JP6931871B2 - 調光素子、及びこれを用いた調光ガラス - Google Patents
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Description
本発明の調光素子は、前記液晶組成物が、さらにスメクチックA相を呈することが好ましい。
本発明の調光素子は、前記スメクチックA相から前記リエントラントネマチック相への相転移温度が10〜50℃であることが好ましい。
本発明の調光素子は、セルギャップを3〜300μmとする2枚の基板を備えることが好ましい。
本発明の調光素子は、前記2枚の基板のうちの一方の基板の前記液晶組成物に対する濡れ性が、他方の基板の前記液晶組成物に対する濡れ性と異なることが好ましい。
本発明の調光素子は、前記一方の基板の前記液晶組成物に接触する表面がポリイミド膜であり、前記2枚の基板のうちの他方の基板の前記液晶組成物に接触する表面がシランカップリング処理されていることが好ましい。
本発明の調光素子は、前記一方の基板の前記液晶組成物に接触する表面がポリイミド膜であり、他方の基板の前記液晶組成物に接触する表面が未処理のガラス基板表面であることが好ましい。
本発明の調光素子は、リエントラントネマチック相を呈する液晶組成物を用いたことを特徴とする。すなわち、従来、知られているリエントラントネマチック相を呈する液晶組成物を調光素子として利用するものである。
調光素子1は、一方の基板3及び他方の基板4の2枚の基板を備え、一方の基板3と他方の基板4との間に注入された液晶組成物2が、特定の温度範囲で、リエントラントネマチック相を呈する。
調光素子1においては、一方の基板3と他方の基板4との間のセルギャップdを、3〜300μmとすることが好ましい。
少なくとも一方の基板3の液晶組成物2に接触する表面3aをポリイミド膜とすることにより、表面3aのポリイミド膜に接触する液晶組成物2の液晶分子が、一方の基板3に対して概水平方向に配向する。
少なくとも一方の基板3の表面3aの近傍の液晶分子が概水平方向に配向すると、液晶組成物2がスメクチックA相(SmA相)を呈するとき、配向欠陥に基づく散乱が生じて半透明又は不透明になると考えられる。
液晶組成物2が結晶相(K相)を呈するとき、液晶組成物2は不透明であり、ネマチック相(N相)を呈するとき、液晶組成物2は透明である。液晶組成物2がリエントラントネマチック相(RN相)を呈するときも、液晶組成物2は透明であるので、液晶組成物2を用いることにより、熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能させることができる。
例えば、一方の基板3のうち、基材31の液晶組成物2に接触する表面3a側に、公知の配向膜用ポリイミド材料を塗布し、加熱処理することにより、所定の厚さのポリイミド膜32を形成することができる。
液晶組成物2がネマチック相(N相)を呈するとき、液晶組成物2は透明である。液晶組成物2がリエントラントネマチック相(RN相)を呈するときも、液晶組成物2は透明であるので、液晶組成物2を用いることにより、リエントラントネマチック相(RN相)とスメクチックA相(SmA相)との間の相転移を利用して、熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能させることができる。
(式(9)中、γは物質の表面自由エネルギー、γdは分散成分、γpは極性成分、γhは水素結合成分をそれぞれ表す)
例えば、他方の基板4のうち、基材41の液晶組成物2に接触する表面4a側に、公知のシランカップリング剤を塗布し、加熱処理することにより、基材41の液晶組成物2に接触する表面4aをシランカップリング処理することができる。
上述の実用に供する調光素子としては、調光ガラスを挙げることができる。
本発明の調光ガラスとして、例えば、図1で示した調光素子1のうち、基材31及び/又は基材41がガラス基板であるものが挙げられる。
基材31及び/又は基材41をガラス基板とすることにより、耐久性のある熱応答型のスマートウィンドウに利用可能である。
液晶を、偏光顕微鏡(Olympus社製BX50)にて実物観察し、オルソスコープ観察し、また、コノスコープ観察し、それぞれ、顕微鏡用デジタルカメラ(Olympus社製DP20)にて撮影した。
オーシャンオプティクス社製紫外可視光光度計USB4000にて、オーシャンオプティクス社製照明光源HL−2000−LLの透過光量変化を評価した。
松浪硝子工業社製のスライドガラス(縦25mm、横25mm、厚さ1.3mm)を中性洗剤で洗浄して、表面未処理のスライドガラスとして評価に供した。
4’−シアノ−4−ヘキシルオキシビフェニル(6OCB)と4’−シアノ−4−ノニルオキシビフェニル(8OCB)を25:75の質量組成比で混合した液晶組成物試料を調製した。2枚の表面未処理のガラス基板(松浪硝子工業社製、スライドガラスS1214、縦25mm、横25mm、厚さ1.3mm)を、厚さ100μmの両面テープをスペーサーとして使用し向い合せ作製したセルに、前記液晶組成物試料を60℃にて注入して、参考例1の調光素子を作成した。
また、昇温過程においては、26.1℃でリエントラントネマチック相(RN相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、56.1℃でスメクチックA相(SmA相)からネマチック相(N相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における昇温速度は1℃/minである。
図3(C)は、同じ調光素子のコノスコープ観察画像であって、60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているもの、並びに、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものである。
オルソスコープ観察画像及びコノスコープ観察画像のいずれも、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間で、変化は観察されなかった。
図5は、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。図5(A)は15℃にて、液晶組成物が結晶相(K相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で不透明である。図5(B)は20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。図5(C)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。図5(D)は60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。
ネマチック相(N相)とスメクチックA相(SmA相)との間で、変化は観察されなかった。スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間でも、変化は観察されなかった。
4’−シアノ−4−ヘキシルオキシビフェニル(6OCB)と4’−シアノ−4−ノニルオキシビフェニル(8OCB)を23:77の質量組成比で混合した液晶組成物試料を調製した。参考例1で作製したものと同じセルに、前記液晶組成物試料を注入して、参考例2の調光素子を作成した。
