JP2024009590A - 鳥薄肉圧着物、鳥薄肉圧着加工食品、および鳥薄肉圧着物の製造方法 - Google Patents

鳥薄肉圧着物、鳥薄肉圧着加工食品、および鳥薄肉圧着物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】幅広い用途に適用可能であり、製造の際の作業性が良く、かつ食感に優れる鳥肉加工食品を提供できる食材、当該食材を含む加工食品、および当該食材の製造方法を提供すること。【解決手段】典型的には複数の鳥薄肉2が厚さ方向に重なり合って圧着した圧着成型体である鳥薄肉圧着物1;鳥薄肉圧着物1を含む鳥薄肉圧着加工食品;鳥肉を0.1~10mmの厚さにカットして複数の鳥薄肉2を得る工程Aと、工程Aで得られた複数の鳥薄肉2を互いに圧着して成型して鳥薄肉圧着非加熱物を得る工程Bと、を有する、鳥薄肉圧着物1の製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、鳥薄肉圧着物、鳥薄肉圧着加工食品、および鳥薄肉圧着物の製造方法に関する。
鳥肉の加工食品の製造段階で発生する、そのままでは利用の困難な小さな肉片は、一般的に鳥挽肉に加工された上で利用される。このように得られた鳥挽肉は、チキンナゲット等の食品に加工される。鳥挽肉は、機械で簡単に成型できること、肉の加熱収縮が均一であり一定形状の製品を製造できること、などの利点を有する。一方で、鳥挽肉は筋繊維が既に切断されているため、鳥挽肉を用いた加工食品は、食感が過度に柔らかくかつ均一であり、適度な繊維感や歯ごたえが感じられにくい傾向にある。
そのため、一般的には鳥挽肉が用いられる加工食品であっても、鳥挽肉を用いずに製造する方法が検討されている(例えば、特許文献1および2)。しかしながら、特許文献1に開示された方法では、鳥肉をダイス状の粒状肉として用いるため、加工食品の食感向上効果には改善の余地がある。また、特許文献2に開示された方法では、鳥肉の肉片を固着した後に薄切りしたものをそのまま使用するため、ジャーキー等の薄い加工食品にのみ適用可能であり、用途が限定的である。
特開2022-067221号公報 特開2011-217676号公報
本開示は、幅広い用途に適用可能であり、製造の際の作業性が良く、かつ食感に優れる鳥肉加工食品を提供できる食材、当該食材を含む加工食品、および当該食材の製造方法を提供するものである。
本開示の要旨構成は以下の通りである。
[1]鳥薄肉圧着物。
[2]複数の鳥薄肉が厚さ方向に重なり合って圧着した圧着成型体である、[1]の鳥薄肉圧着物。
[3]複数の鳥薄肉が三次元的に絡み合った圧着成型体である、[1]の鳥薄肉圧着物。
[4]前記鳥薄肉が、厚さが0.1~10mmの鳥肉である、[1]~[3]のいずれかの鳥薄肉圧着物。
[5]前記鳥薄肉が、食用の家禽の肉である、[1]~[4]のいずれかの鳥薄肉圧着物。
[6]前記鳥薄肉が、胸肉、もも肉、およびささみからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]~[5]のいずれかの鳥薄肉圧着物。
[7][1]~[6]のいずれかの鳥薄肉圧着物を含む鳥薄肉圧着加工食品。
[8]油ちょう食品または焼成食品である、[7]の鳥薄肉圧着加工食品。
[9]チキンナゲット、チキンカツ、唐揚げ、竜田揚げ、チキンカツ、グリルチキンまたは焼き鳥である、[7]または[8]の鳥薄肉圧着加工食品。
[10]冷凍品である、[7]~[9]のいずれかの鳥薄肉圧着加工食品。
[11]鳥肉を0.1~10mmの厚さにカットして複数の鳥薄肉を得る工程Aと、工程Aで得られた複数の鳥薄肉を互いに圧着して成型して鳥薄肉圧着非加熱物を得る工程Bと、を有する、鳥薄肉圧着物の製造方法。
