JP2024024262A - 電気的接触子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 単一の材料から螺旋構造の弾性体を備える構成が一体的に形成され、電気回路としてロスの無い接続ができ、且つ接点部でブレが生じない電気的接触子を提供する。【解決手段】 本発明は、導電性を有する板状部材で形成された電気的接触子であって、前記板状部材を同一径で密着して巻回して形成され、一端部は第1の接触対象と接触する第1接触部を備える第1の巻部と、前記板状部材を同一径で密着して巻回して形成され、一端部は第2の接触対象と接触する第2接触部を備える第2の巻部と、前記板状部材を異なる径で巻回して形成される1又は2以上の螺旋構造の弾性部とを有する。【選択図】 図1
Description
本発明は、電気的接触子に関し、例えば、半導体ウェハ上の集積回路や被検査体の通電試験に用いる電気的接触子に適用し得るものである。
半導体ウェハ上に形成された集積回路や、パッケージ化された集積回路等の被検査体は、それぞれの製造段階において電気的特性の検査が行なわれる。半導体ウェハ上の集積回路の電気的検査には、プローブカード等の電気的接続装置が用いられ、パッケージ化された集積回路の電気的検査にはソケット等の電気的接続装置が用いられる。このような電気的接続装置では、第1の接触対象と第2の接触対象に接触する電気的接触子が用いられ、電気的接触子を介して第1の接触対象と第2の接触対象との間で電気信号の導通を行なっている。
従来、電気的接触子には、様々なものがあるが、複数の構成部品を組み合わせて形成される電気的接触子がある。このような複数の構成部品で形成される電気的接触子を用いて、第1の接触対象と第2の接触対象との間で電気信号を導通させる場合、構成部品同士の接触箇所で抵抗が大きくなり、電気的な導通性に影響が生じ得る。
特許文献1には、薄肉帯状の基板を曲げ加工して、螺旋状の筒状スリーブと、筒状スリーブの一端に第1端子と、筒状スリーブの他端に第2端子とを一体成形したスプリングプローブが開示されている。このようなスプリングプローブは、薄肉帯状の基板で一体的に形成されているので、導電性が良好となる。
しかしながら、特許文献1に記載のスプリングプローブを用いて、第1の接触対象と第2の接触対象との間に電気信号を導通させた場合、スプリングプローブにおける電気的な導通経路は、螺旋状に巻き回した1対のコイルスプリングを経由するので、経路長が長くなってしまい、電気的な導通性の向上が要求される。
ここで、例えば、板状部材を螺旋状に巻き回した内側部材の一部が外側部材に覆われて形成される渦巻きばね(螺旋構造のばね)を電気的接触子としてそのまま用いることが考えられる。
上述の渦巻き構造の電気的接触子は、1個の板状部材を巻き回して形成するので、構成部材間の接触箇所を無くすことができる。そのため、渦巻き構造の電気的接触子における導通経路上での抵抗値を小さくできる。さらに、渦巻き構造の電気的接触子における導通経路の経路長も短くでき、電気的な導通性も良好となることが期待できる。
ところで、被検査体の検査時には、電気的接触子と、第1の接触対象及び第2の接触対象との電気的な接触を確実にするため、電気的接触子には、上下方向の弾性体を備える構成が考えられる。したがって、電気的接触子には、例えば、板状部材を巻き回して、軸方向の中央部よりも上方向の渦巻きばね部と、前記中央部よりも下方向の渦巻きばね部とを形成することが考えられる(例えば、図9の接続子100)。
しかしながら、図9の接続子100は、ガイドとしての貫通孔110に挿通されると、接続子100の上下がテーパ形状のため、貫通孔110内で空間(空間S1~空間S4)が生じることになる。空間S1~空間S4は、ハウジング状態(図9(A))からコンタクト荷重時(図9(B))には、バネが収縮するため更に拡大することになる。こうなると、接続子100は、コンタクト荷重時に貫通孔110内で倒れて、傾き(傾きG)が発生する可能性がある(図9(C))。傾きが生じると、接続子100と接触対象との接点部にブレが生じることになる。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、単一の材料から螺旋構造の弾性体を備える構成が一体的に形成され、電気回路としてロスの無い接続ができ、且つ接点部でブレが生じない電気的接触子を提供しようとするものである。
