JP2024010718A - 粘着層付き通気緩衝シート - Google Patents

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Kenji Yoshino
秀夫 野口
Hideo Noguchi
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Abstract

【課題】施工面に敷設された後、部分的に塗工されている粘着剤部位と非粘着剤部位との段差が、粘着層付き通気緩衝シートの表面でも塗膜防水層の表面でも顕在化せず、平滑な表面状態を維持できる粘着層付き通気緩衝シートを提供する。【解決手段】シート状物1及び粘着層2を有する粘着層付き通気緩衝シートTSであって、該シート状物が、少なくとも、最上層と最下層に、引張弾性率が3000~5500MPaであり、線膨張率が縦方法・横方向ともに2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルム1a・1eと、中間層に、引張弾性率が5~2000MPaの、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、又は、ポリウレタンゴムを含有する芯材1cと、が積層されている粘着層付き通気緩衝シート。【選択図】図1

Description

本発明は、塗膜防水工法に用いられる粘着層付き通気緩衝シートに関するものである。
ウレタン塗膜防水工法等に用いられる通気緩衝シートは、施工面のコンクリート下地等に含まれる水分を水蒸気として脱気筒から排出し、ウレタン塗膜防水層の膨れを防止するとともに下地クラック(ひび割れ)の動きを緩衝して防水層に伝わるのを防ぐもので、大別して、パンチ穴のあいた不織布製通気緩衝シートを施工面に接着剤を塗布して貼り付けるタイプと、粘着層付きの通気緩衝シートの離型フィルム(紙)を剥して施工面に貼り付ける自着タイプがある。
後者のタイプでは、該粘着層には、粘着剤が塗工されていない通気溝が存在していて、前記気体の通り道となっている。言い換えれば、裏面の粘着剤が塗工されていない非粘着部分(非粘着剤部位)は、施工面に対して水平方向(横方向)に連通しており、施工面からの水蒸気や膨張エアー等の通り道となって、該気体を脱気筒まで導いて該脱気筒から排出させ、塗膜防水層の膨れを防止している。
前者のパンチ穴のあいた不織布製通気緩衝シートの場合は、不織布の繊維間の空隙を水蒸気や膨張エアー等の通り道として、該気体を脱気筒まで導いて該脱気筒から排出させ、塗膜防水層の膨れを防止している。不織布製通気緩衝シートは、施工面への接着剤の塗布作業や不織布製通気緩衝シート貼り付け後に揺変性のある立ち上り用ウレタン防水材にてパンチ穴および不織布表面に目止め作業を行ない、且つ、目止めしたウレタン防水材が硬化するまで次工程に進めないなど、工程数も多く、工時期間も長くなることから、近年では、後者の粘着層付きの通気緩衝シートが多用されている。
後者の場合、従来、施工面に敷設される粘着層付き通気緩衝シートの表面(おもてめん)(上面)は、「表面(ひょうめん)をウレタン防水材との接着性を向上させるためにウレタン系物質にて処理をしたPETフィルム」に、ガラスメッシュ、ポリエステル不織布等がラミネートされ、裏面には、粘着ブチルゴム系又は粘着アスファルト系の粘着剤が部分的に塗工されている。
前記PETフィルムにラミネートされたガラスメッシュは、粘着層付き通気緩衝シートのシート状物の補強材として、寸法安定性と強度を確保するために用いられている。
しかしながら、ガラスメッシュは、線膨張率が、0.5×10-5と極めて小さい100~200本のガラスフィラメント(単繊維)を集束させたストランドに撚りをかけたヤーンや撚りをかけないロービングを縦糸と横糸で製織した織布であり、該縦糸も該横糸も、ガラスフィラメント(単繊維)は直線ではなく、捩れたり、波状にうねったりした状態となっている。
そのため、直線的にガラスフィラメント(単繊維)の全部がPETフィルムにラミネートされず、PETフィルムに接したヤーンやロービングの凸部の一部分のみがラミネートにより積層され、それ以外の部分は、ラミネートによりPETフィルムに直接接着されず、フリーの状態となっている。
そのため、従来の上述したシート状物は、それ自体に剛性がなく、縦にも横にも斜めにも伸び縮みし易く、施工面に粘着層付き通気緩衝シートを貼った時点で、例えば、図5(c)(b)に示したように、該粘着層付き通気緩衝シートにおいて、粘着剤部位直上は凸状に出っ張り、非粘着剤部位直上は凹状にへこみ、平滑な表面(上面)が得られなかった。
施工面に敷設された上述の粘着層付き通気緩衝シートに、セルフレベリング性を有する手塗りウレタン防水材を施工した場合、例えば、図5(b)に示したように、ウレタン防水塗膜は、セルフレベリングして表面的に平滑には仕上がるが、非粘着剤部位直上のへこんだ部分にはウレタン防水材が流れ込み、膜厚が厚くなり、粘着剤部位直上の凸部は、薄膜となってしまい、均一な防水塗膜が確保でき難いと言う欠点があった。
また、セルフレベリング性を有しない、機械化スプレー方式の速硬化ウレタン塗膜防水材を施工した場合、例えば、図5(c)に示したように、ウレタン防水塗膜自体の厚さは均一(同一)に塗工されるが、下地形状をそのままトレースするため、粘着剤部位直上の部分が凸状に出っ張り、非粘着剤部位直上が凹状にへこんだ状態で仕上がってしまい、防水塗膜の表面(上面)に平滑性が得られなかった。
粘着層付き通気緩衝シートの上には、約2~約3mmの厚みでウレタン防水材が塗工される。粘着層付き通気緩衝シートのシート状物は、通常は厚みが薄く、防水塗膜の方が厚い(ウレタン防水材の方が厚く塗工される)。
塗工されたウレタン防水材の熱による線膨張率は、15×10-5~30×10-5と極めて大きく、真夏の高温下では、ウレタン防水材の熱膨張によって、粘着層付き通気緩衝シートの非粘着剤部位直上のへこんだ部分(図5(a)(c)参照)が、更に伸ばされてへこみが大きくなり、施工面からの水蒸気等の通り道となる通気溝の空間(体積)を狭めてしまい、通気効率が悪くなり、防水塗膜に気体による膨れを発生させることがあった。
特開2011-057807号公報 特開2008-133671号公報 特開2021-165365号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、施工面に敷設された後も、部分的に塗工されている粘着剤部位(直上)と非粘着剤部位(直上)との段差が、粘着層付き通気緩衝シートの表面(上面)で顕在化せず、平滑な表面状態を維持できる粘着層付き通気緩衝シートを提供することである。
更に、四季の温度差にも順応し、図5(a)に示したように、粘着層付き通気緩衝シートの表面(シート状物の表面)が常に平滑に保たれ、結果として、ウレタン防水材が塗工されてなる防水塗膜の厚みが均一となり、更にその結果として、セルフレベリング性を有さないウレタン防水材を施工した場合であっても、防水塗膜の厚みが均一に保たれる粘着層付き通気緩衝シートを提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、「特定の物性を有する特定の材質のフィルムである最上層と、特定の物性を有する特定の樹脂を含有する芯材である中間層と、特定の物性を有する特定の材質のフィルムである最下層の少なくとも3層が積層されてなるシート状物」を有する粘着層付き通気緩衝シートを用いれば、前記した問題点と課題とが解決できることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、シート状物、及び、該シート状物の下に粘着層を有する粘着層付き通気緩衝シートであって、
該シート状物が、少なくとも、
