JP2024011843A - ターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置、起動シーケンス生成方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ターボ冷凍機の起動時間を短縮させること。【解決手段】起動シーケンス生成装置50は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を備えるターボ冷凍機の起動シーケンスを生成する。起動シーケンス生成装置50は、起動開始時におけるターボ冷凍機の初期状態量を取得する状態量取得部51と、制約条件を与えられた状態変数とターボ冷凍機の操作変数とを最適化変数とする評価関数と、ターボ冷凍機の数理モデルと、初期状態量とを用いて、複数の操作変数の最適解を演算する最適解演算部53とを備える。操作変数は、圧縮機インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、膨張弁開度の少なくとも一つを含み、状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含むように設定されている。【選択図】図3
Description
本開示は、ターボ冷凍機に係り、特に、ターボ冷凍機の起動シーケンスを生成する起動シーケンス生成装置、起動シーケンス生成方法、及びプログラムに関するものである。
例えば、ターボ冷凍機の起動制御として特許文献1に開示される方法が提案されている。特許文献1には、第1圧縮機及び第2圧縮機を備えるターボ冷凍機において、以下の起動制御方法が開示されている。まず、第1及び第2圧縮機を起動させた後に、ガイドベーンを開き、その後、第1圧縮機及び第2圧縮機を同じ速度で運転させる。そして、監視時間が経過したか否かを判定し、監視時間が経過したと判定された場合に、負荷追従制御モードを実行する。
特許文献1に記載されている従来の起動制御では、圧縮機を一定速度で運転させた後、監視時間が経過しなければ負荷追従制御モードへ切り替えられない。このため、ターボ冷凍機の起動には、常に監視時間以上の時間を要することとなる。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ターボ冷凍機の起動時間を短縮させることのできるターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置、起動シーケンス生成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本開示の第一態様は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を備えるターボ冷凍機の起動シーケンスを生成する起動シーケンス生成装置であって、起動開始時における前記ターボ冷凍機の初期状態量を取得する状態量取得部と、制約条件を与えられた状態変数とターボ冷凍機の操作変数とを最適化変数とする評価関数と、前記ターボ冷凍機の数理モデルと、前記初期状態量とを用いて、複数の前記操作変数の最適解を演算する最適解演算部とを備え、前記操作変数は、圧縮機インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、及び膨張弁開度の少なくとも一つを含み、前記状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含むターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置である。
本開示の第二態様は、上記ターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置を備えるターボ冷凍機の制御装置である。
本開示の第三態様は、上記ターボ冷凍機の制御装置を備えるターボ冷凍機である。
本開示の第四態様は、コンピュータを上記ターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置として機能させるためのプログラムである。
本開示の第五態様は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を備えるターボ冷凍機の起動シーケンスを生成する起動シーケンス生成方法であって、起動開始時における前記ターボ冷凍機の初期状態量を取得する状態量取得ステップと、制約条件を与えられた状態変数とターボ冷凍機の操作変数とを最適化変数とする評価関数と、前記ターボ冷凍機の数理モデルと、前記初期状態量とを用いて、複数の前記操作変数の最適解を演算する最適解演算ステップとをコンピュータが実行し、前記操作変数は、圧縮機インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、膨張弁開度の少なくとも一つを含み、前記状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含むターボ冷凍機の起動シーケンス生成方法である。
本開示のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置、起動シーケンス生成方法、及びプログラムによれば、ターボ冷凍機の起動時間を短縮させることができるという効果を奏する。
以下に、本開示に係るターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置、起動シーケンス生成方法、及びプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係るターボ冷凍機1の一構成例を示した図である。図1に示すように、ターボ冷凍機1は、圧縮機11と、凝縮器12と、蒸発器13とを主な構成として備えている。
図1は、本開示の一実施形態に係るターボ冷凍機1の一構成例を示した図である。図1に示すように、ターボ冷凍機1は、圧縮機11と、凝縮器12と、蒸発器13とを主な構成として備えている。
圧縮機11は、例えば、ターボ圧縮機である。具体的には、圧縮機11は、遠心式の2段圧縮機であり、第1圧縮機25aと第2圧縮機25bとを備えている。第1圧縮機25a及び第2圧縮機25bは、インバータ21によって回転数制御されたモータ22によって駆動される。インバータ21は、制御装置10によってその出力が制御される。第1圧縮機25a及び第2圧縮機25bの冷媒吸入口には、吸入冷媒流量を制御するインレットガイドベーン(以下「IGV」という。)23a、23bが設けられており、ターボ冷凍機1の容量制御が可能となっている。
凝縮器12は、圧縮機11によって圧縮された高温高圧のガス冷媒を冷却塔(図示略)から送られる冷却水と熱交換させることにより、凝縮させる。凝縮器12と蒸発器13との間には、高段膨張弁14、中間冷却器15、及び低段膨張弁16が設けられている。凝縮器12からの液冷媒は、高段膨張弁14によって断熱膨張され二相となり、中間冷却器15に送られる。中間冷却器15において、気相部は圧縮機11の中間段に、液相部は低段膨張弁16によって膨張され、液相のまま蒸発器13に送られる。
蒸発器13は、液冷媒を外部負荷から供給される冷水と熱交換させることにより蒸発させる。蒸発器13によって蒸発されたガス冷媒は、圧縮機11に送られる。
蒸発器13は、液冷媒を外部負荷から供給される冷水と熱交換させることにより蒸発させる。蒸発器13によって蒸発されたガス冷媒は、圧縮機11に送られる。
