JP2024019097A - メタクリル酸メチル組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形体の耐熱性を良好にする。【解決手段】再生メタクリル酸メチルと、非再生メタクリル酸メチルとを含有しており、再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%である、メタクリル酸メチル組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、メタクリル酸メチルを主成分として含有するメタクリル酸メチル組成物に関する。
メタクリル酸メチル(MMA)を重合した重合体であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、透明性に優れており、さらには耐候性にも優れている。よって、ポリメタクリル酸メチルは、自動車用部品、看板標識、表示装置等を構成する部材の材料として、広く用いられている。
そして、近年の資源価格の高騰、さらには環境問題に対する意識の高まりに伴って、上記のとおり種々の用途に用いられたポリメタクリル酸メチルの製品(成形体)は回収されてリサイクル(再資源化)が図られている。
ポリメタクリル酸メチルのリサイクルの方法としては、例えば、回収された成形体に対し、再度、成形工程を実施して新たな成形体を製造するマテリアルリサイクル、回収された成形体を熱処理して、ポリメタクリル酸メチルを熱分解(解重合)することによりメタクリル酸メチルを回収し、回収されたメタクリル酸メチル(回収MMAという場合がある。)を用いて新たな成形体を製造するケミカルリサイクル、および回収された成形体を燃料として燃焼させ、燃焼エネルギーを直接的に熱源として、さらには燃焼エネルギーを用いて発電して利用するサーマルリサイクルが挙げられる。
ポリメタクリル酸メチルは、300℃程度の比較的低い温度で加熱することによって、メタクリル酸メチルを高収率で回収することができ、不純物の低減が可能であるため、ケミカルリサイクルによりリサイクルされることが好ましい。
ポリメタクリル酸メチルを主成分とするアクリル系樹脂廃材を用いるケミカルリサイクルにおいて、撹拌装置を有する加熱釜を用いて熱処理して解重合するにあたり、撹拌翼先端速度に着目してこれを調節することにより、解重合により生じたメタクリル酸メチル等のモノマーをさらに分解変化させることなく、高純度なモノマーとして回収する技術が知られている(特許文献1参照。)。
特開2003-321571号公報
しかしながら、上記特許文献1にかかる回収方法によって得られるメタクリル酸メチルによっては、当該メタクリル酸メチルを含むメタクリル酸メチル組成物を成形した成形体における耐熱性が十分とはいえない場合があった。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、メタクリル酸メチル組成物における再生メタクリル酸メチルと非再生メタクリル酸メチルとの組成を調節することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記〔1〕~〔12〕を提供する。
〔1〕 再生メタクリル酸メチルと、非再生メタクリル酸メチルとを含有しており、
再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%である、メタクリル酸メチル組成物。
〔2〕 前記再生メタクリル酸メチルが、ケミカルリサイクル由来の再生メタクリル酸メチルである、〔1〕に記載のメタクリル酸メチル組成物。
〔3〕 前記再生メタクリル酸メチルの含有量が5~40質量%であり、前記非再生メタクリル酸メチルの含有量が60~95質量%である、〔1〕または〔2〕に記載のメタクリル酸メチル組成物。
〔4〕 アクリル酸アルキルをさらに含有する、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のメタクリル酸メチル組成物。
〔5〕 〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のメタクリル酸メチル組成物を重合する工程を含む、メタクリル酸メチル系重合体の製造方法。
〔6〕 〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のメタクリル酸メチル組成物を重合したメタクリル酸メチル系重合体。
〔7〕 再生メタクリル酸メチルに由来する構造単位と、非再生メタクリル酸メチルに由来する構造単位とを含み、再生メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が0.5~99.5質量%であり、非再生メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が0.5~99.5質量%である、メタクリル酸メチル系重合体。
〔8〕 ポリメタクリル酸メチルからのケミカルリサイクル由来の再生メタクリル酸メチル生成物を有効成分とする、非再生メタクリル酸メチルを含むメタクリル酸メチル重合体用耐熱性向上剤。
〔9〕 前記再生メタクリル酸メチル生成物の重合体の5%重量減少温度が300℃以上、及び/又は、ガラス転移温度が、90℃以上である、〔8〕の剤。
〔10〕 前記非再生メタクリル酸メチル生成物の重合体の5%重量減少温度が200℃以上、及び/又はガラス転移温度が、105℃以上である、〔8〕又は〔9〕の剤。
〔11〕 前記再生メタクリル酸メチル生成物の重合体の5%重量減少温度が非再生メタクリル酸メチル生成物のそれよりも高く、及び/又は、ガラス転移温度が低い、〔8〕~〔10〕のいずれか1つに記載の剤。
〔12〕 ポリメタクリル酸メチルからのケミカルリサイクル由来の再生メタクリル酸メチル生成物の、非再生メタクリル酸メチルを含むメタクリル酸メチル重合体用耐熱性向上剤製造のための使用。
本発明によれば、回収MMAを含みうる再生メタクリル酸メチルと非再生メタクリル酸メチルとを含有するメタクリル酸メチル組成物を重合したメタクリル酸メチル系重合体、さらにはその成形体の耐熱性を良好にすることができる。
図1は、調製例1の回収MMAを用いたメタクリル酸メチル組成物の成形体における、再生MMAの割合と5%重量減少温度との関係を示すグラフである。図1中の点線は、参考例1と比較例1のプロットを結ぶ直線である。 図2は、調製例1の回収MMAを用いたメタクリル酸メチル組成物の成形体における、再生MMAの割合とガラス転移温度との関係を示すグラフである。図2中の点線は、参考例1と比較例1のプロットを結ぶ直線である。 図3は、再生MMA(A)~(D)を用いたメタクリル酸メチル組成物の成形体における、各再生MMAの割合と5%重量減少温度との関係を示すグラフである。図3中の点線は、参考例1と再生MMA(A)の比較例2のプロットを結ぶ直線である。 図4は、再生MMA(A)~(D)を用いたメタクリル酸メチル組成物の成形体における、各再生MMAの割合とガラス転移温度との関係を示すグラフである。図3中の点線は、参考例1と再生MMA(D)の比較例5のプロットを結ぶ直線である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。本発明は以下の記述によって限定されない。また本発明の実施形態にかかる各要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
1.メタクリル酸メチル組成物
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、再生メタクリル酸メチルと、非再生メタクリル酸メチルとを含有しており、再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%である。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物によれば、当該メタクリル酸メチル組成物を重合したメタクリル酸メチル系重合体、さらにはその成形体の耐熱性、具体的には5%重量減少温度、さらにはガラス転移温度を良好にすることができ、また5%重量減少温度とガラス転移温度とを両立させてこれらのバランスを良好にすることができる。また、メタクリル酸メチル組成物は、長期保存後にも高品質を保つことができる(例えば、黄変発生の抑制)等、良好な保存性を示すことができる。そのため、組成物調製後、長期保存しても高品質を保つことができ、適時に成形体の製造等に利用できる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、通常、液状であるがこれに限定されない。以下、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が含みうる成分について具体的に説明する。
