JP2024022282A - エポキシ樹脂組成物および硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】成型性に優れ、高熱伝導性、低熱膨張性、耐熱性、耐湿性、さらには難燃性に優れた成形物を与えるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂、硬化剤及び添加剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、添加剤が層状粘土鉱物であり、樹脂成分の100重量部に対して当該層状粘土鉱物を1~20重量部含有し、当該エポキシ樹脂組成物の硬化物のX線回折法(XRD)による測定において、回折角度2θが15°以上25°未満の領域に回折ピークが検出されることを特徴とするエポキシ樹脂組成物及びその硬化物である。【選択図】図1

Description

本発明は、信頼性に優れた半導体封止、積層板、放熱基板等の電気・電子材料用絶縁材料として有用なエポキシ樹脂組成物及びそれを用いた硬化物に関する。
従来、ダイオード、トランジスタ、集積回路等の電気、電子部品や、半導体装置等の封止方法として、例えばエポキシ樹脂やシリコン樹脂等による封止方法やガラス、金属、セラミック等を用いたハーメチックシール法が採用されていたが、近年では信頼性の向上と共に大量生産が可能で、コストメリットのあるトランスファー成形による樹脂封止が主流を占めている。
トランスファー成形による樹脂封止に用いられる樹脂組成物においては、エポキシ樹脂と、硬化剤としてフェノール樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる封止材料が一般的に使用されている。
パワーデバイスなどの素子を保護する目的で使用されるエポキシ樹脂組成物は、素子が放出する多量の熱に対応するため、結晶シリカなどの無機充填材を高密度に充填している。
パワーデバイスには、ICの技術を組み込んだワンチップで構成されるものやモジュール化されたものなどがあり、封止材料に対する熱放散性、耐熱性、熱膨張性の更なる向上が望まれている。
これらの要求に対応するべく、熱伝導率を向上するために熱伝導率の大きい結晶シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、球状アルミナ粉末等の無機充填材を含有させるなどの試みがなされている(特許文献1、2)。ところが、無機充填材の含有率を上げていくと成形時の粘度上昇とともに流動性が低下し、成形性が損なわれるという問題が生じる。従って、単に無機充填材の含有率を高める方法には限界があった。
上記背景から、マトリックス樹脂自体の高熱伝導率化によって組成物の熱伝導率を向上する方法も検討されている。例えば、剛直なメソゲン基を有する液晶性のエポキシ樹脂およびそれを用いたエポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献3、4)。しかし、これらのエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、芳香族ジアミン化合物を用いており、無機充填材の高充填率化に限界があるとともに、電気絶縁性の点でも問題があった。また、芳香族ジアミン化合物を用いた場合、硬化物の液晶性は確認できるものの、硬化物の結晶化度は低く、高熱伝導性、低熱膨張性、低吸湿性等の点で十分ではなかった。さらには液晶性発現のために、強力な磁場をかけて分子を配向させる必要があり、工業的に広く利用するためには設備的にも大きな制約があった。また、無機充填材との配合系では、マトリックス樹脂の熱伝導率に比べて無機充填材の熱伝導率が圧倒的に大きく、マトリックス樹脂自体の熱伝導率を高くしても、複合材料としての熱伝導率向上には大きく寄与しないという現実があり、十分な熱伝導率向上効果は得られていなかった。
タルク等の層状粘土鉱物は、一般的に流動性向上や線膨張係数の低減を目的に使用される。層状粘土鉱物を熱伝導率の大きい無機充填材と組み合わせた配合は提案されているが、無機物どうしの接触による高熱伝導化であり、マトリックス樹脂自体に作用することものではない(特許文献5)。
特開平11-147936号公報 特開2002-309067号公報 特開平11-323162号公報 特開平9-118673号公報 国際公開WO2013/100174号
従って、本発明の目的は、上記問題を解消し、成型性に優れ、高熱伝導性、低熱膨張性、耐熱性、耐湿性、さらには難燃性に優れた成形物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供し、更にそれを用いたXRDにて結晶性が観察可能な成形物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討により、層状粘土鉱物を含有する熱伝導性樹脂組成物が上記の課題を解決することが期待されること、そしてその硬化物が熱伝導性に効果を発現することを見出した。
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤及び添加剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、添加剤が層状粘土鉱物であり、樹脂成分の100重量部に対して当該層状粘土鉱物を1~20重量部含有し、当該エポキシ樹脂組成物の硬化物のX線回折法(XRD)による測定において、回折角度2θが15°以上25°未満の領域に回折ピークが検出されることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
上記記載の添加剤はタルクであることが好ましい。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂は下記一般式(1)又は(2)で表されることが好ましい。