本発明は、導電性を有する板状部材で形成された電気的接触子であって、(1)前記板状部材を同一径で密着して巻回して形成され、一端部は第1の接触対象と接触する第1接触部を備える第1の巻部と、(2)前記板状部材を同一径で密着して巻回して形成され、一端部は第2の接触対象と接触する第2接触部を備える第2の巻部と、(3)前記板状部材を異なる径で巻回して形成される1又は2以上の螺旋構造の弾性部とを有することを特徴とする。
本発明によれば、単一の材料から螺旋構造の弾性体を備える構成が一体的に形成され、電気回路としてロスの無い接続ができ、且つ接点部でブレが生じない電気的接触子を提供できる。
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る電気的接触子のこの実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下では、本発明に係る電気的接触子のこの実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態では、本発明に係る電気的接触子を、後述するように、電気的接続装置の構成部材である電気的接続ユニットに搭載される接続子に適用する場合を例示する。本発明に係る電気的接触子は、第1の接触対象と第2の接触対象に電気的に接触し、第1の接触対象と第2の接触対象との間で電気信号を導通可能なものに適用できる。なお、この実施形態では、電気的接続ユニットの接続子に、本発明の電気的接触子を適用する場合を例示するが、本発明は被検査体の電極端子と接続するプローブ等にも適用できる。
また、この実施形態では、本発明に係る電気的接続装置が、半導体ウェハ上に形成されている集積回路を被検査体とし、当該被検査体の電気的検査に用いられる電気的接続装置とする場合を例示する。なお、本発明に係る電気的接続装置は、本発明に係る電気的接触子を用いて、第1の接触対象と第2の接触対象との間で電気信号を導通させて電気的に接続させるものに適用できる。
(A-1)実施形態の構成
(A-1-1)電気的接続装置
図2は、実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す構成図である。
(A-1-1)電気的接続装置
図2は、実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す構成図である。
図2の電気的接続装置10は、主要な構成部材を図示しているが、これらの構成部材に限定されず、実際には図2に示していない構成部材も有する。また、以下では、図2中の上下方向に着目して、「上」、「下」を言及するものとする。
図2において、この実施形態に係る電気的接続装置10は、平板状の支持部材12と、前記支持部材12の下面12aに保持される平板状の配線基板14と、前記配線基板14と電気的に接続される電気的接続ユニット15と、前記電気的接続ユニット15と電気的に接続すると共に複数のプローブ20を有するプローブ基板16とを有する。
電気的接続装置10は、支持部材12、配線基板14、電気的接続ユニット15、プローブ基板16を組み立てる際に、多数の固定部材(例えば、ボルト等の螺合部材など)を用いているが、図2ではこれらの固定部材を図示していない。
電気的接続装置10は、例えば半導体ウェハ上に形成された半導体集積回路等を被検査体2とし、被検査体2の電気的な検査を行なうものである。具体的には、被検査体2をプローブ基板16に向けて押圧し、プローブ基板16の各プローブ20の先端部と被検査体2の電極端子2aとを電気的に接触させ、図示しないテスタ(検査装置)から被検査体2の電極端子2aに電気信号を供給し、さらに被検査体2の電極端子2aからの電気信号をテスタ側に与えることにより、被検査体2の電気的な検査を行なう。