(1)メタクリル酸メチル
本実施形態において「メタクリル酸メチル」とは、イソ酪酸メチルといった副生成物等の不純物を本質的に含んでいないメタクリル酸メチルをいう。しかしながら、本発明の目的を損なわないことを前提としてこれに限定されない。換言すると「メタクリル酸メチル」は、常法に従う精製方法によっては除去しきれない不純物を含みうるか、または常法に従う検出方法によっては検出できない程度の含有量で不純物を含みうる。
本実施形態において、メタクリル酸メチルの製造方法は、特に限定されない。本実施形態のメタクリル酸メチル組成物の原料であるメタクリル酸メチルの製造方法の例としては、アセトンおよびシアン化水素(青酸)を原料として実施される「ACH(アセトンシアノヒドリン)法」、イソブチレンまたはtert-ブチルアルコールを原料として実施される「C4直酸法」、およびエチレンを原料として実施される「アルファ法」が挙げられる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物の原料としては、上記の製造方法によっては不可避的に混入してしまう程度の含有量として、イソ酪酸メチル、イソ酪酸メチル、および/またはアクリル酸メチル等の、メタクリル酸メチル以外の成分を含みうる生成物(メタクリル酸メチル生成物という場合がある。)を用いることができる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物の原料として用いられうるメタクリル酸メチルであって、上記の製造方法により製造されたメタクリル酸メチル(またはメタクリル酸メチル生成物)は、従来公知の任意好適な精製方法により精製されていてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物の原料であるメタクリル酸メチル生成物が含んでいてもよいイソ酪酸メチルの含有量は、メタクリル酸メチル生成物の全量を100質量部としたときに、0質量ppmを超えて300質量ppm以下であることが好ましく、および/またはメタクリル酸メチル生成物が含んでいてもよいアクリル酸メチルの含有量は0質量ppm~20000質量ppmであることが好ましい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物において、メタクリル酸メチルの含有量は、耐熱性を良好にする観点から、メタクリル酸メチル組成物の全量を100質量%としたときに、通常85質量%以上であり、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは98質量%以上であり、特に好ましくは99質量%以上である。
本実施形態において、メタクリル酸メチル組成物は、メタクリル酸メチルとして、再生メタクリル酸メチルと、非再生メタクリル酸メチルとを含有している。以下、再生メタクリル酸メチルおよび非再生メタクリル酸メチルについて説明する。
(1-1)再生メタクリル酸メチル
本実施形態において「再生メタクリル酸メチル」とは、ポリメタクリル酸メチル、すなわちメタクリル酸メチル、さらにはメタクリル酸メチルを主成分として含むメタクリル酸メチル組成物を従来公知の任意好適な射出成形工程などにより種々の形状に成形した成形体を、解重合(ケミカルリサイクル)により再生した、ケミカルリサイクル由来のメタクリル酸メチルをいう。具体的には、「再生メタクリル酸メチル」とは、例えば、メタクリル酸メチルを重合したポリメタクリル酸メチル、より具体的には例えば市場に流通し、種々の用途に適用された後に回収された、又は市場に流通する前の(例えば、余剰生産分の)、ポリメタクリル酸メチルを主成分とする成形体を、従来公知の任意好適な条件にて加熱処理して熱分解(解重合)させることにより回収されたメタクリル酸メチル(回収MMA)である。
本実施形態において、再生メタクリル酸メチルを得るためのケミカルリサイクルの実施態様は特に限定されない。本実施形態において、ケミカルリサイクルは、従来公知の任意好適な装置を用いて、従来公知の任意好適な条件(熱分解条件)にて、実施することができる。例えば、熱分解温度は、例えば、300~600℃程度、好ましくは350~500℃程度、より好ましくは400~500℃程度とすることができる。熱分解に押出機を採用する場合、上記範囲であると本実施形態の組成物に採用できる再生メタクリル酸メチルを得ることができる。
ポリメタクリル酸メチルの解重合(例えば、ケミカルリサイクル)を行うことにより、通常、再生メタクリル酸メチルを含む、再生メタクリル酸メチル生成物が得られる。再生メタクリル酸メチル生成物に含まれる再生メタクリル酸メチル以外の成分としては、例えば、イソ酪酸メチル、プロピオン酸メチル、アクリル酸メチル、その他の、ポリメタクリル酸メチルの解重合、すなわちケミカルリサイクルに由来する成分が挙げられる。
ケミカルリサイクルによれば、高収率で再生メタクリル酸メチルを回収することができる。また、解重合後に、従来公知の任意好適なさらなる精製工程を実施することにより、生成したメタクリル酸メチルを主成分として含む再生メタクリル酸メチル生成物に不可避的に含まれうる、例えば、プロピオン酸メチル、イソ酪酸メチル、およびアクリル酸メチルといった副生成物である低沸点化合物(不純物)の含有量(濃度)を効果的に低減させることができる。精製工程は、不純物を低減できる温度で行えばよく、例えば30~130℃の範囲で行えばよく、好ましくは30~120℃である。なお、精製工程は、再生メタクリル酸メチルを回収できればよく、減圧条件下で行ってもよい。減圧環境下で精製工程を行う場合、100℃未満で行ってもよく、好ましくは30~80℃の範囲であり、より好ましくは50~80℃である。
再生メタクリル酸メチル生成物は、再生メタクリル酸メチルを、通常80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは92質量%以上、更により好ましくは95質量%以上含有する。再生メタクリル酸メチルの含有量の上限は、特に限定されず、100質量%でもよく、99質量%以下、98質量%以下でもよい。すなわち、再生メタクリル酸メチル生成物は、再生メタクリル酸メチルを、通常、80~100質量%の範囲で含有し、好ましくは85~99質量%の範囲で含有する。
再生メタクリル酸メチルは、基本的には非再生メタクリル酸メチルと同じ化学構造を有するメタクリル酸メチルであるものの、非再生メタクリル酸メチルに再生メタクリル酸メチルを添加すると組成物や重合体の物性が変化することが判明した。その理由は定かではないが、再生メタクリル酸メチルの製造過程において熱分解(解重合)を経ていることにより、何らかの理由により非再生メタクリル酸メチルから反応性が変化し、非再生メタクリル酸メチルと異なる挙動を示す、別個の成分であることが推測される。このような理由としては、少なくとも一部の反応点消失、純度の変化、モノマー間の相互作用の変化などが考えられる。
(1-2)非再生メタクリル酸メチル
本実施形態において「非再生メタクリル酸メチル」とは、既に説明した「再生メタクリル酸メチル」に該当しないメタクリル酸メチルであって、具体的には、例えば、所定の製造方法により製造された後に、重合され、さらには種々の用途に適用されたことのないメタクリル酸メチル(未使用メタクリ酸メチル:Virgin methyl methacrylate)をいう。
非再生メタクリル酸メチルは、既に説明したとおり、イソ酪酸メチル、プロピオン酸メチル、アクリル酸メチルといった他の成分(不純物)を不可避的に含みうる。このような非再生メタクリル酸メチルと他の成分を含む組成物を非再生メタクリル酸メチル生成物という場合がある。非再生メタクリル酸メチル生成物の、非再生メタクリル酸メチル含有量は、通常、95質量%以上、好ましくは96質量%以上、より好ましくは97質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、更により好ましくは99質量%以上である。上限は、特段限定されず、100質量%でもよい。すなわち、非再生メタクリル酸メチル生成物の、非再生メタクリル酸メチル含有量は、通常、95~100質量%の範囲であり、好ましくは96~99質量%の範囲である。