Figure 2024022282000002
(式(1)中、Gはグリシジル基を示し、Aは単結合、酸素原子、硫黄原子、-SO-、-CO-、または二価の炭素数1~6の炭化水素基を示し、nは0~20の数を示す。)
Figure 2024022282000003
(式(2)中、Xは、独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子、-SO2-、-CO-、-COO-、-CONH-、-CH-又は-C(CH-を示す。Aは、独立して、ベンゾニトリル構造又は-(CH-を示し、nは0~15、mは3~10の数を示す。)
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は無機充填材を含むことができ、この場合エポキシ樹脂組成物中に、層状粘土鉱物を除く無機充填材を20~90wt%含有することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、高熱伝導用として適する。好適には、結晶化度が10%以上である高熱伝導用の硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物である。
さらに、本発明は、上記のエポキシ樹脂組成物を反応させて成形硬化して得られることを特徴とする硬化成形物(以下、単に「硬化物」ということもある)である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、成形性、信頼性に優れ、かつ高熱伝導性、低吸水性、低熱膨張性、高耐熱性、難燃性に優れた硬化成形物を与え、半導体封止、積層板、放熱基板等の電気・電子材料用絶縁材料として好適に応用され、優れた高放熱性、高耐熱性、難燃性および高寸法安定性が発揮される。このような特異的な効果が生ずる理由は、層状粘土鉱物が、ビフェニル構造等の剛直構造を有する特定のエポキシ樹脂硬化物の配向性を高めるためと推測される。
実施例1で得られたエポキシ樹脂組成物の硬化成形物のXRDプロファイルである。 比較例1で得られたエポキシ樹脂組成物の硬化成形物のXRDプロファイルである。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明は、硬化物のX線回折法による測定(XRD)の回折角度2θが15°以上25°未満の領域に回折ピークが検出されることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。通常、有機物のみからなるエポキシ樹脂硬化物をXRD測定した際のプロファイルは、ブロードであり、明確なピークは検出されない。結晶性を示す場合、シャープなピークが検出され、その検出の範囲は2θが15°以上25°未満の領域である。また、エポキシ樹脂組成物に無機物を含有する場合、無機物のピークが検出されるが、ピーク位置は結晶構造によって異なり、有機物のピークとは区別可能である。添加剤(層状粘土鉱物)がタルクの場合、2θが28°から29°の領域に回析ピークが観察される。ここでブロードなピークとは、非晶質ピークとも言い、ピークの幅が8°以上あるピークであり、シャープなピークとは、結晶性ピークとも言い、ピークの幅が5°以内、好ましくは3°以内のピークである。すなわち、本発明における「回折ピークが検出される」については、好適には、2θが15°以上25°未満の範囲に、当該シャープなピーク(結晶性ピーク)が検出されることを意味する。なお、ピークの幅とは、当業者が行う通常のピークの解析方法から求めることができ、通常、ベースラインに平行であって、ピークの立ち上がりの始点と、引き下がる終点との幅をいう。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる添加剤としての層状粘土鉱物は、平板状粒子とも称され、具体的には、タルク、カオリン、マイカ、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、スチーブンサイト等のスメクタイト系鉱物、バーミキュライト、ベントナイト、カネマイト、ケニアナイト、マカナイト等の層状ケイ酸ナトリウム、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の雲母族粘土鉱物;等が含まれる。これらは、天然の鉱物から得られたものであってもよく、化学的に合成されたものであってもよい。さらに、層状粘土鉱物は、表面がアンモニウム塩等で修飾(表面処理)されたものであってもよい。特に、熱伝導性が良好であるとの観点から、マグネシウムを含むケイ酸塩化合物であることが好ましく、タルク、マイカであることがより好ましく、タルクであることがさらに好ましい。
層状粘土鉱物は、樹脂成分の全量100重量部に対して、1~20重量部含まれる。5~15重量部含まれることが好ましい。エポキシ樹脂組成物中の層状粘土鉱物の量が少なすぎると、上述の熱伝導性が十分に発揮され難くなることがある。一方、層状粘土鉱物の含有量がこれより多く含有する場合、流動性、耐熱性が低下することがある。また、アルミナ等の高熱伝導性の無機充填材を含有する場合、層状粘土鉱物の量が多いと高熱伝導性の無機充填材の含有量が十分でなく、全体の熱伝導率が低下することがある。ここで、樹脂成分とは、後述するエポキシ樹脂、硬化剤及び必要により含まれる硬化促進剤をいう。
