JP2024017085A - 無電解めっきの前処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スミアの除去と、被めっき面の表面粗さの制御とを両立できる技術の提供。【解決手段】絶縁層2と配線層とが積層された多層配線基板の形成における無電解めっきの前処理方法であって、ビア4が形成される前の絶縁層2の表面に、該表面をデスミア液から保護する保護膜3を形成する保護膜形成工程S2と、デスミア液を用いて、ビア4の形成で生じたスミア5を除去するデスミア処理工程S4と、デスミア処理工程の前あるいは後に、保護膜3の表面を粗面化する粗面化処理工程S5と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、絶縁層と配線層とが積層された多層配線基板の形成における無電解めっきの前処理方法に関する。
配線基板(プリント配線基板)は、例えば、半導体パッケージにおいて半導体素子などの電子部品を実装するためなどに広く用いられる。近年における電子機器のさらなる小型化やさらなる高機能化に対応するべく、配線基板には、回路のさらなる微細化、さらなる高密度化、高周波信号の高速伝送への対応、などが求められる。
回路の高密度化への要求に応じるための技術として、ビルドアップ法が知られている。ビルドアップ法は、コア基材の一方あるいは両方の表面に、絶縁層および配線層を交互に積層して形成することによって、多層配線基板(ビルドアップ基板)を形成するものである。
ビルドアップ法において、絶縁層の上に配線層を形成する処理は、具体的には例えば次のようにして行われる。まず、絶縁層にレーザなどを用いてビアが形成される。続いて、ビアが形成される際に発生したスミア(樹脂残渣)を除去する処理(デスミア処理)が行われる。デスミア処理は、具体的には例えば、過マンガン酸カリウムなどをデスミア液として用い、その酸化作用でビアの底面などに残存しているスミアを溶解して除去することによって行われる。その後、無電解めっきによって絶縁層の上に薄いめっき層(シード層)が形成される。そして、非配線部分を覆うレジストパターンなどが形成された上で、シード層を陰極として電解めっきが行われる。この電解めっきによって、配線層(配線回路)が形成されるとともに、ビアが埋められて層間の導通がとられる。
WO2013/042582号明細書
ところで、めっき層(めっき皮膜)と、被めっき面である絶縁層の表面との密着力を高めるためには、絶縁層の表面を粗面化することが有効である。すなわち、絶縁層に適度な表面粗さが形成されることによって、アンカー効果による密着力の向上が期待できる。
従来においては、デスミア処理が、その本来の目的であるスミアの除去に加えて、絶縁層の表面を粗面化する役割も担っていた。すなわち、デスミア処理において、デスミア液で絶縁層の表面を僅かにエッチングして該表面を粗面化することによって、絶縁層とめっき層との密着力を向上させていた。
ところが、このような従来の手法においては、デスミア処理の本来の目的であるスミアの除去を十分に行おうとすると、デスミア液による絶縁層の深さ方向へのエッチングが過剰に進行してしまう、すなわち、絶縁層の表面の粗面化が過剰に進行してしまう、という問題があった。粗面化が過剰に進行して絶縁層の表面が大きく荒れてしまうと、絶縁層とめっき層との界面付近にいわゆる弱い境界層(WBL層:Weak Boundary Layer)が形成されて、めっき層の剥離が生じやすくなってしまう。つまり、絶縁層の表面粗さが適正範囲を超えてしまうと、絶縁層とめっき層との密着力は逆に低下してしまう。
特に、近年においては、被めっき面が大きく荒れることによって生じる別の問題も顕在化している。第1に、被めっき面が大きく荒れると、高周波信号の高速伝送に不利となる。すなわち、高速伝送を担保するためには、伝送損失を小さく抑える必要があるところ、高周波信号の伝送損失(具体的には導体損失)は、表皮効果のために、配線層が形成される面(すなわち、被めっき面)の表面粗さの影響を大きく受け、被めっき面の表面粗さが大きいほど、伝送損失が増大してしまう。第2に、被めっき面の表面粗さが、配線層における配線パターンのサイズ(パターン幅)に比べて無視できないほど大きいと、配線パターンが倒壊する可能性が高まってしまう。つまり、被めっき面に許容される表面粗さは、回路の微細化が進むにつれて小さくなり、回路の微細化に対応するためには、被めっき面の表面粗さを小さく抑える必要がある。
これらの問題を回避するために、例えば、デスミア液を作用させる時間を短くする、デスミア液の組成、濃度などを調整する、などといった形でデスミア処理の条件を制限することによって、デスミア処理で絶縁層の表面が大きく荒れないようにすることが考えられる。しかしながら、多くの場合、絶縁層の表面が大きく荒れないようにデスミア処理の条件を制限することは、スミアの除去性能を多少なりとも低下させることを意味している。すなわち、絶縁層の表面が大きく荒れないようにデスミア処理の条件を制限したために、デスミア処理の本来の目的であるスミアの除去が達成されず、スミアが残留してしまうおそれがある。
本開示は、スミアの除去と、被めっき面の表面粗さの制御とを両立できる技術の提供を目的とする。
第1の態様は、絶縁層と配線層とが積層された多層配線基板の形成における無電解めっきの前処理方法であって、ビアが形成される前の前記絶縁層の表面に、該表面をデスミア液から保護する保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記デスミア液を用いて、ビアの形成で生じたスミアを除去するデスミア処理工程と、前記デスミア処理工程の前あるいは後に、前記保護膜の表面を粗面化する粗面化処理工程と、を備える。
第2の態様は、第1の態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記粗面化処理工程を、前記デスミア処理工程の後に行う。
第3の態様は、第1の態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記粗面化処理工程を、前記デスミア処理工程の前に行う。
