JP2024020911A - 熱・電気応答性調光素子 - Google Patents

熱・電気応答性調光素子 Download PDF

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最実 太田
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亮太 前橋
Ryota Maehashi
真紀 島田
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【課題】温度変化により光透過性が変化するだけでなく、任意のタイミングでも光透過性を変化させることができる熱・電気応答性調光素子を提供する。【解決手段】本発明の熱・電気応答性調光素子は、液晶と液晶性樹脂を含む調光層を備える。そして、上記調光層が、温度変化による上記液晶の相転移により、光透過性が高い透明状態と、光透過性が低い散乱状態との間で光透過性が変化する熱応答性を有し、さらに、上記調光層を挟持した2つの透明電極基板と、上記2つの透明電極基板間に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、上記液晶性樹脂が側鎖部を有し、その側鎖部が配向していることとしたため、環境温度に関わらず任意のタイミングで光透過性を変化させることができる熱・電気応答性調光素子を提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は、熱・電気応答性調光素子に係り、更に詳細には、主に温度変化により光透過性が高い透明状態と、光透過性が低い散乱状態との間で光透過性が変化する熱・電気応答性調光素子に関する。
従来、カーテンやブラインドなどが担っていた遮光機能を窓ガラス自体に付与した調光素子として、フォトクロミック材料の着色を利用した吸収型や、液晶と樹脂との屈折率差を利用した散乱型が知られている。
特許文献1には、温度変化によりスメクチックA相からリエントラントネマチック相への相転移する液晶を用いた散乱型の熱応答性調光素子が開示されている。
特許第6931871号
特許文献1に記載の熱応答性調光素子は、温度上昇により透明状態から光散乱状態に変化し、高温時に日射を遮り、温度低下により光散乱状態から透明状態に変化するので、調光素子の駆動にエネルギーを必要とせず、省エネルギー化が可能である。
しかしながら、特許文献1に記載のものにあっては、透明状態と光散乱状態との切り替えが温度のみによるため、高温下では光散乱状態が継続してしまい、外の景色を見ることができない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温度変化により光透過性が変化するだけでなく、任意のタイミングでも光透過性を変化させることができる調光素子を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、温度変化に応じて相転移した液晶及び側鎖部が配向した液晶性樹脂に対し、電圧を印加することで、環境温度に関わらず光透過性を変えられることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の調光素子は、液晶と液晶性樹脂を含む調光層を備える。
そして、上記調光層が、温度変化による上記液晶の相転移により、光透過性が高い透明状態と、光透過性が低い散乱状態との間で光透過性が変化する熱応答性を有し、
さらに、上記調光層を挟持した2つの透明電極基板と、
上記2つの透明電極基板間に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
上記液晶性樹脂が側鎖部を有し、その側鎖部が配向していることを特徴とする。
本発明によれば、側鎖部が配向した液晶性樹脂と液晶とを2つの透明電極基板で挟持した調光層に電圧を印加することとしたため、環境温度に関わらず任意のタイミングで光透過性を変化させることができる調光素子を提供することができる。
調光素子の光学状態の変化を説明する図である。 2周波ネマティック液晶を用いた調光素子の透過率と、環境温度及び印加電圧との関係を示すグラフである。 散乱状態の調光素子に電圧を印加したときの光学状態の変化を説明する図である。 視線検知カメラを設け、人の視線に応じて調光素子の光学状態を切り替える利用形態の一例を示す図である。 人の視線に応じて調光素子の光学状態を切り替える際のフローチャート図である。 実施例1,2の調光素子の透過率と、環境温度及び印加電圧との関係を示すグラフである。 実施例2,5の調光素子の環境温度と透過率との関係を示すグラフである。 実施例6の調光素子の透過率と印加電圧との関係を示すグラフである。
