JP2024018615A - 電気掃除機 - Google Patents
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Abstract
【課題】省電力化が可能な電気掃除機を提供する。【解決手段】電気掃除機は、モータ12と、モータ12により回転される回転清掃体11と、モータ12を制御する制御手段と、を備える。制御手段は、少なくともモータ12の所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値とに基づく算出値が所定の第一時間に亘り負荷電流値よりも小さい第一閾値以上第二閾値以下にある第一条件を満たした場合にモータ12の駆動電力を減少させる。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、モータにより回転される回転清掃体を備えた電気掃除機に関する。
従来、電気掃除機に用いられる清掃具として、回転清掃体と、この回転清掃体を回転させるモータと、を備える、いわゆるアクティブブラシ構造の吸込口体が知られている。このような吸込口体では、モータの力によって回転された回転清掃体により被掃除面から塵埃を一旦掻き上げてから吸い込むことにより、絨毯のような塵埃が絡み付きやすい被掃除面からも効率的に塵埃を除去できる。
回転清掃体は、安全性や省エネルギー性を考慮すると、吸込口体の回転清掃体が被掃除面から離れた状態で回転を抑制又は停止させることが好ましい。そこで、モータが駆動している状態で、このモータの消費電流に基づく比較値が所定の閾値を所定時間に亘り下回り続けたときにモータの駆動電力を減少させるものが知られている。
このようにモータの電流値に基づき回転清掃体の被掃除面に対する離着を判定する場合、判定に要する時間をより短くして省電力化することが求められる。また、モータの電流値は様々な要因で変動するため、回転清掃体の被掃除面に対する離着をより高精度に検出することが求められる。
本発明が解決しようとする課題は、省電力化が可能な電気掃除機を提供することである。
実施形態の電気掃除機は、モータと、モータにより回転される回転清掃体と、モータを制御する制御手段と、を備える。制御手段は、少なくともモータの所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値とに基づく算出値が所定の第一時間に亘り負荷電流値よりも小さい第一閾値以上第二閾値以下にある第一条件を満たした場合にモータの駆動電力を減少させる。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1において、1は清掃具である。清掃具1は、掃除ヘッド等とも呼ばれ、床等の被掃除面である被掃除部Fを掃除する。清掃具1は、ケース体10を備える。ケース体10には、集塵口100が形成されている。集塵口100に臨んで回転清掃体11がケース体10に回転可能に取り付けられている。回転清掃体11は、モータ12により回転されて被掃除部Fの塵埃を掻き上げる。モータ12は、図2に示す制御手段13により制御される。なお、以下、図1に示す清掃具1の前後方向は、使用者が清掃具1を使用する際の使用者から見た方向を基準とする。一般的には、使用者から離れる方向を前方向、使用者に近づく方向を後方向とする。例えば、図1に示す矢印FR方向を前方向、矢印RR方向を後方向とする。
図3に示すように、清掃具1は、電気掃除機CLに用いられる。本実施形態において、清掃具1は、電気掃除機CLの掃除機本体2に配置された電動送風機等の吸引源3の駆動により生じた負圧によって空気とともに塵埃を分離部4へと吸い込む、吸引型の電気掃除機CLに適用される。電気掃除機CLは、床走行型又はキャニスタ型、スティック型、アップライト型、ハンディ型、あるいは、自走式電気掃除機等、任意のものとしてよい。本実施形態では、電気掃除機CLは、スティック型の電気掃除機を例に挙げて説明する。また、図示される例では、清掃具1は、吸込口体又は床ブラシとも呼ばれ、管部である延長管5、あるいは、掃除機本体2に対し、ケース体10に接続された接続部である接続管14を介して機械的及び流体的に接続される。さらに、本実施形態において、吸引源3の動作又は吸引力、及び、回転清掃体11又はモータ12の回転のオンオフは、把持操作用の手元操作部6のスイッチ7の操作により使用者が設定する。掃除機本体2には、スイッチ7により設定された操作に応じて吸引源3を動作させる本体制御部8が配置されている。スイッチ7又は本体制御部8が、制御手段13と電気的に接続される。制御手段13は、清掃具1に配置されていてもよいが、本実施形態では、本体制御部8に制御手段13の少なくとも一部が組み込まれている。電気掃除機CLの電源部Bは、例えば掃除機本体2に配置される。本実施形態において、電源部Bはバッテリ又は二次電池とするが、これに限らず、商用電源等の外部電源から電力を取るコードリール装置等でもよい。
次に、制御手段13の内部構造について図1及び図2を参照して説明する。
制御手段13は、モータ12の駆動電力を可変する電力可変部130を有する。電力可変部130は、モータ12の駆動電力を無段階に変化させてもよいし、複数の段階のいずれかに変化させてもよい。本実施形態では、電力可変部130は、モータ12の駆動電力を、少なくとも複数の段階のいずれかに設定可能となっている。
電力可変部130によるモータ12の駆動電力の可変方法としては、例えば電源からモータ12への通電時間又は通電量を調整し、モータ12の駆動電力を、モータ12の通電時間に応じて設定する。一例として、電力可変部130は、モータ12への制御信号つまり印加電圧をPWM信号とし、PWM信号のデューティ比を調整することで、モータ12の駆動電力を設定する。つまり、PWM信号のデューティ比を100%とするとモータ12の駆動電力が最大となり、PWM信号のデューティ比を下げることでモータ12の駆動電力が減少され、回転清掃体11の回転速度及び回転トルクが低下するようになっている。つまり、電力可変部130は、モータ12の駆動電力を増加させる際に、デューティ比を増加させ、モータ12の駆動電力を減少させる際に、デューティ比を減少させる。本実施形態において、電力可変部130は、複数の異なるデューティ比を有し、モータ12のPWM信号のデューティ比をこれらのデューティ比のいずれかに選択的に設定することにより、モータ12の駆動電力を、複数の異なる駆動電力に設定可能となっている。
なお、制御手段13又は電力可変部130は、回転清掃体11を任意の方向に回転させるようにモータ12を制御してよい。例えば、制御手段13又は電力可変部130は、清掃具1の進行方向に拘らず回転清掃体11の回転方向が一方向に固定されるようにモータ12を制御してもよいし、清掃具1の進行方向に応じて回転清掃体11の回転方向が切り換わるようにモータ12を制御してもよい。本実施形態では、制御手段13又は電力可変部130は、回転清掃体11を被掃除部F側が前方から後方に向かう回転方向、つまり図1に示す矢印Xに示す反時計回り方向となるようにモータ12の回転方向を制御する。つまり、本実施形態において、制御手段13又は電力可変部130は、回転清掃体11が被掃除部Fを前方から後方に擦る回転方向となるようにモータ12の回転方向を制御する。すなわち、制御手段13又は電力可変部130は、モータ12の回転方向を所定の一定方向とする。本実施形態において、回転清掃体11の回転方向は、清掃具1の前進にとっては順回転又は正転、つまり清掃具1の前進を補助する方向であり、清掃具1の後進にとっては逆回転又は逆転、つまり清掃具1の後進に対してより大きい負荷を与える方向である。
