JP2024025416A - 樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂成分により構成された樹脂層どうしの層間の剥離強度が向上した樹脂積層体を提供する。【解決手段】樹脂成分により構成された樹脂層が複数積層された樹脂積層体であって、樹脂層どうしの層間の少なくとも1つに、隣り合ういずれの樹脂層とも接着されて層間を補強している層間補強層が備わり、この層間補強層が樹脂成分およびナノセルロースにより構成され、且つ、樹脂成分100質量部に対してナノセルロースを0.3~15質量部含有する樹脂積層体とすることにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂積層体に関する。
航空部品や自動車部品などの分野において、樹脂成分により構成された樹脂層が複数積層されて形成された樹脂積層体が使用されている。このような樹脂積層体に求められる特性としては、難熱性、耐衝撃性、成形加工性、接着性(層間接着性等)などが代表的なものとして挙げられる。
例えば、特許文献1には、シロキサン共重合ポリカーボネート樹脂と、所定の構造を有するサルホン樹脂と、無機フィラーと、リン含有化合物と、スチレン系樹脂と、フッ素系樹脂とを含む樹脂組成物が成形された第1の層と、シロキサン共重合ポリカーボネート樹脂と異なる芳香族ポリカーボネート樹脂と、紫外光安定化剤とを含む第2の層とを備える、難燃性および耐衝撃性が高まった樹脂積層体が開示されている。
特開2021-155693号公報
しかしながら、近年の航空部品や自動車部品などに求められる品質などの観点から、特に、このような樹脂積層体における樹脂層どうしの層間の剥離強度(層間接着性)についてさらなる改善の余地がある。
そこで本発明は、樹脂成分により構成された樹脂層どうしの層間の剥離強度が向上した樹脂積層体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、樹脂層どうしの層間の少なくとも1つに、隣り合ういずれの樹脂層とも接着されてその層間を補強している層間補強層が備わり、この層間補強層が樹脂成分およびナノセルロースにより構成され、且つ、この樹脂成分100質量部に対してナノセルロースを0.3~15質量部含有する構成である樹脂積層体が、この樹脂層どうしの層間の剥離強度が向上したものとなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の<1>~<2>である。
<1>樹脂成分により構成された樹脂層が複数積層された樹脂積層体であって、前記樹脂層どうしの層間の少なくとも1つに、隣り合ういずれの前記樹脂層とも接着されて前記層間を補強している層間補強層が備わり、前記層間補強層が樹脂成分およびナノセルロースにより構成され、且つ、前記樹脂成分100質量部に対して前記ナノセルロースを0.3~15質量部含有する、樹脂積層体。
<2>前記樹脂層の少なくとも1つおよび/または前記層間補強層が、前記樹脂成分としてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる1以上を含む、<1>に記載の樹脂積層体。
本発明によれば、樹脂成分により構成された樹脂層どうしの層間の剥離強度が向上した樹脂積層体を得ることができる。
本発明に係る樹脂積層体の実施形態の一例を表す部分断面概略図である。
本発明について説明する。
本発明は、樹脂成分により構成された樹脂層が複数積層された樹脂積層体であって、樹脂層どうしの層間の少なくとも1つに、隣り合ういずれの樹脂層とも接着されてその層間を補強している層間補強層が備わり、この層間補強層が樹脂成分およびナノセルロースにより構成され、且つ、樹脂成分100質量部に対してナノセルロースを0.3~15質量部含有する樹脂積層体である。以下においては、これを「本発明の樹脂積層体」ともいう。
なお、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、特段の断りがない限り、「~」の前に記載される数値を下限値、および「~」の後に記載される数値を上限値とする数値範囲を意味する。
本発明の樹脂積層体は、樹脂成分により構成された樹脂層が複数(2層以上)積層されており、この積層された樹脂層どうしの層間の少なくとも1つに、隣り合ういずれの樹脂層とも接着されてその層間を補強している層間補強層が備わる。例えば、図1に示す実施形態のように、積層された2つの樹脂層11の層間に、隣り合ういずれの樹脂層11とも接着されてその層間を補強している層間補強層13が備わる実施形態などが例示される。
以下、本発明の樹脂積層体に備わる樹脂層および層間補強層について詳細に説明する。
[樹脂層]
本発明の樹脂積層体に備わる樹脂層は、樹脂成分により構成されている。この樹脂層における樹脂成分の含有割合は、20質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上70質量%以下であるのがより好ましく、40質量%以上60質量%以下であるのがさらに好ましい。