凝縮器12には、凝縮圧力Pcを計測するための圧力センサ31が設けられている。凝縮器12には、冷却水が流通するための冷却伝熱管が挿通されている。冷却水流量Gwcは流量センサ32により、冷却水入口温度Twciは温度センサ33により、冷却水出口温度Twcoは温度センサ34により計測されるようになっている。これらセンサ31~34の出力は、制御装置10に送信される。
凝縮器12に導かれる冷却水は、冷却水ポンプ(図示略)によって送水され、図示しない冷却塔において外部へと排熱された後に、再び凝縮器12へと導かれるようになっている。冷却水ポンプ(図示略)は、制御装置10によって制御されてもよい。
蒸発器13には、蒸発圧力Peを計測するための圧力センサ35が設けられている。蒸発器13において吸熱されることによって定格温度(例えば7℃)の冷水が得られる。蒸発器13には、図示しない外部負荷へ供給される冷水を冷却するための冷水伝熱管が挿通されている。冷水流量Gweは流量センサ36により、冷水入口温度Tweiは温度センサ37により、冷水出口温度Tweoは温度センサ38により計測されるようになっている。これらセンサ35~38の出力は、制御装置10に送信される。
蒸発器13に導かれる冷水は、冷水ポンプ(図示略)によって送水され、外部負荷と蒸発器13との間を循環する。冷水ポンプは、制御装置10によって制御されてもよい。
凝縮器12の気相部と蒸発器13の気相部との間には、ホットガスバイパス管17が設けられている。ホットガスバイパス管17には、ホットガスバイパス管17内を流れる冷媒の流量を制御するためのホットガスバイパス弁18が設けられている。ホットガスバイパス弁18によってホットガスバイパス流量を調整することにより、IGV23a、23bでは制御が十分でない非常に小さな領域の容量制御が可能となっている。
制御装置10は、ターボ冷凍機1の制御を行う。図2は、制御装置10のハードウェア構成の一例を示した図である。図2に示すように、制御装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)41、主記憶装置(Main Memory)42、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)43、センサ類や他の機器等と情報の送受信を行うための通信インターフェース44を備えている。
主記憶装置42は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU41の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置43は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置43は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
二次記憶装置43は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置43は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
図3は、制御装置10が備える機能の一例を示した機能構成図である。後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置43に記憶されており、このプログラムをCPU41が主記憶装置42に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置43に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
図3に示すように、制御装置10は、ターボ冷凍機1の起動シーケンスを生成する起動シーケンス生成装置50と、起動シーケンス生成装置50によって生成された起動シーケンスに従ってターボ冷凍機1の各種操作端を制御する操作量制御部60を備えている。
起動シーケンス生成装置50は、状態量取得部51、記憶部52、及び最適解演算部53を備えている。
状態量取得部51は、制御対象であるターボ冷凍機の状態量を取得する。例えば、状態量取得部51は、起動制御の開始時において、起動開始時におけるターボ冷凍機1の初期状態量を取得する。また、状態量取得部51は、ターボ冷凍機1の起動制御中において、各種センサ31~38などによって計測されたセンサ値を状態量として取得する。状態量取得部51によって取得された状態量は、最適解演算部53に出力される。
記憶部52には、最適化演算を行うために必要となる各種演算式及びデータが格納されている。例えば、記憶部52には、最適化演算を行うための評価関数が格納されている。評価関数は、例えば、制約条件を与えられた状態変数とターボ冷凍機1の操作変数とを最適化変数とする評価関数とされている。評価関数は、複数の操作変数と、複数の状態変数とを含んでいる。
また、記憶部52には、ターボ冷凍機1の数理モデルが格納されている。また、記憶部52には、状態変数、代数変数、及び操作変数が格納されている。記憶部52に格納されている関数及びデータ等の詳細については後述する。
また、記憶部52には、ターボ冷凍機1の数理モデルが格納されている。また、記憶部52には、状態変数、代数変数、及び操作変数が格納されている。記憶部52に格納されている関数及びデータ等の詳細については後述する。
最適解演算部53は、例えば、記憶部52に格納されている評価関数、ターボ冷凍機の数理モデル、及び状態量取得部51によって取得された初期状態量とを用いて、複数の操作変数の最適解を演算する。最適解演算部53は、演算結果としての操作変数の最適解から操作量の最適化プロファイルを生成し、操作量制御部60に出力する。最適化プロファイルの詳細については後述する。
最適解演算部53は、例えば、状態量が所定の移行条件を満たすまで、状態量取得部51によって取得された状態量を演算に用いて、複数の操作変数の最適解の繰り返し演算を行う。
最適解演算部53は、例えば、状態量が所定の移行条件を満たすまで、状態量取得部51によって取得された状態量を演算に用いて、複数の操作変数の最適解の繰り返し演算を行う。
操作量制御部60は、起動シーケンス生成装置50によって生成された最適化プロファイルに基づいて、ターボ冷凍機1の操作量を制御する。操作量制御部60は、例えば、最適化プロファイルに基づいて、インバータ21の周波数、IGV23a、23bのベーン開度、高段膨張弁14の弁開度、低段膨張弁16の弁開度、及びホットガスバイパス弁18の弁開度を制御する。
次に、起動シーケンス生成装置50が用いるターボ冷凍機1の数理モデルについて説明する。図4は、ターボ冷凍機1の系統モデルの一例を示した図である。
図4において、Pは圧力[MPa]、hはエンタルピー[kJ/kg]、Tは温度[℃]、Gは重量流量[kg/s]、Fは回転数[rpm]、Vは弁開度又はベーン開度[%]、ρは平均密度[kg/m3]、Eは平均エネルギー密度[kJ/m3]である。
状態変数として、例えば、凝縮器12の平均密度ρc、凝縮器12の平均エネルギー密度Ec、冷却水出口温度Twco、蒸発器13の平均密度ρe、蒸発器13の平均エネルギー密度Ee、冷水出口温度Tweo、中間冷却器15の平均密度ρm、中間冷却器15の平均エネルギー密度Em、中間吸込圧力Pcpを用いる。なお、これらは一例であり、これらのうちの少なくとも一つを状態変数として含んでいればよい。