[12]工程Aで得られた前記複数の鳥薄肉に対し、結着材を付着させた後に工程Bに供する、[11]の製造方法。
[13]工程Bにおいて、複数の鳥薄肉を型枠に充填して成型を行う、[11]または[12]の製造方法。
[14]工程Bの後、焼成、油ちょう、煮る、茹でる、蒸気加熱、および過熱水蒸気加熱からなる群より選択される少なくとも1種の加工を行い、鳥薄肉圧着加工食品を得る工程Cに供する、[11]~[13]のいずれかの製造方法。
[15]工程Cの後、冷凍により鳥薄肉圧着加工冷凍食品を得る工程Dに供する、[14]の製造方法。
本開示の一実施の形態にかかる鳥薄肉圧着物の断面模式図である。 薄切りされていない鳥肉片を用いた圧着物の断面模式図である。
牛肉や豚肉では、枝肉を大分割または小分割して骨と余分な脂肪などを外した状態を正肉(しょうにく)と称し、鳥肉の場合は、むね肉またはもも肉の骨を外した状態を正肉と称する。鳥肉は、牛肉や豚肉と比べて正肉が小さいため、薄切り肉(鳥薄肉)に加工されることは少ない。特に、鳥肉の加工食品の製造段階で発生する、そのままでは利用の困難な小さな肉片は、サイズが小さいため、薄切りすることは難しく、挽肉(ミンチ)にして加工されることが一般的である。
しかしながら、本発明者は、あえて原料として鳥薄肉を用い、これを圧着成型して鳥薄肉圧着物とすることで、幅広い用途に適用可能であり、製造の際の作業性が良く、かつ食感に優れる鳥肉加工食品を提供できることを見出した。
[鳥薄肉圧着物]
本明細書において、「鳥薄肉圧着物」とは、先に準備された複数の鳥薄肉を、互いに圧着させたものを指す。典型的には、鳥薄肉圧着物は、複数の鳥薄肉が少なくとも厚さ方向に重なり合って圧着されている。典型的には、鳥薄肉圧着物は、一枚の鳥薄肉が異なる二枚以上の鳥薄肉と圧着している。典型的には、鳥薄肉圧着物は、三次元的に(立体的に)絡み合った複数の鳥薄肉の圧着成型体である。典型的には、鳥薄肉圧着物は、複数の鳥薄肉が、立体的な形状を保持できる程度に圧着されている。このような構成とすることにより、圧着された状態のまま、様々な厚さまたは形状の加工食品に適用することができる。鳥薄肉圧着物は、複数の鳥薄肉が圧着されていればよく、非加熱状態の鳥薄肉圧着非加熱物、非加熱状態で冷凍した鳥薄肉圧着非加熱冷凍物、鳥薄肉圧着非加熱物または鳥薄肉圧着非加熱冷凍物に対して加熱加工を行った鳥薄肉圧着加工食品、加熱加工後に冷凍した鳥薄肉圧着加工冷凍食品のいずれであってもよい。
本開示の一実施の形態にかかる鳥薄肉圧着物1の断面模式図を図1に示す。また、比較のため、薄切りされていない鳥肉片20を用いた圧着物10の断面模式図を図2に示す。図1に示すように、本開示の一実施の形態にかかる鳥薄肉圧着物1は、鳥薄肉2が三次元的に絡み合った状態となっている。図2に示す圧着物10の場合、複数の鳥肉片20が互いに接触する接触面積が小さいため、成型が困難であり、成型後も崩れやすく、また喫食の際には折れるような食感となる。
一方で、図1に示す鳥薄肉圧着物1は、複数の鳥薄肉2同士の接触面積が大きいことから、成型しやすく、成型後の形状維持も容易であり、また喫食の際には正肉に近い優れた食感が得られる。なお、図1および図2はあくまで本開示の理解を容易にするための模式図であり、構成物のサイズ、形状、および位置等について何ら限定するものではない。
本開示において、「鳥薄肉」とは、鳥肉をスライサー等により薄切りにして得られるものである。ここで、「鳥肉」とは、ニワトリの肉(鶏肉)に限られるものではなく、食用として通常用いられる家禽の肉であればよい。家禽の肉は、例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒル、カモ、ガチョウ、および七面鳥からなる群より選択される少なくとも1種の鳥類の肉であってもよい。