本発明のエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂成分は、分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂であればよい。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フルオレンビスフェノール、2,2’-ビフェノール、レゾルシン、カテコール、t‐ブチルカテコール、t‐ブチルハイドロキノン、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック等の2価のフェノール類、あるいは、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o‐クレゾールノボラック、m‐クレゾールノボラック、p‐クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ‐p‐ヒドロキシスチレン、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フルオログリシノール、ピロガロール、t‐ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4‐ベンゼントリオール、2,3,4‐トリヒドロキシベンゾフェノン、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂等の3価以上のフェノール類、または、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類等の原料フェノール性化合物から誘導されるグリシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種または2種以上を用いることができる。また、メソゲン基を持つエポキシ樹脂についても、1種または2種以上を用いることができる。
エポキシ樹脂としては、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニルから誘導されるグリシジルエーテル化物、メソゲン骨格等の剛直構造を有する高熱伝導性のエポキシ樹脂が好ましく、特に、上記一般式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。これらの高熱伝導性のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂成分全体の50wt%以上含むことが好ましい。さらに好ましくは、70wt%以上である。使用割合がこれより少ないとエポキシ樹脂硬化物とした際の耐熱性、熱伝導性等の向上効果が小さい場合がある。
上記一般式(1)において、nは繰り返し数(数平均)であり、0~20の数を示す。好ましくは、nの値が異なる成分の混合物である。また、Gはグリシジル基を示し、Aは単結合、酸素原子、硫黄原子、-SO-、-CO-、または二価の炭素数1~6の炭化水素基を示す。Aは、熱伝導性の観点から単結合が好ましい。
上記一般式(2)において、nは繰り返し数(数平均)であり、0~15の数を示す。好ましくは、nの値が異なる成分の混合物である。また、Xは、独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子、-SO-、-CO-、-COO-、-CONH-、-CH-又は-C(CH-を示し、nは0~15の数を示す。高熱伝導性の点で、Xは単結合であるビフェニル構造、-SO-、-CO-、-COO-、-CONH-が好ましく、4,4’位のビフェニル構造が特に好ましい。一方、成型性、溶剤溶解性の点では、Xが酸素原子、硫黄原子、-CH-、-C(CH-が好ましい。また、式(2)のAは、独立して、ベンゾニトリル構造又は-(CH-を示し、mは3~10の数を示す。好ましいAは、少なくとも1分子中に両方の構造を持つ。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂の製法は特に限定されるものではなく、原料のフェノール性化合物とエピクロルヒドリンを反応させることにより製造することができる。この反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。原料のフェノール性化合物は、前記したような、得られるエポキシ樹脂に合わせたものを使用することができる。また、とくに、上記式(1)又は(2)で表されるエポキシ樹脂は以下のようにして製造することができる。
式(1)で表されるエポキシ樹脂は、下記式(3)で表される多価ヒドロキシ樹脂(原料フェノール性化合物)とエピクロルヒドリンとを反応することにより製造することができる。
Figure 2024022282000004
ここで、A及びnは、上記式(1)と同様である。
この多価ヒドロキシ樹脂(3)は、式(4)で表されるビフェニル構造を有する芳香族架橋剤と、式(5)で表される二官能のフェノール化合物と反応させることにより製造することができる。
Figure 2024022282000005
ここで、Xは水酸基、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルコキシ基を示す。
Figure 2024022282000006
ここで、Aは、上記式(1)と同様である。
上記式(4)で表される芳香族架橋剤において、Xは水酸基、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルコキシ基を示す。芳香族系縮合剤として、具体的には、4,4’-ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,4’-ビスクロロメチルビフェニル、4,4’-ビスブロモメチルビフェニル、4,4’-ビスメトキシメチルビフェニル、4,4’-ビスエトキシメチルビフェニルが挙げられる。反応性の観点からは、4,4’-ビスヒドロキシメチルビフェニル又は4,4’-ビスクロロメチルビフェニルが好ましく、イオン性不純分低減の観点からは、4,4’-ビスヒドロキシメチルビフェニル又は4,4’-ビスメトキシメチルビフェニルが好ましい。