最上層に、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルムと、
中間層に、引張弾性率(ヤング率)が、5MPa以上2000MPa以下の、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPT)、ブチルゴム(IIR)、又は、ポリウレタンゴムを含有する芯材と、
最下層に、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルムと、
が積層されているものであることを特徴とする粘着層付き通気緩衝シートを提供するものである。
また、本発明は、前記最上層の二軸延伸法ポリエステルフィルムの厚みが5μm以上100μm以下であり、前記中間層の芯材の厚みが0.05mm以上1.2mm以下であり、前記最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルムの厚みが5μm以上100μm以下である前記の粘着層付き通気緩衝シートを提供するものである。
また、本発明は、前記中間層の芯材には、無機充填材が含有されていないか、又は、該芯材全体に対して70質量%以下で含有されている前記の粘着層付き通気緩衝シートを提供するものである。
また、本発明は、前記中間層の芯材には、微細気泡、ミクロボイド若しくは亀裂が存在していないか、又は、該芯材全体に対して50容積%以下で存在している前記の粘着層付き通気緩衝シートを提供するものである。
また、本発明は、前記最下層の二軸延伸法ポリエステルの下に、ブチル系又は改質アスファルト系の粘着剤が部分的に設けられて前記粘着層を形成し、該粘着剤が設けられていない非粘着剤部位は、施工面に対して水平方向に連通して通気溝が形成されている前記の粘着層付き通気緩衝シートを提供するものである。
本発明によれば、前記問題点や課題を解決し、施工面に敷設された後、粘着剤が部分的に塗工されている粘着剤部位と、粘着剤が塗工されていない非粘着剤部位との差が、粘着層付き通気緩衝シートの施工中も施工後も顕在化せず、平滑な表面状態を維持する粘着層付き通気緩衝シートを提供することができる。
これにより、その後に、粘着層付き通気緩衝シートの表面(上面)に、セルフレベリング性を有する手塗りウレタン防水材を塗工した場合でも、粘着剤部位直上と非粘着剤部位直上とにおいて均一な厚みの塗膜防水層を確保することができる(図5(a)参照)。
また、セルフレベリング性を有しない、例えば、機械化スプレー方式の速硬化ウレタン塗膜防水材等を塗工した場合でも、平滑な仕上りの塗膜防水層を確保することができる(図5(a)参照)。
また、(通常は厚く)塗工された塗膜防水層(の熱膨張や溶剤系トップコート塗布後の溶剤による膨潤)によっても、非粘着剤部位直上の塗膜防止層の変形が少なく、従ってシート状物の変形も少なく、通気溝の空間(体積)が一定に保たれ、安定した通気性を維持することができる。
本発明の通気緩衝シートを用いれば、塗工直後の塗膜防水層(及びトップコート)の上面において、粘着剤部位直上と非粘着剤部位直上とで差が見られない(図5(a)参照)。一方、従来の通気緩衝シートを用いた場合には、図5(b)(c)に示したように、粘着剤部位直上と非粘着剤部位直上とで差が見られる。
更に、そのことに加え、(四季の)気温の変化によっても、塗膜防水層(及びトップコート層)の上面において、粘着剤部位直上と非粘着剤部位直上とで差が見られない(図5(a)参照)。特に、気温上昇を経験した後において、図5(c)に示したような「非粘着剤部位直上における凹み」が見られない。
ここで、「粘着剤部位AA」とは、下に粘着剤が部分的に設けられている粘着層付き通気緩衝シートTSの上面の部位のことであり、「非粘着剤部位NA」とは、下に粘着剤が部分的に設けられていない粘着層付き通気緩衝シートTSの上面の部位のことである。
また、「粘着剤部位直上AC」とは、下に粘着剤が部分的に設けられている粘着層付き通気緩衝シートTSの直上に位置する塗膜防水層TBの部分のことであり、「非粘着剤部位直上NC」とは、下に粘着剤が部分的に設けられていない粘着層付き通気緩衝シートTSの直上に位置する塗膜防水層TBの部分のことである。図5(a)(b)(c)参照。
従来の粘着層付き通気緩衝シートの表面平滑性が得られない原因を検討した結果、意外にも、シート状物に剛性がなく撓み易いことが最大の原因であることが分かった。また、前記した通り、ガラスメッシュで補強しても、該表面平滑性に殆ど寄与しないことが分かった。
シート状物に剛性を与える方法としては、簡単には、シート状物の素材を薄い鋼板にして、200000MPa程度の引張弾性率(ヤング率)のものにすることが考えられる。
しかしながら、現場での作業性や物流の観点から、粘着層付き通気緩衝シートは、幅1.0m程度、長さ10~25m程度の長尺シートを、3インチ程度の紙管に巻かれたものを、施工面に突き付けで貼り合わせて使用される。そのため、下記するような問題点が発生する。
すなわち、シート状物の素材として薄い鋼板を用いた場合の粘着層付き通気緩衝シートでは、製造時に紙管に巻き取ることが困難な上に、施工時の鋏やカッターによるカッティング作業において簡単に切断することも困難で、重量も重く、かつ、価格も高価になってしまう。
また、施工面である屋上コンクリート下地等の不陸や水勾配に追従せずに浮きがでたり、また、施工された粘着層付き通気緩衝シートは、冬期には、天空放射により、気温より低い温度まで低下し、夏期には、直射日光により、気温より大幅に高い温度まで上昇したりする。
冬期は、気温と天空放射によって(ウレタン)塗膜防水層の表面温度は、-20℃以下に下がり、夏期は、気温と直射日光(赤外線の吸収)によって、(ウレタン)塗膜防水層の表面温度は、60℃程度にまで上昇する。
シート状物の素材として薄い鋼板を用いた場合の粘着層付き通気緩衝シートを施工面に貼った場合、この温度変化による「引張弾性率(ヤング率)の極めて高い鋼板の膨張収縮」を粘着剤で抑えることができない。
この膨張と収縮は、鋼板の線膨張率に比例しているため、特に通気緩衝シートの長手方向のジョイントにおいて問題(障害)が顕著に表れ、高温時には膨張し、シートジョイントがぶつかって座屈し、低温時には収縮して、隙間が広がってしまう。
前記した問題を発生させずに、また、上記したシート状物に剛性を付与するために、本発明では、粘着層付き通気緩衝シートのシート状物の最上層に、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルム;中間層に、引張弾性率(ヤング率)が、5MPa以上2000MPa以下の、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPT)、ブチルゴム(IIR)又は、ポリウレタンゴムを含有する芯材;最下層に、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルムを積層した。
すなわち、本発明によって、最上層と最下層には、引張弾性率(ヤング率)が大きく、線膨張率の上限が規定された樹脂フィルムを用い、中間層に引張弾性率(ヤング率)が比較的小さい樹脂を使用すれば、上記した従来の問題点を解決できる。
更に、該最上層と該最下層の樹脂フィルムとして、上記の物性を満たす二軸延伸法ポリエステルフィルムを用いることによって、更に好ましくは、該最上層と該最下層のフィルムの厚みを5μm以上100μm以下とし、該中間層の芯材の厚みを0.05mm以上1.2mm以下とすることによって、前記した本発明の効果を特に発揮できる。