そして、この樹脂層を構成する樹脂成分としては、例えば以下のような熱硬化性樹脂、これらの樹脂成分混合物、またはこれらの樹脂成分を含む任意の樹脂成分混合物を挙げることができる。具体的には、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂を含む樹脂成分が例示される。
特に、層間補強層との接着のし易さなどの観点から、この樹脂層を構成する樹脂成分として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる1以上を含む樹脂成分を用いるのがより好ましい。この中でも、エポキシ樹脂をこの樹脂成分として用いるのが特に好ましい。そして、本発明の樹脂積層体に備わる樹脂層がいずれもエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる1以上を含む樹脂成分により構成されているとさらに好適である。また、これらからなる樹脂成分により構成されていてもよい。なお、この樹脂層に用いる樹脂成分は、水系溶媒(水、水に可溶な有機溶媒、またはこれらの混合物)に不溶または難溶なものであるのが好適である。
また、本発明の樹脂積層体に備わる樹脂層には、樹脂成分以外の公知の添加剤等が含まれていてもよい。例えば、硬化剤、硬化触媒、充填剤、老化防止剤、難燃剤、反応遅延剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤等が挙げられる。
さらに、本発明の樹脂積層体に備わる樹脂層には、耐衝撃性などを向上させるために、強化繊維が含まれていてもよい。強化繊維としては、例えば炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、高強度ポリエステル繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、スチール繊維などの各種の無機繊維または有機繊維を用いることができる。これらの中でも難燃性の観点から、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維が好ましい。一方で、補強性能の観点からは、高強度ポリエステル繊維が好ましい。そして、これらは樹脂層を構成する樹脂成分中に混合分散させることもでき、あるいは強化繊維が長繊維の場合には樹脂成分を含侵させたプリプレグの形態で使用することもできる。
また、本発明の樹脂積層体に備わる樹脂層の少なくとも1つが、一方の表面(層間補強層と接着する面がある場合にはこれとは反対側の表面)に強化繊維により構成され且つ樹脂層を補強する機能を備える補強層(例えばファブリック補強層など)を有していてもよい。また、層間補強層が含まれない樹脂層どうしの層間にファブリック補強層などを備える構成であってもよい。そして、この補強層を構成する強化繊維も上記のものを使用できる。
なお、本発明の樹脂積層体に備わる樹脂層は、樹脂積層体としての機能維持などの観点から、後述するナノセルロース(層間補強層に含まれるナノセルロース)は実質的に含まれない構成であるのが好ましい。
[層間補強層]
本発明の樹脂積層体における樹脂層どうしの層間の少なくとも1つに備わる層間補強層は、樹脂成分およびナノセルロースにより構成されている。つまり、樹脂成分およびナノセルロースを主成分(合計で50質量%超含む)とする層である。この樹脂成分およびナノセルロースの合計の割合は、60質量%以上であるのがより好ましく、70質量%以上であるのがさらに好ましく、80質量%以上であるのがさらに好ましく、90質量%以上であるのがさらに好ましく、95質量%以上であるのがさらに好ましい。そして、この層間補強層は、隣り合う(隣接している)いずれの樹脂層とも接着されてその層間を補強している。つまり、隣り合ういずれの樹脂層とも直接接着して(他の層を介在せずに接触して)、これら樹脂層どうしの層間接着性を高めている。
この層間補強層に用いる樹脂成分としては、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂等)などを使用可能であるが、層間補強層の形成のし易さなどの観点から、水溶性樹脂成分を含むものを用いるのがより好ましい。この水溶性樹脂成分とは、水系溶媒に可溶な樹脂成分である。また、樹脂層(特にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる1以上を含む樹脂成分により構成された樹脂層)との接着のし易さなどの観点から、この層間補強層に用いる樹脂成分として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる1以上を含む樹脂成分を用いるのがより好ましく、層間補強層の形成のし易さやその補強性能なども考慮すると、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性メラミン樹脂、および水溶性フェノール樹脂からなる群から選ばれる1以上を含む樹脂成分を用いるのがさらに好ましい。この中でも、水溶性エポキシ樹脂を含む樹脂成分を用いるのが特に好ましく、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレン・ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどの、主骨格にエチレンオキサイド、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールを有するグリシジルエーテル(エポキシ)を含むのが好ましい。