第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記粗面化処理工程において、前記デスミア液とは異なる薬液である粗面化液を用いて、前記保護膜の表面を粗面化する。
第5の態様は、第4の態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記保護膜の前記デスミア液に対するエッチング耐性が、前記保護膜の前記粗面化液に対するエッチング耐性よりも高い。
第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記デスミア処理工程によって生じる前記保護膜の表面粗さの変化幅が、前記粗面化処理工程によって生じる前記保護膜の表面粗さの変化幅よりも小さい。
第7の態様は、第1から第6のいずれかの態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記粗面化処理工程によって生じる前記保護膜の表面粗さの変化幅が、前記保護膜が形成されないとした場合に前記デスミア処理工程によって生じる前記絶縁層の表面粗さの変化幅よりも小さい。
第8の態様は、第1から第7のいずれかの態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記粗面化処理工程において、次亜塩素酸ナトリウムを含む薬液を粗面化液として用いて、前記保護膜の表面を粗面化する。
第9の態様は、第1から第8のいずれかの態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記デスミア処理工程と前記粗面化処理工程とを経た後の前記保護膜の表面粗さが、算術平均粗さで、0.02μm以上、かつ、0.1μm以下である。
第10の態様は、第1から第9のいずれかの態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記保護膜の比誘電率が、3.5以下である。
第11の態様は、第1から第10のいずれかの態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記保護膜が、クロロプレンゴム、軟質塩化ビニル、硬質塩化ビニル、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、および、メチルペンテンのうちから選択された1以上の物質を含んで形成される。
第12の態様は、第11の態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記保護膜が、クロロプレンゴムを含んで形成される。
第13の態様は、第1から第12のいずれかの態様に係る無電解めっきの前処理方法であって、前記保護膜の前記デスミア液に対するエッチング耐性が、前記絶縁層の前記デスミア液に対するエッチング耐性よりも高い。
第1の態様によると、保護膜形成工程が行われることによって、絶縁層の表面に、該表面をデスミア液から保護する保護膜が形成される。したがって、絶縁層の表面が大きく荒らされないようにデスミア処理の条件を制限する必要がなく、デスミア処理でスミアを十分に除去することができる。一方、絶縁層の表面に形成された保護膜の表面は被めっき面としての役割も担うところ、ここでは、保護膜の表面を粗面化する粗面化処理工程が行われるので、被めっき面である保護膜の表面の表面粗さを制御することができる。つまり、スミアの除去と、被めっき面の表面粗さの制御とを両立することができる。
多層配線基板の製造に係る各工程を説明するための図である。 多層配線基板の製造に係る各工程を説明するための図である。 多層配線基板の製造に係る一連の工程の流れを示す図である。 保護膜を説明するための図である。 保護膜の形成材料の具体例を示す図である。 粗面化処理工程がデスミア処理工程の前に行われる場合を説明するための図である。
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本開示の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法または数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」、「同軸」、など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。また、等しい状態であることを示す表現(例えば、「同一」、「等しい」、「均質」、など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。また、形状を示す表現(例えば、「円形状」、「四角形状」、「円筒形状」、など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲の形状を表すものとし、例えば凹凸または面取りなどを有していてもよい。また、構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、「有する」、といった各表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。また、「A、BおよびCのうちの少なくとも一つ」あるいは「A、BおよびCのうちのから選択された1以上」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、「A、BおよびCのうち任意の2つ」、「A、BおよびCの全て」が含まれる。
<1.多層配線基板の製造方法>
実施形態に係る多層配線基板(多層プリント配線基板)10の製造方法について、図1~図3を参照しながら説明する。図1および図2は、多層配線基板10の製造に係る各工程を説明するための図である。図3は、多層配線基板10の製造に係る一連の工程の流れを示す図である。多層配線基板10は、コア基材1に絶縁層2と配線層9とが積層された多層の配線基板であり、以下に説明するように、ビルドアップ法を用いて形成される。
絶縁層形成工程S1