検査対象である被検査体2はチャックトップ3の上面に載置される。チャックトップ3は、水平方向のX軸方向、水平面上においてX軸方向に対して垂直なY軸方向、水平面(X-Y平面)に対して垂直なZ軸方向に位置調整が可能であり、さらに、Z軸回りのθ方向に回転姿勢も調整可能である。被検査体2の電気的検査を実施する際には、上下方向(Z軸方向)に昇降可能なチャックを移動させて、被検査体2の電極端子2aをプローブ基板16の各プローブ20の先端部に電気的に接触させる。そのため、電気的接続装置10のプローブ基板16の下面と、チャックトップ3の上面の被検査体2とが相対的に近づくように移動させる。
[支持部材]
支持部材12は、配線基板14の変形(例えば、撓み等)を抑えるものである。例えば、プローブ基板16は多数のプローブ20を有しているため、配線基板14側に取り付けられるプローブ基板16の重量は大きくなっている。また、被検査体2の電気的な検査を行なう際、プローブ基板16が、チャックトップ3上の被検査体2によって押し付けられることにより、プローブ基板16の下面に突出しているプローブ20の先端部と被検査体2の電極端子2aとが電気的に接触する。このように、電気的検査の際、下から上に向けて突き上げる反力(コンタクト荷重)が作用し、配線基板14にも大きな荷重が加えられる。支持部材12は、配線基板14の変形(例えば、撓み等)を抑える部材として機能する。
支持部材12は、配線基板14の変形(例えば、撓み等)を抑えるものである。例えば、プローブ基板16は多数のプローブ20を有しているため、配線基板14側に取り付けられるプローブ基板16の重量は大きくなっている。また、被検査体2の電気的な検査を行なう際、プローブ基板16が、チャックトップ3上の被検査体2によって押し付けられることにより、プローブ基板16の下面に突出しているプローブ20の先端部と被検査体2の電極端子2aとが電気的に接触する。このように、電気的検査の際、下から上に向けて突き上げる反力(コンタクト荷重)が作用し、配線基板14にも大きな荷重が加えられる。支持部材12は、配線基板14の変形(例えば、撓み等)を抑える部材として機能する。
また、支持部材12には、上面と下面とを貫通させた複数の貫通孔121が設けられている。複数の貫通孔121のそれぞれは、後述するプローブ基板16の上面に配置させる複数のアンカー50のそれぞれの位置と対応する位置に設けられており、かつ、配線基板14に設けた複数の貫通孔141のそれぞれの位置と対応する位置に設けられている。
支持部材12の各貫通孔121には、スペーサ(以下、「支持部」とも呼ぶ。)51が、支持部材12の上方から下方に向けて挿通され、スペーサ(支持部)51の下端部と、対応するアンカー50とが固定可能な構成となっている。例えば、スペーサ(支持部)51の下端部は雄ネジ部となっており、またプローブ基板16の上面に配置されるアンカー50の略中央部は雌ネジ部501となっており、スペーサ(支持部)51の下端部(雄ネジ部)がアンカー50の雌ネジ部に螺合することで固定できる。これにより、プローブ基板16の上面と、支持部材12の上面との間の距離を所定の距離長に保持できるようにしている。
[配線基板]
配線基板14は、例えばポリイミド等の樹脂材料で形成されたものであり、例えば略円形板状に形成されたプリント基板等である。配線基板14の上面の周縁部には、テスター(検査装置)のテストヘッド(図示しない)と電気的に接続するための多数の電極端子(図示しない)が配置されている。また、配線基板14の下面には、配線パターンが形成されており、配線パターンの接続端子14aが、電気的接続ユニット15に設けられている接続子30の上端部と電気的に接続するようになっている。
配線基板14は、例えばポリイミド等の樹脂材料で形成されたものであり、例えば略円形板状に形成されたプリント基板等である。配線基板14の上面の周縁部には、テスター(検査装置)のテストヘッド(図示しない)と電気的に接続するための多数の電極端子(図示しない)が配置されている。また、配線基板14の下面には、配線パターンが形成されており、配線パターンの接続端子14aが、電気的接続ユニット15に設けられている接続子30の上端部と電気的に接続するようになっている。