また、この層間補強層に用いるナノセルロースとは、セルロースミクロフィブリルからなる平均繊維径が1~1000nmの極細繊維を意味し、平均繊維長さが0.5~5μmであるアモルファスを含むセルロースナノファイバー(CNF)や、平均繊維長さが0.1~0.5μmである結晶性の(例えば針状結晶、あるいは球状結晶の)セルロースナノクリスタル(CNC)などを包含するものである。
そして、このナノセルロースの平均繊維径は前述したように1~1000nmであるが、1~200nmであるのが好ましい。また、このナノセルロースの平均アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)は好ましくは10~1000、より好ましくは50~500である。平均繊維径が上記範囲未満および/または平均アスペクト比が上記範囲を超えると、ナノセルロースの樹脂成分中への分散性が低下し易くなる傾向がある。また平均繊維径が上記範囲を超過および/または平均アスペクト比が上記範囲未満であると層間補強性能が低下し易くなる傾向がある。
ここで、本発明においてナノセルロースの「平均繊維径」および「平均繊維長さ」とは、TEM観察またはSEM観察により、構成する繊維の大きさに応じて適宜倍率を設定して電子顕微鏡画像を得て、この画像中の少なくとも50本以上において測定したときの繊維径および繊維長さの平均値を意味する。そして、このようにして得られた平均繊維長さおよび平均繊維径から、平均アスペクト比を算出する。
なお、このナノセルロースの原料となるセルロースは、木材由来または非木材(バクテリア、藻類、綿など)由来のいずれでもよく、特段限定されない。ナノセルロースの作製方法としては、例えば、原料となるセルロースに水を加え、ミキサー等により処理して、水中にセルロースを分散させたスラリーを調製し、これを高圧式や超音波式などの装置によって直接機械的なせん断力をかけて解繊する方法や、このスラリーに酸化処理やアルカリ処理、酸加水分解などの化学処理を施し、セルロースを変性して解繊しやすくしてから分散機などによって機械的なせん断力をかけて解繊する方法が例示される。このように化学処理を施してから解繊することにより、セルロースを低いエネルギーでより細かく均質に解繊することができ、化学変性ナノセルロース(化学修飾ナノセルロース)を容易に得ることができる。なお、化学処理としては、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(以下、「TEMPO」という)、4-アセトアミド-TEMPO、4-カルボキシ-TEMPO、4-アミノ-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPO、4-フォスフォノオキシ-TEMPO、リン酸エステル、過ヨウ素酸、水酸化アルカリ金属および二硫化炭素などの化学処理剤による処理を挙げることができる。また、セルロースの機械的解繊を行ってから化学処理を行ってもよい。さらに、前述した化学処理に加えて、樹脂成分などとの親和性をより高めるために、解繊工程のあとにセルラーゼ処理、カルボキシメチル化、エステル化、カチオン性高分子による処理などを施すこともできる。
そして、本発明の樹脂積層体に備わる層間補強層では、層間補強層の樹脂成分100質量部に対してこのナノセルロースを、ナノセルロースの固形分量として0.3~15質量部含む。さらに、このナノセルロースの含有量は、樹脂成分100質量部に対して0.5~12質量部であるのが好ましく、1~10質量部であるのがより好ましく、2~8質量部であるのがさらに好ましい。なお、このナノセルロースの含有量が樹脂成分100質量部に対して0.3質量部未満であると、この層間の剥離強度を十分に高めることができない。また、このナノセルロースの含有量が樹脂成分100質量部に対して15質量部を超えると、樹脂積層体のコストが高くなり、さらに、ナノセルロースをこの樹脂成分中に均質に分散できない可能性が高い。
さらに、この層間補強層に含まれるナノセルロースは、層間補強層の樹脂成分中への分散性がさらに向上して層間の剥離強度がより向上することから、フェノール樹脂により表面処理されたナノセルロースであるのが好ましく、フェノール樹脂の1つであるレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF樹脂)により表面処理されたナノセルロースであるのがより好ましい。つまり、樹脂成分であるフェノール樹脂(特にRF樹脂)により事前に表面処理されたナノセルロール(表面処理ナノセルロース)であるのが好適である。なお、このRF樹脂処理では、RF樹脂とともにホルムアルデヒドを用いる。この場合において、ナノセルロースとRF樹脂およびホルムアルデヒドとを含む混合液などをそのまま原料として使用でき、つまりこの層間補強層は、RF樹脂を含む樹脂成分と、ホルムアルデヒドとを含有するものであって良い。但し、層間補強層を構成する樹脂成分を全てRF樹脂とすること(層間補強層の樹脂成分がRF樹脂100%であること)は好ましくなく、例えば、この樹脂成分が水溶性樹脂成分とRF樹脂とを含む構成などであるのが好ましく、水溶性樹脂成分(特に水溶性エポキシ樹脂)とRF樹脂とからなる構成であってもよい。