最上層と最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルムは、プラスチックフィルムの中で高抗張力を有し、例えば厚さ25μmのものでも手で破ることができないほど強靱で、かつ、線膨張率が、縦方法・横方向共に、2.0×10-5以下と極めて低くでき、かつ、使用温度範囲として、-70℃から+150℃まで安定した性質を持っている。
通気緩衝シートを用いた防水工法の一般的な施工面は、コンクリート下地となるが、コンクリートの線膨張率は、1.0×10-5 である。
通気緩衝シートを用いた際の塗膜防水層と施工面のコンクリート下地の表面温度は、若干の差はあるものの、略同温度と見なされる。
つまり、コンクリート下地は、温度変化に対して1.0×10-5で膨張収縮し、二軸延伸法ポリエステルフィルムは、2.0×10-5で膨張収縮する。
従って、本発明の粘着層付き通気緩衝シートの非粘着剤部位の二軸延伸法ポリエステルフィルムは、コンクリート下地と二軸延伸法ポリエステルフィルムの差である1.0×10-5程度膨張収縮して長さに差を生じる。
通気緩衝シートを用いた塗膜防水層と施工面のコンクリート下地の冬期の温度を-20℃、夏期の温度を60℃とした場合の非粘着剤部位の幅の変化量は、非粘着剤部位が、10mmの場合で0.008mm、20mmの場合で0.016mm、30mmの場合で、0.024mmとなる。
なお、「通気緩衝シート上に施工された、引張弾性率(ヤング率)が低く厚みが厚い(ウレタン)塗膜防水層」や「通気緩衝シートのシート状物の中間層である芯材」も、温度変化に対して膨張収縮するため、非粘着剤部位の幅の変化量は、上記の値よりも大きく変化するが、最上層と最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルムと比較して大幅に引張弾性率(ヤング率)が低いことから二軸延伸法ポリエステルフィルムに拘束されて膨張が抑制されて、平滑性を損なうことはない。
粘着層付き通気緩衝シートの非粘着剤部位の撓みに対する抵抗性(荷重)は、断面二次モーメントの式に当てはめると、シート状物の厚さの3乗に比例することから、シート状物の中間層に、芯材として、低温域でも柔軟性がある樹脂を用い、高抗張力を有した二軸延伸法ポリエステルフィルムを上下面にラミネートにより積層することで、非粘着剤部位の撓み難いシート状物を用いた粘着層付き通気緩衝シートを開発した。
更に、このシート状物は、これ自体で防水性能を保有しているため、このシート状物を用いた粘着層付き通気緩衝シートを施工面に敷設した後に降雨があった場合でも防水層として機能し、且つ、塗膜防水材を現場にて施工すると、複合防水として防水機能が高められる。
本発明の粘着層付き通気緩衝シートを下地に貼り付けたときの概略断面図である。 本発明の粘着層付き通気緩衝シートを下から見た概略平面図であって、粘着剤が部分的に設けられて粘着剤部位と、粘着剤が部分的に設けられていないで非粘着剤部位が形成されている形態の一例を示す図である。 本発明の粘着層付き通気緩衝シートを下から見た概略平面図であって、粘着剤が部分的に設けられて粘着剤部位と、粘着剤が部分的に設けられていないで非粘着剤部位が形成されている形態の一例を示す図である。 本発明の粘着層付き通気緩衝シートの概略断面図である。 粘着層付き通気緩衝シートの上面に、防水材を塗工して塗膜防水層を形成し、その後に熱履歴や溶剤系トップコート塗布後の溶剤による膨潤を受けた後の変形を示す概略断面図である。 (a)本発明の粘着層付き通気緩衝シートを使用し、その上にセルフレベリング性を有さない又は有するウレタン防水材を塗工して塗膜防水層を設けた場合 (b)従来の粘着層付き通気緩衝シートを使用し、その上にセルフレベリング性を有するウレタン防水材を塗工して塗膜防水層を設けた場合 (c)従来の粘着層付き通気緩衝シートを使用し、その上にセルフレベリング性を有さないウレタン防水材を塗工して塗膜防水層を設けた場合 実施例1~7(本発明)の、評価例1~5の各段階での上面(最表面)の平滑性を示す図である。 比較例1~7の、評価例1~5の各段階での上面(最表面)の平滑性を示す図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の粘着層付き通気緩衝シートは、シート状物、及び、該シート状物の下に粘着層を有する粘着層付き通気緩衝シートであって、該シート状物が、少なくとも、
最上層に、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルムと、
中間層に、引張弾性率(ヤング率)が、5MPa以上2000MPa以下の、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエステル樹脂、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPT)、ブチルゴム(IIR)、又は、ポリウレタンゴムを含有する芯材と、
最下層に、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルムと、が積層されているものであることを特徴とする。
<最上層>
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSのシート状物1の最上層は、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルム1aであることが必須である。
<<最上層の引張弾性率(ヤング率)>>
最上層の引張弾性率(ヤング率)は、3000MPa以上5500MPa以下であることが必須であるが、下限については、3300MPa以上であることが好ましく、3600MPa以上であることがより好ましく、3800MPa以上であることが特に好ましい。
最上層の引張弾性率(ヤング率)が小さ過ぎると、前記したような障害が生じる場合があり、特に、剛性が小さくなって、設置直後であっても撓んだり、上面に塗布された塗膜防水層TBの温度変化による膨張収縮によって、更に撓んだりする場合等がある。
一方、最上層の引張弾性率(ヤング率)が大き過ぎると、前記したような障害が生じる場合があり、特に、前記した薄い鋼板の場合と同様の障害が起こる場合がある。また、該値を満たす樹脂が存在しない若しくは極めて高価となる場合等がある。ただ、大きい引張弾性率(ヤング率)のものが存在するならば、薄膜で、且つ、中間層である芯材の熱膨張収縮を極力抑えられる程大きいものが好ましい。
<<最上層の線膨張率>>
最上層の線膨張率は、縦方法・横方向ともに、2.0×10-5以下であることが必須であるが、1.8×10-5以下であることが好ましく、1.7×10-5以下であることがより好ましく、1.6×10-5以下であることが特に好ましい。なお、線膨張率の下限は、そのようなものが存在するならば、最上層と「中間層である芯材」と最下層とが積層された状態で、コンクリート下地と同じ、1.0×10-5 程度であることが特に好ましい。
最上層の線膨張率が大き過ぎると、前記したような障害が生じる場合があり、温度変化によって撓む場合、特に非粘着剤部位NAがへこむ場合がある。
一方、小さ過ぎると、該値を満たす樹脂が存在しない若しくは極めて高価となる場合がある。
<<二軸延伸法ポリエステルフィルム>>
引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、熱線膨張率が、縦方法・横方向ともに、2.0×10-5以下である樹脂フィルムとしては、二軸延伸法ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等があるが、それらのうち、入手の容易さ、価格、薄膜特性、強度等の点から、二軸延伸法ポリエステルフィルムが最も好まし。本発明では、最上層と最下層は、二軸延伸法ポリエステルフィルム1a・1eであることが必須である。
<<最上層の厚み>>
