酸素を除いた。攪拌しながら槽内温度を80℃に保ったのち、HFP1.80gを加えた後、TFEガスを導入し、2.7MPaGの圧力とした。次いで、水20gに過硫酸アンモニウム7.2mgを溶解した水溶液をTFEで圧入し、重合反応を開始した。重合開始からTFEが180g消費された時点でTFEの攪拌と供給を停止し、続いて反応器の圧力が0.02MPaGに達するまで反応器内のガスをゆっくりと放出し、続いて、反応器の圧力が2.7MPaGになるまでTFEを供給し、再び攪拌を開始した。重合開始からTFEが410g消費された時点で、ラジカル捕捉剤としてヒドロキノン11.0mgを溶解した脱イオン水を一定速度で連続的に供給し、TFE消費量が1000gの時点で上記ヒドロキノン11.0mgを溶解した脱イオン水全量を添加し終えた。TFE消費量が1440gの時点で、攪拌及びTFE供給を停止して、重合槽内のTFEをパージし、重合反応を終了した。水性分散液を取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。平均アスペクト比は、1.31であった。
得られたPTFE水性分散液を固形分濃度13質量%まで希釈し、容器内で攪拌しながらPTFEを凝固させた後、水と濾別し、PTFE湿潤粉末を得た。
得られたPTFE湿潤粉末を160℃に設定した熱風循環式乾燥機にて18時間乾燥させることにより変性PTFEファインパウダーを得た。
得られた変性PTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
HFPを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてPTFEファインパウダーを得た。
得られたPTFEファインパウダーについて、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2024025761000001

Claims (9)

  1. テトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位を含み、前記ヘキサフルオロプロピレン単位の量が、全重合単位に対し1.0質量%以下であり、破断強度が20.0N以上であり、熱不安定指数が40未満である変性ポリテトラフルオロエチレン。
  2. 破断強度(N)/押出圧力(MPa)で表される強度比が1.80N/MPa以上である請求項1に記載の変性ポリテトラフルオロエチレン。
  3. 応力緩和時間が500秒以上である請求項1又は2に記載の変性ポリテトラフルオロエチレン。
  4. 押出圧力が17.0MPa未満である請求項1又は2に記載の変性ポリテトラフルオロエチレン。
  5. 押出圧力が16.0MPa未満である請求項1又は2に記載の変性ポリテトラフルオロエチレン。
  6. テトラフルオロエチレン単位及びヘキサフルオロプロピレン単位を含み、前記ヘキサフルオロプロピレン単位の量が、全重合単位に対し0.1質量%未満である変性ポリテトラフルオロエチレン。
  7. 粉末である請求項1又は2に記載の変性ポリテトラフルオロエチレン。
  8. ファインパウダーである請求項1又は2に記載の変性ポリテトラフルオロエチレン。
  9. 請求項1又は2に記載の変性ポリテトラフルオロエチレンから形成された延伸体。
JP2023131021A 2022-08-10 2023-08-10 変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、延伸体 Pending JP2024025761A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022128223 2022-08-10
JP2022128223 2022-08-10

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024025761A true JP2024025761A (ja) 2024-02-26

Family

ID=89851703

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023131021A Pending JP2024025761A (ja) 2022-08-10 2023-08-10 変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、延伸体

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2024025761A (ja)
WO (1) WO2024034675A1 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4774675B2 (ja) * 2004-04-07 2011-09-14 ダイキン工業株式会社 変性ポリテトラフルオロエチレン粉末及びテトラフルオロエチレン重合体の製造方法
JP6299448B2 (ja) * 2014-06-10 2018-03-28 旭硝子株式会社 ペースト押出成形用テトラフルオロエチレン共重合体、該共重合体の製造方法および成形物
JP6962368B2 (ja) * 2017-06-02 2021-11-05 Agc株式会社 変性ポリテトラフルオロエチレンおよびその製造方法
CN112638957A (zh) * 2018-07-23 2021-04-09 大金工业株式会社 聚四氟乙烯和拉伸体
CN113039241B (zh) * 2018-11-19 2023-11-07 大金工业株式会社 组合物和拉伸体
CN113195629A (zh) * 2018-12-20 2021-07-30 3M创新有限公司 非晶态全氟化聚合物的胶乳共混物以及来源于其的制品
EP4006063A4 (en) * 2019-07-23 2023-10-25 Daikin Industries, Ltd. METHOD FOR PRODUCING A FLUROPOLYMER, POLYTETRAFLUORETHYLENE COMPOSITION AND POLYTETRAFLUORETHYLENE POWDER
EP4249516A1 (en) * 2020-11-19 2023-09-27 Daikin Industries, Ltd. Method for producing polytetrafluoroethylene, and composition containing polytetrafluoroethylene

Also Published As

Publication number Publication date
WO2024034675A1 (ja) 2024-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8937132B2 (en) Polytetrafluoroethylene mixture
US8865839B2 (en) Polytetrafluoroethylene mixture
JP5900587B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレン水性分散液の製造方法
JP7174272B2 (ja) 変性ポリテトラフルオロエチレンの製造方法及び組成物
CN105793336B (zh) 双向拉伸多孔质膜
JP7299510B2 (ja) 組成物及び延伸体
JP5901290B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレン及びその製造方法
JP7112000B2 (ja) フルオロポリマーの製造方法、重合用界面活性剤及び界面活性剤の使用
JP2022126769A (ja) ポリテトラフルオロエチレン及び延伸体
WO2024034675A1 (ja) 変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、延伸体
US20230303731A1 (en) Method for producing polytetrafluoroethylene and composition containing polytetrafluoroethylene
WO2024034677A1 (ja) 変性ポリテトラフルオロエチレン
WO2024034676A1 (ja) 変性ポリテトラフルオロエチレン及び水性分散液
US20220289877A1 (en) Polytetrafluoroethylene production method
TW202415687A (zh) 改質聚四氟乙烯
WO2023054723A1 (ja) ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー
TW202415686A (zh) 改質聚四氟乙烯及水性分散液
US20220213277A1 (en) Process for producing aqueous fluoropolymer dispersion
WO2022163814A1 (ja) フルオロポリマー組成物の製造方法
WO2022163815A1 (ja) フルオロポリマー組成物の製造方法
CN118019769A (en) Polytetrafluoroethylene fine powder
WO2023277140A1 (ja) 高純度フルオロポリマー含有組成物の製造方法および高純度フルオロポリマー含有組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240326