また、制御手段13は、モータ12の負荷電流値を検出する電流検出部131を有する。モータ12の負荷電流値は、モータ12により回転される回転清掃体11の負荷状態を示す電流値であり、モータ12の実電流値と相関を有する。モータ12の実電流値は、例えば所定時間毎に所定回数取得した電流値の平均値である。一例として、実電流値は、N,Mを自然数として、1/N秒に一度取得した電流値のM回平均値とする。すなわち、実電流値は、取得時間T=M/N秒間の電流値の平均値である。好ましくは、Nは2以上であり、Mは1、又は、Nの真の約数、すなわちNより小さいNの約数である。本実施形態では、N=1000、M=100とし、実電流値を取得時間T=0.1秒間の電流値の平均値とする。この実電流値は、電力可変部130のPWM信号のデューティ比に大きく依存する。そのため、本実施形態において、負荷電流値は、PWM信号のデューティ比から独立させるために、実電流値を電力可変部130でのPWM信号のデューティ比で除した値として求められる。すなわち、(負荷電流値)=(実電流値)/(デューティ比)である。したがって、本実施形態の負荷電流値は、モータ12に流れる電流値から算出された値である。
また、負荷電流値は、モータ12に流れる電流値から算出された値に限らず、モータ12に流れる電流値自体でもよいし、モータ12に流れる電流値から所定値を減算した値等でもよい。この所定値は、回転清掃体11又はモータ12の回転負荷を一定又は略一定としたときの負荷電流値、例えば回転清掃体11を空転させたとき、特に清掃具1の製造時に確認のために回転清掃体11を空転させたときに検出されたモータ12の負荷電流値の半分の値とする。すなわち、以下、「負荷電流値」とは、モータ12に流れる電流値から算出された、この電流値と相関を有する値を含むものとする。また、「回転清掃体11又はモータ12の回転負荷」を単に「回転負荷」というものとする。
電流検出部131によるモータ12の電流値の検出方法としては、一例として、検出素子である抵抗値が小さい抵抗、いわゆるシャント抵抗に電流を流し、シャント抵抗の両端に発生する電位差を増幅して変換部であるA/Dコンバータに入力し、A/Dコンバータの出力を取り込む。
なお、本実施形態において、電流検出部131は、検出素子及びA/Dコンバータ等を有してモータ12に流れる電流値を取得する電流値取得部、実電流値を求める実電流値算出部、及び、負荷電流値を求める負荷電流値算出部を備えるものとして説明したが、電流値取得部、実電流値算出部、及び、負荷電流値算出部については、それぞれ別個の回路部として構成されていてもよく、それらが任意に組み合わせられて構成されていてもよく、それらの一部が他の回路部の一部をなしていてもよい。すなわち、電流検出部131は、電流値取得部、実電流値算出部、及び、負荷電流値算出部を一体的に備えるものに限定されない。
さらに、制御手段13は、メモリ等の記憶部132を有する。本実施形態において、記憶部132には、電流検出部131により検出された負荷電流値が都度記憶され、保持される。記憶部132に記憶される負荷電流値は、新たな負荷電流値を検出する度に更新されてもよいし、所定時間保持されて、新たな負荷電流値が検出される度に最も古い負荷電流値が削除されてもよい。また、記憶部132には、負荷電流値の最小値及び/又は最大値が記憶される。最小値、最大値は、所定時間保持された後、削除されてもよい。さらに、記憶部132には、各種の判定用の閾値や判定値等が記憶される。なお、以下、最小値とは、一つだけの最小の値に限るものではなく、最小の値に十分近い値、又は、変動する負荷電流値のうちの複数の極小値又はピーク値のいずれか、又は、それら極小値又はピーク値の少なくともいずれかの平均値等でもよい。同様に、最大値とは、一つだけの最大の値に限るものではなく、最大の値に十分近い値、又は、変動する負荷電流値のうちの複数の極大値又はピーク値のいずれか、又は、それら極大値又はピーク値の少なくともいずれかの平均値等でもよい。
また、制御手段13は、判定部133を有する。判定部133は、電流検出部131で検出された負荷電流値及び記憶部132に記憶された過去の負荷電流値に基づき、清掃具1又は回転清掃体11の状態を判定するとともに、この判定に応じて、電力可変部130によるモータ12の駆動電力の設定を制御する。この判定部133による判定については、後述する。
なお、モータ12及び制御手段13の電源は、清掃具1に備えられていてもよいし、掃除機本体2の電源部Bから取ってもよい。
次に、第1の実施形態の動作を説明する。
掃除の際、使用者は、手元操作部6を把持し、スイッチ7を操作することで、本体制御部8が吸引源3を動作させる。吸引源3の動作により生じた負圧が、分離部4を介して延長管5、清掃具1と作用することで、集塵口100から被掃除部の塵埃が空気とともに分離部4へと吸い込まれる。使用者は、手元操作部6により清掃具1を被掃除部F上に載置した状態で前後に交互に移動させることで、被掃除部F上の塵埃を分離部4へと順次吸い込ませていく。分離部4に吸い込まれた含塵空気は、分離部4において、塵埃が分離捕集される。塵埃が分離された空気は、吸引源3を冷却した後、掃除機本体2の外部に排出される。
また、制御手段13は、電力可変部130により清掃具1のモータ12を起動させて回転清掃体11を回転させる。回転清掃体11の回転により、被掃除部Fの塵埃が掻き上げられ、この掻き上げられた塵埃が、集塵口100に作用する負圧によって分離部4へと吸い込まれる。なお、使用者は、回転清掃体11による物体の巻き込みを防止する等、必要に応じて、スイッチ7を操作して清掃具1の回転清掃体11の回転を停止させることが可能である。
制御手段13は、モータ12の起動時の駆動電力を任意に設定してよいが、本実施形態では、一例として、モータ12の起動時すなわち回転清掃体11を始動させる際に、清掃具1が被掃除部Fに接しているか否か不明であるため、より高い安全性を考慮し、好ましくは、制御手段13は、電力可変部130によりモータ12を相対的に小さい駆動電力で起動させる。これにより回転清掃体11が低速回転する。そして、制御手段13は、モータ12の駆動電力が相対的に小さい状態で所定の増加条件を満たしたことを判定部133により判定したときに、電力可変部130によりモータ12の駆動電力を増加させ、回転清掃体11を高速回転させる。この制御を、以下、電力増加制御という。また、制御手段13は、モータ12の駆動電力が相対的に大きい状態で所定の減少条件を満たしたことを判定部133により判定したときに、電力可変部130によりモータ12の駆動電力を減少させ、回転清掃体11を低速回転又は停止させる。この制御を、以下、電力減少制御という。