最上層の厚みは、5μm以上100μm以下が好ましく、8μm以上80μm以下がより好ましく、12μm以上60μm以下が更に好ましく、15μm以上50μm以下が特に好ましい。
最上層の厚みが小さ過ぎると、上記した引張弾性率(ヤング率)が小さいときと同様の問題が生じる場合があり、最上層の二軸延伸法ポリエステルフィルム1aの引張弾性率(ヤング率)が大きいことによる前記効果を発揮できない場合がある。例えば、非粘着剤部位NAが撓んだり、塗膜防水層TBの温度変化による膨張によって、更に撓んだりする場合がある。
一方、最上層の厚みが大き過ぎると、施工面であるコンクリート下地の不陸や水勾配に追随し難くなったり、現場で切断し難くなったり、コストが高価になったりする場合等がある。
二軸延伸法ポリエステルフィルム1aとしては、ロール製品で、厚みが6μmから350μmまで、幅広いグレードが存在する。包装用の薄いグレードは安価であるが、厚いグレードは、前述の薄い鋼板と比較すると桁が異なるが、剛性が高くなり、施工時の鋏やカッターによるカッティング作業において簡単に切断することが困難になる場合がある。また、線膨張率に比例して膨張・収縮するため、特に通気緩衝シートTSの長手方向のジョイントおいて長さの差が顕著に表れ、高温時には膨張し、シートジョイントがぶつかって座屈し、低温時には収縮して、隙間が広がってしまう場合がある。
<<最上層の上面の処理>>
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSにおけるシート状物1の最上層である二軸延伸法ポリエステルフィルム1aには、上面(塗膜防水層TBが施工される面)に、易接着処理として、コロナ処理機でコロナ処理を行うか、フィルム製造時にコロナ処理機でコロナ処理を行ったものを用いることが好ましい。また、易接着処理として、ポリウレタン樹脂等の樹脂をビヒクルとして含有する溶剤型のインキを、グラビアロール等で塗布して乾燥することが好ましい。
<中間層>
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSのシート状物1の中間層は、引張弾性率(ヤング率)が、5MPa以上2000MPa以下の、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPT)、ブチルゴム(IIR)、又は、ポリウレタンゴムを含有する芯材1cであることが必須である。
<<中間層の引張弾性率(ヤング率)>>
中間層の引張弾性率(ヤング率)は、5MPa以上2000MPa以下であることが必須であるが、10MPa以上1700MPa以下であることが好ましく、30MPa以上1300MPa以下であることがより好ましく、50MPa以上1000MPa以下であることが特に好ましい。
中間層の引張弾性率(ヤング率)が小さ過ぎると、前記したような障害が生じる場合があり、特に、中間層自体の剛性がなくなり、歩行や物を置いた際の荷重によって、へこみ易くなる場合がある。
一方、中間層の引張弾性率(ヤング率)が大き過ぎると、前記したような障害が生じる場合がある。特に、中間層の芯材は、最上層及び最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルムと比較して線膨張率が大きく、且つ、厚みが大きいため、中間層の線膨張を最上層及び最下層で拘束できず、高温時には膨張し、長手方向のシートジョイントがぶつかって座屈し、低温時には収縮して、隙間が広がってしまう場合がある。また、施工時の鋏やカッターによるカッティング作業において簡単に切断することが困難になる場合等がある。
<<中間層の樹脂>>
中間層は、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエステル樹脂、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPT)、ブチルゴム(IIR)、又は、ポリウレタンゴムを含有する芯材1cであることが必須である。
これらの樹脂であれば、上記引張弾性率(ヤング率)の範囲を満たすと共に、強度、線膨張率、価格等が好適である。
例えば、軟質塩化ビニル等には可塑剤が含有されているが、本発明における中間層の物性は、該可塑剤が含有されている状態での物性である。すなわち、可塑剤が含有されて1種の「樹脂」になっているとみなす。
また、ポリエチレン樹脂に関しては、高密度(HDPE)、中密度(MDPE)、低密度(LDPE)は問わない(何れでもよい)。更に、ポリプロピレン樹脂の延伸の有無は問わない(何れでもよい)。
また、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂の具体的組成は、上記引張弾性率(ヤング率)の範囲を満たして、中間層として使用可能であれば何れでもよい。
<<中間層の厚み>>
中間層の厚みは、0.05mm以上1.2mm以下が好ましく、0.08mm以上1.0mm以下がより好ましく、0.12mm以上0.8mm以下が更に好ましく、0.15mm以上0.6mm以下が特に好ましい。
中間層の厚みが小さ過ぎると、前記したのと同様の問題が生じる場合があり、特に撓み易くなり、非粘着剤部位NAがへこみ易くなる場合がある。
一方、中間層の厚みが大き過ぎると、剛性が大きくなる場合;重くなり過ぎて扱い難くなる場合;製品として紙管に巻き取るため、延反した場合に巻き癖が残る場合;紙管に巻かれた外側の二軸延伸法ポリエステルフィルムの変形量が弾性域を超えて元に戻らなくなったり、皺が発生したりする場合;等がある。
中間層は、2枚以上を積層して上記厚みにしてもよい。また、上記した中間層の樹脂の中から異なる種類の樹脂を積層してもよいが、同一種類の樹脂を積層することが好ましい。
<<無機充填剤>>
中間層の芯材1cには、無機充填材が含有されていないか、又は、該芯材1c全体に対して70質量%以下で含有されていることが好ましい。
中間層の樹脂の種類によっては、無機充填材が含有されていなくてもよい場合、すなわち、含有させなくても前記物性値の範囲を満たし、性能が出る場合もあるが、中間層の樹脂の種類によっては、無機充填材が含有されている方がよい場合がある。
無機充填材を含有させると、機械的強度、荷重撓み温度、寸法安定性(線膨脹率が小さくなる)、硬度等を向上させることができ、また、増量材としてコストダウンにも寄与できる。
無機充填剤が含有されているとき(含有が好ましい樹脂の場合)の含有率は、芯材1c全体に対して70質量%以下が好ましいが、5質量%以上60質量%以下がより好ましく、10質量%以上50質量%以下が更に好ましく、20質量%以上40質量%以下が特に好ましい。
無機充填剤を含有させる場合、言い換えれば無機充填剤の含有を必要とする場合、該無機充填剤の含有量が少な過ぎると、硬度等の機械的強度が落ちる、荷重撓み温度が下がる、線膨脹率が大きくなって寸法安定性が悪くなる、樹脂の含有比率が上がり高価になる、等の場合がある。
一方、該無機充填剤の含有量が多過ぎると、線膨張率が下がり、引張弾性率(ヤング率)が上がるものの、柔軟性がなくなり、脆化し易くなる場合があり、紙管に巻いたり延反したりした際に中間層に亀裂を生じる場合等がある。
上記無機充填材は、特に限定はされないが、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ灰石、カーボンブラック、グラファイト、カオリンクレー、焼成カオリン、マイカ、シリカ等が、上記性能を与え易いため等の点から好ましい。
また、中間層の芯材1cとして、合成紙を用いることもできるが、合成紙には、前記樹脂の中に炭酸カルシウム等の無機充填剤が、上記範囲の量含有されており、それによって好適な中間層の芯材1cを与えることが可能である。
<<微細気泡、ミクロボイド若しくは亀裂>>