さらに、配線基板14の内部には配線回路(図示しない)が形成されており、配線基板14の下面の配線パターンと、配線基板14の上面の電極端子とは、配線基板14内部の配線回路を介して接続可能となっている。したがって、配線基板14内の配線回路を介して、配線基板14の下面の配線パターンの接続端子14aに電気的に接続する電気的接続ユニット15の各接続子30と、配線基板14の上面の電極端子に接続するテストヘッドとの間で電気信号を導通させることができる。配線基板14の上面には、被検査体2の電気的検査に必要な複数の電子部品も配置されている。
また、配線基板14には、当該配線基板14の上面と下面とを貫通させた複数の貫通孔141が設けられている。複数の貫通孔141のそれぞれは、プローブ基板16の上面に配置される複数のアンカー50のそれぞれの位置と対応する位置に配置され、かつ、支持部材12の複数の貫通孔121のそれぞれの位置と対応する位置に配置されている。
なお、各貫通孔141の開口形状は、挿通される支持部51の形状に対応した形状とすることができる。また、各貫通孔141に支持部51を挿通可能にするために、各貫通孔141の内径は、支持部51の外径と同程度又はわずかに大きくなっている。
この実施形態では、支持部51が円柱部材である場合を例示するため、貫通孔141の開口形状が略円形である場合を例示するが、これに限定されない。例えば、支持部51の断面形状が略正方形等の直角柱の部材や、当該断面形状が多角形の多角柱の部材等であってもよく、そのような例の場合でも、貫通孔141の開口形状は、支持部51を挿通可能な形状とすることができる。
[電気的接続ユニット]
電気的接続ユニット15は、複数の接続子30を有している。電気的接続装置10の組み立て状態では、各接続子30の上端部を、配線基板14の下面の配線パターンの接続端子14aに電気的に接続し、また各接続子30の下端部を、プローブ基板16の上面に設けられたパッドに接続する。プローブ20の先端部が被検査体2の電極端子に電気的に接触するので、被検査体2の電極端子はプローブ20及び接続子30を通じてテスター(検査装置)と電気的に接続するので、被検査体2はテスター(検査装置)による電気的な検査が可能となる。
電気的接続ユニット15は、複数の接続子30を有している。電気的接続装置10の組み立て状態では、各接続子30の上端部を、配線基板14の下面の配線パターンの接続端子14aに電気的に接続し、また各接続子30の下端部を、プローブ基板16の上面に設けられたパッドに接続する。プローブ20の先端部が被検査体2の電極端子に電気的に接触するので、被検査体2の電極端子はプローブ20及び接続子30を通じてテスター(検査装置)と電気的に接続するので、被検査体2はテスター(検査装置)による電気的な検査が可能となる。
例えば、電気的接続ユニット15には、各接続子30を挿通するための複数の貫通孔(挿通孔)があり、各貫通孔に接続子30が挿通されることにより、各接続子30の上端部及び下端部が突出するようになっている。なお、電気的接続ユニット15において、複数の接続子30を装着する仕組みは、貫通孔を設ける構成に限定されず、種々の構成を広く適用できる。電気的接続ユニット15の周囲にはフランジ部151が設けられている。
[プローブ基板]
プローブ基板16は、複数のプローブ20を有する基板であり、略円形若しくは多角形(例えば16角形等)に形成されたものである。プローブ20は、例えば、カンチレバー型のプローブ等を用いることができるが、これに限定されない。また、プローブ基板16は、例えばセラミック板で形成される基板部材161と、この基板部材161の下面に形成された多層配線基板162とを有する。
プローブ基板16は、複数のプローブ20を有する基板であり、略円形若しくは多角形(例えば16角形等)に形成されたものである。プローブ20は、例えば、カンチレバー型のプローブ等を用いることができるが、これに限定されない。また、プローブ基板16は、例えばセラミック板で形成される基板部材161と、この基板部材161の下面に形成された多層配線基板162とを有する。