本発明の調光素子について詳細に説明する。
本発明の調光素子は、液晶と液晶性樹脂を含む調光層を備え、上記調光層が熱応答性を有し、上記液晶が温度変化により相転移して、光透過性が高い透明状態と、光透過性が低い散乱状態との間で光透過性が変化する。
先ず、熱応答性調光素子の光透過性が変化するメカニズムについて説明する。
上記液晶は、硬直なメソゲン骨格と柔軟な長鎖アルキル基とが組み合わさった分子構造を有し、光学的異方性、誘電異方性を有するネマティック液晶である。
この液晶は、環境の温度変化により、分子が配向秩序を持ったネマティック相と、分子の方位と重心位置とがともに無秩序なアイソトロピック(等方)相との間で相転移し、その屈折率が変化する。
上記液晶は、環境温度が相転移温度未満のときにネマティック相を形成し、調光層の表面および/または裏面に設けられたポリイミド膜などの配向膜によって、調光層の厚さ方向に立って配向する。この状態では、図1の左図に示すように、液晶と樹脂との屈折率が一致して調光層が透明状態となる。
また、環境温度が相転移温度より高いときには、図1の中図に示すように、アイソトロピック相を形成して屈折率が変化し、上記樹脂の屈折率との差が生じ、液晶と樹脂との界面で散乱が生じて光透過性が低下する。
このように、熱応答性調光素子は環境温度の変化によって、透明状態と散乱状態との間で光学状態が変化するので、環境温度が液晶の相転移温度以上であるときは、散乱状態が継続してしまい、透明状態に切り替えることができない。
本発明は、側鎖部に極性を有するメソゲン骨格を有する液晶性樹脂と、液晶とを含む調光層を2つの透明電極基板で挟持し、電圧印加部でこれらの透明電極基板間に電圧を印加することとしたので、図1の右図に示すように、環境温度が液晶の相転移温度以上であっても、任意のタイミングで透明状態に切り替えることができる。
つまり、液晶は、上記のようにメソゲン骨格と長鎖アルキル骨格とを有する細長い形状をした分子構造をしており、長軸方向に分極した誘電異方性を有する分子であるので、2つの透明電極基板間に電圧を印加することで、液晶を配向させることができ、その屈折率の変化を防止できる。
しかし、相転移温度以上の高温環境下では、液晶性樹脂が熱により振動振動し屈折率が変動するため、高温環境下では、電圧を印加し液晶を配向させ続けても、図3に示すように、透明状態を維持できず散乱状態に戻ってしまう。このように、液晶の屈折率を一定にするだけでは、液晶と樹脂との屈折率を一致させることはできない。
これは、高温環境下では液晶性樹脂の分子振動が活発であり、液晶性樹脂の屈折率が不安定であるため、液晶と液晶性樹脂との屈折率が一致し難いことに起因すると考えられる。
本発明においては、上記液晶性樹脂として、その側鎖部が配向しているものを用いることとしたため、2つの透明電極基板間に電圧を印加することにより、上記液晶を配向させるだけでなく、上記液晶性樹脂の振動をも抑えることができ、相転移温度以上の環境下であっても液晶性樹脂との屈折率が一致し、調光層を透明状態とすることができる。
なお、本発明における「側鎖部」とは、例えば後述する構造式(3)の2つのベンゼン環で挟まれた部分の様に、重合後の樹脂の架橋部に対応するが、重合反応には関与しない(構造式(3)の両端部分のみ重合反応に関与する)部分をも含むものとする。
上記液晶としては、環境の温度変化により、ネマティック相とアイソトロピック相との間で相転移する液晶を使用でき、例えば、P型ネマティック液晶や、2周波ネマティック液晶を挙げることができる。
上記P型ネマティック液晶は、液晶分子長軸方向の誘電率ε1と短軸方向の誘電率ε2との差(ε1―ε2)で表される誘電異方性が正である液晶である。
P型ネマティック液晶としては、例えば、4-Cyano-4’-pentylbiphenyl、4-Cyano-4’-hexylbiphenyl、4-Cyano-4’-heptylbiphenyl(東京化成社製)を挙げることができる。
また、上記2周波ネマティック液晶は、交流電圧をかけた際、電圧の周波数によって誘電異方性の符号が変化する液晶であり、印加する電圧の周波数によって配向状態を変化させることが可能な液晶である。