上記の電力減少制御は、モータ12の回転速度を、相対的に高い状態から減少させて、回転清掃体11の回転速度又は回転トルクを小さくすることを狙った制御である。電力減少制御を実施すべき条件として、本実施形態では、(1)清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fから浮き上がった又は被掃除部Fから離れた場合、(2)清掃具1又は回転清掃体11が接している被掃除部Fの種類が木床等の回転負荷が小さいものである場合、の少なくともいずれかの場合を考慮する。本実施形態では、これらを制御手段13の電流検出部131により検出されたモータ12の負荷電流値に基づき判定部133により判定する。
上記の(1)の場合には、回転清掃体11に加わる負荷が相対的に小さいため、モータ12の負荷電流値が相対的に小さい。したがって、これらの場合には、図4に示すように、負荷電流値I(t)が小さく、かつ、負荷電流値I(t)又は負荷電流値I(t)の変動が小さい状態が所定時間以上に亘り継続すると想定される。
そこで、制御手段13は、モータ12の所定の負荷電流値が、その直前の負荷電流値と略同一又は同一である場合、負荷電流値の変動が小さいと判定する。具体的に、制御手段13は、判定部133において、電流検出部131により検出されたモータ12の所定の負荷電流値と記憶部132により記憶されたその直前の負荷電流値とに基づく算出値Cが第一時間T1に亘り第一閾値Th1以上第二閾値Th2以下にある第一条件を少なくとも満たしたと判定した場合、判定部133から電力可変部130に信号を出力してモータ12の駆動電力を低減させる、又は、相対的に小さい駆動電力に設定する電力減少制御を実施する。すなわち、本実施形態において、第一条件とは、例えば清掃具1又は回転清掃体11の被掃除部Fに対する離着を判定する離着判定条件である。つまり、本実施形態の第一条件とは、所定の第一時間T1に亘りモータ12の負荷電流値の変動が小さいことである。
本実施形態において、「所定の負荷電流値」とは、判定時から所定の短時間以内の、すなわち直近の負荷電流値等をいい、好適には最新の負荷電流値が用いられるが、これに限らず、最新の負荷電流値に対して直前の負荷電流値、すなわち記憶部132に記憶されている負荷電流値のうち最新のもの、つまり判定時から取得時間T秒前の負荷電流値でもよい。また、直前の負荷電流値とは、記憶部132に記憶されている負荷電流値のうち所定の負荷電流値に最も近い過去のもの、つまり所定の負荷電流値から取得時間T秒前の負荷電流値とするが、これに限らず、所定の負荷電流値から2T秒前あるいは3T秒前等、十分短い所定時間以内の過去の負荷電流値を用いてもよいし、所定の負荷電流値から所定時間以内の負荷電流値の平均値等、直前の複数の負荷電流値から算出された値でもよい。
また、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値とに基づく算出値Cとは、例えば所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差、及び/又は、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との比である。
第一閾値Th1及び第二閾値Th2は、負荷電流値よりも十分に小さい値であり、例えば負荷電流値の1/10程度のオーダとする。
第一閾値Th1及び第二閾値Th2は、回転負荷を一定又は略一定としたときの負荷電流値の変動に基づき設定される値である。第二閾値Th2は第一閾値Th1より大きい値である。算出値Cが所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差である場合、本実施形態において、第一閾値Th1は、負の値であり、例えば-25mA、第二閾値Th2は、正の値であり、例えば25mAとする。すなわち、この例では、第二閾値Th2は第一閾値Th1と絶対値が等しい。この場合、判定部133では、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差と、第一閾値Th1及び第二閾値Th2と、をそれぞれ直接比較してもよいし、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差の絶対値と、第一閾値Th1及び第二閾値Th2の絶対値である第一絶対値A1と、を比較してもよい。また、回転清掃体11が空転している場合、モータ12の発熱によって基本的に負荷電流値が下がると考えられるため、判定部133は、モータ12の負荷電流値の減少よりも増加に対して、より厳しい判定をしてもよい。その場合、第二閾値Th2は、第一閾値Th1の絶対値よりも小さい正の値とする。この場合、第二閾値Th2は、例えば15mAとする。
また、算出値Cが所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との比である場合、本実施形態において、第一閾値Th1は、1未満で、例えば0.97、第二閾値Th2は、1より大きく、例えば1/0.97とする。すなわち、この例では、第一閾値Th1と第二閾値Th2とは互いに逆数であり、それぞれ正の値である。この場合、判定部133では、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との比と、第一閾値Th1及び第二閾値Th2と、をそれぞれ比較してもよいし、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差の絶対値と、所定の負荷電流値又は直前の負荷電流値に(1-第一閾値Th1)を乗算した値と、を比較してもよい。また、回転清掃体11が空転している場合、モータ12の発熱によって基本的に負荷電流値が下がると考えられるため、判定部133は、モータ12の負荷電流値の減少よりも増加に対して、より厳しい判定をしてもよい。その場合、第二閾値Th2は、第一閾値Th1の逆数よりも大きい正の値とする。この場合、第二閾値Th2は、例えば1.01とする。
さらに、モータ12には吸引源3からノイズが混入することがあり、また、A/Dコンバータの精度が十分でない場合もあることから、このような場合に算出値Cが第一閾値Th1に対して僅かに小さかったり、第二閾値Th2に対して僅かに大きかったりすると、上記の(1)の判定が第一時間T1延期されることとなる。そこで、好ましくは、判定部133による算出値Cと第一閾値Th1及び第二閾値Th2との比較判定には、それぞれ余裕又は幅を持たせておく。すなわち、本実施形態では、制御手段13は、算出値Cが第一閾値Th1より小さくかつ第三閾値Th3より大きい場合、又は、第二閾値Th2より大きく第四閾値Th4未満である場合に、第一時間T1を延長する。つまり、本実施形態では、制御手段13は、第一条件を満たしていない場合でも、算出値が第三閾値Th3と第四閾値Th4との間の範囲にあれば、判定を保留する。
第三閾値Th3及び第四閾値Th4は、負荷電流値よりも十分に小さい値であり、例えば負荷電流値の1/10程度のオーダとする。第三閾値Th3は、第一閾値Th1より小さい値であり、第四閾値Th4は、第二閾値Th2より大きい値である。つまり、算出値Cが第一閾値Th1よりも僅かに小さい場合、あるいは、算出値が第二閾値Th2よりも僅かに大きい場合、制御手段13は、判定部133による判定を一時的に保留することで、実質的に第一時間T1を延長する。第一時間T1を延長する長さは、第一時間T1よりも小さい所定の単位時間とする。単位時間は、例えば取得時間Tと相関を有する十分短い時間とし、本実施形態では取得時間Tと等しいものとする。