セラミック基板である基板部材161の内部には、板厚方向に貫通する多数の導電路(図示しない)が形成されており、また基板部材161の上面には、パッド161aが形成されており、基板部材161内の導電路の一端が、当該基板部材161の上面の対応するパッド161aと接続するように形成されている。さらに、基板部材161の下面では、基板部材161内の導電路の他端が、多層配線基板162の上面に設けられた接続端子と接続されるように形成されている。
多層配線基板162は、例えばポリイミド等の合成樹脂部材で形成された複数の多層基板で形成されており、複数の多層基板の間に配線路(図示しない)が形成されている。多層配線基板162の配線路の一端は、セラミック基板である基板部材161側の導電路の他端と接続しており、多層配線基板162の他端は、多層配線基板162の下面に設けられたプローブランドに接続されている。多層配線基板162の下面に設けられたプローブランドには、複数のプローブ20が配置されており、プローブ基板16の複数のプローブ20は、電気的接続ユニット15を介して、配線基板14の対応する接続端子14aと電気的に接続している。
(A-1-2)接続子(電気的接触子)
図1は、実施形態に係る接続子の構成を示す構成図である。図1(A)では、接続子30の外観が示されており、図1(B)では、接続子30の垂直断面図が示さている。また、図3は、実施形態に係る接続子の形成過程の概略を示す説明図である。さらに、図4は、実施形態に係る接続子のハウジング状態を例示する説明図である。
図1は、実施形態に係る接続子の構成を示す構成図である。図1(A)では、接続子30の外観が示されており、図1(B)では、接続子30の垂直断面図が示さている。また、図3は、実施形態に係る接続子の形成過程の概略を示す説明図である。さらに、図4は、実施形態に係る接続子のハウジング状態を例示する説明図である。
図1の接続子30は、図3(A)の板状部材Mを成形加工して、図3(B)に示すよう目的形状前(圧縮前)の接続子30Pを形成した後、後述する圧縮・硬化処理を用いて図3(C)に示すような目的形状(中央部が螺旋巻きばね構造)の接続子30を形成する。図3の板状部材Mは、図1の接続子30(接続子30P)の成形加工前の部材であり、導電性材料で形成された板状の部材である。すなわち、接続子30は、1枚の板状部材から、複数の工程を得て、上下部が円筒状で中央部が螺旋状に一体的に形成されることになるので、電気信号の導通性を安定化させることができる。換言すると、複数の部品を組み合わせて形成される電気的接触子は、複数の部品同士が互いに接触しあって電気信号を導通することになるので、複数の部品間の接触箇所で抵抗が大きくなり、導通性が不安定になることがある。これに対して、板状部材Mを成形加工して形成される接続子30は、部品間の接触箇所がないので、抵抗値を小さくでき、電気信号の導通性を安定化できる。
図1に示すように、電気的接触子の一例である接続子30は、第1の接触対象としての配線基板14の接続端子14aと接触する第1接触部31と、第1接触部31と中央弾性部35とを接続する上巻部32と、第2の接触対象としての基板部材161のパッド161aと接触する第2接触部33と、第2接触部33と中央弾性部35とを接続する下巻部34と、第1接触部31及び第2接触部33が荷重を受けたときに、上巻部32及び下巻部34を介して上下方向に弾性的に付勢する螺旋巻きばね構造の中央弾性部35を有する。
第1接触部31には、第1の接触対象と接触する先端面があり、当該先端面が斜め上方に伸びている。また、第2接触部33には、第2の接触対象と接触する先端面があり、当該先端面が斜め下方に伸びている。第1接触部31及び第2接触部33の形状は限定されるものでは無く種々様な加工処理を行っても良い。接続子30において、第1接触部31の先端面及び第2接触部33の先端面の位置は特に限定されないがないが、例えば、上下方向の同一軸線上に配置される。