まず、コア基材1の表面に、絶縁層2を形成する(図1(a))。コア基材(コア基板)1は、具体的には例えば、絶縁基板の一方あるいは両方の表面に配線層(配線パターン)1bが形成された積層体であり、絶縁層2は、コア基材1の配線層1bの上に形成される。絶縁層2を形成する態様はどのようなものであってもよい。一例として、フィルム状あるいはシート状の絶縁材料を、ラミネート加工、プレス加工、などによってコア基材1の表面に張り合わせて、絶縁層2を形成することができる。この場合の絶縁材料としては、例えば、ABF(味の素ビルドアップフィルム(登録商標))などの層間絶縁フィルム、プリプレグシート(すなわち、カーボン繊維、ガラス繊維、グラスクロス、などに絶縁樹脂(例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂)を含浸させてなる中間材料であるプリプレグのシート)、などを用いることができる。あるいは、液状の絶縁材料を、コア基材1の表面に塗布することによって、絶縁層2を形成してもよい。
保護膜形成工程S2
続いて、絶縁層2の表面に、絶縁性を有する保護膜3(絶縁保護膜)を形成する(図1(b))。保護膜3は、絶縁層2の表面が、デスミア処理においてデスミア液によって荒らされないように保護するための膜(保護層)である。絶縁層2の表面をデスミア液から保護するために、保護膜3のデスミア液に対するエッチング耐性は比較的高いものとなっている(この点は後に詳細に説明する)。
保護膜3を形成する態様はどのようなものであってもよい。例えば、保護膜3の形成材料として選定された物質(後述する)を含有する塗布液を、絶縁層2の表面に塗布することによって、保護膜3を形成してもよい。塗布にあたっては、例えば、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ダイコータ法、などを適用することができる。あるいは、保護膜3の形成材料として選定された物質をフィルム状あるいはシート状に成形し、これをラミネート加工、プレス加工、などによって絶縁層2の表面に貼り合わせて、保護膜3を形成してもよい。
保護膜3の厚み(膜厚)は適宜に規定することができるが、多層配線基板10の薄型化の観点からすると、保護膜3は薄い方が好ましい。ただし、保護膜3の厚みは、保護膜3の最終的な表面粗さ(具体的には例えば、最終的な表面粗さの最大高さRy)よりも大きな寸法とされることが好ましい(「最終的な表面粗さ」については後述する)。一例として、保護膜3の厚みは、0.5μm以上、かつ、2μm以下であることが好ましい。また、保護膜3の絶縁性(絶縁特性)を担保するとともに、高周波信号が用いられる際の誘電損失を小さく抑えるためには、保護膜3の比誘電率が小さいことが好ましく、保護膜3の誘電正接が小さいことも好ましい。一例として、保護膜3の比誘電率は、3.5以下であることが好ましい。さらに、保護膜3と絶縁層2との密着力を十分に高めるために、保護膜3が、絶縁層2との密着力が良好な物質を含んで形成されることも好ましい。
ビア形成工程S3
続いて、保護膜3および絶縁層2を貫通して、コア基材1の配線層1bの表面を露出させる、ビア(ビアホール)4を形成する(図1(c))。ビア4は、例えば、レーザ光の照射によって形成することが可能であり、その際のレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザ、などを用いることができる。
デスミア処理工程S4
レーザ光の照射などによって形成されたビア4の内面(底面および内壁面)には、樹脂残渣であるスミア5が残存しているところ、ここでは、ビア4の形成で生じたスミア5を除去する処理(デスミア処理)が行われる(図1(d))。デスミア処理は、デスミア液を用いて行われる。具体的には例えば、デスミア処理は、ビア4が形成された積層体(コア基材1に絶縁層2と保護膜3とが積層された積層体)に、デスミア液を作用させて(例えば、デスミア液を塗布する、デスミア液が貯留された薬液槽に浸漬する、などして)、デスミア液の酸化作用でスミア5を溶解して除去することによって行われる。デスミア液としては、例えば、過マンガン酸塩(具体的には例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、など)を用いることができるが、これに限られるものではない。
上記のとおり、ここでは、デスミア処理に先立って、絶縁層2の表面に保護膜3が形成されている。したがって、デスミア処理において、絶縁層2の表面がデスミア液によって大きく荒らされる、と言った事態の発生が未然に回避される。また、デスミア液が絶縁層2の表面と反応して消費されることがほとんどないため、デスミア液の使用量を削減することが可能となる。
粗面化処理工程S5
保護膜3の表面には、後に行われる無電解めっき処理によって無電解めっき層6が形成される(すなわち、保護膜3の表面は、被めっき面となる)ところ、保護膜3に対する無電解めっき層6(めっき皮膜)の密着力は、保護膜3の表面の粗さ(表面粗さ)と相関関係を有する。すなわち、保護膜3がある程度以上の表面粗さを有している場合、アンカー効果によって保護膜3と無電解めっき層6との密着力が十分に高まる。別の言い方をすると、保護膜3の表面粗さが、ある下限値を下回ると、十分なアンカー効果が期待できないために、密着力は低下してしまう。その一方で、保護膜3の表面粗さが、ある上限値を超えてしまうと、保護膜3と無電解めっき層6との界面付近に、いわゆる弱い境界層(WBL層)が形成されて、無電解めっき層6の剥離が生じやすくなってしまう。つまり、保護膜3の表面粗さが、下限値と上限値との間の適正範囲にある場合、アンカー効果が期待できるとともに、弱い境界層も形成されにくく、保護膜3と無電解めっき層6の密着力が十分に高まると考えられる。一例として、十分な密着力(密着信頼性)を担保できる保護膜3の表面粗さの適性範囲は、算術平均粗さRaで、0.02μm以上、かつ、0.1μm以下である。