例えば、算出値Cが所定の負荷電流値と直前の負荷電流値との差である場合、第三閾値Th3は負の値であり、-50mA、第四閾値Th4は正の値であり、50mA等とする。すなわち、この例では、第四閾値Th4は第三閾値Th3と絶対値が等しい。この場合、判定部133では、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差と、第三閾値Th3及び第四閾値Th4と、をそれぞれ直接比較してもよいし、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差の絶対値と、第三閾値Th3及び第四閾値Th4の絶対値である第二絶対値A2と、を比較してもよい。
また、算出値Cが所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との比である場合、例えば第三閾値Th3は第四閾値Th4の逆数で、それぞれ正の値とする。この場合、判定部133では、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との比と、第三閾値Th3及び第四閾値Th4と、をそれぞれ比較してもよいし、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差の絶対値と、所定の負荷電流値又は直前の負荷電流値に(1-第三閾値Th3)を乗算した値と、を比較してもよい。
第一時間T1は、実電流値又は負荷電流値の取得時間Tと相関を有する時間である。例えば、第一時間T1は、実電流値又は負荷電流値の取得時間Tの整数倍である。本実施形態において、第一時間T1は、1秒未満、例えば0.8秒とする。
但し、被掃除部F上で清掃具1が仮に静止していても、使用者が、回転清掃体11を壁際の被掃除部Fに押し付けて壁際の塵埃を掻き出すために清掃具1を被掃除部F上に固定して意図的に高負荷状態を継続させている場合、あるいは毛足が長い絨毯等の回転負荷が大きい被掃除部F上に清掃具1が静止している場合等には、回転清掃体11による除塵の効率を考慮して、電力減少制御を実施しないほうがよいことがある。そこで、好ましくは、制御手段13は、モータ12の所定の負荷電流値の大きさを加味して電力減少制御の実施の可否を決定する。
本実施形態では、制御手段13は、電流検出部131により検出されたモータ12の所定の負荷電流値が第二閾値Th2より大きい予め設定された第五閾値Th5以上であると判定部133により判定した場合、仮に算出値が第一閾値Th1以上第二閾値Th2以下の状態が第一時間T1に亘り継続したとしても、電力減少制御を実施しないようにする。本実施形態において、第五閾値Th5は、第四閾値Th4より大きい値とする。この第五閾値Th5は、清掃具1を所定温度以下に冷却した状態で回転清掃体11を空転させたときのモータ12の負荷電流値よりも大きな値とすることが望ましい。
これらの制御を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図5に示すフローチャートにおいては、算出値Cが所定の負荷電流値と直前の負荷電流値との差であり、第一閾値Th1と第二閾値Th2との絶対値が等しく、かつ、第三閾値Th3と第四閾値Th4との絶対値が等しい場合について説明する。
まず、ステップS1において、制御手段13は、判定部133において、負荷電流値I(t)が第五閾値Th5以上であるか、あるいは、算出値Cの絶対値が第二絶対値A2より大きいかを判定する。つまり、ステップS1では、制御手段13は、判定部133において、負荷電流値I(t)が第五閾値Th5以上であるか、あるいは、算出値Cが第三閾値Th3より小さいか、あるいは、算出値Cが第四閾値Th4より大きいか、を判定する。ステップS1において、負荷電流値I(t)が第五閾値Th5以上である、又は、算出値Cの絶対値が第二絶対値A2より大きいと判定した場合、つまりステップS1のYESの場合には、ステップS2において、制御手段13は、判定部133において、判定値をリセット、つまりカウンタ等の判定値を0に設定し、ステップS5に進む。これらステップS1,S2により、負荷電流値I(t)が第五閾値Th5以上である、又は、算出値Cが第三閾値Th3より小さい、又は、算出値Cが第四閾値Th4より大きい場合には、それぞれ判定部133による判定がリセットされることとなる。
ステップS1において、負荷電流値I(t)が第五閾値Th5未満であり、かつ、算出値Cの絶対値が第二絶対値A2以下であると判定した場合、つまりステップS1のNOの場合、ステップS3において、制御手段13は、判定部133において、算出値Cの絶対値が第一絶対値A1以下であるかを判定する。つまり、ステップS3では、制御手段13は、判定部133において、算出値Cが第一閾値Th1以上、かつ、第二閾値Th2以下であるか、を判定する。ステップS3において、算出値Cの絶対値が第一絶対値A1以下であると判定した場合、つまりステップS3のYESの場合には、ステップS4において、判定値を1加算し、ステップS5に進む。すなわち、ステップS1,S3,S4により、負荷電流値I(t)が第五閾値Th5未満であり、かつ、算出値Cが第一閾値Th1以上第二閾値Th2以下である場合には、判定値が1加算されることとなる。
ステップS5において、制御手段13は、判定部133において、判定値が所定の回数閾値以上であるかを判定する。ステップS5において、判定値が所定の回数閾値以上であると判定した場合、つまりステップS5のYESの場合には、ステップS6において、制御手段13は、電力減少制御を実施し、判定値を0にリセットし、ステップS1に進む。
また、ステップS5において、判定値が所定の回数閾値以上でないと判定した場合、つまりステップS5のNOの場合には、そのままステップS1に進む。
これらの判定及び制御が、取得時間T毎に実施されることで、回数閾値は第一時間T1と相関を有する値となり、本実施形態では(第一時間T1)/(取得時間T)となる。例えば、本実施形態のように、取得時間Tが0.1秒、第一時間T1が0.8秒の場合、回数閾値は8となる。
また、ステップS3において、算出値Cの絶対値が第一絶対値A1以下でないと判定した場合、つまりステップS3のNOの場合、ステップS5に進む。すなわち、ステップS1,S3により、算出値Cが第一閾値Th1より小さく、かつ、第三閾値Th3より大きい場合、又は、第二閾値Th2より大きく、かつ、第四閾値Th4未満である場合には、判定値が加算もリセットもされず、判定値の値が保持されたまま判定が進む。したがって、ステップS5での判定結果が、1回前のステップS5の判定結果と同一のまま変化がなく、ステップS1~S5の制御をもう一度繰り返す、つまり取得時間Tだけ判定が先送りされることとなるため、第一条件を判定するための第一時間T1が実質的に延長されることとなる。