本実施形態において、メタクリル酸メチル組成物の原料として用いられうる非再生メタクリル酸メチルの製造方法は、特に限定されない。本実施形態のメタクリル酸メチル組成物の原料である非再生メタクリル酸メチルの製造方法の例としては、既に説明した「ACH(アセトンシアノヒドリン)法」、「C4直酸法」、および「アルファ法」が挙げられる。本実施形態において、非再生メタクリル酸メチルは、これらのうちのいずれによって製造されていてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物において、非再生メタクリル酸メチルには、植物由来原料を用いて製造されたメタクリル酸メチル(バイオMMAという場合がある。)が含まれる。バイオMMAには、具体的には例えば、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ等の植物に由来するデンプン、多糖類等の植物由来原料を用いて微生物による分解、発酵等の作用により生成したブタノール、イソブチレン、エタノール、エチレン、メタノール、プロピレンアセトン等を用いて、既に説明したACH(アセトンシアノヒドリン)法、C4直酸法、アルファ法等の製造方法により製造されたメタクリル酸メチルが含まれうる。
本実施形態においては、微生物による分解、発酵等の作用により生成した原料、試薬等が用いられている限り、例えば、上記の製造方法により製造されたメタクリル酸メチルは「バイオMMA」に含まれうる。
なお、バイオMMAには、炭素12(12C)の放射性同位体である炭素14(14C)が含まれうる一方で、石油等の鉱物資源に由来するメタクリル酸メチルには炭素14(14C)が含まれない。よって、非再生メタクリル酸メチル、さらには再生メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル組成物、加えて当該メタクリル酸メチル組成物を成形した成形体が、バイオMMAを含むかまたはバイオMMAに由来するか否かは、炭素14(14C)を含有しているか否かを従来公知の任意好適な方法により検出することで確認することができる。
上記の製造方法により製造された非再生メタクリル酸メチルは、従来公知の任意好適な精製工程を実施することにより、生成したメタクリル酸メチルを主成分として含む非再生メタクリル酸メチル生成物に不可避的に含まれうる不純物の含有量(濃度)を効果的に低減させることができる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物において、再生メタクリル酸メチルおよび非再生メタクリル酸メチルの含有量は、5%重量減少温度とガラス転移温度とを両立させてこれらのバランスを良好にする観点、及び黄変発生の抑制の観点から、メタクリル酸メチル組成物の全量を100質量%としたときに、再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%であることが好ましい。これらの含有量は、再生メタクリル酸メチルの含有量が3~90質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が10~97質量%であることがより好ましく、再生メタクリル酸メチルの含有量が5~80質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が20~95質量%であることがさらに好ましく、再生メタクリル酸メチルの含有量が10~70質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が30~90質量%であることがさらにより好ましく、再生メタクリル酸メチルの含有量が20~60質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が40~80質量%であることがことさら好ましい。再生メタクリル酸メチルおよび非再生メタクリル酸メチルの含有量が上記範囲であると、メタクリル酸メチル組成物の重合体、さらにはその成形体の耐熱性を良好にすることができ、またメタクリル酸メチル組成物の黄変発生が抑制され、保管安定性を良好にすることができる。また、別の実施形態では、再生メタクリル酸メチルの含有量が3~40質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が60~97質量%であることがより好ましく、再生メタクリル酸メチルの含有量が3~20質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が80~97質量%であることがさらに好ましい。
(2)アクリル酸アルキル
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、アクリル酸アルキルをさらに含みうる。本実施形態のメタクリル酸メチル組成物に含まれうるアクリル酸アルキルは、既に説明したメタクリル酸メチルの製造方法によって生成し不可避的に混入するアクリル酸メチル、さらには上述のケミカルリサイクルにかかる解重合により不可避的に生成するアクリル酸メチルでありうる。また、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物に含まれうるアクリル酸アルキルは、上記のメタクリル酸メチル生成物(再生メタクリル酸メチル生成物、非再生メタクリル酸メチル生成物)に意図的に混合されるアクリル酸アルキルでありうる。かかるアクリル酸アルキルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルが挙げられる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物に含まれうるアクリル酸アルキルの含有量は、好ましくは0質量%~10質量%であり、より好ましくは0質量%~5質量%である。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物に含まれうるアクリル酸メチルの濃度は、好ましくは5質量ppm~50000質量ppmであり、より好ましくは5質量ppm~30000質量ppmである。
(3)その他の低含有量成分
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、既に説明した「不純物」に加え、特に再生メタクリル酸メチルの回収工程に起因するその他の低含有量成分を含みうる。その他の低含有量成分としては、例えば、メタノール、2,4-ジメチル-4-ペンテン酸メチル、1-ブタノール、およびアクリル酸ブチル、ならびに2-メチル-3-ブテン酸メチル、チグリン酸メチル、3-メチル-3-ブテン酸メチル、3-メチル-2-ブテン酸メチル、イコタン酸ジメチル、2-メチル-5-メチレンヘキサン二酸ジメチル、トルエン、およびスチレンが挙げられる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が、上記のその他の低含有量成分のうち、メタノール、2,4-ジメチル-4-ペンテン酸メチル、1-ブタノール、およびアクリル酸ブチルからなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する場合には、メタノール、2,4-ジメチル-4-ペンテン酸メチル、1-ブタノール、およびアクリル酸ブチルそれぞれの濃度が、メタクリル酸メチル組成物の全量を100質量部としたときに、10質量ppm~5000質量ppmであることが好ましく、10質量ppm~4000質量ppmであることがより好ましい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が、上記のその他の低含有量成分のうち、2-メチル-3-ブテン酸メチル、チグリン酸メチル、3-メチル-3-ブテン酸メチル、3-メチル-2-ブテン酸メチル、イコタン酸ジメチル、2-メチル-5-メチレンヘキサン二酸ジメチル、トルエン、およびスチレンからなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する場合には、2-メチル-3-ブテン酸メチル、チグリン酸メチル、3-メチル-3-ブテン酸メチル、3-メチル-2-ブテン酸メチル、イコタン酸ジメチル、2-メチル-5-メチレンヘキサン二酸ジメチル、トルエン、およびスチレンそれぞれの濃度が、メタクリル酸メチル組成物の全量を100質量部としたときに、10質量ppm~1000質量ppmであることが好ましく、10質量ppm~800質量ppmであることがより好ましい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物によれば、上記のその他の低含有量成分を上記の濃度でさらに含んでいたとしても、メタクリル酸メチル組成物を重合したメタクリル酸メチル系重合体、さらにはその成形体の5%重量減少温度およびガラス転移温度を良好にし、5%重量減少温度とガラス転移温度とを両立させてこれらのバランスを良好にすることができる。