上記のとおり、ここでは、デスミア処理に先立って絶縁層2の表面に保護膜3が形成されている。保護膜3のデスミア液に対するエッチング耐性は比較的高いものであるため、デスミア処理が行われた後の保護膜3の表面粗さは、適正範囲の下限値よりも小さい可能性が高い。そこで、無電解めっき処理に先立って、保護膜3の表面を粗面化(粗化)する処理(粗面化処理)が行われる(図1(e))。粗面化処理は、デスミア処理と粗面化処理とを経た後の保護膜3の表面粗さ(以下において単に「最終的な表面粗さ」という)が適正範囲内におさまるように、保護膜3の表面粗さを増大させる処理である。
粗面化処理の具体的な態様はどのようなものであってもよいが、ここでは例えば、粗面化液を用いて保護膜3の表面を粗面化する。具体的には例えば、粗面化液として、デスミア処理に用いられるデスミア液とは異なる薬液を用い、該粗面化液を保護膜3の表面に作用させて(例えば、粗面化液が貯留された薬液槽に浸漬する、粗面化液を塗布する、などして)、保護膜3の表面を粗面化液で僅かにエッチングすることによって、該表面を粗面化する。粗面化液としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウムを含む薬液を用いることができるがこれに限られるものではない。
粗面化処理において、保護膜3の表面が粗面化液によって粗面化される度合い(すなわち、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2)は、粗面化処理の処理条件(例えば、粗面化液の組成、濃度、温度、粗面化液を保護膜3に作用させる方式、処理時間、など)によって規定される。ここでは、保護膜3の最終的な表面粗さが適正範囲内におさまるように(具体的には例えば、保護膜3の最終的な表面粗さが、算術平均粗さRaで、0.02μm以上、かつ、0.1μm以下となるように)、デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1を加味して、粗面化処理によって生じさせるべき表面粗さの変化幅ΔRa2が決定され、該決定された変化幅ΔRa2を生じさせることができるように、粗面化処理の処理条件が規定される。なお、ここでいう「処理によって生じる表面粗さの変化幅」とは、該処理が行われる前の表面粗さと該処理が行われた後の表面粗さとの差分であり、具体的には例えば、該処理が行われる前の表面の算術平均粗さと該処理が行われた後の表面の算術平均粗さとの差分である。
無電解めっき工程S6
続いて、無電解めっき処理を行って、保護膜3の表面、および、ビア4の内面(底面および内壁面)を覆う、無電解めっき層6を、形成する(図1(f))。ここでは例えば、無電解銅めっき(例えば、硫酸銅浴を用いた無電解銅めっき)によって、銅の無電解めっき層6が形成される。形成された無電解めっき層6は、電解めっき処理におけるシード層としての役割を担う。上記のとおり、無電解めっき処理に先立って粗面化処理が行われることによって、保護膜3の最終的な表面粗さが適正範囲内におさめられているため、無電解めっき層6と保護膜3との密着力は十分に高いものとなる。
レジストパターン形成工程S7
続いて、無電解めっき層6の表面における非配線部分を覆う、レジストパターン7を形成する(図2(a))。非配線部分とは、配線パターンを形成するべき部分(配線部分)以外の部分である。レジストパターン7を形成する態様はどのようなものであってもよい。一例として、レジストパターン7は、通常のフォトリソグラフィ法を使用して形成することができる。すなわち、レジストパターン7は、例えば、感光性レジスト材料としてのネガ型のドライフィルムを、ラミネート加工などによって無電解めっき層6の表面に貼り合わせた後、所望の配線パターンのフォトマスクを露光し、さらに現像することによって、形成することができる。
電解めっき工程S8
続いて、無電解めっき層6をシード層(給電層)とした電解めっきを行って、レジストパターン7から露出している無電解めっき層6の表面に、電解めっき層8を形成する(図2(b))。ここでは例えば、電解銅めっき(例えば、硫酸銅浴を用いた電解銅めっき)によって、銅の電解めっき層8が形成される。レジストパターン7で覆われていない部分に電解めっき層8が形成されることによって、配線パターンが形成される(パターンめっき)。また、ビア4の内部を埋めるように電解めっき層8が形成されることによって、コア基材1の配線層1bとの導通部分が形成される(フィルドビアめっき)。
レジスト剥離工程S9
続いて、レジストパターン7を剥離する(図2(c))。これによって、レジストパターン7で覆われていた無電解めっき層6の表面が露出する。レジストパターン7を剥離する態様はどのようなものであってもよい。一例として、レジストパターン7の形成材料に対応するレジスト剥離液を、レジストパターン7に作用させることによって、これを剥離することができる。
除去工程S10
続いて、レジストパターン7が剥離されることによって露出した部分(すなわち、レジストパターン7が形成されていた部分)に設けられている無電解めっき層6を、エッチングにより除去する(図2(d))。さらに、無電解めっき処理において触媒として用いられていたパラジウムを除去する。
絶縁層形成工程S1から除去工程S10までの一連の工程が行われることによって、コア基材1(コア層)上に、絶縁層2および配線層9(無電解めっき層6と電解めっき層8とを含んで構成される配線層9)がこの順で積層される。すなわち、絶縁層2と配線層9とが積層された多層配線基板(ビルドアップ基板)10が得られる。
繰り返し工程S11
その後、必要に応じて、一連の工程S1~S10が繰り返して行われる。一連の工程S1~S10が1回行われるごとに、絶縁層2と配線層9とが積層された積層部分(ビルドアップ層)が、1個、積み重ねられる。一連の工程S1~S10が行われる回数は、2回以上であってもよいし、1回であってもよい(すなわち、一連の工程S1~S10は必ずしも繰り返して行われなくともよい)。また、ビルドアップ層は、コア基材1の一方の表面のみに形成されてもよいし、両方の表面に形成されてもよい。後者の場合、両表面に対するビルドアップ層の形成は、順次に行われてもよいし、並行して行われてもよい。