さらに、上記の(2)の場合には、回転負荷が相対的に小さいことにより、モータ12の負荷電流値が相対的に小さい。また、清掃具1を後進させているときの負荷電流値は、被掃除部Fの種類に寄らず略一定であるため、過去の所定時間内の負荷電流値の最小値からの変動は、被掃除部Fによる回転負荷を反映しているものと想定される。
そこで、制御手段13は、所定の第二時間T2内のモータ12の負荷電流値の変化に基づく第二条件を満たした場合にも電力減少制御を実施する。すなわち、本実施形態において、第二条件とは、被掃除部Fによる回転負荷に基づく種類判定条件である。図示される例では、第二条件とは、被掃除部Fが、木床等の回転負荷が小さいものであるか否かを判定する被掃除部の種類判定条件である。
本実施形態において、第二条件とは、所定の第二時間T2内のモータ12の負荷電流値の変動が小さいことである。一例として、第二条件とは、少なくともモータ12の所定の負荷電流値と所定の第二時間T2内のモータ12の負荷電流値の最小値とに基づく算出値が所定の変動閾値以下であることである。
具体的に、制御手段13は、判定部133において、所定の第二時間以内の負荷電流値の最小値に対する所定の負荷電流値の差及び/又は比が所定の第一変動閾値以下であると判定した場合、判定部133から電力可変部130に信号を出力してモータ12の駆動電力を低減させる、又は、相対的に小さい駆動電力に設定する電力減少制御を実施する。この判定部133での判定には、算出値Cが所定の第六閾値以上であると判定したか否か、及び/又は、所定の負荷電流値が所定の第一閾値電流値以上及び/又は第一閾値電流値よりも大きい所定の第二閾値電流値未満であるか否かを加味してもよい。
第二時間T2は、実電流値又は負荷電流値の取得時間Tと相関を有する時間である。例えば、第二時間T2は、実電流値又は負荷電流値の取得時間Tの整数倍である。本実施形態において、第二時間T2は、一般的な使用者が清掃具1の後進を開始してから停止又は再度前進するまでの時間以上に設定される。一般的な使用者による清掃具1の移動速度は、JIS等の所定の規格に規定されているように、0.5m/秒であり、一般的な使用者が清掃具1の前進を開始してから停止するまでの時間は、0.8~1秒程度、清掃具1の後進を開始してから停止又は再度前進するまでの時間は、1.5~2秒程度である。本実施形態において、制御手段13は、判定部133による上記の第一時間T1を用いた判定は短時間で行えるため、第二時間T2は、第一時間T1よりも長い時間とし、上記の(2)の判定に要する時間を、上記の(1)の判定に要する時間よりも長く取ることで、判定精度を向上するとともに、絨毯等の回転負荷が大きい被掃除部Fにおいてモータ12の回転数すなわち回転清掃体11の回転数を低下させることを抑制することが好ましい。好ましくは、第二時間T2は、所定の閾値時間と等しく、本実施形態において、例えば2.0秒とする。
第一変動閾値及び第六閾値は、それぞれ負荷電流値よりも十分に小さい値であり、例えば負荷電流値の1/10程度のオーダとする。
これに限らず、被掃除部Fの種類は、画像あるいは接触抵抗等の被掃除部Fを示す情報の取得に基づき被掃除部Fの種類を判定する既知の種類判定手段により判定してもよい。
また、本実施形態では、上記の(1)の場合の第一条件に加えて、さらに第二条件を満たしたときに、制御手段13が電力減少制御を実施してもよい。
なお、本実施形態において、電力減少制御における「モータ12の駆動電力を減少させる」又は「相対値に小さい駆動電力に設定する」とは、制御手段13が、電力可変部130により、モータ12の駆動電力を0以上の所定の第一駆動電力に設定することを言う。第一駆動電力とは、電力可変部130で設定可能な複数の駆動電力のうち相対的に小さいほうの駆動電力、あるいは、回転清掃体11に使用者が触れても安全な小さい回転数となる駆動電力等である。
上記の(1)及び(2)において、第一駆動電力は、それぞれ同一でもよいが、好ましくは異なっている。上記の(1)の場合、被掃除部Fから清掃具1又は回転清掃体11が離れていることが想定されるため、回転清掃体11の回転数をより低減させ、仮に回転清掃体11に触れても安全な回転数とすることが好ましい。そこで、上記の(1)の場合の判定結果に応じて設定される一の第一駆動電力は、上記の(2)の判定結果に応じて設定される他の第一駆動電力よりも小さい。例えば、電力可変部130は、上記の(1)の判定結果に応じて設定される一の第一駆動電力用のPWM信号のデューティ比を20%とし、上記の(2)の判定結果に応じて設定される他の第一駆動電力用のPWM信号のデューティ比を40%あるいは30%等とする。
したがって、仮にモータ12の駆動電力が一の第一駆動電力の状態で第一条件を満たした場合、及び、モータ12の駆動電力が他の第一駆動電力の状態で第二条件を満たした場合には、モータ12の駆動電力はそのまま維持されることとなる。また、モータ12の駆動電力が他の第一駆動電力の状態で第一条件を満たした場合には、モータ12の駆動電力はさらに低減されることとなる。
その他、回転清掃体11が物体を巻き込んだ場合、あるいは、モータ12が過熱した場合にも、電力減少制御を実施してもよい。特に、回転清掃体11が物体を巻き込んだ場合には、モータ12の駆動電力を0に低減させてもよい。これらの場合も、モータ12の負荷電流値、及び、所定時間内における負荷電流値の変化を用いて判定してもよい。
一方、上記の電力増加制御は、モータ12の回転速度を、相対的に低い状態から増加させて、回転清掃体11の回転速度又は回転トルクを大きくすることを狙った制御である。電力増加制御を実施するための条件としては、任意の条件としてよいが、本実施形態では、掃除時に清掃具1が被掃除部Fに接した状態で前後に往復させる動作に着目し、この往復動作の少なくとも一部をモータ12の負荷電流値に基づき検出したときに制御手段13が電力増加制御を実施する。
すなわち、使用者が清掃具1を前方に押して清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fに接した状態で前進する場合、清掃具1に下方への荷重が加わることで回転清掃体11が被掃除部Fに押し付けられるため、図6に示すように、負荷電流値I(t)が被掃除部Fの種類に応じて増加する。他方、使用者が清掃具1を後方に引いて清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fに接した状態で後進する場合には、清掃具1に接続管14を介して斜め上方への引っ張り力が作用することで回転清掃体11が被掃除部Fへの押し付けが緩和されるため、負荷電流値I(t)が減少する。さらに、使用者が清掃具1を被掃除部F上で停止させている場合には、負荷電流値が、清掃具1の前進時より小さく後進時より大きい。
そのため、制御手段13は、判定部133により、電流検出部131により検出されたモータ12の所定の負荷電流値が所定の第二時間T2以内に少なくとも増加した第三条件を満たしたと判定した場合、判定部133から電力可変部130に信号を出力してモータ12の駆動電力を増加させる、又は、相対的に大きい駆動電力に設定する。好ましくは、制御手段13は、判定部133により、電流検出部131により検出されたモータ12の所定の負荷電流値が所定の第二時間T2以内に少なくとも増加した後に減少した第三条件を満たしたと判定した場合、特に本実施形態では、制御手段13は、判定部133により、電流検出部131により検出されたモータ12の所定の負荷電流値が所定の第二時間T2以内に少なくとも増加した後に減少しさらに増加した第三条件を満たしたと判定した場合、判定部133から電力可変部130に信号を出力してモータ12の駆動電力を増加させる、又は、相対的に大きい駆動電力に設定する。