典型的には、鳥肉としては、実際の飼養羽数が最も多いニワトリの肉が用いられる。ニワトリの種類は、ブロイラー、地鶏、および各種銘柄鶏のいずれでもよい。典型的には、安価で飼養羽数が多いブロイラーが用いられる。鳥肉は、例えば、胸肉、もも肉、およびささみからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
鳥薄肉の厚さは、10mm以下であってもよく、9mm以下であってもよく、8mm以下であってもよく、7mm以下であってもよく、6mm以下であってもよく、5mm以下であってもよい。典型的には、鳥薄肉の厚さが薄いほど、鳥薄肉同士の接触面積が大きくなり、加工性が向上する。
鳥薄肉の厚さは、0.1mm以上であってもよく、0.3mm以上であってもよく、0.5mm以上であってもよく、1mm以上であってもよく、2mm以上であってもよく、3mm以上であってもよい。典型的には、(鳥薄肉と称することができる範囲内で)鳥薄肉の厚さが厚いほど、正肉に近い食感が得られやすい。
鳥薄肉の厚さの上限値および下限値は、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。すなわち、鳥薄肉の厚さは、例えば0.1~10mmであってもよく、0.3~9mmであってもよく、0.5~8mmであってもよく、1~7mmであってもよく、2~6mmであってもよく、3~5mmであってもよい。鳥薄肉の厚さが適切な範囲内であることにより、食感および加工性のバランスを取りやすい。なお、鳥薄肉の厚さは全体にわたって均一である必要はない。鳥薄肉圧着物から不作為に選択した10箇所の鳥薄肉の厚さの平均値を鳥薄肉の厚さとすることができる。
鳥薄肉の長辺の寸法は、25cm以下であってもよく、20cm以下であってもよく、15cm以下であってもよく、12cm以下であってもよく、10cm以下であってもよい。典型的には、鳥薄肉の長辺の寸法が短いほど、鳥肉の加工食品の製造段階で発生する小さな肉片をそのまま薄切りして利用しやすい。
鳥薄肉の長辺の寸法は、1cm以上であってもよく、2cm以上であってもよく、3cm以上であってもよく、4cm以上であってもよく、5cm以上であってもよい。典型的には、鳥薄肉の長辺の寸法が長いほど、鳥薄肉同士の接触面積が大きくなり、正肉に近い食感が得られやすい。
鳥薄肉の長辺の寸法は、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。すなわち、鳥薄肉の長辺の寸法は、例えば1~25cmであってもよく、2~20cmであってもよく、3~15cmであってもよく、4~12cmであってもよく、5~10cmであってもよい。鳥薄肉の長辺の寸法が適切な範囲内であることにより、鳥肉の加工食品の製造段階で発生する小さな肉片の利用性と、食感とのバランスを取りやすい。なお、鳥薄肉の短辺の寸法、すなわち、鳥薄肉の長辺の方向および厚さの方向のいずれにも直交する方向の寸法は、長辺の寸法と同程度以下であれば特に限定されない。
鳥薄肉は、厚さに対して長辺の寸法が2倍以上であってもよく、10倍以上であってもよく、30倍以上であってもよく、50倍以上であってもよく、100倍以上であってもよい。厚さに対する長辺の寸法の比率が大きいほど、鳥薄肉が薄く、鳥薄肉同士の接触面積が大きくなり、加工性が向上する。
鳥薄肉の厚さに対する長辺の寸法は、2500倍以下であってもよく、1500倍以下であってもよく、500倍以下であってもよく、300倍以下であってもよい。厚さに対する長辺の寸法の比率が小さいほど、鳥薄肉が厚く、正肉に近い食感が得られやすい。