なお、この上記した樹脂による「表面処理」とは、解繊されたナノセルロースの界面(表面)と上記した樹脂との水素結合などによる相互作用によって、このナノセルロースの界面の少なくとも一部に上記した樹脂が近接して配置される処理であり、これによりナノセルロースの界面が補強されてナノレベルまで解繊された状態を保ち易くなり、且つナノセルロースの樹脂成分中における分散性もより高まる。以下においては、この上記した樹脂によって表面処理されたナノセルロース(表面処理ナノセルロース)も単に「ナノセルロース」と称する場合もある。
そして、この層間補強層におけるRF樹脂およびホルムアルデヒドの含有量は、ナノセルロースの表面処理に寄与しているもの(ナノセルロースの界面に配置されているもの)も含めて、ナノセルロース1質量部に対して、RF樹脂が好ましくは0.03~1.2質量部、より好ましくは0.05~0.8質量部、さらに好ましくは0.06~0.6質量部、さらに好ましくは0.08~0.4質量部、ならびに、ホルムアルデヒドが好ましくは0.02~0.8質量部、より好ましくは0.03~0.5質量部、さらに好ましくは0.04~0.4質量部、さらに好ましくは0.05~0.3質量部となるように調整するのが好適である。RF樹脂中に後述する未反応のホルムアルデヒドが含まれる場合には、この未反応のホルムアルデヒド含有量もこの量に含める。
ここで、本発明において「レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF樹脂)」とは、フェノール樹脂であるレゾルシンとホルムアルデヒドとを触媒下で縮合反応させることにより得られる縮合物(オリゴマー)であり、その重合度は5~15程度であるのが好ましい。また、このレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物には、未反応のレゾルシンおよび/またはホルムアルデヒドが含まれていても良い。
なお、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ触媒下においてレゾルシン/ホルムアルデヒドのモル比を1/1~3として縮合反応させることによって得られる、メチロール基を有する縮合物がレゾール型レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(下記式(1)で表される縮合物(式中のnは重合度))であり、一方、シュウ酸などの酸触媒下においてレゾルシン/ホルムアルデヒドのモル比を1/0.8~0.9として縮合反応させることによって得られる、メチロール基を有さない縮合物がノボラック型レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(下記式(2)で表される縮合物(式中のmは重合度))である。本発明においては、このレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物はレゾール型およびノボラック型のいずれであってもよいが、好ましい態様としてはノボラック型が挙げられる。
Figure 2024025416000002
Figure 2024025416000003
なお、本発明においては、このRF樹脂などとの親和性がより高まることから、層間補強層のナノセルロースとして、カルボキシ基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基、ザンテート基、スルホン基、硫酸基、およびチオラート基からなる群から選ばれる1種以上を有する化学変性ナノセルロース(例えば、水酸基の一部がカルボキシ基、アルデヒド基、リン酸基、亜リン酸基およびザンテート基などの極性基に酸化された酸化セルロースナノファイバーなど)を使用するのが好ましく、特に、カルボキシ基を有する化学変性ナノセルロースを使用するのがより好ましい。
さらに、本発明の樹脂積層体に備わる層間補強層には、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲において、層間補強材料などとして用いられる任意の成分を含んでいても構わない。しかしながら、接着性の向上やコスト低減などの観点から、前述した強化繊維を実質的に含まない構成であるのが好ましい。例えば、この層間補強層は、樹脂成分と、硬化剤と、ナノセルロースと、からなる構成や、樹脂成分と、硬化剤と、ナノセルロースと、RF樹脂およびホルムアルデヒドと、からなる構成などであってもよい。