具体的に、制御手段13は、判定部133において、過去の第一所定時間以内の負荷電流値の最小値に対する所定の負荷電流値の差及び/又は比が所定の第二変動閾値以上であると判定した場合に、負荷電流値が増加したと判定する。この判定部133における電流増加の判定には、算出値Cが所定の第七閾値以上であると判定したか否か、及び/又は、所定の負荷電流値が所定の第三閾値電流値以上であるか否かを加味してもよい。
また、制御手段13は、判定部133において、過去の第二所定時間以内の負荷電流値の最大値に対する所定の負荷電流値の差及び/又は比が所定の第三変動閾値以下であると判定した場合に、負荷電流値が減少したと判定する。この判定部133での判定には、算出値Cが所定の第八閾値以上であると判定したか否か、及び/又は、所定の負荷電流値が所定の第四閾値電流値以上及び/又は第四閾値電流値よりも大きい所定の第五閾値電流値未満であるか否かを加味してもよい。
第一所定時間と第二所定時間とは、異なっていてもよいし同一でもよい。第一所定時間及び第二所定時間は、それぞれ第二時間T2よりも短く、かつ、第一所定時間と第二所定時間との和は第二時間T2以下である。例えば、本実施形態において、第一所定時間及び第二所定時間は、それぞれ1.0~2.0秒とする。
第二変動閾値及び第三変動閾値、第七閾値及び第八閾値は、それぞれ負荷電流値よりも十分に小さい値であり、例えば負荷電流値の1/10程度のオーダとする。例えば、第二変動閾値と第三変動閾値とは、過去の第一所定時間以内の負荷電流値の最小値と過去の第二所定時間以内の負荷電流値の最大値とに対する所定の負荷電流値の差に対する閾値の場合、互いに絶対値が等しく、符号が逆、つまり第二変動閾値が正、第三変動閾値が負の値とし、過去の第一所定時間以内の負荷電流値の最小値と過去の第二所定時間以内の負荷電流値の最大値とに対する所定の負荷電流値の比に対する閾値の場合、互いに逆数等とする。
そして、本実施形態では、制御手段13は、判定部133が、モータ12の負荷電流値が増加したか否かを判定する増加待機状態から、モータ12の負荷電流値が増加したことを検出すると、モータ12の負荷電流値が減少したか否かを判定する減少待機状態となり、減少待機状態から、モータ12の負荷電流値が減少したことを検出すると、モータ12の負荷電流値が増加したか否かを判定する再増加待機状態となり、再増加待機状態からモータ12の負荷電流値が増加したことを検出すると、電力増加制御を実施する。
なお、本実施形態において、電力増加制御における「モータ12の駆動電力を増加させる」又は「相対値に大きい駆動電力に設定する」とは、制御手段13が、電力可変部130により、モータ12の駆動電力をデューティ100%以下の所定の第二駆動電力に設定することを言う。第二駆動電力とは、電力可変部130で設定可能な複数の駆動電力のうち相対的に大きいほうの駆動電力であり、第一駆動電力よりも大きい。本実施形態では、電力可変部130は、第二駆動電力用のPWM信号のデューティ比を例えば100%とする。したがって、仮にモータ12の駆動電力が第二駆動電力の状態で第三条件を満たした場合には、モータ12の駆動電力はそのまま維持されることとなる。
但し、判定部133によりモータ12の所定の負荷電流値の増減を判定している第二時間T2以内に、第一条件が満たされたと判定した場合には、制御手段13は電力減少制御を優先して実施し、モータ12の所定の負荷電流値の増減の判定を初期化してキャンセルする。
すなわち、上記の(1)の判定は、モータ12の駆動電力に拘らず実施される。つまり、モータ12の駆動電力が第一駆動電力に低減されていても、上記の(1)の判定は実施される。
上記の電力減少制御及び電力増加制御によるモータ12の状態遷移を図7に示す。図示される例では、運転開始後のモータ12の起動時には、モータ12は相対的に小さい駆動電力で駆動されて低速回転状態となる。なお、他の例として、モータ12は、第一駆動電力等で起動させて高速回転状態としてもよい。低速回転状態から第三条件を満たした場合には電力増加制御により高速回転状態、つまり第二駆動電力による駆動状態に遷移する。また、高速回転状態から第一条件及び/又は第二条件を満たした場合には、電力減少制御により低速回転状態、つまり第一駆動電力による駆動状態に遷移したり、停止状態に遷移したりする。さらに、低速回転状態において、減少待機状態及び再増加待機状態中に第一条件が満たされた場合には、増加判定及び減少判定がキャンセルされて、電力増加制御の初期状態である増加待機状態に遷移する。したがって、清掃具1は、絨毯等の回転負荷が大きい被掃除部F上で掃除動作をしているときに、モータ12の駆動電力がデューティ比100%の第二駆動電力でモータ12及び回転清掃体11が高速回転し、木床等の回転負荷が小さい被掃除部F上で掃除動作をしているときに、モータ12の駆動電力がデューティ比40%あるいは30%の一の第一駆動電力でモータ12及び回転清掃体11が中速回転又は低速回転し、木床等の回転負荷が小さい被掃除部F上で静止しているときに、モータ12の駆動電力がデューティ比20%の他の第一駆動電力でモータ12及び回転清掃体11が低速回転する。運転終了時には、モータ12の駆動電力がデューティ比0%となってモータ12及び回転清掃体11が回転停止する。
さらに、制御手段13は、好ましくは、モータ12の起動と、モータ12の駆動電力の変更、つまり電力増加制御あるいは電力減少制御と、の少なくともいずれかの後の一定時間、少なくともモータ12の駆動電力の変更に関する処理をしない。ここで、駆動電力の変更に関する処理をしない、とは、モータ12の負荷電流値を測定しない、モータ12の駆動電力の増加又は減少の判定をしない、モータ12の駆動電力を増加又は減少させない、のうちの少なくともいずれかを意味する。最も簡単な例としては、制御手段13は、モータ12の起動後と、モータ12の駆動電力の変更後、つまり電力増加制御後あるいは電力減少制御後に、一定時間処理を待機する。
このように、第1の実施形態によれば、少なくともモータ12の所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値とに基づく算出値Cが所定の第一時間T1に亘り負荷電流値よりも小さい第一閾値Th1以上第二閾値Th2以下にある第一条件を満たした場合に、制御手段13がモータ12の駆動電力を減少させるため、例えば清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fから離れている状態等の、モータ12の駆動電力を低下させたい状態を短時間で検出して駆動電力を素早く低下させることができるので、省電力化が可能になる。