一連の工程S1~S10が所定回数だけ行われると、多層配線基板10の製造に係る一連の工程が終了する。このようにして形成された多層配線基板10は、例えば、半導体素子(具体的には例えば、ICチップ)などの電子部品が実装されて、半導体パッケージとされる。すなわち、多層配線基板10は、例えば、半導体パッケージ用の基板(半導体パッケージ基板)として用いられる。
<2.保護膜3>
保護膜形成工程S2で形成される保護膜3について、図4を参照しながら説明する。図4(a)には、略平坦な保護膜3に対してデスミア処理が行われた場合に生じる表面粗さ(つまりは、デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1)が模式的に示されている。図4(b)には、略平坦な保護膜3に対して粗面化処理が行われた場合に生じる表面粗さ(つまりは、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2)が模式的に示されている。保護膜3の最終的な表面粗さは、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa1と、粗面化処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa2とを加算(重畳)した値に相当する。一方、図4(c)には、保護膜3が形成されないとした場合にデスミア処理によって生じる絶縁層2の表面粗さの変化幅ΔRa3が、模式的に示されている。ただし、上記の方法で多層配線基板10を形成する場合、デスミア処理が行われる際に、絶縁層2は保護膜3に覆われているため、絶縁層2にデスミア液が作用するという場面(図4(c))は、実際は生じない。いうまでもなく、図4(a)、図4(b)および図4(c)は、いずれも、表面粗さの変化幅の大小関係を説明するための便宜的な図に過ぎず、実際の表面形状を表しているわけではなく、実際の変化幅を表しているわけでもない。
(第1要件)
保護膜3は、絶縁層2の表面をデスミア液から保護するものである。このために、保護膜3のデスミア液Ldに対するエッチング耐性(耐薬性)が、絶縁層2のデスミア液Ldに対するエッチング耐性よりも高いことが求められる。この場合、デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1は、保護膜3が形成されないとした場合にデスミア処理によって生じる絶縁層2の表面粗さの変化幅ΔRa3よりも小さいものとなる。つまり、保護膜3が形成されることによって、保護膜3が形成されない場合に比べて、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅が小さくなる。
デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1は、保護膜3のデスミア液Ldに対するエッチング耐性が高いほど、小さくなる。上記の方法では、デスミア処理とは別に、保護膜3の表面粗さを増大させる粗面化処理が行われ、これによって、保護膜3の表面粗さが、適正範囲(無電解めっき層6との密着力を担保するための適正範囲)内におさめられる。したがって、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa1は、適正範囲の下限値よりも小さくても問題ない。むしろ、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa1は、小さければ小さいほど好ましい。すなわち、保護膜3のデスミア液Ldに対するエッチング耐性は、高ければ高いほど好ましい。その理由は、第1に、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa1が小さいほど、最終的な表面粗さにおいて、粗面化処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa2が支配的となり、これによって、最終的な表面粗さを精度よく制御できるからである(この点は後に説明する)。第2に、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa1が小さいほど、保護膜3の厚みを小さくできるからである。すなわち、保護膜3には、デスミア処理において絶縁層2が露出しないように、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa1よりも少なくとも大きな厚みが求められるところ、該変化幅ΔRa1が小さいほど、保護膜3の厚みを小さくすることができるからである。
(第2要件)
保護膜3は、粗面化液Lrによって粗面化されるものである。このために、保護膜3には、粗面化液Lrに対するエッチング耐性があまり高くないことが求められる。ここでいう、「粗面化液Lrに対するエッチング耐性があまり高くない」とは、保護膜3の最終的な表面粗さが、適正範囲の下限値を超えるものとなるように、粗面化処理において保護膜3の表面粗さに十分な変化幅ΔRa2を与えることができることを意味する。
ただし、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2は、保護膜3が形成されないとした場合にデスミア処理によって生じる絶縁層2の表面粗さの変化幅ΔRa3よりも、小さいものとされる。
(第3要件)
上記の方法においては、絶縁層2の表面に保護膜3が形成されるので、絶縁層2の表面が大きく荒らされないようにデスミア処理の条件を制限する必要がなく、デスミア処理の処理条件は、デスミア処理の本来の目的であるスミア5の除去を達成するために最適化される。これに対し、粗面化処理は、その本来の目的が保護膜3の粗面化であり、粗面化処理の処理条件は、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2が所期の値となるように最適化される。このため、粗面化処理は、デスミア処理に比べて、保護膜3の表面粗さの制御性に優れている。