また、操作変数は、インバータ周波数Fcp、第1ベーン開度Vcp1、第2ベーン開度Vcp2、高段膨張弁開度Vhe、低段膨張弁開度Vle、及びホットガスバイパス弁開度(以下「バイパス弁開度」という。)Vbyを用いる。なお、これらは一例であり、これらのうちの少なくとも一つを操作変数として含んでいればよい。
数理モデルは、例えば、ターボ冷凍機1が備える熱交換器(例えば、凝縮器12、蒸発器13、中間冷却器15)におけるエネルギーバランスとマスバランスと圧力との関係を示した物理モデルを含んでいる。この物理モデルは、ターボ冷凍機1の気液2相ノードのエネルギーバランスとマスバランスとに基づいて構築することができる。
例えば、ターボ冷凍機1における気液2相ノードのマスバランス及びエネルギーバランスは、以下の(1)、(2)式で表される。
例えば、ターボ冷凍機1における気液2相ノードのマスバランス及びエネルギーバランスは、以下の(1)、(2)式で表される。
ここで、ρは二相冷媒の平均密度(kg/m3)を示し、Eは二相冷媒の平均エネルギー密度(kJ/m3)を示している。Gは重量流量(kg/s)、hはエンタルピー(kJ/kg)、Qは交換熱量(kJ/s)を示している。また、inは入力、outは出力を示す添え字である。
ノード内は気相、液相ともに常に飽和状態にあると仮定すると、二相冷媒の平均密度ρと平均エネルギー密度Eとは、以下の(3)、(4)式によってそれぞれ表すことができる。ここで、βはボイド率であり、gは気相、lは液相を示す添え字である。
上式からボイド率βを消去すると、平均密度ρと平均エネルギー密度Eとの関係は(5)式によって表される。
気相冷媒の平均密度ρg、液相冷媒の平均密度ρl、気相冷媒の平均エネルギー密度Eg、液相冷媒の平均エネルギー密度Elのそれぞれは、圧力Pの多項式で近似することができる。また、平均密度ρと平均エネルギー密度Eとを独立変数とすることで、圧力Pとボイド率βとを求めることができる。上記(5)式の圧力領域を凝縮器12、中間冷却器15、蒸発器13に分割し、2次式で近似することにより、凝縮器12、中間冷却器15、蒸発器13の物理モデルを得ることができる。
次に、冷水出口温度Tweo、冷却水出口温度Twcoは、蒸発器13及び凝縮器12のそれぞれにおける熱交換量Qe、Qc[kJ/sec]のエネルギーバランスに基づいて以下の(6)、(7)式にて表される。ここで、He、Hcは、熱伝熱管、冷水伝熱管、及び冷却水伝熱管の熱容量を示している。また、Gwe[kg/sec]は冷水流量、Gwc[kg/sec]は冷却水流量である。cpwe[kJ/kg/℃]、cpwcは、比熱である。
ここで、蒸発器13における熱交換量Qeは、冷水入口温度Twei、冷水出口温度Tweo、蒸発温度Teによって(8)式で表され、凝縮器12における熱交換量Qcは、冷却水入口温度Twci、冷却水出口温度Twco、凝縮温度Tcによって(9)式で表される。
ここで、UAe[kJ/sec/℃]は蒸発器13の熱伝達性能、feは冷水温度と冷媒温度との差を計算するための関数である。UAc[kJ/sec/℃]は凝縮器12の熱伝達性能、fcは冷却水温度と冷媒温度の差を計算するための関数である。
第1圧縮機25a及び第2圧縮機25bを流れる質量流量Gcpjは、吸込圧力と吐出圧力との差圧ΔPcpj[MPa]、比容積(容積/質量)υcpj[m3/kg]、回転数Ncp[%]、ベーン開度Vcpj[%]及び圧縮機11の流量特性マップfcpfjを用いて以下の(10)式で表される。
低段膨張弁16及び高段膨張弁14を流れる質量流量Gevはそれぞれ、入口と出口の差圧ΔPev[MPa]、高低差ΔLev[MPa]、比容積(容積/質量)υev[m3/kg]、並びに膨張弁開度Vev[%]とCV特性fevとから決定されるCV値を用いて以下の(11)式で表される。
ホットガスバイパス弁を流れる質量流量Gbyは、凝縮圧力Pc[MPa]、蒸発圧力Pe[MPa]、比容積(容積/質量)υc[m3/kg]、並びに、バイパス弁開度Vby[%]とCV特性fevとから決定されるCV値を用いて以下の(12)式で表される。
圧縮機11の出口側エンタルピーhcpojは、入口側エンタルピーhcpij、圧縮機特性fcpηjから特定される効率ηcpj等を用いて以下の(13)式で表される。
また、ターボ冷凍機の物理モデルの構築において、圧損を考慮する圧損モデル、冷媒の逆流を考慮する逆流モデルを組み入れてもよい。ただし、これらのモデルは、非線形モデルとなるため、特性の近似を行うことが必要となる。例えば、圧損モデルは、圧力と流量との関係をモデル化し、このモデルを滑らかな曲線として表されるSoftplus関数を用いて近似を行うことが可能である。また、逆流モデルについては、エンタルピーの移動を考慮し、Sigmoid関数を用いた近似を行うことが可能である。
また、弁開度や圧縮機の圧力ヘッドの計算などの上下限処理が発生する特性では、上下限が適用される値の境目で勾配が不連続となり、最適化ができないため、近似を行う必要がある。
以下、圧損モデルの近似、上下限処理の近似、逆流モデルの近似について説明する。
また、弁開度や圧縮機の圧力ヘッドの計算などの上下限処理が発生する特性では、上下限が適用される値の境目で勾配が不連続となり、最適化ができないため、近似を行う必要がある。
以下、圧損モデルの近似、上下限処理の近似、逆流モデルの近似について説明する。
[圧損モデルの近似]
例えば、圧損は、流量の2乗に比例するため、差圧と流量の関係は以下の(15)式のようにモデル化される。
例えば、圧損は、流量の2乗に比例するため、差圧と流量の関係は以下の(15)式のようにモデル化される。
ここで、signは、符号を選択する関数である。
勾配法を用いた最適化計算を行うためには、対象となる数式モデルが全ての領域で二階微分可能である必要がある。上記(15)式では、ΔPが0のとき右辺の勾配が無限大となるため、最適化計算を行うことが難しい。このため、入力が正の値に対してはそのまま出力し、それ以外は0を返すReLU関数を用いることにより、(15)式を以下の(16)式で表すことができる。
勾配法を用いた最適化計算を行うためには、対象となる数式モデルが全ての領域で二階微分可能である必要がある。上記(15)式では、ΔPが0のとき右辺の勾配が無限大となるため、最適化計算を行うことが難しい。このため、入力が正の値に対してはそのまま出力し、それ以外は0を返すReLU関数を用いることにより、(15)式を以下の(16)式で表すことができる。
更に、ReLU関数に似た滑らかな曲線である(17)式で表されるSoftplus関数を用いて、上記(16)式を近似することにより、(18)式を得ることができる。
ここで、kは滑らかさを決める正の値のパラメータである。パラメータkの値を大きくするにつれて近似精度が向上する一方で、勾配が急になることから、最適計算がしにくいというトレード関係にある。パラメータkの値によって、近似精度と最適計算のしやすさを調整することができる。
[上下限処理の近似]
弁開度や圧縮機の圧力ヘッドの計算などの上下限処理が発生する特性では、上下限が適用される値の境目で勾配が不連続となり、最適化ができない。このため、近似を行う必要がある。
例えば、下限を取るmin(a,b)は、-max(-a,-b)と等価であるため、[Lx,Ux]での上下限処理は以下の(19)式で表すことができる。