上巻部32及び下巻部34は、板状部材Mが同一径で巻回されて形成されたものである。なお、上巻部32及び下巻部34の巻回された各階層は、図1(B)から明らかなように上下に密着している。
上巻部32及び下巻部34の外径は特に限定されないが、図4に示す電気的接続ユニット15に設けられた貫通孔60(接続子30を挿通するための貫通孔)に対して、接続子30を挿通可能な程度に、なるべく貫通孔60の内径に近い値(貫通孔60の内径と同程度)が望ましい。貫通孔60内で空間が発生するのを無くし、接続子30が倒れる(傾く)ことを防止するためである。
中央弾性部35は、板状部材Mが螺旋状に巻かれ、巻回した内側部材の一部が外側部材に覆われて形成されたものである。また、中央弾性部35は、螺旋形状が上下対象の構造となっている。中央弾性部35は、この螺旋構造により弾性体(ばね)として作用する。
接続子30は、中央に螺旋巻きばね構造の中央弾性部35を配置することで、同一径で巻かれた上巻部32及び下巻部34を、バネが上下ストロークする際のガイドとする事が可能となり、接点部でブレの少ない安定接触が可能となる。
図3(A)に示す板状部材Mには、導電性を有する貴金属又は金属で形成された板状部材等種々様々な板状部材を適用することができるが、例えば、Cu-Be系合金(ベリリウム銅)等の析出硬化型銅合金が高ばね性を有する材料として好適である。析出硬化型銅合金では、溶体化処理された過飽和固溶体を時効処理することにより、微細な析出物が均一に分散して、合金の強度が高くなると同時に、銅中の固溶元素量が減少し電気伝導性を向上できる。また、パラジウム合金も析出硬化型銅合金と同様に、板状部材Mとして好適である。
図3(B)に示す接続子30Pは、板状部材Mを成形加工して形成される目的形状前の接続子である。接続子30Pは、上述の接続子30の各構成部と対応する構成を有する。即ち、図3(B)に示すように、接続子30Pは、第1接触部31Pと、上巻部32Pと、第2接触部33Pと、下巻部34Pと、中央弾性部35Pとを有する。
接続子30と接続子30Pとの違いは、接続子30Pが、巻き回された板状部材Mが各階層で重なっていない状態(圧縮前の状態)であることである。
この実施形態では、目的形状(中央部が螺旋巻きばね構造)の接続子30を形成するために、まず、図3(A)に示す板状部材Mから、図3(B)に示す圧縮前の接続子30Pを形成した後、後述する圧縮・硬化処理により、図3(C)に示す接続子30を作り込む。以下では、接続子30の製造方法について述べる。
[接続子の製造方法]
まず、接続子30を製造する手順としては、特許文献2(段落「0048」~「0065」)に記載の方法を適用することができる。即ち、まず、コイリングマシンを用いて、板状部材Mから接続子30Pを形成する。
まず、接続子30を製造する手順としては、特許文献2(段落「0048」~「0065」)に記載の方法を適用することができる。即ち、まず、コイリングマシンを用いて、板状部材Mから接続子30Pを形成する。
図5は、実施形態に係る接続子の圧縮前の構成を示す説明図である。図5(A)では、接続子30Pの外観が示されており、図1(B)では、接続子30Pの垂直断面図が示さている。
上巻部32Pは、図5(B)に示すように、板状部材Mが同一の螺旋径r1で巻き回された螺旋構造(階層構造)を有する。
一方、中央弾性部35Pでは、板状部材Mを徐々に巻き回される度に、上巻部32Pの螺旋径r1から螺旋径rを徐々に小さくし(螺旋形r2、r3、r4)、途中から(例えば、接続子30Pの中心点から)、螺旋径rを徐々に大きくする。図5では、中央弾性部35Pは、中心から上下対称の関係の螺旋構造を示しているが、各階層の螺旋径rは、図5のように上下対称の関係で無くても良く、又螺旋の階層構造も同一で無くても良い。
下巻部34Pは、図5(B)に示すように、板状部材Mが同一の螺旋径r1で巻き回された螺旋構造を有する。
上巻部32の第1接触部31及び下巻部34Pの第2接触部33は、板状部材Mをコイリングマシンから切り離した後、所定の長さ(例えば、螺旋径r1の半分の長さの螺旋径r0)となるように加工する。