2周波ネマティック液晶としては、例えば、JXLC8100(北京八百液晶技術有限公司製)、MLC2177(メルク社)を挙げることができる。
上記液晶が、2周波ネマティック液晶であることで、調光層が散乱状態であるときに透明状態に切り替えるだけでなく、相転移温度未満の温度域で透明状態であるときであっても、散乱状態に切り替えることができる。2つの透明電極基板間に印加する電圧の周波数と、調光素子の透過率との関係を図2に示す。
具体的には、相転移温度以上の温度域で調光層が散乱状態(3)であるとき、上記液晶の誘電異方性が正となる電圧(例えば、高周波)を印加することで透明状態(4)とすることができ、また、相転移温度未満の温度域で調光層が透明状態(2)であるとき、上記液晶の誘電異方性が負となる電圧(例えば、低周波)を印加することで散乱状態と(1)することができる。
上記液晶性樹脂としては、透明であり、かつ液晶の相転移温度未満の温度域における屈折率が、その温度域における液晶の屈折率と同じである液晶性樹脂を使用できる。
本発明において、「液晶性樹脂」とは、樹脂の温度が相転移温度未満である時に分子の直鎖(主鎖)が規則正しく並ぶ熱可塑性の樹脂をいう。
上記液晶性樹脂の分子構造は、側鎖を有すれば、線状の構造であってもよいが、網目構造であることが好ましい。
上記網目構造は、3次元網目構造であっても、平面的な2次元の網目構造であってもよいが、樹脂が平面的な網目構造を有することで、液晶の相転移を妨げることなく、液晶性樹脂の分子の振動が抑えられ、調光層の熱応答性と、電圧の印加による透明状態の維持とを両立できる。
側鎖部が配向した液晶性樹脂は、極性を有するメソゲン骨格と重合可能な部位とを有する液晶性モノマーと、アクリル基を2つ以上有するモノマーとを含む原料モノマーに、電圧を印加し、上記液晶性モノマーのメソゲン骨格を一方向に配向させた状態で重合することで形成できる。
すなわち、液晶性モノマーが重合すると、そのアルキル基で構成された直鎖状の主鎖に、極性を有するメソゲン骨格で構成される側鎖部がペンダントした線状の液晶性樹脂が形成され、このとき、印加された電圧によって極性を有するメソゲン骨格が一方向に配向している。そして、上記アクリル基を2つ以上有するモノマーが上記直鎖状の主鎖の間を、架橋し網目構造を形成するので、側鎖部の主鎖に対する自由な回転が制限され、網目構造中に側鎖部が配向した状態で固定された液晶性樹脂を形成できる。
この液晶性樹脂は、調光素子の使用時においては、液晶の相転移温度以上のときに電圧を印加すると、極性を有するメソゲン骨格で構成された側鎖部が元々配向しているので、側鎖部に繋がる主鎖を引っ張ることなく、上記側鎖部の配向度合いが高まる。したがって、側鎖部自体の振動が抑えられるだけでなく、上記側鎖部に繋がる主鎖の振動もが抑制され、熱による屈折率の変動を抑止して液晶性樹脂と液晶との屈折率を一致させることができ、高温環境下においても調光層に電圧を印加することで透明状態を維持することが可能である。
上記網目構造の主鎖同士を架橋する架橋部と主鎖との分岐点、すなわち架橋点(-COO-構造)の含有量は、使用する液晶性樹脂や液晶などにもよるが、樹脂を構成する分子数に対する架橋点の数の比率を指標とした場合に1~70%であることが好ましく、さらに1~25%であることが好ましく、1~15%であることがより好ましい。
上記液晶性モノマーとしては、例えば、4-[(6-Acryloyloxy)hexyloxy]-4’-cyanobiphenyl(東京化成)や、1,4-Bis[4-(3-acryloyloxypropoxy)benzoyloxy]-2-methylbenzene(東京化成)を挙げることができる。
また、上記分子内にアクリル基を2つ以上有するモノマーとしては、例えば、1,4-Bis[4-(3-acryloyloxypropoxy)benzoyloxy]-2-methylbenzene(東京化成)を挙げることができる。
上記透明電極基板としては、ITO膜を形成したガラスや樹脂などを使用できる。
本発明の液晶光学素子は、外の景色を見たいときに手動で電圧印加部を作動させて調光素子を透明状態に切り替えてもよいが、図4に示すように、視線検知カメラを設け、人の視線が調光素子に向いているときに、調光素子を透明状態に切り替えることもできる。
人の視線に応じて、調光素子を散乱状態から透明状態に自動で切り替えるときのフローチャーを図5に示す。