中間層の芯材1cには、微細気泡、ミクロボイド若しくは亀裂が存在していないか、又は、該芯材1c全体に対して50容積%以下で存在していることが好ましい。
中間層の樹脂の種類によっては、それらが存在していなくてもよい場合、すなわち、存在させなくても前記物性値の範囲を満たし、性能が出る場合もあるが、中間層の樹脂の種類によっては、微細気泡、ミクロボイド若しくは亀裂が存在している方がよい場合がある。
空気等の微細気泡やミクロボイドや亀裂が存在することで、引張弾性率(ヤング率)を低下させることができ、軽量化に寄与できる。
微細気泡、ミクロボイド若しくは亀裂が存在しているとき(それらの存在が好ましい樹脂やゴムの場合)のそれらの含有率は、芯材1c全体に対して、それらの合計として、50容積%以下が好ましいが、5容量%以下45容量%以下がより好ましく、10容量%以上40容量%以下が更に好ましく、15容量%以上35容量%以下が特に好ましい。
それらを存在させる場合、言い換えれば、それらの存在を必要とする場合(それらの存在が好ましい場合)、微細気泡、ミクロボイド若しくは亀裂が少な過ぎると、引張弾性率(ヤング率)が下がり過ぎる場合がある。
一方、それらが多過ぎる場合は、中間層である芯材1cの剛性が低くなる場合、上からの荷重に対して、へこみ(変形し)易くなる場合等がある。
上記微細気泡としては、空気、窒素、又は、フロンガスの微細気泡であることが、上記効果を奏させるために好ましい。
また、中間層の芯材1cとして、合成紙を用いることもできるが、合成紙には、前記樹脂の中に微細気泡若しくはミクロボイドが、上記範囲の量存在しており、それによって好適な中間層の芯材1cを与えることが可能である。
<最下層>
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSにおけるシート状物1の最下層としては、前記した最上層と同様のものが用いられる。
すなわち、最下層は、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルム1eであることが必須である。
最下層に最上層と全く同じフィルムを用いる必要はないが、前記した最上層の引張弾性率(ヤング率)、線膨張率、厚み等の好適な値の範囲が最下層にも適用される。
ただ、最下層としては最上層と同じフィルムを用いることが好ましい。
<最上層、中間層及び最下層の積層>
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSにおけるシート状物1は、最上層のフィルムと中間層の芯材1cが、及び、前記中間層の芯材1cと前記最下層のフィルムが、ドライラミネート又は押出しラミネートによって積層されてなるものであることが好ましい。
「最上層の二軸延伸法ポリエステルフィルム1aと中間層の芯材1c」及び「中間層の芯材1cと最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルム1e」は、限定はされないが、ドライラミネート若しくは押出しラミネートによって積層されることが好ましい。
限定はされないが、中間層の片面に、最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルム1eをラミネートにより積層させ、次いで、該中間層の該ラミネートがされていない面に、最上層の「(好ましくは前記したポリウレタン樹脂インキ等で易接着処理をした)二軸延伸法ポリエステルフィルム1a(の未処理面)」を、ドライラミネート若しくは押出しラミネートによって積層させることが特に好ましい。
これによって、それぞれ前記した厚みを有する、最上層、中間層、最下層がラミネートされた剛性を有したシート状物1となる。
こうして得られたシート状物1は、最上層のフィルム1a、ラミネート接着剤1b、中間層の芯材1c、ラミネート接着剤1d、最下層のフィルム1eの計5層構造となる(例えば、図4参照)。
それによって、引張弾性率(ヤング率)の低い中間層の芯材1cを、薄膜で引張弾性率(ヤング率)の高いフィルムによって、上下から全面に接着し積層したシート状物1が得られる。
なお、本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSのシート状物1は、少なくとも、最上層、中間層、及び、最下層を有していればよく、本発明の効果を損なわない範囲において、それらの間に、例えば、渦電流膜厚計での塗膜防水層(ウレタン防水層等)の膜厚測定のためのアルミ箔等、何らかの層を1層又は2層以上有していてもよい。
ラミネート方法は、その後に施される粘着剤の種類によって選定することが好ましい。
粘着剤が、ブチル系の場合、粘着剤の塗工温度が50~120℃であることから、ドライラミネート、押出しラミネートのどちらでも問題ないが、粘着剤が、改質アスファルト系の場合は、粘着剤の塗工温度が160~180℃となるために、シート状物の粘着剤塗工面の反対側を冷却しながら塗工しても、押出しラミネートの接着剤の融点を超えてしまうので、それを防ぐ観点からドライラミネートが好ましい。
<シート状物の総厚>
シート状物1の総厚は、前記した、最上層、中間層、最下層の厚み、更には、ラミネートに用いたラミネート接着剤1b・1dの厚みの合計で決まり、好ましい総厚も計算できるが、上記したドライ/ウェットラミネート接着剤1b・1d等の厚みも考慮すると(合計すると)、80μm~1500μmが好ましく、120μm~1400μmがより好ましく、160μm~1300μmが更に好ましく、200μm~1200μmが特に好ましい。
撓みに対する抵抗性(荷重)は、厚さの3乗に比例することから、総厚が上記範囲で、引張弾性率の高い最上層と最下層が、中間層を上下から挟んだ(積層した)シート状物1は、撓み難く(変形し難く)、平滑な表面状態のまま、施工面に貼り付けることができる(図5(a)参照)。
例えば、16μmと比較して5倍厚い80μm、10倍厚い160μmでは、撓みに対する抵抗性が、80μmでは16μmの125倍、160μmでは16μmの1000倍撓み難くなる。
<粘着層>
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSでは、シート状物1の最下層の下に粘着層2が存在する。本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSは、シート状物1及び粘着層2を有することが必須である(図1~5参照)。
更に、最下層の二軸延伸法ポリエステルの下に、ブチル系又は改質アスファルト系の粘着剤が部分的に設けられて前記粘着層2を形成し、該粘着剤が設けられていない非粘着剤部位NAは、施工面に対して水平方向に連通して通気溝3が形成されている(図1~5参照)。
<<通気溝、非粘着剤部位等のサイズ>>
図4には、本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSにおけるシート状物1の厚みと粘着層2の厚みの相対的比率が概略分かるように描かれている。
また、図5は、シート状物1の厚みと粘着層2の厚み(すなわち、粘着層付き通気緩衝シートTSの厚み)と、塗膜防水層TBの厚みの相対的比率が概略分かるように描かれているが、縦方向には、撓み・へこみの形態が分かり易いように、約1桁拡大して描かれている。
粘着層2の厚みは、0.3mm以上1.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以上1.2mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上1.0mm以下であることが特に好ましい。