つまり、清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fから離れると回転清掃体11が空転状態となるため、被掃除部F上、特に木床等の回転負荷が小さい被掃除部F上に清掃具1を載置する場合よりもモータの負荷電流値が下がり、かつ、負荷電流値の変動は、木床や絨毯等の被掃除部F上を掃除する際に比べて顕著に小さくなる。よって、本実施形態では、負荷電流値の変化が極めて少ない状態が所定時間継続した場合は、清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fから離れているものと想定して、制御手段13がモータ12の駆動力を低下させ、回転清掃体11の回転トルクを低減させることができる。本実施形態では、制御手段13が、モータ12の所定の負荷電流値と直前の負荷電流値とを比較しているため、過去の所定時間の負荷電流値の最大値や最小値等と比較する場合よりも判定を短時間で実施できるだけでなく、負荷電流値を記憶する記憶部132も過大なものが不要な、簡素な構成である。また、清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fから離れていることを検出してモータ12の駆動電力を低下させるための安全装置が不要であり、清掃具1を軽量化して簡素に構成できるとともに、安全性の確保と掃除性能とを両立できる。
モータ12の負荷電流値には、モータ12の個体差、例えば巻線抵抗の偏差、特に電力を回転エネルギーに変換する効率のばらつきや温度、モータ12により回転される回転清掃体11の汚れ、毛絡み、被掃除部Fの種類や清掃具1の使い方等の条件に起因する要因が含まれるため、算出値Cを、所定の負荷電流値から直前の負荷電流値を減算した値とすることで、これら要因に起因する負荷電流値のばらつきを抑制でき、この算出値Cを用いることにより制御手段13の判定精度が向上する。
この場合、第一閾値Th1を負の値とし、第二閾値Th2を第一閾値Th1と絶対値が等しい正の値とすることで、算出値Cの絶対値を第一閾値Th1及び第二閾値Th2の絶対値である第一絶対値A1と比較するだけで、算出値Cと第一閾値Th1及び第二閾値Th2とをそれぞれ比較することが可能となるため、算出値Cと第一閾値Th1及び第二閾値Th2とをそれぞれ比較する場合よりも、制御手段13による比較判定処理を軽減できる。
あるいは、算出値Cを、所定の負荷電流値を直前の負荷電流値で除した値とすることで、モータ12のばらつきや温度あるいは回転清掃体11の汚れ、毛絡み、被掃除部Fの種類や清掃具1の使い方等の条件に起因する負荷電流値のばらつきを抑制でき、この算出値Cを用いることにより制御手段13の判定精度が向上する。
この場合、第二閾値Th2を、第一閾値Th1の逆数とすることで、算出値Cに代えて、所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値との差の絶対値と、所定の負荷電流値又は直前の負荷電流値に(1-第一閾値Th1)を乗算した値と、を比較するだけで、算出値Cと第一閾値Th1及び第二閾値Th2とをそれぞれ比較することが可能となるため、算出値Cと第一閾値Th1及び第二閾値Th2とをそれぞれ比較する場合よりも、制御手段13による比較判定処理を軽減できる。
また、算出値Cが第一閾値Th1より小さく、かつ、第一閾値Th1より小さい第三閾値Th3より大きい場合、又は、第二閾値Th2より大きく、かつ、第二閾値Th2より大きい第四閾値Th4未満である場合に、制御手段13が第一時間T1を延長することで、電流検出部131の検出精度、吸引源3からのノイズ等の外的要因に起因すると考えられる程度に負荷電流値の変化が小さい場合には、判定を保留し、一時的な電流変化が収まるのを待ってから判定を続行することで、判定をキャンセルする場合と比較して、判定の遅延を最小限に抑制できる。
制御手段13は、所定の負荷電流値が第二閾値Th2より大きい第五閾値Th5以上である場合に、モータ12の駆動電力を減少させる制御を実施しないことで、例えば使用者が、回転清掃体11を壁際の被掃除部Fに押し付けて壁際の塵埃を掻き出すために清掃具1を被掃除部F上に固定して意図的に高負荷状態を継続させていることが想定される場合、あるいは、回転負荷が大きい絨毯等の被掃除部Fに清掃具1を静止させている場合には、モータ12の駆動電力を低下させないように制御でき、回転清掃体11のトルクを確保し、ごみ取れを確保できる。
制御手段13は、第一時間T1よりも長い所定の第二時間T2内の負荷電流値の変化に基づく第二条件を満たしたときにモータ12の駆動電力を減少させるので、第一条件の判定よりも長い時間を掛けて負荷電流値の変化に基づく第二条件によって被掃除部Fの種類を判定可能となる。そのため、清掃具1又は回転清掃体11の被掃除部Fに対する離着については比較的短い第一時間T1で高速に判定し、駆動電力を素早く低減して回転清掃体11の回転トルクを低下させることが可能であるとともに、被掃除部Fの種類については第一時間T1よりも長い第二時間T2を利用して時間を掛けることで判定精度を向上でき、モータ12の駆動電力を低下させることが好ましくない絨毯等の回転負荷が大きい被掃除部Fに対しモータ12の駆動電力を低下させてしまうことを抑制できる。
制御手段13は、所定の負荷電流値が所定の第二時間T2以内に少なくとも増加した第三条件を満たしたとき、好ましくは所定の負荷電流値が所定の第二時間T2以内に少なくとも増加した後減少した第三条件を満たしたとき、本実施形態では第二時間T2以内に増加した後減少しさらに増加した第三条件を満たしたときにモータ12の駆動電力を増加させることで、例えば使用者が清掃具1を被掃除部Fに載置した状態で前後に移動させたことを所定の負荷電流値の変動に応じて検出可能となる。そのため、モータ12が低い駆動電力で駆動されている状態で、この動作の検出に応じてモータ12の駆動電力を増加させることによって、掃除具1を被掃除部Fに接した状態で前後に移動させる掃除操作に応じて、清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fに対する離着を検出する安全装置等を用いることなく、回転清掃体11の回転トルクを容易に増加させることができる。
このとき、第二時間T2以内に第一条件を満たした場合には、清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fに対して離れた状態で使用者が回転清掃体11に触れた、あるいは回転清掃体11に触れた後回転清掃体11を離した状態であると想定される。そのため、この場合には、所定の負荷電流値の増減の判定をキャンセルすることで、その後使用者が仮に再度回転清掃体11に触れたとしても、制御手段13がモータ12の駆動電力を増加させることがなく、回転清掃体11の回転トルクを低いまま保って安全性をより高く保つことができる。
上記の清掃具1を備えることで、省電力、かつ、簡素な構成で、安全性と掃除性能とを両立可能な電気掃除機CLを提供できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