また、式(5)の二官能フェノール化合物としては、具体的には、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジヒドロキシジフェニルメタン類、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンであり、特に、溶剤溶解性の点から2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルメタン類が好ましい。ジヒドロキシジフェニルメタン類はオルト、メタ、パラの混合物でもよいが、異性体比が4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタンが40%以下であるものが好ましい。4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタンが多いと結晶性が強く、溶剤溶解性が低下する懸念がある。
式(4)の芳香族架橋剤と、式(5)のフェノール化合物とを反応させる際のモル比は、一般的にはフェノール化合物1モルに対して、芳香族系縮合剤0.2~0.7モルの範囲であり、より好ましくは0.4~0.7モルの範囲である。この反応は、無触媒、又は無機酸、有機酸等の酸触媒の存在下に行うことができる。4,4’-ビスクロロメチルビフェニルを用いる際には、無触媒下で反応させることもできるが、一般的に、クロロメチル基と水酸基が反応してエーテル結合が生じるなどの副反応を抑えるために、酸性触媒の存在下に行うことがよい。この酸性触媒としては、周知の無機酸、有機酸より適宜選択することができ、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、メタスルホン酸、トリフルオロメタスルホン酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸、あるいは固体酸等が挙げられる。
通常、この反応は100~250℃で1~20時間行う。好ましくは100~180℃で、より好ましくは140~180℃で行うとよい。反応温度が低いと反応性が乏しく時間を要してしまい、反応温度が高いと樹脂の分解の恐れがある。
反応の際に溶剤として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリグライム等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物などを使用することがよく、これらの中でエチルセロソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリグライムなどが特に好ましい。反応終了後、得られた多価ヒドロキシ樹脂は、減圧留去、水洗又は貧溶剤中での再沈殿等の方法により溶剤を除去してもよいが、溶剤を残したままエポキシ化反応の原料として用いてもよい。
このようにして得られた式(3)の多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ樹脂の原料として用いられる以外に、エポキシ樹脂硬化剤としても使用することができる。また、さらにヘキサミン等の硬化剤と組み合わせることにより、フェノール樹脂成形材料としても応用できる。
次に、式(2)で表されるエポキシ樹脂の製法は、特に限定されるものではないが、下記式(6)で表される原料フェノール性化合物とエピクロルヒドリンを反応させることにより製造することができる。この反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。また、本製法により得られるエポキシ樹脂は、原料が式(6)で表されるn=0または1の化合物との混合物である場合、前記同様に、本発明のエポキシ樹脂だけでなく、本発明のエポキシ樹脂と、上記一般式(2)で表されるn=0または1の化合物のエポキシ化物の混合物となる場合を含む。
Figure 2024022282000007
ここで、X、A及びnは、上記式(2)と同様である。
式(6)で表されるフェノール性化合物(n=0または1の化合物との混合物である場合を含む)は、水酸基当量(g/eq)が、好ましくは150~230、より好ましくは170~220である。また、融点が、好ましくは140℃~300℃、より好ましくは150℃~250℃である。
ここで、式(6)で表されるフェノール性化合物については、限定されないが、例えば、2,4-ジクロロベンゾニトリル、2,5-ジクロロベンゾニトリル、2,6-ジクロロベンゾニトリル、3,5-ジクロロベンゾニトリル、2,4-ジブロモベンゾニトリル、2,5-ジブロモベンゾニトリル、2,6-ジブロモベンゾニトリル、3,5-ジブロモベンゾニトリルなどのベンゾニトリル化合物か、或いは、1,3-ジブロモプロパン、1,4-ジブロモブタン、1,5-ジブロモペンタン、1,6-ジブロモヘキサン等のジハロゲンアルキル化合物に対して、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の式(6)中の上記X基を持つジヒドロキシ化合物を、塩基性触媒の存在下に反応させる方法により得ることができる。上記フェノール性化合物の製法に関しては、特に限定されるものではないが、例えば、WO2021/201046号に記載の製法を用いることができる。
前述の原料フェノール性化合物とエピクロルヒドリンとの反応は、例えば、フェノール性化合物を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50~150℃、好ましくは、60~100℃の範囲で1~10時間反応させる方法が挙げられる。この際の、アルカリ金属水酸化物の使用量は、フェノール性化合物中の水酸基1モルに対して、0.8~2.0モル、好ましくは、0.9~1.5モルの範囲である。エピクロルヒドリンは、フェノール性化合物中の水酸基に対して過剰量が用いられ、通常は、フェノール性化合物中の水酸基1モルに対して、1.5から15モルである。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