鳥薄肉の厚さに対する長辺の寸法は、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。すなわち、鳥薄肉の厚さに対する長辺の寸法は、例えば、2~2500倍であってもよく、10~1500倍であってもよく、10~500倍であってもよく、10~300倍であってもよい。鳥薄肉の厚さに対する長辺の寸法が適切な範囲内であることにより、食感および加工性のバランスを取りやすい。
鳥薄肉圧着物は、結着材または調味料等の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、結着材としては小麦粉、米粉、澱粉、加工澱粉、油脂加工澱粉、卵白、粉末大豆タンパク質等;調味料としては牛乳、みりん、醤油、酒、油脂、食塩、砂糖、ハーブ、スパイス、コショウ、うま味調味料、炭酸ナトリウム等;その他の添加剤としてはpH調整剤、増粘多糖類、乳化剤、パン粉、水等が挙げられる。他の成分は、鳥薄肉を漬け込むために用いる漬け込み液に含まれるものであってもよく、打ち粉、バッター、または衣として用いられるものであってもよい。
本開示の鳥薄肉圧着物の厚さは、5mm以上であってもよく、10mm以上であってもよく、15mm以上であってもよい。典型的には、鳥薄肉圧着物の厚さが厚いほど、正肉に近い食感が得られるというメリットが活かされやすい。本開示の鳥薄肉圧着物の厚さは、50mm以下であってもよく、40mm以下であってもよく、30mm以下であってもよい。典型的には、鳥薄肉圧着物の厚さが薄いほど、加工食品として利用しやすい。
鳥薄肉圧着物の厚さは、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。すなわち、鳥薄肉圧着物の厚さは、例えば5~50mmであってもよく、10~40mmであってもよく、15~30mmであってもよい。鳥薄肉圧着物の厚さが適切な範囲内であることにより、加工食品としての利用性と、食感とのバランスを取りやすい。
本開示の鳥薄肉圧着物は、長さ5cm以上、幅5cm以上、厚さ5cm以上の、ブロック状であってもよい。ブロック状の鳥薄肉圧着物は、任意のサイズの鳥薄肉圧着物に切断された後、さらに加熱、冷凍等の加工をされていてもよい。ブロック状の鳥薄肉圧着物は、切断しやすさ、運搬や保存の適性の観点から、冷凍品であると利用しやすい。
本開示において、鳥薄肉圧着加工食品は、鳥薄肉圧着非加熱物または鳥薄肉圧着非加熱冷凍物を加熱加工したものを指す。加熱加工は、焼成、油ちょう、煮る、茹でる、蒸気加熱、および過熱水蒸気加熱からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。鳥薄肉圧着加工食品としては、油ちょう食品または焼成食品であってもよい。油ちょう食品としては、例えば、チキンナゲット、チキンカツ、唐揚げ、竜田揚げ等が挙げられ、焼成食品としてはグリルチキン、焼き鳥等が挙げられるが、これらに限定されない。
特に、本開示の鳥薄肉圧着物は、正肉に近い食感が得られるため、一般的には鳥挽肉が用いられることの少ない加工食品、例えばチキンカツ、グリルチキン等にも用いることができる。鳥薄肉圧着加工食品は、常温品、チルド品、冷凍品のいずれであってもよい。
[鳥薄肉圧着物の製造方法]
本開示の鳥薄肉圧着物の製造方法は、鳥肉を0.1~10mmの厚さにカットして複数の鳥薄肉を得る工程Aと、工程Aで得られた複数の鳥薄肉を互いに圧着して成型して鳥薄肉圧着非加熱物を得る工程Bと、を有する。なお、使用する鳥肉および鳥薄肉、ならびに得られる鳥薄肉圧着物の詳細については、鳥薄肉圧着物について上記した内容をそのまま適用できる。
(工程A)
工程Aでは、鳥肉を0.1~10mmの厚さにカットして複数の鳥薄肉を得る。工程Aにおいて、鳥肉をカットする際の厚さは、10mm以下であってもよく、9mm以下であってもよく、8mm以下であってもよく、7mm以下であってもよく、6mm以下であってもよく、5mm以下であってもよい。典型的には、鳥肉をカットする際の厚さが薄いほど、鳥薄肉同士の接触面積が大きくなり、加工性が向上する。