制御装置は、環境温度が高温で調光素子が散乱状態であるとき、視線検知カメラを作動させ、人の視線が調光素子に向いているか否かを監視する。
そして、視線検知カメラの画像情報から、人の視線が調光素子に向いていると判断したときは、電圧印加部により2つの透明電極基板間に電圧を印加し、人の視線が調光素子に向いていないと判断したときは、電圧を印加せずに、人の視線の監視を続ける。そして、温度低下により調光素子が透明状態になったら視線検知カメラを停止させて終了する。
本発明の液晶光学素子は、例えば、自動車の窓やサンルーフの他、オフィスの窓ガラスなどに使用することができ、高温時に日射を遮蔽して車内などの温度上昇を抑制できると共に、外の景色を見たいときには透明状態になり、風景を楽しむことができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
下記構造式(1)で表される液晶(4-Cyano-4’-pentylbiphenyl:東京化成社製)82.5質量部、下記構造式(2)で表される液晶性モノマー(4-[(6-Acryloyloxy)hexyloxy]-4’-cyanobiphenyl:東京化成社製)25質量部、重合開始剤(Iragcure819:ciba社製)2.5質量部を混合して調光層組成液を得た。
Figure 2024020911000002
透明ガラスの一方の面に透明電極(酸化インジウムスズ:ITO膜)を全面に成膜し、さらに透明電極上に垂直配向膜(ポリイミド)を全面に成膜し、透明電極基板を得た。
2つの透明電極基板を垂直配向膜が内側になるように、10μmmの間隔を開けて並べて配置し、調光層組成液を100℃で加熱して溶液粘度を低下させて、上記透明電極基板間に注入し、50V 50Hzの交流電圧を印加しながら、波長420nm、光強度30mW/cmの光を20分間照射して光重合させて、調光素子を得た。
その際、液晶性樹脂における網目構造の主鎖同士を架橋する架橋部と主鎖との分岐点、すなわち架橋点(-COO-構造)の含有量の指標としての、樹脂を構成する分子数に対する架橋点の数の比率は、以下の様に算出した。

架橋点の数の比率=X・n/Y
ただし、
X:架橋点を形成する材料(表1の場合、架橋剤)の物質量濃度
n:架橋点を形成する材料(表1の場合、架橋剤)1分子に含まれる架橋点(-CH=CH-COO-構造)の数
Y:液晶性樹脂を構成する材料のモル濃度(表1の場合、重合性モノマーの物質量濃度と架橋剤の物質量濃度との和)である。
[実施例2~4]
下記構造式(3)で示されるアクリル基を2つ有するモノマー(1,4-Bis[4-(3-acryloyloxypropoxy)benzoyloxy]-2-methylbenzene:東京化成)を下記表1に示す処方で含む調光層組成液を用いる他は、実施例1と同様にして、調光素子を得た。
Figure 2024020911000003
Figure 2024020911000004
<評価>
調光素子をガラスヒーター(SS-100 BLAST)に乗せ、ガラスヒーターの温度を27℃から45℃へ昇温し、昇温後に50V、周波数50Hzの交流電圧を印加し、昇温過程と電圧印加過程の透過率を測定した。
可視光透過率の測定は、レーザーダイオード(THORLAB HANDHELD LASER SOURCE)から発した波長650nmの光を調光素子に透過させ、フォトダイオード(HAMAMATSU Photodiode module C10439)で受光した透過光をオシロスコープ(Tektronix TBS 1052B Digital Oscilloscope)で測定した。
調光素子とフォトダイオード間の距離は、透過光のうち散乱角が2.5°以上の成分を受光しないような配置とした。
また、調光層の液晶性樹脂の側鎖部の配向状態を調べるため、偏光ラマン分析器(Thermo Scientific社製Thermo ScientificTM DXRTM2xiイメージング顕微ラマン)によりスペクトル測定を行った。
調光素子に対し垂直および水平に偏光させた光(波長785nm)を照射し、液晶性樹脂の側鎖部に特徴的な-COO-構造に由来する波数1715cm-1のピーク強度(垂直偏光:A、水平偏光:Bとする)を求め、これらに基づいてS=(A-B)/(A+2B)の値を算出した。このSの値が0ならば、液晶性樹脂のすべての側鎖部が完全配向している状態を示す。