この実施形態では、接続子30P(上巻部32P及び下巻部34P)は、中央弾性部35Pを介して上下対称の螺旋構造が形成されるが、必ずしも上巻部32P及び下巻部34Pは、上下対称の螺旋構造で形成しなければならない訳ではない。例えば、上巻部32P及び下巻部34Pの螺旋径rは、上下で同一で無くても良く、又螺旋の階層構造も同一で無くても良い。
続いて、接続子30Pを圧縮した状態で、硬化処理(熱処理)を施すことにより、接続子30を製造する。圧縮・硬化処理の具体的な方法は、特許文献2に記載の手順と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
(A-2)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
以上のように、この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
この実施形態の接続子30は、中央部に螺旋巻きバネ(中央弾性部35)と、上下に同一径で密着して巻かれた上巻部32及び下巻部34とを備えることで、コンタクト動作で上下にストロークした場合、貫通孔60の内径と同程度の径の上巻部32及び下巻部34が貫通孔60に沿って摺動する為、安定、且つ再現性がある接触が得られる(ブレの少ない安定接触が可能となる)。
また、上記製造方法で製造された接続子30は、単一の材料から螺旋巻きバネ構造が一体的に形成されることから、電気回路としてロスの無い接続ができる。
図6は、実施形態に係る接続子の効果を示す説明図である。図6(A)では、電気的接続ユニット15の貫通孔60内に接続子30が挿通された状態を示している。また、図6(B)では、コンタクト荷重により、接続子30の中央弾性部35が収縮された状態を示している。さらに、図6(C)では、図6(B)の収縮状態から接続子30に傾き(傾きG)が生じた状態を示している。なお、図6(B)、図6(C)では、図面を見易くするため、図6(A)で示した接続子30の各構成部の符号(第1接触部31、上巻部32、第2接触部33、下巻部34、中央弾性部35)は省略している。
図6の接続子30と上述の図9で示した従来の接続子100の大きさは同程度である。例えば、接続子30と従来の接続子100の縦の長さは同程度である(ストロークする長さも同程度である)。接続子30の上巻部32及び下巻部34の外径は、従来の接続子100の胴体部の外径と同程度であり、図6の貫通孔60の直径は図11の貫通孔110と同程度である。
そして、上記条件の下で示された図6(C)の接続子30の傾きGは、図9(C)の従来の接続子100の傾きGよりも小さいことが示されている。即ち図6(C)の接続子30の傾きGは、少なとも図9(C)の従来の接続子100の傾きGの半分以下であるため、従来に比べて、接点部との間でブレの少ない安定接触が可能となる。これは、接続子30では、コンタクト荷重時でも、従来の接続子100に比べて、貫通孔60内で空間(空間S1~空間S4)が生じる隙間が少ないためである。
なお、図6(C)では、図9(C)の従来の接続子100との違いを説明するために、接続子30の上巻部32及び下巻部34の外径を、従来の接続子100の胴体部の外径と同程度としたが、接続子30の上巻部32及び下巻部34の外径を貫通孔60の直径に近づければ近づけれる程、貫通孔60内で傾きGは生じ無いことになる。即ち、接続子30の上巻部32及び下巻部34の外径を貫通孔60の直径と同程度とすると、貫通孔60内で空間が生じる隙間が無くなるため傾きGはほぼ零となる。
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても、本発明の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の実施形態においても適用できる。
上述した実施形態においても、本発明の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の実施形態においても適用できる。