そして、本発明の樹脂積層体は、例えば図1の実施形態のような2つの樹脂層が1つの層間補強層を挟んで積層された積層構造であってもよく、あるいは3層以上の樹脂層を含む積層構造であってもよい。そして、3層以上の樹脂層を含む積層構造の場合には、積層された樹脂層どうしの層間のうち少なくとも1つに、これらの樹脂層と隣接するように層間補強層を有していればよいが、積層された樹脂層どうしの全ての層間において層間補強層を有する積層構造であるのがより好適である。つまり、本発明の樹脂積層体は、含まれる樹脂層どうしの層間の少なくとも1つ、より好ましくはいずれもがナノセルロースを含む樹脂接着層により(を介在して)接着された積層構造である。
[製造方法]
本発明の樹脂積層体の製造方法は、常法にしたがえばよく、特段限定はされない。製造方法の一例としては、前述した樹脂成分およびナノセルロースを含む原料を用いて層間補強層(例えばシート状の層間補強層)を形成し、この層間補強層を樹脂成分により構成された樹脂層どうしの層間に介在させてこれらを接着し、樹脂積層体を形成する。得られた樹脂積層体は、さらに加圧処理や加熱処理などを施して硬化反応を促す。
以上のようにして得られた本発明の樹脂積層体は、樹脂成分により構成された樹脂層どうしの層間の剥離強度が向上しており、航空部品や自動車部品などに特に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
下記表1に示す組成の樹脂シート、およびこれを層間補強層として用いた樹脂積層体を作製した。
具体的には、まず下記表1の上段に示す質量部の各成分を、1000ccのプロペラ式撹拌機で30分間混合し、80℃のオーブンで24時間水分を除去し、さらに8インチのオープンロールにて混練して、得られた各組成物から比較例1~3、および実施例1~2の樹脂シートを作製した。そして、この各樹脂シートをそれぞれ層間補強層13(接着層)として介在させて、エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製、YD-128)および硬化剤(三菱ケミカル社製、DICY-15)を樹脂成分50質量%の濃度で炭素繊維織物に含侵して構成された2つの樹脂層11を図1のように積層して接着させ、比較例1~3、および実施例1~2の樹脂積層体を作製した。
<ナノセルロースの分散性>
得られた比較例1~3、および実施例1~2の樹脂積層体について、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、適宜倍率を設定して電子顕微鏡画像を得て、層間補強層13におけるナノセル-ロースの分散状態を確認した。
この結果を下記表1の下段に示した。なお、上記したTEM観察においてナノセルロースの凝集や樹脂成分とナノセルロースとの分離が目立つ場合を×、ナノセルロースの凝集や樹脂成分とナノセルロースとの分離がほとんどなく樹脂成分とナノセルロースとが概ね均質に混合している場合を〇とした。
<層間剥離強度>
得られた比較例1~3、および実施例1~2の樹脂積層体について、JIS K7078-1991に準拠して、層間補強層13を挟んで積層された樹脂層11間の層間剥離強度を測定した。
この結果も下記表1の下段に示した。なお、結果は比較例1の値を100とする指数(index%)で表した。この指数が大きいほど層間剥離強度が優れることを意味する。
Figure 2024025416000004
上記表1中における各成分の詳細な内容は以下の通りである。
・水溶性エポキシ樹脂:デナコールEX-810(ナガセケムテックス社製)
・CNF:酸化セルロースナノファイバー(Cellenpia、日本製紙社製)
・RF樹脂:ノボラック型レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(スミカノール(登録商標)700S)、住友化学工業社製)
・ホルムアルデヒド:ホルムアルデヒド水溶液(関東化学社製、37%溶液)
この結果から、樹脂成分および所定量のナノセルロースにより構成された層間補強層を用いた樹脂積層体(実施例1)は、樹脂成分のみからなる層間補強層(比較例1)を用いた樹脂積層体よりも層間の剥離強度が向上し、さらに所定量のRF樹脂およびホルムアルデヒドを含む層間補強層を用いた樹脂積層体(実施例2)は、比較例2および比較例3との対比などから、層間補強層におけるナノセルロースの分散性が高度に維持され且つこの層間の剥離強度もかなり向上することが示された。
11 樹脂層
13 層間補強層

Claims (2)

  1. 樹脂成分により構成された樹脂層が複数積層された樹脂積層体であって、
    前記樹脂層どうしの層間の少なくとも1つに、隣り合ういずれの前記樹脂層とも接着されて前記層間を補強している層間補強層が備わり、
    前記層間補強層が樹脂成分およびナノセルロースにより構成され、且つ、前記樹脂成分100質量部に対して前記ナノセルロースを0.3~15質量部含有する、樹脂積層体。
  2. 前記樹脂層の少なくとも1つおよび/または前記層間補強層が、前記樹脂成分としてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる1以上を含む、請求項1に記載の樹脂積層体。
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