具体的には例えば、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物の5%重量減少温度およびガラス転移温度は、非再生メタクリル酸メチル、又は再生メタクリル酸メチル単独から予測される5%重量減少温度とガラス転移温度から予測されるよりもはるかに高い値を示し得る。例えば、上記単独の成形品と本実施形態の組成物の5%重量減少温度の測定値と再生メタクリル酸メチルの含有量との関係をプロットし、単独の成形品の測定値を直線で結ぶと、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は直線を上回る測定値を示すことができる。また、ガラス転移温度についても同様である。
また、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物によれば、良好な保存性を発揮でき、保管中の黄変等の劣化を抑制できる。非再生メタクリル酸メチル及び再生メタクリル酸メチルでは、保管中の劣化がみられることから、両者を所定比率で混合することにより得られるこの効果は、予想外の驚くべき効果と言える。その理由は定かではないが、非再生メタクリル酸メチルに再生メタクリル酸メチルを添加したことにより、非再生メタクリル酸メチル単独の場合や再生メタクリル酸メチル単独の場合とは異なる何らかの作用(例えば、モノマー間の相互作用など)が生じていると考えられる。
(4)その他の成分
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、本発明の目的を損なわないことを条件として、上記(1)~(3)にかかる成分に加えて、例えば、所定の特性を有する成形体を製造するために添加されうる離型剤、重合調節剤、重合開始剤、紫外線吸収剤および着色剤などのその他の成分をさらに含有していてもよい。以下、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物に含まれうるその他の成分について説明する。
(i)離型剤
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、メタクリル酸メチル組成物を重合したメタクリル酸メチル系重合体およびその成形体を製造するにあたり、特に成形体の離型性をより良好にするための離型剤を含んでいてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が含みうる離型剤の例としては、高級脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、および脂肪酸誘導体が挙げられる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が含みうる離型剤の具体例としては、ジ-(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ステアリルアルコール、ステアリン酸メチル、およびステアリン酸アミドが挙げられる。本実施形態のメタクリル酸メチル組成物において、上記の離型剤は、それぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物における離型剤の含有量は、メタクリル酸メチル組成物の全量を100質量部としたときに、例えば0.01質量部~1.0質量部とすることができる。
(ii)重合調節剤
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、メタクリル酸メチルの重合反応における重合速度を調節することができる重合調節剤を含んでいてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が含みうる重合調節剤としては、従来公知の任意好適な重合調節剤を用いることができる。このような重合調節剤としては、例えば、重合速度を低下させる方向に調節することができる化合物を用いることができる。
重合調節剤の好適な具体例としては、n-ブチルメルカプタン、n-オクチルメルカプタンなどのメルカプタン化合物、リモネン、ミルセン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、β-ピネン、α-ピネンなどのテルペノイド化合物、およびα-メチルスチレンダイマーが挙げられる。本実施形態において、重合調節剤としては、テルペノイド系化合物であるテルピノレンを用いることが好ましい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物において、上記の重合調節剤は、それぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物における重合調節剤の含有量は、メタクリル酸メチル組成物の全量を100質量部としたときに、例えば、0.001質量部~0.5質量部とすることができる。
(iii)重合開始剤
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が含みうる重合開始剤の例としては、ラジカル重合開始剤、ジアシルパーオキサイド開始剤、ジアルキルパーオキサイド開始剤、パーオキシエステル開始剤、パーカーボネート開始剤、およびパーオキシケタール開始剤が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンテン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、2-シアノ-2-プロピラゾホルムアミド、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシ-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチル-ブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、およびジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)などのアゾ化合物が挙げられる。
ジアシルパーオキサイド開始剤およびジアルキルパーオキサイド開始剤の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、およびラウロイルパーオキサイドが挙げられる。
パーオキシエステル開始剤の具体例としては、tert-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ブチルパーオキシアセテート、ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ-tert-ブチルパーオキシアゼレート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、およびtert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートが挙げられる。
パーカーボネート開始剤の具体例としては、tert-ブチルパーオキシアリルカーボネート、およびtert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートが挙げられる。