弁開度や圧縮機の圧力ヘッドの計算などの上下限処理が発生する特性では、上下限が適用される値の境目で勾配が不連続となり、最適化ができない。このため、近似を行う必要がある。
例えば、下限を取るmin(a,b)は、-max(-a,-b)と等価であるため、[Lx,Ux]での上下限処理は以下の(19)式で表すことができる。
このとき、maxを(20)式で表されるLSE(Log Sum Exponential)に置き換えることにより、(19)式は、(21)式で表すことができる。
[逆流モデルの近似]
冷媒の逆流を考慮するときエンタルピーの移動も併せて考慮する必要がある。しかしながら、流れてくる方向に応じて特性を切り替える必要があり、切り替えの境目で勾配が不連続となり最適化ができない。このため、Sigmoid関数を用いた近似を行う。Sigmid関数を用いて逆流モデルの挙動を以下の(22)式の通り表すことができる。
冷媒の逆流を考慮するときエンタルピーの移動も併せて考慮する必要がある。しかしながら、流れてくる方向に応じて特性を切り替える必要があり、切り替えの境目で勾配が不連続となり最適化ができない。このため、Sigmoid関数を用いた近似を行う。Sigmid関数を用いて逆流モデルの挙動を以下の(22)式の通り表すことができる。
このようにして、事前にターボ冷凍機1の数理モデル(本実施形態では、物理モデル)を構築しておき、記憶部52に予め格納しておく。なお、最適化演算に用いる数理モデルは、上記に限られない。例えば、求められる最適化演算の精度に応じて簡素化することとしてもよい。また、公知の技術を用いて適宜運用に合わせて構築することが可能である。
上記の物理モデルに基づいて、評価関数J、微分方程式F、代数方程式G、不等式制約Hを導出し、最適化に用いる。
評価関数Jは、操作変数U、状態変数X、代数変数Zの数をそれぞれnu、nx、nzとし、時間方向の分割数をntとして、以下の(23)式のように定式化できる。これをもとに、本実施形態では、(24)式で表される評価関数Jを用いる。
(24)式に示す評価関数は、負荷追従モードに移行する移行条件として、冷水出口温度Tweoが7℃になること、第2圧縮機の質量流量Gcp2と高段膨張弁の質量流量Gheが同じ値になること、第1圧縮機25aの質量流量Gcp1と低段膨張弁16の質量流量Gleが同じ値になること、第1ベーン開度Vcp1と第2ベーン開度Vcp2とが同じ値になること、蒸発器の液位Leと凝縮器の液位Lcとが同じ高さになることを意味している。そして、最適解演算部53は、これらの条件を満たすまでの時間(t0~tn)を最小化する操作変数Uを最適解として導出する。
また、境界条件として、例えば、冷水入口温度Twei、冷却水入口温度Twci、バイパス弁開度Vbyを設定する。
また、制約条件は、微分方程式F、代数方程式G、不等式制約Hを用いて、以下の(25)式の通り設定する。
繰り返しになるが、状態変数Xiとして、例えば、凝縮器12の平均密度ρc、凝縮器12の平均エネルギー密度Ec、冷却水出口温度Twco、中間冷却器の平均密度ρc、中間冷却器の平均エネルギー密度Em、蒸発器の平均密度ρe、蒸発器の平均エネルギー密度Ee、冷水出口温度Tweo、及び圧縮機11の中間吸込圧力Pcpを用いる。
操作変数Uiとして、例えば、圧縮機インバータ周波数(以下「インバータ周波数」という。)Fcp、第1ベーン開度Vcp1、第2ベーン開度Vcp2、高段膨張弁開度Vhe、低段膨張弁開度Vleを用いる。また、操作変数として、バイパス弁開度Vbyを更に用いてもよい。
更に、本実施形態では、以下の表1に示すように、最適解を演算する操作変数を制限するための操作変数の制約条件が与えられている。また、図5は、以下の操作変数の制約条件をグラフ化したものである。
表1及び図5に示すように、ターボ冷凍機1の起動開始からターボ冷凍機1の状態量が所定の移行条件を満たすまでの起動期間(t0~tf)を複数に分割した区間毎に、最適解を演算する操作変数の数を限定するとともに、各区間においてそれぞれ異なる操作変数の最適解を演算するように制約条件が設定されている。
本実施形態では、起動期間を第1区間(t1b≦t≦t1e)、第1区間よりも遅い第2区間(t2b≦t≦t2e)、第2区間よりも遅い第3区間(t3b≦t≦t3e)に分割している。各区間において、最適解を演算する操作変数は制限されており、かつ、各区間において演算する操作変数を異ならせている。ここで、添え字b(bigining)は、その区間の開始を意味し、添え字e(end)は、その区間の終端を意味する。
第1区間では、最適解を演算する操作変数がインバータ周波数Fcpに制約される。このとき、第1ベーン開度Vcp1、第2ベーン開度Vcp2、高段膨張弁開度Vhe、低段膨張弁開度Vle、バイパス弁開度Vbyについては、初期値を用いる。
また、第2区間では、最適解を演算する操作変数が、第1ベーン開度Vcp1、第2ベーン開度Vcp2に制約される。このとき、インバータ周波数Fcp及びバイパス弁開度Vbyについてはフィードバック制御値を用い、高段膨張弁開度Vhe、低段膨張弁開度Vleについては初期値を用いることとなる。
また、第3区間では、最適解を演算する操作変数が、高段膨張弁開度Vhe、低段膨張弁開度Vleに生着される。このとき、インバータ周波数Fcp、第1ベーン開度Vcp1、第2ベーン開度Vcp2、バイパス弁開度Vbyについてはフィードバック制御値を用いることとなる。
このように、制約変数の制約条件を与えることにより、最適解を演算する操作変数の数を制限することができ、全ての操作変数を起動期間において演算する場合に比べて処理負担を軽減することができるとともに、演算時間を削減することが可能となる。これにより、オンライン制御に適用可能とすることができる。
本実施形態において、第1区間から第2区間への切り替えタイミング、第2区間から第3区間への切り替えタイミングは動的に決定される。例えば、最適化演算において、ターボ冷凍機の状態量が所定の切替条件を満たしたときに区間を切り替えることとしてもよい。
切替条件に用いる状態量として、例えば、冷水出口温度Tweo、冷水出入口温度差(Twio-Tweo)、蒸発圧力Pe、凝縮圧力Pc、及びその差圧(Pe-Pc)等が挙げられる。
切替条件に用いる状態量として、例えば、冷水出口温度Tweo、冷水出入口温度差(Twio-Tweo)、蒸発圧力Pe、凝縮圧力Pc、及びその差圧(Pe-Pc)等が挙げられる。
例えば、冷水出口温度が所定の切替目標値に達した場合に第1区間から第2区間に切り替えることとしてもよい。また、冷水出入口温度差(Twio-Tweo)が所定の切替目標値に達した場合に、第2区間から第3区間に切り替えることとしてもよい。また、蒸発圧力Peと凝縮圧力Pcとの差圧が所定の切替目標値に達した場合に、移行条件を満たしたと判定することとしてもよい。なお、これらについては一例であり、これに限られない。切替条件をどのように設定するかといった点については、ターボ冷凍機1の運用に照らして適切な値を適宜設定することが可能である。
なお、各区間の境界において、状態変数は連続性を有する必要がある。このため、以下の通り、状態変数の区間切替に伴う制約条件として、状態変数の連続性が設定される。
X(t0)=X(t1b)=Xs(起動前の初期条件 計測値)
X(t1e)=X(t2b)
X(t2e)=X(t3b)
X(t3e)=X(tf)=Xf(起動後の終端条件 目標値)
X(t1e)=X(t2b)
X(t2e)=X(t3b)
X(t3e)=X(tf)=Xf(起動後の終端条件 目標値)