工程Aにおいて、鳥肉をカットする際の厚さは、0.1mm以上であってもよく、0.3mm以上であってもよく、0.5mm以上であってもよく、1mm以上であってもよく、2mm以上であってもよく、3mm以上であってもよい。典型的には、(鳥薄肉と称することができる範囲内で)鳥肉をカットする際の厚さが厚いほど、カットが容易となり、また、鳥薄肉圧着物に加工した場合に正肉に近い食感が得られやすい。
工程Aにおいて、鳥肉をカットする際の厚さの上限値および下限値は、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。すなわち、鳥肉をカットする際の厚さは、例えば0.1~10mmであってもよく、0.3~9mmであってもよく、0.5~8mmであってもよく、1~7mmであってもよく、2~6mmであってもよく、3~5mmであってもよい。鳥肉をカットする際の厚さが適切な範囲内であることにより、得られる鳥薄肉圧着物の食感および加工性のバランスを取りやすい。
ここで、工程Aにおいて、鳥肉のカットには、スライサーを用いてもよいし、包丁等を用いてもよい。スライサーを用いる場合、「鳥肉をカットする際の厚さ」とは、スライサーの設定厚さである。
工程Aで得られた複数の鳥薄肉は、後述する工程Bに供する前に、他の成分と混合して当該他の成分を付着または含浸させてもよい。他の成分としては、例えば、結着材としては小麦粉、米粉、澱粉、加工澱粉、油脂加工澱粉、卵白、粉末大豆タンパク質等;調味料としては牛乳、みりん、醤油、酒、油脂、食塩、砂糖、ハーブ、スパイス、コショウ、うま味調味料、炭酸ナトリウム等;その他の添加剤としてはpH調整剤、増粘多糖類、乳化剤、パン粉、水等が挙げられる。他の成分は、鳥薄肉を漬け込むために用いる漬け込み液に含まれるものであってもよく、打ち粉、バッターまたは衣として用いられるものであってもよい。漬け込み液としては、結着材を用いてもよく、結着材としては小麦粉、澱粉、油脂加工澱粉、卵白、粉末大豆タンパク質からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むものを用いてもよい。鳥薄肉に結着材を付着させることにより鳥薄肉同士の結着性が高まり、工程Bにおいて作業性が向上する、後述する工程Cにおいて鳥薄肉同士の結着が強固になる、喫食時により正肉に近い食感が得られる、といった効果が得られやすい。
(工程B)
工程Bでは、工程Aで得られた複数の鳥薄肉を互いに圧着して成型する。ここで、「圧着」とは、圧力をかけて複数の鳥薄肉を接合することを意味する。より具体的には、複数の鳥薄肉が接合し三次元形状(立体形状)を保持できる程度に圧着することを意味する。成型する際に圧力をかけることで複数の鳥薄肉を接合してもよく、圧力をかけて接合した後に、型抜き、切断等により成型してもよい。圧着の手段としては、複数の鳥薄肉を型枠に充填して成型する方法の他、型枠を使用せず、手作業等により複数の鳥薄肉に対して圧力をかけて成型する方法等が挙げられる。複数の鳥薄肉を圧着することにより、三次元状に(立体的に)絡み合った複数の鳥薄肉の圧着成型体を製造することができる。
工程Bで得られた鳥薄肉圧着物を鳥薄肉圧着非加熱物と称する。鳥薄肉圧着非加熱物に対し、前述した他の成分のうちの少なくとも1つをさらに付着または含浸させてもよい。
(工程C)
工程Bで得られた鳥薄肉圧着非加熱物に対し、焼成、油ちょう、煮る、茹でる、蒸気加熱、および過熱水蒸気加熱からなる群より選択される少なくとも1種の加熱加工を行い、鳥薄肉圧着加工食品を得る工程Cに供してもよい。
(工程D)
工程Bの後または工程Cの後、鳥薄肉圧着非加熱物または鳥薄肉圧着加工食品を冷凍し、鳥薄肉圧着非加熱冷凍物または鳥薄肉圧着加工冷凍食品とする工程Dに供してもよい。