エポキシ樹脂の純度、特に加水分解性塩素量は、適用する電子部品の信頼性向上の観点より少ない方がよい。特に限定するものではないが、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。なお、本発明でいう加水分解性塩素とは、以下の方法により測定された値をいう。すなわち、試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N-KOH、10mlを加え30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加え、0.002N-AgNO水溶液で電位差滴定を行い得られる値である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用でき、ジシアンジアミド、酸無水物類、多価フェノール類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。これらの中でも、半導体封止材等の高い電気絶縁性が要求される分野においては、多価フェノール類を硬化剤として用いることが好ましい。以下に、硬化剤の具体例を示す。
多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
酸無水物硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
アミン系硬化剤としては、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。
上記エポキシ樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、エポキシ基と硬化剤中の官能基が当量比で0.8~1.5の範囲であることが好ましい。この範囲外では硬化後も未反応のエポキシ基、又は硬化剤中の官能基が残留し、封止機能に関しての信頼性が低下する場合がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデン樹脂、インデン・クマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を他の改質剤等として適宜配合してもよい。添加量は、通常、樹脂成分の合計100重量部に対して、1~30重量部の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、マイカ、タルク等の前記の層状粘土鉱物を除く無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合できる。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又は炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、半導体封止材に用いる場合の好ましい配合量は70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上である。放熱基板に用いる場合の好ましい配合量は、流動性が必要であることから20~90重量%であり、より好ましくは、40~60重量%である。
顔料としては、有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、樹脂成分の合計100重量部に対して、0.01から5重量部の範囲である。
更に必要に応じて、本発明のエポキシ樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤を溶解させたワニス状態とした後に、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー等のポリエステル不織布等の繊維状物に含浸させた後に溶剤除去を行い、プリプレグとすることができる。また、場合により銅箔、ステンレス箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等のシート状物上に塗布することにより積層物とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させれば、本発明の樹脂硬化物とすることができる。この硬化物は、エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。この際の温度は通常、120~220℃の範囲である。さらに、結晶化度が10%以上である成形物は、熱伝導率が高く、放熱基板等の高熱伝導用途に適する。また、結晶化度は成型時の温度制御が影響し、200℃超過の高温で成型するとアモルファス状となり、結晶化度が観察可能な成型物を得ることは困難であり、段階的に加温することが好ましい。より好ましくは、温度120~200℃の範囲で、30秒から1時間(好適には1分から30分)の範囲で段階的に加温して成形することがよい。また、成型後、ポストキュアを行うことで上記の結晶化度となるように調整してもよい。ポストキュアの温度は130℃から250℃であり、時間は1時間から24時間の範囲であるが、実施例で示したような示差走査熱量分析装置及び条件で測定して得られる吸熱ピーク温度よりも5℃から40℃低い温度で、1時間から24時間かけてポストキュアを行うことが望ましい。なお、当該成形物(硬化物)の結晶化度については、実施例に記載の方法により、結晶性のピークの割合に基づいて求めることができる。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