パーオキシケタール開始剤の具体例としては、1,1-ジ-tert-ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1-ジ-tert-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、および1,1-ジ-tert-ヘキシルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物において、上記の重合開始剤は、それぞれ単独で用いても、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物における重合開始剤の含有量は、メタクリル酸メチル組成物の全量を100質量部としたときに、例えば、0.01質量部~5質量部とすることができる。
(iv)紫外線吸収剤
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、製造されるポリメタクリル酸メチルおよびその成形体の耐候性をより向上させるために、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が含みうる好適な紫外線吸収剤の例としては、ベンゾフェノン紫外線吸収剤、シアノアクリレート紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤、マロン酸エステル紫外線吸収剤、およびオキサルアニリド紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤の具体例としては、2(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルベンゾフェノン、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、および2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートが挙げられる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物において、上記の紫外線吸収剤は、それぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物における紫外線吸収剤の含有量は、メタクリル酸メチル組成物の全量を100質量部としたときに、例えば、0.001質量部~1質量部とすることができる。
(v)着色剤
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、製造されるメタクリル酸メチル系重合体およびその成形体を任意好適な彩色とするための着色剤を含んでいてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が含みうる好適な着色剤の例としては、ペリレン染料、ペリノン染料、ピラゾロン染料、メチン染料、クマリン染料、キノフタロン染料、キノリン染料、アントラキノン染料(例、スミプラスト バイオレットB)、アンスラキノン染料、アスドラピリドン染料、チオインジゴ染料、クマリン染料、イソインドリノン顔料、シケトピロロピロール顔料、縮合アゾ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジオキサジン顔料、銅フタロシアニン顔料、およびキナクリドン顔料が挙げられる。
上記の着色剤は、それぞれ単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物における着色剤の含有量は、メタクリル酸メチル系組成物の全量を100質量部としたときに、例えば、1.0×10-8質量部~0.5質量部とすることができる。
2.メタクリル酸メチル組成物の製造方法
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、既に説明した成分を任意好適な従来公知の手法により、任意好適な条件で混合することにより製造することができる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、具体的には、予め設定された量で既に説明した成分を準備し、これらを、例えば、従来公知の任意好適な構成を有する熱媒体ジャケット等で一定温度に温度制御できる混合槽にて混合することで製造することができる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物は、上記製造方法で製造されたメタクリル酸メチル組成物(混合物)が、従来公知の任意好適な精製方法により精製されたものであってもよい。
このように、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物の製造方法によれば、既に説明したとおりの優れた特性を有するメタクリル酸メチル系重合体、さらにはその成形体を製造しうるメタクリル酸メチル組成物を、簡便に、低コストで製造することができる。
3.メタクリル酸メチル系重合体および成形体の製造方法
本実施形態において、メタクリル酸メチル系重合体の製造方法は、メタクリル酸メチル組成物を重合する工程を含む。本実施形態のメタクリル酸メチル組成物をメタクリル酸メチル系重合体とする方法は、特に限定されない。具体的には、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物に含まれる成分およびその含有量等を考慮して選択された任意好適な方法により、メタクリル酸メチル組成物を重合したメタクリル酸メチル系重合体とすることができる。
本実施形態において、メタクリル酸メチル組成物を重合する方法としては、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法が挙げられる。
具体的には、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物を、例えば、塊状重合法により重合することによりメタクリル酸メチル系重合体の成形体、すなわちポリメタクリル酸メチルを含む成形体を得ることができる。また、セルキャスト重合においては、メタクリル酸メチル組成物に対して所定の加熱条件による任意好適な加熱処理を行って重合反応を進行させることにより、メタクリル酸メチル組成物に含まれるメタクリル酸メチルが重合して硬化したメタクリル酸メチル系重合体の成形体を得ることができる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物(メタクリル酸メチル)を重合してメタクリル酸メチル系重合体とする方法、さらにはメタクリル酸メチル組成物を重合して成形した成形体の製造方法において、加熱条件のうちの加熱温度および加熱時間は、例えば、選択された重合調節剤、重合開始剤および/またはその他の成分の種類や含有量、メタクリル酸メチルの含有量、さらにはアクリル酸アルキルその他の含まれうる成分の濃度等を勘案して、適宜設定することができる。
本実施形態において、セルキャスト重合においては、メタクリル酸メチル系重合体、すなわち成形体を製造するにあたり、加熱温度を例えば50℃~130℃とすることができ、加熱時間は例えば1時間~20時間とすることができる。
本実施形態の重合体および成形体の製造方法における加熱処理は、加熱温度および/または加熱時間が異なる複数のステップを含む加熱処理とすることができる。
本実施形態の重合体およびその成形体は、例えば、下記ステップ1~7を含む加熱条件での加熱処理を行うことにより製造することができる。
ステップ1:常温から68℃まで20分間かけて昇温する。
ステップ2:68℃を90分間保持する。
ステップ3:68℃から64℃まで20分間かけて降温する。
ステップ4:64℃を90分間保持する。
ステップ5:64℃から123℃まで10分間かけて昇温する。
ステップ6:123℃を120分間保持する。
ステップ7:123℃から常温まで90分間かけて降温する。
本実施形態のメタクリル酸メチル系重合体および成形体の製造方法において、上記ステップ1~7をこの順に実施すれば、重合反応における発熱を抑制し、重合反応を安定して完了させることができる。
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物に対して加熱処理を行うにあたり、例えば、所定の形状の密閉空間を内部に画成できるセルを用いるセルキャスト法(セルキャスト重合)を適用することにより、所定形状の成形体を形成することができる。以下、セルキャスト法による成形体の製造方法について具体的に説明する。