本発明においては、Sの値が0.2以下の場合に液晶性樹脂の側鎖部の向きが揃った配向状態であると評価することとした。実施例1~5におけるSの値は、いずれも0.005であり、側鎖部の向きが揃った配向状態であることを確認できた。
実施例1と実施例2の液晶素子の温度変化による透過率の変化と、電圧印加時の透過率の変化を図6に示す。
実施例1と実施例2はともに、温度変化により液晶が相転移して、透明状態と散乱状態との間で光学状態が変化した。
また、樹脂の分子構造が側鎖を有する線状である実施例1は、散乱状態のときに電圧を印加することによって透明状態に切り替えることができたが、時間の経過とともに透過率が低下してしまった。
一方、樹脂の分子構造が平面的な網目構造である実施例2は、散乱状態のときに電圧を印加し続けることによって透明状態を維持することができた。
これらの結果から、分子構造が平面的な網目構造を有する樹脂の方が、線状の樹脂よりも熱に対して屈折率が安定していることが分かる。
また、実施例2と実施例5の液晶素子の相転移温度以下(27℃)のときの透過率と、相転移温度以上(45℃) のときの透過率との差を図7に示す。
実施例5では、温度変化による光学状態の差が小さいことから、樹脂の架橋密度が高く網目構造が緻密になると、液晶の相転移が妨げられ、温度変化による光学状態の応答性が低下することが分かる。
[実施例6]
2周波性液晶(JXLC8100:北京八百万液晶技術有限公司製)83.5質量部、アクリル基を2つ有するモノマー(1,4-Bis[4-(3-acryloyloxypropoxy)benzoyloxy]-2-methylbenzene:東京化成)15質量部、重合開始剤(Iragcure819:ciba社製)1.5質量部を混合して調光層組成液を得た。
この調光層組成液を用い、2つの透明電極基板間の間隔を5μmに変える他は実施例1と同様にして調光素子を得た。
液晶素子の相転移温度以下(27℃)のときに、50V、周波数50Hzの交流電圧(低周波数:液晶の誘電異方性が負となる電圧)を印加して透過率を測定した。
また、液晶素子を相転移温度以下(27℃)から相転移温度以上(135℃)まで昇温してその温度を維持し、50V、周波数11.8MHzの交流電圧(高周波数:液晶の誘電異方性が正となる電圧)を印加して透過率を測定した。
測定結果を図8に示す。
図8のグラフから、2周波性液晶を用いることで、調光層が散乱状態であるときに透明状態に切り替えるだけでなく、相転移温度未満の温度域で透明状態であるときであっても、散乱状態に切り替えることができることが分かる。
1 調光層
11 液晶
12 樹脂
2 透明電極基板液晶
3 電圧印加部
4 視線検知カメラ
10 調光素子(サンルーフ)

Claims (5)

  1. 液晶と液晶性樹脂を含む調光層を備える調光素子であって、
    上記調光層が、温度変化による上記液晶の相転移により、光透過性が高い透明状態と、光透過性が低い散乱状態との間で光透過性が変化する熱応答性を有し、
    さらに、上記調光層を挟持した2つの透明電極基板と、
    上記2つの透明電極基板間に電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
    上記液晶性樹脂が側鎖部を有し、その側鎖部が配向していることを特徴とする熱応答性調光素子。
  2. 上記液晶性樹脂が網目構造を有し、その架橋点がアクリル基由来の構造であることを特徴とする請求項1に記載の熱応答性調光素子。
  3. 上記液晶性樹脂を構成する分子数に対する架橋点の数の比率が1~70%であることを特徴とする請求項2に記載の熱応答性調光素子。
  4. 上記液晶が2周波性液晶であり、
    上記電圧印加部が、
    上記液晶の相転移温度以上の温度域で、上記液晶の誘電異方性が正となる電界を印加して透明状態とし、
    上記液晶の相転移温度未満の温度域で、上記液晶の誘電異方性が負となる電界を印加して散乱状態とすることを特徴とする請求項1に記載の熱応答性調光素子。
  5. 上記調光層が散乱状態、かつ視線検知カメラから得た視線情報が熱応答性調光素子を向いているとき、
    上記電圧印加部が上記2つの透明電極基板間に電圧を印加し、散乱状態から透明状態に切り替えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つの項に記載の熱・電気応答性調光素子。
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