粘着層2の厚みが小さ過ぎると、粗面であるコンクリート等の下地MTに密着し難くなる;通気溝3の高さが小さくなって通気溝断面の面積も小さくなるため、通気が不十分になる;通気溝3の高さが小さくなるので非粘着剤部位NAのへこみがそもそも制限され、「撓みが小さく温度変化によっても撓み・へこみが小さい本発明の粘着層付き通気緩衝シートTS」の特徴が生かせない;等の場合がある。
本発明は、下地MTへの密着性を上げ、かつ、十分な通気性を確保できるだけの通気溝3の高さと幅(断面積)を有する「粘着剤が部分的に設けられた粘着層2」であっても、前記した効果(非粘着剤部位NAがへこまない、温度変化でも表面平滑性を保てる等)を好適に奏することが特徴である(図5参照)。
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSでは、粘着剤が部分的に設けられて前記粘着層2を形成しているが、その「部分的に設けられている態様」は、特に限定はないが、ストライプ状(縞状)に設けられていてもよく(図示せず)、格子状に設けられていてもよく(例えば、図2、図6)、粘着剤が円形等の島状に設けられていてもよく(例えば、図3)、ランダムに設けられていてもよい(図示せず)。
通気溝3の横幅、すなわち非粘着剤部位NAの横幅は、例えば、図2、図6に示したような格子状の場合やストライプ状(縞状)の場合には、4mm以上50mm以下が好ましく、6mm以上40mm以下がより好ましく、8mm以上35mm以下が更に好ましく、10mm以上30mm以下が特に好ましい。
例えば図3のように、格子状でもストライプ状(縞状)でもない場合は、格子状やストライプ状(縞状)に換算して上記値の範囲が望ましい。
横幅が小さ過ぎる場合は、熱可塑性のブチル系又は改質アスファルト系等の粘着剤が夏期の高温時に流動して通気溝を塞ぎ、通気が十分ではなくなる場合がある。
一方、横幅が大き過ぎる場合は、下地MTへの密着性が十分ではなくなる;非粘着剤塗工部直上への長期荷重が加わることで変形し易くなり、撓み・へこみを抑制した本発明の効果を奏し難くなる;等の場合がある。
粘着層付き通気緩衝シートの面において、前記粘着剤が設けられていないで前記通気溝が形成されている面積は、粘着層付き通気緩衝シート全体の面積に対して、15%以上80%以下であることが好ましく、20%以上60%以下であることがより好ましく、25%以上50%以下であることが特に好ましい。
通気溝が形成されている面積割合が小さ過ぎると、上記横幅が小さ過ぎる場合と同様の場合があり、一方、面積割合が大き過ぎると、下地MTとの粘着面積が小さくなり、台風等の強風による負圧によって、防水層が飛ばされる等の場合がある。
<<粘着層の粘着剤の種類と粘着層の形成方法>>
粘着層2の粘着剤の種類については、ブチル系又は改質アスファルト系の粘着剤が好ましい。
ブチル系粘着剤は、例えば、ブチルゴム、ブチル再生ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリブテンゴム等が特に好ましい。
粘着付与材、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル等を含有させることが好ましいが、該粘着付与材としては、C5及び/又はC9の不飽和留分の重合体又は共重合体が好ましい。該充填剤としては、炭酸カルシウム等の無機フィラーが好ましい。
限定はされないが、好ましい製造法としては、それらを、ニーダーやバンバリーミキサーで混錬・混和し、この混和物を、50~120℃に加熱したエンボス加工カレンダーロール等に供給して、シート状物1の裏面に圧延塗工によって積層した後、その上から離型紙(フィルム)を貼り合わせて製造する。
改質アスファルト系粘着剤は、例えば、ストレートアスファルトに、スチレン・ブタジエンブロック共重合体や、粘着付与材としてC5及び/又はC9の不飽和留分の重合体又は共重合体、プロセスオイル等を含有してなる。
限定はされないが、好ましい製造法としては、各成分を160~180℃の温度で加熱溶融し、ホモミキサー等によって撹拌・混合し、均一に相溶させることにより得られる改質した粘着剤を、160~180℃で、シート状物1の裏面に間欠塗布するアプリケーターで塗工形成し、その上から離型紙(フィルム)を貼り合わせて製造される。
<製品形態>
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSは、離型紙又は離形フィルム4と共に、紙管等の管に巻きつけて製品とすることが好ましい。
紙管に巻き取られた際に、紙管内側に接するシート状物1の最上層の二軸延伸法ポリエステルフィルム1aと、最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルム1eとは、曲率で、外側となる最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルム1eが伸ばされた状態となるため、広げた際にカール状の癖が発生することが懸念される。
実用上弾性変形として考えられるのは、ひずみが1%位までといわれており、外側となる最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルム1eの伸びが、この範囲になる紙管を選定することが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSのシート状物1の非粘着剤部位NAが、撓まずに(へこまずに)、平滑性を担保できるかを検証した。
また、セルフレベリング性を有しない、機械化スプレー方式の速硬化ウレタン塗膜防水材を吹付塗布して塗膜防水層TBを形成させ、更に溶剤系のトップコートTCを塗布し、溶剤によってウレタン塗膜防水層を膨潤させ、その上面の非粘着剤部位直上NCが、撓まずに(へこまずに)、平滑性を担保できるかを検証した。
以下、本実施例・比較例で、「平滑性」とは、粘着層付き通気緩衝シートTSの非粘着剤部位NAや、塗膜防水層TB(とトップコートTC)の非粘着剤部位直上NCが、前記したような撓みやへこみがないこと若しくは少ないことを意味する(図5参照)。
本発明において、引張弾性率(ヤング率)、線膨張率等の物性は、それぞれ、対応するJIS規格に従って測定し、そのように測定した値として定義される。
実施例1
最上層と最下層として、二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)16μm厚と、中間層として、A4サイズの「二軸延伸ポリプロピレン樹脂に無機充填材として炭酸カルシウムが、二軸延伸ポリプロピレン樹脂:炭酸カルシウム=41:24(質量比)で分散されたものであって、更に、ミクロボイド又は亀裂が35容積%で分散して存在している芯材1c(製品名:エヌコート、中本パックス株式会社製)(厚み80μm)を、ドライラミネート接着剤1b・1dにて2枚積層した芯材1c」0.16mm厚とを、ドライラミネート接着剤にてラミネートした。
実施例2
最上層と最下層として、二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)16μm厚と、中間層として、A4サイズの「二軸延伸ポリプロピレン樹脂に無機充填材として炭酸カルシウムが、二軸延伸ポリプロピレン樹脂:炭酸カルシウム=41:24(質量比)で分散されたものであって、更に、ミクロボイド又は亀裂が35容積%で分散して存在している芯材1c(製品名:エヌコート、中本パックス株式会社製)(厚み80μm)を、ドライラミネート接着剤1b・1dにて3枚積層した芯材1c」0.24mm厚とを、ドライラミネート接着剤にてラミネートした。
実施例3