参考例1(エポキシ樹脂Aの製造)
4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル100.0gをエピクロルヒドリン460g、ジエチレングリコールジメチルエーテル70gに溶解し、60℃、減圧下(約130Torr)、48%水酸化ナトリウム水溶液90.8gを3時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、さらに1時間反応を継続して脱水後、エピクロルヒドリンを留去し、トルエン580gを加えた後、水洗により塩を除いた。その後、分液により水を除去後、トルエンを減圧留去し、白色結晶状のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A)126gを得た。エポキシ当量は163であり、加水分解性塩素は150ppm、融点は83℃であり、150℃での粘度は10mPa・sであった。GPC測定より求められた4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテルより得られるエポキシ樹脂のn=0(単量体)は91.2%であった。n=1以上は8.8%であった。
参考例2(エポキシ樹脂Bの製造)
ヒドロキノン50.0g、4,4’-ジヒドロキシビフェニル100.0gをエピクロルヒドリン1000g、ジエチレングリコールジメチルエーテル150gに溶解し、60℃にて48%水酸化ナトリウムを16.5g加え1時間攪拌した。その後、減圧下(約130Torr)、48%水酸化ナトリウム水溶液148.8gを3時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、さらに1時間反応を継続して脱水後、エピクロルヒドリンを留去し、メチルイソブチルケトン600gを加えた後、水洗により塩を除いた。その後、85℃にて48%水酸化ナトリウムを13.5g添加して1時間攪拌し、温水200mLで水洗した。その後、分液により水を除去後、メチルイソブチルケトンを減圧留去し、白色結晶状のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂B)224gを得た。エポキシ当量は139であり、加水分解性塩素は320ppm、融点は125℃であり、150℃での粘度は3.4mPa・sであった。GPC測定より求められた4,4’-ジヒドロキシビフェニルより得られるエポキシ樹脂のn=0(単量体)は67.2%であった。またヒドロキノンより得られるエポキシ樹脂のn=0(単量体)は.23.1%であった。n=1以上は9.7%であった。
参考例3(エポキシ樹脂Cの製造)
2Lの4口セパラブルフラスコに4,4’-ジヒドロキシビフェニル115.7gをNMP700gに溶解した後、炭酸カリウム56.7gを加え、窒素気流下、攪拌しながら120℃に昇温した。その後、2,6-ジクロロベンゾニトリル35.6gを加え、145℃に昇温し6時間反応させた。反応液に酢酸49.2gを加えて中和した後、減圧下、NMPを留去した。反応液にMIBK500mLを加えて生成物を溶解した後、水洗により生成塩を除去した。その後、MIBKを減圧蒸留により除いて、ヒドロキシ樹脂129gを得た。得られたヒドロキシ樹脂の水酸基当量は170g/eq.、融点は272℃であった。得られたヒドロキシ樹脂50.0g、エピクロルヒドリン380g、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)96gを仕込み、減圧下(約130Torr)、65℃にて48.6%水酸化ナトリウム水溶液27.5gを3時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、さらに1時間反応を継続し脱水した。その後、エピクロルヒドリン及びジグライムを減圧留去し、メチルイソブチルケトン200mLに溶解した後、濾過により生成した塩を除いた。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液0.4gを加え、80℃で2時間反応させた。反応後、濾過、水洗を行った後、溶媒であるメチルイソブチルケトンを減圧留去し、常温固形のエポキシ樹脂43gを得た(エポキシ樹脂C)。得られたエポキシ樹脂Aの融点は139℃、エポキシ当量は226g/eq.、加水分解性塩素は80ppmであった。
参考例4(エポキシ樹脂Dの製造)
1000mlの4口フラスコに、4,4’-ジヒド口キシビフェニル77.5g、ジエチレングリコールジメチルエーテル119.3g、4,4’-ビスクロロメチルビフェニル、41.8gを仕込み、窒素気流下、揖梓しながら160℃まで昇温して20時間反応させ、OH当量135g/eqの多価ヒドロキシ樹脂を生成させた。反応終了後、ジエチレングリコールジメチルエーテルを45.6g回収し、エピクロルヒドリン455.1gを加え、減圧下(約130Torr)62℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液70.5gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、さらに1時間反応を継続した。その後、エピクロルヒドリンを留去し、メチルイソブチルケトンを加えた後、水洗により塩を除いた後、濾過、水洗を行ない、次にメチルイソブチルケトンを減圧留去し、エポキシ樹脂129gを得た(エポキシ樹脂D)。このエポキシ樹脂Dのエポキシ当量は200g/eq、軟化点は125℃、溶融粘度0.21Pa・s、加水分解性塩素は230ppmであった。
実施例1~9、比較例1~5