本明細書において、本開示の各態様に関する一実施形態中で説明された各特定事項は、任意に組み合わせて新たな実施形態としてもよく、このような新たな実施形態も、本開示の各態様に包含され得るものとして理解されるべきである。
以下、本開示を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例等により何ら限定されない。
[チキンカツの調製]
ニワトリ(ブロイラー)の加工食品の製造段階で発生する、そのままでは利用の困難な小さな肉片(以降、「派生肉」とも称する)を集めた。なお、利用した派生肉は胸肉であった。派生肉の形状はランダムであり、厚さは3~25mm、長辺の寸法は1~15cm、短辺の寸法は1~10cmであった。
派生肉を3つのグループに分け、8mm径のチョッパー(株式会社ボニー社製、ミートチョッパー)を用いて鳥挽肉にしたものをサンプル1、無処理のものをサンプル2、スライサー(株式会社安吉社製、KIPROSTAR(登録商標)業務用ミートスライサーPRO-300YS-B)を用いて3mmの厚さに薄切りしたものをサンプル3とした。薄切りにしたサンプル3の個々の重量は1~20gの範囲内であった。
その後、以下の手順でチキンカツを製造した。なお、サンプル1を使用した製造例を比較例1、サンプル2を使用した製造例を比較例2、サンプル3を使用した製造例を実施例1とする。サンプル1~3各々100kgに対して、表1に示した配合の漬け込み液を20kg添加し、混合し、30分間静置することで漬け込み肉を得た。得られたそれぞれの漬け込み肉を275gずつ計量し、型枠に充填した。型枠への充填後、手で押し叩いて空気を抜き、表面をできるだけ平坦に整えた。なお、型枠は内側の長さ230mm、幅60mm、高さ20mmのものを使用した。続いて、98℃のスチームで10分間加熱処理した。スチーム処理後の漬け込み肉の重量は約240gであった。型枠から外したそれぞれの漬込み肉に対し、表2に示した配合の打ち粉を、漬込み肉一枚あたり4.5~5.5gの量で、薄く均一にまぶした。その後、表3に示した配合のバッター液を付着させた。その際、漬け込み肉一枚当たり25~30gのバッター液が付着した。続いて、漬込み肉一枚当たり35~40gのパン粉をまぶし、-23℃の冷凍庫で急速凍結した。その後、凍結したまま、170℃の油に投入し、7分間揚げてチキンカツを得た。
Figure 2024009590000002
Figure 2024009590000003
Figure 2024009590000004
[作業性の評価]
(型枠に充填した後の成型しやすさ)
比較例1(鳥挽肉)は、肉に粘性があるため、程よくまとまりがあり成型しやすいが、肉が成型治具等に付着しやすいため定量充填が困難であった。スチーム処理後に型枠を外した後、肉垂れが生じず形状が安定していた。
比較例2(無処理)は、肉同士がまとまりにくく成型しにくいが、肉の成型治具等への付着が少ないため定量充填が容易であった。一方で、スチーム処理後に型枠を外した後、肉垂れが生じるため形状が安定しなかった。
実施例1(鳥薄肉)は、肉に粘性があるため、程よくまとまりがあり成型しやすく、成型治具等への付着も少なく定量充填が容易であった。また、スチーム処理後に型枠を外した後も肉垂れが生じず形状が安定していた。
以上の結果を表4にまとめて示す。
(スチーム処理後の肉塊の折れやすさ)
スチーム処理後、型枠を外して得られる肉塊に対して、打ち粉をまぶし、バッター液およびパン粉を付着させることで衣付けを行う。工業的に製造する場合、衣付け後すぐに揚げる場合もあれば、一旦冷凍し輸送した後、各店舗や家庭で揚げる場合もある。各工程においてコンベア等で運搬する場合や、工場から倉庫や店舗等に輸送する場合もある。これらの工程の際、肉塊が折れてしまうと、作業性が悪く、歩留まりも低下する。