セルキャスト法によりメタクリル酸メチル系重合体の成形体を製造するにあたり、まずはセルを用意する。ここでは板状体である成形体(キャスト板という場合がある。)を形成する例について説明する。
このようなセルは、少なくとも2枚の平板状部材と、この2枚の平板状部材に挟持されるように配置され、対向するように配置された2枚の平板状部材同士の間隙を密閉空間として封止することができるシール材(ガスケット)とから構成することができる。
平板状部材は、枚葉であってもよいし、ベルト状であってもよい。平板状部材は、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物によって溶解することがなく、また重合反応を阻害することがなく、加熱処理における加熱温度に十分な耐熱性を有する材料により構成すればよい。平板状部材の好適な材料の例としては、ガラス、金属が挙げられる。
シール材としては、従来公知の任意好適なシール材を用いることができる。シール材は、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物によって溶解することがなく、また重合反応を阻害することがなく、さらには加熱処理における加熱温度に十分な耐熱性を有する材料により構成すればよい。シール材の好適な具体例としては、塩化ビニル樹脂製ガスケットが挙げられる。
次いで、本実施形態のメタクリル酸メチル組成物を、上記のとおり用意されたセルにより画成される間隙(空隙)に、従来公知の任意好適な方法により注入する。
次に、セルに対して既に説明した加熱条件にて加熱処理を行う。本実施形態のメタクリル酸メチル組成物が注入されたセルに対する加熱処理の方法は特に限定されない。セルに対する加熱処理の方法は、従来公知のセルキャスト法と同様に、例えば熱風循環炉、赤外線ヒーターなどを用いてセルの外部から直接的に加熱処理する方法、セルの外側にさらに任意好適な従来公知のジャケットを設け、このジャケットに温風、温水、水蒸気のような熱媒を導入する方法とすることができる。
4.成形体の5%重量減少温度(加熱重量減少率)の測定
本実施形態において、メタクリル酸メチル系重合体の成形体の5%重量減少温度は、従来公知の熱重量測定・示差熱分析装置(例えば、日立ハイテクサイエンス(株)製「TG/DTA7200」)を用いて測定することができる。
具体的には、キャスト板等の成形体を直径または各辺の長さが0.5mm以下となるように粉砕して得られた粉砕物である試験片を用いて、熱重量測定・示差熱分析装置を用いて、不活性ガス流通下、所定のガス流量および昇温速度にて、所定温度まで昇温する加熱処理を実施し、加熱処理された試験片の重量を測定することにより、測定された重量および当初の重量に基づいて5%重量減少温度を算出することができる。
本実施形態において、成形体、すなわちメタクリル酸メチル系重合体の5%重量減少温度は、260℃~360℃であることが好ましく、290℃~330℃であることがより好ましい。
メタクリル酸メチル系重合体の5%重量減少温度が260℃未満の場合には、メタクリル酸メチル系重合体を用いて得られる成形体の外観不良が発生する場合がある。他方、メタクリル酸メチル系重合体の5%重量減少温度が330℃超の場合には、メタクリル酸メチル系重合体を用いて得られる成形体の熱分解に大きなエネルギーが必要となる場合がある。
組成物の原料としての再生メタクリル酸メチル生成物は、その単独重合体(再生メタクリル酸メチル重合体)を用いて得られる成形体の5%重量減少温度が、通常、300℃以上、好ましくは310℃以上、より好ましくは320℃以上である。上限は、通常、400℃以下、好ましくは380℃以下、より好ましくは350℃以下である。原料としての非再生メタクリル酸メチル生成物は、その単独重合体(非再生メタクリル酸メチル重合体)を用いて得られる成形体の5%重量減少温度が、通常、200℃以上、好ましくは250℃以上である。上限は、通常300℃未満、好ましくは290℃以下である。再生メタクリル酸メチル重合体の成形体の5%重量減少温度は、非再生メタクリル酸メチル重合体の成形体のそれよりも高い方が好ましく、その差は、通常、10℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上である。上限は、通常、50℃以下、好ましくは40℃以下である。
5.ガラス転移温度の測定
本実施形態において、メタクリル酸メチル系重合体の成形体のガラス転移温度は、JIS-K7121に準拠して測定されたガラス転移温度(Tmg)(℃)である。
ガラス転移温度は、従来公知の任意好適な測定機器(例えば、示差走査熱量計である日立ハイテクサイエンス(株)製「DSC7020」)を用いて測定することができる。
具体的には、キャスト板等の成形体を直径または各辺の長さが0.5mm以下となるように粉砕して得られた粉砕物である試験片を用いて、不活性ガス雰囲気下、試験片を完全に融解させた後、所定の温度プロファイルにより得られたDSC曲線に基づいて測定することができる。
本実施形態において、成形体、すなわちメタクリル酸メチル系重合体のガラス転移温度は、通常、100℃~130℃、又は105℃~125℃であり、110℃~120℃であることが好ましく、110℃~115℃であることがより好ましい。
再生メタクリル酸メチルは、その重合体(成形体)のガラス転移温度が、通常、90℃以上、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上、更により好ましくは105℃以上である。上限は、通常、130℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。非再生メタクリル酸メチルは、その重合体(成形体)のガラス転移温度は、通常、105℃以上、好ましくは110℃以上である。上限は、通常150℃以下、好ましくは140℃以下である。再生メタクリル酸メチル重合体(成形体)のガラス転移温度が、非再生メタクリル酸メチル重合体(成形体)のそれよりも低いことが好ましく、その差は、通常、2℃以上、好ましくは2.5℃以上、より好ましくは3℃以上である。上限は、通常、10℃以下、好ましくは9℃以下、より好ましくは8℃以下である。
6.黄変度の測定
本実施形態におけるメタクリル酸メチル系重合体の成形体の黄変度(YI値)は、JIS K7373に記載の方法に従って算出できる。後述の実施例では、測定する組成物を、縦10mm×横10mm×高さ45mmの石英ガラスセルに入れ、光路長を10mmとしたときの黄色度(YI値)をJIS K7373に記載の方法に従って算出している。測定には、市販の分光光度計を使用することができ、例えば以下の条件で行えばよい。算出されるYI値が小さいほど黄変が抑制されていることを示す。例えば、実施例の測定条件で測定されたYI値が0.1以下であることが好ましい。
(YIの測定条件)
光源:C光源
視野:2度
計算式:YI=(1.2769×X-1.0592×Z)/Y×100
7.重合体およびその成形体の用途
本実施形態のメタクリル酸メチル組成物の重合体およびその成形体は、光透過性、耐熱性、耐候性に優れる。よって、外部環境に曝され、さらには熱源、光源にも曝されうる、例えば照明器具、自動車用部品、看板、建材等の種々の用途に好適に適用することができる。
本発明の実施形態にかかる実施例について説明する。本発明は、以下に説明される実施例により限定されない。
<調製例1>
・再生メタクリル酸メチル生成物(回収MMA)の調製
ポリメチルメタクリレート樹脂(SUMIPEX MH、住友化学社製)を、二軸押出機(TEX-44、日本製鋼所社製)を用いて、下記の熱分解条件で熱分解(解重合)した。
熱分解されたメタクリル酸メチルを含むメタクリル酸メチル生成物を、熱交換器を用いて凝縮して、粗再生メタクリル酸メチル生成物を得た。
次いで、粗再生メタクリル酸メチル生成物を、ロータリーエバポレーター(R-300、BUCHI社製)用いて、下記の精製条件で精製して、再生メタクリル酸メチル生成物を得た。
得られた再生メタクリル酸メチル生成物に含まれる再生メタクリル酸メチルの含有量は97.3質量%であった。
(熱分解条件)
・シリンダー温度:450℃
・回転数:500rpm
・スクリューL/D:60
・樹脂供給量:40kg/hr
(精製条件)
・バス温度:50℃
・循環水温度:5℃
・圧力:90mbar以上
<調製例2>
・非再生メタクリル酸メチルの調製
反応器内でメタクリル酸とメタノールとをエステル反応させてメタクリル酸メチルを得た。