また、昇温過程においては、23.5℃でリエントラントネマチック相(RN相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、56.6℃でスメクチックA相(SmA相)からネマチック相(N相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における昇温速度は1℃/minである。
4’−シアノ−4−ヘキシルオキシビフェニル(6OCB)と4’−シアノ−4−ノニルオキシビフェニル(8OCB)を27:73の質量組成比で混合した液晶組成物試料を調製した。参考例1で作製したものと同じセルに、前記液晶組成物試料を注入して、参考例3の調光素子を作成した。
また、昇温過程においては、31.4℃でリエントラントネマチック相(RN相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、47.2℃でスメクチックA相(SmA相)からネマチック相(N相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における昇温速度は1℃/minである。
表面自由エネルギーの評価で記載した方法で、片方の面にポリイミド膜が形成されたスライドガラスを準備した。
また、表面自由エネルギーの評価で記載した方法で、片方の面にシランカップリング処理されたスライドガラスを準備した。
図6(A)及び図6(B)は、実施例1の調光素子について、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。図6(A)は、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。図6(B)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で半透明である。なお、実施例1の調光素子の結晶相(K相)を呈しているものは不透明であり、実施例1の調光素子のネマチック相(N相)を呈しているものは透明であり、図面は省略している。
また、図8(C)の参考例3の結果から、参考例3の液晶組成物試料を用いた調光素子では、おおよそ31℃以下の室温付近ではリエントラントネマチック相(RN相)を呈して良好な透明性を有し、おおよそ32℃以上の温度からスメクチックA相(SmA相)を呈して不透明性を有する、熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能することが予想できる。
このように、液晶組成物の組成を調整することにより、リエントラントネマチック相(RN相)とスメクチックA相(SmA相)との間の相転移温度を調整するが可能である。
松浪硝子工業社製のスライドガラス(縦25mm、横25mm、厚さ1.3mm)を中性洗剤で洗浄して、表面未処理のスライドガラスとした。
表面自由エネルギーの評価で記載した方法で、片方の面にポリイミド膜が形成されたスライドガラスを準備した。
図6(C)及び図6(D)は、実施例2の調光素子について、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。図6(C)は、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。図6(D)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で半透明である。なお、実施例2の調光素子の結晶相(K相)を呈しているものは不透明であり、実施例2の調光素子のネマチック相(N相)を呈しているものは透明であり、図面は省略している。
片方の面がシランカップリング処理された2枚のマイクロカバーガラスを準備し、厚さ100μmの両面テープをスペーサーとして使用し前記シランカップリング処理された2枚のマイクロカバーガラスを向い合せたセルに、参考例1の液晶組成物試料を60℃にて注入して、参考例4の調光素子を作成した。
図7(A)及び図7(B)は、参考例4の調光素子について、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。図7(A)は、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。図6(B)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。なお、参考例4の調光素子の結晶相(K相)を呈しているものは不透明であり、参考例4の調光素子のネマチック相(N相)を呈しているものは透明であり、図面は省略している。
表面自由エネルギーの評価で記載した方法で、片方の面にポリイミド膜が形成された2枚のスライドガラスを準備し、厚さ100μmの両面テープをスペーサーとして使用し前記2枚のスライドガラスを向い合せたセルに、参考例1の液晶組成物試料を60℃にて注入して、実施例3の調光素子を作成した。実施例3の調光素子の、2枚の基板のうちの一方の基板の前記液晶組成物試料に接触する表面がポリイミド膜であり、他方の基板の前記液晶組成物試料に接触する表面もポリイミド膜である。
少なくとも一方の基板3の液晶組成物2に接触する表面3aをポリイミド膜とすることにより、表面3aのポリイミド膜に接触する液晶組成物2の液晶分子が、一方の基板3に対して概水平方向に配向し、液晶組成物2がスメクチックA相(SmA相)を呈するとき、基板上部から観察したとき液晶分子はいろいろな方向に向いており、ポリドメインが形成して、結果、配向欠陥に基づく散乱が生じて半透明になったと考えられる。
図7(C)及び図7(D)は、実施例3の調光素子について、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。図7(C)は、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。図7(D)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で半透明である。なお、実施例3の調光素子の結晶相(K相)を呈しているものは不透明であり、実施例3の調光素子のネマチック相(N相)を呈しているものは透明であり、図面は省略している。
Claims (7)
- リエントラントネマチック相を呈する液晶組成物を用いた調光素子であって、
セルギャップを3〜300μmとする2枚の基板を備え、
前記2枚の基板のうちの一方の基板の前記液晶組成物に対する濡れ性が、他方の基板の前記液晶組成物に対する濡れ性と異なる、調光素子。 - 前記液晶組成物が、さらにスメクチックA相を呈する請求項1に記載の調光素子。
- 前記スメクチックA相から前記リエントラントネマチック相への相転移温度が10〜50℃である請求項2記載の調光素子。
- 前記2枚の基板のうちの少なくとも一方の基板の前記液晶組成物に接触する表面がポリイミド膜である請求項1記載の調光素子。
- 前記一方の基板の前記液晶組成物に接触する表面がポリイミド膜であり、前記2枚の基板のうちの他方の基板の前記液晶組成物に接触する表面がシランカップリング処理されている請求項1記載の調光素子。
- 前記一方の基板の前記液晶組成物に接触する表面がポリイミド膜であり、他方の基板の前記液晶組成物に接触する表面が未処理のガラス基板表面である請求項1記載の調光素子。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の調光素子を用いた調光ガラス。
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