エポキシ樹脂として、参考例1で得たエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A)、参考例2で得たエポキシ樹脂(エポキシ樹脂B)、参考例3で得たエポキシ樹脂(エポキシ樹脂C)、参考例4で得たエポキシ樹脂(エポキシ樹脂D)を用いた。硬化剤として、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル(硬化剤A、OH当量101 g/eq.)、フェノ-ルノボラック(硬化剤B:アイカ工業製、BRG-557、OH当量105 g/eq.、軟化点82℃)を使用し、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン、無機充填材として球状アルミナ(デンカ製、DAW-10、平均粒径12.2μm)を使用し、添加剤として、タルク(添加剤A、平均粒径10~15μm、富士フィルム和光純薬製)、マイカ(添加剤B、合成雲母、富士フィルム和光純薬製)、一般的な造核剤として添加剤C(1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、東京化成工業製)又は添加剤D(ナトリウム2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン-6-オラート6-オキシド、東京化成工業製)を使用した。
表1に示す成分を配合し、ミキサーで十分混合した後、加熱ロールで約5分間混練したものを冷却し、粉砕してそれぞれ実施例1~9、比較例1~5のエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃、5分の条件で成形後、180℃で12時間ポストキュアを行い、硬化成形物を得て、その物性を評価した。結果をまとめて表1に示す。なお、表1中の各成分の数字は重量部を表す。
[評価]
(1)熱伝導率
熱伝導率は、NETZSCH製LFA447型熱伝導率計を用いて非定常熱線法により測定した。
(2)融点、融解熱の測定(DSC法)
日立ハイテクサイエンス製TG/DTA7300型示差走査熱量分析装置を用い、約10mgの精秤した試料を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定した。なお、無機充填材を含んだ硬化物を試料とした場合、融解熱は樹脂成分のみに換算した。
(3)線膨張係数、ガラス転移温度
線膨張係数およびガラス転移温度は、日立ハイテクサイエンス製TMA7100型熱機械測定装置を用いて、昇温速度10℃/分にて測定した。
(4)吸水率
直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
(5)XRDの測定、結晶化度の算出
リガク社製RINT TTR3を用いて、XRD測定を行った。測定条件は下記の通りとした。回折角度2θ:10°~30°、走査速度:0.25°/min、発散スリット:1/2degree、発散縦制限スリット:10mm、散乱スリット:1/2degree、受光スリット:0.3mm。
結晶化度は、2θが28°から29°の領域に観察されるタルクの回析ピークを除き、下記の式により算出した。マイカを用いた場合は、6°から8°の領域に観察されるピークを除く。ここで、結晶性ピークとは、回折ピークの幅が5°以内、好ましくは3°以内のピークであるシャープなピークであり、非晶質ピークとは、回折ピーク幅が8°以上あるブロードなピークである。
結晶化度=〔結晶性ピーク面積/(結晶性ピーク面積+非晶質ピーク面積)〕*100
これらの結果から明らかなとおり、実施例で得られるエポキシ樹脂組成物は熱伝導性に優れることからパワーデバイス、および車載用途に適する。なお、比較例に係るエポキシ樹脂組成物を用いた場合は、結晶性ピークは得られず非晶質なピークであったため、結晶化度はいずれも0%であった。
Figure 2024022282000008

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤及び添加剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、
    添加剤が層状粘土鉱物であり、樹脂成分の100重量部に対して当該層状粘土鉱物を1~20重量部含有し、
    当該エポキシ樹脂組成物の硬化物のX線回折法(XRD)による測定において、回折角度2θが15°以上25°未満の領域に回折ピークが検出されることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 添加剤がタルクであることを特徴とする、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂が、下記一般式(1)又は(2)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2024022282000009
    (式(1)中、Gはグリシジル基を示し、Aは単結合、酸素原子、硫黄原子、-SO-、-CO-又は二価の炭素数1~6の炭化水素基を示し、nは0~20の数を示す。)
    Figure 2024022282000010
    (式(2)中、Xは、独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子、-SO2-、-CO-、-COO-、-CONH-、-CH-又は-C(CH-を示す。Aは、独立して、ベンゾニトリル構造又は-(CH-を示し、nは0~15、mは3~10の数を示す。)
  4. 層状粘土鉱物を除く無機充填剤を20~90wt%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 結晶化度が10%以上である高熱伝導用の硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
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