得られたメタクリル酸メチルを含むメタクリル酸メチル生成物から、抽出塔を用いて未反応のメタノールを除去し、次いで、複数の蒸留塔を用いて常法に従って精製して、非再生メタクリル酸メチル生成物を得た。非再生メタクリル酸メチル生成物に含まれる非再生メタクリル酸メチルの含有量は99.99質量%であった。
<実施例1>
・組成物1の調製
上記調製例1で得られた再生メタクリル酸メチル生成物5質量部と、上記調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物95質量部とを混合して、メタクリル酸メチル組成物(以下、単に組成物という。)1を得た。得られた組成物1は液状であった。
・組成物1’の調製
組成物1(99.83質量部)と、離型剤であるジ-(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(0.05質量部)と、重合調節剤であるテルピノレン(0.01質量部)と、重合開始剤である2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(0.08質量部)と、紫外線吸収剤である2(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(0.01質量部)とを混合して、成形体(キャスト板)形成用の組成物1’を得た。得られた組成物1’は液状であった。
・キャスト板1の作製
3.8mm厚の塩化ビニル樹脂製ガスケットが互いに対向する2枚のガラス板で挟持されており、塩化ビニル樹脂製ガスケットおよび2枚のガラス板によって密閉された間隙を画成することができるセルを準備した。
このセル内の間隙に、組成物1’を注液した。組成物1’が注液されたセルをオーブン内に設置し、下記のステップ1~ステップ7をこの順で含む加熱条件で加熱処理を行うことにより組成物1’を重合させて、メタクリル酸メチル系重合体の成形体である3mm厚、250mm角の成形体であるキャスト板1を作製した。
(加熱条件)
ステップ1:常温から68℃まで20分間かけて昇温する。
ステップ2:68℃を90分間保持する。
ステップ3:68℃から64℃まで20分間かけて降温する。
ステップ4:64℃を90分間保持する。
ステップ5:64℃から123℃まで10分間かけて昇温する。
ステップ6:123℃を120分間保持する。
ステップ7:123℃から常温まで90分間かけて降温する。
・キャスト板1の5%重量減少温度の測定
キャスト板1を直径または各辺の長さが0.5mm以下となるように粉砕して得られた粉砕物9.3mgをアルミニウム製パン(日立ハイテクサイエンス(株)製「P/N SSC000E030 Open Sample Pan」、直径5mm)上に設置した後、熱重量測定・示差熱分析装置(日立ハイテクサイエンス(株)製「TG/DTA7200」)を用いて、窒素ガス流量を200mL/分とし、昇温速度を10℃/分とする条件で、45℃から520℃まで昇温しながらその重量変化を測定したところ、粉砕物の重量は、温度が上昇するにつれて減少した。開始温度45℃における粉砕物の重量を100重量%として、粉砕物の重量が95重量%まで減少した時の温度(5%重量減少温度)を求めた。結果を表1に示す。
・キャスト板1のガラス転移温度(Tmg)の測定
メタクリル酸メチル系重合体の成形体であるキャスト板1を直径または各辺の長さが0.5mm以下となるように粉砕して得られた粉砕物を試験片として用いて、JIS-K7121に準拠して、ガラス転移温度(℃)を測定した。
ガラス転移温度を測定するための測定機器としては、具体的には、示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス(株)製「DSC7020」)を用い、窒素ガス流量を50mL/分とした。室温(23℃)から150℃まで20℃/分で昇温し(1次昇温)、150℃で5分間保持して試験片を完全に融解させた後、150℃から-35℃まで10℃/分で降温して-35℃で1分間保持し、さらに、210℃まで10℃/分で再び昇温した(2次昇温)。
上記の温度プロファイルにより得られたDSC曲線のうち、2次昇温時の階段状変化部分曲線と2本のベースライン延長線から縦軸方向に等距離にある直線との交点(中間点ガラス転移温度)をガラス転移温度(℃)とした。試験片1つあたり3点の測定を行って、平均値を算出し、これをガラス転移温度とした。結果を表1に示す。
<実施例2>
・組成物2の調製
上記調製例1で得られた再生メタクリル酸メチル生成物10質量部と、上記調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物90質量部とを混合して、組成物2を得た。得られた組成物2は液状であった。
組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にして、組成物2’を調製し、次いで、キャスト板2を作製し、5%重量減少温度と、ガラス転移温度とを測定した。結果を表1に示す。
<実施例3>
・組成物3の調製
上記調製例1で得られた再生メタクリル酸メチル生成物30質量部と、上記調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物70質量部とを混合して、組成物3を得た。得られた組成物3は液状であった。
組成物3を用いた以外は、実施例1と同様にして、組成物3’を調製し、次いで、キャスト板3を作製し、5%重量減少温度と、ガラス転移温度とを測定した。結果を表1に示す。
<実施例4>
・組成物4の調製
上記調製例1で得られた再生メタクリル酸メチル生成物50質量部と、上記調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物50質量部とを混合して、組成物4を得た。得られた組成物4は液状であった。
組成物4を用いた以外は、実施例1と同様にして、組成物4’を調製し、次いで、キャスト板4を作製し、5%重量減少温度と、ガラス転移温度とを測定した。結果を表1に示す。
<実施例5>
・組成物5の調製
上記調製例1で得られた再生メタクリル酸メチル生成物80質量部と、上記調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物20質量部とを混合して、組成物5を得た。得られた組成物5は液状であった。
組成物5を用いた以外は、実施例1と同様にして、組成物5’を調製し、次いで、キャスト板5を作製し、5%重量減少温度と、ガラス転移温度とを測定した。結果を表1に示す。
<比較例1>
・組成物C1の調製
上記調製例1で得られた再生メタクリル酸メチル生成物のみからなる液状体を組成物C1とした。
組成物C1を用いた以外は、実施例1と同様にして、組成物C1’を調製し、次いで、キャスト板C1を作製し、5%重量減少温度と、ガラス転移温度とを測定した。結果を表1に示す。
<参考例1>
・組成物R1の調製
上記調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物のみからなる液状体を組成物R1とした。
組成物R1を用いた以外は、実施例1と同様にして、組成物R1’を調製し、次いで、キャスト板R1を作製し、5%重量減少温度と、ガラス転移温度とを測定した。結果を表1に示す。
Figure 2024019097000002
上記表1から明らかなとおり、本発明の要件を充足している実施例1~5にかかるメタクリル酸メチル系重合体の成形体は、優れた耐熱性を実現することができていた。
ここで、図1~2を参照して、再生メタクリル酸メチルの割合と5%重量減少温度またはガラス転移温度との関係について説明する。
図1は再生メタクリル酸メチルの割合と5%重量減少温度との関係を示すグラフであり、図2は再生メタクリル酸メチルの割合とガラス転移温度との関係を示すグラフである。各図中の直線(破線)は、再生MMAの割合が0%である場合(参考例1)及び100%である場合(比較例1)の各値を結んだ直線である。
図1に示されるとおり、本発明の要件を充足している実施例1~5にかかるメタクリル酸メチル系重合体の成形体は、メタクリル酸メチル組成物が再生メタクリル酸メチル(再生メタクリル酸メチル生成物)を含有していたとしても、良好な5%重量減少温度を示した。
また、図2に示されるとおり、本発明の要件を充足している実施例1~5にかかるメタクリル酸メチル系重合体の成形体は、優れたガラス転移温度を実現することができていた。