最適解演算部53は、上記のような制約条件が課された評価関数を用いて最適解の演算を行う。ここで、最適解の具体的な演算手法として、種々の手法が提案されている。例えば、最適化手法は、動的計画法(ハミルトン-ヤコビ-ベルマン方程式)、Indirect Methods(ポントリヤーギンの最大原理)、動的問題を静的なNLP(Non-Linear Programming)問題に変換して解くDirect Methodsの3つに大別できる。したがって、このうちのいずれかを適宜採用して最適化を行うことが考えられる。しかしながら、動的計画法は扱える問題のサイズに制限があり、Indirect Methodは非線形性を考慮した微分方程式を解くことや制約条件を処理することが難しい。
上記を踏まえ、本実施形態に係る最適解演算部53は、Direct Methodsを最適化手法として用いて最適化を行う。このうち、操作変数と状態変数とを最適化変数とし、状態変数に対して直接制約を課すことができる最適化手法を適用する。具体的には、単一シューティング法(single shooting method)、多重シューティング法(multiple Shooting method)、collotation法のうち、運用に応じて適宜最適な一つを用いることが可能である。
次に、本実施形態に係るターボ冷凍機1の起動シーケンス生成装置50の動作について説明する。
まず、状態量取得部51は、ターボ冷凍機1の現在の状態量Xtを取得し、取得した状態量(初期状態量)X(t)=Xi(t=0)を最適解演算部53に出力する。
最適解演算部53は、取得した状態量X(t)=Xi(i=0)、記憶部52に格納されている物理モデル、評価関数、及び制約条件を用いて、最適化演算を行う。すなわち、起動開始t0から起動終了tfまでの起動期間(tf-t0)を最小とする複数の操作変数の最適解を演算する。
まず、状態量取得部51は、ターボ冷凍機1の現在の状態量Xtを取得し、取得した状態量(初期状態量)X(t)=Xi(t=0)を最適解演算部53に出力する。
最適解演算部53は、取得した状態量X(t)=Xi(i=0)、記憶部52に格納されている物理モデル、評価関数、及び制約条件を用いて、最適化演算を行う。すなわち、起動開始t0から起動終了tfまでの起動期間(tf-t0)を最小とする複数の操作変数の最適解を演算する。
これにより、図5に示すように、第1区間では、インバータ周波数Fcpの操作変数の最適解が、第2区間では第1ベーン開度Vcp1、第2ベーン開度Vcp2の操作変数の最適解が、第3区間では、高段膨張弁開度Vhe、低段膨張弁開度Vleの操作変数の最適解が算出される。
最適解演算部53は、算出した各区間(時刻)、各操作変数の最適解をそれぞれ関連付けた最適化プロファイルを生成し、最適化プロファイルを操作量制御部60に出力する。
ここで、最適化プロファイルとは、ターボ冷凍機1の起動シーケンスを規定したデータであり、例えば、時刻(例えば、t1b、t1e、t2b、t2e、t3b、t3e)毎に各操作変数の操作量が示された行列である。各操作変数の操作量には、上述した表1に基づいて、最適解、初期値、フィードバック制御値のいずれが設定されることとなる。
最適解演算部53は、算出した各区間(時刻)、各操作変数の最適解をそれぞれ関連付けた最適化プロファイルを生成し、最適化プロファイルを操作量制御部60に出力する。
ここで、最適化プロファイルとは、ターボ冷凍機1の起動シーケンスを規定したデータであり、例えば、時刻(例えば、t1b、t1e、t2b、t2e、t3b、t3e)毎に各操作変数の操作量が示された行列である。各操作変数の操作量には、上述した表1に基づいて、最適解、初期値、フィードバック制御値のいずれが設定されることとなる。
操作量制御部60は、最適化プロファイルを受けとると、最適化プロファイルに基づく各種操作量を制御対象、例えば、インバータ21、IGV23a、23b、高段膨張弁14、低段膨張弁16、ホットガスバイパス弁18に与える。そして、各種操作量がターボ冷凍機1に与えられることにより、ターボ冷凍機1の各種状態量が変化し、この変化が各種センサ31~38による検出値に現われることとなる。
ターボ冷凍機1が備える各種センサ31~38は、それぞれ所定のサンプリング周期で状態量を検出しており、センサ検出値は制御装置10に送信されるように構成されている。これにより、起動シーケンス生成装置50の状態量取得部51には、制御対象からの状態量がそれぞれのサンプリング周期で入力されることとなる。
状態量取得部51は、取得した状態量を最適解演算部53に出力する。これにより、最適解演算部53は、最適化演算に実際の状態量を反映させることができる。すなわち、最適解演算部53は、起動開始時(又は起動開始前)に最適化演算を行った後も、所定の演算周期で最適化演算を繰り返し実行する。これにより、起動開始時から現時点までの状態変数として実際のセンサ検出値を用いるとともに、現時点から先の将来の状態変数として物理モデルを用いた推定値を用いて最適解の演算を行うことが可能となる。
そして、最適解演算部53によって繰り返し最適化演算が行われることにより、操作量制御部60には所定の演算周期で新しい最適化プロファイルが与えられることとなる。操作量制御部60は、新たな最適化プロファイルが与えられると、与えられた最適化プロファイルに基づく操作量を制御対象に与える。
このようにして、最適化プロファイルの更新と、最適化プロファイルに基づくターボ冷凍機1の起動制御とが繰り返し行われることにより、ターボ冷凍機1の状態量が所定の移行条件を満たすと、制御装置10は起動モードから負荷追従モードに制御モードを移行させる。また、これに伴い、最適解演算部53による最適解の演算も終了する。
以上説明してきたように、本実施形態に係るターボ冷凍機1の起動シーケンス生成装置50、起動シーケンス生成方法、及びプログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
起動開始時におけるターボ冷凍機1の初期状態量を取得する状態量取得部51と、状態変数に制約条件が与えられるとともに、ターボ冷凍機の操作変数と状態変数とを最適化変数とする評価関数と、ターボ冷凍機1の数理モデルと、初期状態量とを用いて、複数の操作変数の最適解を演算する最適解演算部53とを備える。
このように、ターボ冷凍機の数理モデルと、評価関数と、初期状態量とを用いて操作量の最適化を行うので、ターボ冷凍機の起動開始時の状態に応じた最適な操作量を用いて起動制御を行うことが可能となる。これにより、時間経過に基づいてモード移行を行う従来の起動制御に比べて、ターボ冷凍機1の起動時間を短くすることが可能となる。
また、操作変数は、インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、膨張弁開度の少なくとも一つを含み、状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含むように設定されている。これにより、ターボ冷凍機1の冷凍サイクルの動的挙動を表現するのに適した変数を用いて操作量の最適化を行うことが可能となる。
また、最適解演算部53は、ターボ冷凍機1の起動開始からターボ冷凍機1の状態量が所定の移行条件を満たすまでの起動期間を複数に分割した区間毎に、最適解を演算する前記操作変数の数を制限するとともに、各前記区間においてそれぞれ異なる前記操作変数の最適解を演算する。