最上層と最下層として、二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107 東洋紡株式会社製)16μm厚と、中間層として、A4サイズの「ポリエチレン樹脂に無機充填材として炭酸カルシウムが、ポリエチレン樹脂:炭酸カルシウム=40:60(質量比)で分散混合された芯材1c」(製品名:ストーンペーパーSTO、台湾龍盟科技股有限公司製)0.25mm厚とを、押出しラミネートにより、30μmポリエチレンにてラミネートした。
実施例4
最上層と最下層として、二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107 東洋紡株式会社製)16μm厚と、中間層として、A4サイズの「塩化ビニル樹脂に可塑剤と無機充填材として炭酸カルシウムが、塩化ビニル樹脂:可塑剤:炭酸カルシウム=15:55:30(質量比)で分散混合された芯材1c」(品番:11250002、株式会社タツノ化学製)0.25mm厚とを、ドライラミネート接着剤にてラミネートした。
実施例5
最上層と最下層として、二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)16μm厚と、中間層として、A4サイズの「塩化ビニル樹脂に可塑剤が、塩化ビニル樹脂:可塑剤=70:30(質量比)で分散混合された芯材1c」(品番:22300803、株式会社タツノ化学製)0.25mm厚とを、ドライラミネート接着剤にてラミネートした。
実施例6
最上層と最下層として、二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)38μm厚と、中間層として、A4サイズの「塩化ビニル樹脂に可塑剤と無機充填材として炭酸カルシウムが、塩化ビニル樹脂:可塑剤:炭酸カルシウム=15:55:30(質量比)で分散混合された芯材1c」(品番:11250002、株式会社タツノ化学製)0.25mm厚とを、ドライラミネート接着剤にてラミネートした。
実施例7
最上層と最下層として、二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)38μm厚と、中間層として、A4サイズの「塩化ビニル樹脂に可塑剤が、塩化ビニル樹脂:可塑剤=70:30(質量比)で分散混合された芯材1c」(品番:22300803、株式会社タツノ化学製)0.25mm厚とを、ドライラミネート接着剤にてラミネートした。
比較例1
A4サイズの二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)0.025mm(25μm)をシート状物として用意した。
上記した二軸延伸法ポリエステルフィルムの引張弾性率(ヤング率)は、実施例で前記した最上層及び最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルムと同様に、4000MPaであり、線膨張率は、縦方法、横方向ともに、1.5×10-5であった。
比較例2
A4サイズの二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)0.075mm(75μm)をシート状物として用意した。
比較例3
A4サイズの二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)0.125mm(125μm)をシート状物として用意した。
比較例4
A4サイズの二軸延伸法ポリエステルフィルム(製品名:TOYOBO ESTERE5107、東洋紡株式会社製)0.25mm(250μm)をシート状物として用意した。
比較例5
A4サイズの「二軸延伸ポリプロピレン中樹脂に無機充填材として炭酸カルシウムが、ポリプロピレン樹脂:炭酸カルシウム=41:24(質量比)で分散含有されているものであって、更に、ミクロボイド又は亀裂が35容積%で分散して存在している芯材(厚み80μm)を、ドライラミネート接着剤にて2枚積層した芯材」(製品名:エヌコート、中本パックス株式会社製)0.16mm厚をシート状物として用意した。
引張弾性率(ヤング率)は、1109MPaであり、線膨張率は、縦方法、横方向ともに、5.0×10-5であった。
比較例6
A4サイズの「二軸延伸ポリプロピレン中樹脂に無機充填材として炭酸カルシウムが、ポリプロピレン樹脂:炭酸カルシウム=41:24(質量比)で分散含有されているものであって、更に、ミクロボイド又は亀裂が35容積%で分散して存在している芯材(厚み80μm)を、ドライラミネート接着剤にて3枚積層した芯材」(製品名:エヌコート、中本パックス株式会社製)0.24mm厚をシート状物として用意した。
引張弾性率(ヤング率)は、1055MPaであり、線膨張率は、縦方法、横方向ともに、5.0×10-5であった。
比較例7
A4サイズの「ポリエチレン樹脂中に無機充填材として炭酸カルシウムが、ポリエチレン樹脂:炭酸カルシウム=40:60(質量比)で分散混合されたもの」(製品名:ストーンペーパーSTO、台湾龍盟科技股有限公司製)0.40mm厚をシート状物として用意した。
引張弾性率(ヤング率)は、1700MPaであり、線膨張率は、19×10-5であった。
<実施例1~7、比較例1~7で使用した樹脂の物性>
実施例1~7、比較例1~7で用いた二軸延伸法ポリエステルの、引張弾性率(ヤング率)は4000MPaであり、線膨張率は1.5×10-5であった。
中間層の芯材1cの引張弾性率(ヤング率)については、実施例1の芯材は1109MPa、実施例2の芯材は1055MPa、実施例3の芯材は1312MPa、実施例4及び6の芯材は28MPa、実施例5及び7の芯材は346MPaであった。
比較例1~7の芯材の引張弾性率(ヤング率)と線膨張率については、各比較例中に記載した。
製造例1
実施例1~7、比較例1~7のシート状物の片面(下面)に、厚み0.50mmのブチル系粘着剤でできた両面テープ(製品名:スーパーブチルテープNo.5938、マクセル株式会社製)を、略正方形とし、非粘着剤部位NAが5mm~15mmの幅になるように敷き詰めて貼付け、粘着層付き通気緩衝シートTSを作製した(図1、2、6、7参照)。
<評価例における平滑性の測定>
以下、実施例1~7、及び、比較例1~7で得られたシート状物を用いて製造例1で作製した粘着層付き通気緩衝シートを用いて評価を行った。
評価例1~5における平滑性の判定基準は以下の通りである。
<<判定基準>>
○:目視で、評価対象の上面に全く凹凸が観察されず、平滑である
○△:上記「○」と下記「△」の中間の平滑性である
△:目視で、評価対象の上面の非粘着剤部位NA(及び/又はその直上NC)がへこんで、平滑性が得られない
△×:上記「△」と下記「×」の中間の平滑性である
×:目視で、評価対象の上面の非粘着剤部位NA(及び/又はその直上NC)が大きくへこんで、平滑性が全く得られない
評価例1
<粘着層付き通気緩衝シートの上の平滑性>
実施例1~7、比較例1~7のシート状物を用い、製造例1で得られた粘着層付き通気緩衝シートを、クラフト紙を貼ったスレート(セメントボード)下地MTに貼り付けた。
これらの粘着層付き通気緩衝シートを、上記クラフト紙を貼ったスレート(セメントボード)下地MTに貼り付けた段階で、実施例1~7のシート状物から得られた粘着層付き通気緩衝シートの上面は、全て平滑性が得られたが(図6参照)、比較例1、2、5、6のシート状物から得られた粘着層付き通気緩衝シートの上面は、非粘着剤部位NAがへこんで平滑性が得られなかった(図7参照)。
評価例2
<粘着層付き通気緩衝シートの上に塗膜防水材を塗工後の塗膜防水層の上面の平滑性>
評価例1の下地MTに貼り付けられた粘着層付き通気緩衝シートの上から、セルフレベリング性を有さない防水材である、機械化スプレー塗工方式の速硬化ウレタン防水材、CVスプレー(株式会社ダイフレックス社製、JIS A 6021建築用塗膜防水材)を、専用の吹付施工システムにて、イソシアネートプレポリマー(A剤)とポリアミン・ポリオールおよび顔料等が配合された(B剤)とを60℃程に加温して粘度を低下させ、各々をヒーターにて加温されたホースにて吹付ガンまで高圧で圧送し、ガンの先端で衝突混合によって2.0mmの厚みで吹付塗布して塗膜防水層TBを設けた。