(B-1)上記実施形態では、接続子30の上巻部32及び下巻部34の外径は同一である例を示したが、これに限定するものでは無い。以下に、変形例を示すものとする。
図7は、変形実施形態に係る接続子の構成を示す構成図(その1)である。接続子30Aは、上述の接続子30の各構成部と対応する構成を有する。即ち、図7に示すように、接続子30Aは、第1接触部31Aと、上巻部32Aと、第2接触部33Aと、下巻部34Aと、中央弾性部35Aとを有する。
接続子30と接続子30Aとの違いは、上巻部32Aと下巻部34Aの外径が異なることである。即ち、下巻部34Aの外径d2は、上巻部32Aの外径d1よりも大きい。
図7の例では、電気的接続ユニット15に、接続子30Aを挿通するための貫通孔70が設けられており、貫通孔70に接続子30Aが挿通されるものとする。上部の貫通孔70の内径は、上巻部32Aの外径d1よりわずかに大きい若しくは同程度とする。また、貫通孔70の下部は、貫通孔70の上部の内径よりもわずかに内径が大きくなっており、貫通孔70の内面において段差71が設けられている。この貫通孔70の内面の段差71に、挿通された接続子30の下巻部34Aが引っ掛るようになっている。段差71に下巻部34Aが引っ掛るように(当接するように)、下巻部34Aの外径d2は、下部の貫通孔70の内径と同程度である。
以上のように、変形実施形態の接続子30Aは、下巻部34Aの外径d2を上巻部32Aのd1よりも大きくし、下巻部34Aが貫通孔70の段差71で当接(引っ掛る)することにより、コンタクト動作時においてもバネの抜け止めとしての効果を奏する。
(B-2)また、接続子30の変形例として、図8の接続子30Bを示すことができる。接続子30Bは、上述の接続子30Aとは上下反対の構成である(各構成部は、図7と対応するので詳細は省略する)。図8では、下側に上述の配線基板14が配置されたケースが示されており、コンタクト動作時には、段差71に下巻部34Bが引っ掛かることにより、接続子30Bが下側に抜け落ちることを防ぎ、また接続子30Bに傾きが生じず、第1接触部31Bが配線基板14上の電極パッド145と確実に接触できる。
(B-3)上記実施形態では、接続子30では、螺旋バネ巻き構造を中央に一箇所配置する例を示したが、これに限定されるものでは無い。即ち、弾性体としての螺旋バネ巻き構造は複数あっても良い。その際、各螺旋バネ巻き構造の間に上巻部32や下巻部34のように同一径で巻き回した構造の連結部を備えても良い。このような構成とすることで、バネのストロークする長さを増やすことができる。
30、30P、30A、30B…接続子、31、31P、31A、31B…第1接触部、32、32P、32A、32B…上巻部、33、33P、33A、33B…第2接触部、34、34P、34A、34B…下巻部、35、35P、35A、35B…中央弾性部、60、70…貫通孔、71…段差、M…板状部材。
Claims (3)
- 導電性を有する板状部材で形成された電気的接触子であって、
前記板状部材を同一径で密着して巻回して形成され、一端部は第1の接触対象と接触する第1接触部を備える第1の巻部と、
前記板状部材を同一径で密着して巻回して形成され、一端部は第2の接触対象と接触する第2接触部を備える第2の巻部と、
前記板状部材を異なる径で巻回して形成される1又は2以上の螺旋構造の弾性部と
を有することを特徴とする電気的接触子。 - 前記第1の巻部及び前記第2の巻部の外径は、当該電気的接触子を挿通する貫通孔の内径と同程度であることを特徴とする請求項1に記載の電気的接触子。
- 前記貫通孔の一方の内径は、前記貫通孔の他方の内径よりも大きくなっており、前記貫通孔の内面において前記第2の巻部が引っ掛る段差が設けられ、
前記第1の巻部の外径は、前記貫通孔の一方の内径と同程度であり、
前記第2の巻部の外径は、前記貫通孔の他方の内径と同程度である
ことを特徴とする請求項2に記載の電気的接触子。
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