図1および図2から明らかなとおり、本発明の要件を充足している実施例1~5にかかるメタクリル酸メチル系重合体の成形体によれば、5%重量減少温度とガラス転移温度とを両立させてこれらのバランスを良好にすることができていた。
5%重量減少温度については、当業者であれば、再生メタクリル酸メチルの割合が0%である場合(参考例1)及び100%である場合(比較例1)の各値は直線(図1の破線)で結んだ挙動を示すと予測するところ、実施例1~5の測定値ではいずれもこの予測を上回っており、最大で10℃を超える向上を達成できていた。また、ガラス転移温度も、当業者であれば、FOXの式から算出される予測値を考慮して、再生メタクリル酸メチルの割合が0%である場合(参考例1)及び100%である場合(比較例1)の各値は直線(図2の破線)で結んだ挙動を示すと予測するところ、実施例1~5の測定値ではいずれもこの予測を相当に上回っていた。具体的には、再生メタクリル酸メチルの割合が0%である場合及び100%である場合を除き、非再生メタクリル酸メチルと再生メタクリル酸メチルとを含む組成物において、直線よりも上回る測定値が得られる傾向にあった。この傾向は、再生MMAの割合が5~80%の組成物において、直線よりも大きく上回る測定値が得られる傾向にあった。
<実施例6~7及び比較例2>
精製時の、バス温度を60℃、圧力を170mbar以上に変更したことほかは、調製例1と同様の条件にて、再生メタクリル酸メチル生成物(再生MMA(A)、再生メタクリル酸メチルの含有量:96.7質量%)を調製した(比較例2)。再生MMA(A)と、調製例2で得られた非再生MMAとを、表2に記載の配合比で混合して、各組成物(液状)を得た(実施例6~7)。各組成物を上述の方法にて成形して得られた成形体の5%重量減少温度(以下、T5と言う)およびガラス転移温度(以下、Tmgと言う)を、上述の条件で測定した(表2)。
Figure 2024019097000003
<実施例8~10及び比較例3>
原料のポリメチルメタクリレート樹脂をPMMA廃材(照明カバー)に変更したほかは、調製例1と同様の条件にて、再生メタクリル酸メチル生成物(再生MMA(B):再生メタクリル酸メチルの含有量97.9質量%)を調製した(比較例3)。再生MMA(B)と、調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物(非再生MMA)とを、表3に記載の配合比で混合して、各組成物(液状)を得た(実施例8~10)。各組成物を上述の方法にて成形して得られた成形体のT5およびTmgを、上述の条件で測定した(表3)。
Figure 2024019097000004
<実施例11~12及び比較例4>
熱分解時のシリンダー温度を400℃に変更したほかは、調製例1と同様の条件にて、再生メタクリル酸メチル生成物(再生MMA(C)、再生メタクリル酸メチルの含有量97.8質量%)を調製した(比較例4)。再生MMA(C)と、調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物(非再生MMA)とを、表4に記載の配合比で混合して、各組成物(液状)を得た(実施例11~12)。各組成物を上述の方法にて成形して得られた成形体のT5およびTmgを、上述の条件で測定した(表4)。
Figure 2024019097000005
<実施例13及び比較例5>
熱分解時のシリンダー温度を480℃に変更したほかは、調製例1と同様の条件にて、再生メタクリル酸メチル生成物(再生MMA(D)、再生メタクリル酸メチルの含有量97.3質量%)を調製した(比較例5)。再生MMA(D)と、調製例2で得られた非再生メタクリル酸メチル生成物(非再生MMA)とを、表4に記載の配合比で混合して、各組成物(液状)を得た(実施例13)。各組成物を上述の方法にて成形して得られた成形体のT5およびTmgを、上述の条件で測定した(表5)。
Figure 2024019097000006
各試験例のT5、Tgの結果を図3、4にプロットしたところ、本願実施例1~5の再生MMAを混合したPMMA成形体(図中の●)、再生MMA(A)~(D)(それぞれ図中の□、△、*、―)を混合したPMMA成形体のT5、Tgは、参考例1(非再生MMA100%)の成型体のT5、Tmgと、比較例2のT5、比較例5のTmg(比較例2~5のT5、Tmgのうちの最高値)をそれぞれ結んだ直線(破線)よりも、いずれも高い数値を示していた。Tmg及びT5のいずれも(中でもTmg)、再生メタクリル酸メチルの割合が0%である場合及び100%である場合を除き、非再生メタクリル酸メチルと再生メタクリル酸メチルとを含む組成物において、直線よりも上回る測定値が得られる傾向にあった。この傾向は、再生MMAの割合が5~80%の組成物において、直線よりも大きく上回る測定値が得られる傾向にあった。
(組成物の保管安定性評価)
実施例1~3、比較例1及び参考例1で調製した組成物1~3及びR1に対し、下記のステップ1~ステップ7をこの順で行う保管試験を実施した。保管試験は、長期保管後の安定性を評価するため、加速条件下(80℃)で実施した。
ステップ1:圧力容器(耐圧硝子工業社製「TVS-N2型」)の下部(容器)に組成物を25mL注入する。
ステップ2:圧力容器の上部(上蓋)と下部の間にパッキンを挟み、圧力容器を密封する。
ステップ3:圧力容器上部の先端(配管)から窒素を送り、内圧が0.2MPaの状態で封入し、1分間内圧が変化しないかを確認する。
ステップ4:圧力容器上部の先端に閉止栓を取り付ける。
ステップ5:80℃に設定したオイルバスに圧力容器を入れる。
ステップ6:24時間オイルバス内で保管する。
ステップ7:24時間経過後、オイルバスから圧力容器を取り出す。
保管試験後の組成物(4mL)を、縦10mm×横10mm×高さ45mmの石英ガラスセル(大興製作所社製、T-1)に入れた。石英ガラスセルに入れた組成物を用いて、光路長を10mmとしたときの黄色度(YI値)をJIS K7373に記載の方法に従って求めた(表6)。測定は、分光光度計(日立ハイテクフィールディング社製「日立分光光度計U-4000」)を使用し、以下の条件で行った。YI値が小さいほど、保管後においても、黄色変色を抑制できていると判断できる。
(YIの測定条件)
光源:C光源
視野:2度
計算式:YI=(1.2769×X-1.0592×Z)/Y×100
Figure 2024019097000007
参考例1、比較例1の組成物R1及びC1と比較して、実施例1~3の組成物1~3は、保管試験後のYI値が低かったことから、保管後の黄色変化が抑制されていることが示された(表6)。

Claims (7)

  1. 再生メタクリル酸メチルと、非再生メタクリル酸メチルとを含有しており、
    再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%であり、非再生メタクリル酸メチルの含有量が0.5~99.5質量%である、メタクリル酸メチル組成物。
  2. 前記再生メタクリル酸メチルが、ケミカルリサイクル由来の再生メタクリル酸メチルである、請求項1に記載のメタクリル酸メチル組成物。
  3. 前記再生メタクリル酸メチルの含有量が5~40質量%であり、前記非再生メタクリル酸メチルの含有量が60~95質量%である、請求項1または2に記載のメタクリル酸メチル組成物。
  4. アクリル酸アルキルをさらに含有する、請求項1又は2に記載のメタクリル酸メチル組成物。
  5. 請求項1又は2に記載のメタクリル酸メチル組成物を重合する工程を含む、メタクリル酸メチル系重合体の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載のメタクリル酸メチル組成物を重合したメタクリル酸メチル系重合体。
  7. 再生メタクリル酸メチルに由来する構造単位と、非再生メタクリル酸メチルに由来する構造単位とを含み、再生メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が0.5~99.5質量%であり、非再生メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が0.5~99.5質量%である、メタクリル酸メチル系重合体。
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