上記速硬化ウレタン防水材は、ウレタンゴム系、高強度形であり、硬化後の、引張り強さ:13.2N/mm、伸び率:382%、引裂き強さ:62.8N/mmのものである。
ウレタン防水材を塗工後の段階で、得られた塗膜防水層TBの上面は、実施例1~7のシート状物から得られた粘着層付き通気緩衝シートの場合は、平滑性が得られたが(図6参照)、比較例1~6のシート状物から得られた粘着層付き通気緩衝シートの場合は、塗膜防止層の非粘着剤部位直上NCがへこんで平滑性が得られなかった(図7参照)。
評価例3
<トップコート塗布後の上面の平滑性>
評価例2で得られた、「ウレタン防水材吹付け塗工後(塗膜防止層形成後)の実施例1~7、比較例1~7のシート状物を用いた粘着層付き通気緩衝シート」を、24時間硬化養生後、DSトップ・エコ(株式会社ダイフレックス社製、弱溶剤系2成分形アクリルウレタン樹脂トップコート)を、塗布量0.2kg/m で、ウールローラーにて塗布し、乾燥養生させた。
トップコートTCが指触乾燥養生させた後の段階(ウレタン防水層が溶剤で膨潤した段階)で、実施例1~7の場合は平滑性が得られたが(図6参照)、比較例1~6の場合は、非粘着剤部位直上NCがへこんで平滑性が得られなかった(図7参照)。
評価例4
<トップコート塗布後に加熱した後の上面の平滑性>
評価例3で、トップコートTCを乾燥養生させた後の、ウレタン防水材吹付け塗工後の「実施例と比較例のシート状物を用いた粘着層付き通気緩衝シート」を、真夏を想定して、60℃の恒温槽に入れ、6時間後の表面状態を確認した。
高温下の状態で、実施例1~7の場合は全て平滑性が得られたが(図6参照)、比較例1~7の場合は、非粘着剤部位直上NCがへこんで平滑性が得られなかった(図7参照)。
評価例5
<評価例4で加熱し下地から剥離した後に放冷後の上面の平滑性>
下地MTから剥がし、加熱後の試験体を、評価例5において60℃で加熱した恒温槽から取り出し、常温まで放冷し、ウレタン防水材が収縮した後の上面の表面状態を観察した。
放冷後の状態で、実施例1~7の場合は、全て平滑性が得られたが(図6参照)、比較例1~7の場合は、全て非粘着剤部位直上NCがへこんで平滑性が得られなかった(図7参照)。
<評価例1~5の結果まとめ>
前記したように、また、図6、図7に示したように、実施例1~7のシート状物1の下面に、製造例1で粘着層2を設けて得られた本発明の粘着層付き通気緩衝シートTSは、評価例1~5の何れの段階でも、全てその上面の平滑性に優れていた。
一方、比較例1~7で得られた「シート状物、フィルム」の下面に、製造例1で粘着層を設けて得られたものは、評価例1~5の何れか段階で、その上面の平滑性に劣っていた。
本発明の塗膜防水用の通気緩衝シートTSは、セルフレベリング性を有する塗膜防水材を施工した場合でも、粘着剤部位直上ACも非粘着剤部位直上NCも均一な厚みの塗膜防水層TBを確保することができ、セルフレベリング性を有しない、塗膜防水材を施工した場合でも、塗膜防水層TBの上面において平滑な仕上りを確保することができる。
施工後に真夏の高温と日射によって、塗膜防水材(塗膜防止層)が膨張した場合でも、非粘着剤部位直上NCが変形せずに通気溝3の空間(体積)を維持できるため、施工後の膨れによる問題を抑制できる。
1 シート状物
1a (最上層の)二軸延伸法ポリエステルフィルム
1b (ドライ又はウェット)ラミネート接着剤
1c 芯材
1d (ドライ又はウェット)ラミネート接着剤
1e (最下層の)二軸延伸法ポリエステルフィルム
2 粘着層
3 通気溝
4 離型紙又は離形フィルム
TC トップコート
TB 塗膜防水層
TS 粘着層付き通気緩衝シート
MT 下地
AA 粘着剤部位
NA 非粘着剤部位
AC 粘着剤部位直上
NC 非粘着剤部位直上

Claims (10)

  1. シート状物、及び、該シート状物の下に粘着層を有する粘着層付き通気緩衝シートであって、
    該シート状物が、少なくとも、
    最上層に、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルムと、
    中間層に、引張弾性率(ヤング率)が、5MPa以上2000MPa以下の、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエステル樹脂、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPT)、ブチルゴム(IIR)、又は、ポリウレタンゴムを含有する芯材と、
    最下層に、引張弾性率(ヤング率)が、3000MPa以上5500MPa以下であり、線膨張率が、縦方法、横方向ともに、2.0×10-5以下の二軸延伸法ポリエステルフィルムと、
    が積層されているものであることを特徴とする粘着層付き通気緩衝シート。
  2. 前記シート状物は、前記最上層のフィルムと前記中間層の芯材が、及び、前記中間層の芯材と前記最下層のフィルムが、ドライラミネート又は押出しラミネートによって積層されてなるものである請求項1に記載の粘着層付き通気緩衝シート。
  3. 前記最上層の二軸延伸法ポリエステルフィルムの厚みが5μm以上100μm以下であり、前記中間層の芯材の厚みが0.05mm以上1.2mm以下であり、前記最下層の二軸延伸法ポリエステルフィルムの厚みが5μm以上100μm以下である請求項1に記載の粘着層付き通気緩衝シート。
  4. 前記中間層の芯材には、無機充填材が含有されていないか、又は、該芯材全体に対して70質量%以下で含有されている請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の粘着層付き通気緩衝シート。
  5. 前記無機充填材が、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ灰石、カーボンブラック、グラファイト、カオリンクレー、焼成カオリン、マイカ、又は、シリカである請求項4に記載の粘着層付き通気緩衝シート。
  6. 前記中間層の芯材には、微細気泡、ミクロボイド若しくは亀裂が存在していないか、又は、該芯材全体に対して50容積%以下で存在している請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の粘着層付き通気緩衝シート。
  7. 前記微細気泡が、空気、窒素、炭酸ガス、又は、フロンガスの微細気泡である請求項6に記載の粘着層付き通気緩衝シート。
  8. 前記最下層の二軸延伸法ポリエステルの下に、ブチル系又は改質アスファルト系の粘着剤が部分的に設けられて前記粘着層を形成し、該粘着剤が設けられていない非粘着剤部位は、施工面に対して水平方向に連通して通気溝が形成されている請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の粘着層付き通気緩衝シート。
  9. 粘着層付き通気緩衝シートの面において、前記粘着剤が設けられていないで前記通気溝が形成されている面積が、粘着層付き通気緩衝シート全体の面積に対して、15%以上80%以下である請求項8に記載の粘着層付き通気緩衝シート。
  10. 前記粘着層の厚みが、0.3mm以上1.5mm以下である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の粘着層付き通気緩衝シート。

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