このような事情に鑑みると、保護膜3は、デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1が、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2よりも小さいものとなるような膜であることが好ましい。上記のとおり、保護膜3の最終的な表面粗さは、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa1と、粗面化処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa2とを加算(重畳)した値に相当するところ、デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1が、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2よりも小さいということは、保護膜3の最終的な表面粗さに関して、デスミア処理よりも粗面化処理が支配的であることを意味している。そして、表面粗さの制御性に優れた粗面化処理が相対的に支配的であることによって、保護膜3の最終的な表面粗さを精度よく制御することができる。保護膜3の最終的な表面粗さを特に精度よく制御するためには、デスミア処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa1が、粗面化処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa2の1/10以下であることが好ましい。
デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1を、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2よりも小さいものとするためには、例えば、保護膜3のデスミア液Ldに対するエッチング耐性が、保護膜3の粗面化液Lrに対するエッチング耐性よりも高いものであればよい。
<3.保護膜3の形成材料>
次に、保護膜3の形成材料の一例について、図5を参照しながら説明する。図5には、複数種類の物質について、デスミア液および粗面化液のそれぞれに対する耐薬性(エッチング耐性)が示されている。ただし、ここでは、デスミア液として、過マンガン酸塩(具体的には例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、など)が使用され、粗面化液として、次亜塩素酸ナトリウムが使用されることが想定されている。
図5に例示される物質である、クロロプレンゴム(CR)、軟質塩化ビニル(PVC)、硬質塩化ビニル(PVC)、ABS、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、および、メチルペンテン(PMP)は、いずれも、デスミア液としての過マンガン酸塩に対する耐薬性が、粗面化液としての次亜塩素酸ナトリウムに対する耐薬性よりも高い。したがって、保護膜3の形成材料として好適である。すなわち、保護膜3は、クロロプレンゴム、軟質塩化ビニル、硬質塩化ビニル、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、および、メチルペンテンのうちから選択された1以上の物質を含んで形成することができる。
また、図5に例示される物質の中でも、粗面化液に対する耐薬性が比較的低い物質である、クロロプレンゴム、軟質塩化ビニル、ABS、ポリエチレン、および、メチルペンテンは、保護膜3の形成材料として特に好適である。すなわち、保護膜3は、クロロプレンゴム、軟質塩化ビニル、ABS、ポリエチレン、および、メチルペンテンのうちから選択された1以上の物質を含んで形成されることが好ましい。
さらに、図5に例示される物質の中でも、粗面化液に対する耐薬性が特に低い物質であるクロロプレンゴムは、粗面化液に対する耐薬性が十分に低く、かつ、デスミア液に対する耐薬性が十分に高い。したがって、クロロプレンゴムは、保護膜3の形成材料として特に好適である。すなわち、保護膜3は、クロロプレンゴムを含んで形成されることが特に好ましい。具体的には例えば、クロロプレンゴム系の接着剤を、保護膜3の形成材料として用いることができる。
いうまでもなく、保護膜3の形成材料は、図5に例示された物質に限られるものではない。また、図5に例示された物質(あるいはここに例示されていない物質)が主たる形成材料とされ、該主たる形成材料に各種の添加剤が加えられる、該主たる形成材料が各種の溶剤に溶かされる、などして、保護膜3の形成に用いられてもよい。
<4.効果>
上記の実施形態において説明した多層配線基板10の製造に係る一連の工程S1~S11のうち、無電解めっき工程S6の前に行われる一連の工程S1~S5は、無電解めっきの前処理に係る工程と捉えることができる。つまり、上記の実施形態に係る無電解めっきの前処理方法(すなわち、絶縁層2と配線層9とが積層された多層配線基板10の形成における無電解めっきの前処理方法)は、ビア4が形成される前の絶縁層2の表面に、該表面をデスミア液から保護する保護膜3を形成する保護膜形成工程S2と、デスミア液を用いて、ビア4の形成で生じたスミア5を除去するデスミア処理工程S4と、保護膜3の表面を粗面化する粗面化処理工程S5と、を備える。
この構成によると、保護膜形成工程S2が行われることによって、絶縁層2の表面に、該表面をデスミア液から保護する保護膜3が形成される。したがって、絶縁層2の表面が大きく荒らされないようにデスミア処理の条件を制限する必要がなく、デスミア処理でスミア5を十分に除去することができる。一方、絶縁層2の表面に形成された保護膜3の表面は被めっき面としての役割も担うところ、ここでは、保護膜3の表面を粗面化する粗面化処理工程S5が行われるので、被めっき面である保護膜3の表面の表面粗さを制御することができる。つまり、スミア5の除去と、被めっき面の表面粗さの制御とを両立することができる。