次に、第2の実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態において、清掃具1は、清掃具1又は回転清掃体11の被掃除部Fに対する離着を検出する安全装置9を備えている。安全装置9は、被掃除部Fに対する離着を被掃除部Fに対する離着に応じて直接検出する既知のものである。制御手段13は、安全装置9が被掃除部Fから離れたことを検出したことに応じて、電力減少制御を実施する。この場合、第1の実施形態のように、モータ12の負荷電流値を用いて、清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fから離れていることを検出しなくてもよい。
そこで、本実施形態では、モータ12の負荷電流値を用いて清掃具1が、木床等の回転負荷が小さい被掃除部Fに接した状態で静止している場合を検出する。すなわち、清掃具1が木床等の回転負荷が小さい被掃除部Fに接した状態で静止している場合、モータ12の負荷電流値が小さく、かつ、負荷電流値又は負荷電流値の変動が小さい状態が所定時間以上に亘り継続すると想定される。
そのため、第1の実施形態と同様に、モータ12の所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値とに基づく算出値Cが所定の第一時間T1に亘り負荷電流値よりも小さい第一閾値Th1以上第二閾値Th1以下にある第一条件を満たした場合に、制御手段13がモータ12の駆動電力を第一駆動電力に減少させる、又は、相対的に小さい第一駆動電力に設定する電力減少制御を実施する。すなわち、本実施形態において、第一条件とは、回転負荷が小さい被掃除部Fにおける静止判定条件である。
第一時間T1、第一閾値Th1及び第二閾値Th2は、第1の実施形態と同一でもよいし異なっていてもよい。例えば、本実施形態の場合、清掃具1又は回転清掃体11の被掃除部Fに対する離着の判定は主として安全装置9に任せ、木床等の回転負荷が小さい被掃除部Fに接した状態で静止しているか否かを判定するため、安全性の確保のための短時間での判定が基本的に不要であり、第一時間T1は、第1の実施形態よりも長くして、判定精度を向上している。一例として、第一時間T1は、1.5秒とする。また、第一閾値Th1及び第二閾値Th2は、第1の実施形態と同一である。
このように、本実施形態によれば、少なくともモータ12の所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値とに基づく算出値Cが所定の第一時間T1に亘り負荷電流値よりも小さい第一閾値Th1以上第二閾値Th2以下にある第一条件を満たした場合に、制御手段13がモータ12の駆動電力を減少させる等、第1の実施形態と同様の構成を有するため、例えば清掃具1が木床等の回転負荷が少ない被掃除部F上で静止している状態等の、モータ12の駆動電力を低下させたい状態を短時間で検出して駆動電力を素早く低下させることができるので、省電力化が可能になる等、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、電力増加制御については、清掃具1又は回転清掃体11が被掃除部Fに接しているか否かの判定を主として安全装置9に任せているため、制御手段13は、図8及び図9に示すように、電流検出部131により検出されたモータ12の所定の負荷電流値I(t)が所定の第二時間T2以内に増加する第三条件を満たしたと判定した場合、好ましくは電流検出部131により検出されたモータ12の所定の負荷電流値I(t)が所定の第二時間T2以内に増加した後減少する第三条件を満たしたと判定した場合、判定部133から電力可変部130に信号を出力してモータ12の駆動電力を増加させる、又は、相対的に大きい駆動電力に設定する。また、モータ12の負荷電流値I(t)が所定の負荷電流閾値IThを超えていることを、判定のさらなる条件としてもよい。負荷電流値が増加したか否かの判定は、第1の実施形態と同一でもよいし、異なっていてもよい。すなわち、第二変動閾値は、第1の実施形態と同一でもよいし、異なっていてもよい。そのため、モータ12の所定の負荷電流値が所定の第二時間T2以内に増加した後減少しさらに増加することを検出する第1の実施形態と比較して、第三条件の判定に要する時間が短くなり、素早くモータ12の駆動電力すなわち回転清掃体11の回転数を増加させることができる。
なお、各実施形態において、電気掃除機CLは、吸引源3により負圧又は吸引力を生じさせるものに限らず、回転清掃体11の回転により塵埃を分離部4に掻き上げて集積するものでもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11 回転清掃体
12 モータ
13 制御手段
CL 電気掃除機
12 モータ
13 制御手段
CL 電気掃除機
Claims (9)
- モータと、
該モータにより回転される回転清掃体と、
前記モータを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、少なくとも前記モータの所定の負荷電流値とその直前の負荷電流値とに基づく算出値が所定の第一時間に亘り前記負荷電流値よりも小さい第一閾値以上第二閾値以下にある第一条件を満たした場合に前記モータの駆動電力を減少させる
ことを特徴とする電気掃除機。 - 前記算出値は、前記所定の負荷電流値から前記直前の負荷電流値を減算した値である
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。 - 前記第一閾値は負の値であり、前記第二閾値は前記第一閾値と絶対値が等しい正の値である
ことを特徴とする請求項2記載の電気掃除機。 - 前記算出値は、前記所定の負荷電流値を前記直前の負荷電流値で除した値である
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。 - 前記第二閾値は、前記第一閾値の逆数である
ことを特徴とする請求項4記載の電気掃除機。 - 前記制御手段は、前記算出値が前記第一閾値より小さく、かつ、前記第一閾値より小さい第三閾値より大きい場合、又は、前記第二閾値より大きく、かつ、前記第二閾値より大きい第四閾値未満である場合に前記第一時間を延長する
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。 - 前記制御手段は、前記所定の負荷電流値が前記第二閾値より大きい第五閾値以上である場合に、前記モータの駆動電力を減少させる制御を実施しない
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。 - 前記制御手段は、前記第一時間よりも長い所定の第二時間以内の前記負荷電流値の変化に基づく第二条件を満たしたときに前記モータの駆動電力を減少させる
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。 - 前記制御手段は、前記所定の負荷電流値が前記第一時間よりも長い所定の第二時間以内に少なくとも増加した第三条件を満たしたときに前記モータの駆動電力を増加させるものであって、前記第二時間以内に前記第一条件を満たした場合には、前記所定の負荷電流値の増減の判定をキャンセルする
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
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