比較例1(鳥挽肉)の場合、加熱後の肉塊に多少の弾力があるため折れにくい傾向があるものの、運搬や衣付け作業時に折れることがあった。
比較例2(無処理)の場合、派生肉の結着面を起点として、運搬や衣付け作業時に折れることがあった。
実施例1(鳥薄肉)の場合、加熱後の肉塊に弾力があるため折れにくく、運搬や衣付け作業時に折れることはほとんどなかった。
以上の結果を表4にまとめて示す。
Figure 2024009590000005
[外観の評価]
揚げた後、カットした断面において気泡が多いと、消費者に対して外観上の違和感を与えてしまう。比較例1(鳥挽肉)の場合、断面に細かい気泡が目立っていた。比較例2(無処理)の場合、断面において、肉片と肉片の隙間に多少の気泡が見られた。実施例1(鳥薄肉)の場合、断面の気泡は目立たなかった。
以上の結果を表5にまとめて示す。
Figure 2024009590000006
[食感の評価]
得られたチキンカツの食感について、鳥肉加工食品の開発に5年以上従事する専門のパネリスト5名(評価者A~E)からなるパネルによる官能評価を行った。
(鳥肉の繊維感)
厚さを揃えた鶏胸肉(ニワトリの胸肉)の一枚肉(正肉)を使って作ったチキンカツを基準として、同じくらい繊維感を強く感じる場合は5点、基準よりは若干弱いが繊維感をやや強く感じる場合は4点、基準よりやや弱いが繊維感を感じる場合は3点、基準よりかなり弱いが繊維感を少し感じる場合は2点、繊維感を全く感じない場合は1点とした。各パネリストによる評価は表6に示す通りであった。
Figure 2024009590000007
比較例1(鳥挽肉)の場合は平均点が1.2点、比較例2(無処理)の場合は平均点が3.0点、実施例1(鳥薄肉)の場合は平均点が4.4点であった。鳥薄肉を用いると、鳥肉の繊維感を強く感じることが示された。
(肉の一体感)
咀嚼した際に口の中で肉がボロボロと剥がれ落ちる感じが強いと、肉の一体感がなく、食感として好ましくない。肉の一体感を強く感じる場合は5点、一体感をやや強く感じる場合は4点、一体感を感じる場合は3点、一体感を少し感じる場合は2点、一体感を全く感じない場合は1点とした。各パネリストによる評価は表7に示す通りであった。
Figure 2024009590000008
比較例1(鳥挽肉)の場合は平均点が3.2点、比較例2(無処理)の場合は平均点が2.2点、実施例1(鳥薄肉)の場合は平均点が4.6点であった。鳥薄肉を用いると、肉の一体感を強く感じることが示された。
(肉の硬さ)
厚さを揃えた鶏胸肉(ニワトリの胸肉)の一枚肉(正肉)を使って作ったチキンカツを基準として、同じくらい硬さを強く感じる場合は5点、基準よりは若干硬さが弱いが、硬さをやや強く感じる場合は4点、基準よりやや硬さが弱いが、硬さを感じる場合は3点、基準よりかなり硬さが弱いが、硬さを少し感じる場合は2点、硬さを全く感じない場合は1点とした。各パネリストによる評価は表8に示す通りであった。
Figure 2024009590000009
比較例1(鳥挽肉)の場合は平均点が1.2点、比較例2(無処理)の場合は平均点が3.2点、実施例1(鳥薄肉)の場合は平均点が4.2点であった。鳥薄肉を用いると、肉の硬さを強く感じ、良好な食感が得られることが示された。
(つなぎに由来する食感)
厚さを揃えた鶏胸肉(ニワトリの胸肉)の一枚肉(正肉)を使ってチキンカツを作る場合と異なり、サンプル1~3を用いてチキンカツを作る場合は、つなぎとして用いる漬け込み液に漬け込むため、つなぎに由来する食感を感じる場合がある。正肉を用いたチキンカツの食感に近づけるためには、つなぎに由来する食感はできる限り感じられない方が良い。つなぎに由来する食感を全く感じない場合は5点、つなぎに由来する食感を少し感じる場合は4点、つなぎに由来する食感を感じる場合は3点、つなぎに由来する食感をやや強く感じる場合は2点、つなぎに由来する食感を強く感じる場合は1点とした。各パネリストによる評価は表9に示す通りであった。