被めっき面である保護膜3の表面の表面粗さの制御が可能であることによって、例えば、保護膜3の最終的な表面粗さを、保護膜3と無電解めっき層6との密着力が担保される適正範囲内におさめることができる。すなわち、保護膜3と無電解めっき層6との密着力(密着信頼性)を担保することが可能となる。また例えば、保護膜3の最終的な表面粗さを、保護膜3と無電解めっき層6との密着力が担保される適正範囲の中でも、比較的小さな数値範囲内におさめることによって、保護膜3と無電解めっき層6との密着力を担保しつつ、配線層9における伝送損失を小さく抑える(ひいては、高周波信号の高速伝送を実現する)ことができる。同様に、保護膜3の最終的な表面粗さを、該比較的小さな数値範囲内におさめることによって、保護膜3と無電解めっき層6との密着力を担保しつつ、微細な配線パターンの倒壊などを抑制する(つまりは、配線パターンの微細化に対応する)ことができる。
<5.変形例>
上記の実施形態に係る粗面化処理は、保護膜3が形成された後であって、無電解めっき処理が行われる前の適宜のタイミングで実行することができる。例えば、上記の実施形態では、粗面化処理工程S5は、デスミア処理工程S4の後に行われていたが、粗面化処理工程は、デスミア処理工程の前に行われてもよい。いうまでもなく、「デスミア処理工程の後」とは、デスミア処理工程の直後だけでなく、デスミア処理工程が行われた後の任意のタイミングを指す。同様に、「デスミア処理工程の前」とは、デスミア処理工程の直前だけでなく、デスミア処理工程が行われる前の任意のタイミングを指す。
図6には、粗面化処理工程が、デスミア処理工程の前に行われる場合が例示されている。ここに示されるように、例えば、絶縁層形成工程S1a(図6(a))および保護膜形成工程S2a(図6(b))が行われた後に、粗面化処理工程S3a(図6(c))、ビア形成工程S4a(図6(d))、および、デスミア処理工程S5a(図6(e))がこの順で行われて、その後、無電解めっき工程S6a(図6(f))が行われてもよい。粗面化処理工程S3aとビア形成工程S4aの順番は逆であってもよい。各工程で行われる具体的な処理は、上記の実施形態と同様である。また、無電解めっき工程S6aの後に行われる一連の工程も、上記の実施形態と同様である(図2、図3参照)。
粗面化処理工程が、デスミア処理工程の前に行われる場合、デスミア処理が終了するまで、絶縁層2が保護膜3に覆われた状態(絶縁層2が露出しない状態)が十分に維持されるように、担保する必要がある。このためには、例えば、粗面化処理後の保護膜3が、デスミア処理に耐え得る厚み(デスミア処理が終了するまで絶縁層2を露出させないような厚み)を有するように、デスミア処理の処理条件(つまりは、デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1)を加味して、粗面化処理の処理条件、または(および)、保護膜3の厚みを規定すればよい。
上記の実施形態において、保護膜3が絶縁層2の表面をデスミア液から保護するために、保護膜3のデスミア液に対するエッチング耐性が、絶縁層2のデスミア液に対するエッチング耐性よりも高いことが求められていた(第1要件)。この要件は、デスミア液に求められる要件として捉えることもできる。すなわち、デスミア液には、保護膜3に対するエッチング能力(デスミア液が保護膜3をエッチングする際のエッチングレート)が、絶縁層2に対するエッチング能力(デスミア液が絶縁層2をエッチングする際のエッチングレート)よりも低いことが、求められる。
上記の実施形態において、保護膜3が粗面化液によって粗面化され得るために、保護膜3には、粗面化液に対するエッチング耐性があまり高くないことが求められていた(第2要件)。この要件は、粗面化液に求められる要件として捉えることもできる。すなわち、粗面化液には、保護膜3に、その最終的な表面粗さが適正範囲の下限値を超えるような表面粗さの変化幅ΔRa2を少なくとも与えることができる程度に、保護膜3に対するエッチング能力(保護膜3をエッチングする際のエッチングレート)が高いことが求められる。
上記の実施形態において、デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1が、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2よりも小さいものとなるように、保護膜3のデスミア液に対するエッチング耐性が、保護膜3の粗面化液に対するエッチング耐性よりも高いものであることが好ましいとした(第3要件)。この要件は、デスミア液および粗面化液に求められる要件として捉えることもできる。すなわち、デスミア液および粗面化液には、好ましくは、デスミア液の保護膜3に対するエッチング能力(デスミア液が保護膜3をエッチングする際のエッチングレート)が、粗面化液の保護膜3に対するエッチング能力(粗面化液が保護膜3をエッチングする際のエッチングレート)よりも低いことが、求められる。
上記の実施形態において、デスミア処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa1は、粗面化処理によって生じる保護膜3の表面粗さの変化幅ΔRa2に対して、無視できる程度に小さいことも好ましい。この場合、粗面化処理によって生じる表面粗さの変化幅ΔRa2を最終的な表面粗さとみなすことができるので、実質的に、粗面化処理の処理条件のみから保護膜3の最終的な表面粗さが規定されることとなり、保護膜3の最終的な表面粗さを簡易かつ精度よく制御することができる。
上記の実施形態において、保護膜3の最終的な表面粗さの適正範囲の具体的な値(すなわち、適正範囲を規定する上限値と下限値の具体的な値)は、処理条件、製品に求められる品質、などから規定されるものであり、必ずしも上記の実施形態で例示した値に限られるものではない。
上記の実施形態において、デスミア液は、過マンガン酸塩を含む薬液に限られるものではない。同様に、粗面化液は、次亜塩素酸ナトリウムを含む薬液に限られるものではない。デスミア処理と粗面化処理の各々を簡易かつ十分に最適化できるとともに、保護膜3および絶縁層2の各形成材料の選択の幅が広がるという点において、デスミア液と粗面化液は、異なる薬液であることが好ましい。