これにより、最適解を演算する演算処理の負担を低減させることができ、かつ、演算時間を削減することが可能となる。これにより、リアルタイムでのターボ冷凍機1の起動制御が可能となる。
図6は、本実施形態に係るターボ冷凍機1の起動シーケンス生成装置50によって起動制御を行った場合と従来の起動制御を行った場合の冷水出口温度、冷水入口温度、冷却水出口温度、及び冷却水入口温度の挙動を比較して示した図である。図6から、本実施形態に係る起動シーケンス生成装置50による起動シーケンスに従って起動制御を行うことにより、従来に比べて起動時間が短縮されていることがわかる。
〔他の実施形態〕
なお、上述した実施形態では、ターボ冷凍機の冷媒サイクルの動的挙動を計算する物理モデルを用いて操作量の最適化演算を行っていたが、物理モデルは、この例に限られない。例えば、冷水入口温度、冷却水入口温度などの予測値を得ることができれば、ターボ冷凍機1の挙動の予測精度を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、ターボ冷凍機の冷媒サイクルの動的挙動を計算する物理モデルを用いて操作量の最適化演算を行っていたが、物理モデルは、この例に限られない。例えば、冷水入口温度、冷却水入口温度などの予測値を得ることができれば、ターボ冷凍機1の挙動の予測精度を向上させることができる。
そこで、このような精度向上を図るために、例えば、図7に示すように、熱負荷から冷水入口温度の予測値を取得するための冷水予測モデル(例えば、冷水流路モデル等)MD1を物理モデルに含めることとしてもよい。また、気温から冷却水温度の予測値を取得するための冷却水予測モデル(例えば、冷却水流路モデル等)MD2を物理モデルに含めることとしてもよい。このように、冷水予測モデルMD1を物理モデルに含めることにより、熱負荷の状態に応じた冷水入口温度の変化を考慮した最適化演算を行うことが可能となる。また、冷却水予測モデルMD2を物理モデルに含めることにより、外気に伴う冷却水入口温度の変化を考慮した最適化演算を行うことが可能となる。
これにより、最適化演算の精度を向上させることができ、ターボ冷凍機1の起動時における操作量をより適切な値に制御することが可能となる。
これにより、最適化演算の精度を向上させることができ、ターボ冷凍機1の起動時における操作量をより適切な値に制御することが可能となる。
以上、本開示のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置50、起動シーケンス生成方法、及びプログラムについて実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態で用いたターボ冷凍機1の構成は一例であり、この構成に限られない。例えば、中間冷却器15、ホットガスバイパス管17及びホットガスバイパス弁18の少なくともいずれか一つを省略した構成とされていてもよい。また、圧縮機11は、2段圧縮機を例示して説明したが、1段(単段)の圧縮機であってもよい。また、操作量の最適化に用いる数理モデルについては、省略された構成に応じて適宜構築すればよい。
また、上述した実施形態では、制御装置10が起動シーケンス生成装置50を備える場合について例示して説明したが、これに限られない。制御装置10と起動シーケンス生成装置50とは、それぞれ別体とされ、通信回線を介して情報の授受が可能な構成とされていてもよい。
また、上述した実施形態では、最適化演算の演算処理を軽減するために、表1に示すような制約条件を課していたがこの例に限られない。例えば、図5に示すように、第1区間、第2区間、第3区間のように区間を区切らずに、起動期間全域において、全ての操作変数の最適解を繰り返し演算することとしてもよい。
以上説明した実施形態に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置、起動シーケンス生成方法、及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、圧縮機(11)、凝縮器(12)、膨張弁(14,16)、及び蒸発器(13)を備えるターボ冷凍機の起動シーケンスを生成する起動シーケンス生成装置であって、起動開始時における前記ターボ冷凍機の初期状態量を取得する状態量取得部(51)と、制約条件を与えられた状態変数とターボ冷凍機の操作変数とを最適化変数とする評価関数と、前記ターボ冷凍機の数理モデルと、前記初期状態量とを用いて、複数の前記操作変数の最適解を演算する最適解演算部(52)とを備え、前記操作変数は、圧縮機インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、及び膨張弁開度の少なくとも一つを含み、前記状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含む。
このように、ターボ冷凍機の数理モデルと、評価関数と、初期状態量とを用いて操作量の最適化を行うので、ターボ冷凍機の起動開始時の状態に応じた最適な操作量を用いて起動制御を行うことが可能となる。これにより、時間経過に基づいてモード移行を行う従来の起動制御に比べて、ターボ冷凍機1の起動時間を短くすることが可能となる。
また、操作変数は、圧縮機インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、膨張弁開度の少なくとも一つを含み、状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含む。これにより、ターボ冷凍機1の冷凍サイクルの動的挙動を表現するのに適した変数を用いて操作量の最適化を行うことが可能となる。
本開示の第2態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第1態様において、前記状態量取得部は、複数の前記操作変数の最適解に基づく操作量を前記ターボ冷凍機に与えることによって変化した状態量を取得し、前記最適解演算部は、前記状態量が所定の移行条件を満たすまで、前記状態量取得部によって取得された状態量を演算に用いて、複数の前記操作変数の最適解の繰り返し演算を行うこととしてもよい。
このように、ターボ冷凍機の起動制御が開始された後においては、ターボ冷凍機に操作量が与えられることによって変化した状態量を用いた操作変数の最適解の演算が繰り返し行われる。これにより、実機の挙動を反映した最適解を得ることが可能となる。
本開示の第3態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第1態様又は前記第2態様において、前記最適解演算部は、ターボ冷凍機の起動開始からターボ冷凍機の状態量が所定の移行条件を満たすまでの起動期間を複数に分割した区間毎に、最適解を演算する前記操作変数の数を制限するとともに、各前記区間においてそれぞれ異なる前記操作変数の最適解を演算することとしてもよい。
これにより、最適解を演算する演算処理の負担を低減させることができ、かつ、演算時間を削減することが可能となる。したがって、リアルタイムでのターボ冷凍機の起動制御が可能となる。
本開示の第4態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第3態様において、複数の前記区間は、第1区間と、前記第1区間よりも遅い第2区間とを含み、前記最適解演算部は、前記第1区間において、前記圧縮機インバータ周波数の最適解の演算を行うこととしてもよい。