Figure 2024009590000010
比較例1(鳥挽肉)の場合は平均点が3.4点、比較例2(無処理)の場合は平均点が2.0点、実施例1(鳥薄肉)の場合は平均点が4.2点であった。鳥薄肉を用いると、つなぎに由来する食感を感じにくいことが示された。
(チキンカツとしての自然な食感)
厚さを揃えた鶏胸肉(ニワトリの胸肉)の一枚肉(正肉)を使って作ったチキンカツを基準として、基準と同等な食感である場合は5点、基準とは若干異なるがチキンカツとして自然な食感である場合は4点、基準とはやや異なるがチキンカツとして自然な食感である場合は3点、基準とはかなり異なるがチキンカツとして許容できる食感である場合は2点、基準とは全く異なりチキンカツとしては違和感がある場合は1点とした。各パネリストによる評価は表10に示す通りであった。
Figure 2024009590000011
比較例1(鳥挽肉)の場合は平均点が1.0点、比較例2(無処理)の場合は平均点が2.6点、実施例1(鳥薄肉)の場合は平均点が3.8点であった。鳥薄肉を用いると、よりチキンカツとして自然な食感が得られることが示された。
本開示の鳥薄肉圧着物、鳥薄肉圧着加工食品、および鳥薄肉圧着物は、鳥肉を用いる加工食品の産業分野において好適に利用可能である。
1…鳥薄肉圧着物、2…鳥薄肉、10…圧着物、20…鳥肉片。

Claims (15)

  1. 鳥薄肉圧着物。
  2. 複数の鳥薄肉が厚さ方向に重なり合って圧着した圧着成型体である、請求項1に記載の鳥薄肉圧着物。
  3. 複数の鳥薄肉が三次元的に絡み合った圧着成型体である、請求項1に記載の鳥薄肉圧着物。
  4. 前記鳥薄肉が、厚さが0.1~10mmの鳥肉である、請求項1~3のいずれか一項に記載の鳥薄肉圧着物。
  5. 前記鳥薄肉が、食用の家禽の肉である、請求項1~3のいずれか一項に記載の鳥薄肉圧着物。
  6. 前記鳥薄肉が、胸肉、もも肉、およびささみからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の鳥薄肉圧着物。
  7. 請求項1~3のいずれか一項に記載の鳥薄肉圧着物を含む鳥薄肉圧着加工食品。
  8. 油ちょう食品または焼成食品である、請求項7に記載の鳥薄肉圧着加工食品。
  9. チキンナゲット、チキンカツ、唐揚げ、竜田揚げ、チキンカツ、グリルチキンまたは焼き鳥である、請求項7に記載の鳥薄肉圧着加工食品。
  10. 冷凍品である、請求項7に記載の鳥薄肉圧着加工食品。
  11. 鳥肉を0.1~10mmの厚さにカットして複数の鳥薄肉を得る工程Aと、
    工程Aで得られた複数の鳥薄肉を互いに圧着して成型して鳥薄肉圧着非加熱物を得る工程Bと、
    を有する、鳥薄肉圧着物の製造方法。
  12. 工程Aで得られた前記複数の鳥薄肉に対し、結着材を付着させた後に工程Bに供する、請求項11に記載の製造方法。
  13. 工程Bにおいて、複数の鳥薄肉を型枠に充填して成型を行う、請求項11または12に記載の製造方法。
  14. 工程Bの後、焼成、油ちょう、煮る、茹でる、蒸気加熱、および過熱水蒸気加熱からなる群より選択される少なくとも1種の加熱加工を行い、鳥薄肉圧着加工食品を得る工程Cに供する、請求項11または12に記載の製造方法。
  15. 工程Cの後、冷凍により鳥薄肉圧着加工冷凍食品を得る工程Dに供する、請求項14に記載の製造方法。
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