上記の実施形態において、多層配線基板10の製造に係る一連の工程S1~S10はあくまで例示であり、一部の工程が省略されてもよいし、別の工程が追加されてもよい。例えば、ソルダーレジスト層の形成工程などが追加されてもよい。
上記の実施形態に係る無電解めっきの前処理方法は、多層配線基板を形成するにあたって無電解めっきを行う場合の該無電解めっきの前処理方法として、様々な場面に適用することができる。例えば、上記の実施形態においては、セミアディティブ法(SAP:Semi Additive Process)で多層配線基板を形成する場合が例示されていたが、サブトラクティブ法で多層配線基板を形成する場合に適用することもできる。
以上のように、無電解めっきの前処理方法は詳細に説明されたが、上記の説明は、全ての局面において、例示であって、これらがそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。また、上記の実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り、適宜に組み合わせたり、省略したりすることができる。
1 コア基材
2 絶縁層
3 保護膜
4 ビア
5 スミア
6 無電解めっき層
7 レジストパターン
8 電解めっき層
9 配線層
10 多層配線基板
S1,S1a 絶縁層形成工程
S2,S2a 保護膜形成工程
S3,S4a ビア形成工程
S4,S5a デスミア処理工程
S5,S3a 粗面化処理工程
S6,S6a 無電解めっき工程
S7 レジストパターン形成工程
S8 電解めっき工程
S9 レジスト剥離工程
S10 無電解めっき層の除去処理工程
S11 繰り返し工程

Claims (13)

  1. 絶縁層と配線層とが積層された多層配線基板の形成における無電解めっきの前処理方法であって、
    ビアが形成される前の前記絶縁層の表面に、該表面をデスミア液から保護する保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記デスミア液を用いて、ビアの形成で生じたスミアを除去するデスミア処理工程と、
    前記デスミア処理工程の前あるいは後に、前記保護膜の表面を粗面化する粗面化処理工程と、
    を備える、無電解めっきの前処理方法。
  2. 請求項1に記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記粗面化処理工程を、前記デスミア処理工程の後に行う、
    無電解めっきの前処理方法。
  3. 請求項1に記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記粗面化処理工程を、前記デスミア処理工程の前に行う、
    無電解めっきの前処理方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記粗面化処理工程において、前記デスミア液とは異なる薬液である粗面化液を用いて、前記保護膜の表面を粗面化する、
    無電解めっきの前処理方法。
  5. 請求項4に記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記保護膜の前記デスミア液に対するエッチング耐性が、前記保護膜の前記粗面化液に対するエッチング耐性よりも高い、
    無電解めっきの前処理方法。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記デスミア処理工程によって生じる前記保護膜の表面粗さの変化幅が、前記粗面化処理工程によって生じる前記保護膜の表面粗さの変化幅よりも小さい、
    無電解めっきの前処理方法。
  7. 請求項1から3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記粗面化処理工程によって生じる前記保護膜の表面粗さの変化幅が、前記保護膜が形成されないとした場合に前記デスミア処理工程によって生じる前記絶縁層の表面粗さの変化幅よりも小さい、
    無電解めっきの前処理方法。
  8. 請求項1から3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記粗面化処理工程において、次亜塩素酸ナトリウムを含む薬液を粗面化液として用いて、前記保護膜の表面を粗面化する、
    無電解めっきの前処理方法。
  9. 請求項1から3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記デスミア処理工程と前記粗面化処理工程とを経た後の前記保護膜の表面粗さが、算術平均粗さで、0.02μm以上、かつ、0.1μm以下である、
    無電解めっきの前処理方法。
  10. 請求項1から3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記保護膜の比誘電率が、3.5以下である、
    無電解めっきの前処理方法。
  11. 請求項1から3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記保護膜が、クロロプレンゴム、軟質塩化ビニル、硬質塩化ビニル、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、および、メチルペンテンのうちから選択された1以上の物質を含んで形成される、
    無電解めっきの前処理方法。
  12. 請求項11に記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記保護膜が、クロロプレンゴムを含んで形成される、
    無電解めっきの前処理方法。
  13. 請求項1から3のいずれかに記載の無電解めっきの前処理方法であって、
    前記保護膜の前記デスミア液に対するエッチング耐性が、前記絶縁層の前記デスミア液に対するエッチング耐性よりも高い、
    無電解めっきの前処理方法。
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