これにより、第1区間では、最適解として得られた圧縮機インバータ周波数の操作量を用いた起動制御が行われる。
本開示の第5態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第4態様において、前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数を含み、前記最適解演算部は、前記第1区間において、圧縮機ベーン開度及び前記膨張弁開度については、予め設定された初期値を用いることとしてもよい。
これにより、第1区間では、圧縮機ベーン開度及び前記膨張弁開度の操作量については、予め設定された初期値を用いた起動制御が行われる。
本開示の第6態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第4態様又は前記第5態様において、前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数及び前記圧縮機ベーン開度を含み、前記最適解演算部は、前記第2区間において、前記圧縮機ベーン開度の最適解の演算を行うこととしてもよい。
これにより、第2区間では、最適解として得られた圧縮機ベーン開度の操作量を用いた起動制御が行われる。
本開示の第7態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第4態様から前記第6態様のいずれかにおいて、前記最適解演算部は、前記第2区間において、前記圧縮機インバータ周波数の操作量としてフィードバック制御値を用いることとしてもよい。
これにより、第2区間では、圧縮機インバータ周波数の操作量としてフィードバック制御値を用いた起動制御が行われる。
本開示の第8態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第4態様から前記第7態様において、前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数及び膨張弁開度を含み、前記区間は、前記第2区間よりも遅い第3区間を含み、前記最適解演算部は、前記第3区間において、前記膨張弁開度の最適解の演算を行うこととしてもよい。
これにより、第3区間では、最適解として得られた膨張弁開度の操作量を用いた起動制御が行われる。
本開示の第9態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第8態様において、前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数、前記膨張弁開度、及び前記圧縮機ベーン開度を含み、前記最適解演算部は、前記第3区間において、前記圧縮機インバータ周波数の操作量及び前記圧縮機ベーン開度の操作量としてフィードバック制御値を用いることとしてもよい。
これにより、第3区間では、圧縮機インバータ周波数及び圧縮機ベーン開度の操作量としてフィードバック制御値を用いた起動制御が行われる。
本開示の第10態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第1態様から前記第9態様のいずれかにおいて、前記ターボ冷凍機の数理モデルは、前記ターボ冷凍機が備える熱交換器におけるエネルギーバランスとマスバランスと圧力との関係を示した物理モデルを含むこととしてもよい。
これにより、ターボ冷凍機の冷凍サイクルの挙動を表す物理モデルを用いて操作量の最適化演算を行うことが可能となる。
本開示の第11態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第1態様から前記第10態様のいずれかにおいて、前記数理モデルは、圧損を表した圧損モデル及び冷媒の逆流を表した逆流モデルを含むこととしてもよい。
これにより、物理モデルをターボ冷凍機の実機特性により近づけることが可能となる。
本開示の第12態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第1態様から前記第11態様のいずれかにおいて、前記数理モデルは、熱負荷から冷水入口温度の予測値を取得するための冷水予測モデルを含むこととしてもよい。
このように、冷水予測モデルを物理モデルに含めることにより、熱負荷の状態に応じた冷水入口温度の変化を考慮した最適化演算を行うことが可能となる。これにより、最適化演算の精度を向上させることができ、ターボ冷凍機の起動時における操作量をより適切な値に制御することが可能となる。
本開示の第13態様に係るターボ冷凍機(1)の起動シーケンス生成装置(50)は、前記第1態様から前記第12態様のいずれかにおいて、前記数理モデルは、気温から冷却水温度の予測値を取得するための冷却水予測モデルを含むこととしてもよい。
このように、冷却水予測モデルを物理モデルに含めることにより、外気に伴う冷却水入口温度の変化を考慮した最適化演算を行うことが可能となる。これにより、最適化演算の精度を向上させることができ、ターボ冷凍機の起動時における操作量をより適切な値に制御することが可能となる。
本開示の第14態様に係るターボ冷凍機(1)の制御装置(10)は、前記第1態様から前記第13態様のいずれかに記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置を備える。
本開示の第15態様に係るターボ冷凍機(1)は、上記第14態様に係るターボ冷凍機の制御装置を備える。
本開示の第16態様に係るプログラムは、コンピュータを前記第1態様から前記第13態様のいずれかに記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置として機能させるためのプログラムである。
本開示の第17態様に係るターボ冷凍機の起動シーケンス生成方法は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を備えるターボ冷凍機の起動シーケンスを生成する起動シーケンス生成方法であって、起動開始時における前記ターボ冷凍機の初期状態量を取得する状態量取得ステップと、制約条件を与えられた状態変数とターボ冷凍機の操作変数とを最適化変数とする評価関数と、前記ターボ冷凍機の数理モデルと、前記初期状態量とを用いて、複数の前記操作変数の最適解を演算する最適解演算ステップとをコンピュータが実行し、前記操作変数は、圧縮機インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、膨張弁開度の少なくとも一つを含み、前記状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含む。
1:ターボ冷凍機
10:制御装置
11:圧縮機
12:凝縮器
13:蒸発器
14:高段膨張弁
15:中間冷却器
16:低段膨張弁
17:ホットガスバイパス管
18:ホットガスバイパス弁
21:インバータ
22:モータ
25a:第1圧縮機
25b:第2圧縮機
31:圧力センサ
32:流量センサ
33:温度センサ
34:温度センサ
35:圧力センサ
36:流量センサ
37:温度センサ
38:温度センサ
41:CPU
42:主記憶装置
43:二次記憶装置
44:通信インターフェース
50:起動シーケンス生成装置
51:状態量取得部
52:記憶部
53:最適解演算部
60:操作量制御部
10:制御装置
11:圧縮機
12:凝縮器
13:蒸発器
14:高段膨張弁
15:中間冷却器
16:低段膨張弁
17:ホットガスバイパス管
18:ホットガスバイパス弁
21:インバータ
22:モータ
25a:第1圧縮機
25b:第2圧縮機
31:圧力センサ
32:流量センサ
33:温度センサ
34:温度センサ
35:圧力センサ
36:流量センサ
37:温度センサ
38:温度センサ
41:CPU
42:主記憶装置
43:二次記憶装置
44:通信インターフェース
50:起動シーケンス生成装置
51:状態量取得部
52:記憶部
53:最適解演算部
60:操作量制御部
Claims (17)
- 圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を備えるターボ冷凍機の起動シーケンスを生成する起動シーケンス生成装置であって、
起動開始時における前記ターボ冷凍機の初期状態量を取得する状態量取得部と、
制約条件を与えられた状態変数とターボ冷凍機の操作変数とを最適化変数とする評価関数と、前記ターボ冷凍機の数理モデルと、前記初期状態量とを用いて、複数の前記操作変数の最適解を演算する最適解演算部と
を備え、
前記操作変数は、圧縮機インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、及び膨張弁開度の少なくとも一つを含み、
前記状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含むターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。 - 前記状態量取得部は、複数の前記操作変数の最適解に基づく操作量を前記ターボ冷凍機に与えることによって変化した状態量を取得し、
前記最適解演算部は、前記状態量が所定の移行条件を満たすまで、前記状態量取得部によって取得された状態量を演算に用いて、複数の前記操作変数の最適解の繰り返し演算を行う請求項1に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。 - 前記最適解演算部は、ターボ冷凍機の起動開始からターボ冷凍機の状態量が所定の移行条件を満たすまでの起動期間を複数に分割した区間毎に、最適解を演算する前記操作変数の数を制限するとともに、各前記区間においてそれぞれ異なる前記操作変数の最適解を演算する請求項1に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。
- 前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数を含み、
複数の前記区間は、第1区間と、前記第1区間よりも遅い第2区間とを含み、
前記最適解演算部は、前記第1区間において、前記圧縮機インバータ周波数の最適解の演算を行う請求項3に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。 - 前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数、前記圧縮機ベーン開度、及び膨張弁開度を含み、
前記最適解演算部は、前記第1区間において、前記圧縮機ベーン開度及び前記膨張弁開度については、予め設定された初期値を用いる請求項4に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。 - 前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数及び前記圧縮機ベーン開度を含み、
前記最適解演算部は、前記第2区間において、前記圧縮機ベーン開度の最適解の演算を行う請求項4に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。 - 前記最適解演算部は、前記第2区間において、前記圧縮機インバータ周波数の操作量としてフィードバック制御値を用いる請求項6に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。
- 前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数及び膨張弁開度を含み、
前記区間は、前記第2区間よりも遅い第3区間を含み、
前記最適解演算部は、前記第3区間において、前記膨張弁開度の最適解の演算を行う請求項4に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。 - 前記操作変数は、前記圧縮機インバータ周波数、前記膨張弁開度、及び前記圧縮機ベーン開度を含み、
前記最適解演算部は、前記第3区間において、前記圧縮機インバータ周波数の操作量及び前記圧縮機ベーン開度の操作量としてフィードバック制御値を用いる請求項8に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。 - 前記ターボ冷凍機の数理モデルは、前記ターボ冷凍機が備える熱交換器におけるエネルギーバランスとマスバランスと圧力との関係を示した物理モデルを含む請求項1に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。
- 前記数理モデルは、圧損を表した圧損モデル及び冷媒の逆流を表した逆流モデルを含む請求項1に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。
- 前記数理モデルは、熱負荷から冷水入口温度の予測値を取得するための冷水予測モデルを含む請求項1に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。
- 前記数理モデルは、気温から冷却水温度の予測値を取得するための冷却水予測モデルを含む請求項1に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置。
- 請求項1に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置を備えるターボ冷凍機の制御装置。
- 請求項14に記載のターボ冷凍機の制御装置を備えるターボ冷凍機。
- コンピュータを請求項1に記載のターボ冷凍機の起動シーケンス生成装置として機能させるためのプログラム。
- 圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を備えるターボ冷凍機の起動シーケンスを生成する起動シーケンス生成方法であって、
起動開始時における前記ターボ冷凍機の初期状態量を取得する状態量取得ステップと、
制約条件を与えられた状態変数とターボ冷凍機の操作変数とを最適化変数とする評価関数と、前記ターボ冷凍機の数理モデルと、前記初期状態量とを用いて、複数の前記操作変数の最適解を演算する最適解演算ステップと
をコンピュータが実行し、
前記操作変数は、圧縮機インバータ周波数、圧縮機ベーン開度、膨張弁開度の少なくとも一つを含み、
前記状態変数は、凝縮器の平均密度、凝縮器の平均エネルギー密度、冷却水出口温度、蒸発器の平均密度、蒸発器の平均エネルギー密度、冷水出口温度、及び圧縮機の吸込圧力の少なくとも一つを含むターボ冷凍機の起動シーケンス生成方法。
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